ラベル Folk の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Folk の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

 Sandrayati 『Safe Ground』

 



 

Label: Decca/Universal Music

Release Date: 2023年3月17日

 


 

 

Review

 

インドネシアのサンドラヤティは、今後世界的な活躍が期待されるシンガーソングライターである。


米国人とフィリピン人の両親を持つ歌手、サンドラヤティは、既に最初のアルバム『Bahasa Hati』をリリースしているが、自主レーベルからイギリスの大手レーベルのDeccaへ移籍しての記念すべき第一作となる。元々、英国の名指揮者とロンドン交響楽団のリリースを始め、クラシック音楽の印象が強いデッカではあるものの、サンドラヤティはソフトなポピュラーシンガーに属している。いかにこのシンガーに対するレーベルの期待が大きいか伺えるようである。

 

説明しておくと、サンドラヤティは、メジャー移籍後の2ndアルバムにおいて自身のルーツを音楽を通じて探求している。東インドネシアの固有の民族であるモロ族から特殊なインスピレーションを受けて制作された。

 

彼女の2つのルーツ、英語とインドネシアの言語を融合させ、コンテンポラリー・フォークとポピュラー・ミュージックの中間点に位置するリラックスした音楽性を提示している。サンドラヤティの音楽は、南アジアの青く美しい海、そして自然と開放感に溢れた情景を聞き手の脳裏に呼び覚ますことになるだろう。そして、サンドラヤティの慈しみ溢れる歌声、温かな文学的な眼差しは、インドネシアの先住民の文化性、また、土地と家の関係や父祖の年代との関係、それから、近年の環境破壊へと注がれる。彼女は、COP26で代表としてパフォーマンスを行っているように、ある地域にある美しさ、それは人工物ではなく、以前からそこに存在していた文化に潜む重要性を今作で見出そうとしているように思える。そして、曲中に稀に現れるインドネシアの民族的な音階と独特な歌唱法は、そのことを明かし立てている。穏やかな歌声と和やかなアコースティックギターを基調にした麗しい楽曲の数々は、普遍的な音楽の良さを追求したものであるともいえるかもしれない。

 

オープニングの「Easy Quiet」から最後までサンドラヤティの音楽は終始一貫している。繊細なアコースティックギターをバックに、その演奏に馴染むような形で、雰囲気を尊重した柔らかな感じのボーカルが紡がれていく。英語とインドネシア語の混交はある意味では、このアーティストのルーツを象徴づけるものといえそうだが、一方で、実際にこのアルバムにゲスト参加しているアイスランドのアーティスト、ジョフリズール・アーカドッティルと同じように、アイスランドのフォークミュージックに近い雰囲気も感じ取ることが出来る。地域性を重んじた上で、そして、その中にしか存在しえぬ概念をサンドラヤティは抽出し、それらの要素を介し、やさしく語りかけるようなボーカルを交え、純粋で聞きやすいフォーク・ミュージックを提示するのである。


サンドラヤティのフォーク・ミュージックは、東南アジアとヨーロッパ、あるいは、米国といった他地域の間を繊細に揺れ動いていくが、中盤に収録されている「Saura Dunia」ではインドネシア語のルーツに重点を置き、モロ族の民族音楽的な音響性を親しみやすい音楽として伝えようとする。特に音楽的に言えば、アイスランドの音楽にも親和性のある開放的で伸びやかな彼女の歌声、そして、この民族音楽の特有の独特なビブラートは他のどの地域にも見出すことが叶わない。地上の音楽というより、天上にある祝福的な音楽とも称せるこの曲は、実際の音楽に触れてみなければ、その音の持つ核心に迫ることは難しいだろう。


他にも「Vast」では、ピアノとストリングスとボーカルの融合させたサウンドトラックのような壮大な音楽性を楽しむ事ができる。しかし、一見して映画のBGMなどではお馴染みの形式は、決して古びたものになっていないことに気がつく。サンドラヤティという歌手の繊細なトーンの変化や、そのボーカルスタイルの変化があり、清新な印象を聞き手に与える場合もある。コラボレーターのアイスランドのオーラブル・アーノルズのピアノは絶妙にシンガーの歌声を抒情的に強化し、繊細かつダイナミックな喚起力を呼び覚ますことに成功している。

 

また、アルバムの最後に収録されている「Holding Will Do」ではゴスペルに近いアーティストのソロボーカルを楽しめる。ピアノのフレーズと共に、ジャズ・ボーカルの影響を受けた曲で、アルバムのクライマックスに仄かな余韻を添える。最後には、語りに近いスタイルに変化するが、これで終わりではなく、次作アルバムへとこれらのテーマが持ち越されていきそうな期待感がある。

 

サンドラヤティの2ndアルバム『Safe Ground』には、インドネシアやバリ島、ジャワ島、それらの土地にゆかりを持つアーティストの人生観が温和なポピュラーミュージックの中に取り入れられている。アーティストは、これらの10曲を通じて、安全な地帯を見出そうと努めているように思える。そして、それらの表現はロジカルな音楽ではなく、詩情を織り交ぜた感覚的な音楽として紡がれてゆく。最初から完成しているものを小分けにして示すというわけではなく、各々のトラックを通じて、何らかの道筋を作りながら、最後に完成品に徐々に変化していくとも捉えることが出来る。


セカンドアルバムで、サンドラヤティの語るべきことが語り尽くされたとまでは言いがたいが、しかし、一方で、シンガーの歌の卓越性の一端に触れる事が出来る。本作は、週末をゆったり過ごしたいとお考えの方に潤沢な時間を授けてくれると思われる。



86/100





こちらの記事もあわせてご一読ください:


2020年代に活躍が予想される注目のシンガーソングライターを特集

 


ニューオーリンズのカントリーシンガー、Esther Rose(エスター・ローズ)は、4月21日にNew West Recordsからリリースされるアルバム『Safe to Run』のタイトル曲を公開しました。Hurray for the Riff RaffのAlynda Segarraとのデュエットで、この曲はアルバムのリードシングル「Chet Baker」に続く。


2021年の『How Many Times』の次作『Safe to Run』は、ロス・ファーベがプロデュースした。

 

「ソニック的に、ロスと私はこの曲にあらゆるアイデアを投げかけ、まるでこのメガパワーのある容器のようにすべてを吸収した」と、ローズは声明で「Safe to Run」について述べている。

 

「私たちはアウトロにたくさんのレイヤーを作り上げました。ロスがメロトロンで奏でるカウンターメロディと、彼が『天使たち』と呼ぶ高音1音のシンセドローンが大好きです。ベイエリアのデスメタルバンドCormorantのNick Cohonは、上昇するギターのアウトロをアレンジして破滅をもたらしました。アリンダ・セガラとのコラボレーションはとても有意義で、曲が飛び始めるのを聞くことができた。アリンダの声は、この巧みに調整された筋肉のようなもので、彼らが歌うと、すべてを感じることができます」


「Safe to Run」

©Kristin Cofer

 

La LuzのShana Clevelandがニューシングル「Walking Through Morning Dew」をリリースしました。前作「Faces in the Firelight」「A Ghost」に続くシングルとなります。下記からチェックしてみて下さい。


「Walking Through Morning Dew 」についてシャナ・クリーブランドは次のように説明しています。「これは春と再生についての曲なんだ。カリフォルニアでは、春は自然が家の中に入ってくる季節なんだ。家の中は突然変な虫でいっぱいになる。この曲の一節に、このアルバムが凝縮されている。"すべてがまばゆく咲き誇っている 」


Shana Clevelandのニュー・アルバム『Manzanita』は3月10日にHardly Artから発売される。


 

©Brandon Soder


ニューオリンズのカントリーシンガー、Esther Rose(エスター・ローズ)は、『Safe to Run』というタイトルのニューアルバムを発表した。2021年の『How Many Times』に続くこの11曲入りの新作アルバムは、New West Recordsから4月23日にリリースされる予定です。

 

シンガーソングライターは、この発表に合わせてリード・シングル「Chet Baker」と、Joshua Shoemakerが監督したビデオを公開しました。また、Safe to Runのカバーアートとトラックリストは下記より御覧下さい。


「Chet Baker」について、Roseは声明の中で次のように語っている。

 

「”誰かが私にDMを送ってきて、"私を覚えていますか?"と聞いてきた。私は10年前の記憶の中に連れて行かれた。危険な大学進学準備のクルーとの奇妙な週末、車の事故。この曲は、アナーバーの街での私の生活について書かれた短編です。この曲を書いているとき、あの無謀な時間を生き延びた自分がいかに幸運だったかを思い知らされた。若い頃の自分に大丈夫、あなたは23歳だったんだから、と共感したかった。大丈夫、あなたは23歳だったんだから、制御不能だったんだよ。もう大丈夫。もう大丈夫だ」


『Safe to Run』は、ロス・ファーベがニューオーリンズ(LA)とプラシタス(ニューメキシコ)で制作しました。ローズの長年のコラボレーターであるファーベとライル・ワーナー、ニューオリンズを拠点とするバンド、シルバー・シンセティック、デスロンデスのキャメロン・スナイダー、そしてタイトル曲にはハレー・フォー・ザ・リフ・ラフのアリンダ・セガーラが参加しています。


ペンを取るたびに挑戦したのは、「もう失恋ソングなんていらない、周りを見てみよう、ということでした」とローズは説明します。

 

「今まで探求したことのない深みから書き、時には気が狂いそうになりながら、柔らかさが広がっていく。私は混沌とした過渡的な場所から抜け出しました。もう逃げたりはしない。このアルバムは、私にとって、それ以前に作ったものすべてと異なっているように感じる。でも、誰がわかる?ハリケーンを山火事と交換したんだ」

 

 

「Chet Baker」



Esther Rose 『Safe to Run』
 
 
Label: New West Records
 
Release Date: 2023年4月23日 


Tracklist:

1. Stay
2. Chet Baker
3. Spider
4. Safe to Run (feat. Hurray For The Riff Raff)
5. St. Francis Waltz
6. New Magic II
7. Dream Girl
8. Insecure
9. Levee Song
10. Full Value
11. Arm’s Length

 


注目のダブリナーズ、Lankumは『False Lankum』をRough Tradeから2023年3月24日にリリースすることを発表した。アルバムの到着に先駆けて、バンドは、ファースト・シングル「Go Dig My Grave」をPeadar Gillによるビデオとともに公開している。

 

彼らはアイリッシュ・フォークの神秘性とスピリチュアルな観点を交えて新しいフォークミュージックを生み出そうと試みている。アルバムの中には、19世紀の魔術師アレイスター・クロウリーを題材にとったらしき曲も収録されている。


『Go Dig My Grave」は、ランカムのレイディ・ピートが1963年にアルバム『Jean Ritchie and Doc Watson at Folk City』に収録したジーン・リッチーの歌声からアルバムに収録されている特定のヴァージョンを発見した。この曲は、元々様々なバラッドのスタンザ(押韻構成のこと)として作曲された、いわゆる「浮遊詩」で構成されているような曲の一つで、中には17世紀まで遡るものもある。

 

ランカムは、「伝統的な歌”Go Dig My Grave”は、悲しみという感情を中心としたもので、すべてを飲み込み、耐えがたく、絶対的です」と説明します。「曲の後半は、アイルランドに伝わるキーン(caoineadhからきている)、つまり、故人を悼む伝統的な祭礼の形式に触発された。この慣習は、死者との交信経路を開くものとして、17世紀以降、アイルランドのカソリック教会から厳しい非難を受けるようになった。」


ランカムは、彼らの4枚目、Rough Tradeからの3rdアルバム『False Lankum』が、リスナーのための旅となるように、また、完全な作品と感じられるように設計している。「このアルバムではコントラストを生み出したかった。明るい部分はほとんどスピリチュアルで、暗い部分は信じがたいほど暗く、ホラー風味である」とプレスリリースで説明されている。10曲の伝統的なアイルランド民謡の楽曲と2曲のオリジナルで構成されたこのアルバムでは、長年のプロデューサーであるJohn 'Spud' Murphyと共に、新しい色調で実験的なサウンドを作り上げている。

 

2023年5月4日のバービカンでのソールドアウト公演に続き、ランカムは12月に再びロンドンに戻り、ラウンドハウスで最大のヘッドライン・ライブを行う。4月と5月のツアーはほぼ完売しており、バンドは2023年11月にアムステルダムとベルリンに戻り、初のドイツ・ツアーを行うことを発表している。

 

 「Go Dig My Grave」

 

 

 

 Lankum 『False Lankum』

 

 

Label: Rough Trade

Release Date :2023年3月24日

 

Tracklist:

 

1.Go Dig My Brave

2.Clear Away in the Mornig

3.Fugue Ⅰ

4.Master Crowley's

5.Newcastle

6.Fugue Ⅱ

7.Netta Perseus

8.The New York Trader

9.Lord Abore and Mary Flynn

10.Fugue Ⅲ

11.On a Monday Morning

12.The Turn

©︎Kristin Cofer


La LuzのShana Clevelandは、ニューシングル「A Ghost」とそれに付随するビデオを発表した。この曲は、「Faces in the Firelight」という曲と共に発表された彼女の新しいソロアルバム「Manzanita」から収録されている。Vice Coolerが監督した「A Ghost」のビジュアルは以下よりご覧ください。


「この新曲についてクリーヴランドはプレスリリースで、「私は妊娠や出産についてあまり考えたことがなかったのですが、いざ妊娠してみると、それがいかにサイケデリックな体験であったかに驚きました。"このアルバムのサブタイトルはこうかもしれない。宇宙の神秘に心を開いたとき、何を期待するか』ということだ。家の外に座って野原を眺めていると、自分の体の化学反応や形が常に変化して、自分も周りの植物や動物と変わらないことが理解できたんだ"


Manzanita』はHardly Art Recordsから3月10日にリリース予定。


 

©︎Kristin Cofer

La LuzのShana Clevelandが2枚目のソロアルバムを発表した。2019年の『Night of the Worm Moon』に続く『Manzanita』は、Hardly Artから3月10日に発売されます。


アルバムのファースト・シングル「Faces in the Firelight」は、クリーヴランドの息子だけでなく、彼女の人生のパートナーであるウィル・スプロット(シャノン&ザ・クラムス)に宛てたものだそうです。


「この曲は、ウィルが日没後もずっと続いている巨大な焼け跡の手入れをしているのを見て、暗い野原にいる彼が、私たちの冷蔵庫に貼ってある超音波画像のように見えることに気づいたことについて歌っているのよ」とクリーヴランドは声明で説明している。「私は、最大の愛の行為は、誰かを待つことかもしれないと考えていました。あなたが終わったとき、準備ができたとき、いつでもここにいますよと言うことです」


「私たちは、これらの曲を書いた時の時間と場所の甘い奇妙さを視覚化するために、私の裏庭にファンタジーの領域を作成しました。"妊娠していて、しばしば荒野で一人である」とクリーブランドは、Two Seraphimによって作られたこのビデオについて述べています。

また、『Manzanita』については、「これはカリフォルニアの荒野を舞台にした超自然的なラブ・アルバムです。曲はすべて、私が妊娠している間(サイドA)、または息子が生まれた直後の、すべてが静かに、しかし記念碑的に変化した奇妙な状態(サイドB)に書かれた」 と語っている。  


「Faces in the Firelight」






Shana  Cleveland『Manzanita』




Label: Hardly Art

Release: 2023年3月10日


Tracklist:


1. A Ghost

2. Faces in the Firelight

3. Mystic Mine

4. Quick Winter Sun

5. Gold Tower

6. Babe

7. Ten Hour Drive Through West Coast Disaster

8. Evil Eye

9. Mayonnaise

10. Walking Through Morning Dew


 

©︎ Wyndham Garnett

King Tuffは、ニュー・アルバム『Smalltown Stardust』から3曲目のシングルとなる「Tell Me」を公開しました。この曲は、先にリリースされたシングル「Portrait of God」タイトル曲に続く作品となります。


カイル・トーマスは声明の中で、「世界中のほとんど全ての曲は愛について歌っているのに、どういうわけかまだ十分な愛の歌がない」と言う。

 

そして、もし世界中のラブソングを全部ひっかき集めて、まだ書かれていないラブ・ソングを全部足したとしても、それでもまだ足りないんだよ。もっと世界には愛が必要なのだし、もっとラブ・ソングを作る余地がある。愛は無限の水が湧き出す井戸なのであり、人間、自然、情熱、フラストレーション、と、それから、動物、喜び、狂気についてのラブソングを作ることさえ出来るはずなんだ。僕の書き上げる曲はほとんどラブソングだし、そういうのが好きだ。でも、まだまだ満足はしていない! もっと欲しい! もっと愛が欲しい! そして、あなたにももっと愛を持ってほしい! だから、それが、この「Tell Me」がラブ・ソングとなった最たる理由なんだ。


SASAMIと一緒に作曲・録音した『Smalltown Stardust』は、Sub Popから1月27日にリリースされます。


 

WILDES


いよいよ、今週金曜日(1/13)にデビュー・アルバム『Other Words Fail Me』をリリースするWILDESは、The Flaming Lipsをフィーチャーした "True Love (Make Me Believe) "を公開しました。あらためて、アルバム発売日を目前にしてこの最終シングルをチェックしてみて下さい。

 

最終プレビューとなる「True Love (Make Me Believe)」は、昨年リリースされたシングル "Flames""Far and Wide"、"Lightly""Woman in Love "とともにWILDESのデビューアルバムに収録され、コラボレーターとして、スコットランドのThe Flaming Lipsが参加しているのに注目です。


WILDESは、この曲について、「実は、この一年はかなりピンチの連続だったんだけど、今日、"True Love" (feat.The Flaing Lips)をリリースすることで、この一年を安心して振り返ることができた」と語っている。

 

「The Flaming Lipsが参加してくれたことは、わたしにとって最大の喜びでした。この曲は、自分が誰であろうと、また、どのような経験をしてきたとしても、自己愛と自分自身を根本的に受け入れることへの賛歌として、アルバムの最後に加えたいと思った。本当に信じられなかった、フレーミング・リップスが、曲にこれほど力強い生命力を与えてくれるバンドだとは・・・。この虹のような曲に鮮やかなテクニカラーを与えてくれたバンドに感謝しています」


さらに、WILDESは、デビュー・アルバムのタイトル『Other Words Fail Me』について次のように説明しています。「この名前は、かなり長い間頭の中にあったものなんだけど、アルバムは本当にこの名前のように成長していった。このアルバムを書くことが、その時、起こっていたことを誠実に語ることができる唯一の方法だったから、かねてから意図したよりもずっと象徴的なものになった。文字通り、これらの曲の歌詞以外に、それを表現する言葉がなかったんだ」

 

 

「"True Love" (feat.The Flaing Lips)」

 

 

Meg Baird ©︎ Rachel Cassels

 

Meg Bairdが今月末に発売するニュー・アルバム『Furling』に収録される最新シングル曲 「Ashes, Ashes」を発表しました。この6分間の言葉なき歌は、天空を想起させるような曲です。


ビジュアルアーティストのレイチェル・ポニー・キャセルズによるファジーなビデオ付きで公開された。次のように説明しています。


私は、火と水の関係について考えてきました。私たちが燃えているのか、溺れているのか、見分けがつかないほど似ていることがあります。煙は目に涙を浮かべ、火はやがて雨を降らせる。

 

カリフォルニア、オーストラリア、大火災、洪水。私たちは、火から水へのサイクルがより穏やかであった、非常に異なる時代に生まれました。火から水へのサイクルが穏やかな時代には、友人や家族の家が頻繁に破壊されることはなかった。2020年にSFOに到着したとき、朝の空が真夜中だったことを覚えている。暗くて赤い。私はメグからのテキストメッセージに上陸した。私のパニックを先取りし、彼女は、それが世界の終わりのように見え、確かに多くの時代の終わりの徴候であるが、霧が山火事の煙を押し上げ、私たちは暗闇の中で呼吸することができることを保証した。

 

 

First Aid Kit


スウェーデンの姉妹フォーク・デュオ、First Aid Kit(ファースト・エイド・キット)が先日亡くなった音楽家、Christine McVie(クリスティン・マクヴィー)に敬意を表し、Fleetwood Macの名曲「Songbird」をカヴァーしています。First Aid Kitは2007年から活動しており、My Spaceを通じて一般的な人気を得た。現在もヨーロッパ圏では根強いファン層を獲得している。

 

First Aid KitのJohannaとKlara Söderberg(ジョアンナ/クララ・ソーダーバーグ姉妹)は、ウェールズにある”Cardiff International Arena”のバックステージで、オリジナルの「Songbird」の主役であるピアノのフレーズを省略し、指弾きのシンプルなアコースティック・ギターを演奏しています。ソーダーバーグ姉妹は、詩の行を交換し、サビでは一体となって、「And I love you, I love you, I love you/ Like never before. 」とハーモニーを奏でています。


ファースト・エイド・キットは、「Out of My Head」や 「Angel」といったシングルを収録したアルバム『Palomino』を11月にColumbiaからリリースしました。(レビューはこちらからお読みいただけます)このフォークデュオは2023年2月にヨーロッパと北米で長時間のツアーを開始する予定です。

 

この曲のパフォーマンスは以下でご覧いただけます。

 

 

H.C.McEntire

ノースカロライナを拠点に活動するアメリカーナ・シンガーソングライター、H.C.マッケンタイアが、2023年1月27日にMergeよりニュー・アルバム『Every Acre』をリリースすることが決定した。

 

このたびH.C.マッケンタイアは、その中から新曲「New View」を、振付師/ダンサーのMaya Orchinをフィーチャーしたビデオで公開しました。ビデオは、Jethro Watersが監督しています。以下からご覧いただけます。


マッケンタイアはプレスリリースで、この曲について次のように語っています。「音楽的には、"New View "は『Every Acre』の中で最も協力的な曲で、ルーク、ケイシー、ダニエル、ミッシー、そして私というクリエイティブなパートナーシップを喜ぶアルバムです。多くの意味で、この曲はテープが巻かれている間に自分で書いた曲なんだ。5人の身体が一緒に部屋にいて、それぞれが自分の立っている場所から、フィルターを通さない景色を提供しようとしたんだ」


以前、マッケンタイアはアルバムの "Dovetail "を公開した。マッケンタイアはミッシー・サングス、ルーク・ノートンとともに新作を共同プロデュースしている。

 

 「New View」

 

 

 

 

H.C. McEntire 『Every Acre』


Label: Merge

Release:2023年1月27日


Tracklist:

 

1.New View

2.Shadows(feat. S.G.Goodman)

3. Turpentine(feat.Amy Ray)

4. Dovetail

5. Rows Of Clover

6. Big Love

7. Soft Crook

8. Wild for the KIng

9. Gospel of a Certain Kind



 


 UKのフォークシンガー、Rozi Plainがニューシングル「Help」を発表。ロンドンをベースに活動するミュージシャンで、Kate Stablesによるプロジェクト、This Is the Kitのベース・プレイヤーとしても知られています。

 

「Help」は、前作のシングル「Prove Your Good」と 「Agreeing for Two」に続き、日本人の映像作家、尾角典子(Noriko Okaku)が監督したミュージック・ビデオと共にリリースされた。


Rozi Plainは、「"Help "は、ニューアルバムの中で一番好きな曲です」と説明しています。

 

「この曲は、GerardとJamieと一緒にグラスゴーの雪の中で作った曲なんだ。感覚というのは移り変わるもので、それを追い求めることはいつもできることではありません。知らないうちに消えてしまうこともある。愛するものは変化するもので、それはそれでいいけれど、深く掘り下げることが必要になることもある」


Rozi Plainは、「サックスを吹いているのはCole Pulice!(ちょっと弦楽器のような音)。ハープはSerafina Steer!  ギター(ちょっとアコーディオンのような音)を弾くのはジェームス・ハワード。Amaury Ranger がベースを弾いている。Gerard Black が100種類のキーボードを演奏してます。私が大好きなミュージシャンたちがこの曲で演奏してくれてとても光栄に思っている」

 

Nile Young


米国のコンテンポラリー・フォークの伝説、ニール・ヤングとクレイジー・ホースが、昨日、最新アルバム『ワールド・レコード』を発売しました。ストリーミングサービスではApple Musicで試聴できます。以前、ニール・ヤングは、ジョー・ローガンのポッドキャストに反意を示すため、spotifyから全曲を削除したため、現在のところこのプラットフォームでは視聴することが出来ません。


ニール・ヤングとクレイジー・ホースは、マリブにあるリック・ルービンのシャングリ・ラ・スタジオでWorld Recordをライブ録音している。2xLPレコード、カセット、ダブルCD、そしてXStreamやAtmos/Spatialなどのプレミアムストリーミングサービスで提供され、ファーストシングル「Love Earth」は、気候変動対策に真剣に取り組むよう社会に対して呼びかけている。


さらに、ニール・ヤングは今年初め、ルービンとジャック・ホワイトのポッドキャストインタビューをクラッシュさせ、ワールド・レコードについて議論しました。クレイジー・ホースの前回のアルバムは2021年の『バーン』。一方、12月、ニール・ヤングは4枚目のスタジオ・アルバム『ハーヴェスト』の50周年を記念したデラックス・リイシューを発売する予定。こちらも楽しみです。


 

 


Neil Young & Crazy Horse 『World Record』 

 




Tracklist:



01. Love Earth
02. Overhead
03. I Walk With You (Earth Ringtone)
04. This Old Planet (Changing Days)
05. The World (Is in Trouble Now)
06. Break the Chain
07. The Long Day Before
08. Walkin’ on the Road (To the Future)
09. The Wonder Won’t Wait
10. Chevrolet
11. This Old Planet (Reprise)


 

Siv Jakobsen ©Jørgen Nordby


ノルウェーのシンガーソングライター、シヴ・ヤコブセンが、最新シングル「Sun, Moon Stars」でAne Brun(アネ・ブルン)を起用した。

この曲は、1月20日にThe Nordic Mellowからリリースされるサードアルバム『Gardening』からの作品となる。先行シングル「Tangerine」と「Roman's Place」が収録されています。「Sun, Moon, Stars」の試聴は以下より。


「この曲で彼女に歌って欲しかった理由は、私がAneから受けた影響の多くがこの曲に含まれているからです」とJakobsenは声明の中でこのコラボレーションについて述べています。

 

「ギターのスタイルやストリングスなど、彼女が私に与えてくれたインスピレーションをうまく表現しているように感じました。16歳のシヴが高校の発表会でアネの「ラバー&ソウル」を歌い、ソングライター志望の学生で22歳の大ファンだったアネをボストンのライブ会場で待ち、同僚や友人になり、10年以上経ってから『サン、ムーン、スター』で一緒に歌うことになる」


「Sun, Moon, Starsは、数年前の11月に書かれたんです。特にどんよりとした暗い雨の日の夜、散歩をしながらメロディーを口ずさみ、歌詞を考えたのを覚えています。一年で一番嫌いな月で、その時期に感じがちな重苦しさと、一年で一番暗い月であっても、私を最も憂鬱な心の隅から引き出してくれる力を持つ仲間に見つけた美しさと希望にインスパイアされています」


Jeff Tweedy
 

 シカゴのオルタナティヴ・ロックバンド、Wilcoのフロントマン、Jeff Tweedy(ジェフ・トゥイーディー)が、LowとDirty Threeの共作アルバムに収録されている「I Hear...Goodnight」のカヴァーを公開しました。このオリジナル曲は、スロウコア・バンド、Lowと、オーストラリアのポストロック・バンド、Dirty Threeの2001年のコラボレーション・アルバム『In The Fishtank 7』に収録されています。

 

このカバーについては、週末に亡くなったLowのMimi Parker(ミミ・パーカー)に捧げられている。今週初め、11月6日(日)、ミミ・パーカーの夫で、バンドメイトでもあるアラン・スパーホークはソーシャルメディアを通じて、 「彼女は、昨夜、あなたを含む家族と愛に囲まれて亡くなりました」と明かしている。ミミ・パーカーは55歳で、2020年に卵巣癌と診断されていた。


名ドラマーの死に際し、El-P、Steve Albini、MogwaiのStuart Braithwaite、Okkervil RiverのWill Sheff、Ben WattらがTwitterでパーカーに賛辞を送った。Jeff Tweedyは、Starship Casual Substackを通じて、LowとDirty Threeの「I Hear...Goodnight」をカバーしてパーカーを追悼した。Jeff Tweedy(ジェフ・トゥイーディー)の演奏はこちらからお聴きになることができます。

 

 

ナッシュビル在住のシンガー、Madi Diaz(マディ・ディアス)が、S.G. GoodmanとJoy Oladokunと共に、Patty Griffin(パティ・グリフィン)の2002年の曲「Be Careful」のカバーを公開しました。


Madi DiazとGoodmanがプロデュースし、Alex Hopeがエンジニアを務めたこのカバーソングでは、Courtney Marie AndrewsとSavana Santosがバッキングボーカルを務めています。このカバーの収益金は"Abortion Within Reach Coalition"のために使われます。試聴は以下から。

 

プレスリリースでMadi Diazは次のように述べています。どうやらこの曲は、ロー・ウェード裁判をきっかけに書かれたようです。

 

「この夏、Roe V. Wadeが覆されたとき、Patty Griffinの曲「Be Careful」が私の潜在意識にすべりこんできました。


 この曲は、私の心の奥底で毎日一貫して流れている強さのマントラとなり、片足を前に出し続けるように優しく励ましてくれました。それは、私の身体と生殖の自由に対する権利を奪おうとする誰に対しても向けられる、一種の闘いの叫びとなったのです。あなたは獣を目覚めさせてしまったのだから、『気をつけなさい』と」


「この最高裁の判決は、私たち全員に影響します。洗濯バサミを持った女の子全員、買い物袋を持った女の子全員、子宮を持つすべての人、自分の身体を持つすべての人にです。これは、他人の人権と自由、つまり自分の健康と幸福について自分で選択する権利に対する支配に関するものです。私たちの国で起こったことについて話すことがとても難しかったとき、それを書くことは少し簡単だと感じました。


 

 そこで、私の親友であるモーガン・エリザベス・ピアースと私は、素晴らしいパティ・グリフィンの歌を足掛かりにして、私たちの現在につながる独自の詩を書きました。


 私たちにとってとても意味のあることを言い、歌うのは気持ちのいいことでした。この素晴らしい人間たちが集まって、私たちの声と心をすべてレコードに入れ、この瞬間を印刷し、世界に送り出し、私たちが団結して協力するときに生まれる力を利用したことに、私は感謝しきれない思いでいます。

 

この曲を必要としている人が、この曲を聴いて、少しでも孤独を感じてくれたらいいなと思います。そんな思いで投票してください」

 


 

マディ・ディアスの最新アルバム『History of A Feeling(ヒストリー・オブ・ア・フィーリング)』は、昨年、ANTI-からリリース済みです。今月初め、ディアスは『History of a Feeling』の楽曲のリワークで構成されたEP『Same History, New Feelings』をリリースしている。

 First Aid Kit 『Palomio』


 

 

  Label: Columbia/Sony Music Entertainment

  Release: 2022年11月4日


 Listen/Buy



 Review 


 デビュー・アルバム『The Big and the Blue』から12年、スウェーデンのソダーバーグ姉妹のデュオ、ファースト・エイド・キットは、穏やかなフォーク/カントリーミュージックを自分たちなりの方法で探究してきました。

 

最初期はナチュラルかつオールドスタイルの音楽を主眼に置いていましたが、5thアルバムとなる『Palamio』では、シンセ・ポップを絡めた華やかな音楽へとシフトチェンジを果たしています。


さらに、この姉妹デュオがリスペクトを表している、フリートウッド・マック、そしてホラー映画「ストレンジャー・シングス」で再度復活を遂げたケイト・ブッシュ、トム・ペティといった古き良きポップス/ロックをファースト・エイド・キットは今作でよりモダンに再現しようとしています。

 

オープニングを飾る「Out Of My Head」では、デビュー当時には見られなかったようなポップバンガーを提示しており、アルバム全体に華やかな質感をもたらしている。続く、「Angel」では、チェンバロのアレンジを交えて、70年代のポップスをより親しみやすい形に再現しています。これらのノスタルジックな音楽性を強固にしているのは、姉妹ならではの息の取れたボーカルのハーモニーであり、ソダーバーグ姉妹は、ケイト・ブッシュやジョニ・ミッチェルをはじめとする往年の名曲の影響下にある楽曲を、華やかで淑やかなコーラスで彩っている。他にも「Turning Onto You」では、フリートウッド・マックのフォークとロックの中間にある爽やかでありながらブルージーな楽曲に挑戦。ハミングのハーモニーは爽やかな雰囲気をこの曲にもたらしています。 


これらの新しい試みに加え、活動最初期からの特性だった新旧のフォーク/カントリーの混在させた楽曲性も維持されている。「Fallen Angels」では、シンプルなベースライン、曲の雰囲気を損ねないソフトなギターライン、そして、ケルトフォークの牧歌的な雰囲気をストリングスのアレンジにより演出しています。ソダーバーグ姉妹のボーカルのハーモニーは曲の雰囲気を重視しつつ、息の取れたコーラスワークによって楽曲の性格に華やかな色を添えている。さらに、続く「Wild Horses」は、もはやタイトルとしてもカントリーの定番となっていますが、デュオはそれらの全時代のカントリー音楽のコードやビートを踏襲しつつ、中盤からはシンセサイザーのアレンジを通じて、ワイルドかつダイナミックな迫力を持つ展開へと繋げられていきます。

 

それから、淑やかでまったりとした雰囲気を擁するオルタネイティヴフォークの楽曲が続いた後、タイトルトラックのダイナミックなフォーク・ロックで、このアルバムは幕引きを迎えます。この曲での姉妹のボーカルの兼ね合いは円熟味すら感じさせ、コーラスの妙味は熟練の領域に達している。イントロのフォーク・ロックのテイストから、曲展開が段階的に様変わりしていき、曲のクライマックスにかけて、チャントのような雰囲気をもった清涼感のあるボーカルを体感出来る。ここに十二年の活動の集大成のようなものが体現されています。

 

アルバム全体としては、牧歌的なフォーク/カントリーが一貫して展開されていますので、それほど音楽の難易度は高くなく、多くのリスナーの共感を得る作品になるだろうと思われます。そして、これらの楽曲では、ソダーバーグ姉妹は最新鋭の音楽ではなく、遠ざかった時代のポピュラー/ロックの名曲群の音楽の懐かしさや、その音楽の持つ温和さを再現させようとしているように感じられます。


作品全体としてみると、先行シングルのMVを見ても分かる通り、ソダーバーグの姉妹が掲げているサウンドスケープのテーマがリスナー側に今ひとつ伝わりにくく、もう一歩何かあればよかったという感もありますが、他方、この作品には姉妹の人間関係の良さが表れており、温和な空気感が通っているのも確かです。もしかすると、聴くごとに本質が滲み出てくるような長く愛聴出来る作品になるかもしれません。

 

82/100

 

 

Featured Track 「Out of My Head」 

 

 

Andrew Bird/Phoebe Bridgers


 Andrew Bird(アンドリュー・バード)とPhoebe Bridgers(フィービー・ブリジャーズ)が、米国の詩人、Emily Dickinson(エミリー・ディッキンソン)の「I felt a Funeral, in my Brain」を再構築したニューシングルでコラボレートしています。デュエット曲は以下よりお聴きいただけます。


Andrew Birdは2022年6月3日に最新スタジオアルバム『Inside Problems』をWegawamからリリースしている。


"私はこのエミリー・ディキンソンの詩に出会い、私が今まで出会った中で最も鮮明な内面世界の描写であることに気づきました。


この詩は、『Inside Problems』の曲のインスピレーションになったんだ。この詩を一緒に歌うのに、フィービー・ブリッジャーズ以外に適任者がいるだろうか?

 

彼女にデモを送ったら、こうなったんだ。この詩の使用を許可してくれたディキンソンさんの版権を持つ出版社、ハーバード大学出版局に感謝致します。私の理解では、彼女の詩は1950年代まで、彼女が意図したとおりに出版されることはなかった”

 

 

Niel Young & Crazy Horse

 米国のフォークレジェンド、Niel Young & Crazy HorseがRick Rubinのプロデュースによる新作アルバム『ワールド・レコード』から「Break The Chain」と題された2曲目の先行シングルを公開しました。

 

先月、Nile Youngは新作アルバム『World Records』をのリリースを公にし、最初のリードシングル「Love Earth」をリリースしている。

 

「Break The Chain」のリリースとともに公開されたBernard Shakey監督が手掛けたミュージックビデオでは、この新曲をリック・ルービンのシャングリ・ラ・スタジオでレコーディングしている様子が映し出されています。


『World Record』は、Niel Young & Crazy Horseの2001年のアルバム『Toast』の次作となり、11曲が収録される予定です。


"Break The Chain "は現在発売中です。ニール・ヤングとクレイジー・ホースのアルバム『ワールド・レコード』は、11月18日にReprise Recordsよりリリースされます。