ラベル Folk の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Folk の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示


 


 オーストラリアのシンガーソングライター、Indigo Sparkeが、Aaron Dessner(アーロン・デスナー)プロデュースのアルバムからのタイトルトラックで最新シングルとなる「Hysteria」のPVを公開しました。この曲は、前作「Blue」と「Pressure in My Chest」に続く3rdシングルとなる。




「この曲は、愛の中にいて、ヒステリーになりそうなところを歌っているんだ」とスパークは語っている。

 

「物事にはしばしば軸となるポイントがある。物事がカオスに傾いたり、動揺したりするような場所。目印となる場所です。このような瞬間が美しく、激動的であればあるほど、そこから意味のある、安全だと感じられる場所に戻るのは難しいことがある。

 

私は長い間、そして今でも、恋愛においてバランスを保つのが難しいと感じています。たくさんの花火。たくさんのごめんなさい。たくさんの希望。たくさんの深い憧れ。たくさんの喜び。



 

「親密さの中で、たくさんの痛ましい内省。この曲はアルバム全体の誕生の場となりました。この曲とタイトルは、他の曲がこの世に存在する前に私が持っていたものです。私はまだ愛と憧れのビタースウィートな本質を解き明かそうとしているところです。本当に手放すということはどういうことなのか。本当に愛するということはどういうことか?」


この曲のビジュアルを監督したNina Gofurは、こう語っている。「インディゴの声には、独特の弱さがあります」

 

「優しくて生々しいと同時に、強さも持ち合わせています。彼女の歌詞は、銀の糸のようにあなたを包み込み、あなたが認めることを恐れていたさまざまな感情を縫い合わせてくれます。この曲を初めて聴いたとき、私はこの曲から引き出される感覚を大切にしたいと思いました。

 

つまり、自分の中で綱引きをしているように見える部分を和解させるための頌歌です。インディゴの絶え間ない動きは、彼女が逃げ出すか、自分自身に戻るかのぼやけたイメージを描きます。そして、最終的にはヒステリアをゲストとして迎え入れるという、"一時的な訪問者 "であることを表現しています。私は、ヒステリアの一時的な性質と、それがもたらす美しく複雑な感情すべてを、このビジュアルで表現したかったのです




Sparkeの2021年のデビュー作Echoに続く作品、『Hyteria』は、Sacred Bonesから10月7日にリリースされます。 

 



 


 

 

Indigo Spark 『Hysteria』 

 

 

Label: Sacred Bones 

Release: 2022年10月7日

 

Tracklist:

 

  1. blue
  2. hysteria
  3. pressure in my chest
  4. god is a woman’s name
  5. why do you lie?
  6. pluto
  7. infinity honey
  8. golden ribbons
  9. real
  10. sad is love
  11. set your fire on me
  12. hold on
  13. time gets eaten
  14. burn



 


米国のシンガー/女優のMaya Hawkeが、Mom + Popよりニューアルバム『MOSS』を今週金曜、9月23日にリリースしました。


マヤ・ホークはプレスリリースで、このアルバムについて詳しく説明しています。「このアルバムは、少なくとも私にとっては、心が震えるような、習慣を変えるような深呼吸のようなものです」

 

「このアルバムを作るのは、ある種の緊急借り物競争のような感じだった。記憶しているよりも悲しい。いろいろな気持ちを整理して、ある種のスタイルを作ろうとした。自分を知るという意味でも、心の奥底から離れない人たちを連れてきたという意味でも、「Making it」は私の人生を変えた」 

 

 





 

 

 

 

Maya Hawke  2nd Album  『MOSS』



Label:  MOM+POP

Release:  2022年9月23日

 


Tracklist

 

1.Backup Plan

2.Bloomed Into Blue

3.Hiatus

4.Sweet Tooth

5.Crazy Kid(feat.Will Graefe)

6.Lina Moth

7.South Elroy

8.Therese

9.Sticky Little Words

10.Over

11.Restless Moon

12.Driver

13. Mermaid Bar

 

 

Streaming/Download:

 

  https://mayahawke.lnk.to/MOSS


 


アイスランドで最も成功したシンガーソングライター・Ásgeir(アウスゲイル)は、記録的なデビュー(現在、10周年)から今日に至るまで、思慮深いフォークポップの領域の境界線を押し広げることに多くの時間を割いて来ている。

 

今年10月28日には、ファン待望の4thスタジオ・アルバム「Time On My Hands」を”One Little Independent Records”よりリリースする。

 

今週、Ásgeirはこのアルバムに収録されている先行シングル「Like I Am」を公開している。 


この曲では、シャッフルするジャズドラムが、その下にあるレイヤード・プロダクションを突き破る。遠く離れたギターとシンセが感情を強調し、その中で彼の純粋な声が、アイスランドの故郷のまばらで暗い道を思い起こさせる物語を紡ぎ出す。どことなく懐古的な音の響きを思わせる。

 


「Time On My Hands」は、ここ数年の多くを自宅とスタジオでの作曲、録音、翻訳、プロデュースに没頭してきたÁsgeirが、自己反省と実験性に満ちた状態で制作した作品となる。このアルバムでは、音響とエレクトロニクスやブラスを綿密に重ね合わせ、作曲の新領域に踏み込んでいる。2017年の「Afterglow」、2020年の「Bury The Moon」を筆頭とする既存作品と同様、Ásgeirは彼を有名ならしめたアコースティカの内省的でボーカルをリードするスタイルを保ちつつ、エレクトロニック・ポップミュージックやコーラスの要素を用いて演奏している。


この作品集は、アイスランドの氷河の風景をビジュアル化したものであり、Ásgeirは、映画のような明晰さにより、魅惑的なメロディーのサウンドスケープを、凍てつく地表の上から上空に舞い上がらせる。

 

このアルバムは、Ásgeirが過去2年間、屋外でランニングをしている時や、長距離ドライブ中に聴いていた音楽からインスパイアされ制作された。その時、印象に残ったアルバムや音楽は、Caribouの『Suddenly』、Caroline、Polichek-Pang、Dijon、Altopalo、Big Thief、Michael Kiwanuka、Sault、Ethan Gruska、Blake Mills、Unknown Mortal Orchestraだという。

 

 

©︎Molly Matalon


Jess Williamson(ジェス・ウィリアムソン)とWaxahatcheeのKatie Crutchfield(ケイティ・クラッチフィールド)による新プロジェクト”Plains”が、来るデビューフルレングスアルバムからのセカンドシングルを公開しました。

 

「Abilene」は、リード・トラック「Problem With It」に続くシングルとなる。Corbett JonesとNick Simoniteが監督したこの曲のミュージックビデオは、以下でチェックしてみて下さい。

 

この曲について、ケイティ・クラッチフィールドは声明で次のように語っている。「"Abilene "という曲は、私にとってアルバムのヴィジョンを確固たるものにした」

 

「ジェスがオリジナルのデモを送ってきたときの目まぐるしさは忘れられない。とてもステレオタイプなソングライターらしく、ジェスはこの曲に合うかどうか、意味があるかどうかわからないと感じていたが、私はすぐに彼女を安心させ、この曲はこの中で一番好きな曲だと言いました。彼女は、古典的なカントリー・ワルツを極めて現代的な感覚で書くという、私の見解では本当に特別なことを成し遂げた」


他方、ウィリアムソンは、「『Abilene』のビデオでは、私の親愛なる友人であるAdriene Mishlerがこの曲のナレーターを演じていますと話す。

 

「彼女が恋愛関係の最終段階でもがき、そして、自分自身を選んで離れるという難しい決断をする様子が描かれています。私たちは、皆、自分だけの「アビリーン」を持っていると思うんです。もしかしたら、以前住んでいた場所で、曲のように計画通りに物事が進まなかったということもあるかもしれません。また、失望に終わった人間関係や、厳しい現実に変わった夢、あるいは、過去に置いてきた方がいい昔の自分かもしれません。「Abilene」は、自分の価値を知り、不確かな未来に立ち向かう勇気を持ち、自分の直感を信じることについて歌った曲です」


新作アルバム『I Walked With You a Ways』は、ANTI-から10月14日にリリースされる予定です。


 


Shannen Moserは近日発売予定のLP「The Sun Still Seems to Move」からのセカンドシングル「Ben」を公開した。


フィラデルフィアを拠点とするこのアーティストは、今月初めにシングル「Paint By Number」でこのアルバムを発表しています。新曲は以下からチェックできます。


シャノン・モーゼーは「Ben」で、幼少時代からの友人の細やかな思い出を作中のストーリーに込めており、そのことについて次のように語っている。


小学3年生の時に、その後8年間バスで一緒に通学することになる友達ができた。トラクターで通学したり、牛の横断歩道がハイウェイの交通を妨げていたような田舎だった。家の周りの道路は、私が中学生になるまで舗装されていませんでした。私が卒業して引っ越すまで、黄色の道路境界線さえも描かれなかったのです。


その友人とは、バスの中で一緒に過ごすことが多かったですね。音楽を聴くためにヘッドホン分配器を共有したり、バス停で道の真ん中に棒を立ててバスの速度を落とそうとしたり、バスの床を舐めたら5ドルくれたり、まったく普通の子供のすることだと自分では思っていたのですけれど・・・。

 

通学路にポットホールがあって、バスの運転手がそれをうまく操作すると、2列後ろの席の人が飛んでしまうす。ベンはそれを "ロケットマン "と呼んでいた。彼は私が初めて人前で下品な言葉を使った人物。"クソ!"  彼はそう言い返すと、まるで銀行強盗をやってのけたような気分になった。その時、内緒で罵倒することは、中学生の私の脳が想像する最もロマンチックなことだった。 


2012年、私は引っ越しをし、卒業後、彼に会うことはなかった。彼はそのまま父親の建設会社で働き、2015年の暮れに亡くなりました。

 

この曲は2016年に書きました。元々は声とピアノだけだった。それをタイラー・バッシー(Thank you Thank youのメンバー)に持っていって、一緒に少しアレンジし直したんです。この曲はアルバムの中で一番好きな曲で、ライブでみんなに向けて演奏するのが本当に好きなんです。

 


『The Sun Still Seems to Move』は9月30日にLame-O Recordsよりリリース予定です。

 


カナダのシンガーソングライター、Dylan MacDonald(ディラン・マクドナルド)のプロジェクト、Field Guideがセルフタイトルのセカンドアルバムの制作を発表し、新曲「Leave You Lonely」のビデオも公開されました。『Field Guide』は、”Birthday Cake Records”から10/28にリリースされます。「Leave You Lonely」のミュージックビデオは下記よりご覧ください。


Dylan MacDonaldはプレスリリースで、この新曲は「献身について」のものだと説明しています。

 

「それは自己満足と戦うこと。疑念を抱くことは人間らしいことですが、その感情を飲み込むと、しばしば断絶の靄の中に入ってしまうことがあります。一度にひとつの感情しか抱かないことは稀で、私は生きていること、恋をしていることに伴う無数の感情を受け入れることを学んできました。この曲は美しく不完全な愛を表現しており、レコーディングも同様で、編集はせず、ワンテイクで(時には調子を崩しながら)歌っています」


「メロディーは、私の口から言葉をこぼれさせるもので、それは心を奪うものです」と彼は付け加えました。

 

「自分の内面を表すようなメロディを見つけたとき、私は警戒心を解く。判断することなく、何もないところから言葉が現れるようにするんだ。これらの曲の多くは、そのようにして生まれたものです。何かを作ろうとしたわけではないんだけど、まだページに書く準備ができていない言葉の住処になった」


ディラン・マクドナルドは、記録的な寒さのカナダの冬の間に、ライディング・マウンテン国立公園近くの薪ストーブのあるキャビンでクリス・ウルリッヒと共に『Field Guide』をレコーディングした。

 

「そこでレコーディングすることは刺激的で、あの厳しい環境には何か意味があるように感じた」とマクドナルドは回想する。

 

「クリスと僕は一日中、そして、夜遅くまでレコーディングをして、夕食を作りながら、M・ウォードの『Migration Stories』を繰り返し流し、ウィスキーを飲み、タバコを吸っていたよ」


フィールド・ガイドのこれまでの最新アルバムは2019年の『メイク・ピース・ウィズ・ザット』である。




Field Guide  『Field Guide』

 



 Tracklist:


1. Leave You Lonely

2. Remember When

3. You Could Be Free

4. In Love Now

5. For Sure

6. Cracked Open

7. Worst Of Ways

8. Wishing Well

9. Goddess

10. You Carry Me

11. Looking Back

12. Tupperware (Reimagined)

 

Photo: Layla Ku


ボルチモアのアーティストJulien Changが、11月上旬発売予定の2ndアルバム『The Sale』から新曲「Time & Place」を公開しました。

 

先月リリースされたリード・シングル「Marmalade」に続く新曲です。ブルックリンのPurgatoryで撮影されたライブ・パフォーマンス映像と共に、下記からチェックしてみてください。


「"Time and Place "では、物事がスローダウンしています」とチャンは声明で説明しています。「タイトルにある最も基本的な経験の分類は、アコースティックギターのコードの影響力のあるシンプルさにマッチしています。時間と場所 "が経験の中心であるように、アコースティックギターの簡単な正直さがこの曲の美しさの中心なのです。愛する人があなたの場所から静かに去っていく、悲しくも美しい曲です。”Time and Place”は、Davey Copelandによるオリジナルのストリングスアレンジが施されています」

 

 

 

 

 

 







『The Sale』は11月4日にTransgressive Recordsからリリースされる予定です。

 

 

Julien Chang 『The Sale』

 

 


 Tracklist:


1 Heart Holiday
2 Marmalade
3 Sweet Obsolete
4 Snakebit Side
5 Snakebit
6 Time & Place
7 Bellarose
8 Ethical Exceptions
9 Crossed Paths
10 Queen Of Sheba
11 Competition’s Friend




 Cass McCombsが、ニュー・アルバム『Heartmind』をANTI-から本日リリースしました。McCombsは、アルバムからのニュー・シングル、"New Earth "のビデオも公開しています。このビデオは、Daniel Bermudezが手描きでアニメーションを制作したものです。ビデオの視聴とアルバムのストリーミングは以下からどうぞ。 

 



プレスリリースでMcCombsは次のように述べています。"「New Earth」は、野生動物がテクノロジーを押しつぶすような新しい夜明けを歓迎する、ボサノバ調の軽快な曲と言えると思う。ミュージシャンのJoe Russo、Jon Shaw、Frank LoCrasto、The Chapin Sisters、そしてプロデューサーのBuddy Rossに、この想像上の出来事/場所/感情を生み出す手助けをしてもらった恩がある。" と述べている。


McCombsは以前、アルバム・シングル "Belong to Heaven" と "Karaoke" を公開している。ニューアルバムの発表と同時に、彼は "Unproud Warrior "というトラックをシェアしています。前作『Tip of the Sphere』は、2019年にANTI-からリリースされた。2020年には、2011年の楽曲 "Don't Vote" をアップデートした楽曲 "Don't (Just) Vote" をシェアしている。

 


ファースト・エイド・キットがニューアルバムを発表しました。スウェーデンのフォーク・デュオ、First Aid Kitの5枚目のアルバム『Palomino』は、11月4日にColumbia Recordsよりリリースされ、ファーストシングル「Out of My Head」は現在発売中です。


First Aid KitのKlaraとJohanna Söderberg姉妹は、Daniel Bengtsonと共に母国スウェーデンでPalominoをレコーディングしました。6月にリリースされたシングル "Angel "では、アンセム的なハーモニーとアコースティックギターが印象的な、11曲入りのアルバムとなっています。アルバムは、ブラック、トランスルーセントグリーン、ホワイトのレコードと、CDで発売される。


First Aid Kitは、新曲「Out of My Head」でも同様にアンセム調の曲を書いていますが、アコースティックギターの代わりに賑やかなシンセサイザーとドラムを使用し、このシングルにドライブ感を寄与しています。Jason Lesterが監督したこの曲のミュージック・ビデオでは、この姉妹が最高のパーティー・ドレスで屋敷を歩き回り、ビーチを情緒的に歩るという興味深い内容となっています。 

 


また、First Aid Kitの5作目のアルバム『Palomino』のアートワークとトラックリストは以下の通りです。

 

 


First Aid Kit  『Palomio』

 





Tracklist:



01. Out of My Head
02. Angel
03. Ready to Run
04. Turning Onto You
05. Fallen Snow
06. Wild Horses II
07. The Last One
08. Nobody Knows
09. A Feeling That Never Came
10. 29 Palms Highway
11. Palomino

Plains Credit: Molly Matalon

Waxahatchee(ワクサハッチー) の Katie Crutchfield(ケイティ・クラッチフィールド)とJess Williamson(ジェス・ウィリアムソン) による新たなプロジェクトPlainsは9月30日にファースト・アルバム『I Walked with You a Ways』をANTI-Recordからリリースすると発表しました。アルバム発表告知に併せて、Plainsは先行シングル「Problem With It」をリリースした。


「この新しいプロジェクトとアルバムを発表できて感激しています。何年も前に出会って以来、ジェスのソングライティングには縁を感じ、親近感を持っていました」とケイティ・クラッチフィールドは声明で述べています。

 

私たち二人が育った音楽の影響に寄り添いながら、私にとってとても現代的で新鮮に感じられるものを作ることができたのは素晴らしい経験で、ついにそれを共有することができてとても嬉しい。

 

「ケイティとこのレコードを作ることは、ソングライターとしての私にとって深く広がる経験だった」とジェス・ウィリアムソンは語り、こう続けた。

 

私は彼女の耳と感性を本当に信頼しているし、彼女は私が過去に尻込みしていた曲作りの側面を探求するよう促してくれました。ケイティのサポートは、このアルバムを書く上でとても重要でした。私たちは、自分たちを育ててくれた音楽に寄り添い、私たち二人が一緒に歌って育ったような、時代を超えたクラシックな曲を書く許可を得たのです。私にとっては、ザ・チックスやドリー・パートンがそうで、そのような影響を受けられる場所を持てたことは、本当に素晴らしいことでした。『Plains』で私が望んでいたのは、何か普遍的なものを取り入れることでした。私たちが作ったアルバムはとても気に入っていますし、ライブで演奏するのがとても楽しみです。

 

ワクサハッチーの最新アルバムは2020年の『Saint Cloud』、ウィリアムの最新作『Sorceress』も同年に発売されている。「Problem With It」の試聴とPlainsのアルバムについては下記にて。

 




Plains 『I Walked with You a Ways』

 


Label: ANTI- Records

Release: 2022年10月14日


Tracklist:


1.Summer Sun
2.Problem With It
3.Line of Sight
4.Abilene
5.Hurricane
6.Bellafatima
7.Last 2 On Earth
8.Easy – 2:35
9.No Record of Wrongs
10.I Walked With You A Ways

 

Official-Order:


Surfjan Stevens


米国内で根強い人気を誇るインディーフォーク歌手、Surfjan Stevens(スフィアン・スティーヴンス)は、神話を元に独特な世界観を紡ぎ出し、博愛的な考えを持った特筆すべきミュージシャンです。昨年のAngelo De Augustineとの共作『A Begineers Of Mind』は、ニューヨークの山小屋で制作され、ホラー映画やヴィム・ヴェンダースの映画、東洋の禅の思想、他にもブラインアン・イーノの作曲技法『オブリーク・ストラテジーズ』に触発されて制作が行われました。

 

2015年に発表しされた愛らしくも切ない感覚に彩られたアルバム『Carrie & Lowell』で、スフィアん・スティーヴンスは「Fourth Of July」という一曲を録音した。スティーヴンスは、この曲を、癌で病院で死期を迎えていた母親と自分との対話として組み上げた。スティーヴンスは、曲の最後に "we're all gonna die(我々はみな、死にゆく定めである) "という哲学的なな意味を持つ楽節を幾度も反復することにより、暗い感情を癒やしの感情として昇華しようとしている。

 

昨日、サフィアン・スティーヴンスはこの2015年に収録されていた「Fourth Of July」の未公開バージョンを発表した。スティーヴンスが所属するレーベル”Asthmatic Kitty”のウェブサイトには、スティーブンスが昨日、この曲の新バージョンをリリースした理由が書かれている。

 

この曲は最近リスナーの間で人気が復活していますが、これは、国民の深い悲しみと喪失感を物語っているのかもしれません。7月4日は、アメリカの戦争と死に象徴される祝日であり、死に直面しながらも充実して生きるとはどういうことか、みなさんも一緒に考えて見て下さい。

 

スフィアン・スティーブンスは、『キャリー&ローウェル』の制作中、さまざまなスタジオで「Fourth Of July」の異なるバージョンを録音し、それぞれ微妙に異なる曲のヴィジョンを表現している。スティーブンスはウィスコンシン州にあるジャスティン・ヴァーノン(Bon Iver)のアルファ・ベース・スタジオで "Fourth Of July "の1バージョンを録音しており、メインボー活に加え、アルバムテイクには登場しない幽玄な雰囲気を擁するバックヴォーカルが収録される。さらに、今回新しく公開となったもう一つのバージョンは、ニューヨーク/ブルックリンのダンボ地区にあるスティーブンスの古いスタジオで録音されたもの、フィンガーピッキングされたアコースティックギター、数少ないピアノの音、彼のヴォーカルトラックが追加されている。

 

 

Sufjan Stevens - Fourth of July (April Base Version)
 
 

 

 

 

Sufjan Stevens - Fourth of July (Dumbo Version)
 
 



 

kendall bailey atwater

6月初め、Mountain Manのバンドメイトである、Amelia Meath(Sylvan Esso)とAlexandra Sauser-Monnig(Daughter Of Swords)は、新しい共同プロジェクト「The A's」を発表しました。

 

新プロジェクト、THe A'sは、子守唄、伝統的なバラード、フォークスタンダード曲などを再構築し、オリジナル曲 "When I Die" を1曲収録したデビュー・アルバム『Fruit』を、7月15日にリリースすると発表した。

 

A面の「He Needs Me」(1980年の『ポパイ』で、ハリー・ニルソンとシェリー・デュバルが担当)とB面 「Why I'm Grieving」(デズリク・シスターズが担当)が発表済みです。今回、デュオは、三作目の先行シングル「Wedding Dress」を公開。「Wedding Dress 」は、アパラチアにルーツを持つフォークソングのカバーであり、2014年まで存命であったアメリカのフォーク歌手、ペギー・シーガーが歌っている(「The Wedding Dress Song」はFolkways Years, 1955-1992: Songs Of Love And Politicsに収録)。暑い夏に清涼感をもたらすシングルです。

 

 

 

 

The A's 「Fruit」

 

Tracklist

 

1.He Needs Me 

2.Swinging and Turn Jubilee

3.Wedding Dress

4. Why I'm Grieving

5. When  The Boom Is On the Stage

6. My Poncho Pony

7. Go to Sleep My Darling Baby

8. Chopper Kettle

9. When I Die

10. Buckeye Jim

 

 

Angel Olsen Angela Ricciardiー


数週間前、Angel Olsenはアルバム『Big Time』をリリースしました。新作は、Olsenがこれまであまり探求してこなかったクラシックなカントリーミュージックの領域に立ち返り、非常にハードなサウンドを作り上げています。このアルバムのリリースに伴い、Olsenは、彼女のインスピレーションの源の一つである曲の新しいカバーを発表した。Lucinda Williamsの1998年の名盤『Car Wheels On A Gravel Road』のハイライトである "Greenville "をカバーしている。

 

Angel Olsenは、他人の曲をたくさんカバーしており、先月はAppleの番組Shining GirlsでBob Dylanの「One Too Many Mornings」をカバーしたばかり。しかし、この "Greenville "のカバーは、そのほとんどが素晴らしいサウンドのため、出色の出来である。オルセンのバージョンは、ウィリアムズの原曲よりも少しフォーク調になっている。King Tuffとして知られるKyle Thomasがこのカバーのエンジニアリングを担当し、Hand HabitsのMeg Duffyがバックで歌っている。

 

プレスリリースを通じて、Angel Olsenは以下のように語っている。

 

Big Timeを書く前に、ルシンダの作品群に新たな執着と愛情を感じました。彼女のような人はこの世にいないのです。彼女の歌はとてもリアルなところから生まれているのが明らかで、私が好きなのはそういう歌だけです。

今月初め、ロサンゼルスでキング・タフのカイル・トーマスと「Greenville」のバージョンをレコーディングしました。 

私たちは以前から知り合いでしたが、一緒に音楽を録音したことはありませんでした。カイルはこれをとても楽しくレコーディングしてくれたし、ふざけて楽しい時間を過ごした。 

この曲ではメグ・ダフィーも一緒に歌っている。メグは何年か前に初めてこの曲を見せてくれて、私にルシンダの音楽を紹介してくれた最初の人です。一緒にトラックに参加してもらえたのはとても有意義でした。


 

Dawes


LAを拠点に活動するフォークロックバンド、Dawes(ドーズ)は、通算8作目となるスタジオ・アルバム『Misadventures of Doomscroller』のリリースを明後日に控えています。いよいよ7月22日の発売を前にして、バンドは、先週、ニューシングル 「Everything Is Permanent」を公開、新たなプレビューを行いました。是非、アルバム発売前にチェックしてみて下さい。


9分近くにおよぶ壮大なスケールを持つ "Everything Is Permanent "は、Dawesが限界を超えるための十分な空間を与えてくれます。この曲は、フォークロック調の淡々とした曲ですが、中間部ではドラマチックなジャズ調になり、ボーカルが壮大なギターソロに切り替わっていきます。しかし、このモードに馴染んできたところで、ドーズは、曲のタイトルに背き、再び状況を一変させる。


プレスリリースで、シンガー/ギタリストのテイラー・ゴールドスミスは、アルバムのラストプレビュートラックについて以下のように述べています。

 

「”Everything Is Permanent”は、私たちに関するもの、私たちの周りのものすべてが何らかの形で記録されているという事実を指している。この曲は、物事が変化しても、良くも悪くも、掴み取るべき過去の証拠が常にある」


この曲のブレイクダウンについて、ゴールドスミスは、次のように続けます。「血と内臓を見せた後、曲を再び、優しく縫い合わせ、ソーシャルメディアと、私たちが最近、程度の差こそあれ購読しているようなスクリーンライフ・カルチャーのキャッチフレーズとなり得る歌詞で締めくくられる」


「あなたは本当に泣く必要があったのですか?  あるいは泣いているところを見られる必要があったのか?」

 

 

 

 


”Everything Is Permanent”は、先行リリースされたシングル "Someone Else's Café / Doomscroller Tries to Relax "に続く作品となります。Dawesは、2022年後半に、The Head and the Heartとのツアーで、ニューアルバム『Misadventures of Doomscroller』の曲をファンの前で披露する予定です。

 Rachel Sarmanni 「Every Swimming Pool Runs To The Sea」EP

 

 

 

 Label: Jellygirl Records

 Release: 2022 6/16





スコットランドのフォークシンガー、レイチェル・サーマンニの新作EP「Every Swimming Pool Runs To The Sea」は、穏やかで心地良いコンテンポラリーフォークの良盤に挙げられます。

 

レイチェル・サーマンニは、元々、2012年に、デビュー当時は、The Herald、スコットランドの新聞で新星フォークシンガーとして特集を組まれている。デビュー作は、スコットランド国内で12位を記録した。その後、ラフ・トレードからリリースを行っていますが、それほど大きな世界的なヒット作には恵まれていません。しかし、このシンガーソングライターの今作で提示する音楽は、感じが良いもので、このシンガーの性格を作品として反映しているように感じられます。レイチェル・サルマーニのフォーク音楽は、口当たりが良いだけではなく、男性的なボブ・ディランとは相反する女性的な渋さにあふれている。それは歩んできた人生をそのまま反映しているともいえ、この新作EPにおいて、サルマーニは幼年時代の記憶から引き出される純粋なロマンスを、コンテンポラリーフォークとして綿密に組み上げようとしている。

 

意外に、スコットランドのフォークというよりかは、アメリカのフォークに近い性格も持ち合わせていて、例えば、Adrian Lenkerのソロ作品がお好きな方であれば、本作はうってつけの音楽となるはずで、2019年にリリースされたアルバム「So It Turns」に比べると、物語性はいくらか薄められてはいるものの、終始、穏やかで、温和で、平らかなフォークミュージックが一貫して提示されている。「Every Swimming Pool Runs To The Sea」で繰り広げられるコンテンポラリーフォークは、1970年代の音楽の良い側面を現代に引き継ぎ、フィドルをはじめとする楽器こそ導入されてはいませんが、セルティックからの伝統性もフレーズの節々に滲み出ています。さらに、二曲目の「Soak Me」では、ミニアルバムの中で最もドラマティックさがあり、突如として、ディストーションギターが、叙情性あふれるアルペジオを縫うようにして導入される。


レイチェル・サーマンニは、今回のささやかなフォークギターの曲集において、オープニングを飾る「Aquarium Kisses」に象徴されるように、幼い時代の水族館でのロマンチックな思い出ーー水槽越しの魚とのキスーーを、このささやかなミニアルバムの中にそっと込めています。当時のサーマンニにとって、その出来事はすごくスリリングだったはずで、その純粋な子供の頃の感動をフォークミュージックを通じて呼び覚まそうとしています。それは、聞き手に、同じような癒やしの効果を与え、さらに、子供時代の記憶を心地良く呼び覚ましてくれるはずです。

 

今作のフォーク音楽を彩るレイチェル・サーマンニのアコースティックギターの繊細で慎ましやかなアルペジオは、ストーリングテリングするかのようでもあり、その演奏は、澄明さにあふれています。さらに、メロディーとリズムのバランスを絶妙に保っているサーマンニのギターの演奏は、温和で包み込むような雰囲気のあるボーカルと相まって、スコットランドの牧歌的な風景を思い起こさせる。日曜の午後を、優雅で、心楽しいひとときに変えてくれるような素敵な作品です。



  

 

Nick Offerman& Jeff Tweedy

photo by Philip Cosores


アメリカのハリウッド俳優、ニック・オファーマンが、ウィルコのジェフ・トゥイーディの助けを借りて書いた新曲「T.G.I.F.」をリリースした。


パークス・アンド・レクリエーションの俳優である彼は、自身のサブスタック・ニュースレター「Donkey Thoughts」の中で、この曲を紹介した。


「私は、ウィルコのソリッド・サウンド・フェスティバルで、私の大切な友人ジェフ・トゥイーディーと書いた曲を演奏しているところだ。コレまでのキャリアにおいて、"TGIF "と言いたくなるような仕事も確かにあったが、結局は自分が楽しんでいることを何らかの形でやってお金をもらえるような人生の選択に憧れるようになり、いつか "Thank God It's Monday "と言う夢を達成できるかもしれないのだ」


パフォーマンスでは、オファーマンがアコースティックギターを弾きながら、"Billy Bob BIll was a worker bee/ He punched the clock and he carried his load/ Haulin' dust from all the flowers in the trees/ Hoverin' up and peein' on the criters below "と口ずさんでいる。Nick Offermanの「T.G.I.F.」は、彼のニュースレターでこちらからストリーミングできます。


ハリウッドスター、ニック・オファーマンとジェフ・ツイーディとの温かな友情が始まったのは、何年も前にさかのぼる。実際、2019年に、彼は、ウィルコに対する長年の感謝の気持ちを打ち明けている。ニック・オファーマンは、最近、Huluシリーズの『Pam and Tommy』に出演し、今後、リブートされる『A League of Their Own』では、奇妙なマネージャーの役柄を演じる予定だ。


一方、Wilcoは、12枚目のスタジオアルバム『Cruel Country』という2枚組のLPをリリースしたばかり。

 

6月11日に、ノルウェーのオスロで開催されるLoaded Festivalを皮切りに、2022年のヨーロッパツアーを控えています。さらに、Jeff TweedyとWilcoのバンドメイト、Nels Clineは、The Grateful DeadのPhil Leshと、「PHILCO」という新しいスーパーグループを結成した。彼らは、8月26日に、Sacred Rose Festivalで演奏する予定です。こちらも楽しみにしたいところです。

joan Shelly photo:Mickey Winters
 

米国・ケンタッキー出身のフォークミュージシャン、ジョーン・シェリーは、数週間後にニューアルバム「The Spur」のリリースを控えています。新作アルバム「The Spur」は、ジェイムズ・エルキントンがプロデュースし、メグ・ベアードや小説家マックス・ポーターといった人々が参加している。Joan Shelleyは3枚目の先行シングルとなるタイトルトラックを先日発表しました。


この曲「The Spur」は、彼女のパートナーであり、これまで頻繁にコラボレーションを行っているアコースティックギタリスト、Nathan Salsburgの協力のもと、家庭生活の喜びを讃える牧歌的な雰囲気を擁する曲となっています。Salsburgのシンプルでメロディックなギターと、Shelleyの表情豊かで自信に満ちた麗しい歌声が見事に調和し、穏やかで寛いだ雰囲気が漂っています。 

 


 

 

 

Joan Shelly 「The Spur」



Label: No Quarter


Release Date: 2022年6月24日


Tracklist

 

1.Forever Blues

2.The Spur

3.Home

4.Amberlit Morning

5.Like The Thunder

6.When The Light is Dying

7.Breath For The Boy

8.Fawn

9.Why Not Live Here

10.Boit

11.Between Rock &Sky

12.Completely

 

 

 Wilco 「Clue Country」

 


Label: Bpm Records/BMI

 

Release:05,27.2022



シカゴのインディーロックバンド、Wilcoの5月27日にリリース済みである二枚組のスタジオ・アルバムは、フロントーパーソンの、ジェフ・トゥイーディーによって書かれた21曲収録の作品です。

 

バンドは、パンデミックの最中にこのアルバム制作に着手し、ゆっくりと作品が完成へと導かれました。録音は、彼らの地元であるシカゴの「The Loft」にて、ライブセッションのような形で行われています。

 

元々は、シカゴのマリンタワーのアートワークで知られる2002年の名作アルバム「Yankee Hotel Foxtrot」に代表されるオルタナ・カントリーともいえる作風で一世を風靡したバンドではありますが、どことなく2000年代のコンピュータープログラミングの要素をそれらの伝統的な音楽の中に取り入れたアヴァンギャルド性も垣間見えるバンドです。当時、フロントマンのジェフトゥイーディーは「カントリーバンド」とみなされることに懐疑的ではありましたが、時を経て、彼は今ではそのことをいくらか感謝しているというように語っています。


ウィルコの最新作については、ジェフ・トゥイーディーの言葉にあらわれている通り、コンテンポラリーなカントリー/フォークというより、さらに、それよりも古い時代の音楽に接近しようと試みており、それらがアルバム全体に独特なこのバンドらしい渋さ、叙情性、さらにそれにくわえ、センチメンタリズムが込められています。ジェフ・トゥイーディーは、年月を経て、世の中の出来事について深い理解をし、それを歌、バンドとしてのレコーディングにおいて「メモのように書き留めておきたかった」というように話しています。彼が気がついたこと、それらはときにエモコアに近い叙情性を滲ませた温和なカントリー/フォークという形で表現されています。


アルバムは、全体的に、現代のミュージック・シーンから一定の距離を置き、自分たちが求める音楽を徹底的に追求しているように見受けられます。それがウィルコにとってはカントリーという形であって、それをストイックに追い求めることで、このアルバムに強い芯のようなものが通っている。

 

古典的なフォーク/カントリー性を突き出した#10「Tired of Taking It Out On You」#15「Hearts Hard To Find」といった楽曲も、ジョージ・ハリスンの晩年の名曲を思わせるものがあり、爽やかな雰囲気が込められています。その他にも、ウィルコらしい実験的手法を交えた「Many Words」では、「Yankee Hotel Foxtrot」のクライマックス「Reservation」を彷彿とさせる美麗さが味わえます。本作は、円熟期を迎えたロックバンドの音を介しての歴史の探求と称すべきロマンチシズムにあふれており、もちろん、2000年代初頭の名作「Yankee Hotel Foxtrot」のような劇的さこそ感じられませんが、表向きの静かな印象と異なり、かなりワイルドさが込められた作品です。

 

78/100

 

 

 

 

・Apple Music


 

Album of the year 2021 

 

 

ーIndie Folkー

 

 


 

・Lord Huron

 

 「Long Lost」Republic

 

 Lord Huron 「Long Lost」 


 

 

元来、コンテンポラリーフォークの魅力というのは、もしかしたら、音楽性における時間性の欠如、音楽を介して現代という時間を忘れさせてくれることなのかもしれない。もし、仮にそうだとしたら、ニール・ヤングの2021年の新作「Barn」の他に、今年のフォーク音楽として出色の出来栄えの作品を挙げるなら、Lord Huronの作品「Long Lost」がふさわしいと言えるだろう。


ロード・ヒューロンの中心人物、ベン・シュナイダーは、ミシガン州出身のマルチインストゥルメンタルミュージシャンで、ヴィジュアルアートの領域でも活躍する人物である。


彼は故郷のミシガンからLAに旅行した際に、ヒューロン湖で音楽上のインスピレーションを得て、最初のレコード「Lord Huron」の制作に取り掛かった。その後、幼馴染を中心にバンドを結成、現在はLAを拠点として四人組で活動している。

 

今作「Long Lost」の魅力は、ベン・シュナイダーのフォーク音楽の伝統性、そして、アメリカの伝統的な音楽、アメリカーナに対する敬意に尽きるだろう。

 

それは、このレコードにおいて多種多様な形で展開される。時に、戦後間もない頃のUSAのテレビ番組のオマージュであったり、はるか昔の西部劇のサントラ、マカロニウエスタンやノワールといった映画の持つロマンチシズム、そして、第二次世界大戦後まもない頃、フォーク音楽家として国内で大人気を博した、レッド・フォーリーへの憧憬にも似たエモーションがこの作品には漂っている。


ロード・ヒューロンの描き出すフォーク音楽は、アメリカの独特なノスタルジアに彩られている。そして、表題にもあるとおり、現代と過去の間に時間性を失いながら音楽が続く。それは、この作品中のコラボレーション楽曲「I Lied(with Allison Ponthier)」にて最高潮に達する。

 

しかし、この作品で表現される主題は、果たして、アメリカの人々にだけ通用するものなのだろうか。いや、多分、そうではないように思われる。


この独特な第二次大戦直後の時代を覆っていた雰囲気、一種のロマンチシズムにも喩えられる感慨は、実は、アメリカだけでなく、世界全体に満ち広がっていたのかもしれない。いうなれば、絶望の後のまだ見ぬ明るい希望の満ち溢れた未来に対する希望でもあるのだ。それは現代の我々からの目からみても、一種の陶酔感、ロマンスを覚えるのかもしれない。そして、それは、現代のパンデミック時代にこそふさわしい、多くの人に明るい希望を与える音楽でもあるのだ。


 

  

 


 

 

 

 

・Surfjan Stevens Angelo&De Augustine 

 

「Beginner’s Mind」 Athmatic Kitty

 


Surfjan Stevens Angelo&De Augustine 「Beginner’s Mind」  


A BEGINNER'S MIND 

 


スフィアン・スティーヴンス、アンジェロ・デ・オーガスティンは、双方ともアメリカ国内では根強い人気を誇るフォークアーティストである。特に前者のスフィアン・スティーヴンスは、コンテンポラリーフォークに神話性や物語性を加味した幻想的なフォーク音楽で多くの人を魅了している。


そして、アメリカの人気フォークアーティストの二人が共同制作した「Beginner's Mind」はニューヨーク北部の友人の山小屋に共同生活を営み、生み出されたヘンリー・D・ソローの「ウォールデン森の生活」の現代版といえるレコードである。


もちろん、アルバムアートワークのガーナのモバイルシネマを象徴するデザインも、味わい深い雰囲気がかもしだされているが、実際の音楽については、痛快ともいえるほどのストレートなフォーク音楽が今作では堪能できるはずだ。


それは、二人が山小屋の中で毎晩のように、「羊たちの沈黙」をはじめとするホラー映画、そしてヴィム・ヴェンダースの「欲望の翼」といった名画を見ながら音楽的なインスピレーションを得た、というエピソードにも見受けられるように、ユニークな質感、そして、スフィアン・スティーヴンスの持つ物語性、幻想性、神話性というのが、この作品の中で遺憾なく発揮されている。

 

また、このニューヨーク北部の山小屋での作品制作中、彼ら二人が、易経をはじめとする禅の思想に触発されたことや、ブライアン・イーノの「Oblique Strategies」(メッセージを書いたカードを介して偶然性を交えて物事を決定に導く実験的手法)が作曲中に取り入れられている。もちろん、言うまでもなく、難しい話を抜きにしたとしても、遊び心満載の魅力的な楽曲が数多く収録されている作品。「Beginner's Mind」は、2021年のフォーク音楽の象徴的なレコードの一つに挙げられる。

 

 

 

 

 


 

 

 

・Shannon Lay 

 

「Geist」 Sub Pop

 

Shannon Lay 「Geist」 


GEIST  

 

 

シャノン・レイは、ここ数年、フォーク音楽をどういった形で自分なりのスタイルにするのか絶えず模索し続けてきたアーティストである。


元々、パンク・ロックバンド、Feelsのギタリストとして活動していたシャノン・レイは、ソロ活動の最初期、そのパンクロックの色合いを残したコンテンポラリー・フォークを主な特徴としていた。しかし、Sub Popと契約を結んで発表された前作「August」から、強いフォーク性を押しだすようになった。


例えば、それは、アコースティックギターの演奏の面でいうなら、フィンガーピッキングの弛まざる追究、自分らしい奏法を探求した結果が、演奏面、作品制作に良い影響を与え、以前に比べると、演奏面で、音楽性に幅広いニュアンス、特に、淡い叙情性が引き出されるようになっている。そして、目下のところ、シャノン・レイの作品の主題がどこに置かれているのかについては、自分自身のアイルランド系アメリカ人としての移民のルーツを、「フォーク音楽」というギターの表現を介して、ひたすら真摯に、探求しつづけることにほかならないのかもしれない。

 

おそらく、彼女自身が探し求める、はるか遠くの精神的な故郷、そして、その土地の風合いを表す音楽、アイルランドフォークロアに対する接近、それは、前作に続いてSub Popからリリースされた「Geistー概念」の背後を通して、展開される重要な主題に近いものである。もちろんこの作品は、最初のソングライティングの骨格をシャノン・レイ自身が生み出し、その後、シャロン・ヴァン・エッテンをはじめ、多くのアメリカのミュージシャンが携わることにより、完成した作品であるので、個人的な音楽というよりかは、複数のミュージシャンによる作品でもある。

 

しかし、それでも、この作品に、シャノン・レイらしい概念性が失われたわけではない。それどころか、以前の作品よりも強いアイルランド音楽の色合いが出たシャノン・レイというミュージシャンにとって、一つの到達点、もしくは、記念碑的なレコードといえるかもしれない。


以前まではたしかに、シャノン・レイにとって、アイルランドのフォークロアは憧憬の対象であったかもしれないが、それを、今回の作品において、シャノン・レイは過去に埋もれかけた時の中からその原石ともいうべきものを見出し、それを自分の元に手繰り寄せることに成功し、シャノン・レイ自身のフォーク音楽として完成させていることが、このレコードが魅力的にしている。もちろん、こういった深みのある音楽は、短期間で生み出されるものではない、そう、一夜の生半可の知識や技術、浅薄な楽曲の理解により、生み出されるものではないのだ。

 

つまり、このレコード「Geist」が今年リリースされた作品中で、なぜ、コンテンポラリーフォークとして傑出し、華やいだ印象を聞き手に与えるのだろうか。その理由は、近年、シャノン・レイ自身が、フォーク音楽に、誰よりも長く、真剣に向き合ったがゆえに生み出されたレコードだからである。一見、聴いて楽しむためのように思えるフォーク音楽というのは、実は徹底的に突き詰めると、概念的な表現に変容すると明示した意義深い作品である。


 

 





Naima Bock



ナイマ・ボックは現在、サウスロンドンを拠点に活動するシンガーソングライター。幼少期をブラジルのサンパウロで過ごし、ギリシャ語、英語を話すバイリンガルの母親を持ち、そしてブラジル人の父親の元で過ごした。

 

ナイマ・ボックは、幼い頃から、様々な人種の入り混じったサンパウロの様々な音楽に触れています。ナイマ・ボックの家庭では、またビーチに車でドライブに向かう際には、バーデン・パウエル、シコブアルキ、ジェラルド・ヴァンドル、カルトーラといったブラジル人アーティストの音楽が流れていた。その独特なブラジル人の音楽を日常的に触れたことが、ナイマ・ボックの他のヨーロッパのアーティストはことなる音楽上の素養を育んだ。

 

七歳には家族揃ってサンパウロからサウスロンドンに移住した。十代の頃には既に、ナイマ・ボックは早い音楽家としてのキャリアを歩み出し、 Windmil Brixtonのショーに出演するようになる。

 

また若い時代の音楽家の常として、十五歳の頃には、友人とバンドを組み、音楽活動に励んでいる。その形が最終的には、Goat Gailというバンドの音楽性で最初に実を結んでいる。このバンド活動において、ナイマ・ボックは六年もの間、ギリシャをはじめとする国々のツアーをまわり、さらにここで多種多様な文化観と音楽性に磨きをかけた。それはソロ活動に引き継がれた要素である。

 

2021年の11月には、シアトルの名門Sub Popと契約を果たし、デビュー作を12月にリリースした。ブラジルのボサノバ、フォーク、その他ロックのテイストを交えた独特な音楽性として注目が集まっている。

 

 

 

「30 Degrees」 Sub Pop   2021

 

 

Naima Bock 「30 Degrees」  

 


 

 

Tracklisting

 

1.30 Degrees

2.Berimbau

 

 

Featured Track 「Berimbou」Official Audio Listen on youtube: 

 

 

 

 

この12月7日にリリースされたばかりのシングル作「30 Degrees」は、既にリリース情報として記事に書いていますが、再び、今週の一枚として是非とも取り上げておきたいシングル。今週リリースされた中で飛び抜けて傑出した作品です。(追記・以前の記事におきまして、リリースが決定!!とするべきところを、既にリリースされたかのように書いてしまったことをお詫び申し上げます。)

 

特に、ナイマ・ボックのイギリスのミュージックシーンへの登場は、またサブ・ポップというアメリカのインディーシーンへの影響力も加味してみると、現在、画一的になりつつあるヨーロッパやアメリカのインディー・ミュージックに新しい息吹をもたらす可能性もありそうです。ボサノヴァ、そのほか民族音楽を交えたフォーク音楽として、今週のリリース作品の中でも随一の出来といえるでしょう。

 

このシングル「30 Degrees」に収録され二曲が例えば十二曲収録されたスタジオアルバムの品質に劣るのかといえばそうではないはずです。薄められた十二曲の楽曲を聴くよりは、強い印象を持つ二曲のシングル作を聴いた方が有益であることは確かでしょう。より音楽を踏み込んで聴く、何度も聴いてその作品の良さを堪能するという方が、十二曲収録のアルバムを一度聴いただけで飽きて放り出してしまうよりはるかに、音楽ファンにとってはふさわしい時間の使い方であるはずです。そういったことをこのシングル作は思い至らせてくれるかもしれません。

 

このシングル作に収録されている二曲は、おしゃれな印象によって彩られています。それはカフェで流れているようなラウンジ音楽のようなつかみやすい雰囲気が漂っていて、くつろいだ気分を聞き手に与えてくれるでしょう。

 

一曲目の「30 Degrees」は、独特なインディー・フォークの楽曲です。インドのシタールが取り入れられているのは、民族音楽へのボックの傾倒が伺え、それが付け焼き刃ではない深い理解による音楽が生み出されています。何と言っても、独特なリズム感がナイマ・ボックの音楽性の個性で、強拍を徐々に後ろにずらしていくというシンコペーションの手法が見られ、それが心地よいフォーク音楽として昇華されています。 

 

二曲目の「Berimbau」もまたヨーロッパの主流の音楽とは異なり、ボサノヴァの音楽性、リズム性を瀟洒に取り入れた楽曲。勿論、それは上辺だけの音楽性をみずからの作風に取り入れただけではないことはこの楽曲を聞いていただければ理解してもらえるはずです。

 

ここには、幼少期のサンパウロで過ごした時代の深みのあるブラジルの土地に対するナイマ・ボックの憧憬が、歌やギターの演奏により、音を楽しむ、という形でのびのびと表されています。このなんとも、オシャレで優雅、そして、開放感に溢れた楽曲の雰囲気には、ナイマ・ボックの幼少期のサンパウロのビーチの情景を追体験するかのような爽快感を感じていただけるはず。さらに、ナイマ・ボックの音楽性には、インディー・ロックらしい強い個性に彩られているようにも思え、これは、ブラジルのサンパウロのサンバで奏でられるアクの強いリズム性により強固に支えられているがゆえ、このような強い存在感を持った楽曲が生み出されるわけなのです。


このシングル「30 Digrees」は、ブラジルの音楽を文化に真摯な敬意を表し、それを聴きやすい形で提示したという面で、新鮮味溢れる作品です。これからのイギリス、あるいはアメリカのインディーミュージック・シーンに良い影響を及ぼしそうな画期的な作品としてご紹介しておきます。

 

 

 

 ・Sub Pop Naima Bock 「30 Digrees」offical HP 


 

https://www.subpop.com/releases/naima_bock/30_degrees