ラベル Electronic の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Electronic の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

 

 

BlurのDamon Albarn(デーモン・アルバーン)のバーチャルバンド、Gorillazが、ニューシングル「Skinny Ape」を公開しました。

 

この曲は、12月17日14:30(米国東部時間)にタイムズスクエアで、12月18日14:00(日本時間)にピカデリーサーカスで、バンドによるライブパフォーマンスが予定されています。Jamie HewlettとFx Gobyが監督した「Skinny Ape」のパフォーマンスは、Nexus Studiosが制作し、GoogleのARCore Geospatial APIを利用して、ARで公共空間を変身させる。新曲の試聴と予告編は以下よりご覧ください。


Gorillazのバーチャル・ベース奏者、Murdoc Niccalsはプレスリリースで次のように述べています。

 

「私たちのフォロワーの皆さん、あのゴリラがこの場所を破壊して以来、最大のタイムズスクエア買収に備えましょう。私たちは4人で構成されているので、より大規模になります。Googleの技術者たちのおかげで、今世紀のミュージックビデオ・イベントを作ることができた。ピンクのローブを着て、今まで見たことのないようなGorillazを見に来よう。未来はすぐそこだ!」


Cracker Islandは、Stevie Nicks、Adeleye Omotayo、Thundercat、Bad Bunny、Beckが音楽的に参加しているのが特徴です。この作品は、バンドがGreg KurstinとRemi Kabaka Jr.と共にプロデュースしたものです。


6月、GorillazはThundercatをフィーチャーしたアルバム・タイトル曲「Cracker Island」を公開しました。8月のアルバム発表と同時に、Tame ImpalaとBootie Brownをフィーチャーしたシングル 「New Gold」を発表しました。 

 


昨年、GorillazはEP『Meanwhile』をリリース。彼らの最新アルバム『Song Machine, Season One: Strange Timez』は2020年10月に発売された。

Weekly Recommendation 
 
 
 
Move D& D man 「All You Can Tweak」
 
 


Label : Smallville Records   

Genre: Techno/House
 
Release: 2022年12月2日 
 
 



Featured Review    
 
 
ードイツ/ライン地方のダンス・ムーブメントの30年の集大成ー



1990年頃、ドイツ・ハイデルベルクは、アンダーグラウンド・レベルでダンスシーンがこれまでになく盛り上がりをみせていた。ゲーテ、ヘンダーリン、アイヒェンドルフで有名なネッカー川にほど近いフィロゾーフェン通り(哲学者の道)や、ドイツで最も美しい古城を始めとする由緒ある旧市街地、また学生街でもある--ハイデルベルクのベルクハイマー通りにある「Blaues Zimmer」(ブルールーム)というライブ・スペースには、当時、定期的に優秀なプロデューサがここぞとばかりに集っていた。
 
 
このドイツのアンダーグラウンド・シーンの一端を担った「Blaues Zimmer(ブルー・ルーム)は、Dirk Mantei(Dman)が所有するスタジオであり、David Moufang(Move D)は、この場所を、その後の10年間にライン・マイン地域で起こったエレクトロニック・ミュージック・ムーブメントの「種(Keimzellenーカイムツェーレン)」と呼びならわしている。ハイデルベルクは、マンハイム、ルートヴィヒスハーフェン、ダルムシュタット、といった中堅都市が比較的近くに位置し、フランクフルトにも簡単に行くことが出来たためか、この町の90年代のダンスフロアは活況をきわめ、その頃、多くのクラブやパーティーが開催されたが、プロデューサー、Dirk Mantei(ディルク・マンテイ)とDavid Moufang(ダビデ・モウファン)は、当地のクラブシーンの一翼を担う存在だったという。


Dirk Mantei & David Moufang,、Eric D Clark、Robert Gordon、Nils "Puppetmaster" Hess、DJ Cle-、などなど、ハイデルベルクに住んでいた秀逸なプロデューサーたちが、この時期にダークなフロアに集まっていた。このことに関して、Discogsは、Dirk Mantei(ディルク・マンテイ)を「南ドイツの1990年代のテクノ・シーンの中心的人物」と呼んでいるが、これにはそれなりの理由があるのだという。他でもない、Dirk Mantei(ディルク・マンテイ)は、地元のミュージック・シーンを盛り上げてきた人物であり、南ドイツのクラブ・ミュージックの地盤を築き上げた人物でもあるのだ。
 
 
Dirk Manteiは、個人経営のレコード店(Dubtools)を経営しながら、Planet Bass(1988年頃、ハイデルベルクのNormalで行われた日曜日のパーティ)、Hot Lemonade(1990年頃、マンハイムでの日曜日のパーティ)といった、伝説的なパーティを開催しながら、地元ハイデルベルクのダンスシーンを活性化させようとしていた。その後、ハイデルベルクからマンハイムに拠点を映すやいなや、Dirk Mantei(ディルク・マンテイ)は、伝説的なクラブ”Milk!”(1990年~)をオープンし、その後、HD800(MS Connexion内)というクラブを経営するに至った。この2つのクラブには、彼自身が購入し、調整した、巨大なサウンドシステムが導入された。David Moufangは、クラブ”Milk!”について、自分のソロ名義/Move Dとレーベル名Source Recordsの発祥の地と呼びならわしているようだ。


Dirk Mantei & David Moufangの実質的なデビュー・レコードは、Davids Sourceからリリースされた「Homeworks 1」という12インチだ。また、その1年前には、Source Recordsから最初のCDとしてリリースされた4曲もあった。また、「Wired To The Mothership」は、このCDコンピレーションに収録されている32秒のトラックで、あまりにも短いが、特別なものであるのだという。


シェフィールドにインスパイアされたブリープ、タイムレスなパッド、デトロイトなストリングス、JXP-3のオルガンソロ、アナログドラム、アナログ・ベースラインなど、時代を超えたコンポーネントが最も素晴らしい方法で織り成されてから消えていく。DavidとDirkは、この曲のロングバージョンが何故今まで存在していなかったかという点について、「当時のミックスダウンに満足おらず、30年近くかけてようやく2021年のフルバージョンを完成させた」と語っている。


 
今回、Smallville Recordsからリリースされた『All You Can Tweak』の全てのトラックは、1992年から2021年の間にDavid MoufangとDirk Manteiによって書かれ、プロデュースされ、ミックスされた作品である。
 

Move D


昨日、12月2日に発売された南ドイツのダンスシーンを象徴する二人のプロデューサーDirk Mantei & David Moufangの最新作『All You Can Tweak』は、先述したように、90年代に録音されていながら、長らく発表されていなかったトラックも複数収録されているという点で、伝説的なアルバムと呼べるかもしれない。二人のプロデューサー、Dirk Mantei (ディルク・マンテイ)& David Moufang(ダビデ・モンファン)のダンスミュージックは、デトロイト・テクノや初期のハウス・ミュージックに象徴される4つ打ちのきわめてシンプルなハウス・ミュージックが基本的な要素となっている。シンプルなスネアとドラムのキックに支えられた基本的なテクノ/ハウスではありながら、反復的に繰り返されるビートに、アシッド・ハウスやサイケの要素が加わっていくことにより、途中から想像しがたいような展開力を持ち合わせるようになる。
 
 
Move D/Dmanの最新作『All You Can Tweak』は、彼らのテクノ/ハウスの原点を探るような作品といえそうだ。この作品は、ジェフ・ミルズ、オウテカ、クラーク、ボノボの初期のように、最もテクノが新しい、と言われていた時代の熱狂性の痕跡を奇跡的に残している。時代を経るごとに、これらの4つ打ちのリズムは徐々に複雑化していき、ヒップ・ホップのブレイクビートの要素が付け加えられ、ほかにもロンドンのドラムン・ベースの影響が加わり、さらに細々と不可解に電子音楽は枝分かれしていった印象もあるが、『All You Can Tweak』を聴くとわかるように、これらの基礎的な4つ打ちのビートにも、まだ音楽として発展する余地が残されていることを、二人のプロデューサーはあらためて、この最新作『All You Can Tweak』ではっきり証明している。一方で、この作品は、単なるデトロイト・テクノや旧来のハウス・ミュージックへの原点回帰とはいいがたいものがある。三十年という月日は、Move D/Dmanにとって、これらの原始的なダンスミュージックを、さらに深化/醸成させるための準備期間であったのだろうと思う。二人のプロデューサーは、実際に、レコード店を経営しながら、そして、地元ハイデルベルクのダンスシーンと密接に関わりながら、イギリスにもない、イタロにもない、そして、アメリカにもない、特異なGerman-Techno(ゲルマン・テクノ)を綿密に構築していった。
 
 
彼らは、80年代のテクノやハウスのシンプルなビートの要素に加え、デュッセルドルフのテクノ、トランス、構造的なエレクトロの要素をもたらし、他にも、ホルガー・シューカイのダブの多重録音や、サイケの色合いを付け加える。ハウスの16ビートに、シャッフルビートを加え、グルーブの揺らぎを生み出し、オシレーターを駆使したフレーズを重ね、トーンの絶妙な揺らぎをトラックメイクに施し、音の進行に流動性を与え、曲そのものに多重性をもたせている。ビートは、常に反復的で、キックが強調されていることからも分かる通り、フロアの重低音の実際の音響に重点が置かれているが、軽薄なダンスミュージックを極力遠ざけて、思索的な音の運びを尊重している。二人のプロデューサーは、オシレーターによるトーンの微細な変化により、信じがたい音色を生み出す。多くの曲がイントロから中盤にかけて、印象がガラッと一変するのはそのためである。そして、これが今作を聴いていて、ランタイムが進むごとに、音楽の持つ世界が深度や奥行きを増していくように感じられる理由でもあるのだろう。
 
 
アルバムのアートワークを見ても分かる通り、これらのテクノ/ディープ・ハウスは一筋縄ではいかない。製作者の音楽的な背景を実際の音楽に反映したかのように、サイケデリックな色合いを持ち、アンダーグラウンド性の高い、緊迫したトラックが続く。リスナーはオープニングを飾る日本の江戸時代後期の浮世絵画家にちなんだオープニング「Hokusai」で、異質な何かを発見することになる。コアなグルーブと共に、ベースラインを強調させたリード、ハイハットのシンプルな連打がアルバムの世界観を牽引する。 これらは、二人のプローデューサーの豊かな創造性により、浮遊感が加味され、ときに、サイケデリック・アンビエントの領域に踏み込む場合もある。
 
 
一転して、#2「All You Can Tweak」では、落ち着いたIDM寄りの電子音楽が展開される。ミニマル・グリッチ的なアプローチの中にチルアウトの要素が加味される。金属的なパーカションを涼し気な音響の中に落とし込むという点では、Bonobo(サイモン・グリーン)に近い手法が取り入れられている。さらに、#3「Colon.ize」は、本作の中でハイライトの1つとなる。4つ打ちの簡素なビートは、ハウスの基本的な要素を突き出しているが、特にバスドラムのベースラインを形成するシンセが絡み合うことにより、コアなグルーブ感を生み出していく。しかし、この曲が既存のハウス/ ディープ・ハウスと明らかに異なるのは、デュッセルドルフのテクノ、つまり、クラフトベルクのロボット風のシンセのフレーズがSFに近い特異な音響空間を導出する点にある。不思議なのは、これらのロボット・シンセが宇宙的な雰囲気を演出するのである。さらに続く、#4「Weierd To The Mothership 2021」は、ユーロ・ビートやトランスが隆盛をきわめた時代のノスタルジアが揺曳する。これらのアプローチは古びている感もなくはないが、その点を二人のプロデューサーは、リミックスを通し、アシッド・ハウスの要素を加味することによって克服し、淡白なダンスミュージックを避け、鮮やかな情感を添えることに成功している。

 
その後もまた、4つ打ちのシンプルなビートがタイトル・トラック「All You Can Tweak」で続くが、ここでは複合的なリズム性が現れ、シャッフル・ビートの手法を駆使し、特異なグルーブを呼び覚ましている。この曲でも、ビートやリズムは、新旧のハウス/ディープ・ハウスをクロスオーバーしているが、そこにシンセのオシレーターのトーンの振幅により、音色に面白い揺らぎがもたらされ、曲のクライマックスでは、ボーカルのサンプリングを導入し、近未来的な世界観をリスナーに提示している。ただ、ひとつ付け加えておきたいのは、それは人間味というべきなのか、電子音楽の良曲を見極める上で欠かすことの出来ない仄かな情感を漂わせているのである。
 
 
 
アルバムの終盤では、この二人のダンスフロアへの熱狂性がさらに盛り上がりを見せ、90年代のハイデルベルクのアンダーグランドのダンスフロアに実際に踏み入れていくかのようでもある。続く、#6「Doomstorlling」では、シンセ・リードにボコーダーのエフェクトで処理した面白い音色を生み出していてユニークであるが、やはり、80年代のイタロ・ディスコに触発されたマンチェスターのミュージック・シーンとも異なる、バスドラムのキックのダイナミクスを最大限に活かした少しダークな雰囲気を持つダンス・ミュージックを体感することが出来る。そして、アルバムのクライマックスを飾る#7「Luvbirdz」は、「Hokusai」「Colon.ize」「All You Can Tweak」と合わせて聞き逃すことの出来ない一曲である。彼らは、シャッフル・ビートを交えつつ、アシッド・ハウスの極北を見出す。タイトルに纏わる鳥のシンセの音色についても、二人のプロデューサーの斬新なアイディアを象徴するものとなっている。
 
 
 
総じて、『All You Can Tweak』は、90年代から続く、南ドイツのアンダーグラウンドのダンス・ミュージックの二人の体現者であるDavid&Dirkが、それをどのような形で現代に繋げていくのか、真摯に探求しているため、歴史的なアーカイブとしてみても、意義深い作品となっている。これらの7つのトラックは、90年代のハイデルベルクのミュージック・シーンの熱狂性を余すことなく継承しているばかりか、現在も新鮮かつ刺激的に感じられる。いや、それどころか、これらの楽曲が、2020年代の世界のダンス・ミュージックの最高峰に位置することに疑いを入れる余地はない。信じがたいことに、彼ら(David&Dirk)が90年代にハイデルベルクに蒔いたダンス・ミュージックの種-Keimzellen-は、30年という月日を経て実に見事な形で結実したのである。
 

98/100
 
 
 
 Weekend Featured Track #1「Hokusai」
 

Satomimagae-The Courtesy Of The Artist


Satomimagaeが、デビュー・アルバム『Awa』の10周年記念リイシューを発表しました。この度、10年前に自主制作したものをアートワークを一新し、再編集盤として発売されることになった。


2023年2月3日にRVNG Intlからリリースされるアルバム『Awa』は、数曲のボーナストラックと新しいアートワークとパッケージで再発される。昨日、彼女は先行シングル「Inu」の新しいビデオを公開しました。以下、チェックしてみてください。


「この曲のタイトルである "Inu "は日本語で "犬 "という意味。怖いもの/避けたいものの象徴であると同時に、受け入れたいもの、友達になりたいものの象徴でもある」とSatomimagaeはコメントしている。

 

 

「Inu」 

 



Satomimagae 『Awa』 Reissue

 


Label: RVNG

Release: 2023年2月3日


Tracklist:


1. #1

2. Green Night

3. Inu

4. Q

5. Koki 

6. Mouf

7. Hematoxylin

8. Bokuso 

9. Tou

10. Kusune

11. Riki

12. Kaba

13. Hono 

14. Beni.n 

15. Hoshi

16. Mouf Remix

 

 

 

 

 

Satomimagae  -Biography-


東京を拠点に、ギター、声、ノイズのための繊細な歌を紡ぎ、有機と機械、個人と環境、暖と冷の間で揺らめく変幻自在のフォーク系統を伝播するサトミマガエ。最新作は、RVNG Intl.から初のリリースとなる「HANAZONO」。

 

石や川や風から受ける純粋で私的な驚きという日常の神秘主義へのオマージュとして、彼女は自由な遊びとアンサンブル音楽への関心と孤独な音作りの私的世界を融合させ、シンプルさと複雑さを兼ね備えた、まさに無垢な芸術の生物圏というべき作品を作り上げた。



Satomiの芸術的な旅は、中学生の時にギターに出会った時代に遡る。父親がアメリカから持ち帰ったテープやCDのカプセルに入った古いデルタブルースの影響もあり、すぐにこの楽器に夢中になり、10代で曲作りの実験に取り掛かった。

 

コンピュータを導入したことで、より多くの要素を取り入れることができるようになり、まもなくソロ活動もアンサンブルを愛するようになる。大学では分子生物学を学びながらバンドでベースを弾き、様々な音の中に身を置くことに憧れ、自然やそこに生息する生き物への情熱と交差する。



この頃、アンビエント・ミュージック、エレクトロニック・ミュージック、テクノなど、より実験的でヴォーカルを排除した音楽に傾倒し、リスナーの幅を広げていく。サンプラーを手に入れ、クラブやカフェでソロライブを行うようになり、自分の声やギターの演奏に、追加楽器として考えたノイズを重ね合わせるライブを行うようになる。Satomimagaeは、彼女の特異なフォークトロニックの反芻を通じた公式キャラクターとなった。

 


UKのエレクトロ・ポップバンド、Hot Chipが、最新アルバム『Freakout/Release』から「Broken」のPVを公開しました。(レビューはこちらからお読みください)

 

また、Jacques Lu Cont、Planningtorock、Each Otherが手がけた3種類のリミックスも同時公開されています。マキシム・ケリーが監督したミュージックビデオとリミックスの試聴は以下から。


プレスリリースで、マキシム・ケリーは次のように述べています。「A.I.マシンがアートワークをすることに興味があります」

 

「将来的には、ロボットやコンピュータがミュージックビデオを作るかもしれません。私が幼い頃に見たMTVのボーイズバンドのビデオは、過度にセンチメンタルで、感情的で腹に響くパフォーマンスでした。このビデオでは、魂の抜けたアンドロイドが、このようなビデオのすべての動作と決まり文句を、死んだようなロボットのような正確さで実行しているのです。このビデオは、エンターテインメント性と観賞に耐える部分をすべて取り除いたポップ・ビデオです」

 

 

「Broken」PV

 

 

 

「Broken」Remix Version

 


 

Gold Pand ©Laura Lewis

ロンドンのプリデューサー、Gold Panda(ゴールド・パンダ)が、最新アルバム『The Work』からのシングル「Plastic Future」のSkee Mask Remixを公開しました。試聴は以下より。


「初めてSkee Maskを聴いたのは、家から街へ向かう憂鬱な平日の雨のバス移動の時だったかな」 Derwin Dicker(ダーウィン・ディッカー)は声明で語っている。

 

「"50 Euro To Break Boost "は、窓を流れる雨でフィルターされた車両のライトに完璧にフィットしている。リミックスができて、彼が、私の音楽を好きだと聞いて、とてもラッキーだ。『Lucky Shiner』がエレクトロニック・ミュージックへの入り口になり、今では僕よりずっと良い音楽を作っている人がたくさんいることが分かったのも嬉しい(笑)。このリミックスにはクラシックなSkeeのトラックの特徴がすべて詰まっている気がする。ちゃんとしてるよ!!」


 


本日、Soundwalk Collective with Patti SmithはBella UnionよりThe Perfect Vision deluxe box setをリリースしました。アルバムのストリーミング視聴はこちらから。

 

このリリースに先立ち、Soundwalk Collective with Patti Smithは、尊敬する作曲家でありプロデューサーのBrian Enoによるトラック「Peradam」の魅惑的なリミックスが公開されています。下記よりご覧下さい。



この曲は、『The Peyote Dance』、『Mummer Love』、『Peradam』という『The Perfect Vision』を構成する3枚のアルバムとともに、ボックスセットに付属するリミックスアルバムに収録されています。



2019年から2021年にかけて、サウンドウォーク・コレクティヴとパティ・スミスは、フランスの象徴的な3人の詩人の文章からインスピレーションを得た3枚組のアルバムでコラボレーションを行った。

 

アントナン・アルトー、アルチュール・ランボー、ルネ・ドーマルの3人の象徴的な詩人の文章からインスピレーションを得たものです。

 

この作品の中心は、詩人たちが自分自身や自分の芸術について新しいビジョンや視点を得るために、異なる土地を旅する必要性に迫られたことについて。メキシコのシエラタラフマラ(ペヨーテダンス)、エチオピアのアビシニアンヴァレー(ママーラブ)、インドのヒマラヤ山頂(ペラダム)で録音されたこのアルバムは、詩人たちの足跡をたどり、その場で録音したサウンドスケープを通し、隠れた存在である土俗音を求め、パティ・スミスがその風景にインスピレーションを得て発した詩人たちの言葉を再確認している。結果、ランボー、アルトー、ドーマルの作品を横断する音と映像のモンタージュが、どこか別の場所への航海を表現している。



ブライアン・イーノ: ミュージシャン、プロデューサー、ビジュアルアーティスト、活動家 1970年代初頭にイギリスのバンド、ロキシー・ミュージックの創立メンバーとして国際的に知られ、その後、ソロアルバムやコラボレーションを行う。

 

プロデューサーとしては、トーキング・ヘッズ、ディーボ、U2、ローリー・アンダーソン、ジェームス、ジェーン・シベリー、コールドプレイとのアルバムがある。

 

コラボレーションとしては、デヴィッド・ボウイ、ジョン・ハッセル、ハロルド・バッド、ジョン・ケイル、デヴィッド・バーン、グレース・ジョーンズ、カール・ハイド、ジェームズ・ブレイク、最近では彼の兄、ロジャーとの「ミキシング・カラーズ」などの作品がある。



ブライアン・イーノの光とビデオによる視覚的な実験は、彼の音楽的キャリアと並行して続けられ、世界中で展覧会やインスタレーションが行われています。現在までに、40枚以上のアルバムをリリースし、ベニス・ビエンナーレ、サンクトペテルブルクのマーブル宮殿、北京の日壇公園、リオデジャネイロのアルコス・デ・ラパ、シドニーのオペラハウスの帆など、広範囲に渡って展示を行っています。 ロング・ナウ財団の創設メンバー、クライアント・アースの評議員、Videre est Credereの後援者でもある。 2021年4月には、気候の緊急事態に取り組む最も影響力のある環境チャリティーのために、音楽業界から資金を調達する”EarthPercent”を立ち上げた。

 


Lead Single 「Peradam」

 

 

 


 

 

 



Soundwalk Collective With  Patti Smith 『The Perfect Vision: Reworkings』

 


1. Peradam (Brian Eno Remix)

2. Song of the Highest Tower (Kaitlyn Aurelia Smith Rework)

3. Ivry (Laraaji Rework)

4. Bad Blood (Lotic Rework)

5. Indian Culture (Lucrecia Dalt Remix)

6. Song of the Highest Tower (AtomTM Remix)

7. Eternity (Jim Jarmusch Rework)


 

Tomaga

Floating PointsとMarta Salogniがタッグを組んで、Tomagaに捧げられる2曲入りのアルバムをPhonicaからリリースします。フローティング・ポインツは、ファラオ・サンダースとの共作で知られている。一方のマルタ・サロニは、ビョークやボン・イヴェールの作品のプロデューサーとしてあまりにも有名です。


『Intimate Immensity / A Call From The Eaves』は、Floating PointsとMarta SalogniがTomagaの「Intimate Immensity」を再解釈/リミックス作となります。B面は2人のオリジナル・コラボレーションとなっています。


2020年にTomagaのメンバーの一人、トム・レリーンが亡くなったことを踏まえ、本作の売上はすべてレリーンの名前で設立された慈善団体、フリー・ユース・オーケストラに寄付される予定です。この団体は、地元のミュージシャンが運営する楽器や無料のワークショップを提供することで、子供たちが音楽機材にアクセスする際の経済的な障壁を取り除くことに尽力しています。



 

 

 

Floating Points/Marta Salogni 『Intimate Immensity / A Call From The Eaves』

Label: Phonica Records

Release:2022/12/2


Tracklist: 
A. Tomaga – Intimate Immensity (Floating Points & Marta Salogni Remix)
B. Floating Points & Marta Salogni – A Call From The Eaves

  

Quasi


1989年から活動するポートランドのエレクトロ・デュオ、Quasiが、来年2月に発売される新作アルバム『Breaking The Balls Of History』からのセカンド・シングル「Doomscrollers 」を公開しました。


新作アルバム『Breaking The Balls Of History』は、シアトルのRob Lang StudiosでJohn Goodmanson(Sleater-Kinney, Bikini Kill)と共にプロデュースされた。Quasiの2013年のアルバム『Mole City』に続く作品となる。


ジャネット・ワイスは、このレコードの制作について、「人生を肯定してくれるような感じがした。その場にいて、またそのレベルで演奏できることがどれだけ幸せなことか、音楽から伝わってくるよ。私は存在することができるのです」と説明する。

 

 


 現在、LAを拠点に置く、ダラス出身のアーティストLiv.e(リヴ)が、セカンドアルバム『Girl in the Half Pearl』を、In Real Lifeから、来年2月10日にリリースすることを発表しました。

 

Liv.eは、まさにクロスオーバー・ヒップホップの先鋒と称するべきミュージシャン。ブルースやゴスペル等の教会音楽にルーツを置きつつ、メンフィスラップに影響を受けたミュージシャンである。もちろん、ラップの性格が最も強いが、ソフトウェア"ableton live"を駆使し、最新鋭のエレクトロニクスサウンドを体現する。加えて、上記のブラックミュージックのルーツが彼女の音楽性に深い情感を与えている。

 

今回、Liv.eは、John Carroll Kirby(ジョン・キャロル・カービー)とSolomonophonic(ソロモノフォニック)と共同で作曲・プロデュースしたニューシングル「Wild Animals」を公開しました。


Liv.eは「私はビジョンを思いつき、それが私の想像と同じように出てくることを確実にするために最善を尽くすプロセスが本当に好きです」と、「Wild Animal」のセルフディレクション・ビジュアルについて語った。

 

"私はほとんどすべての練習を、自分自身への信頼と信念を強化するもう一つの方法として使う傾向があります。このコンセプトは、私が過去によく行動しがちだった古い「人を喜ばせる」習慣を手放すことに基づいているだけです。毎回自分を選択する強さと勇気を得ることを描いたのです"


2020年のデビュー・アルバム『Couldn't Wait To Tell You』に続く新作LPは、以前シェアされたトラック「Ghost」を含む17曲で構成されている。アーティスティックな佇まいを持ちながらも、実力派のミュージシャンとしてぜひとも注目しておきたい。

 


「Wild Animals」

 



「Ghost」
 
 




Liv.e 『Girl in the Half Pearl』 Artwork
 



 



 アメリカン・フットボールのMikeとNate Kinsellaの共同プロジェクト、LIESが、9月の "Corbeau "以来となるシングル 「Camera Chimera」をリリースし、POND Creativeによるビデオも公開されました。


Mike Kinsella(マイク・キンセラ)はこの曲について、「"Camera Chimera "は、ソーシャルメディア上での交流や存在がもたらす恐ろしい、そしてしばしば不自由な副作用についての曲なんだ。他者から操作されていると感じるだけでなく、自分自身の嘘や操作の現実と結果に直面し、それが精神的、感情的にどのようなスパイラルに陥るかを描いています」と説明しています。


9月の『Corbeau』に先立ち、LIESは8月に『Summer Somewhere』をシェアし、5月にはデビュー曲『Blemishes』と『Echoes』を配信しています。

 

 

New Order

 New Orderは、1985年の3rdアルバム『Low-Life』のDefinitive Editionを1月27日にRhinoからリリースする予定です。その発表に伴い、シングル "The Perfect Kiss "の未発表初期バージョンが到着した。


このコレクションは、2xCD、2xDVD、1xLPのパッケージで、新たに明らかになった楽曲、当時の貴重な音源や映像資料、ハードカバーの本、アルバムのオリジナルグラフィック・アーティストであるPeter Savilleによる新鮮なスリーブデザインなどが収録されています。CD付録には、"The Perfect Kiss"、"Sooner Than You Think "などの定番曲のライティング・セッション音源、"Love Vigilantes"、"Sub-Culture "のインストゥルメンタル音源を収録しています。


さらに、DVDには1985年にベルギー、オランダ、カナダで行われたコンサートの未発表映像や、同年の東京公演、マンチェスターのThe HaciendaでBBCが主催したWhistle Testでの演奏など、ほとんど出回っていない音源が収録されています。

 

レコード盤にはSavilleがデザインしたオリジナルのヘビーウェイト・トレーシングペーパーが付属し、48ページの回顧本には未公開写真とメンバー全員の新しいインタビューが掲載されています。


また、バンドのウェブサイトでは、特別な12インチレコードが独占販売されている。ミラースリーブの透明ビニールでプレスされた "The Perfect Kiss "の限定版と、黒無地のレーベル無しスリーブでデザインが新しくなった12インチ "Sub-Culture "が含まれ、どちらもアルバムのたった2枚のシングルのプロモーションのためにバンドから出された、オリジナルの未発表仕様になっている。

 

Savilleは声明の中で、ミラーのデザインは1985年に実現しなかったビジョンであり、「それ以来、私はそれを見たいと思っていた」と話しています。オリジナルのコンセプトは、ミニマル/ポップアートのスタイルで、口紅の反射する魅力(re: 'Perfect Kiss')を想起させるものでした。この形の'The Perfect Kiss'は変幻自在で、ファンやコレクターにとって必需品となるだろう」

 


New Order  『Low-Life (Definitive Edition)』

 


 

Label: Rhino

 

Release:2023年1月27日



Tracklist:



CD 1: Low-Life
01. Love Vigilantes
02. The Perfect Kiss
03. This Time of Night
04. Sunrise
05. Elegia
06. Sooner Than You Think
07. Sub-Culture
08. Face Up

Fever Ray ©︎ Nina Anderson

スウェーデンのエレクトロ・デュオ、Fever Ray(フィーバー・レイ)がニュー・アルバム『ラディカル・ロマンティクス』のリリースを発表した。Fever Rayは、カリン・ドレイヤー、オロフ・ドレイヤーの兄弟からなるプロジェクトである。


2017年の『Plunge』以来、5年以上のブランクを経て、ようやく完成に漕ぎ着けた新作アルバム『Racidal Romactics』は、カリン・ドレイヤーが、元The KnifeのメンバーでもあるOlof Dreijer(オロフ・ドレイヤー)と共に設立したストックホルムのプライベート・スタジオで2019年後半に制作が開始された。2人はリード・トラック「What They Call Us」をはじめ、収録曲の数々で共演し、8年前にザ・ナイフを解散して以来、初めてレコードでコラボレートしている。


アルバムの発表に合わせて公開された先行シングル「Carbon Dioxide」は、Vesselが共同プロデュースし、さらにアルバムの収録曲にもゲスト参加。その他、Nine Inch Nails(ナイン・インチ・ネイルズ)のTrent Rezner(トレント・レズナー)とAtticus Ross(アッティカス・ロス)、Príncipe Discos所属のNídia、Aasthma (AKA Peder Mannerfelt and Pär Grindvik、Johannes Berglundといったミュージシャンが参加しています。


Fever Rayの新作アルバム『Radical Romantics」は、2023年3月10日にRabidから発売予定である。

 







Fever Ray 『Radical Romantics』


 
 
Label: Rabid Records

Release: 2023年3月10日

 
 
Tracklist:

1. What They Call Us
2. Shiver
3 New Utensils
4. Kandy
5. Even It Out
6. Looking for a Ghost
7. Carbon Dioxide
8. North
9. Tapping Fingers
10. Bottom of the Ocean


 

Floating Points

 Floating Pointsがニューシングル「Someone Close」を11月9日にリリースした。この曲はミニマルの構造を持つエレクトロニカであるとともに、微細なトーンの変化/ダイナミクスの変化により独特な抑揚をもたらし、曲にトリッピーな浮遊感を与えている。これまでの三曲の先行シングルとは明らかに異なり、宇宙的な音響性すら兼ね備えている。この曲は、単なるエレクトロニカではなく、電子音楽の天文学的なオーケストラレーションと称すことが出来る。

 

中盤では、ワンフレーズの反復の上に、バックトラックにアンビエントのようなサウンドスケープが薄く、また、別のシンセ・リードのフレーズが反対に厚く、連続して重ねられることにより、多重的な複雑な構造が生み出される。これらの音響性がデジタル信号の上限まで拡張された後、クライマックスでは、最初のモチーフが完全に消えさり、それまで表向きに聴くことが出来なかった静謐なアンビエント風のシークエンスだけが残され、神妙な余韻をもたらしている。

 

この中盤からクライマックスにかけての展開はほとんど「圧巻!」というよりほかなく、(皆既月食や天王星食の月や星の満ち欠けの微細な推移のように)聞き手はそこに存在しなかったと思っていた何かが「その空間中に既に存在していた」ことを発見し、驚かざるをえなくなる。この最後の絶妙というよりほかないフレーズの抜き方と曲構成の意外性に、サム・シェパードの天才性がはっきりと表れ出ているように思える。


ここでは、まさに、サム・シェパードの電子音楽のスタイルの真骨頂が体感できるにとどまらず、宇多田ヒカルの「バッドモード」や、故ファラオ・サンダースの「Promises」において様々なジャンルの音楽家とコラボレーションを重ねてきた敏腕プロデューサーとしての表情も窺える。

 

このニューシングルは、先日公開された「Grammar」、「Vocoder」、「Problems」と合わせて、12月16日にNinja Tuneから限定12インチ・ヴァイナルに収録される。「Someone Close」の試聴は以下よりどうぞ。


 

Helena Hauff

ドイツ/ハンブルクのプロデューサー/DJ、Helena Hauff(ヘレナ・ハウフ)は、『Living With Ladybirds』というタイトルのEPを発表し、そのリード曲として新曲 "Touching Plastic "を公開した。

 

"Touching Plastic "は、ハウフにとって2022年最初の新曲であり、2020年のとのシングル "Segment 3 "に続く作品となる。

 


この新曲は、来週リリース予定のEP『Living with Ladybirds』に収録される4曲のうちの1曲となっている。 

 

 

 

Helena Hauff 『Living with Ladybirds』EP

 

 

 

Label: Fabric Originals

Release: 2022/11/11


Tracklisting:

1.Jonas

2.Your Turn To Fly

3.Touching Plastic

4.Pinch

 

Aphex Twin


1992年にリリースされた作品が30年ぶりにヴァイナルで発売される。


Warp Recordsは、12月9日に再リリース予定のコンピレーション『Artificial Intelligence』の再発を発表した。このアルバムはArtificial Intelligenceシリーズの最初のリリースで、AutechreとAphex TwinがThe Dice Manという名で発表した初期のレアトラックを収録している。


また、Richie Hawtin(UP!)、The OrbのAlex Paterson、B12 as Musicology、The KLFのJimmy Cautyのトラックも収録されています。 WarpのArtificial Intelligenceシリーズは92年から94年にかけて行われ、Polygon WindowのSurfing On Sine Waves、B12のElectro Soma、Artificial Intelligence IIも含まれています。


このコンピレーションは12月9日にリリース予定。





Tracklist:



1. The Dice Man – Polygon Window
2. Musicology – Telefone 529
3. Autechre – Crystal
4. I.A.O – The Clan
5. Speedy J – De-Orbit
6. Musicology – Premonition
7. Up! – Spiritual High
8. Autechre – The Egg
9. Dr Alex Paterson – Loving You Live

 Ásgeir 『Time On My Hands』

 

 

 

 Label:  One Little Independent

 Release:  2022年10月28日

 

Listen/Stream



 

Review

 

現在の北欧のアイスランドのミュージック・シーンには、性別を問わず、傑出したシンガーソングライターが数多く見受けられる。JFDR,Jojiを始め、これから活躍しそうな歌手の例を挙げると枚挙に暇がないが、 しかし現在のアイスランド国内のミュージックシーンで絶大な支持を得ているのが、Ásgeir(アウスゲイル)である。アウスゲイルは2012年のデビュー作『Dyrd i daudapogn』で、国内のグラミー賞に該当するアイスランド・ミュージック・アワードの2つの主要部門を含む4部門を受賞し、国内のシーンにおける地位を確立し、今や、アイスランド国民の10人に一人が、このアウスゲイルのアルバムを所有しているともいわれ、アイスランド国内の音楽ファンでこのÁsgeirを知らない、という人を探す方が難しくなっているようだ。

 

若い時代、カート・コバーンに憧れ、グランジサウンドに目覚めた後、Ásgeirに薫陶を与えたのは、ロンドンのネオ・ソウル/エレクトロの象徴的なアーティスト、ジェイムス・ブレイクにほかならなかった。さらに、アウスゲイルのデビューした年代に活躍したBon Iverが彼の才覚を覚醒へと導いた。つまり、アウスゲイルの音楽は、ジェイムス・ブレイクのような人間味あふれるネオソウル、そして、ボン・イヴェールのエレクトロニクスとフォークの融合性にある。察するに、これらのサウンドを、アイスランドのMumに代表されるような自然味溢れるフォークトロニカサウンドと上手く合致させようというのが、このアイスランドの次世代のSSWの役割なのかもしれない。

 

デラックスバージョンを除いて通算五作目となる『Time On My Hands』は、近年の作品の中で最も内的な静けさと、このアーティストの持ち味であるソウルミュージックへの深い愛着が示された一作に位置づけられる。そしてアウスゲイルはアーティストとして深みのある表現性に到達したとも言える。

 

アウスゲイルは、今年ラフ・トレードからデビューしたCarolineを始めとする実験的なバンドの音楽を聴きながら、散歩やドライブをしているときに、アルバムの曲を思いついたという。そして、彼の頭脳の中に溢れる豊かなアイディアやイマジネーションは、このアーティストらしいソングライティングの手法、レコーディングスタジオに置かれていたMinimoog,Korg PS-3100といったヴィンテージのシンセサイザーを介して、纏められた作品として洗練されてゆく。

 

アルバム全体のアプローチは、やはり、このシンガーソングライターが信奉するBon Iverの主な音楽性であるエレクトロニクスとフォーク・ミュージックの劇的な融合性にあると思う。そして、これらのモダンミュージックの核心を突くアプリーチに洗練性を与えているのが、アウスゲイルのJames Blakeに近いソウルフルで温かみのあるボーカルなのである。アウスゲイルのボーカルは、ブレイクのように内省的であり、熱さを持ち合わせつつも冷静さを兼ね備えている。そしてこれらの曲がなぜ多くの人の心に共鳴するのかというと、それは、「人間味のあふれるソウル・レコード」というBlakeの主要な音楽性の核心を、このアーティストは継承しているからでもある。

 

このアルバムには、上記の二人のアーティストの性格を引き継いだエレクトロ・ポップのシンガロング性を上手く引き出した#2「Borderland」、先行シングルとして公開された、まったりとしたフォークとソウルを融合した#1「Time On My Hands」といった楽曲の中で、これまでのファンの期待に応え、以前より渋みのある内的な世界を探求し、新たなファンの心を捉える。このアーティストのファルセットは美しく、聴いていて心地よい。いわば一度聴いて分かる親しみやすい楽曲ではある反面、したたかな渋い歌唱力も持ち合わせているため、繰り返して聴いていても飽きさせない安定感のあるタイプの音楽になっているのだ。

 

しかし、Bon Iverのような売れ筋のアプローチの中にも、アイスランドのアーティストらしい独特な気風も込められている。独特な気風とはつまり他には見出すことの出来ないマニア性でもあるのだが、「Blue」では明らかに2000年代のMumのようなフォークトロニカのアプローチを、Minimoogの音色の面白さを駆使しながら新しいサウンドを探求しているように思える。それはポピュラー性の高い楽曲の中で異彩を放っており、このアルバム全体を俯瞰した際に、一筋縄ではいかないという感じを与え、いわば厳格で硬質な雰囲気をもたらしている。もちろん、これらのキャッチーさと聴き応えの両側面を兼ね備えたアルバムは、聞き手に一定のリズムと心地よさを与えつつら音楽の世界へ誘なうに足る求心力が込められているのにも注目である。

 

アウスゲイルの新作は、全体的に綿密な曲の構成がなされていて、始めから最後までじっくり聴き通せる。そして、アルバムの最後にも、重要な曲が収録されていて気を抜くことが出来ない。#8「Wating Room」 では、ダイナミックなソウル・バラードを展開する。このファルセットは技巧的で美しく、そして、この曲こそがこのアルバムに大きな存在感をもたらしていると言える。

 


84/100

 


Featured Track 「Waiting Room」


 

PVA 

ロンドンのエレクトロニック・トリオ、PVAが「Kim」のPVを公開しました。この曲は、今月、Ninja Tuneから発売された『Blush』の収録曲です。アルバムのレビューはこちらからお読みください。


 

©Bolado Banjo

 Mount Kimbieは、近日発売予定のダブルアルバム『MK 3.5: Die Cuts|City Planning』からさらに2曲を公開した。

 

「Satellite 9」はグループのKai Camposがプロデュースし、「DVD」はDom Makerが指揮をとり、Chokerがゲスト参加している。Duval Timothyは「DVD」でピアノを弾いており、Samphaのバッキング・ヴォーカルも収録されている。


新曲に加え、Mount Kimbieはアルバムの各面に付随する2つの作品を発表している。デビューアルバム『Crooks & Lovers』やFran Oceanの『Nikes』を手がけたクリエイターTyrone Lebonを起用し、11月4日から5日までロンドンのFrieze Galleryで上映される映像作品を制作したとのこと。また、11月4日からオンラインで視聴することが出来る。

 

City Planningでは、ニューヨーク在住の彫刻家、Tom Shannonに「Four World Set」と題した作品を依頼し、10月31日からロンドン中心部の”St Giles Square”で展示された後、世界各地を巡回しています。


『MK 3.5: Die Cuts | City Planning』は11月4日にWarpより発売されます。これまでにKučkaが参加した「F1 Racer」、「Zone 1 (24 Hours)」、「In Your Eyes」(SlowthaiとDanny Brownが参加)、「A Deities Encore」(Liv.e参加)、「Q」、「Quartz」が先行公開されています。


「Satellite 9」

 

 

 「DVD」

 

 


リバプールのエレクトロ・デュオ、Ladytron(レディトロン)は1月20日にCooking Vinylよりニューアルバム『Time's Arrow』をリリースします。

 

このたび、アルバムのファーストシングル「City of Angels」のミュージックビデオが公開されました。バンドが短編映画と呼んでいるこのビデオは、Manuel Nogueiraが脚本と監督を担当し、Bianca ComparatoとMarina Diasが出演しています。以下、ご覧ください。


NetflixのSFドラマ『3%』に出演しているコンパラートは、プレスリリースでこのように語っている。「私はレディトロンのファンで、幸運にもミュージックビデオに出演することができました...全ての経験が夢のようです」


以前のプレスリリースでは、"City of Angels "は 「官能的なイメージを、近未来の文化的記憶の崩壊のビジョンに反転させたもの」と説明されている。LadytronのDaniel Huntは、「それは忘れることについて...それがいかにもろいか...ある特定の場所や他のものについてではなく、それらの融合」と付け加えています。

 

 


Ladytron 『Time’s Arrow』

 

 

Label: Cooking Vinyl

Release: 2023年1月20日


Tracklist:

 

1. City of Angels

2. Faces

3. Misery Remember Me

4. Flight From Angkor

5. We Never Went Away

6. The Night

7. The Dreamers

8. Sargasso Sea

9. California

10. Time’s Arrow



 


 1989年から活動するポートランドのエレクトロ・デュオ/Quasi(Sam CoomesとJanet Weissのデュオ)が10年ぶりのアルバムを発表しました。

 

『Breaking the Balls of History』は、Sub Popから2023年2月10日にリリースされる予定です。ニュー・シングル「Queen of Ears」は、Patrick Stantonが監督したビデオ付きで、下記からチェックできますよ。


2013年の『Mole City』を最後に新作LPをリリースしているQuasiは、3月にSub Popとの契約を発表しています。

 

ジョン・グッドマンソンとの共同プロデュースによる本作は、2019年にスリーター・キニーを脱退して以来、ワイスにとって初の新プロジェクトとなる。


"若くてバンドにいるときは、それが自分の仕事だからレコードを作るんだ "とクームスは声明で語っている。

 

「でも今回は、その状況ならではの方法で、全体が目的を持っているように感じた」 ワイスはさらに付け加えている。「もう未来に投資することはない。未来は今だ。やりたいなら今やれ。先延ばしにしてはいけない。手遅れになりそうになって初めて気づくことばかりだ。一瞬で消えてしまうかもしれないのだから」

 


『Breaking the Balls of History』は、前作から10年後の2月10日に着地した、Quasiの10枚目のアルバムだ。この10枚は、彼らが一緒に演奏してきた30年の歴史と重なります。サム・クームズとジャネット・ワイスはパシフィック・ノースウエストのアイコンとなり、クエイジは常に不動の地位を築いてきた。彼らの永続的な友情はとても寛大で、彼らのエネルギーは無限で、それぞれのアルバムは前作よりも騒がしく、キャッチーで凶暴で面白い。しかし、私たちはQuasiが当然であると考えるのは間違っていた。しばらくの間、彼らは2013年の複雑なMole Cityが彼らの最後のレコードになるかもしれないと考えていた。彼らは素晴らしい作品に出会って、前に進むだろう。


そして2019年8月、ジャネットのもとに車が激突し、両足と鎖骨が折れた。その後、致命的なウイルスが私たち全員に衝突し、私たちが知っているようなライブ音楽、ツアー、共同体の群衆、暗いクラブの音の教会などが、いつ、どのように再び起こるのか誰も知りませんでした。ジャネットは、「もう未来に投資することはできない」と悟った。「未来は今なんだ。未来は今だ。やりたいなら今やれ。先延ばしにしてはいけない。手遅れになりそうになって初めて気づくことばかりだ。一瞬で消えてしまうかもしれないのだから。"


封鎖されたポートランドの街は静まり返り、飛行機は消え、野生動物が現れました。そして、消された日常は、思いがけない贈り物となったのです。Quasiはツアーに出ることができなかったので、彼らはあるアイデアを思いつきました。毎日午後、サムとジャネットは小さな練習スペースにこもり、この異質な新世界の困惑と不条理を歌に注ぎ込んだ。ジャネットの体力は回復し、アスリート並みのスタミナになった。「若くてバンドをやっているときは、レコードを作るのが仕事だから」とサムは言った。「でも今回は、この状況ならではの目的意識があったんだ」。彼らは、部屋で一緒に演奏するのは二人だけにしておこうと思ったんだ。そして、その瞬間をとらえるために、ライブで一緒に曲をレコーディングすることも知っていた。


そのセッションの驚くべき結果が、ワシントン州ショアラインにある伝説のロバート・ラング・スタジオでジョン・グッドマンソンがプロデュースし、5日間で録音された『Breaking the Balls of History』である。2人のアーティストが全盛期を迎え、それぞれが音楽的知識と経験の人間的ライブラリーであり、曲作りとサウンドにおいて完全に独特な存在となっているのだ。Quasi-formでは、バンドは錬金術的にそのパーツの総和よりもさらに偉大な存在となる。ジャネットの疾走するドラムとサムのパンクシンフォニックなロックシコード、そして彼らの絡み合うボーカルが、巨大でアンセミックなものを作り上げている。社会的、政治的な激震の中で、彼らは怒りと野生のユーモアと知性に満ちた、絶妙なメロディーの曲を作り上げ、大きな傷ついたドキドキする心で駆り立てているのだ。


アルバム冒頭でサムが歌う "A last long laugh at the edge of death "は、この喜びに満ちた反抗心、つまり私たちの現在の瞬間のキャッチフレーズであるかのように、これから始まる曲へのテーブルをセットしているのです。Gravity "では、Quasiの不条理への偏愛は、今や気の遠くなるようなリアリズムに傾いている。ポストファクト時代には、我々を地球に結びつけるものそのものが無意味になる(「米国製のコンクリートの靴を履けば、水の上を歩けるよ」)。死と混乱を警告するパンチの効いた詩は、至福に満ちた「Queen of Ears」のコーラスへとなだれ込む(「But I, I float above it all, wizard of idleness, mistress of killing time.」)。ジャネットの声は、"Inbetweenness "の大気中の浮遊現実の中で甘く不気味に浮遊しています。Doomscrollers "を黄金のレコードに刻み込み、理解しがたい現在の正確なタイムカプセルとして宇宙へ打ち上げる。"The Losers Win "は、このレコードを、いや、この国を締めくくる、酸っぱいヒ素のナイトキャップである。


この曲は暗く聞こえるが、その瞬間に立ち上がっているのだから、そうなのだろう。しかし、これはエネルギーと喜びと歓喜に満ちあふれたレコードでもある。「人生を肯定するような感じだ。あの場にいられたこと、あのレベルで演奏できたことが、どれだけ幸せなことか、音楽から伝わってくるよ」とジャネット。"私は存在することができる"

 


Quasi  『Breaking the Balls of History』

 


 Label: Sub Pop

 Release: 2023年2月10日


 

Tracklist:


1. Last Long Laugh

2. Back in Your Tree

3. Queen of Ears

4. Gravity

5. Shitty Is Pretty

6. Riots & Jokes

7. Breaking the Balls of History

8. Doomscrollers

9. Inbetweenness

10. Nowheresville

11. Rotten Wrock

12. The Losers Win