落ち着いた声色、そしてエモーショナルで心温まるようなフォークミュージックを今週最後にご紹介します。

 

リン・ホリーフィールドのニューシングル「We Are The People」は、傷ついた心を奮い立たせてくれるような素晴らしいフォークソングとなっています。ホリーフィールドは、スタンダードジャズの影響も受けたアメリカのベテランミュージシャンですが、コンテンポラリーなフォークソングを通じて、彼女は楽曲で「We Are The People」と歌い、人々の連帯を呼びかけています。ホリーフィールドは、人種や地位、そして思想や価値観、または、組織や生きる上での条件など多くの側面で私たちは分離してしまっていますが、本来は1つなのではないかと呼びかけます。

 

リン・ホリーフィールドは美しいアルトボイス、クリアなアコースティックギター、そして世界に対する心温まる視点が融合するソングライター。温かみのあるステージパフォーマンスと情感豊かな楽曲で知られる彼女は、観客と自然と心を一つにする。コンテンポラリー・フォークのスタイルで楽曲を紡ぐリンは、ジャズの影響を受けたコードやブルージーなギターを、情熱的なボーカルと巧みに織り交ぜています。まるでメアリー・チャピン・カーペンターとボニー・レイットが融合し、そこにジョージ・ガーシュウィンの要素が加わったような世界観です。その結果、ウィットに富み、ソウルフルで、思索的な、彼女独自のスタイルが生まれています。


リンは10代の頃から曲を定期的に作り続けてきました。ニューヨーク州スタテンアイランドで育った彼女は、エラ・フィッツジェラルドやフランク・シナトラといったジャズの巨匠から、ビートルズやニール・ヤングといったアーティストまで、幅広い音楽的影響に囲まれて育った。幼い頃から地元で演奏を始め、後にデュオ「ホリーフィールド&スプルイル」の一員として注目を集め、ファルコン・リッジ・フォーク・フェスティバルなどのフェスティバルに出演した。


ソロ活動を開始した後、リンは『LAYERS』(2010年)、『IN THE BALANCE』(2014年)、『LOOK UP』(2024年)など、高い評価を得たアルバムを数枚リリースし、国内外のラジオでオンエアされるほか、インターナショナル・フォーク・アライアンスの「トップ・アーティスト/トップ・アルバム」に選出されるなど、数々のソングライティング賞を受賞した。パンデミック期間中には、児童書『The Tree, The Ship and Me』を出版し、同書に収録された楽曲はミッドアトランティック・ソングライティング・コンテストのファイナリストに選出された。


リンは現在、グラミー賞ノミネート経験のあるセス・グリアがプロデュースを手掛けた4枚目のアルバム『Diving In』のリリースを控えている。春のソングライティング・チャレンジと夏のソングライター・リトリートがきっかけとなり、セスとの運命的な出会いが実現。その結果、2025年のクリスマスの一週間前、マサチューセッツ州ウェストスプリングフィールドにあるゴースト・ヒット・レコーディング・スタジオで、5日間で11曲をレコーディングすることとなった。


初日は雪が舞い降り、祝福に満ちた中、ニューイングランドの由緒ある教会を改装したスタジオで、セス・グリア、アビー・ガードナー、リード・サザーランド、ロブ・グリフィスといった素晴らしいアーティストたちと共に、円陣を組んで演奏した。週の半ばにはケリー・ハロランも加わった。


『Diving In』は、人生の紆余曲折、私たちの人間らしさ、喪失、愛、私たちが置かれた時代、そしてそれを乗り越えるために選んだ道筋を映し出す楽曲集である。 このアルバムには様々なスタイルが収録されており、主にコンテンポラリー・フォークですが、伝統的な雰囲気や時代を超えた魅力を感じさせる曲もいくつかあります。


ホリーフィールドは、音楽を制作する上で伝統の重要性について次のように説明しています。「伝統には静かな美しさがあります。フォークミュージックには、歌が風景を描き出すことのできる、繊細で神聖な空間があります。そこでは、メロディーやアレンジがアメリカーナのルーツに自然に溶け込み、決して時代遅れに感じられることはありません。むしろ、それらは思い出させてくれるもの、一息のようなものなのです。常に私たちに、あまりにもはやく生き、あまりにも多くを求め、決して満足しないよう強いるこの世界で、何かしら『本物』への回帰なのです」


楽曲「Blindspot」は、フェンタニル危機によって家族の一人と友人を失った後に書かれたものです。「その後、私は彼らと一緒にいた時、本当に心を開き、思いやりを持てていたのかと、どうしても考えてしまいました。彼らを助けるために、私にできたことは何かあったのだろうか?」と。


答えは永遠にわからないだろうし、それは『手遅れで、あまりにも少なすぎた』という、人生で学ぶ辛い教訓。2025年8月、ダー・ウィリアムズ・ソングライター・リトリートでセス・グリアとこの曲に取り組み、これが次作アルバムのために最初にレコーディングした曲となった」彼女の音楽は、聴く人の注意を強要するものではなく、忍耐と優雅さをもってその関心を勝ち取る。


彼女のシングル「We Are The People」は、物語の紡ぎ手であり、詩人、劇作家でもあるキャロル・バーバンクと共作した、人々の心を変えるフォーク・シングル。リンは次のように語っています。


「これは抗議の歌(プロテストソング)です。私たちの国、アメリカ合衆国で目にする分断の中、団結を呼びかける歌です。私たちは数に力があることを知っています。これは、共に立ち上がり、民主主義を守り抜こうじゃないかという呼びかけなのです」


リン・ホリーフィールドは、ワシントン・ソングライター協会のオープンマイクの司会や、バージニア州フォールズチャーチにあるセレブレーション・センター・フォー・スピリチュアル・リビングの音楽監督として音楽コミュニティを支え、東海岸沿いで演奏やツアー活動を続けている。

 

「We Are The People」

 


William Bleak(ウィリアム・ブリーク)は、先週末、ニューアルバム『Neon Goth』をBreathing Recordsから発売した。

 

ウィリアム・ブリークのサウンドは、ゴシック、ダークウェイブ、パンク、メタル、インダストリアルを通過し、ポストパンク的なサウンドを特徴としている。ブリークのサウンドは基本的には、ダンスミュージックとポストパンクの融合に焦点がある。注目ポイントは、MisfitsやBauhausのようなホラーの世界観、そして彼の本拠地、ドイツ/ベルリンのエレクトロニックミュージックが合体していることだろう。

 

『Neon Goth』の収録曲では、ヘヴィーというより、適度にチープなサウンドをあえて表側に押し出し、奇妙なサウンドを作り上げる。それはウィリアム・ブリークが経験してき”体験の集積や文化観の融合を意味している。二曲目に収録されている「On Broken Glass」は迫力のあるメタル曲である。ぜひ聴いてみていただきたい。

 

そもそも、よく言われるようなゴシックとは何なのだろうか? 元々は建築用語として始まり、パンクやメタル音楽でも使用された「ゴス」という概念。それは後にファッション/カルチャーの面にも敷衍されてきた。しかし、それは芸術全般における人間の内的な知られざる感覚を、外側に表れ出る表現性に何らかの形で織り込むという意味があるのではないか。また、ブリークのサウンドは恐怖で揺さぶるというより、恐怖に打ち克つという建設的な内容なのだ。 

 

さて、発売されてまもないアルバム『Neon Goth』の制作背景は以下のような内容となっている。ブリークが所属していた以前のバンド「I am the svn」が解散した後の2016年に楽曲制作を始めた。その後、数年間、さまざまなメンバー構成でサーフミュージックに影響を受けたガレージ・ロックを演奏して、ジャム・セッションに参加していた。初のフルアルバム『Songs of Death』のリリースを機に、自身の真の芸術的表現を模索しつつも、当時まだサーフやあらゆる種類のダーク・ロックの影響を深く受けつつ、暗くメランコリックなサウンドを確立した。  


ドイツ/ベルリンに移住した後、ブリークはこのプロジェクトを再構築し、自身が育ったゴシック・サウンドを再び取り入れた。新たなトリオを結成し、2ndアルバム『Viva Lost Love』をレコーディングした。この作品は『サイレントヒル』の夢のような雰囲気に大きく影響を受けており、彼のダークなサウンドに印象派的で幽玄な質感をもたらした。ベルリン周辺でライブ活動を続けたが、この編成でも成功を収めることはできなかった。 


2023年の夏、COVIDに感染して療養中だったウィリアム・ブリークは、バンドの他のメンバーからテキストメッセージを受け取った。ベース奏者とドラマーの両方が、ライブの機会の少なさを理由にバンドを脱退することを選んだのだ。この精神的に落ち込んだ時期に、ウィリアムはシスターズ・オブ・マーシーの2ndアルバム『Floodlands』の制作に関する記事を読んだ。これに触発され、彼はドラムマシンを購入し、サウンドを一から再構築した。 


怒りとフラストレーションを原動力に、より正直で直接的な芸術的表現を見出した彼は、「Es wid schon」を皮切りに一連のシングルをレコーディングすると同時に、米国在住のインディーズ・ミュージシャン数名の協力を得て、DIY形式の米国ツアーを企画した。このツアーが始まる前に、彼はダークなポストパンク・ソングであり、ゴス・シーンへの献身的な姿勢を示す「Crows and Ravens」をリリースし、ゴス・シーンで最初の目立ったヒットを記録した。  


米国での混沌としたツアーを終えた後も、ウィリアムは猛烈なペースで活動を続けた。ほぼ毎月シングルをリリースし、Clan of Xymox や She Past Away といったレジェンドたちの前座を務めながら、同時に、アグレッシブな新しいサウンドを磨き上げた。 


2025年の幕開けとともに、「Blood Red」と「Beat and Bleed」の2曲が同時リリースされ、EBMやインダストリアルへのさらなる転換を印象づけた。一方、「Delirium」と「Never Feel」は、ゴシック・ロック、パンク、そしてヴィジュアル系からの隠れた影響を融合させた新たなサウンドを提示した。 


この時点で、ウィリアム・ブリークは、観客とバンドの境界線をしばしば打ち破る激しくエネルギッシュなライブ・パフォーマーとして知られるようになっていた。ダクトテープの果てしないツアーでのサポートに加え、1300人の観客を前にしたシー・パスト・アウェイのオープニングアクトを務めたほか、マンチェスターのインフェスト・フェスティバルやドイツのNCNフェスティバルにも出演した。 


2025年の夏、ウィリアム・ブリークの親しい友人であり、かつてのバンドメンバーがオートバイ事故で亡くなった。この出来事がもたらした精神的な衝撃により、ウィリアムは一時的に世の中から身を引くことになった。永続的な価値のあるものを生み出したいという思いに駆られ、彼はアルバム『Neon Goth』を制作録音した。この作品は、NINやキリング・ジョーク、2000年代のインダストリアル・メタルの影響を色濃く受けた、痛烈な悲観主義に満ちたインダストリアル・ゴシック作品である。 


精神的に打ちのめされ、肉体も疲れ果てていたにもかかわらず、彼はローズガーデン・フューネラル・パーティーのオープニングアクトを務め、トゥールーズで開催された「セトマナ・サンタ」フェスティバルでのフランスデビューを含む一連のライブを行い、よりハードでヘヴィなライブパフォーマンスへと自らを追い込み続けた。  打ちのめされ、疲れ果てたウィリアムは、キャリアの中で初めて外部の助けを求め、ブリージング・レコードがそれに応えた。 


完成したアルバムが彼らの注目を集め、2026年1月6日にレコード契約が締結された。その結果生まれたアルバムは『Neon Goth』と改題され、現在発売中である。


ウィリアム・ブリークの初期の音楽的影響は、オペラ歌手である母親の側からのクラシック音楽と、父親の側からのポストパンクやハードコアに由来している。彼は数年間ピアノのレッスンに通ったものの上達が思わしくなかった後、12歳でギターを弾き始めた。15歳の頃にはエレクトロニック・ミュージックの制作を始め、時には様々な会場やパーティーでDJも務めた。彼はギター、ベース、シンセサイザー、ドラムなど複数の楽器を演奏するほか、すべての楽曲の制作とミキシングも自ら手掛けている。Saint Ark、Dear Envy、Weekend Dad、I am the svn、STereochanなど、多くの別名で楽曲をリリースしている。 


彼自身が影響を受けたものとして挙げているのは、主に日本のヴィジュアル系シーン(D’espairsRay、Dir en grey、MUCCなどのバンド)、様々な実験的なエレクトロニック・アーティスト(Crystal Castles、Death Grips、HEALTH)、そしてより伝統的なロックバンド(Death from Above 1979、The Garden、Type O Negative)である。 


彼の幼少期の最も古い記憶には、Killing Joke、The Cure、Siouxsie の音楽に触れたことが含まれており、ゴシック・サブカルチャーとのつながりは否定できない。 彼はゴシック界の権威者たちとしばしば対立しており、特定のドイツのゴシック・アクトを「アイライナーを塗ったシュラーガー」と呼んだり、「ゴシック」とみなされるもの、そうでないものの選定プロセスに対して厳しい批判を繰り広げる。 つまり、彼のスタンスは、ファッションではないのである。





 

この度、Acne Studios(アクネ ストゥディオズ)は、ブランド創立30周年を記念し、『Acne Paper Issue 21: Autoportrait』の刊行に合わせて、「Pink Library」をStandBy Harajukuにて開催いたします。


Pink Libraryは、オープンライブラリーであり、人々が集い、思索し、新たなインスピレーションに出会うための空間です。リーディングルームとしての機能を備え、出版物やイメージを通して、Acne Studiosのクリエイティブな世界観に触れることができます。


2026年6月25日(木)から6月29日(月)まで開催される本企画は、『Acne Paper』第21号『Autoportrait』から着想を得ています。本号は、Acne Studios創立30周年を記念し、ブランドを取り巻くクリエイティブな世界を「自画像(Autoportrait)」として映し出す特別号です。ファッション、アート、建築、デザイン、出版、そしてクリエイティブ・コラボレーションを横断しながら、Acne Studiosを形づくってきたアーティスト、コラボレーター、友人たち、そして文化的な担い手たちに光を当てています。


会場では、『Acne Paper』の最新号およびアーカイブをはじめ、『Acne Paper』とAcne Studiosが出版・キュレーションした書籍をご覧いただけます。書籍の持つ普遍的な魅力と出版文化を称えるPink Libraryは、都市のなかに静かに本と向き合い、発見と内省を楽しむことのできる空間を創出します。なお、展示書籍の選定・調達には、東京の書店・POSTの協力を得ています。


また、週末限定でCosmos Juiceによる抹茶ドリンクもお楽しみいただけます。

Acne Paper Pink Library

会期:2026年6月25日(木)- 2026年6月29日(月)

開館時間:11:00 - 19:00

※6月25日(木)はプライベートイベント開催のため17:00閉館

場所:StandBy Harajuku

住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-11-1



バーミンガムのSwim Deepは、ブリット・ポップの黎明期のサウンドを通過したサウンドを特徴としていて、ときどきサイケデリックなポップサウンドを生み出す。The Smiths、The La's、The Stone Roses、The VerveといったUKロック/ポップの直系のバンドで、インディーズに根ざしたサウンドでありながら、聞き手を魅了する。5thアルバムにおいて、 彼らは、The La's、The Smithsの系譜にある失われたブリットポップの魅力を探訪し、その尽きない音楽的な深さを探り当てる。


『HUM』は、困難な状況にあっても音楽への生来の情熱に突き動かされ、若返りを遂げたバンドの作品。12月にタイと中国で行われたソールドアウトツアーから新鮮なインスピレーション、予期せぬメンバーチェンジを経て、5枚目のアルバム制作という、草の根インディーバンドとしての維持という課題と向き合いながらも、これまで以上に自信に満ちたサウンドを響かせている。


この楽曲について、リードシンガーのオースティン・“オジー”・ウィリアムズは次のように語っている。「フルタイムのバーの仕事で、新しい作詞パートナーを見つけたんだ。僕たちが運んでいたビール樽のそばに、J.J. ブキャナンが立っていたんだ。鋭い感性のソングライターであり、飛翔感あふれるギタリストである彼は、この曲に、そして『HUM』を形作るサウンドの全体像に、新鮮な息吹をもたらしてくれた」


『HUM』は『THERE’S A BIG STAR OUTSIDE』に続く人生の旅路を描いている。前作は、ウィリアムズにとって変革の時期――第一子の誕生への準備と、妻の父親の死別――を捉えた作品だった。『HUM』に収録された楽曲は、その時期の余波を詳細に描き出し、喪失、家族、そして共に人生を築く人々に対する私たちの責任について探求している。


「今、僕にはインスピレーションを与えるべき人ができたんだ」と彼は説明する。「『そう、お父さんは家賃を払うためにバーで働いているけど、これが彼の本当の仕事であり、これが夢なんだ。そして、僕たちは皆、それを糧に一緒に生きていくんだ』といった感じだ。それがこのアルバムの精神なんだ」 


『HUM』において、SWIM DEEPは苦闘を原動力へと、個人的な激動を集団的な高揚へと変容させている。これは、ここ数年でバンドがリリースした中で最もヘヴィで、最も冒険的で、最も高揚感あふれるアルバムであり、確固たる信念を持って夢を追いかけるバンドの姿を映し出している。ただ、今やその背後には、より深い何かがかかっている。

 

 

Swim Deep 『Hum』- Submarine Cat


 

『Hum』は、一般的なUKロックサウンドを余すところなく凝縮している。「Piece of You」ではジャグリーなギターロックを中心とし、UKロックではお決まりの浮遊感のあるコーラスワークで始まる。物語の序章のようなサウンドの後、メインボーカルが入る。ボーカルを聴くかぎり、The La'sのリー・メイヴァースを彷彿とさせる。


Swim Deepのサウンドはロックンロール色が薄く、どちらかと言えば、Stone Rosesのようにヨコノリのビートが特徴だが、瞑想的なボーカルが楽曲全体をリードし、果てしない霧の向こうにリスナーを誘うかのようである。


ギターサウンドもアコースティックとエレクトリックの中間のエレアコのような印象を放ち、ギターポップやジャングルポップのような印象を持つ。しかし、オースティン・ウィリアムズのボーカルは、堂々たるもので、歌詞そのものが広大な空気感を表すかのように壮大な雰囲気がある。これはブリット・ポップの忘れられがちな特徴である”癒やしの空気感”を象徴づけるものである。音楽的にも、彼らの物語調の楽曲は説得力に満ちている。


憂いに満ちたブリッジの箇所を交えながら、最初のフレーズへと回帰する。その時、妙なカタルシスがあるというか、心がすっきりとするような感覚を味わうことができる。アコースティックギターを効果的に使用し、Oasis、The Verveを彷彿とさせる清涼感のあるサウンドを展開していく。

 

 「Piece of You」


 

 

Swim Deepのサウンドには、直接的ではないにしても、アイルランドのポップやスコットランドのギターポップの影響が垣間見えることもある。これが1990年代初頭のブリットポップのサウンドと結びつく。


「You, Me and Mary」では一曲目と同様に清涼感のあるギターポップサウンドで、メロディアスな性質が維持されている。ボーカルは対象的に、ささやくような感じで、ストーン・ローゼズのような浮遊感のあるサウンドを醸成する。何かを語りかけるかのようなボーカルにリードされるようにして、サビでは純粋な雰囲気に満ちたメロディアスなフレーズが登場する。全般的なロックソングの中にある癒やしが引き出される。しかし、ドラムの的確な演奏に導かれるようにして、キーボードの演奏によって神聖な雰囲気に満ちたギターロックサウンドが登場する。

 

バンドは五人組であるが、各々の演奏パートを連動させながら、1つの壮大なロックサウンドを入念につくりあげていく感じである。ボーカルのメインメロディーもキャッチーで、歌いやすいフレーズや口ずさみやすいフレーズを重視している感じだ。癖がありそうでいてない、クリアなロックサウンドが展開されていく。彼らのサウンドは、インディーズびいきといえるが、必ずしもニッチな領域に留まることはないように思える。

 

Swim Deepの五作目のアルバム『Hum』には、バロックポップのようなサウンドがときどき登場し、それらが少しサイケデリックポップの印象を帯びる。恋人との思い出を抽出したような幻想的なポップサウンド「I Keep Her Photo With Me」は、男の少し情けない一面を惜しげもなく押し出し、それらの感情を解き明かそうという楽曲である。これらの叙情的なサウンドはときに、内的な繊細さや脆弱さを吐露し、荒削りながら秀逸なポップセンスを発揮することがある。


サビの後に続くボーカルは、懐かしくて、ノスタルジックな感覚に満ちている。グロッケンシュピールの音色をオルゴールに見立てたシンセサイザーがノスタルジックな音楽世界を果てしなき領域へと近づける。オースティン・ウィリアムズのボーカルは、まるで甘口の日本酒のようなのだが、そのまったりとしたボーカルは、適度な心地よさが感じられる。作曲の側面でも細部に力が入っていて、アウトロまでしっかりと作り込まれていて、じっくり聞かせるものがある。既視感のあるサウンドではありながら、その反面どのバンドにも似ていないと言える。

 

「Broken」は2026年度のUKロック/ポップの名曲に挙げておきたい。U2、Belle&Sebastianを彷彿とさせる見事な一曲である。 ファジーな感じのギターから始まり、本作の冒頭曲で示されたエレクトリック/アコースティックの中間にあるギターサウンドがどことなく広大かつ叙情的な印象を帯びはじめる。この曲では、本作の冒頭曲と並行してアルバムジャケットに象徴されるような牧歌的な音楽世界が提示される。ボーカルの入り方も素晴らしい。背景のジャグリーなギターと美しいハーモニーを描きながら、ひとつずつまだ見ぬ世界を開拓していくような感覚がある。

 

Swim Deepの曲は、まだよくわからない未知の部分を解き明かすかのように、新しい次なる冒険心に富んだサウンドやフレーズをひとつずつ手探りで手繰り寄せていくような感じである。曲の冒頭の「Mess Of Me」から「It's Not Too Late」という箇所まで来ると、楽曲はにわかに切ない印象を帯び、琴線に触れるようなエモーションがはてしなく押し広がっていく。サビ/コーラスも素晴らしい構成であり、メロディ、リズム、ハーモニーという基本要素が上手く溶け合っている。

 

もちろん、歌詞も同様に素晴らしく、「Set Me Straight」という箇所が弱さの中から強さを引き出すような感覚に満ちあふれている。同楽曲の全体的な心を揺さぶるようなメロディーは、なにか聞き手の心を震わせ、そして勇気づけるような印象にあふれている。音楽的には、アルバムの序盤では不明瞭であったフォーク・ミュージックの影響が出てきて、楽曲の主要な音楽的な性格を占める。どことなく温かさと寂しさの両側面を兼ね備えたフォークロックサウンドである。

 

 

「Broken」- Best Track 

 

 

 

Swim Deepは数々のレーベルをわたり歩いてきた15年のキャリアを持つバンドであるが、 大人な感じのインディーロックサウンドもなんなく作り上げる。「The Throw」はドリームポップにも似た夢想的なサウンド、そしてシューゲイズ的なギターサウンドが合致した一曲となる。しかし、その中核を担うのは、1990年代の黄金期のブリット・ポップの復刻で、オアシス、ブラー、ヴァーヴの系譜にある清涼感に満ちたサウンドである。静と動、つまりは静かな箇所とノイジーな箇所を併置させる一般的なロックのスタイルを通じて、聴きやすくて捉えどことのあるサビを導き出す。インディーズを中心としたサウンドでありながら、必ずサビの箇所を用意しているというのも、 Swim Deepならでは。ポップソング職人としての表情でもある。この曲の後半では、よりパワフルなディストーションギターが主役となり、瞑想的な音楽性を導き出す。

 

ドラムとギターが先導的な役割を担う「Such A Fool」では、ポスト・ブリットに属するサウンドを提供している。このあたりのサウンドは明確な定義がなく、いわば音楽的な経験と感覚で捉えるしかないのだけれども、彼らのサウンドには、ブリット・ポップのコアの部分が内在している。オースティンのファルセットを用いた繊細なボーカルについては好き嫌いが分かれるかもしれないが、ヴァースの部分と並び、The La'sのポスト世代のサウンドを捉えることができると思う。つまり、これまであんまり存在しなかったリー・メイヴァースの後継的なサウンドが味わえる。ただ、それらは直通のサウンドではなく、インディーポップ、シューゲイズ、ドリーム・ポップなどを通過したサウンドである。これらがSwim Deepのサウンドに独創性を付与する。

 

後半部では秀逸な楽曲がいくつか登場するので聴き逃がせない。七曲目以降の楽曲がアルバム全体に聴きごたえをもたらしている。それもまた、既視感のあるサウンドを駆使しつつも、似てそうで似ていないオリジナリティあふれる音楽性が展開されているというのも、このアルバムの魅力となるはずだ。

 

「Mud」では、レディオヘッドの最初期のような夢想的なサウンドが追求されている。『Pablo Honey』 、『The Bends』といった初期の名作群のロックを主体としつつも、宇宙的な雰囲気のサウンドを継承している。 しかし、ボーカルはトムさんとは似ても似つかない。ボーカルではなく、楽曲全体の音楽性を受け継いだ上で、The La's、OASISのサウンドと融合させる。それはまた、傍流(オルタナティヴ)と本流(メインストリーム)の融合や合体という珍しい事例でもある。


Swim Deepのサウンドは、レーベルの配給などで生じてきたオルタナティヴとメインストリームという垣根が、本来はあってなかったのではないか、ということを思い至らせる。また、Swim Deepのサウンドはフォークソングからの影響もあるかもしれない。楽曲は全体的に平坦にならず、ダイナミックな曲線を描くことがある。そのあたりは実際に音源で確認してみてください。

 

本作で最もUKフォークの影響が押し出されるのは、「Is There Something Going On?」である。その中では、ジョニー・マー&モリッシーのサウンドの影響もちらつき、叙情的なサウンドと憂いに満ちたサウンドが展開される。このあたりには、このアルバムの制作時のテーマのようなものが垣間見えることもあるかもしれない。続いて、ポスト・スミスの代表的な楽曲「In Dreams Alive」が登場する。裏拍に強調を置いた独特なタブ風のリズム、そして繊細なメロディーの組み合わせを受け継いで、Swim Deepは最初期のLibertinesのようなサウンドを作り上げている。


しかし、Swim Deepは明確なロック・バンドというよりも、インディーポップが中心である。短調を織り交ぜたサウンドは、UKロックやポップの核心のような部分が潜んでいると言える。この曲で、彼らは音楽が停滞する箇所と走り出す箇所を効果的に使いながら、繊細でメロディアスなポップソングを見事に作り上げている。その中で、どことなく神聖な感覚に満ちたボーカルのフレーズが登場することがある。これが従来のバンドにはなかったSwim Deepの特色である。

 

このアルバム『Hum』は随所に切ない感じの音楽性が通じているが、終盤ではそれらが彼らのフォークバンドとしての性質と結びつく。本作では唯一のバラードソングで、素晴らしい一曲。しかし、それらの楽曲は不思議と、心を勇気づけるような感覚に満ちている。「Lift Me Up」は間違いなく、The La's(リー・メイヴァース)の系譜にある楽曲であり、ロックンロールではなくて、フォークソングの形が見事なほどに受け継がれている。アコースティックギターによる弾き語りという、シンプルなスタイルであるが、そこには賛美歌のようなメイヴァースのボーカルにもよく似た雰囲気を見出すことができる。一度聴いて名作と賞賛するアルバムではないのだが、いくつか素晴らしい曲があり、聴くたびに''深さ''が味わえるような内容となっている。

 

 

86/100

 

 

「Lift Me Up」 

 

 

 

 ・Swim Deepによるニューアルバム『Hum』はSubmarine Catから発売。ストリーミングはこちらから。 


・Nao Yoshiokaの最新シングル「Changes」は、US R&Bシーンで存在感を高め続けるDevin Morrisonとの再タッグによって生まれた一曲。


最近、コラボシングルを連発しているワールドワイルドな活躍を続けるNao Yoshioka。ジャミーラ・ウッズとのコラボレーションに続いて、デヴィン・モリソンが共同制作者に選ばれた。実は両者がコラボするのはこれが初めてではない。


2018年のアルバム『Undeniable』制作時から続く二人の関係は、時を経てもなお自然な共鳴を保ち続けている。日本在住経験を持ち、以前からNao Yoshiokaのファンであることを公言してきたDevinは、Naoのプロデュースにおいて常に新鮮な風と深い理解をもたらしてきた。


 

Devin Morrison


 

「Change」という言葉は、Nao Yoshiokaのキャリアを象徴するキーワードでもある。ソウルミュージックへ導いたSam Cookeの「A Change Is Gonna Come」、デビューシングル「Make the Change」、そして今作「Changes」へ。その言葉とともに、Naoは変化を受け入れながら、自分自身の本質と向き合い続けてきた。


「Changes」が描くのは、“変わり続けること”と“変わらないこと”の間で揺れ動きながらも、自分らしさを見失わずに進んでいく姿。環境や価値観が移り変わっていく中でも、自分の内側にある声だけは手放さないこと。この楽曲は、そんな静かで力強い意志を、柔らかなグルーヴの中に映し出した作品となっている。


 

Nao Yoshiokaメッセージ:



「Changes」は、過去3作品をともに作り上げてきたDevin Morrisonが手がけた楽曲です。初めて聴いた瞬間、変わり続ける自分の心と覚悟が今の自分にリンクして、「この曲を歌いたい」と強く感じました。

“Change”という言葉は、私の音楽キャリアにおいてとても大切なキーワードです。ソウルミュージックへと導いてくれた「A Change Is Gonna Come」、デビューシングル「Make the Change」、そして今作「Changes」へ。この言葉とともに、人生はより良い方向へと変わり続けています。

6thアルバムで、そんな希望に満ちた楽曲を届けられることを、心から嬉しく思います。変化を恐れている人、変化の中にいる人、変化を乗り越えた人、どのタイミングにいる人でも共感できる楽曲に仕上がっていると思います。

Devinの軽やかで、それでいて深みのあるビートに身を委ねながら、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。


Nao Yoshioka 「Changes feat. Devin Morrison」-NEW SINGLE



アーティスト:Nao Yoshioka

タイトル:Changes feat. Devin Morrison

ジャンル:R&B, Alternative-R&B

配信開始日:2026年6月26日(金)

発売元・レーベル:SWEET SOUL RECORDS 


Pre-save:https://naoyoshioka.lnk.to/changes


モントリオールを拠点とするアーティストであり、ポスト・ロック・バンドYour Favorite Enemiesの元フロントマンであるアレックス・ヘンリー・フォスターは、本日、今後予定されている新プロジェクトの第一弾となる楽曲「Springtime」をリリースした。ミュージックビデオが公開されていますので下記よりご覧下さい。


10月23日にリリースされる『The Fragile Beauty (of New Morning Hopes)』は、バージニア州、モロッコ、カナダで作曲・録音されたより広範なシリーズを構成する5枚のアルバムの第1弾である。これらの作品は、フォスターがひとつの人生から別の人生へと変容していく過程を描き、彼を形作る一助となったコミュニティ、人間関係、そして経験に敬意を表している。


『The Fragile Beauty (of New Morning Hopes)』からのファーストシングル「Springtime」は、フォスターが経験した個人的な苦難、特に緊急心臓手術中に手術台の上で一度死んだ瞬間を題材にしている。高まる鼓動に乗せたマイナーで不協和音的なコードは、フォスターの歌詞「Springtime, Springtime / Your grief rises afar(春よ、春よ/君の悲しみは遥か彼方へ立ち上る)」を強調する切迫感を醸し出している。


フォスターの「第二の故郷」であるモロッコのタンジェで、内省にふけりながら書かれたこのシングルは、肉体から切り離された感覚や、死の只中で生を探し求める心情を描いている。ミュージックビデオはモロッコで撮影され、フォスターの友人であった故モロッコ人アーティスト、ナジュア・エル・ヒトミが登場している。


「この曲は、故パレスチナの詩人であり作家であるマフムード・ダルウィッシュが言及した、『春』の比喩的な性質――すなわち、形のない進化への深い憧れに対する個人的な信念と待望の具体的な再生を体験したいという集団的な願望との対立する葛藤――を反映しています」とフォスターは説明する。


フォスターのグローバルな影響は楽曲の制作にも反映されており、アフリカの楽器やアラビア風のパーカッションを取り入れ、シタール、ハンマード・ダルシマー、ボンゴ、コンゴをファジーなエレキギターや力強いドラムと融合させている。


『The Fragile Beauty (of New Morning Hopes)』のリリースに続き、フォスターは、モロッコのムハミド・エル・ギズレーンの砂丘で毎年開催される、音楽、詩、芸術を紹介する遊牧民の音楽・文化フェスティバル「フェスティバル・タラルテ」のヘッドライナーを務める。この歴史的な出演は、アフリカ以外のアーティストがラインナップに名を連ねるのは初めてのこととなる。詳細は近日中に発表される予定だ。


フォスターは今秋、「Defying Gravity」ツアーでヨーロッパに再訪する。ツアーは11月24日にドイツのリュッセルスハイムで開幕し、12月12日のパリ公演まで続き、その間、スイス、デンマーク、ポーランド、ドイツの追加公演、そしてオランダを巡る。全日程は以下の通り。


モントリオールの長屋で育ったアレックス・ヘンリー・フォスターは、現在では作家、アーティスト、起業家、そして人権活動家として活躍しており、音楽、芸術、そしてコミュニティは切り離せないものであるという信念を貫いている。


レコードレーベル「Hopeful Tragedy Records」の共同オーナーであり、かつて大聖堂だった場所にマルチメディア複合施設「Upper Room Studio」を共同設立したフォスターは、2023年にレコードプレス工場「Drummond Vinyl」を開設した。その活動範囲はライフスタイルブランドにも及び、アパレルコレクションやジュエリーブランドを生み出したコンセプチュアルなクリエイティブグループ「ファブリック(Fabrik)」や、モロッコのタンジェにあるブティックホテル「ラ・メゾン・ド・タンジェ(La Maison de Tanger)」などを手掛けています。


フォスターはキャリアを通じて人権擁護に尽力し、人種差別、ストリートギャングによる暴力、子ども兵、メンタルヘルスについて声を上げ、アムネスティ・インターナショナルやウォー・チャイルドなどとの協働を行ってきました。




【リリース情報】Alex Henry Foster『The Fragile Beauty (Of New Morning Hopes)』



2026年10月23日発売

先行シングル「Springtime」配信中


【ツアー日程】

10月31日

モロッコ・M'Hamihd El Ghizlane

Festival Taragalte

11月24日

ドイツ・リュッセルスハイム

Das Rind

11月26日

ドイツ・ミュンヘン

Kranhalle

11月28日

スイス・アーラウ

KIFF

12月1日

ドイツ・ハンブルク

Nochtspeicher

12月3日

ドイツ・ベルリン

Mikropol

12月5日

ポーランド・ポズナン

Blue Note

12月6日

ポーランド・ワルシャワ

Hybrydy

12月7日

チェコ・プラハ

Café V Lese

12月8日

ドイツ・デュッセルドルフ

Ratinger Hof

12月9日

オランダ・ナイメーヘン

Merleyn

12月11日

オランダ・ズーテルメール

Cultuurpodium Boerderij

12月12日

フランス・パリ

Nouveau Casino


【アレックス・ヘンリー・フォスターについて】


モントリオール出身のアーティスト、作家、人権活動家。オルタナティブロックバンド Your Favorite Enemies のフロントマンとして国際的な活動を展開した後、ソロアーティストとして独自の創作活動を続けている。

レコードレーベル Hopeful Tragedy Records の共同運営や、クリエイティブ拠点 Upper Room Studio の設立をはじめ、音楽制作、出版、映像、ホスピタリティなど多岐にわたるプロジェクトを手がける。また、長年にわたり人権問題やメンタルヘルスに関する啓発活動にも取り組んでいる。


代々木上原に、音楽レーベルがつくるカフェが生まれる。構想20年のクリエイターズスタジオ OPRCT の1Fに開かれた、音楽と人のハブ


higher.は、単なるカフェではなく、音楽・クリエイティブ・コミュニティが交わるハブとして生まれました。


空間のサウンドディレクションはSWEET SOUL RECORDSが担当し、ソウル、R&B、ジャズなどを中心に、時代を超えて愛される音楽と新しい才能を紹介していきます。


スピーカーにはベルリンのH.A.N.D HiFiによるカスタムメイドシステムを採用し、音楽と日常が自然に溶け合うリスニング環境を実現しました。


 

higher.


higher.が入るOPRCTは、撮影スタジオ、イベントスペース、ライブベニューなどを備えたクリエイターズスタジオです。今後はリスニングセッションやトークイベント、ワークショップなども開催し、音楽をきっかけに人と人がつながる場を目指しています。 お近くにお越しの際は、ぜひ気軽にお立ち寄りください。コーヒーを飲みながら音楽の話ができれば嬉しく思います。皆さまにお会いできることを楽しみにしております。


 




higher.(ハイアー)

グランドオープン:2026年6月26日(金)

住所:東京都渋谷区上原一丁目29番10号 OPRCT 1F

(代々木上原駅 南口1 徒歩1分)

営業時間:9:00–17:30

定休日​​​​​​:不定休


Web: highertokyo.shop/

Instagram: @higher.tokyo


Acne Studios(アクネ・スタジオズ)は、ミシェル・オバマ氏が、シカゴで開催されたオバマ大統領センターの開館記念レセプションイベントにて、特注のスカートを着用したことを発表いたします。

 

このスカートは、*ポール・コイカー(Paul Kooiker)の作品へのオマージュとして制作されたものです。その着想源となった写真作品は、『Acne Paper』のパリ・パレ・ロワイヤル・ギャラリーでの展示で発表され、その後、アクネ・スタジオズの2026年秋冬コレクションにも取り入れられました。


このコンセプトは、スタイリストのMeredith Koop(メレディス・クープ)の依頼により、ミシェル・オバマ氏の亡き母であるMarian Robinson(マリアン・ロビンソン)の若き日の肖像を用いて新たに再解釈されたものです。


* 1964年生まれのオランダ・ロッテルダムを拠点に活躍する現代写真家・アーティスト




Acne Paper(アクネ ペーパー)は、第21号となる最新号「Autoportrait」を発表いたします。本号は、1996年にストックホルムで誕生したAcne Studios(アクネ ストゥディオズ)の30周年を記念し、ブランドを取り巻くクリエイティブな世界を「自画像」として映し出した特別号です。


Autoportraitでは、過去30年にわたるファッション、アート、建築、デザイン、出版、そしてクリエイティブなコラボレーションを横断しながら、Acne Studiosを形作ってきた文化的背景を探ります。それは、既成概念ではなく好奇心によって導かれる、独立性と学際性に満ちた世界観です。


表紙は、Carlijn Jacobs(カーライン・ジェイコブス)による撮影、Imruh Asha(イムル・アシャ)によるスタイリング、そしてLulu Tenney(ルル・テニー)を起用したビジュアルで構成されています。アートとファッションが交差するなかでの、創造的自由、親密さ、そして喜びに満ちた本号の精神を表現しています。意図的に衣服をまとわず登場するTenneyの姿は、文化や感情、創造性を軸にしたイメージ表現と出版という、Acne PaperおよびAcne Studiosに通底する姿勢を象徴しています。








Autoportraitの中心となるのは、Jordan Hemingway(ジョーダン・ヘミングウェイ)、Guinevere van Seenus(ギネヴィア・ヴァン・シーナス)、Malick Bodian(マリック・ボディアン)、Katerina Jebb(カテリーナ・ジェブ)による4つのセルフポートレートストーリーです。加えて、Casper Sejersen(キャスパー・セイェルセ)が撮影し、George Krakowiak(ジョージ・クラコヴィアック)がスタイリングを手がけたAcne Studiosアーカイブ特集も掲載されています。


本号にはさらに、Sadie Coles(セイディ・コールズ)、Honey Dijon(ハニー・ディジョン)、Max Lamb(マックス・ラム)、Viviane Sassen(ヴィヴィアン・サッセン)、Robbie Barrat(ロビー・バラット)、そしてスウェーデン人女優Lena Endre(レナ・エンド)へのインタビューを収録。Natasha Fraser(ナターシャ・フレイザー)、Mark Holgate(マーク・ホルゲート)、Johanna Agerman Ross(ヨハンナ・アガーマン・ロス)、Xerxes Cook(クセルクセス・クック)、Ben Evans(ベン・エヴァンス)、Frances Armstrong Jones(フランシス・アームストロング・ジョーンズ)、Vince Aletti(ヴィンス・アレッティ)によるエッセイも掲載されています。


クリエイティブにおける独立性がますます希少となる時代に発表されるAutoportraitは、Acne Studiosが現在もファッションシーンにおいて独自の立ち位置を保ち続けていることを映し出しています。ストックホルムの小さなクリエイティブ集団としてスタートした同ブランドは、30年にわたり独立経営を維持しながら、アートや建築、出版文化によって育まれた独自のカルチャーと制作姿勢を守り続けています。

 

祝祭であると同時に回顧録でもあるAutoportraitは、この30年間にわたりAcne Studiosの世界観を形作ってきた数多くのアーティストやコラボレーター、友人、文化人たちを映し出すポートレートでもあります。その中心には、1996年以降、協働的かつ領域横断的なビジョンによってAcne Studiosを導いてきたJonny Johansson(ジョニー・ヨハンソン)が存在しています。


Acne Paper Issue 21

¥9,350(税込)




この度、株式会社パルコ(本部:東京都渋谷区、以下、パルコ)は、株式会社円谷プロダクションの協力の下、渋谷PARCO 4F「PARCO MUSEUM TOKYO (パルコミュージアムトーキョー)」にて、ウルトラマンシリーズ60周年を記念した新たな企画展「SHUWATCH with U」を開催します。本展のキュレーションは、株式会社NANZUKAが担当します。


1966年に放送を開始した特撮TV番組『ウルトラマン』は、日本を代表するカルチャーとして世代や国境を越え、多様な領域へ影響を与え続けてきました。本展では、その圧倒的なビジュアルイメージと精神性を起点に、12名の国内外で活躍するアーティストたちがそれぞれの視点で“ウルトラマン”を再解釈。絵画、立体など多彩な表現を通して、没入感のある新たな空間を展開します。また、本展のキービジュアルには、ストリートグラフィティをベースに、透明感あふれる独自の表現で国際的に注目を集めるアーティストVance Yuanの作品を起用しています。


ヒーローと怪獣、光と闇、想像力と未来。日本発の巨大なイマジネーションは、いま再び、東京・渋谷から世界へ拡張していきます。

展示概要

「SHUWATCH with U」

会期:2026年7月3日(金)〜 8月3日(月)11:00〜21:00

会場:PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)

住所:東京都渋谷区宇田川町15-1

入場料:一般 500円(税込)※小学生以下無料、※その他、株主優待を含む割引対象外

公式HP:https://art.parco.jp/museumtokyo/detail/?id=1927

主催:PARCO、キュレーション:NANZUKA、協力:円谷プロダクション、デザイン:YAR

 

※ 入場は閉場の30分前までにご来場ください

※ 最終日は18時閉場となります

※ 営業日時は変更となる場合がございます、渋谷PARCOの営業日時をご確認ください。


展示の一例




参加アーティスト

Jean Jullien(ジャン・ジュリアン)、 Pex Pitakpong(ペックス・ピタックポン)、Roby DwiAntono(ロビィ・ドゥウィ・アントノ)、Ron DeFelice(ロン・デフェリス)、Ryuichi Ohira(大平 龍一)、Ryunosuke Okazaki(岡﨑 龍之祐)、 Stickymonger(スティッキーモンガー)、Takeshi Masada(政田武史)、Tetsuya Nakamura(中村 哲也)、Vance Yuan(ヴァンス ユアン)、UFO907(ユー・エフ・オー・ナイン・オー・セブン)、Koichi Sato(佐藤貢一)

作家たちの言葉

この作品は、私の子ども時代のウルトラマンの記憶に捧げる、小さな祭壇のような存在です。彼は単に『見ていたヒーロー』ではなく、私の想像力を静かに形づくった光のような存在でした。」- Roby Dwi Antono

 

「ウルトラマンへの憧れは、思い出として終わらない。子どもの遊びを通って身体に入った身振りが、いまも制作の中で反復される。私はその反復を、ただのノスタルジーではなく、祈りが続いている時間として扱いたい。」 - 岡﨑龍之祐

 

「幼かったあの頃、私たちには世界を変えるような本当の力はありませんでした。それでも、『自分たちが世界を守れる』と無邪気に信じていました。 ウルトラマンはただ怪獣と戦う存在ではありませんでした。彼はテレビの前の子供たちに、一歩踏み出す勇気と心の強さを与えてくれる存在だったのです。」- Vance Yuan

 

作家たちの言葉からは“ウルトラマン”が単なるキャラクターではなく、それぞれの想像力や創作の原点として存在していることが浮かび上がります。