Asgeir 『Julia』


Label: One Little Independent

Release: 2026年2月13日


Review


アイスランドのシンガーソングライター、アウスゲイル(Asgeir)が5枚目のスタジオアルバム『ジュリア』をリリースした。 アウスゲイルを取り上げるのは、2022年以来のことになる。Music Tribuneとしては、JFDRと並んで、同地のイチオシのソングライターである。アウスゲイルは、ジョン・グラントら翻訳者を長年起用し、父エイナル・ゲオルグ・エイナルソンの詩と向き合ってきたのだったが、輝かしいキャリアの中で初めて自ら作詞を手掛けた。アルバムのタイトルキャラクターの亡霊に導かれながら、シンガーは過去の後悔と未来への希望を瞑想する。

 

アウスゲイルは複雑なフォークポップ、豊かなプロダクション、物憂げで情感あふれるファルセットで称賛されてきた。『Julia』は歌詞制作における自立だけでなく、カタルシス的な率直さへの転換を示す。単に精巧に演奏されただけでなく、生きた経験が込められた楽曲群だ。「完全に一人で歌詞を書いたのはこれが初めてだった」と彼は語る。「怖かった。 今もその中で自分を探している。それでも心を開こうと試み、その過程で多くを学び、間違いなく癒やされた」

 

2022年のアルバム『Time On My Hands』ではフォークポップのアプローチと並んで、エレクトロニックを活用することがあったが、およそ四年ぶりとなる最新作は、アコースティックを中心としたポップソングが中心で、フォーク的なアプローチはマンドリンなどを用いつつ、アメリカーナに近い音楽性も含まれている。青年期の音楽的な記憶を交えて、未来への展望を描く。

 

アウスゲイルのボーカルは、一般的に裏声のファルセットが称賛される事が多いが、特に歌手として、エド・シーランのようなクリアで美しい歌声を持ち、それらがアイスランドの風景を彷彿とさせる雪の結晶のような澄明なボーカルとして表側に出てくる瞬間に注目したい。今回のアルバムは生楽器のドラムや打ち込みのマシンビートを併用し、 ループサウンドを作り出し、現代的なポップスのアプローチに準じている。このアルバムは、まるで彼自身の半生を描くかのように、軽やかなフォークポップソングを中心に展開される。清涼感のあるソングライティングは最新作でも健在で、朝の光のように清々しい音楽性がアコースティックギターの演奏を中心に続いていく。


今作のオープナー「Quiet Life」では、ソングライターのソフトな歌声を中心に、軽快なドラム、そしてコラージュされたピアノなど、癖がなく、聞きやすいフォークポップを楽しめる。淡々とした曲調なのだが、中音域から高音域にボーカルが跳躍するポイントにカタルシスがある。そしてアイスランドらしさもあり、ヨハン・ヨハンソンの系譜にあるポスト・クラシカルの音楽的なアプローチが楽曲の後半部で、キラキラとした朝の光のような印象を生み出している。

 

軽やかに始まったアルバム。「Against The Current」では曲調が一転、過去の後悔を披瀝するかのように憂いに満ち溢れた音楽性へと転じる。しかし、少し悲しみすら感じさせるアウスゲイルのボーカル、それらは、ファンクのリズムに支えられて、徐々に力強さを獲得する。ここでは内面の脆弱さを余さず示しながら、力強く生きるような歌手の生き様が感じられる。その歌声はこの歌手の表向きのイメージとは対象的にとても脆いが、対象的に力強さもある。


歌手としての卓越性も感じさせる。ドラムとベースを中心に組み上げられるこの曲では、現代的なプロデュースの影響は、シンセの使用など最小限にとどめておいて、歌手の歌声が独立している。この曲では、鼻声の性質を持つアウスゲイルのボーカルが澄明な輝きを放ってやまない。一曲目と同じように反復的な構成であるが、音楽的な情景は少しずつ移り変わっていき、曲の後半では、シンセサイザーを中心としたアイスランド的な郷愁とも言うべき瞬間へと近づく。

 

「Smoke」は、このアルバムの序盤ではフォークソングとして最も古典的な性質を帯びる。 ゆったりとしたドラム、ピアノ、アコースティックギターを中心に、エド・シーラン的なポップネスを吸収しながら、そのフォーク的なセンスとしてはジョン・デンバーのような渋さを兼ね備えている。ヒップホップやエレクトロニックなどのビートを吸収しつつも、古典的なカントリーソングの形を吸収し、やはりため息の出そうな憂いのエモーションに満ちたアウスゲイルの歌声と混ざり合い、特異な音楽的な世界観を作り上げていく。その中には、アメリカーナへの傾倒も伺え、このジャンルの看板である雰囲気のあるスティールギターが夏の陽炎のように音楽のはてに揺らめき、影さながらに遠のく。この曲には、何かしら音楽として酔わせる力が含まれている。


「Ferris Wheel」もまた、クラシカルなイントロを経て、現代的なポップソングの基本形である、憂いを乗り越えて歓喜に近づこうとするプロセスのような時間が刻みこまれている。この曲では、一般的に称賛されるファルセットの繊細な歌声をコーラスの箇所に配し、ポピュラーの基本である高音部を聞かせどころに持ってきている。この曲では、ナイロン弦のような柔らかいアコースティックギターの音色とピアノ、抽象的な風味を持つボーカルが絶妙に合致している。その中で、この歌手のソングライティングの基本的な長所である勇気づけられるような温かいボーカルラインが見出せる。その歌はまるで聞き手の肩を静かに叩くような優しさがある。また音楽的にも、曲の後半では、AOR、ソフトロック、ヨットロックのような音楽性へ傾倒していく。

 

アウスゲイルの作曲術は、日々のランニングやマラソンにも似ている。いきなり大掛かりな結末を用意するのではない。一歩ずつ進んでいったら、思いもよらぬような景色に出会わすのである。 ある時は雨、あるときは雪、また、次の日は晴れだが、歌手はその季節や日々のサイクルや循環を心から愛しているような気がする。その中で、最もセンチメンタルな瞬間が出てくる。


タイトル曲「Julia」はこのアルバムの副次的なテーマである憂いが極上のフォークポップソングに反映されている。この曲でのアウスゲイルのボーカルは90年代初期のトム・ヨークのような傷つきやすさや脆さがあるが、それらがアイルランド民謡、もしくは、サイモン&ガーファンクルのような憂愁のあるフォークソングと合致して、良曲/名曲とも呼ぶべき水準に達している。分けても、タイトルの歌詞の部分のファルセットは、器楽的な音響効果があり、現代の男性ボーカリストとしては最も美しい部類に入るものと思われる。この曲では、忘れられかけた悲しきフォーク・ミュージックの系譜を受け継ぎ、それを現代的な美しさへと転化させている。

 

このアルバムは最初の方の曲よりも、後半の曲の方が聴き応えがありそうだ。それはなぜかといえば、従来のソングライティングの形を崩したり、乗り越えるような瞬間があるから。それはまた、ソングライターとしての成長の証とも言えるかもしれない。あまり評者として偉そうなことは言えないのだが、「Sugar Clouds」のような曲ではいよいよ、エリック・クラプトンのような作曲者の水準に達しつつある。聞きやすいのだが、その中には深い核心がある。軽いのだが、重々しさがある。また、目を引くのだが、渋さがある。脆さがあるが、同時に強くもある。


音楽というのは、常に相反するものが重なり合いながら成立している。その一方の要素だけを封じ込めておくことはとうてい出来ないのである。こういった矛盾する2つの対象的な性質を持ち合わせずして本格派と呼ぶことは難しいだろう。そういった面では、アウスゲイルは2つの対極する要素を音楽の中で体現するようになっている。「Stranger」のような現代的なポップソングに呼応するような形を選んだとしても、それは軽く聞こえることはなく、ずしりと聞こえる。いわば、本当の意味で心を捉えたり、感覚に共鳴する何かを持ち合わせているのである。

 

個人的に推薦しておきたいのが、最後の2曲「In The Wee Hours」、「Into The Sun」である。 前者はエレクトロニックのビートを吸収し、ネオソウルの匂いすら漂わせるポップソング。ついで、後者は、古典的なカントリー/フォークに根ざしたダイナミックなエンディング曲である。そして前者は、テクノのセンチメンタルな音色が素直で癖のない感じのボーカルと溶け込んでいる。これはアイスランド勢としては珍しく、ザ・ポリスのような楽曲に対する明確なアプローチで、ニューウェイブやAORのような音楽性が現代的なポップソングと合致した瞬間でもある。こういった曲は、80年代の洋楽のポップスファンにもチェックしていただきたいナンバー。

 

ソングライターとしての大きな飛躍の瞬間が最後の曲「Into The Sun」で示されている。個人的には、こういったクローズ曲のタイトルは明朗な印象があり、かなり好感を覚えてしまう。アウスゲイルは古典的なフォーク/カントリーを基にして、まれにカットアップ・コラージュのようなミュージックコンクレートの手法で遊び心を取り入れつつ、清々しい理想的な境地に辿り着く。それは苦悩から離れた従来の価値観や既成概念が通用しないユートピアの具現でもある。

 

 

84/100 

 

 

 

ÁSGEIR 『TIME ON MY HANDS』

 


元Black Midiのベーシスト/バックボーカルを務めるキャメロン・ピクトンによる新バンド、My New Band Believeがデビューアルバム(セルフタイトルアルバム)を発表。リードシングル「Numerology」も公開された。めくるめく曲展開、先が読めない音楽性など、Black Midiの初期の音楽性に通じるものがある。

 

デビュー作『My New Band Believe』では、フロントパーソンの・キャメロン・ピクトンに加え、キラン・レナード、カイアス・ウィリアムズ、スティーブ・ノーブル、アンドルー・チーサムがバンドメンバーとして参加し、さまざまな感情やテーマを網羅した膨大な楽曲をまとめあげた。


本作からの衝撃的なリードシングル「Numerology」は、バンドの能力のプレビューとしての役割を果たす。なおかつアルバム未収録の限定シングルとして、LP特別版に付属するボーナス10 インチ盤に収録されるほか、限定版デラックスCD にも収録される。この楽曲では、ピクトンが、インストゥルメンタル・ダンスミュージックをバックに、災害と危険のスリルとの狭間で揺れ動く様子が描かれており、バンドリーダーとして真価を発揮する新時代の幕開けを予感させる。


マイ・バンド・ビリーブというネーミングは、ピクトンが病床で閃いた一節から生まれたという。2023年のブラック・ミディ解散後、しばらく彼は積極的に新バンド参加やソロアルバム制作に動かなかったが、やがてスタジオに戻り「マイ・バンド・ビリーブ」という儚い言葉に命を吹き込んだ。2025年デビューシングル「Lecture 25」で、ポストフォークとも言うべき新鮮な音楽性を示し、My New Band Believeの音楽がようやく日の目を見ることになった。

 

「巨大で幻覚的」と評されるバンドのデビュー作は、過去1年にわたるライブ活動を具体化した作品となった。彼らはローテーション制のメンバーを組み、英国各地のライブ会場を巡ってきた。

 

「Numerology」

 

My New Band Believe  『My New Band Believe』


Label: Rough Trade

Release: 2026年4月10日

 

Tracklist:

 

1.Target Practice

2.In the Blink of an Eye

3.Heart of Darkness

4.Love Story

5.Pearls

6.Opposite Teacher

7.Actress

8.One Night

 


バンドと同名のデビュー作『My New Band Believe』は巨大で幻覚的なレコードである。感情とテーマが激しく揺れ動く音楽群が収められ、そのすべてが夢の論理という尽きることのない魅力的な糸を解きほぐしていく。ピクトンは信頼できないがカリスマ性のある語り手であり、キャロラインのメンバー7名、キラン・レナード、カイアス・ウィリアムズ、スティーブ・ノーブルらオールスター陣と共に、バンドが生み出す急速に展開する多元宇宙へとリスナーを導く。


このレコードはほぼ完全にアコースティックで、可能な限り最小限のリバーブと電子効果しか使用していない。こうした控えめな手法が彼らの音楽の最大性を損なっていると考えるのは誤りとなるかもしれない。ピクトンはバンドを率い、各トラックが形成され、散り散りになり、再編成されるように仕向ける。その結果、ある曲の高揚感が次の曲の疾走感に真っ向から衝突する。バート・ヤンシュの催眠的で力強いギターとジュディー・シルのパノラマ的なポップにインスパイアされた『My New Band Believe』は、包括的でありながら絶えず流動的な作品。

 


アメリカのソングライター、アラン・スパーホーク(Alan Sparkhawke)が新曲「JCMF」と「No More Darkness」をリリース。Lowのエリック・ポラードがドラムで参加している。スロウコアバンド、Lowのメンバーとして知られるスパーホークはソロ活動に転向後、2024年から『White Rosese,My God』、『Alan Sparhawke With Trampled By Turtles』を2年連続で発表している。

 

これらの楽曲は過去1年間ミュージシャンのライブセットリストに含まれていたが、今回は故郷ミネソタ州で発生している騒乱への緊急対応として公開された。同州における移民税関捜査局(ICE)職員の活動強化を受け、連邦移民当局者によるミネアポリス住民2名の射殺事件が発生したことを受けたことに触発されている。


楽曲はミネソタ州ダルースの「20ビロウ・スタジオ」で作詞・作曲・プロデュースされ、ナット・ハーヴィーがミキシングを担当した。ギターとボーカルのスパローク、ドラムのポラードに加え、スパロークの息子サイラス・スパロークがベースで参加している。2つのシングルは、光と闇の攻防とも呼ぶべき対象的な印象を放つシングルである。


「JCMF」についてスパーホークは次のように語っている。「この曲は数年前に書いたものだが、演奏や録音の適切な方法が見つからなかった。 昨年、アラン・スパーホーク・ソロ・バンドのツアーで演奏し始めると、月を追うごとにこの曲の感情は増していった。この曲は、世界中の指導者たちが示しているファシスト的/権威主義的な傾向、そして彼らを盲目的に支持する人々への非難となったと感じている」


「No More Darkness」のインスピレーションについて、彼は説明する。「デヴィッド・リンチの名言(「闇と戦ってはならない。 闇を気にするな。光を灯せば闇は消える。純粋な意識の光を強めよ。否定性は消え去る」)。この曲は、特に暗い時代に光を選ぶよう私に思い出させてくれる。一年間、この曲でセットを終えてきた。孤独を感じる全ての人々、特に彼らへの願いだ」

 


「JCMF」

 

 

「No More Darkness」 

 


モントリオールのアートパンクバンド、La Securite(ラ・セキュリテ)がセカンドアルバム『Bingo!』を発表し、タイトル曲「Bingo」を公開した。

 

タイトル曲「Bingo」は2000年代初頭のディスコパンクから着想を得ており、フィリップ・ボセジュール監督による切り絵アニメーション映像と共に公開された。 楽曲の起源についてラ・セキュリテは次のように説明している。

 

 「歌詞はフェリックスの提案から生まれた。ビンゴゲームを描写し、老人ホームの社交生活を言葉にしようという発想だ——心は若々しい高齢者たちだから、オレンジクラッシュや小さな帽子などへの言及がある。ベースラインとそのトーンはデス・フロム・アバブ1979へのオマージュだ」


『Bingo!』は、曲中に登場する即興のフックに基づいて書かれ、レニー・ウィルソン (Nap Eyes、ミッチ・デイヴィス、フェイス・ヒーラー)が、バンドがライブ演奏を行いながら、珍しいリボンマイクとビンテージのコンプレッサーを使用して録音し、共同プロデューサーのフェリックス・ベリスルとエマニュエル・エティエ(Corridor、Population II、Chocolat)がミキシング、ロビン・シュミット(Pixies、The Hives、Viagra Boys)がマスタリングを担当した。

 

ラ・セキュリテは、エリアン・ヴィアン(ボーカル、シンセ、パーカッション)、フェリックス・ベリスル(ベース、シンセ、パーカッション、ピアノ、プロデュース)、ケニー・スミス(ドラム、ギター)、 ローレンス・アン・シャレスト=ガニェ(ギター、パーカッション、ボーカル)、メリッサ・ディ・メンナ(ギター、シンセ、ボーカル、パーカッション)によって結成され、2023年にアルバム『Stay Safe!』でデビューを果たした。『Bingo!』は、ポップにインスパイアされたメロディとエッジの効いたアレンジというバンドの基盤を踏襲しつつ、ノー・ウェーブ、ノイズロック、シューゲイザーの要素を取り入れ、サウンドを拡張している。


「Bingo」

 

 

La Securite 『Bingo!』

Label: Bella Union

Release:  2026年6月12日

 

Tracklist:

1. Snack City

2. Deny

3. Detour

4. Power Snoozer

5. Princesse

6. Bingo

7. Chill Pill

8. Trixie

9. Nah Nah

10. Ketchup

 



ニューヨークを拠点とするエレクトロニック・パンクバンド、Lip Critic(リップ・クリティック)が本日、ニューアルバム『Theft World』を発表した。


発表を記念し、リードシングルとミュージックビデオ「Legs In A Snare」を同時に公開。沸騰したドラム、鋭いギター、フロントマンのブレット・ケイザーが放つ鋭いボーカルが、グルーヴと混沌、親密さと脅威の間を揺れ動く、生きた電線のような疾走感あふれる楽曲だ。 愛の歌が歪んでホラーストーリーへと変貌した本作は、執着、注意散漫、依存症を不安定な関係性へと昇華させる。執着は生き物のように描かれ、誘惑すると同時に破壊する存在として表現されている。


「Legs In A Snare」は、『Theft World』の核心にある不安定なエネルギーを捉えている。このアルバムは現実と不条理の境界線を曖昧にし、芸術そのものだけでなく、それがどのように生まれるのかを問い詰める。その核心において、『Theft World』は盗みについてのアルバム。 あらゆるものはどこからか来る。それをインスピレーションと呼ぶか、参照と呼ぶか、あるいは完全な盗作と呼ぶかは、あなたがどれほど正直であるかにかかっている。

 


「Legs In A Snare」




Lip Critic 『Theft World』



Label: Partisan
Release: 2026年5月1日
 

Tracklist:

1.Two Lucks 
2 Jackpot 
3 Debt Forest 
4 Talon 
5 Charity Dinner 
6 Drumming With Izzy
7 My Blush (Strength Of The Critic) 
8 Shoplifting 
9 Legs In A Snare 
10 Yard Sale (230 Take) 
11 200 Bottles On Eviction
 
 
 
Lip Critic Bio:
 
 
ニューヨークを拠点とするバンド、リップ・クリティックはブレット・ケーザー、コナー・クレイツ、ダニー・エバーレによるプロジェクトである。バンドは2台のサンプラー、2人のドラマー、そしてボーカルで構成されている。
 
 
非伝統的な楽器編成を通じ、リップ・クリティックはパンク、ハードコア、クラブ、モダンなポップサウンドを抑制なく融合させ、独自の構造を構築する。風変わりな観覧席スタイルのボーカルと相まって、リップ・クリティックはレコードのハイパー・スタイライズドなプロダクションに匹敵する、独特で魅力的なライブパフォーマンスを披露する。これらのパフォーマンスは即興と実験に重点を置いており、曲の延長版やリミックス版も含まれる。
 
 
2019年から2021年にかけて3つの作品を自主リリースした後、リップ・クリティックのデビューアルバム『ヘックス・ディーラー』は2024年5月にパーティザン・レコードからリリースされた。リップ・クリティックは早くも批評家の称賛を獲得している。
 

NME(「次なる偉大なNYCバンドとなる道を歩む」)、ペイスト(「NYC最高のアンダーグラウンド・パンクが生み出す終末的な荒廃」)、ローリング・ストーン(『知っておくべき楽曲』)、ローリング・ストーン UK(『2024年注目のアーティスト』)、 ラウド・アンド・クワイエット(「NYCで最も話題を集めるアーティストの一人」)、ビルボード、BBC 6ミュージックのメアリー・アン・ホブス、マット・ウィルキンソンから高い評価を得ている。


ロンドン出身のオルタナティブエレクトロニックポップアーティスト、Tiggi Hawke。ロンドンのアンダーグラウンド・シーンで高い評価を受け、BBC Radio 1やKiss FM、ドイツの専門番組などからいち早く評価を確立した。 


オランダを代表するエレクトロニックレーベルArmada Musicからのリリースを通じてグローバル累計約5,000万回再生を記録し、独自の音楽世界で数百万人規模のリスナーを魅了してきた。鋭いリリックと感情豊かなエレクトロニックサウンドでUK内に確かな存在感を築いた彼女は、2026年より活動拠点を日本へ移し、新章をスタートさせる。


新章の幕開けを飾るニューシングル「Pyro」は、現実と幻想のあいだを行き来するような独特の世界観を、身体の奥へと静かに流れ込むようなサウンドで描き出した楽曲です。


「“Pyro”は自己破壊をテーマにしたアンセムです。長年のコラボレーターであるGeorgia Meek、Imad Salhi、Conor Rossとともに制作しました。自ら人生を壊してしまう――その正直な記録でもあります」


日本の音楽やアートカルチャーに強い魅力を見出し、東京のネオンがもたらす高揚感と京都の静けさという対照的な空気に触れる中で、クラブでも映えるビートと重厚なベースラインを軸に、きらめくシンセと洗練されたポップの質感を重ねた独自のサウンドが形づくられた。繊細さと力強さをあわせ持つボーカルがリスナーを惹き込み、楽曲は次第に大きな高揚感へと展開する。


現在は日本人アーティストとのコラボレーションを進めながら、新たなキャリアステージの確立に向けて動き出している。活動は日本のみならず、韓国および東南アジアへと拡がっている。


すでにアジア各国のメディアから高い評価を受け、インドネシアのMetro TVでのインタビュー出演や、マニラでのショーケース開催、シンガポールのMusic Mattersカンファレンスへの出演、さらに数々のオンラインメディアでも取り上げられるなど、アジア圏での接点を着実に広げている。


「Pyro」を皮切りに日本での活動を本格始動させたTiggi Hawkeは、これまでで最大規模となる新たなステージへと歩みを進めている。待望の日本初ライブは2026年夏に開催予定。詳細は近日発表される。


 

 

Tiggi Hawke 「Pyro」- New Single


アーティスト名: TIGGI HAWKE

楽曲名: 「Pyro」

配信日: 2026年2月13日

配信リンク:https://tiggihawke.ffm.to/pyro



▪Tiggi Hawke(ティギ・ホーク)  プロフィール

 

ロンドン出身のシンガーソングライター、Tiggi HawkeはUKでの確かな実績を持つオルタナティヴ・エレクトロニック・ポップ・アーティスト。鋭いリリックと感情表現に富んだエレクトロニック・サウンドを軸に、トレンドに依存しない強い存在感を放つ。これまでにArmada Musicからのリリース実績を持つ。

 

これまでにグローバル累計約5000万回の再生数を記録。うちSpotifyで4,200万回以上、Apple Musicで300万回以上の再生、Shazamでは13.2万回再生数を記録している。 BBC Radio 1、KISS、Wonderland、Rollacoasterを始めとするUKの主要メディア・ラジオから継続的なサポートを受けている。



昨年初のソロ・ピアノ・アルバム『ソロ:ミニチュアズ&テイルス』を発表し、全5公演に及ぶジャパン・ツアーも開催したシャイ・マエストロが、早くも来月に更なる新作『ザ・ゲストハウス』をリリースする。


すでにアルバムから4枚のシングルが公開されているが、この度最新シングル「The Lion And Me ft. Alon Lotringer」の配信がスタートした。同楽曲には、古き良きR&Bとフォークからアート・ロック、アンビエントなどからの影響を見事に融合した音楽スタイルが魅力の歌手、ソングライター、マルチ器楽奏者にしてプロデューサーのアロン・ロトリンガーが参加している。クロスオーバージャズのボーカル曲となっているが、ピアノと幽玄なボーカルが重なりあい、美しい世界観を作り出す。


今回のニューシングルについてシャイは次のように話している。「アロン・ロトリンガーとは長年の友人なんだ。共に音楽制作を始める時が来たと決めた時、2人で僕の家でその作業を開始した。アロンは僕が知る限り最も深遠で先見の明のある人物の一人で、驚くほど賢明で成熟した音楽家でもある。『The Lion And Me』は実は彼が夢見た光景から生まれたんだよ。夢の中で彼は凍った湖の岸辺に座っていたんだけど、そこに一頭のライオンが現れてこう言ったんだ。『俺の上に頭を乗せてくれ』と。そしてこのイメージこそが曲全体の基盤となったんだ」


3月6日(金)発売予定のシャイのニュー・アルバム『ザ・ゲストハウス』には、現代の音楽シーンを牽引する注目アーティストが多数参加している。

 

前述のアロン・ロトリンガーをはじめ、22歳の若さで名門ブルーノートからデビューし、ファースト・アルバム『Omega』がニューヨーク・タイムズ誌の「2020年No.1ジャズ・アルバム」に選出された新世代を代表するサックス奏者、イマニュエル・ウィルキンス。ジェイコブ・コリアーのツアー・バンドに参加、ジャンルを超越した音楽性でクインシー・ジョーンズらに認められる最注目シンガー・ソングライターにしてマルチ・ミュージシャンのMAROことマリアナ・セッカ。そして、マイケル・マヨは、アメリカの歌手で今年のグラミー賞2部門にノミネートを果たしている「最先端ジャズ・ヴォーカリスト」とも称される注目の存在だ。


アルバムからはすでに収録曲の「Strange Magic」「The Time Bender 」「Nature Boy - ft. Immanuel Wilkins」「Moon of Knives」が公開されている。


 

 

 

・「The Lion And Me ft. Alon Lotringer」配信中!

https://shaimaestro.bfan.link/thelionandme

 

 

・「Strange Magic」オーディオ・ビデオ:

https://www.youtube.com/watch?v=5X-hwRSbBMc


・「The Time Bender 」のミュージック・ビデオ:

https://youtu.be/f5zyMzQffo0?si=klV9DLn-YQbGMvhI


・『Nature Boy - ft. Immanuel Wilkins』オーディオ・ビデオ:

https://youtu.be/s5njDTXsCco?si=7WOXnyao3mcpFiKv


・「Moon of Knives」オーディオ・ビデオ:

https://www.youtube.com/watch?v=b5XIx06s_-M

 


【アルバム情報】




アーティスト名:Shai Maestro(シャイ・マエストロ)

タイトル名:The Guesthouse(ザ・ゲストハウス)

発売日:2026年3月6日(金)

品番:BLV9177F (CD) / BLV9178F (LP)

レーベル:naïve records


<トラックリスト> 

1. The Time Bender 

2. The Guesthouse 

3. Nature Boy - ft. Immanuel Wilkins

4. Gloria - ft. MARO 

5. Moon of Knives 

6. Strange Magic ft. Michael Mayo 

7. Refuge 

8. GGiʼs Metamorphosis 

9. Sleepwalking Roses 

10. A Little Thank You Note 

11. The Lion And Me ft. Alon Lotringer

12. The Guesthouse’s Old Piano



・アルバム配信予約受付中!

https://shaimaestro.bfan.link/theguesthouse


・最新シングル「The Lion And Me ft. Alon Lotringer」配信中!

https://shaimaestro.bfan.link/thelionandme


・ファースト・シングル「The Time Bender」配信中!

https://shaimaestro.bfan.link/thetimebender


・セカンド・シングル「Nature Boy - ft. Immanuel Wilkins」配信中!

https://shaimaestro.bfan.link/natureboy


・フォース・シングル「Strange Magic」配信中!

https://shaimaestro.bfan.link/strangemagic


・サード・シングル「Moon of Knives」配信中!

https://shaimaestro.bfan.link/moonofknives



【バイオグラフィー】

1987年、イスラエル生まれのジャズ・ピアニスト。5歳からクラシック・ピアノ、8歳からジャズの演奏をスタートさせ、テルマ・イェリン国立芸術高等学校でジャズとクラシックを学び、その後ボストンのバークリー音楽大学へ入学。2006年からはイスラエル・ジャズ・シーン確立の立役者の一人であるベーシストのアヴィシャイ・コーエン(b)のグループに参加し注目を浴びる。2017年には自身のバンドで東京JAZZのメイン・ステージで演奏した他、これまでに度々来日公演を行なっている。2026年3月には最新アルバム『ザ・ゲストハウス』をリリース予定。


メルボルン在住オーストラリア人シンガーソングライター、Tamas Wellsはメルボルン大学で東アジアの政治学を研究する傍ら、ソングライターとして活動を行っている。昨年から「Please Don't Leave/It's Not Right That You're, Madison」から三作のシングルを立て続けに発表している。


今回のシングル「A Comet Is Coming」は、タマス・ウェルズによるアコースティックギターによる弾き語り曲で、悲しみと温かさが混在する良質なフォークソングである。ビートルズやサイモン&ガーファンクルの音楽性を彷彿とさせる、ほろ苦いボーカルのラインが特徴となっている。


ーーだって近いうちに/彗星がやって来て/私たちは皆滅びるだろう/悪い映画に出てくる連中みたいに踊って祈ろうって言う奴らになるのか?/それとも軌道から外そうとする者たちになるのか/ロケットを打ち上げて炎の中で気づくのか/結局みんな死ぬだけだと気づくのか?ーーという歌詞は、ディープインパクトをはじめとする救世の映画のシナリオをなんとなく思い起こさせる。


「A Comet Is Coming(彗星が地球に衝突する)」という、ありふれた題材のローファイな映画を題材に、タマスらしい儚げなポップさをもつインディー・フォーク作品に仕上がっている。


同楽曲は2023年のアルバム『To Drink up the Sea』をプロデュースしたGreg J. Walker (Machine Translations)との共同プロデュース。オーストラリアの映像クリエイター、Celia Celiaが手がけた愛らしいアニメーションのMVも必見です。



「A Comet Is Coming」



Tamas Wells 「A Comet Is Coming」(And We're All Doomed)- New Single



アーティスト:Tamas Wells

タイトル:A Comet Is Coming (And We're All Doomed)

リリース日:2026年2月16日

フォーマット:デジタルダウンロード/ストリーミング

ストリーミング:  https://lirico.lnk.to/tw-acometiscoming

Dash Hammerstein
 

ブルックリンのフォークシンガー、Dash Hammerstein(ダッシュ・ハマースタイン)が今週末、セルフタイトルのフォークアルバムをリリースした。

 

ハマースタインは、ビル・キャラハン、マック・デマルコといった北米の名うてのミュージシャンを彷彿とさせる、力が抜けたフォークミュージックをバロックポップのような懐かしのサウンドで包み込む。また、ハマースタインのフォークポップソングにはムーンドッグのようなジャジーな吹奏楽器が登場する。これらが混在し、渋く甘く切ないムード音楽を作り上げる。


ダッシュ・ハマースタインは現代的な制作理念とブライアン・イーノ、ムーンドッグのような個性的なアーティストのラフなメロディックさを融合させた楽曲で知られるソングライター兼映画作曲家。Netflix、Hulu、HBO、PBSなど数多くのプロジェクトで音楽を手掛けてきた。さらにキンクス風のフォークポップアルバムや新古典派音楽を発表し、アディダスやトヨタ(今シーズンのスーパーボウルCMで放映中)など国際的な商業キャンペーンに楽曲が採用されている。


彼の作品はとくに映画業界で高評価を受けている。サンダンス映画祭、トライベッカ映画祭、DOC NYCで初公開されただけではなく、Netflix、Hulu、HBO、PBSなど数多くのプロジェクトの音楽を手がけている。さらにソロアーティストとしては、キンクス風のフォークポップと新古典主義音楽を融合したスタジオアルバムを10枚発表している。その楽曲はアディダスやトヨタなど、国際的な商業キャンペーンに使用されている。近年ではニューヨークの演劇シーンに深く関わり、開発中のミュージカル作品の数々で脚本執筆やコンサルティングを担当している。


セルフタイトルの最新アルバムは、新たに発見した創造的な冷静さと実験の期間から生まれた、11曲の室内フォークコレクションである。ハマースタインは自作について以下のように語る。


「『Dash Hammerstein』は、私の10枚目のフルアルバムになるのですが、タイトルに私の名前をつけるのはこれが初めてでした。 ビル・キャラハンやジョン・プラインといったフォークソングライターの哀愁を帯びたユーモラスな歌詞、そしてフランク・ローサーのような偉大なミュージシャンのユーモアに刺激を受け、このアルバムは何よりも誠実さを最優先しています」


「音楽はすごくシンプルで、各楽曲は複数のレベルで機能するよう作られています——小さなディナーパーティーのBGMとして心地よく溶け込みつつ、繰り返し集中して聴くことで深みを現すでしょう。弦楽器、管楽器、木管楽器による数曲のゲスト参加を除いて、全トラックは私が作詞・作曲・演奏・ミキシングを担当しました。その結果生まれたのは、深く個人的な室内フォークのコレクションであり、この作品と向き合う方々に共鳴してもらえればと願っています」

 


「Anyone Can Catch」

 

 

Dash Hammerstein 『Dash Hammerstein』




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Dash Hammerstein is a songwriter and film composer known for crafting scores that blend a modern production ethos with the ramshackle melodicism of idiosyncratic artists like Moondog and Brian Eno.  

 

His work has premiered at Sundance, Tribeca Film Festival and DOC NYC, and he has scored projects for Netflix, Hulu, HBO, PBS and many more.  

 

In addition, he has released ten studio albums of Kinks-inflected folk pop and neo-classical music, which has been licensed for international commercial campaigns by brands including Adidas and Toyota.  In recent years, he's gotten more involved in NYC's theatre scene, writing and consulting on a number of musicals in development.


His latest album is the self-titled Dash Hammerstein, an eleven-track chamber folk collection which came out of a period of newfound creative sobriety and experimentation. 

 

He shares, "Dash Hammerstein is my tenth full length album but the only one with my name in the title.  Fueled by the plaintive and droll lyricism of folk songwriters like Bill Callahan and John Prine, along with the humor of musical greats like Frank Loesser, the album puts honesty before all else.  

 

The music is simple, each song crafted to work on multiple levels - living comfortably in the background of a small dinner party, and revealing depth on repeated and focused listens.  But for a few friendly guest appearances on strings, horns, woodwinds, each track was written, performed and mixed by me.  The result is a collection of deeply personal chamber folk that I hope will resonate with those who spend time with it."

 

 

Weekly Music Feature: PONY


トロントのPONYの結成は2015年に遡る。現在の形になったのは2018年のこと。ソングライターのサム・ビエランスキーがギタリスト兼共同制作者マティ・モランとタッグを組み、2021年にテイク・ディス・トゥ・ハート・レコードからデビューしたアルバム『TV Baby』の制作過程においてだった。 


最初のアルバム制作とリリースにまつわる約2年間の前例のない隔離状態の中で、ビエランスキーとモランドは週に1曲の新曲を書くという挑戦を通じて、ダウンタイムを最大限に活用した。この取り組みの成果は200曲以上に及び、その研ぎ澄まされたソングライティング技術は、セカンド『Velveteen』の10曲を構成するポップフックと時代を超えたインディーロックの風格に表れた。数えきれないほどのテレビ番組、文学、自己内省に影響を受けた本作は、バンド史上最も繊細な作品でもあり、渇望、繋がり、自己への誠実さという複雑な関係性を考察している。


3rdアルバムにはちょっと笑ってしまうようなエピソードが付随している。何でも創設メンバーでありシンガーソングライターのサム・ビエルアンスキーが語るように、『Clearly Cursed』は21歳の時に初めて霊能者を訪れた体験から直接インスピレーションを得たのだとか。「彼女はタロットカードを読み、彼氏が浮気していると告げた」とビエルアンスキー。 「それは事実だった。彼女は、私に暗い霊が憑いているとも告げた。1500ドル払えば簡単に追い払えるとも。明らかに予算オーバーで、私はその場を去り、この暗い霊と一生付き合っていくしかないと思った」


『Clearly Cursed』では、PONYの創設メンバーであるビエルアンスキーとマティ・モランドに、ツアーで共演したクリスチャン・ビールとジョーイ・ジナルドが加わった。プロデューサーのアレックス・ギャンブルと協力し、PONYの制作と楽曲制作を、結成から10年以上も前から夢見てきた音楽的アイデンティティへと押し上げた。 


『Clearly Cursed』において、プロジェクト創設者のサム・ビエランスキーはポジションを転換し、従来のギター演奏業務を縮小してインパクトのある歌詞と豊かなボーカルスタックに身を投じた。モランドはトーンとテクスチャーの妙に踏み込んで行った。「『ボーカルに集中しよう、そこが自分が輝く場所』と言ったんだ」とビエランスキーはスイッチについて語り、さらに「トーチを渡すことに問題はなかった」と付け加えている。全体の音の印象は以前よりもはるかに明るく、溌剌とした喜びに満ちている。背後にある創造的な源について、ビエランスキーは「歴史的に、私たちは曲がとても楽しく聞こえ、車やビーチへ向かう途中で聴けるような対比を演奏したが、歌詞は内省的で自己疑念に欠け、時には憂鬱になることもある」と述べた。


モランドは2年がかりのアルバム『Velveteen』制作過程を経て、ゲームへの愛情の一部を失ったと語っています。このレコードは、二人とも制作に時間がかかりすぎたことを認めている。自らの輝きを再燃させるため、モランドはジョニー・マー(The Smiths)やロバート・スミス(The Cure)といった先例を研究し、『Clearly Cursed』のタイトル曲では明るくジャングリーなトーンに傾倒した。


結果として生まれたサウンドは、彼らの代名詞であるキラキラしたパワーポップに、ザ・キュアー、ジーザス・アンド・メアリー・チェーン、キャロライン・ポラチェック、そしてこよなく愛するジャネット・ジャクソンなどの影響を加えた内容に。ファズギターと楽しさの下に優しい柔らかさを擁するこのアルバムは、リスナーに彼らの内なる鮮やかな可能性の世界を探求させる。 


ジミー・イート・ワールド、ドラッグ・チャーチ、ミリタリー・ガン、プール・キッズ、MSPAINTらとの共演を含む大規模なツアーを経て本作はリリース。『Clearly Cursed』はテイク・ディス・トゥ・ハート・レコードより発売。前作『TV Baby』『Velveteen』に続く3作目となる。



▪️ PONY 『Clearly Cursed』- Take This To Heart




PONYはトロントの名物的なインディーロックデュオとして名を馳せてきた。最新作『Cleary Cursed』はポップパンクとパワーポップの中間にある音楽性にシフトチェンジした、聞きやすいアルバムとなっている。今作では、ボーカルのメロディーにさらなる磨きをかけ、ミレニアム年代のポップパンクに準じた痛快極まりないロックアルバムが誕生した。その中には、PONYの中心的存在、ビエランスキーのBlink 182への親和性を見出すこともできる。それらを持ち前のベッドルームポップのセンスに落とし込んで、ほどよく軽く、爽やかな作品に仕上げている。
 
 
最新アルバムではポップソングを志向した曲が中心となっている。ボーカルのメロディーラインの一般性に重点が置かれている。理想的なポップソングというのは、誰でも簡単に口ずさんだり、鼻歌で歌ったりできることに尽きる。本作のオープナー「Superglue」はウージーな雰囲気のギターで始まり、その後、パンク、ロック、ポップの間にあるアンセミックな曲が展開される。
 
 
PONY持ち前のパワーポップに位置づけられる甘いメロディーが健在で、8ビートのドラム、そしてパンキッシュな印象を放つギターと融合する。サビでは、よりロック的なアプローチが敷かれ、彼らの掲げる”グランジ・ポップ”のエッセンスが遺憾なく発揮されている。ここには、全般的な音楽ファンが親しめるような曲を書こうという精神が反映され、平坦化された音楽性が心地良さと乗りの良さを作り出している。近年、難解になりすぎることが多いロックソングを平易に解釈しようというスタンスが軽妙なポップロックソングに転化された形となった。また、遊び心も満載である。ビートルズ的な逆再生、ダンスポップやシンセポップに根ざしたキラキラしたシンセのアレンジに至るまで、遊園地のアトラクションのような楽しさをもたらす。
 
 
 
カナダやオーストラリアのロックバンドを聴いていてふと思うのは、ほどよく緩やかに時間が流れているみたいな感覚があることだ。それは、地方都市を訪れたときに感じる妙な安らぎに似ている。これらの地域のミュージシャンは現代的とか未来的というキャッチーコピーに惑わされずに、時代を問わず好きな音楽を純粋にやっている感じがして好感を覚えることがある。PONYは、とくに90年代や2000年代ごろの普遍的なロックバンド、Linkin Parkのようなバンドをフェイバレットに挙げているが、それこそがPONYのサウンドに普遍性をもたらしている理由なのだ。


「Freezer」はこの年代のロックやパンクに根ざしていて、さほど新しいことはやっていない。しかし、イントロ、ヴァース、ブリッジのような基本的な構成を受け継ぎながら、サビ/コーラスでリスナーが期待する高揚感のあるフレーズを惜しみなく提供する。初心者の音楽ファンにもアンセミックな箇所をしっかりと用意しているのだ。
 
 
ハイライトとなる箇所では、アルバム全体の爽快感のある音楽性が鮮明になる。これらは確かに、New Found Glory、Blink-182のような明快なポップパンクソングをオルタナティヴロック/パワーポップから再編しようという試みであり、意外と見過ごされていたスタイル。こと、PONYの楽曲に関しては、澄んだ青空のように爽やかなイメージを与えてくれる。曲の後半でのギターソロもかなり良い感じで、 キャッチーなサビ/コーラスと絶妙なコントラストを形作っている。
 
 
「Sunny Something」ではジャネット・ジャクソンのタイプのポップソングを受け継ぎ、ロックソング/パンクロックとして再編している。 この曲では、ベースラインの同音反復と全体的な和音の分散和音を配し、その上にバブリーな感覚を持つポップソングがギターロックと上手く融合させている。 ただ、これらの古典的なポップソングの形をベッドルームポップのような2000年以降のサウンドと結びつけることで、2020年代に相応しいサウンドに組み替えているのが素晴らしい。オートチューンこそ使用されないが、サビやコーラスの箇所で波形のグラデーションを変えることにより、これに近いサウンドを実現している。また、このサウンドはGarbageのような名物的なグループに近いニュアンスが含まれる。この曲でもやはりサビでは、ポップなメロディーとロック的なサウンドが混在し、華やかな音楽性が心地よいひとときを提供している。
 
 

昨年はNation of Languageを筆頭に、シンセポップやダンスポップ勢の活躍が目立った印象だったが、その流れを汲んだ「Middle of Summer」は見事な一曲と言える。Pet Shop Boysのようなライトな音楽性を捉え、ポストパンク風のベースから組み直し、シンプルではあるが、琴線に触れるようなシンセのフレーズを交え、懐かしくほっとするような音楽性を生み出す。ジョニー・マー、ロバート・スミスのようなギターラインの研究の成果はこういった曲に表れている。叙情的で適度に軽やかなギターの演奏は、サビではパンクロックのような簡素さに変わる。Kero Kero Bonitoのようなカラフルなインディーポップサウンドとポップパンクのエッセンスが劇的に合体した一曲である。この曲に満ち溢れる突き抜けるような明るいエネルギーは必聴。
 
 
 
 「Middle of Summer」
 
 
 
 
「Hot And Mean」は2000年代のポップパンクブームのリバイバルとして最も成功した事例となるかもしれない。上記で挙げたNFG、Blink、Bowing For Soupといったパワーポップのエッセンスを受け継いだ良質なパンクロックの音楽性を受け継ぎ、それらを的確な形に昇華している。この曲には、Jimmy Eat World、Militarie Gun、Pool Kidsのような良質なパンクバンドとの共演してきた理由がうかがえるのではないか。ライブシーンで映えそうなボーカルがキャッチーなロック/パンクチューンと混在する。もちろん、ロックそのもののカッコよさも十分に感じられるが、その中で、スポークンワードなどを交えつつ、現代的なポップスのニュアンスも醸し出す。
 
 
「Blame Me」はアルバムの中盤のハイライトとなり、ベッドルームポップ、パワー・ポップ、アルトポップの中間に位置している。このアルバム全体に通じる遊園地のアトラクションのようなアグレッシヴな楽しさがヒットソングの王道の三分間にぎっちり詰めこまれている。表向きには商業的なサウンドを押し出しながらも、1980年代のメロディアス・ハードロックのような叙情的なギターサウンドが見え隠れする。外向きなサウンドの中に併存するエモーショナルなクラシックロックのサウンドは、より多くのリスナーに聴かれてしかるべきではないだろうか。
 
 
さて、タイトル曲「Cleary Cursed」ではPONYのパワーポップ/ギターポップのセンスが余すところなく発揮される。ギターが大活躍で、ジョニー・マーのような激渋の雰囲気を醸し出す。最近はギター・ソロがプロデュースによって省略されてしまうことが多いが、ラフだけど味のあるギタープレイこそロックソングの核心ともいうべき箇所。合理化されたロック/ポップソングはたしかに耳障りが良く、長所もあるけれど、無駄な箇所もないと面白みに欠けるところもある。


この曲の中盤に入るギターソロは、器楽的な温和な感覚を与えてくれる。聴いていてうっとりするような感覚をギタリストは肌で知っているらしく、それを的確に体現させている。ボーカルもそれに負けていない。自由奔放なボーカルがカラフルなギターと融合し、激しい化学反応を起こす。デュオの性質が強いバンドであるが、全体的なバンドサウンドがぴたりと混ざり合う。
 
 
徹底して複雑さを避け、簡略化したロックサウンドが『Cleary Cursed」の最大の魅力である。また、そのスタンスは音楽性が変化しようとも普遍で、音楽にも詳しくない人をも夢中にさせる力がありそうだ。また、それこそが70年代以降のロックやポップソングの隠れた核心でもあったことを考えると、PONYの最新作のサウンドアプローチは理にかなっているように感じられる。



「Brilliant Blue」のような少しセンチメンタルなポップソングのような形に変化しようとも、なぜかこのバンドらしさは薄れない。この曲では女性的な可愛らしい感覚がインディーポップソングと淡く溶け込んでいる。また、グランジに対するオマージュが捧げられた「Every Little Crumb」のイントロでは、Nirvanaのアルバム『Nevermind』に収録された「In Bloom」と「Drain You」を合体させている。王道や紋切り型を避けず、真っ向から勝負を挑み、切り込んでいくPONYの姿勢に称賛を送りたい。これはまわりからどう見られるかにポイントが置かれているのではなく、純粋に気になることや好きなものを主体的に追求しているからこそなしえることだろう。
 
 
そういった遊び心もあれ、「Swallow Stars」のような曲にこそ、PONYらしさが宿っている。依然として、リゾート地やイベントのアトラクションのような楽しさ、明るさ、朗らかさは、繊細で憂鬱な歌詞と対比をなしながら、スムーズに流れていき、ビエランスキーが遭遇した占い師のエピソードを軽く笑い飛ばし、そして過去の自分との別れを告げる時が到来したことを意味する。


天心爛漫であることや誠実さは憑き物すら吹き飛ばしてしまう。そこにあざやかな生命が宿るからだ。本作のクローズ「Swallow Stars」はその証ともいえる。今作を聴いた後に覚える夏のサイダーのような澄んださわやかさこそ、現代のロックやポップソングに必要不可欠なものである。
 
 
 
 
85/100 
 
 
 
 
「Blame Me」 

 

 

 

▪Listen/Pre-order: https://linktr.ee/ponytheband