▪共同EP『Aura Gold』国境を越えて生まれた、タイムレスで現在進行形のサウンド



国境を越えたコラボレーションから生まれた本作は、ソウルとR&Bを軸に、70年代ファンク、90年代R&B/ヒップホップ、アフロビーツ、アマピアノ、モダンポップまでを横断しながら、タイムレスでありながら現在進行形のサウンドを描き出す。

 
制作はノースカロライナとフィンランドを行き来しながら進行。離れた場所にいるアーティスト同士がオンラインで楽曲制作を重ね、信頼関係と共通の音楽的ビジョンを育てていく、現代的なコラボレーションの形を体現している。その過程でBeMyFiascoはフィンランドを訪れ、現地ミュージシャンのcocabona(ベース)、Ville-Veikko(ギター)とのセッションを通じて、EPの核となるサウンドが形作られていった。



最初に録音された「Back to Myself」は、本作の方向性を象徴する楽曲であり、自己回復、正直さ、自分らしさをテーマに据えている。Mishaのグルーヴ感あふれるジャンルレスなプロダクションが、自由な空気感をまとったサウンドを描き出し、BeMyFiascoは自身の経験や変化、そして恐れずに輝くことの大切さを、率直な言葉と歌で描き出す。『Aura Gold』は単なる作品集ではなく、自分自身の光を信じ、自分の道を大切にし、人とのつながりに身を預けていく。そんな姿勢が音楽として丁寧に刻まれている。




 

[作品情報]



アーティスト:Misha, BeMyFiasco
タイトル:Aura Gold
ジャンル:R&B, Alternative R&B
発売元・レーベル:SWEET SOUL RECORDS 

トラックリスト:
01. Aura Gold (feat. Jussi Halme)
02. Burning Fire (feat. Evil Needle)
03. Back To Myself (feat. cocabona)
04. Love Come Down
05. Kind of Love (feat. cocabona)
06. Can’t Get Enough (feat. Jussi Halme)

 

▪ストリーミング: https://lnk.to/Misha_BeMyFiasco_AG
 

 

Misha & BeMyFiasco:





Mishaは、フィンランド出身のプロデューサー/アーティスト。Lalah Hathaway、Talib Kweli、Amber Navran (Moonchild)、Nate Smithといったグラミー受賞・ノミネートアーティストとのコラボレーションで知られ、オルタナティブR&B、ヒップホップ、ニューファンクを自在に行き来するグルーヴ重視のプロダクションを特徴とする。

BeMyFiascoは、グラミーノミネート歴を持つシンガー/ソングライター/ヴォーカルアレンジャー。SZA、Robert Glasper、The Foreign Exchangeなどとの共演を通じて、温かみのある声質と高い表現力で評価を確立してきたアーティスト。感情の機微を丁寧にすくい取るソングライティングが持ち味。

MishaとBeMyFiascoは2023年から共に制作を開始し、これまでの共同楽曲はSpotifyのNew Music Friday(US)、R&B Weekly、R&B Fresh Finds、Lowkey、Apple MusicのR&B Nowなどのプレイリストに選出されている。2025年にはロンドンの名門Jazz Caféで初の共同ライブを実現。

▪️南カリフォルニアの海岸線を走る列車の旅  ジャズの余韻と美しく流れていく時間を映し出すインストゥルメンタル 

Braxton Cook&Shane Sato

 

「Surfliner」は、南カリフォルニアの海岸線を縫うように走るアムトラックの名ルートから着想を得た、軽やかでジャズの香りをまとったインストゥルメンタル。Shane SatoとBraxton Cookによる共作で生まれたこの楽曲は、列車の窓越しに広がる海と砂浜、夏の午後の柔らかな光景をそのまま音に写し取ったような一曲となっている。

 

メインテーマからソロまでを担うBraxton Cookの温かく息遣いの感じられるサックスに、表情豊かなピアノが重なり、控えめながらもグルーヴを感じさせるビートと淡いパッドの音色が、ゆるやかな移動のリズムを描き出す。潮の香りを含んだ風、手にしたドリンク、静かに流れていく時間。海岸線をなぞる列車の旅がもたらす、上質でノスタルジックなムードが全編に漂っている。


Shane Satoは、ロサンゼルスを拠点に活動する日系アメリカ人のマルチインストゥルメンタリスト、プロデューサー、ソングライター。南カリフォルニアで育ち、5歳でドラムを始めた後、ギター、ピアノ、トロンボーンへと演奏領域を広げ、ロックバンド、吹奏楽、ジャズグループと幅広い環境で音楽的素地を築いてきた。

 

2017年にLAへ移住後はセッションミュージシャンとしてキャリアを重ねつつ、自身のオリジナル作品の制作にも注力。デビューアルバム『Until We Meet Again』や『Airwaves Deluxe』などを通じて累計250万回を超えるストリーミングを記録し、「Fresh Finds Jazz」や「Morning Rhythm」といったプレイリストにも楽曲が選出されている。


Braxton Cookは、ジャズとR&Bを横断するモダンでソウルフルな表現を軸に活動するヴォーカリスト、マルチインストゥルメンタリスト、コンポーザー。誠実さと成長、そしてアーティストとしての自立をテーマに据えた音楽性で、現代ジャズとR&Bシーンにおいて独自の存在感を放っている。


「Surfliner」は、Shane SatoとBraxton Cookそれぞれの感性が自然に交差した一曲。3月にリリース予定のニューアルバム『Wavelength』へと続く流れの中で、ひときわ穏やかに、美しく流れていく時間を映し出す作品となっている。

 

 


[作品情報]



アーティスト:Shane Sato, Braxton Cook

タイトル:Surfliner

ジャンル:Indie Soul, Indie R&B

配信開始日:2026年2月20日(金)

発売元・レーベル:SWEET SOUL RECORDS 

 

▪ストリーミング: https://lnk.to/Shane_Sato_Surfliner 


ロサンゼルスのポップシンガー、Zina Zo(ジーナ・ゾー)は2025年のアルバム『Burn Me Into Something Better』 のデラックスバージョンをリリースしました。


全14曲収録のアルバムには、ヒット曲「ダーティ・ハビッツ」「バッド・メン」「マンチャイルド」の特別アコースティック版「Miner Street  Sessions(マイナー・ストリート・セッションズ)」が収録されている。 今回、アルバムのリリースと合わせて、収録曲の新バージョンが公開。


ジーナ・ゾーはポップロックのシンガーソングライターであり、圧倒的な歌唱力で知られる。その恐れを知らない本物の姿と、生々しく感情的なストーリーテリングで称賛されている。フィラデルフィア郊外出身で現在はロサンゼルスを拠点とし、現代ロック・ポップ界で最も魅力的な歌声の一つとして独自の地位を築きつつある。


彼女のシングル「Dirty Habits」(2025年)は、ソロキャリアにおける大胆な新章の幕開けとなった。グラミー賞受賞プロデューサー、ジャスティン・ミラー(ジャズミン・サリヴァン、ザック・ブライアン)とティム・ソンネフェルド(アッシャー)が手掛けたこの楽曲は、時に夢が現実よりもリアルに、そしてより慰めとなるという概念を探求する、心に響くロックポップ・バラードである。 


上記の楽曲は絶賛を浴び、リリース初週で3万回以上のストリーミング再生を記録。LADYGUNN誌は「『ダーティ・ハビッツ』でジーナ・ゾーは、常識に縛られないキャリアの礎を築いた。大胆で混沌とし、深く心に響く——それがまさに本質だ」と評した。


2025年9月下旬、ジーナは待望のデビューアルバム『Burn Me Into Something Better』をリリース。変容、失恋、再生を燃えるような切なさで描いた本作はEARMILKで特集され、9/10の評価と共に「フィルターのかかっていない正直さ」が称賛された。


 「しかし『Burn Me Into Something Better』が際立つのは、その『美化を拒む姿勢』。これらの楽曲は整然とパッケージされたポップスではない。ギザギザで生々しく、誇らしげに混沌としている——それは彼女を形作った現実の変容を映し出している。この作品は、登攀の過程におけるあらゆる躓きを、物語の一部である傷跡を、すべて正当化する一枚だ」


2月18日には特別拡張版アルバム『Burn Me Into Something Better (Deluxe)』がリリース。全14曲収録の本作には、ヒット曲「Dirty Habits」「Bad Men」「Manchild」をアコースティックで親密に演奏した「Miner Street Sessions」バージョンも含まれる。 


ジーナが全国的に注目を集めたのはオーディション番組『The Voice(ザ・ヴォイス)』の出場者として、ブレイク・シェルトン率いるチームに加入した時だった。 しかしグウェン・ステファニーの指導こそが転機となった。ステージ内外で弱さと真実を受け入れるよう促された。


この教訓が彼女の芸術的アイデンティティを形作り、LGBTQIA+コミュニティの代弁者となる原動力となった。2023年のシングル『Faking It』は自身のバイセクシュアリティを大胆に宣言した自己受容のアンセムとして世界中のファンに深く共鳴した。


業界の厳しい現実を早期に経験したジーナは、創造的な独立性を取り戻し、反抗心・自由・魂を体現するロックバンド「Velvet Rouge」を結成。ブライアン・マクトアとエイミー・モリッシー(The War on Drugs,Sharon Van Etten)がプロデュースした2024年のデビューEPは、2000年代初頭のロックの荒削りな質感と揺るぎない感情を融合させた。『Lonely Since The Day We Met』や『I Don’t Know Why』といった傑出した楽曲は、彼女の生々しい歌唱力と物語を紡ぐ力量を際立たせている。


ヴェルヴェット・ルージュは瞬く間に「フィラデルフィア最高のロックバンド(2022年)」として認知され、『フィリー・スタイル・マガジン』で「フィラデルフィアで最も熱いロックバンド」と特集された。XPoNential Fest、MusikFest、Beardfestに出演し、NPRの「National Public Radio Day」やWXPNの「Free At Noon」シリーズでスポットライトを浴びた。


懐中電灯ストロボを使った子供の頃のパフォーマンスから全国放送のテレビ出演、批評家絶賛のレコードまで、ジーナのキャリアは「型にはまらない」姿勢で定義されてきた。ステージでパフォーマンスする時も、ローレン・シューラーの特注ドレスでレッドカーペットを歩く時も、新進アーティストを指導する時も、彼女はあらゆる創造的領域で女性やマイノリティの声を擁護し続けている。


ロサンゼルスを拠点とする彼女は、グラミー賞受賞者ジャスティン・ミラー(ジャズミン・サリヴァン、ザック・ブライアン)やティム・ソンネフェルド(アッシャー)とのコラボレーションで成功を収め、LADYGUNN、Fault、LA Weekly、Sweety High、The Luna Collectiveなどから高評価を得ています。 

 

「Dirty Habits」(Miner Street Sessions)



▪︎EN

Gina Zo is a rock-pop singer-songwriter and powerhouse vocalist celebrated for her fearless authenticity and raw, emotional storytelling. Originally from the suburbs of Philadelphia and now based in Los Angeles, she is carving out a distinct place as one of the most compelling voices in modern rock-pop.


Her single, Dirty Habits (2025), marked the beginning of a bold new chapter in her solo career. Produced by Grammy-winners Justin Miller (Jazmine Sullivan, Zach Bryan) and Tim Sonnefeld (Usher), the track is a haunting rock-pop ballad exploring the idea that sometimes our dreams feel more real—and more comforting—than reality itself. The song garnered rave reviews and surpassed 30,000 streams in its first week. As LADYGUNN wrote, “With Dirty Habits, Gina Zo lays the foundation for a career that doesn’t play by the rules. It’s bold, messy, deeply felt—and that’s the point.”


In late September 2025, Gina released her highly anticipated debut album, Burn Me Into Something Better—a searing, vulnerable exploration of transformation, heartbreak, and rebirth. The record was featured on EARMILK, which awarded it a 9/10 review and praised its unfiltered honesty: “What makes Burn Me Into Something Better stand out, though, is its refusal to sanitize. These songs aren’t neatly packaged pop; they’re jagged, raw, and proudly messy, mirroring the real-life transformations that shaped them. It’s a record that validates every stumble as part of the climb, every scar as part of the story.”


February 18th marks the release of her special extended album Burn Me Into Something Better (Deluxe). The 14 track album includes intimate acoustic "Miner Street Sessions" renditions of her hit songs "Dirty Habits", "Bad Men" and "Manchild". 


Gina first captured national attention as a contestant on The Voice, where she joined Team Blake. It was Gwen Stefani’s mentorship, however, that became transformative—encouraging Gina to embrace vulnerability and authenticity both on and off stage. That lesson shaped her artistic identity and inspired her to become a voice for the LGBTQIA+ community. Her 2023 single Faking It was a bold declaration of her bisexuality and an anthem of self-acceptance that resonated deeply with fans around the world.


After early experiences in the industry that exposed its challenges, Gina reclaimed her creative independence and formed Velvet Rouge—a rock band embodying defiance, freedom, and soul. Their 2024 debut EP, produced by Brian McTear and Amy Morrissey (The War on Drugs, Sharon Van Etten), fused early 2000s rock grit with unflinching emotion. Standout tracks like Lonely Since The Day We Met and I Don’t Know Why highlight her raw vocal power and storytelling prowess.


Velvet Rouge quickly gained recognition as Philly’s Best Rock Band (2022) and was featured in Philly Style Magazine as “Philly’s Hottest Rock Band.” They’ve performed at XPoNential Fest, MusikFest, and Beardfest, and were spotlighted on NPR’s National Public Radio Day and WXPN’s Free At Noon series.


From childhood performances with flashlight strobe lights to national television appearances and critically acclaimed records, Gina’s career has been defined by a refusal to conform. Whether performing on stage, walking a red carpet in a custom Lauren Schuler gown, or mentoring emerging artists, she continues to champion women and underrepresented voices across all creative spaces.


Now based in Los Angeles, Gina finds balance in cooking from scratch, reading murder mysteries, and walking around the Silver Lake Reservoir. With Burn Me Into Something Better ushering in her defining era, Dirty Habits setting the tone, and her holiday songs showcasing her versatility, Gina Zo stands at the forefront of a new generation of rock-pop artists—bold, untamed, and unapologetically real.


音楽産業の移り変わり ニューヨークの音楽出版の原点 ティン・パン・アレーの最盛期


 

どのような産業も一日にして成立しないということを考えると、先人たちのすさまじい努力の成果が明日の未来を形作る。レコードやラジオ、それ以後はデジタルオーディオ、さらにストリーミングを通してファンは音楽を楽しむようになった。日進月歩というべきなのか、今や物理的な箱はモバイルに変化し、様々な媒体が一体化する時代に変わったのが私達の時代。それでは、レコードやラジオなどが普及する以前、音楽はどのようにして広まったのでしょうか。現在のような専門的なメディアやストリーミングが存在しない時代、そこには音楽を愛する人達の試行錯誤があったのです。

 

今回ご紹介するのは、アメリカの音楽産業の下地がどのようにして発展していったのか、その大まかな過程や変遷です。しかし、現在でこそ、ストリーミングの配分などの問題点等も囁かれることが多い。ところが、音楽産業が確立される以前から、音楽家は自作の収益化などに問題を抱えることもあった。ヨーロッパの古典的な音楽形態の事例を挙げると、コンサートの収益や楽譜出版が主であったが、同時に音楽教師などを務めながら、家庭の生活を維持するというのが一般的でした。つまり、どのような時代も専業だけで身を立てられる人は一握りだったのではないかとも推測されます。一般的に言えば、音楽家の専業は稀な事例で、兼業的な立場にあった。これは中世時代から音楽家の地位は他の職業に比べると、一部の国家公務員のような立場を除けば、それほど高くなかったことに由来する。しかし、現在は全般的な産業が盤石となったため、ミリオンセラーを記録すると、一躍、専業的な道を選ぶことも可能に。

 

さて、話を戻しましょう。まだ、18世紀のアメリカでは、完全な音楽産業が確立されていたわけではなかった。明確に音楽産業が確立され始めたのが、ブロードウェイミュージカルがニューヨークで流行した時代で、また、これらはロンドン、パリ、ウィーンでは流行していた音楽劇が輸入され、ジョージ・M・コーハン、ガーシュウィン、ジェローム・カーン、リチャード・ロジャースという作曲家の系譜が受け継がれていく。 ブロードウェイをはじめとするミュージカルの原点となったのが、コーハンであり、彼の音楽劇「Little Johnny Jones」が最初に人気を獲得。以降は、アメリカ独自の芸術形態を獲得し、土着的とも言えるスタイルを確立した。そして上記の作曲家のおかげで、ミュージカルは世界でオペレッタを凌ぐほどの人気を獲得しました。

 



 

ミュージカルを普及させたのは劇場の存在に他なりませんが、また、それらが一般家庭に持ち込まれるための補助役となったのが音楽の楽譜出版業でした。多くの中産階級の家庭では、楽譜を購入し、スコアに合わせて歌ったり、ピアノを演奏したりというのが通例でした。自ずと、出版業者が楽譜を販売する役目を担った。その出版業者が密集していたのがニューヨークのマンハッタンです。特に、ニューヨークの五番街と六番街の間にある”West 28th Street”という区域がアメリカの音楽産業の先駆けの地域となった。今は、その面影はほとんどなく、建物は別のテナントが入り、ごく一般的な町並みとなっています。唯一、ハリウッドのような感じで、金のプレートが道路に埋め込まれ、その伝統を伝えている。現在はマンハッタンのフラットアイロン地区。

 


19世紀の時代、アメリカの音楽家は商業出版の壁に突き当たり、自分の制作した音楽をどのようにして世に残すかという課題を抱えていました。特に優れた功績が世に伝えられる作曲家ですら、貧困に陥ることがあった。これは著作権法が音楽を保護する時代ではなかったことも要因にある。こういったまだ産業が確立しなかった時代にスティーヴン・フォスターというミンストレルソングの立役者は、楽譜の販売により数百万ドルの売上を生み出したが、貧困の中で亡くなった。むしろ、こういった事例があったことで、1800年代にアーティストの作品を保護する法律が制定され、ようやく産業として整備され、次の段階に差し掛かった。それは音楽制作に携わる作詞家、作曲家の権利を守り、音楽出版社と足並みを揃えて、金銭的な協力関係を築くことでした。

 


 

しかし、音楽出版社だけに話のポイントを絞れば、それ以前にも全米各地に企業は散在していた。ニューヨーク、シカゴ、ニューオーリンズなどを中心として、フィラデルフィア、クリーヴランド、シンシナティ、デトロイト、そしてボストン、ボルチモア......。この地域の音楽出版社では、教会で使用される楽譜、音楽の教科書、家庭や学校の教材を販売していた。ただ、この時代はまだ音楽がある種の教育の分野にとどまり、エンターテイメント産業の領域にまで引き上げられることはなかった。商業的な音楽の分野について言えば、全米各地でヒット曲などがうみだされると、その版権をニューヨークのような都市部の大手企業が購入する取り決めになっていた。著名な出版社には、T.B Harms& Co,、そしてM,WItmark & Sonsなどが挙げられる。楽譜の表紙を見ると、USポピュラーソングの原点がいかなるものであったかが判明する。当時のアメリカではミンストレルやワルツのような音楽が主流だったということが推測できます。

 

 

しかしながら、産業というのは、需要と供給のバランスによって成り立っている。例えば、車を売る会社がいくら大量生産しても、購入者がいなければ、その産業は成立しません。インフラを司る大型トラックなどの生産が、明確に産業形態に位置づけられる理由は、人々の生活に不可欠だからである。同じように、楽器販売業者が音楽産業の発展に一役買った。それは意外なことにギターではなくて、アコースティックピアノでした。南北戦争が終了した後、アメリカでは毎年、25,000台のピアノが販売、中産階級の家庭の嗜みとなった。1887年までに50万以上の若者がピアノを学習していた。

 

楽譜の出版の需要が高まるにつれ、出版社は事業拡大と市場規模を伸ばす必要に駆られることになった。1885年から1900年にかけてニューヨーク市は音楽と舞台の中心地となり、また音楽出版社が次々と立ち上がるようになりました。そして、国内の普及という側面と合わせて、海外市場への輸入や輸出という次なる段階へと差し掛かった。つまり音楽は、それまで国内だけで普及していたが、20世紀に入ると、それらがグローバルな市場を獲得するに至ったのです。


当時のティン・パン・アレーの音楽出版社

20世紀前後の作曲家のほとんどは独立した音楽家であることは少なく、出版社専属の社員のような形で職業的な音楽家を務めていました。


しかし、これらの時代の作曲が野放図になることはほとんどなかった。市場の動向を調査し、どういった曲が売れるのか、また、受けるのかを判断し、制作を行っていた。そして作曲が始まると、次の段階、つまり演奏者が試奏し、どのような反応があるのか聴衆のテストまでが行われていました。


現在でいうところのレコード会社は、自動車のテスト走行のような感じで、何度も新しい曲を実地にテストし、それが本当にリリースする必要があるのかを入念に判断したのだった。そして、それらの音楽が、例えば、ミュージカルのような曲であった場合、その後に、パフォーマーを精査し選出し、どのような演出が行われるべきかを随時企画していったのです。最終的には、その音楽を宣伝的に露出した。これがアメリカのポピュラー音楽の原点であり、レコード企業の原点でもある。19世紀末にはおおよその産業形態の基礎が形成され、あとは多くの音楽が世に輩出され、ヒット商品として市場に出回る時期を待つだけとなった。

 

映画"I'll See You In My Dreams"で描かれるソングプラガー


当時の出版社には、歌の専門的な宣伝員がいた。各社には、''ソング・プラガー''という専属のピアニストがいて、楽譜を購入しようという客にその曲を歌って聞かせた。そのせいで、ニューヨークある街角には、各社の売り込みの音声が鳴り響き、朝から晩までビルの内外に響きわたっていた。これは、いわば音楽作品の出店とも言えるでしょう。こうした背景の中で、マンハッタンに音楽出版社がいくつも密集した「Tin Pan Alley」が台頭したのは当然の成り行きでした。この名前は、ニューヨークの新聞社、ニューヨーク・ヘラルドの記者を務めていたモンロー・ローゼンフェルドが、新しい音楽出版の取材に訪れたときに、思いついたというのが一般的な定説になっています。

 

ローゼンフェルド氏は、2003年のある日、ソングライターのハリー・フォン・ティルツァーの経営する社屋を訪れ、取材を終えて記事のタイトルを考えていた。人目をひくタイトルはないものか、と頭を抱えるローゼンフェルト。すると、出版社のデモ室からティルツァーの演奏するピアノがふいに聞こえてきた。それが大音声であったのを受けて、まるでブリキがパンを叩くような音がする路地という意味をこめて、彼は「Tin Pan Alley」という記事のタイトルを思いついた。一説では、ティルツァーが最初にこの言葉を言ったという説もあるようです。

 

ティン・パン・アレーは、何だか、身も蓋もないネーミングで名を馳せたのでしたが、実際的にアメリカのポピュラーソングやミュージカルの基礎、ひいては東海岸の音楽産業を形成しました。1910年代になると、作曲家の宝庫となり、これらの一角の出版社から名うての音楽が出てきた。11年には、アーヴィング・バーリン(Irving Berlin)が登場し、「アレクサンダーズ・ラグタイム・バンド」なるヒット曲を世に送り出しました。14年には、ジェローム・カーンが登場し、「They Didn't Believe Me(彼らは私を信じない)」でヒット。両者は、出版社の専属の作曲家であった。また、ティン・パン・アレーはミュージカル音楽の重要な発祥地となり、ルドルフ・フリムル、ジグムンド・ロングバーグなどが最初のブロードウェイを支えました。


続いて、若い頃に同じく出版社の前でピアノ演奏家を務めていたジョージ・ガーシュウィンが登場した。「ラプソディ・イン・ブルー」で世界的な知名度を後に獲得したガーシュウィンであったが、彼の最初のヒット曲は、1919年のジャズ曲「Swanee」だった。 その後、数々の名士が台頭した。シェルトン・ブルックス、ハリー・キャロル、ジェイムス・V・モナコ、アーヴィング・シーザーはほんの一例に過ぎません。

 

 

 

当時の音楽ファンにとって、音楽を楽しむ手段は、楽譜を家に持ち帰って、そして演奏して楽しむこと。次いで、レコードを聴くこと、それから劇場などに足を運んで生演奏を聴くことでした。そして、ティン・パン・アリーが隆盛をきわめるにしたがって、ポピュラー産業が整備されはじめました。

 

アメリカの最初のレコーディングのスター、レン・スペンサーは凄まじいパワーで曲を発表し、1891年から1910年まで65曲をヒットさせた。 ビリー・マレイは1903年から27年までに169曲をヒットさせ、有名な曲としては、MLB(メジャーリーグ)の試合でおなじみの「私を野球に連れていって」などがある。また、このティン・パン・アレー周辺からは、アル・ジョンソンが登場しました。彼はガーシュウィンの「Swanee」を歌ったが、その後はは俳優のようなポジションで大活躍をした。ジョンソンは、1910年代にレビューやミュージカルを舞台に大スターにのぼりつめることに。このシーンでは、ロシア出身のソフィー・タッカーも活躍し、11年に「Some Of These Days」のヒットで注目され、「ヴォードヴィルの女王」と呼ばれるまでに。

 

ティン・パン・アレーは現在でいうところの''複合型マスメディア''の原点でしょう。このマンハッタンの一角にある各企業は他者と競り合いながら切磋琢磨し続け、数々のヒット・ソングを輩出し、ポピュラー産業の基盤を作り上げました。特に、音楽業界の中枢とも言えるマーケティングの手法は、ティン・パン・アレーに依るところが多い。企画、制作、販売という、音楽産業の基礎的な形態は、思えば、この時代に始まっていたのでしょう。しかし、どのような産業も次の新しい形態に生まれ変わるのが運命です。ラジオやトーキー映画が普及し、音楽が巷に溢れると、楽譜出版は以前ほど需要が少なくなり、戦前の時代にはティン・パン・アレーは消滅しかけた。当時の様子が映画化されたのがジョン・ペインの同名の主演映画「Tin Pan Alley」。この時代、路地の企業文化が少しずつ新しい形態に取って代わられるようになっていました。


 Asgeir 『Julia』


Label: One Little Independent

Release: 2026年2月13日


Review


アイスランドのシンガーソングライター、アウスゲイル(Asgeir)が5枚目のスタジオアルバム『ジュリア』をリリースした。 アウスゲイルを取り上げるのは、2022年以来のことになる。アウスゲイルは、ジョン・グラントら翻訳者を長年起用し、父エイナル・ゲオルグ・エイナルソンの詩と向き合ってきたが、輝かしいキャリアの中で初めて自ら作詞を手掛けた。アルバムのタイトルキャラクターの亡霊に導かれながら、シンガーは過去の後悔と未来への希望を瞑想する。

 

アウスゲイルは複雑なフォークポップ、豊かなプロダクション、物憂げで情感あふれるファルセットで称賛されてきた。『Julia』は歌詞制作における自立だけでなく、カタルシス的な率直さへの転換を示す。単に精巧に演奏されただけでなく、生きた経験が込められた楽曲群だ。「完全に一人で歌詞を書いたのはこれが初めてだった」と彼は語る。「怖かった。 今もその中で自分を探している。それでも心を開こうと試み、その過程で多くを学び、間違いなく癒やされた」

 

2022年のアルバム『Time On My Hands』ではフォークポップのアプローチと並んで、エレクトロニックを活用することがあったが、およそ四年ぶりとなる最新作は、アコースティックを中心としたポップソングが中心で、フォーク的なアプローチに関してはマンドリンなどを用いつつ、アメリカーナに近い音楽性も含まれている。青年期の音楽的な記憶を交えて、未来への展望を描く。

 

アウスゲイルのボーカルは、一般的に裏声のファルセットが称賛される事が多いが、特に歌手として、エド・シーランのようなクリアで美しい歌声を持ち、それらがアイスランドの風景を彷彿とさせる雪の結晶のような澄明なボーカルとして表側に出てくる瞬間に注目したい。今回のアルバムは生楽器のドラムや打ち込みのマシンビートを併用し、 ループサウンドを作り出し、現代的なポップスのアプローチに準じている。このアルバムは、まるで彼自身の半生を描くかのように、軽やかなフォークポップソングを中心に展開される。清涼感のあるソングライティングは最新作でも健在で、朝の光のように清々しい音楽性がアコースティックギターの演奏を中心に続いていく。


今作のオープナー「Quiet Life」では、ソングライターのソフトな歌声を中心に、軽快なドラム、そしてコラージュされたピアノなど、癖がなく、聞きやすいフォークポップを楽しめる。淡々とした曲調なのだが、中音域から高音域にボーカルが跳躍するポイントにカタルシスがある。そしてアイスランドらしさもあり、ヨハン・ヨハンソンの系譜にあるポスト・クラシカルの音楽的なアプローチが楽曲の後半部で、キラキラとした朝の光のような印象を生み出している。

 

軽やかに始まったアルバム。「Against The Current」では曲調が一転、過去の後悔を披瀝するかのように憂いに満ち溢れた音楽性へと転じる。しかし、少し悲しみすら感じさせるアウスゲイルのボーカル、それらは、ファンクのリズムに支えられて、徐々に力強さを獲得する。ここでは内面の脆弱さを余さず示しながら、力強く生きるような歌手の生き様が感じられる。その歌声はこの歌手の表向きのイメージとは対象的にとても脆いが、対象的に力強さもある。


歌手としての卓越性も感じさせる。ドラムとベースを中心に組み上げられるこの曲では、現代的なプロデュースの影響は、シンセの使用など最小限にとどめておいて、歌手の歌声が独立している。この曲では、鼻声の性質を持つアウスゲイルのボーカルが澄明な輝きを放ってやまない。一曲目と同じように反復的な構成であるが、音楽的な情景は少しずつ移り変わっていき、曲の後半では、シンセサイザーを中心としたアイスランド的な郷愁とも言うべき瞬間へと近づく。

 

「Smoke」は、このアルバムの序盤ではフォークソングとして最も古典的な性質を帯びる。 ゆったりとしたドラム、ピアノ、アコースティックギターを中心に、エド・シーラン的なポップネスを吸収しながら、そのフォーク的なセンスとしてはジョン・デンバーのような渋さを兼ね備えている。ヒップホップやエレクトロニックなどのビートを吸収しつつも、古典的なカントリーソングの形を吸収し、やはりため息の出そうな憂いのエモーションに満ちたアウスゲイルの歌声と混ざり合い、特異な音楽的な世界観を作り上げていく。その中には、アメリカーナへの傾倒も伺え、このジャンルの看板である雰囲気のあるスティールギターが夏の陽炎のように音楽のはてに揺らめき、影さながらに遠のく。この曲には、何かしら音楽として酔わせる力が含まれている。


「Ferris Wheel」もまた、クラシカルなイントロを経て、現代的なポップソングの基本形である、憂いを乗り越えて歓喜に近づこうとするプロセスのような時間が刻みこまれている。この曲では、一般的に称賛されるファルセットの繊細な歌声をコーラスの箇所に配し、ポピュラーの基本である高音部を聞かせどころに持ってきている。この曲では、ナイロン弦のような柔らかいアコースティックギターの音色とピアノ、抽象的な風味を持つボーカルが絶妙に合致している。その中で、この歌手のソングライティングの基本的な長所である勇気づけられるような温かいボーカルラインが見出せる。その歌はまるで聞き手の肩を静かに叩くような優しさがある。また音楽的にも、曲の後半では、AOR、ソフトロック、ヨットロックのような音楽性へ傾倒していく。

 

アウスゲイルの作曲術は、日々のランニングやマラソンにも似ている。いきなり大掛かりな結末を用意するのではない。一歩ずつ進んでいったら、思いもよらぬような景色に出会わすのである。 ある時は雨、あるときは雪、また、次の日は晴れだが、歌手はその季節や日々のサイクルや循環を心から愛しているような気がする。その中で、最もセンチメンタルな瞬間が出てくる。


タイトル曲「Julia」はこのアルバムの副次的なテーマである憂いが極上のフォークポップソングに反映されている。この曲でのアウスゲイルのボーカルは90年代初期のトム・ヨークのような傷つきやすさや脆さがあるが、それらがアイルランド民謡、もしくは、サイモン&ガーファンクルのような憂愁のあるフォークソングと合致して、良曲/名曲とも呼ぶべき水準に達している。分けても、タイトルの歌詞の部分のファルセットは、器楽的な音響効果があり、現代の男性ボーカリストとしては最も美しい部類に入るものと思われる。この曲では、忘れられかけた悲しきフォーク・ミュージックの系譜を受け継ぎ、それを現代的な美しさへと転化させている。

 

このアルバムは最初の方の曲よりも、後半の曲の方が聴き応えがありそうだ。それはなぜかといえば、従来のソングライティングの形を崩したり、乗り越えるような瞬間があるから。それはまた、ソングライターとしての成長の証とも言えるかもしれない。あまり評者として偉そうなことは言えないのだが、「Sugar Clouds」のような曲ではいよいよ、エリック・クラプトンのような作曲者の水準に達しつつある。聞きやすいのだが、その中には深い核心がある。軽いのだが、重々しさがある。また、目を引くのだが、渋さがある。脆さがあるが、同時に強くもある。


音楽というのは、常に相反するものが重なり合いながら成立している。その一方の要素だけを封じ込めておくことはとうてい出来ないのである。こういった矛盾する2つの対象的な性質を持ち合わせずして本格派と呼ぶことは難しいだろう。そういった面では、アウスゲイルは2つの対極する要素を音楽の中で体現するようになっている。「Stranger」のような現代的なポップソングに呼応するような形を選んだとしても、それは軽く聞こえることはなく、ずしりと聞こえる。いわば、本当の意味で心を捉えたり、感覚に共鳴する何かを持ち合わせているのである。

 

個人的に推薦しておきたいのが、最後の2曲「In The Wee Hours」、「Into The Sun」である。 前者はエレクトロニックのビートを吸収し、ネオソウルの匂いすら漂わせるポップソング。ついで、後者は、古典的なカントリー/フォークに根ざしたダイナミックなエンディング曲である。そして前者は、テクノのセンチメンタルな音色が素直で癖のない感じのボーカルと溶け込んでいる。これはアイスランド勢としては珍しく、ザ・ポリスのような楽曲に対する明確なアプローチで、ニューウェイブやAORのような音楽性が現代的なポップソングと合致した瞬間でもある。こういった曲は、80年代の洋楽のポップスファンにもチェックしていただきたいナンバー。

 

ソングライターとしての大きな飛躍の瞬間が最後の曲「Into The Sun」で示されている。個人的には、こういったクローズ曲のタイトルは明朗な印象があり、かなり好感を覚えてしまう。アウスゲイルは古典的なフォーク/カントリーを基にして、まれにカットアップ・コラージュのようなミュージックコンクレートの手法で遊び心を取り入れつつ、清々しい理想的な境地に辿り着く。それは苦悩から離れた従来の価値観や既成概念が通用しないユートピアの具現でもある。

 

 

84/100 

 

 

 

ÁSGEIR 『TIME ON MY HANDS』

 


元Black Midiのベーシスト/バックボーカルを務めるキャメロン・ピクトンによる新バンド、My New Band Believeがデビューアルバム(セルフタイトルアルバム)を発表。リードシングル「Numerology」も公開された。めくるめく曲展開、先が読めない音楽性など、Black Midiの初期の音楽性に通じるものがある。

 

デビュー作『My New Band Believe』では、フロントパーソンの・キャメロン・ピクトンに加え、キラン・レナード、カイアス・ウィリアムズ、スティーブ・ノーブル、アンドルー・チーサムがバンドメンバーとして参加し、さまざまな感情やテーマを網羅した膨大な楽曲をまとめあげた。


本作からの衝撃的なリードシングル「Numerology」は、バンドの能力のプレビューとしての役割を果たす。なおかつアルバム未収録の限定シングルとして、LP特別版に付属するボーナス10 インチ盤に収録されるほか、限定版デラックスCD にも収録される。この楽曲では、ピクトンが、インストゥルメンタル・ダンスミュージックをバックに、災害と危険のスリルとの狭間で揺れ動く様子が描かれており、バンドリーダーとして真価を発揮する新時代の幕開けを予感させる。


マイ・バンド・ビリーブというネーミングは、ピクトンが病床で閃いた一節から生まれたという。2023年のブラック・ミディ解散後、しばらく彼は積極的に新バンド参加やソロアルバム制作に動かなかったが、やがてスタジオに戻り「マイ・バンド・ビリーブ」という儚い言葉に命を吹き込んだ。2025年デビューシングル「Lecture 25」で、ポストフォークとも言うべき新鮮な音楽性を示し、My New Band Believeの音楽がようやく日の目を見ることになった。

 

「巨大で幻覚的」と評されるバンドのデビュー作は、過去1年にわたるライブ活動を具体化した作品となった。彼らはローテーション制のメンバーを組み、英国各地のライブ会場を巡ってきた。

 

「Numerology」

 

My New Band Believe  『My New Band Believe』


Label: Rough Trade

Release: 2026年4月10日

 

Tracklist:

 

1.Target Practice

2.In the Blink of an Eye

3.Heart of Darkness

4.Love Story

5.Pearls

6.Opposite Teacher

7.Actress

8.One Night

 


バンドと同名のデビュー作『My New Band Believe』は巨大で幻覚的なレコードである。感情とテーマが激しく揺れ動く音楽群が収められ、そのすべてが夢の論理という尽きることのない魅力的な糸を解きほぐしていく。ピクトンは信頼できないがカリスマ性のある語り手であり、キャロラインのメンバー7名、キラン・レナード、カイアス・ウィリアムズ、スティーブ・ノーブルらオールスター陣と共に、バンドが生み出す急速に展開する多元宇宙へとリスナーを導く。


このレコードはほぼ完全にアコースティックで、可能な限り最小限のリバーブと電子効果しか使用していない。こうした控えめな手法が彼らの音楽の最大性を損なっていると考えるのは誤りとなるかもしれない。ピクトンはバンドを率い、各トラックが形成され、散り散りになり、再編成されるように仕向ける。その結果、ある曲の高揚感が次の曲の疾走感に真っ向から衝突する。バート・ヤンシュの催眠的で力強いギターとジュディー・シルのパノラマ的なポップにインスパイアされた『My New Band Believe』は、包括的でありながら絶えず流動的な作品。

 


アメリカのソングライター、アラン・スパーホーク(Alan Sparkhawke)が新曲「JCMF」と「No More Darkness」をリリース。Lowのエリック・ポラードがドラムで参加している。スロウコアバンド、Lowのメンバーとして知られるアラン・スパーホークはソロ活動に転向後、2024年から『White Rosese,My God』、『Alan Sparhawke With Trampled By Turtles』を2年連続で発表している。

 

これらの楽曲は過去1年間ミュージシャンのライブセットリストに含まれていたが、今回は故郷ミネソタ州で発生している騒乱への緊急対応として公開された。同州における移民税関捜査局(ICE)職員の活動強化を受け、連邦移民当局者によるミネアポリス住民2名の射殺事件が発生したことを受けたことに触発されている。


楽曲はミネソタ州ダルースの「20ビロウ・スタジオ」で作詞・作曲・プロデュースされ、ナット・ハーヴィーがミキシングを担当した。ギターとボーカルのスパローク、ドラムのポラードに加え、スパロークの息子サイラス・スパロークがベースで参加している。2つのシングルは、光と闇の攻防とも呼ぶべき対象的な印象を放つシングルである。


「JCMF」についてスパーホークは次のように語っている。「この曲は数年前に書いたものだが、演奏や録音の適切な方法が見つからなかった。 昨年、アラン・スパーホーク・ソロ・バンドのツアーで演奏し始めると、月を追うごとにこの曲の感情は増していった。この曲は、世界中の指導者たちが示しているファシスト的/権威主義的な傾向、そして彼らを盲目的に支持する人々への非難となったと感じている」


「No More Darkness」のインスピレーションについて、彼は説明する。「デヴィッド・リンチの名言(「闇と戦ってはならない。 闇を気にするな。光を灯せば闇は消える。純粋な意識の光を強めよ。否定性は消え去る」)。この曲は、特に暗い時代に光を選ぶよう私に思い出させてくれる。一年間、この曲でセットを終えてきた。孤独を感じる全ての人々、特に彼らへの願いだ」

 


「JCMF」

 

 

「No More Darkness」 

 


モントリオールのアートパンクバンド、La Securite(ラ・セキュリテ)がセカンドアルバム『Bingo!』を発表し、タイトル曲「Bingo」を公開した。

 

タイトル曲「Bingo」は2000年代初頭のディスコパンクから着想を得ており、フィリップ・ボセジュール監督による切り絵アニメーション映像と共に公開された。 楽曲の起源についてラ・セキュリテは次のように説明している。

 

 「歌詞はフェリックスの提案から生まれた。ビンゴゲームを描写し、老人ホームの社交生活を言葉にしようという発想だ——心は若々しい高齢者たちだから、オレンジクラッシュや小さな帽子などへの言及がある。ベースラインとそのトーンはデス・フロム・アバブ1979へのオマージュだ」


『Bingo!』は、曲中に登場する即興のフックに基づいて書かれ、レニー・ウィルソン (Nap Eyes、ミッチ・デイヴィス、フェイス・ヒーラー)が、バンドがライブ演奏を行いながら、珍しいリボンマイクとビンテージのコンプレッサーを使用して録音し、共同プロデューサーのフェリックス・ベリスルとエマニュエル・エティエ(Corridor、Population II、Chocolat)がミキシング、ロビン・シュミット(Pixies、The Hives、Viagra Boys)がマスタリングを担当した。

 

ラ・セキュリテは、エリアン・ヴィアン(ボーカル、シンセ、パーカッション)、フェリックス・ベリスル(ベース、シンセ、パーカッション、ピアノ、プロデュース)、ケニー・スミス(ドラム、ギター)、 ローレンス・アン・シャレスト=ガニェ(ギター、パーカッション、ボーカル)、メリッサ・ディ・メンナ(ギター、シンセ、ボーカル、パーカッション)によって結成され、2023年にアルバム『Stay Safe!』でデビューを果たした。『Bingo!』は、ポップにインスパイアされたメロディとエッジの効いたアレンジというバンドの基盤を踏襲しつつ、ノー・ウェーブ、ノイズロック、シューゲイザーの要素を取り入れ、サウンドを拡張している。


「Bingo」

 

 

La Securite 『Bingo!』

Label: Bella Union

Release:  2026年6月12日

 

Tracklist:

1. Snack City

2. Deny

3. Detour

4. Power Snoozer

5. Princesse

6. Bingo

7. Chill Pill

8. Trixie

9. Nah Nah

10. Ketchup

 



ニューヨークを拠点とするエレクトロニック・パンクバンド、Lip Critic(リップ・クリティック)が本日、ニューアルバム『Theft World』を発表した。


発表を記念し、リードシングルとミュージックビデオ「Legs In A Snare」を同時に公開。沸騰したドラム、鋭いギター、フロントマンのブレット・ケイザーが放つ鋭いボーカルが、グルーヴと混沌、親密さと脅威の間を揺れ動く、生きた電線のような疾走感あふれる楽曲だ。 愛の歌が歪んでホラーストーリーへと変貌した本作は、執着、注意散漫、依存症を不安定な関係性へと昇華させる。執着は生き物のように描かれ、誘惑すると同時に破壊する存在として表現されている。


「Legs In A Snare」は、『Theft World』の核心にある不安定なエネルギーを捉えている。このアルバムは現実と不条理の境界線を曖昧にし、芸術そのものだけでなく、それがどのように生まれるのかを問い詰める。その核心において、『Theft World』は盗みについてのアルバム。 あらゆるものはどこからか来る。それをインスピレーションと呼ぶか、参照と呼ぶか、あるいは完全な盗作と呼ぶかは、あなたがどれほど正直であるかにかかっている。

 


「Legs In A Snare」




Lip Critic 『Theft World』



Label: Partisan
Release: 2026年5月1日
 

Tracklist:

1.Two Lucks 
2 Jackpot 
3 Debt Forest 
4 Talon 
5 Charity Dinner 
6 Drumming With Izzy
7 My Blush (Strength Of The Critic) 
8 Shoplifting 
9 Legs In A Snare 
10 Yard Sale (230 Take) 
11 200 Bottles On Eviction
 
 
 
Lip Critic Bio:
 
 
ニューヨークを拠点とするバンド、リップ・クリティックはブレット・ケーザー、コナー・クレイツ、ダニー・エバーレによるプロジェクトである。バンドは2台のサンプラー、2人のドラマー、そしてボーカルで構成されている。
 
 
非伝統的な楽器編成を通じ、リップ・クリティックはパンク、ハードコア、クラブ、モダンなポップサウンドを抑制なく融合させ、独自の構造を構築する。風変わりな観覧席スタイルのボーカルと相まって、リップ・クリティックはレコードのハイパー・スタイライズドなプロダクションに匹敵する、独特で魅力的なライブパフォーマンスを披露する。これらのパフォーマンスは即興と実験に重点を置いており、曲の延長版やリミックス版も含まれる。
 
 
2019年から2021年にかけて3つの作品を自主リリースした後、リップ・クリティックのデビューアルバム『ヘックス・ディーラー』は2024年5月にパーティザン・レコードからリリースされた。リップ・クリティックは早くも批評家の称賛を獲得している。
 

NME(「次なる偉大なNYCバンドとなる道を歩む」)、ペイスト(「NYC最高のアンダーグラウンド・パンクが生み出す終末的な荒廃」)、ローリング・ストーン(『知っておくべき楽曲』)、ローリング・ストーン UK(『2024年注目のアーティスト』)、 ラウド・アンド・クワイエット(「NYCで最も話題を集めるアーティストの一人」)、ビルボード、BBC 6ミュージックのメアリー・アン・ホブス、マット・ウィルキンソンから高い評価を得ている。


ロンドン出身のオルタナティブエレクトロニックポップアーティスト、Tiggi Hawke。ロンドンのアンダーグラウンド・シーンで高い評価を受け、BBC Radio 1やKiss FM、ドイツの専門番組などからいち早く評価を確立した。 


オランダを代表するエレクトロニックレーベルArmada Musicからのリリースを通じてグローバル累計約5,000万回再生を記録し、独自の音楽世界で数百万人規模のリスナーを魅了してきた。鋭いリリックと感情豊かなエレクトロニックサウンドでUK内に確かな存在感を築いた彼女は、2026年より活動拠点を日本へ移し、新章をスタートさせる。


新章の幕開けを飾るニューシングル「Pyro」は、現実と幻想のあいだを行き来するような独特の世界観を、身体の奥へと静かに流れ込むようなサウンドで描き出した楽曲です。


「“Pyro”は自己破壊をテーマにしたアンセムです。長年のコラボレーターであるGeorgia Meek、Imad Salhi、Conor Rossとともに制作しました。自ら人生を壊してしまう――その正直な記録でもあります」


日本の音楽やアートカルチャーに強い魅力を見出し、東京のネオンがもたらす高揚感と京都の静けさという対照的な空気に触れる中で、クラブでも映えるビートと重厚なベースラインを軸に、きらめくシンセと洗練されたポップの質感を重ねた独自のサウンドが形づくられた。繊細さと力強さをあわせ持つボーカルがリスナーを惹き込み、楽曲は次第に大きな高揚感へと展開する。


現在は日本人アーティストとのコラボレーションを進めながら、新たなキャリアステージの確立に向けて動き出している。活動は日本のみならず、韓国および東南アジアへと拡がっている。


すでにアジア各国のメディアから高い評価を受け、インドネシアのMetro TVでのインタビュー出演や、マニラでのショーケース開催、シンガポールのMusic Mattersカンファレンスへの出演、さらに数々のオンラインメディアでも取り上げられるなど、アジア圏での接点を着実に広げている。


「Pyro」を皮切りに日本での活動を本格始動させたTiggi Hawkeは、これまでで最大規模となる新たなステージへと歩みを進めている。待望の日本初ライブは2026年夏に開催予定。詳細は近日発表される。


 

 

Tiggi Hawke 「Pyro」- New Single


アーティスト名: TIGGI HAWKE

楽曲名: 「Pyro」

配信日: 2026年2月13日

配信リンク:https://tiggihawke.ffm.to/pyro



▪Tiggi Hawke(ティギ・ホーク)  プロフィール

 

ロンドン出身のシンガーソングライター、Tiggi HawkeはUKでの確かな実績を持つオルタナティヴ・エレクトロニック・ポップ・アーティスト。鋭いリリックと感情表現に富んだエレクトロニック・サウンドを軸に、トレンドに依存しない強い存在感を放つ。これまでにArmada Musicからのリリース実績を持つ。

 

これまでにグローバル累計約5000万回の再生数を記録。うちSpotifyで4,200万回以上、Apple Musicで300万回以上の再生、Shazamでは13.2万回再生数を記録している。 BBC Radio 1、KISS、Wonderland、Rollacoasterを始めとするUKの主要メディア・ラジオから継続的なサポートを受けている。