Weekly Recommend The Specials 「Protest Songs 1924-2012」

The Specials 

 

ザ・スペシャルズは1977年に英、コヴェントリーにてジェリー・ダマーズとテリー・ホールを中心に結成されたスカバンド。

 

白人と黒人の混合編成で不平等や差別についての主張を交えた作品を数多く残しています。

 

結成当初はコントヴェリー・オートマティックスの名で活動していたが、ザ・クラッシュの英ツアーのサポート・アクトをつとめてから、「ザ・スペシャルズ」に改名。その後、中心人物ジェリー・ダマーズは2toneレコードを設立、自身のスペシャルズをはじめ、Madness,The Beat等のスカバンドの作品をリリースし、イギリスのニューウェイヴパンクシーン最盛期に*スカムーブメントを巻き起こした。

 

デビューシングル「Gangsters」は、イギリスの十位内にチャートインし大健闘を見せ、スカバンドとして一役有名となる。1stアルバム「The Specials」は、かのエルヴィス・コステロがプロデュースした作品で、オーセンティックスカの次世代のリバイバル・スカの代名詞として知られています。

 

その後、スペシャルズは、1980年にスタジオアルバム「More Specials」をリリースした後にあっけなく解散。

 

解散後、主要メンバーのジェリー・ダマーズは、Special A.K.A,を結成、テリー・ホールはファン・ボーイ・スリム、カラーフィールドとして活動。その後、1994年になってダマーズ、ホールを除い他メンバーでスペシャルズは再結成し、五年後に再び解散。2009年に再再結成、この時、オリジナルメンバーのテリー・ホールが一度スペシャルズに復帰したが、2toneレコードの設立者であり、スペシャルズの発起人でもあるダマーズは、このバンドに未だ正式復帰していません。

 

ジェリー・ダマーズ本人は「スペシャルズへの復帰の可能性は充分ある」と、数年前にインタビューで語ってますが、現在もザ・スペシャルズはオリジナルメンバーとしては再結成が果たされておらず、トリオ編成として活動中。スカムーブメントの立役者として今後の動向が気になるバンドです。

 

 

 「Protest Songs 1924-2012」Deluxe

 

 

 

Disc 1

 

1.Freedom Highway(The Staple Singers)

2.Everybody Knows (Leonard Cohen)

3.I Don't Mind Failing In This World(Malvina Reynolds)

4.Black,Brown And White (Big Bill Broonzy)

5.Ain't Gonna Let Nobody Turn Us Around(traditional)

6.Fuck All The Perfect People (Chip Taylor & The New Ukrainians)

7.My Next Door Neighbor

8.Trouble Every Day(Frank Zappa & Mothers of Invention)

9.Listening Wind (Talking Heads)

10.I LIve In A City(Rod McKuen)

11.Soldiers Who Want To Be A Heroes(Malvina Reynolds)

12.Get Up,Stand Up(Bob Marley)


Disc2

 

1.The Lunatincs Live At The Coventry Cathedral July 2019

2.We Sell Hope Live At The Coventry Cathedral July 2019



The Specials Protest Songs 1924-2012 Official Trailer

 

Listen On youtube: 


https://www.youtube.com/watch?v=yt-wCdOxon0

 

今週の一枚としてご紹介させていただくのは、2021年9月24日にリリースされた約百年間のプロテスト・ソングをカバーした「Protest Song 1924-2012」に二曲のオリジナルソングのコヴェントリー大聖堂でのライブを追加収録した10月1日に発売されたデラックス盤。カバーの原曲もレゲエの神様ボブ・マーリーからトーキング・ヘッズ、フランク・ザッパと個性派の面々が勢揃い。

 

このオリジナル・アルバム制作には秘話があり、スペシャルズの三人は、2020年にスタジオ入りし、レゲエのレコードを作ろうと目策していたようなんですが、コロナウイルスのパンデミックにより制作を一度中断。

 

しかし、その後、世界的な問題となった黒人ジョージ・フロイド事件(2020年5月25日、ミネアポリスにて発生した黒人男性ジョージ・フロイドを不当に拘束し死に至らしめたという事件、これは人種差別的な社会問題として大きく各国のメディアにて報じられたことは記憶に新しい)にスペシャルズの面々は触発を受け、今作「Protest Song 1924-2012」の重要なテーマとなるプロテスト・ソングのカバーに取り組み、ロックミュージシャンとして「世界の問題点を直視し、どうすれば世界がよりよくなるのかを提案したい」というメッセージが込められているようです。

 


George Floyd Street Art
ミネアポリス、ジョージ・フロイドの死にちなんだストリートアート

 

プロテスト・ソングというのは、1960年代に発生した音楽の概念です。

 

ここ日本でも学生運動などにおける文化の浸透の過程において、この日本版プロテスト・ソング、フォーク・ロックが流行った時期があったらしいですが、プロテストソングというのは、もともと、ウディー・ガスリーらのフォークに影響を受けた、ボブ・ディラン、ジョーン・バエズ、ピーター&ポールマリーらの公民権運動、ベトナム戦争の反戦歌として歌われた音楽ジャンルで、反骨精神に満ちあふれた主張性の強いフォーク・ロックとしてのルーツがあるようです。

 

元をたどれば、ザ・スペシャルズもまた、白人と黒人との混合のロックバンドの先駆者としてニューウェイブシーンの最盛期のロンドンシーンに華々しく登場し、ミック・ジャガーも彼等の音楽に注目していて、事実、ライブを一度見に来たといいますが、スペシャルズの活動初期には、不平等、人種差別といった、社会問題に対する抗議声明やアンチテーゼをスカという音楽として表現してきたロックバンドでもあります。そして、メッセージ性を失った瞬間にあっけなく解散した経緯があるためなのか、今回、スペシャルズがセレクトしたカバーの選曲を見ると、ロック、フォーク、レゲエ、と、年代やジャンルを一切問わず、社会に蔓延る不義に対する怒りや抵抗を示す、カウンターカルチャーを象徴するような楽曲が念入りに絞りこまれています。

 

表向きには、これらのカバーアレンジにはスペシャルズのオリジナルの要素、オーセンティックスカの音楽性には乏しいように思われるものの、中心メンバーのジョリー・ダマーズは、かつて「レゲエはスタジオ音楽であり、スカはライヴリー・エキサイティング・ダンス音楽である」と語っているとおり(MUSIC MAGAZINE 増刊 パンク・ロック。スピリット ザ・スペシャルズ 小野島大)、ライブ感のある音楽という面で、原曲よりも、聞き手を踊らせるダンス・ミュージックとしての要素が追求されているカバー集。1970年代にパンク・ロック、そして、ジャマイカ発祥のスカ・リバイバルの申し子としてコヴェントリーにて結成されたスペシャルズ。

 

今回リリースされたプロテストソング集に伺える彼等スペシャルズの社会、ひいては世界全体に対する痛烈なアンチテーゼや強度のパンクロック精神は、最初期のデビューアルバム「The Specials」よりも遥かに濃密になり、さらに、過激な抵抗、プロテストのための音楽としても抜群の完成度を誇ってます。

 

これは、四曲目のカバーとして選ばれている「Black,Brown And White」(Big Bill Broonzy) を見ても分かる通り、米、ミネソタのジョージ・フロイド事件に端を発するスペシャルズの三人の音楽での人種差別に対する抗議声明であり、ここには私憤を大いに越えた義憤、社会的な激しい怒りがこれらのカバーソング12曲に(三倍)濃縮されています。

 

さらに、それに加え、2019年のロンドン近郊のコヴェントリー大聖堂でのスペシャルズのオリジナルソングの二曲をボーナスとして収録した豪華デラックス版となれば、往年のファンは黙っちゃいられません。百年のプロテストソングの歴史を網羅するカバーアルバムの傑作の誕生。もちろん、パンク・ロックファン、ディラン、マーリーの熱狂的なファンは、要チェックの作品となります。



 

 

References 



Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%82%BA

 

discunion.net

https://diskunion.net/punk/ct/detail/1008359372