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Tom Sinner

 The Smile/Sons of Kemetに在籍、そして、作曲家/プロデューサーとしても活躍するTom Skinner(トム・スキナー)がソロアルバム『Voices of Bishara』に収録される新曲「The Journey」を公開しました。


この曲はロンドンのチェルシー地区にあるセント・ルークス教会で撮影されたライブ映像とともに公開されています。Tom Herbert(アコースティックベース)、Kareem Dayes(チェロ)、Chelsea CarmichaelとRobert Stillman(テナーサックス)、Paul Camo(サンプル)が出演し、かなり刺激的なセッションとなっています。こちらも合わせて下記よりご覧ください。


新作アルバム『Voices of Bishara』は、11月4日に、Brownswood/International Anthem/Nonesuchからリリースされる予定です。以前、Tom Skinnerは、このアルバムの先行トラック「Bishara」を公開している。

 

 

「The Journey」


 

 

 

「The Journey Live at the St.Lukes Church」 

 

 


 

オーストラリアのジャズ・ファンク・バンド、Surprise Chef(スーパー・シェフ)は、ブルックリンの”Big Crown Records”と契約を結び、最新アルバム『Education & Recreation』をリリースすると明らかにしている。

 

『Education & Recreation』は10月14日にリリースされる予定。アルバム前の最新シングルとして、軽快なグルーヴの 「Iconoclasts 」が公開された。この曲は、LPのための8日間の集中レコーディングの最後、バンドが落胆して、ため息をつきそうになっていたことを反映しているという。

 

「この曲はレコーディングの約1年前に書いたものなんだけれど、当時はそのアイデアを実質的なものにアレンジするのにかなり苦労していた」と、バンドのLachlan Stuckey(ラクラン・スタッキー)は語っている。

 

「その時、僕らの精神状態は不安定で、スタジオで曲を組み立てようとしたんだけど、またしても上手くいかなかった。

 

でも、ありがたいことに、パーカッショニストのHudson Whitlock(ハドソン・ウィットロック)と、レコーディングエンジニアのHenry Jenkins(ヘンリー・ジェンキンス)は、当時の僕達よりも曲の形式を理解してくれていた。彼らはバンドの曲を仕上げるために曲のある部分の文脈をより深く掘り下げ、洗練性を高めてくれたんだ」


ニューシングル「Iconoclasts」は、子守唄のようなキーボードで始まり、柔らかいギターリフとともに、ヒップホップに近い独特のグルーヴに曲調を移行させていく、という内容となっている。

 

「この曲は、レコーディング中に個性的なエネルギーを持つようになった。それは、私たちが非常に苦心していたことと、この曲を完成させたらセッションを終了しても良いというような最後のひと押しのような考えがあったからなんだと思っている」

 


昨年まで、トム・スキナーはSons Of Kemetのドラマーとして、またロンドンのクリエイティブなジャズシーンで最も多作なミュージシャンの一人として知られていました。この1年ほどの間に、スキナーはさらに有名になった。

 

彼はRadioheadのThom YorkeとJonny Greenwoodと共にSmileを結成し、そのバンドは素晴らしいデビューアルバム「A Light For Attracting Attention」をリリースした。(Skinnerは今日リリースされたばかりのBeth Ortonのニューシングル "Fractals "にも参加している)。そして今、スキナーはその作品に続いて、自身のニューアルバムを発表する。


この秋、トム・スキナーは新しいソロ・アルバムをリリースすると発表しました。『Voices of Bishara』は11月4日にNonesuch/International Anthem/Brownswoodからリリースされます。


スキナーは、シャバカ・ハッチングス、ヌビヤ・ガルシア、カリーム・デイズ、トム・ハーバートなど、ジャズ界の大物ミュージシャンとともに、このアルバムをレコーディングしている。スキナーは、オープニングトラック「Bishara」を公開しました。


この曲は、ムーディーに始まり、途中でフリージャズ性が一挙に噴出し、その緊張を解き放つものです。


アルバムタイトルは、チェリストAbdul Wadudの1978年のソロアルバム『By Myself』にちなみ、WadudのレーベルBisharraからプレスされ、アラビア語で「良い知らせ」「良い知らせの持ち主」という意味だそうです。


"このレコードは、不正直さと偽情報が増加する時代に、コラボレーションとコミュニティを通じて、何か真実のものを世に送り出す試みである "と、トム・スキナーは声明で述べています。


「ビシャラは良い知らせをもたらす人という意味であり、このアルバムに参加するミュージシャンは私にとって非常に大切な人たちだ。私たちはこの考えに敬意を表し、暗闇が広がっているところに集団で光を広げるつもりでいる」


以下より、「Bishara」の試聴と、アルバムのトラックリストをご覧ください。





Tom Skinner 『Voices of Bishara』




Label: Nonsuch/International Anthem/Brownswood Recordings
 
Release: 2022年11月4日 



Tracklist:


1 “Bishara” 
2 “Red 2” 
3 “The Journey” 
4 “The Day After Tomorrow” 
5 “Voices (Of The Past)” 
6 “Quiet As It’s Kep

Matthew Halsall 『The Temple Within』EP
 


 

Label:    Gondowana Records

 

Release:  2022年8月26日


Listen/Buy



Review


マンチェスターを拠点に活動するトランペット奏者、Matthew Halsallの最新EP『The Temple Within』は、2020年に発表されたフルアルバム「Salute to the sun」の後、イングランド北部で行われた刺激的なセッションを元にして生み出されたモダン・ジャズの傑作です。

 

このアルバムのタイトルは、ジャズの巨匠アリス・コルトレーンの言葉に因んでおり、教会や修道院、アシュラムのレンガやモルタルではなく、自分の精神の中に空間があるという意味が込められています。


レコーディング・セッションでは、ハルソールが当時結成したばかりの地元ミュージシャンを起用し、毎週のリハーサルとマンチェスターのYesでの月例レジデンスに集った。彼らは、スピリチュアル・ジャズ、英国ジャズの伝統、進歩的なワールドミュージック、エレクトロニカの影響を受け、共同作業のサウンドを作り出しました。この月例セッションに触発され、彼らは北イングランドの文化に根ざしながら、グローバルなインスピレーションを引き出した音楽を作り上げていきました。Halsallにとって、『The Temple Within』の音楽は、これらのセッションの精神を完璧に捉えています。ハルソールはこのアルバムについて以下のように説明しています。


「バンドとしてだけでなく、地元のコミュニティとのつながりができたことに、とても興奮したんだ。毎月のセッションには、さまざまな年齢層の人たちが集まってきます。


そして、この音楽は、まさにその典型です。私にとっては、本当に完璧な音楽のポケット、完璧な瞬間のように感じます。アルバムにすることも考えたんだけど、結局はこのままがいいし、この瞬間のエネルギーを、ライヴにいる人たちだけでなく、世界中のファンやリスナーなど、より広いコミュニティと共有したかったんだ」

 

 

このEPでは、ハルソールのトランペットが先導役をつとめ、その他にも、ピアノ、フルート、サックス、ハープ、エレクトロニクス、パーカーション、ドラムと様々な楽器がセッションの中に取り入れられています。2000年代から、アフリカ、アジア、他にもイスラム圏の音楽文化を取り入れたエキゾチック・ジャズの潮流を形成する一派がジャズシーンに出てきましたが、ハルソールとセッションメンバーはこれらの流れを汲んだ西洋的なジャズとは異なるアプローチに取り組んでいきます。オープニングトラック及びタイトルトラックでもある「The Temple Within』ではアフリカの民族音楽のリズムを大胆に取り入れ、他にもシタールの響き、リズミカルなピアノが導入され、そこにハルソールのノルウェージャズのアプローチのように枯れたミュートを取り入れたハルソールのトランペットの卓越した演奏技法がキラリと光る一曲となっています。

 

「Earth Fire」は、ハープの前衛的なトリルの技法を導入した楽曲で、マシュー・ハルソールは一曲目と同じように、リード的な立ち位置でセッションメンバーの演奏を牽引していきますが、彼のスタイリッシュなソロを通じて、ピアノ・ソロ、 ダイナミックなドラムソロと複数の楽器パートへリードの引き渡しが行われ、英国内のジャズシーンの洗練性を引き継いだモダン・ジャズの刺激的なライブセッションが繰り広げられ、演奏を目の前で見ているかのような迫力を堪能することが出来ます。

 

上記二曲のモダン・ジャズの雰囲気から一転し、三曲目の「The Eleventh Floor」では、イントロの銅鑼のパーカッションが印象的で、アラビア風の音階(スケール)を大胆に取り入れられています。ここでは、一曲目よりもシタールの響きが効果的に導入され、ハルソールの演奏は艷やかさに溢れ、さらに東洋的なエキゾチズムを演出し、2000年代、一時期隆盛を極めたエキゾチック・ジャズの領域にセッションメンバーは踏み入れています。そういったアジアンテイストな雰囲気のシークエンスが繰り広げられる中、マシュー・ハルソールのトランペットのレガートの演奏は高らかで伸びやかであり、マイルス、エンリコ・ラヴァといった巨匠の演奏に象徴されるモダン・ジャズの流れを汲んだダイナミックなブレスの演奏が繰り広げられていきます。

 

このミニアルバムの中で特に聞き逃す事が出来ないのが4曲目収録の「A Japanese Garden in Ethiopia」で、題名にも表れている通り、日本の「四七抜き」音階を取り入れた落ち着いた侘び寂びの雰囲気を演出する。ハルソールのトランペットは、日本の民族音楽楽器の尺八のような枯れた響きを導入し、さらにハープのグリッサンドの劇的な使用は、 四度、七度の音階を避けていることもあってか、大正琴のような艷やかで色彩的な響きをもたらすことに成功しています。この曲で、ハルソールは、ノルウェー・ジャズのトランペット奏者、アルヴェ・ヘンリクセンのように、トランペットの前衛性を追求した最新鋭の演奏技法を組み入れていることに注目です。

 

マシュー・ハルソールは、プレスリリースを通じて、この作品をフルアルバムにすることも念頭においていたものの、これくらいの長さがちょうどよいと感じた、との趣旨の説明を行っていますが、それらのコンパクトに企図されたジャズサウンドは濃密な内容となっており、何度も聴き返したくなる深い情緒を持ち合わせています。マシュー・ハルソール、セッションメンバーは、イングランド北部の様々な年代の演奏者を介して生きた音をマンスリー・セッションから汲み取り、東洋のエキゾチックな雰囲気を交え、それらの特異な音楽的空間を瞬間的に体現してみせています。

 

92/100






 

 

Photo: Bartek Muracki

高田みどりが1999年に発表したアルバム「Tree Of Life」を、WRWTFWWレコードより11月4日にレコードで再発する。高田は現代音楽/実験音楽/ジャズの領域で活躍する日本のパーカーション奏者です。


これまでCDバージョンでリリースされていたこのアルバムが、レコードとして発売されるのは今回が初めてとなる。このレコードのリイシューは、ハーフスピードでマスタリングされています。


この作品のオリジナル盤は、1983年のデビュー作『Through The Looking Glass』から16年後にリリースされた高田のソロ第2作としてダイキサウンドから発表されている。それほど一般的な作品とは言いがたいものの、日本のジャズシーンの隠れた傑作として知られる作品である。


仏教音楽の伝統性を取り入れたパーカッション奏者として、さらにはミニマル、アンビエントのパイオニアの一人である高田みどりは、この1999年の2ndアルバムにおいて、ソフトドラム、ベル、マリンバといった打楽器を駆使し多彩なアプローチを行っている。また、中国の伝統的な弦楽器、二胡を演奏する上海の演奏家、Jiang Jian-hua(姜 建華)がレコーディングに参加している。 


「Tree Of Life」のリイシューは、高田が6月に同じく、”WRWTFWW”からリリースした2枚のソロアルバムに続くものとなる。アートワークとトラックリストは以下をご参照ください。



Midori Takada 「Tree Of Life」 Reissue


 

Tracklist:

1. Love Song Of Urfa
2. Tan Tejah
3. Tayurani
4. Wa-Na-Imba
5. Modoki 1 (Futa-Aya-Asobi )
6. Awase 1 (Futa-Aya-Asobi)
7. Yukiai (Futa-Aya-Asobi)
8. Awase 2 (Futa-Aya-Asobi)
9. Orifusi (Futa-Aya-Asobi)
10. Modoki 2 (Futa-Aya-Asobi)
11. Awase 3 (Futa-Aya-Asobi)
12. Usuyo (Futa-Aya-Asobi)


 

Photo: Dorothy Darr

 9月23日、チャールズ・ロイドは「Trios:Ocean」をブルーノートからリリースします。これら六月から十一月にかけて3つのリリースを通じて繰り広げられる「Trio of Trios」シリーズは、伝説的なサックス奏者で、NEAジャズ・マスター、チャールズ・ロイドを3つの異なるトリオ編成で紹介する壮大なプロジェクトとなっている。

 

今回、シリーズ二作目となるアルバム「Trios: Ocean」のリリース発表と同時に、ピアニストのジェラルド・クレイトン、ギタリストのアンソニー・ウィルソンが共演するシングル「Jaramillo Blues (For Virginia Jaramillo and Danny Johnson)"」が先行公開されました。ぜひ下記よりチェックしてみてください。

 



3つのTrioシリーズ第1弾のアルバム「Trios: Chapel」は、6月24日に発売されている。このアルバムは、ギタリストのビル・フリゼール、ベーシストのトーマス・モーガンをフィーチャーしている。「Trios: Chapel」「Trios:Ocean」に続く第三弾のアルバム「Trios:Sacred Thread」は11月18日に発売。この作品はギタリストのジュリアン・レイジとパーカッショニストのザキール・フセインをフィーチャーしている。 

 

 

以上の三部作のアルバムは、ヴァイナルとCDで個別に発売されるほか、ブルーノートストア限定で、3枚組LPヴァイナル・ボックスセットとして注文可能となっている。これら三枚のアルバムを収めた「Trio of Trios」のレコードボックスセットには、ドロシー・ダーによる3枚の印象的なアルバムジャケットをモチーフにした4枚のリトグラフプリントが付属、さらに、ボックスセットのアートワークのサイン入りリトグラフが入ったハードカバースリップケースに収められている。


今回のトリオ・シリーズ第二弾となる「Trios:Ocean」は、チャールズ・ロイドの故郷であるカリフォルニア州サンタバーバラにある、150年の歴史を持つロベロ・シアターでレコーディングが行われた。世界的なパンデミックが始まった、2020年9月9日に無観客開催のライブ配信が録音されている。この公演において、ロイドは、ピアノのジェラルド・クレイトン、ギターのアンソニー・ウィルソン、有名なミュージシャンを父に持つ2人のミュージシャンと共演を果たしている。ジェラルド・クレイトンは西海岸の伝説的ベース奏者、ジョン・クレイトンの息子である。一方のアンソニー・ウィルソンもまた著名なバンドリーダー、トランペッター、作曲家のジェラルド・ウィルソンの息子であり、かつて、チャールズ・ロイドは10代でメンフィスから南カリフォルニア大学に留学したとき、ウィルソンのビッグバンドで演奏した経験がある。

 

ロイドの音楽のボキャブラリーの中には、常にブルースミュージックが織り込まれており、その影響は、時にあからさまに、時にひそやかに現れるが、今回発表されたシングル"Jaramillo Blues "ではその双方の影響が顕著に現出している。画家・ヴァージニア・ジャラミロ、そして、彼女の夫で、彫刻家、ダニエル・ジョンソンに捧げられたこのシングル作品では、チャールズ・ロイドが、ハウリン・ウルフ、ボビー・ブルー・ブランド、B・B・キング、といったブルースの巨匠と一緒に演奏した10代のバックグラウンドまで時系列で遡ることが出来る。ジェラルド・クレイトンの明るく朗らかなギターのコードが、チャールズ・ロイドのブレスへの導入部となっており、演奏のムードとトーンを作り上げていく、かなり楽観的な色合いの強いジャズブルースである。



チャールズ・ロイドは長い期間、自由な精神を保持する演奏家であるのみにとどまらず、ジャズシーンのマスター・ミュージシャンであり、そして、素晴らしい空想家でもあった。60年以上にわたり、このサックス奏者兼作曲家は、「The Water Is Wide」(ECM)を始めとする名作群において、モダンとクラシックの架橋するようなサックス奏者として、ジャズシーン、ひいては音楽界そのものに大きな影を落としてきたが、84歳になった今でもその力はまったく衰え知らずで、相変わらずの多作ぶりを見せている。チャールズ・ロイドは、早い時代から、興味深い独創的な即興ソロをジャズの演奏のコンテクストに置くことがいかに表現自体に自由をもたらし、創造性を刺激するかを見抜いていた。ロイドはその素晴らしいキャリアを通じて、自分の即興技術を枠にはめる別の方法を真摯に探し求め続けている。


イギリスのジャズ・グループ、Ezra Collective(エズラ・コレクティブ)がニューアルバム「Where I'm Meant To Be」をPartisan Recordsより11月4日にリリースすることを発表しました。


デビュー作『You Can't Steal My Joy』の次作アルバムで、最近のシングル "Victory Dance "も収録されています。Where I'm Meant To Beには、Kojey Radical、Emeli Sande、Nao、Sampa The Greatが参加しています。


ザンビア出身のラッパー、Sampa The Greatは、アルバムのニューシングル "Life Goes On "において、Ezra collectiveと共演を果たしている。この曲は、Fela Kutiの1972年のレコード 「Shakara Oloje」を意識したものであり、Nathan Millerが監督したミュージックビデオは、ロンドンとザンビアのルサカで撮影された。バンドは次のように説明している。



ロンドンとルサカの出会い。喜びの瞬間、葛藤の瞬間、しかし、私たちは続けなければならないという精神で結ばれている。人生は歩み続けなければならない...。私たちは、ジャズとミックスできるものの限界を押し広げようという一貫した意志を持って音楽を作っています。

 

これは、南部アフリカのヴァイブスのエネルギーと、私たち独自のスタイルのロンドン・ジャズをミックスしたものです。そして、この美しさを表現するのに、サンパ・ザ・グレートの右に出る者はいない。


アフロビート、ロンドン・ジャズ、ヒップホップがスリリングにミックスされた「Life Goes On 」を聴くかぎり新作アルバムは期待出来る作品になるかもしれません。新曲のビデオ、全トラックリスト、さらに、セロニアス・モンクのアルバム『アンダーグラウンド』を引用したアルバム・アートワークは、以下よりご覧ください。


「Life Goes On 」

 



Ezra Collective 「Where I'm Meant To Be」




Label: Partisan

Release: 2022年11月4日


Tracklist:


1. Life Goes On (feat. Sampa the Great)
2. Victory Dance
3. No Confusion (feat. Kojey Radical)
4. Welcome To My World
5. Togetherness
6. Ego Killah
7. Smile
8. Live Strong
9. Siesta (feat. Emeli Sandé)
10. Words by Steve
11. Belonging
12. Never The Same Again
13. Words by TJ
14. Love In Outer Space (feat. Nao)   

Phoro: Fabrice Bourgelle

ロンドンを拠点にするジャズ作曲家Sarathy Korwarは、新作アルバム『Kala』をLeaf Labelから11月11日にリリースすると発表しました。『Kala』はフューチャージャズとして注目しておきたい作品となります。

 
このニュースを記念して、Sarathy Korwarは新曲「Utopia Is A Colonial Project」を公開し、振付師でダンサーとして活躍するBotis Sevaが出演するEliott Gonzo監督によるヴィジュアルが到着している。また、アルバムのジャケット(Sijya GuptaとFabrice Bourgelleによる)とトラックリストは以下よりご確認下さい。


「ユートピア思想は、そもそも植民地化のための1つの図式として見ることができます」とコルワーはプレスリリースで説明しています。
 
 
「ユートピアのアイデアは、入植者の植民地主義という考え方と本質的に直結している。それは自然界を生きている感覚を持った存在ではなく、無生物の資源として見なすことから来ている。
 
私たちは、反ユートピア主義、反ディストピア主義である必要がある。南アジア、その他の地域の右翼ポピュリスト政治家が売り込んでいるような「ユートピア思想」とはまったく異なる未来を想像することが必要です」

 
アルバム『KALAK』は、プロデューサー・Photayと共に”Real World Studios”で録音が行われた。
 
 
シンセサイザーにThe Comet Is ComingのDanalogue、バリトン・サックスに、Tamar Osborn、ピアノに、Al MacSween、パーカッションにMagnus Mehta、ボーカルにMelt Yourself DownのKushal Gaya、インド/ムンバイ在住のプロデューサー・Noni-Mouseといった面々がレコーディングに参加しています。
 

Sarathy Korwarは、この次作アルバム『Kala』の制作の背後にあるアイデアについて詳らかにしている。

フューチャリズムをめぐる言説は、しばしばヨーロッパ中心主義の世界観に深く根ざしています。

 

アフロ・フューチャリズムのように、インド・フューチャリズムは、今やグローバル・サウスに焦点を当てようとしています。南アジアでは、文化的に、未来や過去との関係を、循環の考え方の中で思い描いている。例えば、概念としてのカルマなどがそうです・・・。時間は一直線に流れるのではなく、円環状に流れていると理解することができるわけです。

 

音楽では、左から右、上から下という話になると、ある固有のヒエラルキーがあるように感じられます。私は、このアルバム制作において円形のリズム表記法を考え始めた。そのパターンが持つ象徴性について考えれば考えるほど、それがこのアルバムの核心になることに気づいたんです。

 

 

 1st single 「Utopia Is A Colonial Project」:


以下のMVはホラーテイストですので苦手な方はご視聴をお控え下さい。


 





Sarathy Korwar 『KALA』





Tracklist:
 

1. A Recipe To Cure Historical Amnesia
2. To Remember [feat. Kushal Gaya]
3. Utopia Is A Colonial Project
4. Back In The Day, Things Were Not Always Simpler [feat. Noni-Mouse]
5. The Past Is Not Only Behind Us, But Ahead Of Us
6. Kal Means Yesterday And Tomorrow
7. Remember Begum Rokheya
8. That Clocks Don’t Tell But Make Time [feat. Kodo]
9. Remember Circles Are Better Than Lines
10. Remember To Look Out For The Signs
11. KALAK – A Means To An Unend



Photo: Daniel Yohannes

キース・ジャレットの最後のフランスでのソロ・コンサートが、この秋、ECMレコードから9月30日に発売される『ボルドー・コンサート』で世界と共有されることになった。このアルバムは、先駆的なジャズ・ピアニストが2016年7月6日にボルドー国立歌劇場公会堂で行った公演を記録したものです。


ジャレットは、過去半世紀にわたり、ポストバップの先駆的なピアノ・アプローチでジャズ・スタンダードの再定義に多くの時間を費やしてきたが、特にベーシストのゲイリー・ピーコックとドラマーのジャック・デジョネットを中心としたスタンダード・トリオで、彼は常に即興演奏に特別な才能を発揮していた。彼のフリーフォームのコンサートは、ジャレットのキャリアだけでなく、ジャズ界でも最も有名である。

 

キース・ジャレットのボルドーでの演奏は、その遺産に恥じないものでした。彼は13のパートからなる即興演奏の組曲を繰り広げ、幅広いダイナミクス、様式美、そして感情的なムードを表現している。当時、フランスの批評家の中には、この公演を、アルバムとしてリリースされ、ピアニストのキャリアの軌道を変えたジャレットの画期的な1975年のケルン公演と好意的に比較する者もいたほどだった。


フランスのル・モンド誌の批評でフランシス・マルマンドは、この演奏について「彼はこれまで弾いたことのないもの、誰も弾く勇気のなかったもの、...誰も二度と弾かないであろうものを弾いている...」と書いている。

 

また、StereophileのRichard Lehnertは、Bordeaux Concertの直前に録音されたミュンヘン2016年の即興ライブアルバムを取り上げた際、「彼の優雅さ、抑制、自由、厳格さ、豊かさ、暗示の幅、心からの深さ、狂想曲の高さ、情熱的な音楽の知性、厳格に鍛えられた表現力、その場で発明した形の展開、凝縮された輝き、そのすべてを衰えない技術の完成度で実行しているので驚き、ときに圧倒される。他の誰もこれに匹敵することはできない。今まで誰もやったことがない」と批評している。 

 



しかし、このリリースにはいくらかのほろ苦さをおぼえるファンが多いのも事実である。2018年、御存知の通り、キース・ジャレットは、2度の脳梗塞に見舞われ、以前のように軽やかな演奏ができなくなったジャレットの未来に、以前のような形でのコンサートは期待できないかもしれない。

 

それでも、ジャレットのファン、ひいては、ジャズのファンにとって救いをもたらすのは、このピアニストが築き上げた膨大な録音遺産、バックカタログに触れられること、そして、ジャレットの天才的な音楽性を思い出させてくれる光り輝く作品がもう間もなく登場することである。


『ボルドー・コンサート』のデジタルとCDに続いて、10月14日には2枚組LPのレコードが発売される。


「Bordeaux Concert』は、ECMから9月30日に発売されます。


 

© Michele Giotto


二人のジャズ奏者、Enrico Rava(エンリコ・ラヴァ)、Fred Hersch(フレッド・ハーシュ)は、共作アルバム『The Song Is You』 をECM/Universal Musicから9月9日にリリースすると発表した。7月29日、このアルバムの先行シングルとして「Retrato em Branco e Preto」 が公開されている。

 

この新作アルバム『The Song Is You』 は2人のマスター・インプロヴァイザーのインスピレーションに満ちた出会いを記録したものとなる。


イタリア人トランペッター、フリューゲルホーン奏者のエンリコ・ラヴァ、そして、米国人ピアニストのフレッド・ハーシュは、この新作で音楽の歴史への愛を共有し、ジェローム・カーンの「The Song Is You」、セロニアス・モンクの「Mysterioso」「Round Midnight」、カルロス・ジョビンの「Retraato em Branco e Preto」、ジョージ・バスマンの「I'm Getting Sentimental Over You」などのスタンダード曲を共に探求しています。


また、フレッドの「Child's Song」、エンリコの「The Trial」という自作曲も演奏し、二人で自由に音楽を作り上げている。ジャズがこのような理解と相互作用のレベルに達したとき、演奏は素材というよりも、それがどんなに優れたものであっても、解釈者がそれに何をもたらすかということに意味を持つようになる。ラヴァとハーシュは、ストーリーテラーの芸術としてのジャズの即興演奏について、豊富な経験と研ぎ澄まされた感覚を持ち合わせています。



エンリコ・ラヴァは、1970年代からECMに所属し、リリースを重ねてきました。『The Pilgrim And The Stars』は今やモダンジャズの古典とみなされている。フレッド・ハーシュは、ノンサッチ、パルメット、サニーサイドなどのリーダー・アルバムに続いて、このレーベルから初めて作品を発表しました。


ハーシュは、長い演奏家としてのキャリアを通じて、デュオという楽器に非常によく戻ってきた。回顧録『Good Things Happen Slowly』の中で、彼はこの形式を好んでいたことを振り返っている。


「デュオは、キーボード全体を使って一度に複数のことができる私の能力に合っていた。また、左手でブロックコードを弾くだけでなく、音楽をオーケストレーションすることもできた。(2つ以上の独立したメロディラインが同時に進行する、自発的対位法への愛に浸ることができました。大音量からピアニッシモまで即座に対応できる。それは共同作業であると同時に、親密なものでもあります。相容れないといけないが、それぞれのミュージシャンがユニークなものを提供できるような違いも必要だ」  (エンリコ・ラヴァのディスコグラフィーには、ステファノ・ボラーニとの『第三の男』など、注目すべきデュオもある)


 
2021年11月の『The Song Is You』のレコーディングは、その年の初めにイタリアで行われたわずかな日程に続いて行われた。しかし、その最初の段階から、何か特別なことが起こっていることは明らかだった。


フレッド・ハーシュは言う。「私が最初からとても気に入ったことのひとつは、エンリコがソロでなければならないとは感じていないことです。明確に定義されているわけではないんだ」さらにフレッドはインタビュアーのニコラ・フェラウトに、「僕たちは一緒に物事を作っているんだ」と言った。「彼は、僕がそこに入っていって、ちょっとだけ彼をプッシュするのを許してくれる。また、私が彼に多くのスペースを与えることもある。最高のデュオ・パートナーとは、あまり多くを語らなくてもいいものなんだ。ただプレーするだけです。そして、このコンビは長い付き合いになりそうな予感がします。エンリコは偉大なマスターだしね」




1939年にイタリア/トリエステで生まれ、トリノで育ったエンリコ・ラヴァは、マイルス・デイヴィスやチェット・ベイカーに影響を受け、早くからジャズトランペットに親しんできた。1960年代の国際的なフリージャズ界で活躍し、スティーブ・レイシーの『森と動物園』、カーラ・ブレイの『丘を越えるエスカレーター』、マンフレート・ショーフの『ヨーロピアンエコーズ』など歴史的に重要な録音に貢献している。しかし、エンリコ・ラヴァの音楽における自由の概念は、その重要な要素の一つとして叙情性を包含している。これは彼の芸術的冒険のすべてにおいて不変のものであった。イタリアン・ジャズを代表するアーティストとして知られ、ヨーロッパ最大のジャズ・ミュージシャン賞であるJazzparをはじめ、数々の賞を受賞している。2011年には、50年にわたる音楽活動を振り返った『Incontri con musicisti straordinari』を出版している。


最近のECMからのリリースでは、エンリコ・ラヴァのライブアルバム2枚がある。両アルバムには、エンリコを師と仰ぐ多くの若手演奏家の一人であるピアニストのジョヴァンニ・グイディも参加している。

 

一方のピアニスト、フレッド・ハーシュは1955年に米国シンシナティに生まれ、ニューイングランド音楽院でジャキ・バイアードやジョー・マネリらの指導を受けた。1977年にニューヨークに移り、アート・ファーマー、ジョー・ヘンダーソン、スタン・ゲッツらと仕事をするようになった。1984年の『Horizons』では、マーク・ジョンソン、ジョーイ・バロンとのトリオを発表し、ハーシュは独立したオリジナルなピアノ奏者として認知されるようになった。デュオ演奏にも積極的で、アナト・コーエン、ビル・フリセル、ジュリアン・レイジ、クリス・ポッター、アヴィシャイ・コーエン、ミゲル・ゼノンらとコラボレーションを行った。ソロ活動も盛んで、2006年にはニューヨークのヴィレッジヴァンガードでソロピアニストとして1週間の公演を行った最初のアーティストとなった。


フレッド・ハーシュは、2003年にウォルト・ホイットマンの詩に題材を取った「Leaves of Grass」、2010年のマルチメディアプロジェクト「My Coma Dreams」、2022年1月にカーネギーホールでイゴール・レビットによって初演された「Variations on a Folksong」などの作曲も高く評価されている。フレッド・ハーシュの回顧録『Good Things Happen Slowly』は、ジャズ・ジャーナリスト協会による『ブック・オブ・ザ・イヤー』に選ばれ、このピアニストが獲得した重要な賞のうちのひとつとなった。



『The Song Is You』は9月9日にECM/Universal Musicから発売される予定です。2021年11月にスイス・ルガノのコンサートホール”Auditorio Stelio Molo RSI”で録音され、ECMを主宰するManfred Eicher(マンフレッド・アイヒャー)がプロデュースを手掛けている。


 

The Comet Is Coming. Portraits by Bourgelle; edit and graphics by Veil Projects


Danalogue(ダン・リーヴァース)、Shabaka(シャバカ・ハッチングス)、Betamax(マックス・ハレット)からなるロンドン拠点のジャズレイヴ・トリオ、The Comet Is Comingが、次作『Hyper-Dimensional Expansion Beam』を発表し、この告知と同時にニューシングル「CODE」を公開しています

 

2019年の『The Afterlife』に続くこの作品は、9月23日に、Impulse!からリリースされる。公開解禁となったアルバム・ジャケット、「CODE」のヴィジュアルを以下でチェックしてみて下さい。


『Hyper-Dimensional Expansion Beam』は、Genesisのピーター・ガブリエルの”Real World Stidio”で、The Comet Is Comingの共同エンジニア、クリスティアン・クレイグの協力のもとレコーディングが行われた。4日間にわたるレコーディング後、DanalogueとBetamaxは、素材をサンプリングし、アレンジを行った。

 

プレスリリースによると、次作アルバムは、「テクノロジー、人類、霊性、そして、宇宙のつながりの未来についての音楽的メッセージ」を表現しているそうです。





The Comet Is Coming『Hyper-Dimensional Expansion Beam』

 

Artwork


1957年9月15日、ジョン・コルトレーンは、ニュージャージー州ハッケンサックにあるルディ・ヴァン・ゲルダー氏のリビングルームのスタジオに入り、「ブルー・トレイン」を録音した。

 

この作品は、ジョン・コルトレーンがアルフレッド・ライオンと交わした握手契約の成果であり、伝説のサックス奏者がブルーノート・レコードのリーダーとして行った唯一のセッションとなった。

 

ブルージーなタイトル曲に象徴される歴史的傑作は、トランペットのリー・モーガン、トロンボーンのカーティス・フラー、ピアノのケニー・ドリュー、ベースのポール・チャンバース、ドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズというダイナミックなセクステットが参加して5曲を収録した。『ブルー・トレイン』は、ジョン・コルトレーンを自然なる力の存在として確立し、史上最も尊敬され、影響力のあるジャズ・アーティストの一人になるための道筋を示したのである。

 

このオリジナルアルバムの録音から65周年を記念し、ブルーノートのTone Poet Audiophile Vinyl Reissue Seriesの一環として、「Blue Train」は2種類の特別版で9月16日にリリースされる。

 

オリジナル・アルバムの1LPモノラル盤は、豪華なゲートフォールド・チップオン・ジャケットに収められる。2LPステレオ盤、『Blue Train: The Complete Masters』には、7つの未発表テイクが収録される。そのうち、4つが未発表音源となる。また、コンプリート・マスターズ・バージョンには、フランシス・ウルフによる未公開のセッション写真、ジョン・コルトレーンの専門家であるアシュレイ・カーンによるエッセイが掲載されたブックレットが特典として付属している。

 

”Tone Poet Vinyl Edition”は、いずれもJoe Harleyがプロデュースし、Kevin Grayがオリジナルのアナログ・マスターテープからマスタリング、RTIで180gのビニールとしてプレスされる。『Blue Train: The Complete Masters』は、2枚組CDとデジタルコレクションとしてもリリースされる予定だ。


『ブルー・トレイン』のオリジナル・マスターテープ(モノラル、ステレオ、別テイク)を聴くことのスリルに匹敵するスタジオ体験は他では得ることが出来ない」とジョー・ハーレイは話している。「私はこの2つの新バージョンを、ジョン・コルトレーンのこの名演の決定版であると考えています」

 

『ブルー・トレイン』は、ジョン・コルトレーンのキャリアにおいてきわめて重要な瞬間に誕生した。1957年、ヘロイン中毒のため、マイルス・デイヴィス・クインテットを解雇され、ジョン・コルトレーンは精神的などん底にあった。しかし、その後、セロニアス・モンクとファイブ・スポット・カフェで夏の長期滞在をしたことを契機に、ヘロインをすっぱり断ち切ったコルトレーンは劇的な復活を遂げ、再び、情熱的で、神がかりの演奏をするようになったのである。

 

1957年の終わり、ジョン・コルトレーンは、マイルス・デイヴィスのカルテットに再雇用され、最初の代表作、本人も深く誇りに思うアルバムを制作した。この作品を自身のカタログの中で、コルトレーンはどのように位置づけているのか、それは、コルトレーンの専門家であるアシュレイ・カーンが自らのエッセイで次のように語っていることからもわかる。「ブルー・トレインは、常に、自己批判的で控えめなコルトレーンが最も高く評価する録音であった。1960年、マイルス・デイヴィスとの最後のツアー中、スウェーデンのDJがコルトレーンに、彼のカタログの中でどの作品が一番好きかという質問に対して、コルトレーンは即座に答えた。『ああ、自分はブルートレインが好きだよ。いいバンドが入ってるんだもの。いい録音だったな」と。



 



John Coltrane – Blue Train: The Complete Masters

 

 


Label:  Blue Note

Release:  2022年9月16日


Side A

Blue Train (Coltrane) – 10:43

Moment’s Notice (Coltrane) – 9:10

Side B

Locomotion (Coltrane) – 7:14

I’m Old Fashioned (Kern-Mercer) – 7:58

Lazy Bird (Coltrane) – 7:07

Side C

Blue Train false start * – 0:21

Blue Train alternate take 7 * – 7:09

Moment’s Notice alternate take 4 * – 7:19

Side D

Lazy Bird alternate take 1 – 9:22

Blue Train alternate take 8 – 10:27

Moment’s Notice alternate take 5A (incomplete) * – 5:08

Lazy Bird alternate take 2 – 7:29

*previously unreleased

 

 

John Coltrane, tenor saxophone

Lee Morgan, trumpet

Curtis Fuller, trombone

Kenny Drew, piano

Paul Chambers, bass

Philly Joe Jones, drums

 

 

Original Session Produced by ALFRED LION

Recorded on September 15, 1957, at Van Gelder Studios, Hackensack, New Jersey

Recording Engineer RUDY VAN GELDER

Cover Design by REID MILES

Photography FRANCIS WOLFF

LP Supervision by JOE HARLEY

LP Mastering by KEVIN GRAY, Cohearent Audio



 


ジャズ界の巨匠、Sun Ra Arkestra(サン・ラ)は、今年の10月7日にOmni Soundより『Living Sky』というタイトルの新譜をリリースします。今年98歳になったアルトサックス奏者マーシャル・アレンが指揮を執るこの新録音には、19人のミュージシャンが参加しています。


この発表と同時に、サン・ラはアルバムからのファースト・シングル「Somebody Else's Idea」を公開した。


 


この曲「Somebody Else's Idea」はサン・ラーによって書かれたもので、1955年に録音され、1970年に再び録音された(1971年の『My Brother The Wind, Vol II』に収録された)。この曲は、ジューン・タイソンのヴォーカルを除いたインストゥルメンタルの形で初めて収録された。


『Living Sky』は、2021年にリリースされた前作『Swirling』に続く作品です。アートワークと全トラックリストは以下よりご覧ください。



Sun Ra Arkestra『Living Sky』





Tracklist

A1. Chopin (Frédéric Chopin)
A2. Somebody Else’s Idea (Sun Ra)
B1. Day of the Living Sky (Marshall Allen)
B2. Marshall’s Groove (Marshall Allen)

C1. Night of the Living Sky (Sun Ra)
D1. Firefly (Marshall Allen)
D2. Wish Upon a Star (Leigh Harline)

Ronnie Foster  Photo: Jen Rosenstein
 

ジャズ・オルガン界の巨匠ロニー・フォスターがブルーノート・レコードに復帰し、36年ぶりの新作「Reboot」を7月15日にリリースする。


このアルバムは、1972年のブルーノート・デビュー「Two Headed Freap」から50年ぶりのリリースとなる。この9曲入りのアルバムはフォスターの再出発となる作品です。フォスターはハモンドオルガングルーヴを全方位的に作り上げ、過去へのオマージュというより、新しいことを始めるための彼のチャレンジ性反映した作品となっている。

 

先日、ロニー・フォスターはスティーヴィー・ワンダーの「Isn't She Lovely」を新たに演奏している。この曲は、ワンダーの1976年の傑作「Songs In The Key Of Life」に収録されており、フォスターは元々、Songs In The Key Of Lifeのアルバムトラック "Summer Soft" で演奏していた。

 

フォスターは、ブルーノートのいくつかのアルバムでスティーヴィー・ワンダーの曲をカバーしており、(1972年の『Sweet Revival』では「Superwoman」、1974年の『On The Avenue』では「Golden Lady」、1975年の『Cheshire Cat』では「Tuesday Heartbreak」)、2022年の『Reboot』の「Isn't She Lovely」は、この伝統を受け継いでいる。 

 




スティーヴィー・ワンダーとの仕事に加え、ジョージ・ベンソンのベストセラーアルバム『Breezin'』や、先週、ブルーノートのクラシック盤リイシューシリーズの一部として再発されたア・トライブ・コールド・クエストのクラシックヒップホップ曲『Two Headed Freap』からフォスターの「Mystic Brew」をサンプリングを行っている。

 

ブルーノートのオルガンのトーチを再び力強く掲げたフォスターは、先達から注がれた音楽の浸透力に感謝をしている。アルバムのライナーノーツで、ロニーは、2021年に他界した彼の人生における非常に重要な人物に敬意を表している。


「このアルバムは、私の兄弟、友人、バッファローホーミー、ヒーローであり、ハモンドB3オルガンの世界最高の一人だったロニー・スミス博士の思い出に捧げます」

 

 



Ronnie Foster  『Reboot』


 

Label: Bluenote

Release: 2022年7月15日

 

Tracklist


1.Reboot

2.Sultry Song Ⅱ 

3.Swingin'

4.J's Dream

5.Isn't She Lovely

6.Carlos

7.Hey Good Lookin' Woman

8.After Chcago

9.After Conversation With Nadia



Liten/Buy:


https://ronniefoster.lnk.to/Reboot

およそ10年間、マイルス・デイヴィスのブートレッグ・シリーズが継続してリリースされてきました。


ボックスセットに収録されるトラックリストのほとんどは数十年にわたるライブ音源を収めたもの。今回、コロンビアはその第7弾シリーズのリリースを発表しました。このアルバムにはこれまでお蔵入りとなっていたスタジオ音源が多数収録されています。


3CDのボックス・セットとしてリリースされる新しいコンピレーションは、『That's What Happened』と名付けられ、1982年から1985年までの演奏を網羅しています。この最初のディスクには、1983年の『Star People』と1984年の『Decoy』のセッションで録音された音源が収録されている。もう1枚は、1983年7月7日のデイヴィスのモントリオールでのライヴ、さらには、最後の1枚は、1985年の『You're Under Arrest』のアウトテイクによって構成されています。

 


 

 

Miles Davis 「The Bootleg Series Vol.7 That's What Happened 1981−1985」

 

 


Label: Columbia/Legacy 

Release:2022年9月13日


 

Disc 1


1. Santana (13:06)
2. Minor Ninths, Part 1 (3:13)
3. Minor Ninths, Part 2 (4:13)
4. Celestial Blues, Part 1 (8:05)
5. Celestial Blues, Part 2 (4:04)
6. Celestial Blues, Part 3 (6:57)
7. Remake of OBX Ballad (5:00)
8. Remake of OBX Ballad Sessions (7:17)
9. Freaky Deaky, Part 1 (9:50)
10. Freaky Deaky, Part 2 (5:25)

Disc 2


1. Time After Time (alternate) (5:53)
2. Time After Time (full session) (8:58)
3. Theme From Jack Johnson (Right Off) / Intro (8:30)
4. Never Loved Like This (studio session demo) (5:00)
5. Hopscotch (slow) (5:39)
6. Hopscotch (fast) (6:59)
7. What’s Love Got To Do With It (4:25)
8. Human Nature (alternate) (5:59)
9. Katia (full session) (10:24)

Disc 3 (Live in Montreal, July 7, 1983) 


1. Speak (That’s What Happened) (12:27)
2. Star People (9:21)
3. What It Is (6:58)
4. It Gets Better (12:25)
5. Hopscotch (7:51)
6. Star On Cicely (9:12)
7. Jean-Pierre (7:34)
8. Code 3 (6:36)
9. Creepin’ In (10:36)


 



ブルーノートは、コンピレーション・シリーズ「Blue Note Re:imagined」の第2弾を、今年9月にリリースします。


Blue Note Re:imagined IIは、ブルーノートの歴史的なカタログを横断するコンピレーションで、ドナルド・バード、セロニアス・モンク、ウェイン・ショーター、ノラ・ジョーンズ、ボビー・ハンフリー、カサンドラ・ウィルソン、マレーナ・ショー、グラント・グリーンの曲を再創作しています。


このアルバムには、Yazz Ahmed、Nubiyan Twist、Ego Ella May、Theon Cross、Daniel Casimir、Binker Golding、Oscar Jeromeなどのジャズ、ソウル、R&Bのアーティストが参加しています。

 

今回のコンピレーションは、2020年に発売されたシリーズ第1弾に続く作品となります。9月30日のリリースに先駆けて、アートワークとトラックリストが公開されています。ご確認下さい。

 






Blue Note Re:imagined II




Tracklist:
1. Yazz Ahmed — It
2. Conor Albert — You Make Me Feel So Good
3. Parthenope — Don’t Know Why
4. Swindle — Miss Kane
5. Nubiyan Twist — Through The Noise (Chant No.2)
6. Ego Ella May — The Morning Side Of Love
7. Oscar Jerome & Oscar #Worldpeace — (Why You So) Green With Envy
8. Daniel Casimir featuring Ria Moran — Lost
9. Theon Cross — Epistrophy
10. Maya Delilah — Harvest Moon
11. Kay Young — Feel Like Making Love
12. Venna & Marco Bernardis — Where Are We Going
13. Reuben James — Infant Eyes
14. Binker Golding — Fort Worth
15. Cherise — Sunrise
16. Franc Moody — Cristo Redentor

シカゴ出身のヴィブラフォン奏者、現在、NYジャズシーンきっての気鋭アーティストとして知られるJoel Rossは、ニューアルバム「The Parable of the Poet」に収録されている素晴らしい叙事詩の1つである傑出したジャズ・カット「Guilt」のミュージック・ビデオを公開しました。

 

Joel Ross

今回の「Guilt」のシネマティックな映像は、聖書を連想させるものであり、男が水の中で女性の胴体に花びらを散らす。この実験的な映像は、白黒で撮影された振り付け付きのダンスも特徴的です。


ジョエル・ロスは、4月に絶賛されたニューアルバム「The Parable of the Poet」をリリースしました。

 

このアルバムは、アルトサックスのイマニュエル・ウィルキンス、テナーサックスのマリア・グランド、トランペットのマーキス・ヒル、トロンボーンのカリア・ヴァンディバー、ピアノのショーン・メイソン、ベースのリック・ロサート、ドラムのクレイグ・ウェインリブ、フルートのスペシャルゲスト、ガブリエル・ガロによる、8人のパラブルバンドと共に彼のコラボレーション精神を表現し、新境地を開拓するものとなっています。


『The Parable of the Poet』は、ブルーノートから海外盤として、D2Cの限定カラーヴァイナル、CD、デジタルフォーマットでリリースされ、5月20日にはブラックヴァイナルがリリースされている。また、日本国内では、デジタル盤はリリースされており、フィジカル盤は明後日の6月10日から一般販売される。


ジョエル・ロスの音楽に対するビジョンは、明確であると同時に神秘的です。スヴェン・ムーヴメント組曲の各タイトルは、ロスの感情的な決断や経験を参照しており、彼は、それぞれの物語の特殊性を解釈の余地を残しながら、譬え話や再話に存在するテーマを表現しようと努めている。ロスは、演奏する曲について、物語的な説明を加えることはほとんどない。彼は自分自身の動機を声に出さないので、リスナーもバンドメンバーも、音楽をユニークに、体験的に読み取ることができる。「リスナーが何を受け取り、何を受け取るかに興味があるんだ」と彼は言う。


 

 

また、ジュエル・ロスは最近、"First Look "のエピソードでブルーノート社長ドン・ワズと「詩人の寓話」について話し合いました。この新しいアルバムを引っさげ、ロスは、秋まで続く大規模なライブのためにロードショーに出ている。

 

 

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Weekly Recommend

 

Nduduzo Makhathini 「In The Spirit Of NTU」

 


 Label:  Blue Note Africa

 Release:  5/27,2022

 


ーー南アフリカのジャズの潮流を変えるーー

 

  

 1947年、アメリカのジャズドラマー、ブルーノートの伝説的な人物、アート・ブレイキーが最初にアフリカ大陸を訪問し、さらに、60年代初頭、アパルトヘイト(人種隔離政策)による、黒人の表現活動に対する制限、検閲、暴力が南アフリカの社会全体に蔓延し、激化した後、何世代にもわたり、南アフリカのジャズ・ミュージシャンは、アパルトヘイトによる艱難辛苦に耐えながら、現代に継承される活気あるジャズシーンを長い年月をかけて生み出していった。

 

その後は、アパルトヘイトの弾圧により国内の複数の著名なジャズ奏者たちは、迫害を逃れ、亡命することを余儀なくされた。その後、南アフリカのジャズシーンはかなり長きにわたって憂き目にさらされてきた。迫害は、人種的な芸術表現にも及び、長い時代の芸術の停滞が何十年にもわたり、南アフリカには続いた。そして、この後の時代の空白の流れを汲み、現代の南アフリカの音楽シーンから世界的なシーンに羽ばたこうとしているのが、この土地のジャズシーンの中心的な役割をに担って来た、ジャズ・ピアニストの ンドゥドゥゾ・マカティーニさんです。

 

彼は、間違いなく、今後のアフリカのジャズを先頭で背負って立つような風格を持った人物であり、これまでアパルトヘイトなどの政治的な問題により、大きく取り扱われてこなかったか、不当に蔑ろにされてきたアフリカン・ジャズを世界に広めるような役割を背負っているように思えます。前作のアルバム『Modes of Communication』は、アメリカでも高い評価を受けており、既に何度か紹介しましたが、ニューヨーク・タイムズが「2020年のベスト・ジャズ・アルバム」に選出し、既にアメリカ国内でも着々と知名度を上げつつある演奏家と言っても良いかもしれません。

 

彼が今週末に発表した新作アルバム「In The Spirit Of NTU」は、ブルーノートとユニバーサルミュージックが共同で新設立した「ブルーノート・アフリカ」の記念すべき第一号のリリースとなります。

 

このアルバムでは、ピアニストのマカティーニの他、サックス奏者のリンダ・シクハカネ、トランペット奏者のロビン・ファシーコック、ビブラフォン奏者のディラン・タビシャー、ベーシストのスティーブン・デ・スーザ、パーカッション奏者のゴンツェ・マケネ、ドラマーのデーン・パリスといった、南アフリカで最も刺激的な若手ミュージシャン、ボーカルのオマグとアナ・ウィダワー、サックス奏者のジャリール・ショウ、といった特別ゲストでバンドを結成しているのに注目です。

 

全体的な作品の印象としては、ジャズのスタンダード、そして、ミニマル的な構造を持ったモダンジャズ、さらにそこに、アフリカの文化における精神性、民族音楽、古くは「グリオ」という元は儀式音楽から出発したブルースの元祖ともなった音楽からの強い影響が見受けられるアルバムです。

 

そこに、マカティーニのおしゃれな雰囲気を持つピアノの演奏、また、時に、無調音楽に近いスケールを擁して繰り広げられる演奏は、他の共同制作、バンドの多くのメンバーたちの協力によって、聞きやすく、遊び心に溢れ、そして何よりスリリングな展開力を持ったジャズが紡がれる。一曲目の「Unonkanyamba」では、前衛的な作風にも取り組んでおり、これらはかつてのマイルス・デイヴィスのように、刺激的でパワフルな雰囲気を擁する作風として確立されています。

 

もちろん、この作品の魅力は、ジャズとしての画期的な実験性だけにとどまらず、アフリカの民族文化、そして、大掛かりなスケールを持った宇宙論的なアイディアに至るまで、様々な試みを介し、聞きやすく、親しみやすい、誰にでも楽しめるような音楽が麗しく展開されていることに尽きるでしょう。さらに、 また、その他にも、omaguguが参加した二曲目の「Mama」では、和やかで落ち着いた古典的なジャズのバラードソングを、心ゆくまで楽しんでいただけるはず。

 

さらに、ンドゥドゥゾ・マカティーニのピアノの演奏は、前衛的でありながら、普遍的なジャズマンとしての風格を兼ね備える。バンドの独特なアフリカのリズムに加え、マカティーニの演奏は、ビル・エヴァンスのような感性の鋭さ、叙情性、技巧性、気品を併せ持ち、ニューオーリンズ・ジャズ 、往年のニューヨーク・ジャズに比する洗練性を持ち、それらの要素がアフリカのエキゾチズムと絶妙に合わさることにより、これまで存在しえなかったニュー・ジャズが誕生しています。

 

ピアニスト、ンドゥドゥゾ・マカティーニが率いるジャズバンドは、この作品で、以上のような試みを介して、アート・ブレイキーの時代からめんめんと引き継がれる南アフリカのジャズの魅力を引き出そうとしています。それは複数の楽曲を介して、エモーション、スピリチュアル、フィロソフィー、いくつかの観点から多次元的にアフリカンジャズの核心へと徐々に近づいていきます。それは、スタンダードジャズ、ジャズバラード、ミニマリスム、アフリカの民族音楽、様々な知見と見識を持つマカティーニだからこそなしえる職人芸とも呼べるものです。さらにこの作品は、南アフリカのジャズシーンを紹介するという意味が内在しているだけではなく、この南アフリカのジャズシーンが世界的に見ても秀抜したものだということを象徴付ける作品となっています。

 

「In The Spirit Of NTU」で、マカティーニは、気品あふれるジャズを魔法のように体現させ、そして、楽しく、朗らかで、寛いだ雰囲気を持った芸術性の高い音楽を生み出し、南アフリカのジャズ音楽の魅力を余すところなく世界のリスナーに伝えようとしています。この作品の台頭は、アメリカ以外の他の地域のジャズ、カナダ、モントリオール、ノルウェー、オスロに続き、南アフリカのジャズシーンが、世界的に注目を浴びるように働きかけるだけでなく、音楽史としてもきわめて重要な意義を持っているように思えます。概して、ジャズは、現在の作品より過去の作品が評価が高くなる傾向があるものの、このマカティーニの最新作「In The Spirit Of NTU」は、そういった評価軸を変えるような力に満ちあふれている。伝統的であり、また古典的でありながら、モダンジャズであり、幅広いリスナーに親しんでいただけるようなアルバムで、勿論、20世紀から始まった長年のジャズ史から見ても、傑作の部類に挙げられる作品です。

 

「In The Spirit Of NTU」が、奇しくも、先週の、ロンドンを拠点にするアフリカ系ジャズマン、シャバカ・ハッチングの「Afrikan Culture」のリリースと重なったことは、何も偶然ではなく、これは、時代の要請を受け、秀逸なジャズマンがアフリカ大陸からデビューしていく流れを予見したもの。ここに表されている「NTU−アフリカの精神」と呼ばれるものが一体何なのか、それを掴むためには、実際のアルバムを聴いていただく必要があると思いますが、いずれにしても、ストラヴィンスキー、マイルス・デイヴィスといった巨匠がアフリカ音楽の独特なリズムを自身の作品に刺激的に取り入れた20世紀に続き、いよいよ、今後、これらのアフリカの音楽が、再び世界的に華やかな脚光を浴びる時代がもうすぐそこまで近づいているのです。



95/100 

 

 

Weekend Featured Track:

 

Nduduzo Makhathini 「Unonkanyamba」

 

 



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Nduduzo Makhathiniは、5月27日に発売される南アフリカのピアニスト兼作曲家の輝かしいニューアルバム『In the Spirit of Ntu』から、3枚目にして最後のシングル「Emlilweni」を発表しました。このアルバムは、9月23日に2枚組LPレコードのリリースが発表されたばかりです。

 

アルバムのアンカートラック "Emlilweni "では、アメリカのアルトサックス奏者Jaleel Shawがゲスト参加し、火をモチーフにしたサウンドになっています。「南アフリカでは、音は燃えている火の外にあるものと考えられてきました。彼らは、「この特別な時期にしかるべき燃え盛る炎のサウンドトラックはこれだ!」と言うのです。私は、音がもはやこの燃え盛る炎の境界線上に存在することに適合しないとはどういうことなのか...この炎の中から音が現れるとはどういうことか...と考え始めたのです」

 

"このプロジェクトは、南アフリカの困難な時期、混乱と紛争の時期に構想されました "と彼は続けます。「もう一度言いますが、火事、暴動、大虐殺の時代でした。この意味で、私が作曲した音楽は、背景やサウンドトラックとしてこれらの火を取り囲んでいるのではなくて、これらの音は談話の一部なのです。これらの音は、燃え盛る炎から、炎が燃え尽きるまで映し出される。残るのは、これらの音が復元しようとするものである。つまり、Ntuは、私たちの本質を思い出そうとする創造的な力なのです」

 

「In the Spirit of Ntu」は、ンドゥドゥゾ・マカティニの記念すべき10枚目のスタジオ・アルバムとなります。『Modes of Communication』(ニューヨーク・タイムズ紙が「2020年のベスト・ジャズ・アルバム」のひとつに選んだ)に続いてユニバーサルミュージック グループ アフリカと提携してブルーノート レコードからリリースする2作目と、新たに結成したインプリント、ブルーノート アフリカからの最初のリリース作品である。南アフリカの活気あるジャズ・シーンの中心人物であるマハティーニは、サックス奏者のリンダ・シクハカネ、トランペット奏者のロビン・ファシーコック、ビブラフォン奏者のディラン・タビシャー、ベーシストのスティーブン・デ・スーザ、パーカッション奏者のゴンツェ・マケネ、ドラマーのデーン・パリスといった南アフリカで最も刺激的な若手ミュージシャン、ボーカルのオマグとアナ・ウィダワー、サックス奏者のジャリール・ショウといった特別ゲストでバンドを結成した。

 

マイナーとメジャーのリズム」、「ガイド付きモビリティ」、「アクティブリスニング」、「儀式」といった様々なコンセプトをプロジェクトに組み込んでいるマッカティーニは、ズールー族の伝統と知的好奇心のバックグラウンドを生かし、魅力的な表現に取り組んでいます。


「私は、ジャズを我々の文脈に位置づける方法として、宇宙論的なアイデアに取り組んでいるのです。私は「Modes of Communication」をリリースしました。手紙を冥界から聞こえてくる音のメタファーとして使い、『Letters from the Underworlds』を発表しました。その前にリリースした『Listening to the Ground』では、聴くことが知ることであるという考え方を取り入れていました。In the Spirit of Ntu」は、そのような地面から現れるものに耳を傾けるというパラダイムの中で生きているのです。


Ntuはアフリカに古くから伝わる哲学であり、Ubuntuの考え方はそこからきています。Ubuntuとは、「あなたがいるから私がいる」ということです。それは集団性を深く呼び起こすものです。"


Listen on Spotify 


Gilad Hekselman 「Far Star」

 


 

Label: Edition Records

Release Date: 2022年5月13日



イスラエル出身、現在ニューヨークを拠点に活動するジャズギタリストの新作「Far Star」は、テルアビブ、ニューヨーク、フランスの三箇所でレコーディングが行われたジャズアルバムです。

 

ヘクセルマンをはじめ、盟友であるキーボード奏者のシャイ・マエストロ、ドラム奏者のエリック・ハートランド、他にも、ジブ・ラビッツ、アミール・ブレスラーといったジャズミュージシャンがレコーディングに参加。結果的には、パンデミックの不測の事態が生じたことの反動により、冒険心あふれるサウンドが生み出されています。

 

「2020年初め、家族と一緒に東南アジアの旅から戻り、新しい音楽を演奏する機会を用意していた。 ところが、パンデミックに見舞われ、音楽を演奏するために残されたのは、楽器、マイク、コンピューターだけだった、他のみなと同じように、この緊急事態がどれだけ続くのかもわからないまま演奏を始めた。レコードを作るときが来たら、すぐさま音源をバンドに送ってみようと考えていた、それから、私はレコーディング・エンジニアの経験もなかったため、何百ものチュートリアル動画を参照し、サウンドエンジニアのレッスンを受け、何千時間を割いて、ファースターと言う作品を完成させた」

 

ギラッド・ヘクセルマン自身が以上のように語っているように、これまでの彼のキャリアの中で最も労作といえ、キーボード奏者のハートランドが半分の楽曲に参加している他は、ほとんど彼自身の手で生み出されたとも言える。カントリージャズを中心に、エレクトロニカ、ヒップホップまでを踏襲し、ヘクセルマンのキャリアの中でも最も刺激的な作風が生み出されています。

 

パット・メセニーのようなカントリーの質感を追求した「Long Way From Home」で、彼はまるでパンデミック時代のことなどどこ吹く風とでもいうように朗らかな口笛を吹いていますが、これはアルバム「FarStar」のメインテーマとして掲げられ、このフレーズを中心に彼の哀愁あるアルバムの持つ多様な世界が繰り広げられていきます。ヘクセルマンのギター・プレイはジャズのスケールを忠実になぞらえながらも、アバンギャルドなインプロヴァイゼーションを見せる場合もあります。

 

今回のアルバムは、フュージョンジャズ、カントリージャズを中心に楽曲が組み上げられていますが、盟友ともいえるハートランドの演奏との息がぴったりと取れていて、時にそれはアバンギャルドなフレーズに意図的に挑戦しているのは、パンデミックという抑制感の強い時代の産物ともいえます。そこにさらに、これまでのヘクセルマンのカントリー、フュージョンの要素に、エレクトロニカ、そして、ヒップホップの要素を加え、現代的な質感を持ったニュージャズの領域にチャレンジを挑んでいます。

 

オープニングトラック「Long Way From Home」から「Magic Chord」、アルバムの最大の聞きどころとなる「Cycles」、ヒップホップの要素を取り込んだ「The Headrocker」、アバンギャルドジャズの領域にチャレンジを挑んでいるラストトラックの「Rebirth」に至るまで、ジャズ・アンサンブルとして落ち着きがある一方かなりスリリングな演奏を味わっていただけるはずです。

 

ジャズとしての一つの醍醐味は、以前からの伝統性を引き継ぐとともに、そこに新たな表現としての何らかの前衛性を求めることだということはヤン・バルケのレビューで以前にも述べましたが、ギラッド・ヘクセルマンは見事にこの作品でそれをやり遂げています。

 

このアルバムは、フュージョンジャズとしての深い味わいを持つと共に、パンデミック時代の抑圧から自らを解放されるための冒険心が感じられる快作です。また、ギラルド・ヘクセルマンは、「Far Star」というタイトルについて以下のように述べていますが、この言葉がおそらく、作品の魅力を一番上手く表現していると思われます。


「Far Star」とは、何なのかというと、私たちの創造力を駆使し、部屋の中から、遠い音の銀河まで旅を企てることだ」と。さらに、ギラルド・ヘクセルマンは語っています。「これらのパンデミックの最中に制作された音楽は、私たちの生活の中で、明らかに非常に厳かった時代を通して、私がつくづく感じていたことに尽きる。それは、どういうわけか、大きな自由と解放の思い出の名残りを仄かにとどめている」と。


(Score:85/100)




 

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