ラベル Indie Rock の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Indie Rock の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

 

Machester Orchestra


 アトランタのインディーロックバンド、Manchester Orchestra(マンチェスター・オーケストラ)がニュー・シングル「No Rule」をリリースした。

 

2021年のアルバム『The Million Masks of God』のレコーディング・セッションから生まれたこの曲は、バンドのリード・ソングライター・デュオ、Andy HullとRobert McDow、そしてCatherine MarksとEthan Gruskaによって制作された。

 

「我々は、世界に我々の新曲「No Rule」をリリースすることを非常に誇りに思っている」とアンディ・ハルはプレスリリースで述べている。

 

「"Million Masks "のセッションで書かれ、作業されたこの勇敢な魂は、他の曲よりも調理に少し時間がかかりました。楽しんでいただければ幸いです。オール・ラヴ。M.O.」


 


 UKのインディーロックバンド、Metronomyが、『Small World (Special Edition)』の第3弾として「It's good to be back」を公開しました。

 

Jessica Winterの "I lost my mind"、Katy J Pearsonの "Love Factory "に続き、Panic Shackの "It's good to be back "のパンチの効いたカバー・ヴァージョンをMetronomyが公開しました。


カーディフのミュージシャン、Panic Shackは、「Metronomyの曲をカバーするよう依頼されたことにとても興奮し、とても楽しくShack化することができた」と語っている。私たちは何年もメトロノミーのファンだったので、参加するよう依頼されたことはとても大きなことでした。皆さんに気に入っていただけると嬉しいです。"


『Small World (Special Edition)』には、Haich Ber Na、Sébastian Tellier、Nadeem Din Gibisi and Tony Njoku、Porijの楽曲も再構築されて収録される予定です。


Panic Shackの "It's good to be back "バージョンは現在リリースされています。Metronomyは、11月29日にBecause Musicより『Small World (Special Edition)』をリリースする予定です。

 

 

Aibhe Reddy ©︎Niam Barry


 アイルランド/ダブリン出身のシンガーソングライター、Ailbhe Reddy(アイルブ・レッディ)がニューアルバム『Endless Affair』のリリースを発表した。このアイルランドのシンガーソングライターの2020年のデビュー作『Personal History』に続く作品は、2023年3月17日にリリースされる予定。本日、リード・シングル「Shitshow」のミュージックビデオが公開されました。


この新曲について、アイルブ・レディは声明の中で次のように語っている。"Sh*tshow "は、私が数ヶ月間遊んでいた歌詞から生まれたもので、「なんてことだろう、私の状態を見て、これはとても恥ずかしい、家に連れてってくれないの」というものだった。これは、他の人に向かって言っているようなもので、翌朝という視点から自分に向かって言っているようなものです。

 

この歌詞は以前から持っていたもので、トミー・マクラフリンと一緒にレコーディングをしているとき、彼が冗談で「このアルバムをSh*tshowと呼ぶべきだ」と言って、その言葉を歌詞にしようと誓ったので、この曲に完璧にはまったんです。この曲は、夜の外出を後悔しながら振り返るという内容で、同時に元パートナーに自分のふざけた態度に言及し謝罪しています。1番の歌詞は自分に向けて、2番の歌詞は他の人に向けて。悪い二日酔いに対する毒舌のようなものだろう」






Ailbhe Reddy  『Endless Affair』 
 
 
 
Label: MNRK UK
 
Release: 2023年3月17日


 
Tracklist:

1. Sh*tshow
2. A Mess
3. Damage
4. Inhaling
5. Bloom
6. Last To Leave
7. Shoulder Blades
8. I’m Losing You’re Winning
9. Good Time
10. You Own The Room
11. Pray For Me
12. Motherhood
 
 
Pre-save:
 
 
 
Bandcamp:
 

 

Pile ©︎Emme Robbins

 

 ボストン/マサチューセッツのインディーロックバンド、Pileが次のアルバムを発表しました。『All Fiction』は、Exploding in Soundより2月17日にリリースされる予定です。本日、アルバムのリード・シングル「Loops」と、それに付随するビデオを公開しました。以下、ご覧ください。


「フロントマンのRick Maguireはプレスリリースで「Pileのほとんどの期間、個人的な問題を解決し、不快な感情を表現する手段としてソングライティングを使ってきました」と話す。「こうしている間、僕は、作曲のキャリアを作るために努力もしてきた。『Loops』という曲は、その2つの道が交わる場所で経験した混乱についてで、自分が作っているものが個人の成長のためなのか、個人の利益のためなのかを振り返ることは、結局、答えよりも多くの疑問をもたらすことになったんだよ」




『All Fiction』は、2021年の『Songs Known Together, Alone』と『In the Corners of a Sphere-Filled Room』に続く、Pileの8枚目のLPである。

 

「僕たちはこれまで、"ロック・バンドのフォーマット "と思われるものから常に抜け出そうと努めてきたし、バンドとしてのアイデンティティと思われるものにも、かなりうんざりしていたんだ」とリック・マグワイアは語る。「そこで、このアルバムでは、アイデンティティに対する混乱と実存的な不安とが相まって、逃避の手段としてイマジネーションを探求することになったんだ」








Pile  『All Fiction』


 
 
Label:  Exploding in Sound
 
Release:  2023年2月17日
 


Tracklist:
 

1. It Comes Closer
2. Loops
3. Gardening Hours
4. Link Arms
5. Blood
6. Lowered Rainbow
7. Forgetting
8. Poisons
9. Nude With A Suitcase
10. Neon Gray



 

Black Honey

 

 フロントウーマンのIzzy Bee Phillips、ギタリストのChris Ostler、ベーシストのTommy Taylor、ドラマーのAlex Woodwardからなるブライトンの4人組インディーロックバンド、Black Honeyがサードアルバム『A Fistful of Peaches』 のリリースを発表しました。この新作アルバムは2023年3月17日にFive Fox Recordsから発売されます。

 

リード・シングル「Heavy」は本日リリースされ、ドラッグ・レースUKのダコタ・シファーが監督と主演を務めたミュージック・ビデオも公開されている。ミュージック・ビデオはこちら。


"この曲は、私たちのファンクラブの創設者がCovid-19で亡くなったことを知った日に書いたんだ "とフィリップスは声明で説明している。

 

「私たちは、悲しみの重さと、悲しみとうつ病の類似性について話していたんだ。精神疾患の重さ、そしてそれが悲しみへの深い理解をもたらすことについて。でも、いつもかすかな光はあるし、ヘヴィにはそういう闇があるのが好きなんだ。私の性格上、共依存的になってしまうのですが、この曲では私が再び立ち上がるのを助けてくれる誰かを求めているように思います。終わりのない物語については、子供の頃に死や鬱と初めて向き合ったので、少し話しています。馬のArtaxが何もない沼に飲み込まれ、Atreyuが沼の端からなすすべもなく叫ぶのを見て、本当に心に響いたんだ」


この曲のビジュアルについて、Dakota Shifferは次のようにコメントしています。

 

「私の監督デビュー作にとって、『Heavy』がトランスフェミニティのテーマを中心に据えていることが非常に重要でした。トランスジェンダーの自画像は、魅力的で華やかな外見をしていますが、生存の必要性から構成されています。その生存のために、歴史上多くのトランスパーソンが陶酔を追い求め、自らを危険にさらすことになったのです。ショーガールの美学、ロケーション、パステルカラーのパレットは、このクリエイティブをはっきりとした時代に置いていますが、すべては見た目通りではありません。鏡に口紅を書くのは、エリザベス・テイラー主演の悪名高い女性差別映画『バターフィールド8』への言及であり、この曲が完璧に物語る夜の夢物語のフィナーレを飾る」


『A Fistful of Peaches』は、ブラック・ハニーの2021年のアルバム『Written & Directed』に続く作品となる。

 

"Written & Directed "の雰囲気が、このタランティーノの世界全体と、私が助けをほとんど拒否して自分は大丈夫だと言っているこの安全な空間を作り出していたとしたら、このアルバムではその逆だ "とフィリップスはコメントしている。

 

「ロックダウンが起こり、2年間何も書かず、自分の全ての目的が水の泡になったように感じ、激しいセラピーで疲れ果て、出てきたものは、自分の人生全体から吐き出されたものを、自分の脳細胞をあるべき姿に作り直しただけだったんだ。自分自身に対してもっと正直で弱くならざるを得なかったけど、このプロジェクトに時間と情熱とエネルギーを費やしている人たちに対して、全てを明かさないのは損をしているような気がするんだ」






Black Honey 『A Fistful of Peaches』 
 
 


 
Label: Fox Five
 
Release: 2023年3月17日
 
 

Tracklist:
 

1. Charlie Bronson
2. Heavy
3. Ups Against It
4. Out of My Mind
5. Rock Bottom
6. Cut the Cord
7. OK
8. I’m a Man
9. Nobody Knows
10. Weirdos
11. Tombstone
12. Bummer

 

Malady ©Azeez Kazzim

 ロンドンのインディーロックバンド、Maladyは、デビューEP『All Pressure, No Diamonds』のリリースを発表。この告知と同時にリードシングル「Hyperreal」を発表しました。

 

デビューEPは、2023年2月10日に発売されます。タイトルについては、どうやら、カーライルの名言「圧力がなければダイヤモンドは生まれない」に因んでいるようです。カバーアートは下記にてご覧下さい。


このニューシングル「Hyperreal」について、バンドは次のように語っています。「今までに、私たちは皆、画面上の人々と寄生的な関係を持っていますが、私はいつも、会ったこともなく会うこともない人の人生の裏表を知る必要はほとんどないと思っています」

 

「私を含め多くの人が、ネット上の仮想の人物像に酔いしれ、その人物像が”現実よりもリアル”になってしまうというのは、あながち的外れな話ではないはずです。”リアルよりリアル”になって、その人の区別がまったくつかなくなり、本人よりその人の人気やシミュラクラ(編注: 人や事物を模写したもの)が好きになる現象がよくあるんだ。だから基本的には、これはもっと、その人の本質に触れる必要があるという歌なんだ」

 

 

 Malady 『All Pressure, No Diamonds』EP

 


 


Runner


  LA在住のソングライター、Noah Weinmanの名義であるRunnnerが、デビューアルバム『Like Dying Stars, We're Reaching Out』からの新たなシングルを公開しました。「bike again」は、リード・シングル「i only sing about food」に続くもので、下記からチェックできます。


「この曲は、自転車から落ちたこと、自転車から落ちた他のすべての時間を思い出し、そしてそれらの過去の自分自身と話すことができたら何を言うだろうかと考えることについての歌です」と、ワインマンは声明で述べています。「この曲はアルバムの中で一番古い曲だと思うんだ。


『Like Dying Stars, We're Reaching Out』はRun for Coverから2月17日にリリースされる。


 

New Pegans

 

UKのインディーロックバンド、New Pagansが2ndアルバム『Making Circles of Our Own』のリリースを発表した。2021年の『The Seed, The Vessel, The Roots and All』に続くこの作品は、2023年2月17日にBig Scary Monstersから到着する。

 

本日、新作アルバムから「Karin Was Not A Rebel」と「Fresh Young Overlook」の2曲がbandcampにて公開された。アルバムのアートワークとトラックリストについては、下記よりご確認下さい。


「Karin Was Not A Rebel」は、アーティスト兼デザイナーのKarin Bergöö Larssonにインスパイアされており、「Fresh Young Overlook」は 、"音楽業界への愛憎の手紙 "と説明されています。以前、New Pagansは、アルバムの先行シングル「Better People」をリリースしています。 

 

 

 

 

 

 

New Pegans 『Making Circles of Our Own』 

 




Label: Big Scary Monsters

Release: 2022年2月17日

 

 

Tracklist:


1. Better People

2. Find Fault With Me

3. A Process of Becoming

4. Fresh Young Overlook

5. There We Are John

6. Karin Was Not A Rebel

7. Bigger Homes

8. Hear Me, You Were Always Good

9. Comparable Reflections

10. The State of My Love’s Desires


 

Wunderhorse ©Gabe Drechsler

 UKのインディー・ロックバンド、Wunderhorseが先月デビュー・アルバム『Cub』をリリースに続いて、本作のシングルカット「Girl Behind The Glass」のPVを公開しました。


今夏のUSツアーで集めた映像を使って、Gabe Drechslerが「Girl Behind The Glass」のビデオを撮影しています。


「WunderhorseのJacob Slaterは、「この曲は、ライブで演奏しているうちに進化していったんだ。"だから、オリジナルのレコーディングに戻って、僕らがライヴで演奏しているのと同じように最新のものにするために、いくつか変更を加えたんだ、楽しんでほしい」と述べている。


新しいビデオは下記よりご覧ください。

 

 

Humor ©︎ Craig R Mcintosh

 UKのインディーロックバンド、So Young Recordsから11月25日にリリースされるデビューEP 『Pure Misery』収録の最新シングル「good boys remember well」を公開しました。


「この曲は、Andreasがある日、耳にした悲劇的な潜水艦の事故について歌ったものだ」とバンドは説明している。

 

「私はいつもこの曲のクールな点だと考えていた。彼がメガホンを持って、災害について聞いたときと同じように感じてもらおうと必死になって、災害についての事実や数字をただ執拗に羅列しているような感じなんだ」

 

 

Gina Birch ©︎Eva Vermandel

 The Raincoats(レインコーツ)の創設メンバー/ベーシストとして知られるGina Birch(ジーナ・バーチ)は、ソロ・デビュー・アルバム『I Play My Bass Loud』を2023年2月24日にThird Man Recordsからリリースすると発表した。


このアルバムには、バーチの初ソロ作となった2021年9月のシングル「Feminist Song」と、新曲「Wish I Was You」が収録される予定だ。この曲はソニック・ユースのサーストン・ムーアがギターを担当し、ジーナの娘で映像作家のハニー・バーチが監督したミュージック・ビデオが付属している。また、アルバムのジャケットとトラックリストについては、下にスクロールしてください。


「このアルバムは、私の長年の音楽的、政治的、芸術的な人生を、ジャンルを超えた曲で凝縮したものです」とジーナ・バーチは声明で説明しています。"音と歌詞を使った個人的な日記で、楽しさ、怒り、ストーリー性に溢れている。"


"女性が自分の音楽を演奏して、聴いてもらいたい、認めてもらいたい、あるいはそれをするための空間が欲しいということがあるのよ。" "ベースは時に劣った楽器として割り当てられるけど、レゲエと多くの女性プレイヤーの創造性のおかげで、常に創造的で驚異的な楽器になったわ"






Gina Birch 『I Play My Bass Loud』


 

Tracklist:

1. I Play My Bass Loud
2. And Then It Happened
3. Wish I Was You
4. Big Mouth
5. Pussy Riot
6. I Am Rage
7. I Will Never Wear Stilettos
8. Dance Like A Demon
9. Digging Down
10. Feminist Song
11. Let’s Go Crazy

 

Kurt Vile&Violators


Kurt VileとViolatorsは、先週末に、米国のテレビ番組、Late Night With Seth Meyersに音楽ゲストとして出演しました。

 

彼らは、今年4月にリリースされた最新アルバム『Watch My Moves』の六曲目に収録のシングル「Hey Like A Child」をピックアップし、スタジオで演奏している。Kurt Vileの演奏は以下でお楽しみいただけます。

 

Music Tribune   

 Weekly Recommendation 

 

 

 

Julien Chang 『The Sale』




 Label: Transgressive

 Release: 2022年11月4日


 

 

 

Review

 

米国のシンガーソングライター、ジュリアン・チャンは、若き天才であり、その多岐に亘る作曲能力、そして複数の楽器を演奏し、伸びやかな歌唱力を誇る点で、プリンスを彷彿とさせる。十代からすでに本格的なソングライティングを開始していたというエピソードも相通じるものがある。アーティストとしての道を歩むきっかけ、つまり音楽の道を目指すようになった理由について、「人々に衝撃を与えたかった」とジュリアン・チャンは端的に語っている。「人々が慣れ親しんできた私のイメージに挑戦するようなものを、期待されることなく密かに作りたかったのです」というのだ。


デビュー・アルバム「Jules」で、Julian Changは最初の目標を達成するのみならず、それ以上のものを手に入れた。19歳(ファーストアルバムリリース時)のボルチモア出身の彼は、プログレッシブなジャズの即興演奏と洗練されたクラシックの構成に、ポップなメロディーと実験的なサイケロックを融合させ、その驚くべきビジョンと素晴らしい楽器演奏の才能を披露している。そのアレンジは、予想を裏切り、若さゆえの自由と発見に満ちあふれている。同時に、Changの繊細で抑制されたヴォーカルは、愛と友情、成長と変化、記憶と後悔に取り組む彼の若さとは裏腹に、思慮深さすら感じさせる。彼が敬愛してやまないスティーヴィー・ワンダー、ビートルズ、テーム・インパラ、ロバート・グラスパー、あらゆるアーティストを意識した、トリッピーなサウンド・コラージュであり、カテゴライズされないアルバムを生み出したのだ。


Changは、Baltimore School for the Artsでクラシックとジャズの演奏を学びながら育った。地元のヒップホップ・アーティストのためにビートを作るのが趣味だったが、クラスメートや教師のほとんどは、彼をトロンボーン奏者としてしか知らなかった。彼が自宅で独学で楽器を学び、地元の食料品店で働いたお金で地下にスタジオを建てていたことなど、知る人はほとんどいなかった。


「制作中に何かを話したり、共有したりすることで、自分が作っているもののインパクトを減らしたくなかったんです」とジュリアン・チャンは言う。「誰も予想していないものをリリースすることで得られる力を利用したかったのです」。実際、チャンは、昨年、この作品集をオンラインで公開し、CDを少量生産して自主的にリリースした時点では、さほど騒がれることもなかった。ところが、このレコードは、その後、ボルチモアの音楽コミュニティーで徐々に広まり、最終的にはロンドンまで届き、Transgressive Records(SOPHIE, Let's Eat Grandma, Neon Indian)の目に留まり、関係者はニューヨークまでチャン本人に会いに行き、間もなくレコード契約を申し込んだのだった。

 


Julian Chang
 

 以上のようなデビューの経緯を持つ、ジュリアン・チャンは、2020年のデビュー・アルバム「Jules」でPitchfork、Fader、The Guardian、NME、Loud & Quiet、DIY、Billboard等、錚々たる音楽メディアから歓迎を受け、最初の成功を掴んだが、このセカンド・アルバムで彼は才覚により磨きをかけている。

 

ホームタウンのボルチモアとプリンストン大学の寮の二箇所で録音されたという2nd「The Sale」は、ホームレコーディングのラフさが引き出されているが、他方、ジュリアン・チャンの広範な音楽知識とリスニング経験に裏打ちされた宝玉のような輝きを放つ作品と言える。アルバムは、全体的に、モダンなインディー・ロックが楽曲の基礎に置かれているが、その他、ピンク・フロイドからテーム・インパラに至るまで新旧のサイケデリック、そして大学で専攻していたクラシック、ジャズの技術を曲や演奏の中に多彩な形で散りばめている。およそ、シームレスに音楽の領域を行き来し、ジャンルレスとも言えるような多彩なアプローチが今作には取り入れられている。

 

ジュリアン・チャンは、グレゴリオ聖歌からスティーヴ・ワンダーまでの幅広い楽曲を楽理的に解釈し、その関連性を見出す知性溢れるアーティストではある、しかし、このセカンドアルバムにはそういった衒学的な概念はほとんど感じられない。アルバムの冒頭、二曲目収録の「Mermalade」を始めとする楽曲で、チャンは感覚的なインディーロックソングを書き、論理性に傾くのではなく、感性に重きを置いている。ジュリアン・チャンは自分の感覚を信じきり、作品を生み出す。彼は衒学を厭い、リスナーに堅苦しさを与えず、爽快なイメージをリスナーと共有しようとしているのだ。

 

 感覚の共有というひとつのテーマは、チャンの繊細な感性により、みずみずしい表現性へと昇華されている。そして、そのイメージは、中盤から終盤にかけて、さらにおどろくべき展開力を見せる。往年のディスコ時代のダンスミュージック、ロックの最盛期、そして、近年の米国のオルタナティヴロックを、ジュリアン・チャンは自分なりの手法で表現しようと試みている。さらに彼は、ほんのわずかながら、サイケ、ソウル・ロック、最近のLAの宅録のローファイアーティストのようなジャンク・ミュージックの要素を加えて、それをほとんど呆れるような多彩さで変幻自在に展開させる。


それは、このアーティスト、ジュリアン・チャンがジャンル、カテゴライズという概念を軽々と超越しようとしている証左でもある。これらの涼やかな雰囲気に充ちた多彩なインディーロックのボーカルトラックの中には、鋭い感性に裏打ちされたモダン・ジャズとミラーボール時代のディスコ・ロックの中間点にある「Snakebit」のような楽曲がひときわ強烈な印象を放つ。ジュリアン・チャンは、スティーリー・ダンの「Aja」やプリンスの最盛期のような艶気のある中性的なボーカルを活かした楽曲でリスナーを魅了し、幻惑させてみせる。


「Snakebit」


 


続く「Time And Place」では、シド・バレット在籍時のピンク・フロイドのような独特なサイケデリアの中へ踏み入れていく。モダンフォークの要素を取り入れ、サイケとアンビエントの中間点を探る。しかし、驚くべきなのは、ジュリアン・チャンの楽曲は常にコントロールが効いているためか、自由奔放になったり、放埓の罠に陥ることはない。ここでは、みずからの感性を頼りにし、豊富な楽理知識に裏打ちされた楽曲進行が取り入れられている。さらに、次曲の「Bellarose」では、前曲のインディーフォークのアプローチにより強い焦点を絞り、それを感性豊かな楽曲へ昇華させようという意図も見受けられる。そして、その先鋭的な試みは、実際のところ、成功しており、聞き手を陶然とさせる甘美さと艶やかさの妙味を持ち合わせているのである。

 

一般的なアーティストの場合、作品の中盤から終盤に差し掛かると、ほとんど相手の手の内がすっかり明かされ、その作品がどのような指針を持って製作されたのか、おおよそ把握できるようになるが、まったく不思議なことに、ジュリアン・チャンのレコードは、そのかぎりではないのである。彼はこの終盤部において、リスナーをさらなる混迷の中に引き込み、華麗なマジックを目の前で披露するかのように、リスナーの集中力を絶えず惹きつける。むしろ、クライマックスで、このアーティストの曲が良く理解出来るようになるというよりも、さらに予測不能で不可解な部分も出てくるのが面白い。そう、音楽というのは、よくわからない部分があるからこそ魅力的なのだ。

 

「Ethical Exceptions」では、ローファイアーティストを彷彿とさせる楽曲に取り組んでおり、クラシックとは程遠い、ヒップホップ/ローファイヒップホップのアプローチをオルタナティヴ・ロックと劇的に融合させている。ここで、ジュリアン・チャンは、Part TimeやBlack Marble、Ariel Pinkのようなジャンク感のある音楽の方向性に挑み、現代的な米国の音楽文化を、クラシックやジャズのように、既に評価が確立されている音楽文化と対峙させる。これは、このアーティストが、それらの現代の音楽が、古典音楽やジャズと同等の価値を持つ音楽なのだと主張するかのようでもある。さらに、2ndアルバムのクローズを飾る「Competition's Friends」では、ビートルズのアート・ロック、ピンク・フロイドのサイケ・ロックを見事な形で現代に蘇らせている。


ボルチモアが生んだ鬼才--ジュリアン・チャンは、この作品で、過去と現代を一つの線で結ぼうとしている。『The Sale』はまさしく「温故知新」という故事を音楽表現として表したかのような味わい深い作品である。

 

 

 

92/100

 

 

Weekend Featured Track 「Competition's Friend」

 

 

Bleach Lab

 サウスロンドンのドリーム・ポップバンド、Bleach Labは、EP『If You Only Feel It Once』の全曲を11月4日に公開しました。ミニアルバムの全曲ストリーミングはこちらから。


 Bleach Labは、結成からデビューEPを発表するまでの4年間、サウスロンドンの4人組は、刻々と変化する実験的なビジョンに貢献するために厳選されたメンバーを徐々に獲得していった。

 

2017年、ベーシストJosh LongmanとギタリストFrank Watesのデュオとして結成された彼らは、その後ボーカリストJenna Kyleを迎え入れ、2021年の初めにドラマーのKieran Westonを迎えて現在の編成となった。

 

その数ヵ月後、デビューEP『A Calm Sense Of Surrounding』で世界に完全な自己アピールを行った。

 

同年末には、2nd EP 'Nothing Feels Real'を発表し、有名プロデューサーStephen Street (Blur, The Smiths)と共に、5曲がワイドスクリーンで夢のようなノイズを満載し、彼らの音楽性を前面に押し出し、プロジェクトの中心に存在する実験性を継続させたのだ。


3rd EP 『If You Only Feel It Once』は、彼らのレーベルであるNettwerkと契約して以来、初のリリースとなる。ダンカン・ミルズ(ピース、ザ・ヴァクシーンズ、ジェイク・バグ)がプロデュースしたこの作品は、歌詞の内容では後ろ向きではあるが、音楽の側面では、前向きなレコードである。バンドのKieran Westonは、次のように語っています。

 

「『If You Only Feel It Once』では、EP2の90年代的なサウンドの影響を保ちつつ、よりポップでモダンなサウンドに深化させたいと思ったんだ。『If You Only Feel It Once』は、その違いを見事に埋めていると思う」

 

さらに、Frank Watesは次のように付け加える。「新しいEPは、僕らが今ポップ・ミュージックを作ることについてどう感じているかをそのみ音にしている感じなんだ」


さらに、フロントパーソンのJenna Kyleは次のように語っている。


「歌詞は、家を見つけること、安全を感じること、人生における自分の道を見つけること、そして間違った物事や人々のために時間を使い果たす、または無駄にしているように感じるというテーマを多く取り上げている。

 

 これは、自分自身との内なる対話であり、私の意見では'それ'は主観的なもので、リスナーによって様々な意味を持つ可能性があるのです。

 

 しかし、私にとっては、'it'は'home'のことで、つまり、一度しかhomeを感じない場合のことです。このアルバムのタイトルトラックはかなりロームードなトラックであって、憂鬱な思考やかなり暗い歌詞で、テーマがはっきりして部分もありますが、自己反省的であるとともに、どこか勇気づけられるような意味合いも込められています」

 

 

 

 

 

 

 

Bleach Lab 『If You Only Feel It Once』EP

 


Label: Nettwerk Music Group

Release: 2022年11月4日


Tracklist:

 

1.I Could Be Your Safe Place

2.Take It Slow

3.Pale Shade of Blue

4.Obviously

5.If You Only Feel It Once

 


 ブルックリンのインディーロックバンド、The Antlersがニューシングル「Ahimsa」をリリースしました。このシングルは、昨年リリースされた「Losing Light」EPに続く作品となる。

 

この曲は仏教の "非殺傷 "という概念に対する瞑想として作られたもので、タイトルは "非暴力 "と訳した方がいいかもしれない」とピーター・シルバーマンは説明している。

 

「健康上の問題が山積する中、静かな一日を過ごしたいという願いから、自分自身のはかなさに向き合い、周囲の人々への思いやりを高めることに焦点を当てたのです。


しかし、最初のリリースから数年後、この曲は「No violence」というコーラスの即時性に近い意味を持ち、現代の混乱と一見避けられない暴言に対抗する賛美歌のようなものになっていると思う。


"Ahimsa "は、暴力的な世界の中に平和な空間を作り出そうとする試みです。死は私たち全員が共有する数少ない資質のひとつで、このことを認識することによって、私たちはお互いへの思いやりを見出すことができるかもしれない" というメッセージは変わらないが、その範囲はより広くなっている」

 

 


 オーストラリアのインディーロックトリオ、Camp Copeが、最新アルバム『Running With the Hurricane』からのエンディング・トラック「Sing Your Heart Out」のミュージック・ビデオを公開しました。

 

Natalie van den Dungenが編集を手がけたこの切ないビジュアルは、以下からチェックできます。


「Sing Your Heart Out」のミュージック・ビデオは、Georgia Maq、Sarah Thompson、Kelly-Dawn Hellmrichの人生に現れる愛を描いたものであり、Georgia MaqがFrightened Rabbitのファンであることも納得出来る。この曲の起源について、Maqは次のように説明しています。


 私のことを知っている人なら誰でも、Frightened Rabbitが私にとってどれだけ重要な存在であるか知っていると思います。

 

Camp Copeが初めてアメリカに飛んだとき、飛行機を降りてLAXの無線LANに接続したら、メッセージのリクエストにSimon Liddellという知らない人からのメッセージが入っていたんです。

 

そのメッセージには、ある人が亡くなる前にキャンプ・コープを聴いていてくれたこと、その人物がたくさんいいことを言っていたことが書かれていました。

 

私は、その場で涙がこぼれました。それでスコットランドに行ったとき、サイモンと彼のガールフレンドをライブに招待したら、一緒に来てくれて、以来ず、っと友達なんです。ツアー中やロックダウン中にサイモンが書いた曲の一部を送ってくれて、それを使って演奏していたんだけど、彼は小さなピアノパートを送ってくれて、それが『Sing Your Heart Out』の前半になったんだ。


Frightened Rabbitの元メンバーであるSimon Liddellは、「音楽を共有し、遠隔でコラボレーションすることは、ロックダウン中に友人たちとつながりを保つための素晴らしい方法でした。ジョージアにラフなピアノのスケッチを送ったら、彼女はとても美しい曲に仕上げてくれたんだ」と述べている。


 


 Botch、Minus the Bearのギタリストとして知られるDavid Knudson(デイヴィッド・クヌッドソン)が、11月11日にPlatoon/Seawallからリリースされる『Undo / Redo EP』を発表しました。

 

この発表に伴い、CursiveのフロントマンTim Kasherがボーカルを務める新曲「No Ways No Means」が公開されました。この曲は、CursiveのフロントマンTim Kasherがボーカルを務めています。


「Daveの曲を初めて聴いた時、とても前向きで、直接的で、ほとんど拮抗するようなギターリフだと感じたんだ」とKasherはプレスリリースで述べている。

 

「そして、このドラムはとても不気味です。この曲には、遊び心のある拮抗するようなものを加えようと思ったんだ...」


 「ティムの声、歌詞、表現は、とてもユニークで、面白く、パワフルで、ずるがしこく、シリアスなテーマであっても、その不条理さをウィンクして笑い飛ばすことができる。「このコラボレーションはとても自然でシームレスなもので、約20年の歳月をかけて実現しました。

 

私たちは、2003年にカーシブがマイナス・ザ・ベアを買収したときからの友人で、お互いの作品について経験や知識を共有しているため、とてもシンプルで素晴らしいものになりました。ティムの声はとてもユニークでパワフルな音域を持っている。

 

彼がこの超攻撃的な曲に取り組みたいと言ってくれたことがとても嬉しかった。彼が声を出すと、その激しさが伝わってくるし、これ以上の人はいないよ」


クヌッドソンのソロ・デビュー・アルバム『The Only Thing You Have to Change Is Everything』は、今年初めに発売された。

 




David Knudson 『Undo / Redo』 EP

 

 

Label: Platoon/Seawall

Release: 2022年11月11日

 

 

Tracklist:


1. No Ways No Means [feat. Tim Kasher]

2. Medalle Nightblind Remix [feat. Bayonne]

3. Shift-Command-Z

4. Jealous Time Steals [feat. Jake Snider] (Acoustic)


 

Interpol ©︎Ebru Yildiz


 Interpolが、最新アルバム『The Other Side of Make-Believe』から「Passenger」のPVを公開しました。Jamie McDonaldが監督したこのミュージックビデオは、以下からご覧いただけます。


プレスリリースで、Jamie McDonaldは次のように述べています。「"Passenger "は私に語りかけてきました。聴いた瞬間、インスピレーションを受けたんだ。このミュージックビデオのビジュアル的なアイデアは、熱病の夢のようなものです。潜在意識を探り、夢を掘り下げ、悪夢をさらに深く掘り下げていく。これは僕にとって本当に情熱的なプロジェクトなんだ」


『The Other Side of Make-Believe』は7月にMatadorから発売。8月には、Interpolが2003年のEP『The Black EP』を再リリースしている。

 

 

Girl Scout


 スウェーデン/ストックホルムの四人組、Girl Scoutは2022年にデビューを飾ったばかり。スカンジナビアフェスティバルへの出演を始め、今後、国内にとどまらず、ヨーロッパ全体で人気を獲得しそうなインディーロックグループとして注目です。来週のデビューUKヘッドライン・ツアーに先立ち、バンドは、ニューシングル「All The Time And Everywhere」を発表しました。


"この曲は、迷子の犬のように付いて回る不安について歌っている。"とバンドのEmma Janssonは説明している。

 

「常に緊張を感じていた時期に書いたもので、知らない人と一緒にいると無防備で居心地が悪くなるんだ。

 

その感覚は自分の延長線上にあるものに変わり、自分の体から切り離せたらと思う。結局はそれと折り合いをつけて、人生は時に不快なものであることに対処することを余儀なくされるのだと思います」

 

 

©Miriam Brummel 


 ロサンゼルスのインディーロック・トリオ、Cheekfaceが8月にサプライズでリリースした『Too Much To Ask』につづいて、このプロジェクトのB面の三曲を収録したEP『Don't Ask』を11月2日にリリースしました。こちらも前作と同様、サプライズでのリリースのようです。下記よりチェックしてみて下さい。

 

今回のリリースに際して、CheekfaceはSNSを通じて以下のようにコメントしている。「このバンドは謙虚に始まりました。私たちの歌に意味を見いだす皆さんがいることに衝撃を受けましたが、感謝しています。チーク・フェイスを選んでくれてありがとう」