チャールズ・ロイドは遂にトリオ三部作を完結させた。60年以上にわたり、この伝説的なサックス奏者兼作曲家は音楽界に大きな影響を及ぼしてきたが、84歳になった今も彼は相変わらずの多作ぶりを見せている。


音の探求者であるロイドの創造性は、彼の最新の代表作、異なるトリオのセッティングで彼を表現する3枚の個別アルバムを包含する拡張プロジェクト、トリオ・オブ・トリオ以上に発揮されることはないと思われる。


最初のアルバム「Trios: Chapel」では、ギタリストのビル・フリゼールとベーシストのトーマス・モーガンと共にロイドをフィーチャーしています。2枚目はギタリストのアンソニー・ウィルソンとピアニストのジェラルド・クレイトンとの「Trios:  Ocean」。3枚目は、ギタリストのジュリアン・レイジとパーカッショニストのザキール・フセインとの「Trios:Sacred Thread」となる。


かつて故ジョーン・ディディオンが指摘したように、ほとんどの個人の声は、一度聞けば、美と知恵の声であることがわかる。ロイドはその典型です。1980年代にツアーとレコーディングに復帰し、高い評価を得て以来、彼の演奏はますますスピリチュアルとしか言いようのない要素を獲得し、聴く者を彼の音楽に引き込む実存的な要素を持つようになった。気取らず、知的すぎず、ロイドが「私たちの土着の芸術形式」と呼ぶものを創り上げた偉大なジャズの長老たちの伝統を尊重しており、「シドニー・ベシェ、ルイ・アームストロング、デューク・エリントン、プレッツ、レディ・デイ、バード、そして現代人たち」のような人物を挙げている。テイタム、トラン、ソニー、オーネット、モンク、マイルズといった現代人が彼の道を照らしてくれた。


10代の頃、ブルースの巨匠たち、ボビー・ブルー・ブランド、ロスコー・ゴードン、ハウリン・ウルフ、B・B・キング、ジョニー・エースと一緒に演奏した時の経験が、私のルーツになっています。多くのミュージシャンが演奏できるのに、彼らの音楽はバンドスタンドから離れない。それが僕にとって大きな教訓になった」


例えば、『The Sacred Thread』は50年代後半に生まれたものであり、その原点となった出会いは、ロイドの音楽において過去の経験が現在を照らし出すことが多い。「南カリフォルニア大学で勉強していたとき、ラヴィ・シャンカールとアッラ・ラーカがよく来ていたんだ。 「音楽だけでなく、タゴールのような詩人やミラレパのような聖人も。その後、ラマクリシュナやヴェーダンタに出会いました。また、サロード奏者のアリ・アクバル・カーンにも深い感銘を受けました。彼の息子のアシシュとプラネシュは、私のアルバム『ギータ』に参加しています」。1973年に発売されたこのアルバムは、ビルボード誌で「インド音楽が自由な流れのモダンジャズと巧みに融合している」と評された。


「ジョン・マクラフリンがUCLAでのコンサートに私を招待してくれた。ジョン・マクラフリンの音は美しく、私は彼らが一緒に作っている音楽にとても感動しました。ザキール(・フセイン)のタブラを聴いて、ハウリン・ウルフに戻ったんだ。どうやったら、その例えができるのか、ジャンプできるのかわからないけど、若い頃ハウリン・ウルフと演奏したとき、私は震えたんだ。ザキールとは2001年に初めてコンサートで共演したのですが、その時、USCでラヴィ・シャンカールと共演しているのを見たアラ・ラーカが彼の父親であることを知りました。それをプロビデンスと呼ぶこともできるし、私はそれをセイクリッド・スレッドと呼んでいる」


   


2020年9月26日、パンデミックの真っ只中、ロイドはカリフォルニア州ソノマ郡のワインカントリー、ヒールズバーグのThe Paul Mahder Galleryでバーチャルオーディエンス向けのコンサートをストリーミング配信した。フサインとギタリストのジュリアン・ラージが加わり、ロイドは「ミュージシャンと観客の間のエネルギーや交流がなくなる一方で、拍手によって中断されることのない集中力と集中力がある」と観察している。


「彼はヒールズバーグからそれほど遠くないところで育ち、天才と呼ばれていた。彼は大きな耳を持っていて、私は彼の可能性を聞き出した。彼はまだ若く、その耳は大きくなるばかりです。だから、私は自分の道を見つける魂に祝福され続け、今でも高いワイヤーに乗り、空を飛ぼうという気にさせられるんだ」


トリオ・オブ・トリオス3部作の最終幕となる「Trios:Sacred Thread」は、パーカッションとヴォーカルを使用した唯一のアルバムである。


フセインのタブラと声は、音楽的、感情的な雰囲気を一変させ、エキゾチックなスパイスのように、インド亜大陸の強い音楽の香りを加えてくれる。「ザキールの声を聴くのが大好きなんだ」とロイドは言う。「僕らの音楽に魅惑的な響きを与えてくれるんだ」。ロイドは、インドのラーガや音階を演奏するのではなく、Geetaで行ったように、即興演奏を通してインド音楽とアメリカのジャズとの共通点を探っている。テナーサックスよりもアルトフルート、そしてタロガトーという哀愁を帯びた木管楽器に頼りながら、フセインはタブラ(通常4〜5種類の大きさのタブラとカントラ)を駆使して音楽の波と流れを媒介するのである。


ロイドのテナーサックスでムード、テンポ、キーが決まる「Desolation Sound」では、ラージのハーモニックスの使い方が完璧で、そのあとロイドが再びアルトフルートに入り、軽い音色で音楽のムードを盛り上げる。フセインの歌声を紹介するエピソードに入ると、グループのダイナミックさが一変する。「グマン」は "グル "へのプラナム、「ナチェキータの嘆き」へとテンポを変え、タラガトーの音色に声が響くようになる。音楽、芸術、知恵の女神であるサラスワティへの献身を歌った "サラスワティ "ではフセインの声が雰囲気を和らげ、ロイドが再びフルートを担当した "クティ "ではラゲの巧みな介入を促している。


「ルミの物語」はフセインのタブラとカンジラのソロをフィーチャーしたものである。タブラはドラムの音の中で最も表現力が豊かな楽器として知られ、32音という幅広い音色を持つが、フセインはこれを見事に使いこなしている。テナーのロイド、ギターのラゲとともに、音楽の沈黙を「演じる」ことを恐れず、Sacred Threadの本質をとらえるような瞬間を創りだす。ロイドの「The Blessing」は、1983年7月のモントルー・ジャズ・フェスティバルでピアノのミシェル・ペトルチアーニと録音したもので、雄弁でありながら控えめな、魅力的なコンサートのクライマックスとなる曲である。


トリオ3部作の演奏を振り返り、ロイドは次のような洞察を述べている。


「その音(ノート)を探す中で、私たちの個性が普遍性と融合し、いつのまにか出会っている。その固有性はとても強力であり、私たちが知っている世界を青ざめさせる。"絶対的なものの中にいたのに、相対的なものに戻るのはそう容易いことではない "と。興味深いことに、アポロ12号で月面を歩いたアラン・ビーンもまた、絶対的な世界に行った体験について、それはあなたを変えるのではなく、あなたが誰であるかを明らかにするんだ、と言っているんだ」





 Chales Lloyd 『Trios: Sacred Thread』



Label: Bluenote

Release: 2022年11月18日


 Official-order:


https://charleslloyd.lnk.to/TriosSacredThreadID

 



トム・ヨーク擁するザ・スマイルは、11月17日、米国のテレビ番組、The Tonight Show Starring Jimmy Fallonに出演、彼らの曲「You Will Never Work in Television Again」を披露しました。ライブパフォーマンスの模様は以下よりご覧ください。


「You Will Never Work in Television Again」は、5月にリリースされたレディオヘッドのサイドプロジェクトのデビューフルアルバム『A Light for Attracting Attention』に収録されています。彼らは、現在、Primavera Sound 2022での公演を含むヨーロッパ・ツアーの後、北米でツアー中です。


 


シカゴのラッパー、Chance The Rapperは、『2000』という新作のリリースする予定だったが、どうやらサンプル・クリアランスの問題で延期されたという。

 

Chance The Rapperの次のプロジェクトは、『Star Line Gallery』と呼ばれている。しかし、果たして、これが2000と同じプロジェクトなのか、それとも全く別なのかは現時点では不明だという。しばらく、Chanceは新曲を単発でリリースしていていたのはファンならご存知だろう。6月にJoey Bada$$と一緒にシングル 「The Highs & The Lows」をリリースしている。

 

先週末、チャンス・ザ・ラッパーは上記のシングルに続いて、ガーナ人シンガーのKing Promiseとのコラボレーション・シングル「YAH Know」を発表した。「YAH Know」は、シカゴハウス/ジュークビートを高速で刻み、ゴスペルも刻んでいる。チャンス・ザ・ラッパーは複雑に書き込まれたセリフを素早くラップし、黒人のプライドと歴史に自然な形で踏み込んでいる。

 

このシングルで、チャンス・ザ・ラッパーは黒人アーティストの作品にスポットライトを当てているという。「YAH Know」のカバーアートは、ロサンゼルスのMOCAで公開されたMía Leeによるもので、Chanceが自ら監督した「YAH Know」のビデオにも出演している。下記よりご覧下さい。

 

 

Elvis Costello

 

Elvis Costello & The Impostersは、日本のラップ・デュオ、chelmicoによる「Magnificent Hurt」のリミックスを11月18日に公開しました。トラックにはRyo Takahashiが参加しています。(楽曲のストリーミングはこちらから、もしくは下記からどうぞ) このニューシングルは、次作アルバム『The Boy Named If (Alive at Memphis Magnetic)』に収録される予定です。


chelmico

 

chelmico(チェルミコ、Rachel,Mamikoからなるラップデュオ)は、今回のリミックスについて、「Elvis Costello & The Impostersとコラボしたなんて信じられない!!!」とコメントしている。

 

「こんなことが現実に起こるなんて!?  Zoomコールで話していたら、エルヴィスがやりたいことは何でもやっていいよ、と言ったから、それをやっただけだよ!」と述べている。「私たちが再解釈した "Magnificent Hurt "の世界観をお楽しみ下さい。Ryo takahashiのビートは、まさに完璧。エルヴィスがこのトラックを喜んでくれて光栄です!」


『The Boy Named If (Alive at Memphis Magnetic)』は、今年1月に発表されたアルバム『The Boy Named If』の「コンパニオン・レコード」となっている。本作は、パンデミック中にリモートで録音されたアルバム『TBNI』を経て、2021年10月と2022年5月に米国/メンフィスのMagnetic Recordingでライブ録音された。


近日発売のアルバム『The Boy Named If (Alive at Memphis Magnetic)』には、バーズ、ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、ニック・ロウの楽曲のカバーも収録される予定だ。

 

 

 

 

Elvis Costello &The Imposters  「Magnificent Hurt」 New Single


 

 Label: Universal Music/EMI


Release:2022年11月18日

 


Listen/Stream:

https://umj.lnk.to/eci_mhr

 



 

先日、カバーアルバム『Only The Strong Survive』を発表したばかりのブルース・スプリングスティーンは、アメリカン・ロックの祖であるにとどまらず、長年、レコード業界とショービジネスに深く携わってきたミュージシャンだ。今回、スプリングスティーンは、その長年の音楽業界の表から裏までを知り尽くしている人物としてのチケットマスターの制度改革を公に訴えています。

 

チケットマスターというのは、米国のチケット販売を斡旋するライブ・ネイションが管轄する企業であり、この企業がもたらすチケット販売制度の利便性自体は以前よりも高いものになっているが、公平にチケットを購入しようとするファンに、その権利が与えられないといった問題が生じています。つい、一昨日には、このチケットマスターの販売に明らかな欠陥が生じたため、米国の大人気シンガーソングライター、テイラー・スウィフトのコンサートチケットの販売が急遽中止されている。専売的にチケットを販売することは、そのチケットを求めようとするファンに不公平性を与えるのではないか。近頃ではそんな話も囁かれるようになりました。

 

ブルース・スプリングスティーンは、音楽が一大的なショービジネスとして確率した時代からプロのミュージシャンとして活躍してきた人物であるがゆえ、一家言を持っており、彼は、2023年のツアーチケットの価格に対するファンの反発について、初めてローリングストーン誌に、チケットマスターのダイナミック・プライシング・アルゴリズム(公平な販売制度)を利用するべきではないかという提言を行い、その発言の根拠を説明しました。また、広範な話題のインタビューの中で、ボスは、将来のアーカイブ・リリースに関する長年の噂についても触れています。


「私がやろうとしていることは、とてもシンプルなことなんだよ」と、ブルース・スプリングスティーンは、夏の一次販売期間中に5,000ドルに達したこともあるチケット価格について語った。

 

「私は部下に、”他の人たちが何をしているのか見て来なさい。もう少しチケットを安くしようじゃないか?”と言うんです。それが、大まかな指示なんだ。彼らは、それを実行に移す。過去49年間、あるいは、それ以上の期間、私たちはほとんど市場価格以下でライブをプレーしてきました。私はそれを楽しんできた部分もあった。ファンにとってもそれが最善だろうと思って。今回は、『おい、俺は73歳だぞ。みんなそこにいる。みんながやっていること、同業者と同じことをしたいんだよ』ってね。だから、そうなった。彼らはそうしてくれたんだ(笑)」


「しかし、近年のチケット購入制度がどのように販売されているのかについては、ファンだけでなく、アーティストにとっても非常に分かりにくくなっていることは事実ですね」とスプリングスティーンは続けた。


「そして、肝心のチケットはというと、ほとんどがお手頃価格だということ。でも、どうせ、どこかで高値がつくようなチケットもあるんでしょうね。きっと、チケットブローカーか誰かがそのお金を横取りしようとしてるんだよ。そもそも、そのお金を、毎晩3時間も汗水たらして働いている人たちのために使うべきでは? 私達はそのための機会を作ろうとした。それで、その時点で、私たちはそれを実行に移しました。一部のファンから不評だったのは知っていますよ。でも、途中で苦情が出たら、お金を返してもらえばいいじゃないですか?」


チケット価格がアーティストでもなく、ファンでもなく、売り手側の都合により高騰するという難点について、ファンの怒りの反応がどう影響したのかとローリング・ストーンに聞かれたスプリングスティーンは、「まあ、僕は年だから。多くのことを冷静に受け止めることができるようになったんだよ(笑)。誰も彼も批判されるのは好きではない。もちろん、高いチケット代の広告塔になるのも嫌だろう。それは一番なりたくないものだ。でも、そういうことなんですよ。自分の決断は、自分で行い、ベストを尽くさなければいけない・・・。それが私の考えです。もし、皆さんがショーに足を運んでくれたら、きっと素晴らしい時間を過ごしてもらえると思うから」


さらに、以上のようなチケット販売の公平性を担保すべきと主張した上で、今後の自身のライブツアーにおいて、オンセールスでダイナミック・プライシング(価格変動性:商品やサービスの価格について、一定の標準価格を設定し、その商品・サービスの売れ行きにより価格を随時変動させる仕組)を導入するかどうかについては明言を避けている。「いや、それはまだわからないことだよ。将来的には、もちろんそれについて話すことになると思うけど(笑)。そもそも、ツアーの種類によって価格も全然変わってしまうからね。でも、また、ツアーに来ることになる。きっと、多少は、今よりも屋外で演奏することになるだろう。それが実現したら、また別の話になるんだけど・・・。今は何も明確なことを言いたくないが、今後しばらくどうなるか静観してみようじゃないか」


インタビューの中で、ブルース・スプリングスティーンは、今後の彼自身のアーカイブをリリースする”Vaultプロジェクト”の計画についても、初めて詳細に語っている。


このコレクションは、彼にとって「90年代は素晴らしい10年ではなかった」という考えを覆すためにあるとスプリングスティーンは語っている。スプリングスティーンは80年代に『Born In USA』という傑作を残しているが、90年代にはスタジオ・アルバムを二作発表したのみで、その他はほとんどライブアルバムやスタジオセッションを中心にリリースしていた。このミュージシャンの全てのバックカタログ、及び、全般的なアメリカン・ロックにもたらした大きな功績を鑑みると、表向きには、物足りなさを感じる90年代との評価を受ける場合もあるが、それはミュージシャン/ロックスターとして眠っていた時期ではなかったとスプリングスティーンは説明している。「いや、私はあの時期にたくさんの音楽を作ったんだ。実際にアルバムも作っていたし。ある理由で、タイミングが合わなかったりして、アルバムを出さなかっただけなんだよ」


さらに彼は、補足的な説明を加え、「バンドが演奏している古いものもあれば、その期間に私が構想していた新しいものもある。その時期に私がやっていたことを再評価してもらうきっかけになるだろう。また、本当に奇妙なものが多いんだ。本当に......、その一部に対する反応を見るのが待ちきれない(笑)」と話している。スプリングスティーンはまたドラムループに支配された神話的なアルバムをリリースする準備が整っていて、「人々が思っているほど奇妙なものだ」と語ったが、そのアルバムはどうやら "近い将来 "リリースされるボックスセットには含まれないという。


その他、ブルース・スプリングスティーンは、インタビューの中で、発売されたばかりのソウル・カヴァー集『Only the Strong Survive』の続編を75%完成させたこと、来年初めのEストリート・バンドのツアー復帰に向けてセットリストをすでに構想していること、さらに、それらのショーは3時間程度に及ぶはずだとも語っている。いまだ73歳という年齢を感じさせないアメリカン・ロックのボス。二作目のカバー集のリリース、そして、今後、ライブ業界に対して最善に働きかけ、これからも音楽業界に清々しい息吹をもたらしてくれるはずだ。

Weekly Recommendation

 

 Weyes Blood 『And In The Darkness,Hearts Glow』

 

 

 Label: Sub Pop

 Release: 2022年11月18日

 

 

Review

 

 ウェイズ・ブラッドの名を冠して活動するナタリー・メリングは、前作『Titanic Rising』で歌手としての成功を収め、その地位を確立したが、この三部作の二作目となる『And In The Darkness,Hearts Aglow』で今日のディストピアの世界の暗闇に救いや明るい光を見出そうとしている。三部作は、ナタリー・メリングのとって、恋愛小説のような意義を持ち、それはいくらかロマンティックな表現によって縁取られている。

 

しかし、理想主義者としての表情を持つこのシンガーソングライターは、それらのロマンチシズムを絵空事として描こうとはしていないことに気づく。幼い時代からのキリストの信仰における宗教観、近年では、仏教の中道の観点から現代社会の問題を直視し、その中にある問題解決の端緒を訪ね求めようとする。しかし、これらの二作目のアルバムの楽曲は、問題解決の答えを独りよがりに提示するのではなく、聞き手とともに、またそれらの問題に直面する人たちと、同じ歩みで、その問題について議論を交わし、そして何らかの解決策を求めようとする試みなのである。

 

「この音楽に対してカタルシスを感じてもらいたい」という趣旨のメッセージを込めるナタリー・メリングではあるが、これは2020年の時代に絶望を感じていた人々にとり、いや、それにとどまらず2022年の世界に絶望を感じている人々にとって、大きな癒やしとなり、そして、その心の傷を癒やす、言わば、ヒーリングのようなエネルギーを持ち合わせる作品となるだろう。それは、メリング本人にとってもソングライティングや実際の録音、全般的な作品制作の過程において同様の感慨をもたらしたに違いない。ちょうど歌手としての地位を盤石にした傑作『Titanic Rising』から一年、パンデミックが発生し、LAでレコーディングを開始したメリングではあるが、皮肉にも前作アルバムに込めたテーマは予言的なものとなった。このセカンド・アルバムは、単なるコンセプチュアルな作品の続編であるにとどまらず、絶望的な世界の到来を未来に見る時間から、メリングはその地点から移動し、それらの次の段階へと進み、その渦中に自分/自分たちが存在することを、このセカンド・アルバム全体で概念的に描き出そうというのである。


 Weyes Blood


 世界を描く・・・。こういった壮大な試み、あまりにも大がかりにも思えるテーマが成功することは非常に稀有なことである。アーティスト、もしくはバンドが、それらのテーマをどのように描くか、自分の現時点の位置を嘘偽りのない目で見極めながら、それらの理想郷に手を伸ばさねばならない。しかしながら、ナタリー・メリングは、もともとが電車に乗って、路上ライブを行っていた人物であるからか、様々な階級の世界をその目で見てきた人物としての複数の視点、それは王侯から奴隷までを愛おしく描くウィリアム・シェイクスピアのような、すべての世の人を愛するという温かい心に満ちあふれているのだ。にとどまらず、ナタリー・メリングは、時に、実際的な社会の問題を見た際には悲観的にならざるをえない、きわめて理知的かつ現実的な視点を持ちあせ、さらに、そのユートピア的な思想を実現するための音楽的な素養と深い見識に裏打ちされた「知」がしっかりと備わっている。暗澹とした先行き不透明なディストピアの世界に対峙する際、その暗闇の向こうにかすかに見える一筋の光を手がかりに、メリングはモダン/クラシカルの双方のポップスの世界を探訪していく。これらの音楽を思想的に強化しているのが「God Turn Me Into a Flower」のナルキッソスの神話や、オープニング・トラック「It's Just Me,It's  Everyone」での傷ついた人を温かく、慈しみ深く包み込むような共感性にあるのだ。これらは、単なる作品舞台の一装置として機能しているのではなく、その楽曲を生み出すためのバックボーン、強い骨組みのようなものになっているため、そこで、実際の音楽として聴くと、深く心を打たれ、そして、深く聴き入ってしまうような説得力を持ち合わせているのである。

 

ナタリー・メリングは、その他にもソーシャルメディア全盛の時代に警鐘を鳴らす。もちろん、多くの人々が経験していることではあるが、日々、我々は何かにリンクするという感覚を持っているか、それを何がしかのツールで、そのリンクという概念を体験する。しかし、そもそも、それはその名が示すように本当に誰かしらとリンクしているのだろうか。それはリンクしていると考えているだけにとどまらないのではないか、という疑念も生ずることも少なくはない。ナタリー・メリングは、それらのソーシャルメディアを通じて行われる交流が人間そのものの分離を加速させているのではないかという提言を行う。つまり、このシンガーソングライターの考えでは、それらのデジタルでの交流はインスタントなものであり、本質的な人間の交流とは異なるものという意見なのである。それらの考えを足がかりにして、メリングは本質的な人間の交流という概念が何であるのかを探求していく。そして、それは前にも述べたように、そのための議論が人々の間で建設的に何度もかわされることがこれらの問題解決への糸口となるというのだ。最初から明確な答えを求めるのではなく、その間にある過程を重視するのがナタリー・メリングというアーティストであり、世界で数少ない正真正銘のSSWなのである。

 

 それでは、実際の音楽はどうか。ナタリー・メリングの楽曲は古き時代のポップスやフォークを彷彿とさせるのみならず、それ以前の時代の偉大な音楽への眼差しが注がれている。表向きには、カーペンターズの音楽を思い起こさせるが、アーティスト本人によれば、それはカーペンターズの音楽をなぞらえたいというけではなく、カーペンターズと同じ音楽のルーツを持っているとメリングは考えている。つまり、このアーティストの楽曲に現れるチェンバロのアレンジを用いたバロックポップ/チェンバーポップの要素は、本人の話では、ビートルズのジョン・レノンにあるわけでもなく、カレン・カーペンターに求められるわけでもなく、それよりもさらに時代をさかのぼり、ジュディー・ガーランドの時代のモノクロの映画音楽、ホーギー・カーマイケル、ジョージ・ガーシュウィン、バート・バカラックの時代の音楽に求められるという。もちろん、知られているように、幼年時代に聖歌隊に属していたということから、教会音楽やルネッサンス音楽の影響が、このアーティストの楽曲に崇高性を付与していることは容易に窺える。

 

ナタリー・メリングのセカンド・アルバム『And In The Darkness,Hearts Aglow』の収録曲は、クラシカルなポップスの雰囲気に彩られている。それは実際に、ナタリー・メリング自身が最近の音楽をあまり聴かず、シューマンや、メシアンを始めとする新旧の古典音楽に親しんでいるのが主な理由として挙げられる。しかし、ドローン・アンビエントのシーンで活躍するブルックリンの電子音楽家、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのDanel Lopatin(ダニエル・ロパティン)がシンセの反復的なフレーズを提供した、「God Turn Me Into a Flower」にも見受けられるように、これらの曲は、決して、古びているわけでもないし、懐古的なアプローチであるとか、アナクロニズムに堕しているとも言いがたい。常に、このセカンドアルバムでは、ポスト・モダンに焦点が絞られ、そして、メリング本人が話している通りで、既存の音楽を破壊し刷新するような「脱構築主義」にポイントが置かれているのである。古典的なポップス、映画音楽、そして、ジャズ、クラシックの要素がごく自然に入り混じったナタリー・メリングの楽曲は、モダンなエレクトロのアレンジが付け加えられることで、複雑な構造を持つ音楽へと転化されている。さらに、メリングの女性的なロマンチシズムを込めた叙情的な歌詞や、伸びやかな歌唱によって、これらの曲は、ほとんど信じがたい、神々しい領域にまで引き上げられていくのである。

 

これらの「ポスト・モダン・ポップスの最新鋭」とも称すべき、親しみやすさと円熟味を兼ね備えた楽曲の合間に、オーケストラ・ストリングスを交えた間奏曲が導入され、作品として十分な緩急を織り交ぜながら、空気や水の流れのように、流動的な雰囲気を持ち、その場に一時たりともとどまらず、音楽における贅沢な恋愛物語がロマンチックかつスムーズに展開されていく。そして、メリングは、それらのロマンチシズムに現実的な視点を込めることにより、我々が生きる先行きの見えない、2020年代の灰色の時代の中にある救いや光を見出そうとするのだ。

 

では、果たして、ナタリー・メリングが追い求めようとする救いは、ここに見いだされたのだろうか? それはアルバム『And In The Darkness,Hearts Aglow』全編を聴いてのお楽しみとなるが、このアルバムの中で「God Turn Me Into a Flower」と合わせて、最もロマンティックな楽曲といえるクローズド・トラック「A Given Thing-与えられたもの」では、昨今の二年間にわたり、このアーティストが訪ね求めていた答えらしき何かが、暗喩的に示されているのに気がつく。

 

ピアノのシンプルな伴奏、古めかしいハモンド・オルガンのゴージャスなアレンジを交えたクラシック・ジャズ的な芳醇さを持ち合わす、このクライマックスを劇的に彩る楽曲において、ウェイズ・ブラッドは、楽曲が幾つか出来つつあり、今後開催するツアーで段階的に観客の前で新曲を披露していくと話す、三部作の最後のスタジオ・アルバムのテーマがどうなるのかを予兆的に示し、二年間にわたる分離された社会に自分が見出した感慨を、さながら劇的な恋愛小説のクライマックスを演出するかのように、甘美に、あまりにも甘美に歌いながら、『And In The Darkness,Hearts Aglow』の持つ、穏やかで、麗しい、この壮大な物語から名残惜しげに遠ざかっていく。「ああ、それは、きっと与えられたものなのだ、愛は、永遠に続く・・・」 というように。

 

 

97/100 

  

 

Weekend Featured Track 「A Given Thing」 

 

 

STONE

 UKの新進気鋭のインディーロックバンド、STONEは、記念すべきデビューEP『Punkadonk』をPolydorからリリースしました。


このプロジェクトについて、STONEのギタリストのElliot Gillは、次のように語っています。「僕らの音楽は、僕ら全員が感じているすべての感情への導管なんだ」


「私たちは、ソーシャルメディアという恐ろしいほどセンセーショナルな世界に生きていて、すべてが過剰に露出され、圧倒されている。でも、私たちは同世代として、その中にいる。僕とフィンは自分たちがメンタルヘルスに苦しんでいて、だから僕たちはあんなに激しくやるんだと思っている。子供たちに何かとつながる機会を与えるため、自分の一部をステージに上げているんだ」

 

「Money」


 

 STONEの「Punkadonk」EPの全曲ストリーミングはこちらで聴くことができます。(トラックリストは以下の通り)



Stone 『Punkadonk』

 


 
Label: Polydor

Release: 2022年11月18日
 
 
 
Tracklist:


1. Money (Hope Ain’t gone)
2. Waste
3. Moto
4. Radio Ready
5. Disrupter


Nile Young


米国のコンテンポラリー・フォークの伝説、ニール・ヤングとクレイジー・ホースが、昨日、最新アルバム『ワールド・レコード』を発売しました。ストリーミングサービスではApple Musicで試聴できます。以前、ニール・ヤングは、ジョー・ローガンのポッドキャストに反意を示すため、spotifyから全曲を削除したため、現在のところこのプラットフォームでは視聴することが出来ません。


ニール・ヤングとクレイジー・ホースは、マリブにあるリック・ルービンのシャングリ・ラ・スタジオでWorld Recordをライブ録音している。2xLPレコード、カセット、ダブルCD、そしてXStreamやAtmos/Spatialなどのプレミアムストリーミングサービスで提供され、ファーストシングル「Love Earth」は、気候変動対策に真剣に取り組むよう社会に対して呼びかけている。


さらに、ニール・ヤングは今年初め、ルービンとジャック・ホワイトのポッドキャストインタビューをクラッシュさせ、ワールド・レコードについて議論しました。クレイジー・ホースの前回のアルバムは2021年の『バーン』。一方、12月、ニール・ヤングは4枚目のスタジオ・アルバム『ハーヴェスト』の50周年を記念したデラックス・リイシューを発売する予定。こちらも楽しみです。


 

 


Neil Young & Crazy Horse 『World Record』 

 




Tracklist:



01. Love Earth
02. Overhead
03. I Walk With You (Earth Ringtone)
04. This Old Planet (Changing Days)
05. The World (Is in Trouble Now)
06. Break the Chain
07. The Long Day Before
08. Walkin’ on the Road (To the Future)
09. The Wonder Won’t Wait
10. Chevrolet
11. This Old Planet (Reprise)


 

404 Guild

12月9日にDirty Hitよりリリースされるデビューアルバム「False Dawn」に先駆け、404 Guildが新曲「The Evening Star」を公開しました。

 

イヴニング・スターとは宵の明星のことを指し、彼らの現在の瞬間的な立ち位置を体現している。この後、彼らが光り輝くかどうかまでは名言できないが、その可能性はある。この新曲について、バンドは以下のように説明している。


「前を見て、後ろを振り返り、ヘッドライトが霧を一瞬して切り裂く、そんな一曲なんだ。音楽的には、今までにリリースしたことのないもので、作っている時は自分たちでも驚いていたよ。音楽的には、今までになかったもので、作っていて自分たちでもびっくりするくらいです。この曲をライブで演奏するのが楽しみなんだ。ヴォーカルには交感神経を刺激する感じがあるよ」



 

Pharrell Williams&Travis Scott

世界一のヒットメイカー、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)とTravis Scott(トラヴィス・スコット)がタッグを組んだ新曲「Down in Atlanta」が公開されました。下記よりご試聴ください。


「作った後、ホイップで聴くと、その時に理解出来る」とファレル・ウィリアムスは、この曲についてApple Music 1に語っています。

 

「ストップライト、ハイウェイのストップライト、そういう時に分かる。そして、これはそのうちの一つ。レアな形のトラヴィスのヴォーカルも聞ける。6/8のダンスレコードで、ミッドテンポだ。彼がそのゾーンにいるのを聞くだけで最高。この曲は、まさにそんな一枚だ。何度でも聴けるはずだよ」


この2人がタッグを組むのは今回が初めてではない。ファレル・ウィリアムスは、トラヴィス・スコットがLAのToro y Moi(トロ・イ・モア)をフィーチャーした2015年の楽曲「Flying High」に参加し、Astroworldの楽曲「Skeletons」ではTame Impala(テーム・インパラ)と共にチームを組んでいるのだ。


現時点では、今回のニューシングル「Down In Atlanta」がファレル・ウィリアムスの次作アルバム『Phriends』に収録されるかどうかは明らかになっていないようです。ローリング・ストーン誌の「ミュージシャン・オン・ミュージシャン」シリーズで、この新しいプロジェクトについて語ったウィリアムスは、このニューアルバムに、BTSが参加することを認めている。また、「僕の名義で、アルバムのタイトルは『Phriends』だ。もちろん、ボリューム1だ」とファレルは語っている。「そして、実はこのことを必要以上に話してまわっているんだけど、僕のアルバムの曲を(BTSが)歌ってくれて、それが素晴らしくて、すごく感謝しているんだ」と語った。


一方のコラボレーターのトラヴィス・スコットは、2019年からアルバム『ユートピア』を制作しているところだ。昨年11月に楽曲「Escape Plan」と「Mafia」をリリースしたほか、最近ではサウスサイド、ナヴ、DJキャレド、ドレイク&21サヴェッジの楽曲にゲスト参加している。

 

Tancred

 Jess Abbott(ジェス・アボット)のソロプロジェクトであるTancred(タンクレッド)が、新曲「Jars」を発表しました。この曲は、ゆるやかなインディー・フォークで、癒やしを求めるリスナーにとって最適なナンバーとなっている。

 

ジェス・アボットは、元Nowのギタリストとして知られています。活動を開始した2011年から現在までに4作のアルバムを発表している。その中には、Polyviyle(ポリヴァイナル)も含まれている。

 

"若くて孤独だったのが、人生を変え、今までいた場所から目覚めさせてくれるような人と一緒にいることへの移行について書いたの。"とアボットはこのニューシングルについて声明で説明しています。


「Jars」は、ニュージャージー州のシンガーソングライター、Jenny Owen Youngs(ジェニー・オーウェン・ヤングス)をフィーチャーした先月の「Mirepoix」に続くシングルとなっている。タンクレッドのソロ曲としては、2018年のアルバム「Nightstand」以来の作品となる。

 

昨年、ジェス・アボットは、ジェニー・オーウェン・ヤングス、及び、ミネアポリスのソングライター、John Mark Nelson(ジョン・マーク・ネルソン)と共同制作し、「Silver Bells」のカバー、オリジナル・トラック「Fireside」を発表している。


 


 米国のシンガーソングライター、Sharon Van Etten(シャロン・ヴァン・エッテン)はThe Raincoats(レインコーツ)のGina Birch(ジーナ・バーチ)とコラボレーションし、新刊『Illustrated Lyrics』を制作したと発表した。本刊はVolumeから2023年秋冬に発売予定となっている。先日、シャロン・ヴァン・エッテンは今年始めにリリースした新作『We've Been Going About This Wrong』のデラックスバージョンをDead Oceansから発表している。

 

この新刊書籍『Illustrated Lyrics』には、Sharon Van Ettenのディスコグラフィーにある曲の歌詞と、Gina Birchによるイラストが掲載される予定で、絵本のような構成になっている。この書籍は、布製のサイン入りコレクターズエディションで、1,000部限定で販売、128ページから構成。書籍自体は英語ですが、公式サイトでは日本円での購入も受け付けています。


"みんな、私が嘘つきだと思ってる" "あなたと炎の縁を渡っている、疑問の時間に私は思う - 誰が、誰?"


シンガーソングライター、シャロン・ヴァン・エッテンの言葉は、無防備さに力を見いだし、内なる声が外に向かって発する叫びとなる。Apple Musicが企画した、ヴァン・エッテンとエルトン・ジョンの最近の対談では、彼女の作品に見受けられる率直な性格と、それを聴く人の心の伴侶となる能力の重要性が明らかにされている。エルトン・ジョンが彼女に語ったように、音楽は "私に触れて、私をどこか別の場所に連れて行ってくれて、私の心を暖かくしてくれる...そして、私は長い間あなたを愛してきたから、あなたと話すことにかなり緊張している"。

 

シャロン・ヴァン・エッテンにとって、音楽は子供の頃から不可欠な存在であり、様々な障害や不都合を乗り越えながらも、2009年にスタジオ録音によるデビューアルバム『Because i was in love』をリリースに漕ぎ着けた。このデビュー時まで、彼女は、自作のハンドメイドCDを作って配り、曲を書き、演奏し続けた。ヴァン・エッテンが、これまでにリリースした6枚のスタジオ・アルバムは、ジョシュア・オム、エンジェル・オルセン、ボン・イヴェール、ニック・ケイヴ、ザ・ナショナルなど、音楽界の傑出したアーティストたちとコラボレーションしています。


今回のユニークなコラボレーションでは、アーティストでありミュージシャンでもあるレインコーツのジーナ・バーチと共同で、彼女の歌詞をペイントでアニメートしました。裸の人間の姿、肉の感触、大胆な色調、歪んだ周囲の環境などの表現は、虐待された関係や感情の成長、母性、愛、残してきた自分への郷愁など、ヴァン・エッテンの歌詞の生々しさ、力、繊細さを伝えるものとなっています。

 

書籍の写真は下記からご覧いただけます。



 Illustlation

 




 


 現在、LAを拠点に置く、ダラス出身のアーティストLiv.e(リヴ)が、セカンドアルバム『Girl in the Half Pearl』を、In Real Lifeから、来年2月10日にリリースすることを発表しました。

 

Liv.eは、まさにクロスオーバー・ヒップホップの先鋒と称するべきミュージシャン。ブルースやゴスペル等の教会音楽にルーツを置きつつ、メンフィスラップに影響を受けたミュージシャンである。もちろん、ラップの性格が最も強いが、ソフトウェア"ableton live"を駆使し、最新鋭のエレクトロニクスサウンドを体現する。加えて、上記のブラックミュージックのルーツが彼女の音楽性に深い情感を与えている。

 

今回、Liv.eは、John Carroll Kirby(ジョン・キャロル・カービー)とSolomonophonic(ソロモノフォニック)と共同で作曲・プロデュースしたニューシングル「Wild Animals」を公開しました。


Liv.eは「私はビジョンを思いつき、それが私の想像と同じように出てくることを確実にするために最善を尽くすプロセスが本当に好きです」と、「Wild Animal」のセルフディレクション・ビジュアルについて語った。

 

"私はほとんどすべての練習を、自分自身への信頼と信念を強化するもう一つの方法として使う傾向があります。このコンセプトは、私が過去によく行動しがちだった古い「人を喜ばせる」習慣を手放すことに基づいているだけです。毎回自分を選択する強さと勇気を得ることを描いたのです"


2020年のデビュー・アルバム『Couldn't Wait To Tell You』に続く新作LPは、以前シェアされたトラック「Ghost」を含む17曲で構成されている。アーティスティックな佇まいを持ちながらも、実力派のミュージシャンとしてぜひとも注目しておきたい。

 


「Wild Animals」

 



「Ghost」
 
 




Liv.e 『Girl in the Half Pearl』 Artwork
 



©︎Conor North Goat

 アーカンソー出身のエレクトロ・デュオ、joanが、デビューアルバム『superglue』のリリースを発表し、さらにセカンド・シングル「flowers」を公開しました。


この新曲は、前作「don't wanna be your friend」に続く、アルバムからの2曲目のシングルとなります。この12曲入りのLPは、4枚のEPに続き、3年の歳月をかけて制作され、2人が父親になってからの変遷を詳細に描いた作品で、Photo Finish Recordsより4月18日にリリースされる予定です。


このシングルについて、Alan Benjamin ThomasとSteven Rutherfordは次のように語っている。


「真夜中過ぎに親友の近所の通りを走り回り、友人から友人の家へとスキップして回ったのをよく覚えている。放課後、友人の家に駆けつけて、彼のガレージで新曲のリハーサルをしたのを覚えている。日が暮れた後、ドライブがてら街中を走り回ったこともありました。これは永遠に続かない、と思ったことはないでしょうが、その後、人は成長する。年月は流れ、季節は移り変わる。それが人生というものなんだ。運が良ければ、そのうちの何人かは残ってくれるんだけど、多くの人は、もう話をしなくなるんだと思う。つまり、それがこの曲なんだ」


「それは完全に私たちの世界を変え、私たち二人は、親になるとやって来る多くの同じ類の成長を経験してきました」とジョアンは、アルバムの作成について共有しています。


「私たちの曲作りのプロセス全体が変わったし、子供ができたり、そのことについてすべての曲を作るということ以上にね。自分たちが人間としてどうあるべきなのか、世界に何を発信し、何を得たいのか、これまで以上に人生について考えるようになったんだ」


「このアルバムは全体的に過去と現在が同時に起こっていて、未来への夢とより良い明日への希望について、でも、昨日がなんだか恋しいという内容になっている」と彼らは続けている。「僕らが今まで作った音楽の中で圧倒的に最高で、最も意味のあるもので、誰にとっても何かがある。あなたにとっても何か意味があるものであってほしいよ」


「flowes」







joan 『superglue』




Label: Photo Finish


Release: 2023年4月18日



Tracklisting:


1. life death & everything between
2. simple
3. loner
4. nervous
5. backseat driving
6. coffee shop
7. don’t wanna be your friend
8. monsters
9. hi
10. feeling like dancing
11. falling in love
12. flowers



 


BABYMETALが、次作『The Other One』収録の最新シングルを発表した。リード・シングル「Divine Attack - Shingeki」に続いて「Monochrome」の新しいリリック・ビデオを公開した。


2023年3月24日にリリース予定の4thアルバムは、バンドが「世界から封印された」1年後にリリースされるコンセプト・アルバムだ。


全10曲で構成されるこのアルバムは、彼らがMETALVERSEで発見した10の "並行世界 "を表現していると、プレス・ステートメントは述べている。「私たちもあなたと同じように混乱し、興奮しています。そして待ちきれません」とコメントを出している。


 

Beth Orton

英国のシンガーソングライター、Beth Orton(ベス・オートン)が昨夜の「The Late Late Show With James Corden」に音楽ゲストとして出演し、自身の曲「Fractals」を披露しました。ライブパフォーマンスの模様は以下でご覧いただけます。

Fractals」は、9月に発売されたベス・オートンの最新アルバム『Weather Alive』に収録されている。(アルバムのレビューはこちらからお読み下さい)2016年の『Kidsticks』に続く本作には、シングル「Friday Night」、「Forever Young」、タイトル・トラックも収録されている。