©︎Steve Gullick

Marika Hackmanが、リリース予定のアルバム『Big Sigh』から新曲「Slime」を発表した。Anne-Sofie Lindgaardと共同監督したミュージックビデオも公開された。以下よりチェックしてみよう。


「この曲は、誰かと一緒になった時、他の要素が絡んで起こる破壊を反映している」ハックマンは声明の中で「Slime」について語った。「一方では、本当にエキサイティングでホットで欲望的な新しいことがあるけれど、多くの嵐の雲が漂い、社会的に多くの転落があることもある」


Marika Hackmanの4年ぶりのアルバム『Big Sigh』は、1月12日にChrysalis Recordsからリリースされる。


Peggy Gou/ Lenny Kravitz


韓国出身のDJ/プロデューサー、レーベル・オーナーとしても活動するPeggy Gouがレニー・クラヴィッツとのコラボレーションシングル「I Believe In Love Again」を発表した。来年リリース予定のペギー・グーのデビュー・アルバムに収録される。

 

Peggy Gouは、”Gudu Recording”を主宰し、エレクトロニック・デュオ、Salamanderを輩出した。ペギーは、元々、ドイツのハイデルベルクのアンダーグランドのクラブシーンに関わりを持ち、その中でこの都市のシーンの重要な立役者、D-Man(昨年、Move Dと組み、南ドイツのダンスミュージックの集大成を形成するアルバム『All You Can Tweak』 をリリース)と親交を持つようになった。

 

以後、イギリスのダンス・ミュージックシーンに傾倒するようになった。今年に入り、ペギーは、XL Recordingと契約を交わし、ソロアーティストとしても注目が高まっている。

 


90年代は、私の音楽に大きな影響を与えてくれた。当時のダンス/ハウス/レイヴ・シーンに対する私の愛は知られているけど、私はずっとR&Bの大ファンだったし、レニーの大ファンでもあった。

 

彼の1998年のアルバム『5』は個人的にお気に入りなんだけど、彼のディスコグラフィ全体が素晴らしく、時代を超越している。彼はスタジオに来て、ガイド・ヴォーカルを魔法に変え、新しい歌詞を書き、素晴らしいギター・リフを作り上げた。『I Believe In Love Again』は前向きさと希望の強いメッセージで、この曲を聴いてみんながそう感じてくれることを願っている。



今年初め、Peggy GouはXL Recordingsでの初シングル「(It Goes Like) Nanana」を発表した。

 

 

©Todd Weaver

 

The Killersは12月8日にIsland Recordsからリリースされるベスト盤『Rebel Diamonds』を発表。2013年の『ダイレクト・ヒッツ』に続く、バンドにとって2枚目のベスト・アルバムとなる本作は、時系列に並べられた20曲が収録。プレスリリースでは「世界中のフェスティバルで歌われるアンセム」と表現されている新曲「Spirit」がアルバムを締めくくる。予告編は以下から。


「リード・シンガーのブランドン・フラワーズは、「記憶に残るものは生きると言われるように、我々はこの20年間、スタジアムを思い出でいっぱいにしてきた。20年分の20曲 - Rebel Diamonds」

 





The Killers 『Rebel Diamonds』


Tracklist:


1. Jenny Was a Friend of Mine

2. Mr. Brightside

3. All These Things That I’ve Done

4. Somebody Told Me

5. When You Were Young

6. Read My Mind

7. Human

8. Spaceman

9. A Dustland Fairytale

10. Runaways

11. Be Still

12. The Man

13. Caution

14. My Own Soul’s Warning

15. Dying Breed

16. Pressure Machine

17. Quiet Town

18. boy

19. Your Side of Town

20. Spirit



Arlo Parks(アーロ・パークス)が2ndアルバム『My Soft Machine』のデラックス・エディションを発表した。12月8日にTransgressiveからリリースされるこのアルバムには、ジャイ・ポールの「Jasmine」のスタジオ・カヴァーを含む6曲の新録が収録されている。下記よりチェックしてほしい。


「『Jasmine』はいつも私の心を深く揺さぶります。私にとって、この陰影に満ちた、時代を超越した、信じられないほど深遠なラブソングなのです」と、アーロ・パークスは声明で語っている。「歌詞の憧れを引き出し、私と文化に激震的な影響を与えたアーティストにオマージュを捧げたいと心から思った。デイヴ・オクムと一緒にこのカヴァーを制作するためにジャイ・ポールの祝福を受けたことは、これまでの私の創作の旅のハイライトのひとつだった」


レーベルメイトのデイヴ・オクムによってプロデュースされた'Jasmine'は、ジャイ・ポールの個人的な承認印を受けている。この曲には、ジョエル・バーニーが監督、アリ・レイモンド(ビートニク・クリエイティブ)がプロデュースした、ニューヨークで撮影されたビジュアライザーが添えられている。



デラックス・バージョンには、コンゴ系ベルギー人シンガー/ラッパーのルースとザ・ヤクザをフィーチャーした「I'm Sorry」の新バージョン、USヒップホップ界の新鋭レッドヴェールのバーをフィーチャーした「Blades」、ティルザのヒット曲「Holding On」のカヴァー、アルバムの人気曲「Devotion」と「Pegasus」のアコースティック・ヴァージョンも収録される。詳細はこちら



「Jasmine」


 

 

 

日本の注目のインディーロックバンド、No Busesがニューシングル「Ecohh」をS.S.G.G/Tugboat Recordsから発表した。 配信リンクとアートワークを下記より確認してみよう。

 

近藤大彗(Vo,Gt)、後藤晋也(Gt)、杉山沙織(Ba)、和田晴貴(Gt)で構成されるスイートなメロディやタイトなビートが特徴の日本のバンド。


2018年に公開した1stシングル「Tic」が話題となり、仏ローリングストーン誌ほか欧州のメディアにも紹介される。


2022年9月には、3rdアルバム『Sweet Home』をリリース、FUJI ROCK FESTIVAL '22 RED MARQUEE出演を果たし、恵比寿リキッドルームでのワンマンライブをソールドアウトさせた。

 

2023年3月、GU and beautiful peopleのオリジナルムービーのテーマ曲にもなった「Eyes」のリリースから半年。 ニューシングル「Ecohh」は、今までもこれからもスタンダードであるとともに、スタンダードからズレている。 そんな音楽を作り続けてきたNo Busesの新章に期待が高まる。No Busesらしい心を締め付けるメロディとビートで満たされたポップソングに仕上がっている。


また、バンドは、一夜限りの東京でのワンマンライブの開催を発表した。本公演は、来年2月10(土)にShibuya spotify O-EASTで開催される。こちらの詳細についても下記よりチェック。

 

 

 

No Buses 「Echohh」 New Singles

 


2023.11.08 Release
Released by S.S.G.G. / Tugboat Records
Distributed by SPACE SHOWER MUSIC

01.Ecohh
02.Ecohh (Cwondo Remix)

 

配信リンク:


https://ssm.lnk.to/Ecohh



No Buses 『1_1』(ワンワン)  Live Event


イベントの詳細: No Busesとリスナーたちによる〜追想の回廊〜 私たち(No Busesとリスナー)の今までと現在とそしてこれから、この先全てをここで感じよう。この空間は忘れない1日になる!!

 


日程:2024月2月10日(土)

時間:OPEN 17:00 / START 18:00

場所:Shibuya Spotify O-EAST

 

 

チケット詳細はこちら(eプラス):

 

 https://eplus.jp/sf/sys/comingsoon.html


ヴァイオリン奏者/マルチ・インストゥルメンタリスト、高原久実がファーストアルバム「See-through」以来となるニューシングル「The Old Dreams」を本日リリースした。


高原久美は、6月にイスラエル/テルアビブのアーティスト、Zoe Polanski(ゾーイ・ポランスキー)とのコラボレーションシングルを発表している。ニューシングルのアートワーク、配信リンクは下記より。

 


日本のストリングス奏者の高原久実がデビューアルバム以来となるニューシングル「The Old Dreams」をリリース。

 

水に満ちた部屋、 オレンジのイルカなど自身が過去に見た遠い記憶/幻のような夢をストリングスとポエトリー・リーディングで綴った幻想的な楽曲。

 
吉澤嘉代子や World’s End Girlfriend、湯川潮音らのサポートや楽曲提供などで活動してきた東京出身のヴァイオリニスト/マルチ・インストゥルメンタリスト高原久実が各所で高評価を受けたファーストアルバム「See-Through」に続くニューシングルをリリース。

 

このシングルは、高原が昔見た夢を音楽に映し出すもので、その夢の中で出会った人々や感情を 3 つのセクションからなる組曲によって表現している。

 

 自身の弾くヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスを多層的に組み合わせ、ポエトリー・リーディングとボーカルが色彩豊かな幻のような情景を浮かび上がらせる。ミックスには前作から引き続き、The Boats のTape Loop Orchestra、マスタリングは KASHIWA Daisuke が参加、より深みのある立体的なサウンドに仕上げた。アルバムのアートワークは Japanese Breakfast、Alex Gのアーティスト写真を手がけるNYの写真家、Tonje Thilesen による。

 

続いて、高原久美はライブ・イベントの詳細についても明らかにした。11/15にはコロナ禍で2年越しとなるアルバムのリリース・パーティーを6人のストリングス編成で開催する。こちらの日程に関しても以下よりご覧下さい。

 

11/22には、FLAUのレーベルオーナー、ausによる同シングルのリミックスもリリース予定。

 

 

Kumi Takahara  「The Old Dreams」- New Singles



 

シングル発売日:2023年11月8日
リミックス発売日:2023年11月22日
フォーマット:DIGITAL
レーベル:FLAU



Tracklist:


1. The Old Dreams
2. The Old Dreams (aus Remix)

 

配信リンク:

 

https://kumitakahara.lnk.to/TheOldDreams

 

 

 

Kumi Takahara ‘A Little Night Music’ 〜「See-Through」Release Party〜




日程:2023年11月15日(水)


会場:大倉山記念館ホール https://o-kurayama.com/

 

開場/開演:19:00/19:30


前売:4,000円(全席自由)


ご予約・お問い合わせ:dreamtickets2023@gmail.com

 
出演/編成:


Pf.Vn.Vo. 高原久実
Vn 片山奈都実
Vn 七海仁美
Va 青柳萌
Vc 村上咲依子
Cb 千葉広樹

 

イベントの詳細:

 

https://flau.jp/event/kumitakahara-seethrough/ 


Photo; Gem Hale



アトランタのオルトロック・トリオ、Omni(オムニ)は、サブ・ポップからの2作目となる4枚目のアルバム『Souvenir』の制作を発表した。このアルバムは来年2月16日にリリースされる。

 

新作アルバム『Souvenir』は、ギタリストのフランキー・ブロイルズ、シンガー/ベーシストのフィリップ・フロボス、そしてドラマーの クリス・ヨンカーが創作意欲を鋭くドライブする曲に変換している。切り裂くようなリフ、スタッカート・ビート、そして、軽快なメロディーのメロディーに変換する。各トラックはコンパクトにまとまっており、それぞれが独立している、 各トラックはコンパクトにまとまっており、それぞれが独立した存在となっている。


アルバムの制作発表と同時公開された「Exacto」のビデオはザック・パイルズが監督し、ギタリストのフランキー・ブロイルズ、ドラマーのクリス・ヨンカー、そして監督自身がコンセプトを担当した。


「"Exacto "は、ある晩、ジョージア州ウィーンにある私たちの隠れ家での実りある作曲セッションから生まれた。ギターのリードとリズムのパワーはすぐに呼び起こされた。歌詞とメロディーは、サクラメントのバンの荷台で、棚に置き去りにされることを考え、愛する人からも見知らぬ人からも注目されるために人がする奇妙なことを想像して書いた」とバンドは説明する。



OmniはSouvenirを引っさげて2024年にヘッドライン・ライヴを行うことも発表した。アメリカツアーでは、アトランタ、シカゴ、ボストン、ワシントンDC、フィラデルフィアなど、北米を中心に回り、カナダ・トロント、モントリオールでの公演も予定している。バンドは、4月にブライトン、ブリストル、ダブリン、グラスゴー、リーズ、マンチェスター、バーミンガム、マーゲートを含む一連の日程を行い、4月20日にロンドンの”Moth Club”でクライマックスを迎える。 

 

 

 「Exacto」



Omniはリードシングル「Exacto」に続いて、「Plastic Pyramid」「INTL Waters」をリリースした。


OMNI 『Souvenir』



Label: SUB POP

Release: 2024/2/16


Tracklist:


Exacto

Plastic Pyramid

Common Mistakes

INTL Waters

Double Negative

PG

Granite Kiss

Verdict

F1

To Be Rude

Compliment




Tour Date:

North America:


Sat. Feb. 24 - Atlanta, GA - The EARL
Tue. Feb. 27 - Richmond, VA - The Camel
Wed. Feb. 28 - Washington, DC - Songbryd
Thu. Feb. 29 - Philadelphia, PA - PhilaMOCA
Fri. Mar. 01 - Kingston, NY - Tubby’s
Sat. Mar. 02 - Queens, NY - TV Eye
Mon. Mar. 04 - Boston, MA - The Rockwell
Tue. Mar. 05 - Winooski, VT - Monkey House
Wed. Mar. 06 - Montreal, QC - La Sala Rossa
Thu. Mar. 07 - Toronto, ON - The Garrison
Fri. Mar. 08 - Cleveland, OH -
Sat. Mar. 09- Chicago, IL - Schuba’s
Mon. Mar. 15 - New Orleans, LA - Gasa Gasa


 
United Kingdom & Europe:


Thu. Apr. 10 - Brighton, UK - The Green Door Store
Fri.  Apr. 11 - Bristol, UK - Strange Brew
Sat. Apr. 12 - Falmouth, UK - Cornish Bank
Mon. Apr. 14 - Dublin, IE - Workman’s Cellar
Tue. Apr. 15 - Glasgow, UK - Hug & Pint
Wed. Apr. 16 - Leeds, UK - Brudenell Social Club
Thu. Apr.. 17 - Manchester, UK - Deaf Institute
Fri. Apr. 18 - Birmingham, UK - Hare & Hounds
Sat. Apr. 19 - Margate, UK - Where Else?
Sun. Apr. 20 - London, UK - Moth Club



多方面で活躍するアーティスト、Mac Wetha(マック・ウェタ)が、beabadoobeeとAminé(アミネ)をフィーチャーしたコラボレーション・シングル「Fear of Flying」をDirty Hitから発表した。


「この曲は2021年に初めて形になり、当初はジョシュ・スカーブロウとマット・マルテーズと書いたものだったんだ。この曲は、フルタイムで音楽で生計を立てるという夢を持ちながら、幾度も自問自答を繰り返し、ファンを失望させることを心配していた時期から生まれたたものなんだ。それが私にとっての "Fear of Flying "の意味でもある。"みんなに見てもらうために高く舞い上がろうとするんだけれど、誰もそれを好きにはならないし、気にもしてくれないという恐怖に関して」


2年後、「Fear Of Flying」の最終バージョンは、レーベル・メイトのBeabadoobeeと、彼が以前プロデュースしたアメリカのラッパーAminéをフィーチャーしている。


2人との制作について、マック・ウェタは次のように語った。「私がコラボレーションについて最も好きなことは、必ずしも意味をなさないかもしれないトラックで人々が一緒になるというアイデアなんですが、実際にそれを聞くとTOTALの意味がわかりますね...。私は2019年にLimboのトラックをプロデュースしたときからAminéを知っていますし、Beaと私の仕事は、2021年に彼女が私をツアーに連れて行ってくれたときからさかのぼっています。この2人が一緒に曲を作るというアイデアはずっと前からあったんだけど...。突然、この曲がパーフェクトだと感じたんだ。この曲は、2年ほどかけて本当に自然にできあがった愛の結晶で、これ以上誇れるものはないよ」


 

「Fear of Flying」

 

©Martyna Bannister


アイルランドのPillow Queens(ピロー・クイーンズ)がニューシングル「Suffer」をRoyal Mountainsから発表した。この曲はコリン・パストーレ(boygenius、Illuminati Hotties、Lucy Dacus)がプロデュースした。


「ダブリンのリハーサル・スタジオで真冬に書いた曲で、寒さが曲に染み込んでいる」とバンドは声明で説明している。昨年、Pillow Queensの2ndアルバム『Leave the Light On』を発表した。

 

 


2022年初め、トロントのハードコアバンド、Fucked Upは、24時間で作曲と録音を行った伝説的なフルレングス『One Day』をMerge Recordsからリリースした。続いて『One Day』のセッションの別テイクから3曲を収録した『Show Friends』(7Inch)をリリースしたばかり。タイトル・トラックと 「Spot The Difference」に続く3曲目のシングル「What The Sun Shaw」がついに公開となった。

 

バンドはリーズの公演を皮切りとするヨーロッパ・ツアーの日程を発表した。フロントマンのダミアン・アブラハムは「一般的なカナダのバンドにとって、英国での活躍は何より最重視される」とKerrang!誌のインタビューで述べた。そして、もうひとつは、アブラハムの父祖がイギリスにルーツを持つというのもある。今回のライブ・ツアーでは、ロンドン、リーズ、ボーンマスの3つの都市においてバンドが現地のファンに対外的なアピールを行う格好の機会となる。


Fucked Upは、最近では、パンクとエレクトロとの融合を試み、新しいチャレンジに事欠かない。7 inchの最後のトラックについても同様で、ポスト・ハードコアをサイケデリックに彩っている。

 

ポスト・ハードコアに関する音楽性は以前と同様でありながら、オルタナティヴ・ロック的なギターラインが異彩を放つ。テクニカルなギターラインは、複雑なドラムと合わさり、トゥインクルエモ/エモコアに近い雰囲気を帯びる。その音楽性を決定づけるのが、ダミアン・アブラハムの人間離れした唸り声である。トロントのFucked Upが提示するアンビバレントで新鮮なハードコアは、このジャンルにとどまらず、オルタナ・ファンの期待に添えるものとなっている。



「What The Sun Shaw」



TOUR DATES:

11/10 – Leeds, UK @ Temple of Boom

11/11 – London, UK @ The Underworld (Pitchfork Music Festival) ^

11/12 – Bournemouth, UK @ The Bear Cave

11/13 – Lille, France @ L’Aeronef (Club Room)

11/14 – Paris, France @ Petit Bain

11/15 – Reims, France @ La Cartonnerie

11/17 – Benidorm, Spain @ Primavera Weekender

11/18 – Malaga, Spain @ Paris 15

11/19 – Barcelona, Spain @ La Nau

11/20 – Toulouse, France @ Connexion Live

11/21 – Milan, Italy @ Legend

11/22 – Wiesbaden, Germany @ Kesselhaus

11/23 – Cologne, Germany @ MTC


デビューEP「A Comforting Notion」に続き、サウス・ロンドンのHeartworms(別名ジョジョ・オム)が「May I Comply」を発表した。Speedy Wundergroundからリリースされたこの曲は、レーベル専属の敏腕プロデューサー、ダン・キャリーがプロデュースした。

 

現時点では謎めいた印象のあるHeartworms。デビュー時には、戦前のミリタリー・ウェアに身を包み、ライブスペースで個性的なパフォーマンスを行い、ロンドンの気鋭メディアの耳目を集めていた。音楽的にはポスト・パンク、ダンス、ポップを一緒くたにしたもので、ダンスに関するアート的なパフォーマンスも話題を呼んでいる。今年発表されたデビューEPは、現地のメディア、DIYのレビューで五つ星を獲得、絶賛を受けた。

 

 ハートウォームズは、単なる音楽家とは言いがたい。あるときはミュージシャンであり、また、あるときはパフォーマーであり、さらにはダンサーとしてもステージで躍動し、その役柄を軽やかに変じてみせる。アーティスト本人は一つのジャンルに規定されないマルチタレント性について、プリンスの影響が大きいと語る。このシンガーソングライターが企むのは、新しい音楽、そして新しい表現の確立である。ダンス・ポップとしてはチャーチズの次世代のグループともいえ、ゴシック的なアート性に関してはかつてのCRASSを彷彿とさせるものがある。


この曲には、頻繁にコラボレートしているギルバート・トレホが監督したビデオが付属しており、彼はこのビデオについてこうコメントしている。「ジョジョと私は、Heartwormsが築いているモノトーンの世界に強く傾倒し、バンド以外のすべてを虚無の海に洗い流したかったんだ。『24 Hours』と『May I Comply』の撮影の間に、ツアー中のハートワームズを撮影する機会があり、この段階でジョジョのパフォーマンスのエネルギーをもう少し捉えることに興奮していた」


「May I Comply」

 


2022年、『With a Hammaer』を発表し、人気急上昇中のYaeji。彼女は「easy breezy」を発表した。この新曲についてこう語る。「"easy Breezy "は、私の過去の作品(と過去の自分)を紡ぐ続編のような感じです」 

 

「韓国や日本のポップ・エレクトロニカを通して、ボサノヴァ、ドラムンベース、ハウスを発見した頃だ。イージー・ブリージー "は、糸であり、トリビュートであり、思い出の回想であり、勇気と笑いをもって変化をもたらそうとする私たちを勇気づける後押しである」

 

ビデオは、曲そのものと同じくらい軽快でのんきなもので、ヤエジが愛犬ジジと一緒にスクーターでニューヨーク中を疾走し、マリオカート風のレースでバナナの皮やその他の障害物をよけている。最近の「For Granted」と「Done (Let's Get It)」のビデオに引き続き、このビデオでもヤエジが監督を務めている。下記よりチェックしてみましょう。


画期的な瞬間にめまぐるしい1年を過ごしたYaejiは、8月に北米とヨーロッパ・ツアーの合間を縫ってスタジオに戻り、そこからこのエキサイティングな新作を発表した。今週、YaejiはWith A Hammerのヨーロッパ・ツアーに出発し、今週土曜日にラウンドハウスで開催される権威あるピッチフォーク・ロンドン・フェスティバルのヘッドライナーを務める。

 

 

「easy breezy」

 

©Denée Segall

米国のフォーク・シンガーソングライター、Ty Segall(タイ・セガール)がニュー・アルバム『Three Bells』を2024年1月26日にドラッグ・シティからリリースすることを発表した。

 

本日、彼は長年のコラボレーターであるマット・ヨカと共同監督した新曲「My Room」のビデオを公開した。アルバムのアートワークとトラックリストは以下を参照のこと。


『Three Bells』には、既にリリースされたシングル「Void」と「Eggman」が収録される。共同プロデュースはクーパー・クレインで、彼はアルバムのエンジニアリングとミックスも担当した。セガールは5曲を妻のデネと共作し、フリーダム・バンドのメンバーもアルバムに参加している。

 

 「My Room」


タイ・セガールの新作アルバム『Three Bells』は、1月26日にドラッグ・シティからリリースされる。2022年の『Hello,Hi』に続くアルバムとなる。アルバムの制作発表後、「My Best Friend」も公開されている。先行シングルは視聴は下記より。

 

2008年以来、タイ・セガールは12枚のソロLP、さまざまなコラボレーション・プロジェクト、そして波打つような曲、サウンド、プロダクションの折衷主義を通して、自由でありたいという渇望を表現してきた。 この探求は、タイの最新アルバム『Three Bells』でも続いている。このアルバムは、自己の中心への15曲の旅であり、タイは作曲とパフォーマンスの限界に挑戦し、彼の内なる精神に光を投げかけている。

 

自由を求める気持ちは人それぞれだが、時には人間以外の仲間と過ごす時間も大切だ。タイのファルセット・ヴォーカルとドライヴ感のあるエレクトリック・アレンジが「マイ・ベスト・フレンド」のバックボーンで、ギターがシンクロしたラインを刻み、カウベルがコーラスを強化する。ソロ・セクションでは、共鳴するリズム/リードがめくるめくステレオ効果で煽られる。タイが撮影・監督したこの曲のビデオでは、彼の忠実な仲間であるファニーとハーマンが、新しい一日の夜明けに抑えきれない情熱で尻尾を振っている。甘いおやつ、フレンドリーな匂い、ビーチでの元気な出会いが曲のリズムを映し出している。ーDrag City

 

 

 


Ty Segall 『Three Bells』 

 


Label: Drag City

Release:2024/1/26


Tracklist:


1. The Bell

2. Void

3. I Hear

4. Hi Dee Dee

5. My Best Friend

6. Reflections

7. Move

8. Eggman

9. My Room

10. Watcher

11. Repetition

12. To You

 

Tour Date:

 

USA

 
2/20 - San Francisco, CA @ Great American Music Hall
2/21 - San Francisco, CA @ Great American Music Hall
2/23 - Los Angeles, CA @ The Wiltern - w/ White Fence
2/24 - Solana Beach, CA @ Belly Up
4/19 - Tucson, AZ @ 191 Toole
4/20 - Albuquerque, NM @ Sister Bar
4/22 - Austin, TX @ Mohawk (Outside)
4/23 - Jackson, MS @ Duling Hall
4/24 - Nashville, TN @ Brooklyn Bowl
4/26 - Asheville, NC @ The Orange Peel
4/27 - Washington DC @ Lincoln Theatre
4/28 - Philadelphia, PA @ Union Transfer
4/29 - New York, NY @ Webster Hall
5/1 - Boston, MA @ Royale
5/2 - Montreal, QC @ Club Soda
5/3 - Toronto, ON @ Danforth Music Hall
5/5 - Cleveland, OH @ Beachland Ballroom Mon.
5/6 - Chicago, IL @ Thalia Hall
5/7 - Omaha, NE @ The Waiting Room
5/9 - Englewood, CO @ Gothic Theatre
5/10 - May 12 - Salt Lake City, UT @ Kilby Block Party
5/11 - Sacramento, CA @ Harlowʼs



Europe

 
6/17 - Prague, @ Roxy, CZ
6/18 - Zürich, @ Mascotte, CH
6/20 - Vitoria-Gasteiz, @ Azkena Rock Festival, ES
6/22 - Paris, @ Elysée Montmartre, FR
6/24 - Manchester, @ New Century, UK
6/25 - Dublin, @ Button Factory, IE
6/27 - Glasgow, @ Queen Margaret Union (QMU), UK
6/28 - London, @ Roundhouse, UK
6/30 - Bristol, @ Bristol Sounds 2024, UK
7/2 - Lille, @ L'Aéronef, FR
7/3 - Berlin, @ Festsaal Kreuzberg, DE
7/4 - Vilanova i la Geltrú, @ Vida Festival 2024, ES
7/7 - Beuningen, @ Down The Rabbit Hole, NL

 

bar italia  『The Twits』

 

Label: Matador

Release: 2023/11/3



Review



前作『Tracy Denim』に続く『The Twits』は、ビョークの作品等のプロデューサーとして知られるマルタ・サローニを迎えて制作された。スペインのマヨルカ島の間に合わせのホーム・スタジオで録音されたアルバムだという。

 

先日、現地の大手新聞のThe Guardianで紹介されたとはいえ、一般的にはミステリアスな印象のあるロンドンのトリオの音楽をよく知るための最良の手がかりとなるはずである。全般的な印象としては、少し冗長な印象もあった前作に比べ、サウンド・プロダクションがタイトでスマートになった。これはよりプロデューサーとバンドの良好な関係が実際の音源に表れ出たと考えられる。


実際のアルバムは、バー・イタリアのメンバーのプリミティヴなプロトパンクに対する親近感を読み取ることができるかもしれない。そのサウンドの質感は、Television、Sonic Youth、Richard HellといったNYのレジェンドに近いものである。オープニングを飾る「my little tony」は、bar italiaがSonic Youthの次世代のバンドであることのしたたかな表明代わりとなる。ガレージ・ロックを吸収したダイナミックなギターラインは、前作よりも信頼感のあるロックグループとしての道を選択したことの証ともなる。実際に、ソリッドで硬質なギターラインは、bar italiaの代名詞であるボーカルを入れ替えるスタイルと劇的に合致し、従来よりもタイトなサウンドが生み出されるに至った。

 

一方で、前作で象徴的だったローファイで荒削りなニューヨークのNo Waveに近いアヴァンギャルドなオルタナティヴロック・サウンドは、今作でも健在である。「que surprise」では、ホーム・スタジオならでは感覚が重視されていて、ライブ・セッションに近いリアルな息吹を感じる。サローニのラフなミックスも、曲のローファイな感覚を上手く引き出している。スローテンポな曲ではありながら、バンドの演奏のリアルな感覚を楽しめる。同じように「Blush w Faith」においても、ジャム・セッションの延長線上にあるラフなロックが展開される。Violent Femmesを思わせる寛いだインディーロックから、曲の後半にかけてDinasaur Jr.の系譜にあるダイナミックなオルトロックサウンドに移行する瞬間は必聴である。こういったダイナミックさと繊細さを併せ持つ特異なオルトロックサウンドは、「calm down with me」にも見出すことができる。


ローファイな感覚を擁するコアなインディーロックと合わせて、このアルバムの別のイメージを形成しているのが、渋さとクールさを兼ね備えた古典的なフォーク音楽である。アイリッシュ・フォークの影響下にあるロックサウンドは、先行シングルとして公開された「twist」、「Jelsy」という2曲に明瞭な形で表れ出ており、アルバムの今一つのハイライトを形成している。これは前作にはなかった要素であり、バンドの新しいサウンドの萌芽を見出す事ができる。

 

アルバムの収録曲の中でひときわ目を惹くのが、発売前の最後の先行シングルとして公開された「Worlds Greatest Emoter」である。ドライブ感のあるインディーロックサウンドに、お馴染みのトリオのボーカルが入れ替わるスタイルが示されている。実際、以前よりも清涼感があり、従来のバー・イタリアのイメージから脱却を図った瞬間であると解釈できる。曲の構成は一定であるのに、ボーカルのフレーズを変えると、その印象が一変する。これはバンドの重要なテーマである多様性や人格の独立性を尊重した結果が、こういったユニークなトラックを生み出す契機ともなったのかもしれない。音楽の方向性としては、USインディーロックが選ばれているが、その枠組みの中で展開されるのは、ロンドンという街の持つ、多彩で流動的な性質である。さらに「Shoo」では、従来の手狭なロックという領域を離れて、ジャズともボサノヴァともフレンチ・ポップとも付かない、世界市民としての音楽に取り組んでいるのにも注目したい。


さらに、bar italiaは、Matadorと契約する以前から、シューゲイズ、ドリーム・ポップの音楽にも取り組んで来た。それらはローファイという形でアウトプットされることは旧来のファンであればご承知のはずである。しかしながら、今まさにバンドは、過酷なライブツアーを目前に控えて、「Hi Fiver」、「Sounds Like You Had To Be There」と、原点回帰の意味を持つ曲を書いている。これはとても重要なことで、今後、何らかの形で生きてくる可能性が高い。

 

正直に言うと、前作アルバム『Tracy Denim』と比べて、何かが劇的に変わったというわけではない。もっといえば、バンドとして、今後どうなるかわからず、未知数の部分が残されている部分がある。けれど、人間もバンドもいきなり著しい変化を迎えることはない。何かを一つずつ着実に積み上げていった結果、それが突然別のものに変化し、誰も想像しえないオリジナリティーに辿り着く。そして、このアルバムのサウンドの中には、原石のようなものが眠っているという気がしている。未完成の荒削りなサウンドであるがゆえ、大きな飛躍をする可能性も残されている。いずれにしても、未だこのバンドに対し、何らかの期待感を抱いていることには変わりがない。

 

 

84/100 

 

 



5月にリリースされた『Tracey Denim』に続くアルバム『The Twits』は、11月3日にMatadorからリリースされた。アルバムからは、「My Little Tony」「Jelsy」「Worlds Greatest Emoter」公開されている。

 

Zazen Boys


向井秀徳率いるZazen Boysがおよそ12年ぶりとなるニューアルバム「らんど」の制作を発表した。今作はバンドの自主レーベル”Matsuri Studio”から来年1月24日(水)に発売される。発売はCD/Digitalの2バージョン。アルバムのアートワークと収録曲は下記よりご覧下さい。「すとーりーず」以来となるファン待望の新作アルバムについて、向井秀徳は次のように説明している。

 

 

ZAZEN BOYSのニューアルバムのタイトルは「らんど」だ。
乱土世界の夕焼けにとり憑かれ続けている人間の歌がここにある。 ー向井秀徳

 

 

さらに新作アルバム発表と同時に、10月から開催されているライブツアー、Zazen Boys Tour Matsuri Sessionの日程が追加された。こちらのツアー日程についても下記よりご確認下さい。




Zazen Boys  『らんど』


 

 

 

アーティスト ZAZEN BOYS
タイトル   らんど
Label     MATSURI STUDIO
発売日    2024年1月24日(水)
価格     3000円+税(CD)
品番     PECF-3287
POS     4544163469411
形態     CD、Digital

 

 

Tracklist: 


1 DANBIRA
2 バラクーダ
3 八方美人
4 チャイコフスキーでよろしく
5 ブルーサンダー
6 杉並の少年
7 黄泉の国
8 公園には誰もいない
9 ブッカツ帰りのハイスクールボーイ
10 永遠少女
11 YAKIIMO
12 乱土
13 胸焼けうどんの作り方

 

 

 

・ ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION

 


ZAZEN BOYS オフィシャル先行


受付URL:https://ticket-frog.com/e/zbtms2024
受付期間:2023/11/6(月)20:00〜2023/11/12(日)23:59



・2月3日(土)熊本 B.9 V1

 
開場17:00/開演18:00
(問)BEA 092-712-4221<平日12:00〜16:00>



・2月4日(日)福岡 DRUM LOGOS 

 
開場17:00/開演18:00
(問)BEA 092-712-4221<平日12:00〜16:00>



・2月28日(水)東京 TOKYO DOME CITY HALL

 
開場18:00/開演19:00
(問)ホットスタッフ・プロモーション 050-5211-6077<平日12:00〜18:00>



・3月10日(日)大阪 なんばHatch 

 
開場17:00/開演18:00
(問)YUMEBANCHI(大阪) 06-6341-3525<平日12:00~17:00>



・3月20日(水・祝)名古屋 ダイアモンドホール

 
開場17:00/開演18:00
(問)クロスロードミュージック 052-732-1822<平日:11:00〜17:00>

前売¥6,600(税込・ドリンク代別)
一般発売:11月25日(土)10:00 

 

 

ライブツアーに関する詳細:

 

http://mukaishutoku.com/live.html


 Paint It Black 『Famine』

 

 

Label: Revelation

Release: 2023/11/3


Review


フィラデルフィアのハードコア・アウトフィット、Paint It Blackは、Kid Dynamite/Lifetimeのメンバーとして知られるDanが所属しているという。意外にも長いキャリアを持つバンドらしいが、今作では、USハードコアの王道を行くパンク性により、パンクキッズをノックアウトする。

 

Kid Dynamite,Lifetime、Dag Nasty周辺を彷彿とさせる硬派なボーカルスタイルやハードコアの方向性には、Discordを中心とするDCのハードコアやストレイト・エッジのオールドスクール性が漂うが、一方、グルーブ感を生かしたニュースクールのリズムと鋭いエッジを擁するギターやドラム、無骨なボーカルスタイルが特徴である。さらに、Paint It Blackの音楽性にはニューメタルやメタルコア等の影響も滲んでいる。アルバムの蓋を開けば、怒涛のノイジーさとアジテーションの応酬に塗れること必至だが、他方、Converge以後のニュースクール・ハードコアのスタイルの中には、奇妙な説得力や深みがノイジーさの向こう側に浮かび上がってくる瞬間がある。つまり、プレスリリースで説明されているとおり、「ハードコア・パンクの最も強力なリリースは、弱さ、正直さ、信憑性の空間から生まれるものであることを証明するもの」なのである。

 

そのことはオープニング「Famine」において示されている。フックやエッジの聴いたギターラインと屈強なリズムとバンドのフロントマンの咆哮にも近いスクリーモの影響を絡めた痛撃なハードコアサウンドは、バンドがこれまでどのような考えを持ち、活動を行ってきたのかを示している。ノイジーなサウンドの中核を担うのは、オールドスクールのDCハードコア、そしてFiddleheadに近いモダニズムである。他方、ヨーロッパのニュースクール・ハードコア/ポスト・ハードコアの独特な哀愁も漂う。それは、イタリア/フォルリの伝説、La Quiete、フランスのDaitro、スウェーデンのSuis La Luneのポストハードコアバンドと比べても何ら遜色がないことがわかる。

 

さらに、彼らはパンクバンドとしてのNOFXのようにメッセージ性もさりげなく取り入れている。前回の米大統領選に公平性に関する疑惑を歌った「Dominion」では、大型の戦車が走り回り、すべての草木をなぎ倒していくかのような怒涛の疾走感とパワフルさをサウンドに搭載し、理想的なハードコアパンクとは何かをみずからのアティテュードで示す。ミリタリーの性質があるのは瞭然で、このあたりは80年代のボストン・ハードコアや、以後のニューヨークのAgnostic Frontを思わせるものがある。

 

特に、エッジの効いたベースラインについては、バンドの最大の長所と言える。「Safe」ではオーバードライブを搭載した屈強なベースラインでパンクキッズを完全にノックアウトしにかかる。メタルコアやラップにも近いボーカルラインが加わることで、エクストリームなサウンドが生み出される。さらに、そのモダンなハードコアサウンドの中に、Dropkick Murphysのような古典的なパンクのギターソロを中盤で披露することにより、曲そのものに変化を与えている。ライブを意識した痛撃なサウンドはもちろん、パンクファンの心を鼓舞するためのものであるが、一方、その中にもDag Nasty/Lifetimeのようにじっくりと聴かせるなにかが備わっていることがよくわかる。

 

もちろん、疾走感や無骨さだけが、Paint It Blackの魅力なのではない。「Explotation In Period」では、イギリスのNew WaveやニューヨークのNo Waveを系譜にあるアヴァンギャルド音楽をポスト・ハードコアという形に落とし込んでいるのが美点である。これらの前衛性は、彼らがパンク・スピリットとは何かという原義的なものを探し続けた来た結果が示されていると言える。そして、実際、アルバムの全体的な音響性の中に面白い印象の変化をもたらしている。

 

ハードコアパンク・サウンドの中にある多彩さというのは、本作の最大の強みとなっている。 「Serf City, USA」では、Kid Dynamiteを思わせるメロディック・ハードコアのアプローチを選んでいる。ストップ・アンド・ゴーを多用したパンクサウンドはアンサンブルの深い理解に基づいており、Paint It Blackのバンドとしての経験豊富さやソングライティングにおける引き出しの多さを伺わせる。ダブル・ボーカルに関しても苛烈で痛撃な印象を及ぼし、もちろんハードコア・パンクファンの新たなアンセムと言って良く、拳を突き上げてシンガロングするよりほかない。

 

Paint It Blackは、このアルバムを通じて、パンクロックそのものの最大の魅力である簡潔性や衝動性に重点を置いている。それはその後も続いている。


「The Unreasonable Silence」では、レボリューション・サマーの時代のOne Last Wish、Fugaziの系譜にあるアヴァンギャルドなロックへの展開していく。さらに、Minor Threat、Teen Idlesを思わせる「Namesake」では、ストレイト・エッジを、近年のConvergeのように、ポストハードコアの側面から再解釈しようとしている。表向きにはきわめてノイジーなのに、内側に不思議にも奇妙な静寂が感じられるのは、La Quieteと同様である。クローズ曲「City Of Dead」では、王者の威風堂々たる雰囲気すら漂う。最後の曲では、暗示的に政治不安や暗黒時代の何かが歌われているのだろうか。そこまではわからないことだとしても、アルバムの全般を通じて、フィラデルフィアのPaint It Blackは現代のハードコアパンクの未来がどうあるべきなのか、その模範を断片的に示そうとしている。

 

 

86/100