昨年の4月のデビューからリリース毎に”J-WAVE TOKIO HOT 100”にランクインするなど、注目度が高まるピアニストで作曲家の壷阪健登とベーシストでボーカリストの石川紅奈によるユニット、soraya(ソラヤ)が11月22日(水)に新曲「ゆうとぴあ」を配信にてリリースする。1950-60年代にアメリカの音楽家/ピアニスト、マーティン•デニーらによって生み出され、細野晴臣氏も大きく影響を受けたとされる、ムード音楽”エキゾチカ”を再解釈した一曲となる。
今年の夏、LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023、日比谷音楽祭2023などのフェスへも出演したsoraya。各メンバーのソロ活動も活発化している。石川紅奈は今年春にJAZZの名門レーベル”Verve”よりメジャーデビューを果たし、壷阪健登も国内での単独公演を成功させ、スペインのサンセバスチャン国際ジャズ・フェスティバルへの出演を果たすなど、ミュージシャンとして世界への拡がりを見せる。
2023年夏はLOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023や日比谷音楽祭2023などのフェスへも出演。各メンバーのソロ活動も活発化しており、石川紅奈は今年春にJAZZの名門レーベルVerveよりメジャーデビューを果たし、また壷阪健登も国内での単独公演を成功させ、サンセバスチャン国際ジャズ・フェスティバルへの出演、ミュージシャンとして世界への拡がりを見せる。
在学中からプロ活動を始め、卒業後は小曽根真と女優の神野三鈴が主宰する次世代を担う若手音楽家のプロジェクト「From OZONE till Dawn」のメンバーとしても活動。2021年8月 東京・丸の内コットンクラブで行われた『小曽根真 “OZONE 60 in Club” New Project “From OZONE till Dawn” Live from Cotton Club』にて収録された『Off The Wall』(by マイケル・ジャクソン)の映像がYouTubeで200万回以上再生され、一躍注目を浴びる。
慶應義塾大学を卒業後に渡米。2017年、オーディションを経て、Danilo Perezが音楽監督を務める音楽家育成コースのBerklee Global Jazz Instituteに選抜される。 これまでにPaquito D’Rivera, Miguel Zenon, John Patitucci, Catherine Russellらと共演。2019年にバークリー音楽院を首席で卒業。
2023年7月にはソロピアノでサン・セバスティアン国際ジャズフェスティバル(スペイン)に出演。 11月には銀座ヤマハホールにてピアノ・リサイタルを催行する。2022年より世界的ジャズピアニスト小曽根真が主宰する若手アーティスト育成プロジェクト、From Ozone till Dawnに参加。小曽根真とも共演を重ね、ジャンルを超えた多彩な才能で、次世代を担う逸材と注目を集めている。
グラミー賞にノミネートされたオルタナティヴ・ジャズのドラマー、プロデューサー、ラッパーのカッサ・オーバーオールが、デューク・エリントンのバラード「In a Sentimental Mood」をメランコリックに再構築した「2 Sentimental」をリリースした。今回はパーフェクトなシングルだ。
5月にリリースされたニューアルバム『ANIMALS』(レビュー)は、The Observer、Mojo、The New York Times、Stereogum、Pitchfork、Paste、Treble、Brooklyn Vegan、American Songwriter、NPR Musicなどから支持を得ている。また、タイニーデスクでは、「音楽性、叙情性、芸術的革新の名人芸 」と評された。
「Mountains, Tree and Seas」は、前の曲の気風を引き継いでいる。ウッドベースのリズムカルなピチカートの演奏がフィーチャーされている。カリンバのイントロで始まり、ドラム/パーカッションが安定感を与え、その上にローズ・ピアノのソウルフルな演奏が加わる。ここでも、カリンバの演奏のミニマルな構成に加え、自由な気風のトランペットの演奏が前面に押し出される。曲の途中からは、ローズ・ピアノのカデンツァが展開され、ソウルフルかつメロウな雰囲気を及ぼしている。エレクトリック・ピアノの演奏を受け継いで、トランペットとフルートのユニゾンがまろやかに混ざり合いながら、曲のメロウな雰囲気を引き立てるような感じで閉じていく。
ここまでをアルバムの前半部とすると、続く「Field Of Vision」からは、第二部の序章のようでもある。一曲目「Tracing Nature」と同様に、イントロダクション風のトラックで、同じように鳥の囀りのサンプリングをもとにして、ピアノの安らいだカデンツァのような演奏が取り入れられている。手法こそ、一曲目と同じではあるが、変奏を交え、異なる印象性をもたらそうとしている。アルバムの中での一休みをするためのオアシスのような安らぎのある間奏曲である。
「Jewels」では、マイルス・デイヴィスがもたらしたモード奏法を踏まえ、ピアノのリズムを強調したミニマルな演奏に、マリンバ/カリンバの合奏、さらに、その後、レガートを強調したハルソールの高らかなトランペットのフレーズが加わる。特に、一分半頃から、パーカッションが加わり、ビートやグルーブがさらに強調されて、ダンス・ミュージックのようなビートも加勢する。そして、プロダクションは、WARPに在籍するBonobo(サイモン・グリーン)が『The North Border』の「Cirrus」で示した、涼やかなエレクトロニック/テクノに近いものがある。
このアルバムに参加した演奏家の存在感を重視した緻密なプロダクションは、クローズ「Triangles In The Sky」で、劇的なクライマックスを迎えるに至る。オーケストラベル/チャイムを活かし、和風の落ち着いたピアノのイントロに、フルートらしき演奏が続き、流れるようにスムーズな展開を呼び起こす。そして、この曲でも、これまでのマンチェスターでのライブ・セッションの経験を活かし、精彩味溢れるジャズに昇華させている。特に、ジャズ・ドラムのモーラー奏法は、この曲において最もアグレッシヴな瞬間を迎える。他の楽器のセッションに関しても、Ezra Collectiveの最新作のような力強いエネルギーを生み出しているのが素晴らしい。
92/100
Matthew Halsallの新作アルバム『An Ever Changing View」はGondwana Recordsより発売中です。アルバムのご購入/ストリーミングはこちら から受付中です。 また、ロイヤル・アルバート・ホールの公演を含むツアー日程等については、アーティストの公式サイトをご覧下さい。
アルバムを3つのセクションでテーマ別に構成し、彼の親族が家族の歴史について語る音声を挿入した。最初のセクションを彼は "The Past Explained "と呼び、アルバムのリード・シングルである「Ohio」を含む、クリーブランドで育った彼の初期の体験に触れた曲を収録している。アルバムの真ん中のセクションは、Cautiousが "The Honeymoon of Exploration "と呼ばれている。
この5曲は彼のサイケデリック体験の一部を描いたもので、自己反省と他者とのより深い親密さの欲求を刺激している。最後の4曲は、コーシャスが "A Bitter & Sweet Solitude "と呼ぶ第3のテーマ・セクションを構成している。孤独の中で充実した時間を過ごすことで、自分自身や他者とのより良い関係を築くことができ、より深い親密さが生まれるというのが、コーシャスの主張である。
ファースト・シングル「From The Start」に続く「Promise」は、アデルの「Someone Like You」や、ザ・チックス「Not Ready to Make Nice」の共同制作を手がけ、グラミー賞にノミネートされた経験をもつ米国のソングライター、プロデューサー "Dan Wilson" とレイヴェイにより制作された。レイヴェイの深みのある歌声が最大限に生かされたナンバー。ロマンティックで大掛かりなサウンドと絶妙にマッチしたバラードは、涙を誘うような切ない情感に溢れている。
デビュー作『Everything I Know About Love』(2022年)では、ビルボードのオルタナティブ・ニューアーティスト・アルバム・チャート1位、ヒットシングル「Valentine」もSpotifyジャズチャート1位、さらに、Spotifyで最もストリーミングされたジャズ・アーティストとなり、全プラットフォームで4億2500万回再生を記録した。ポテンシャルを存分に発揮し、一気に世界中のリスナーの注目を集めたレイヴェイ。次作アルバムでも多数のファンを魅了しそうだ。
『Everything I Know About Love』は絶望的なロマンチストなアーティストの私生活の一面を表現していたが、続くセカンドアルバム『Bewitched』は、デビューアルバムの延長線上にテーマが置かれつつも、より深い側面が表されている。恋に恋している瞬間を捉えたことには変わりないものの、ミュージシャンがより成熟した人間としての展望を持つようになったことを表している。
「Ready To Ball」以降のトラックは、カッサ・オーバーオールのジャズへの深い理解とパーカッションへの親近感を表すラップソングが続いてゆく。リリックは迫力味があるが、比較的落ち着いており、その中に導入される民族音楽のパーカッションも甘美的なムードに包まれており、これが聞き手の心を捉えるはずだ。しかし、オーバーオールはオートチューンを掛けたボーカルをコーラスとして配置することにより、生真面目なサウンドを極力避け、自身の作風を親しみやすいポピュラーミュージックの範疇に留めている。オーバーオールは、音楽を単なる政治的なプロバガンダとして捉えることなく、ジャズのように、ゆったりと多くの人々に楽しんでもらいたい、またあるいは、その上で様々な問題について、聞き手が自分の領域に持ち帰った後にじっくりと考えてもらいたいと考えているのかもしれない。その中に時々感じ取ることが出来る悲哀や哀愁のような感覚は、不思議な余韻となり、心の奥深くに刻みこまれる場合もある。
このアルバムの魅力は前衛的な形式のみにとどまらない。その後、比較的親しみやすいポピュラー寄りのラップをNick Hakimがゲスト参加した「Make My Way Back Home」で披露している。Bad Bunnyのプエルトリコ・ラップにも近いリラックスした雰囲気があるが、オーバーオールのリリックは情感たっぷりで、ほのかな哀しみすら感じさせるが、聴いていて穏やかな気分に浸れる。
「The Lava Is Calm」も、カリブや地中海地域の音楽性を配し、古い時代のフィルム・ノワールのような通らしさを示している。ドラムンベースの要素を織り交ぜたベースラインの迫力が際立つトラックではあるが、カッサ・オーバーオールはラテン語のリリックを織り交ぜ、中南米のポピュラー音楽の雰囲気を表現しようとしている。これらの雑多な音楽に、オーバーオールは突然、古いモノクロ映画の音楽を恣意的に取り入れながら、時代性を撹乱させようと試みているように思える。そしてそれはたしかに、奇異な時間の中に聞き手を没入させるような魅惑にあふれている。もしかすると、20世紀のキューバの雰囲気を聡く感じ取るリスナーもいるかもしれない。
「No It Ain't」に続く三曲も基本的にはジャズの影響を織り交ぜたトラックとなっているが、やはり、旧来のニューオリンズのラグタイム・ジャズに近いノスタルジアが散りばめられている。そのうえで、クロスオーバーやハイブリッドとしての雑多性は強まり、「So Happy」ではアルゼンチン・タンゴのリズムと曲調を取り入れ、原初的な「踊りのための音楽」を提示している。このトラックに至ると、ややもすると単なる趣味趣向なのではなく、アーティストのルーツが南米にあるのではないかとも推察出来るようになる。それは音楽上の一つの形式に留まらず、人間としての原点がこれらの曲に反映されているように思えるからだ。
最初にも説明したように、タイトル曲、及び「Maybe We Can Stay」は連曲となっており、ラグタイム・ジャズの影響を反映させて、それを現代的なラップソングとしてどのように構築していくのか模索しているような気配もある。アルバムの最後に収録される「Going Up」では、ダブステップやベースラインの影響を交え、チルアウトに近い作風として昇華している。ただ、このアルバムは全体的に見ると、アーティストとしての才覚には期待できるものがあるにもかかわらず、着想自体が散漫で、構想が破綻しているため、理想的な音楽とは言いがたいものがある。同情的に見ると、スケジュールが忙しいため、こういった乱雑な作風となってしまったのではないだろうか。アーティストには、今後、落ち着いた制作環境が必要となるかも知れない。
「Clear Water」は、マルチ・インストゥルメンタリスト、シンガー、ソングライター、プロデューサーであるミシェル・ンデゲオチェロのブルーノート・デビュー作「The Omnichord Real Book」を飾る最新シングルで、彼女の音楽のルーツを幅広く取り入れた先見性のあるアルバムとして6月16日に発売されます。このアルバムには、ジェイソン・モラン、アンブローズ・アキンムジール、ブランディー・ヤンガー、ジュリアス・ロドリゲス、マーク・ギリアナ、コーリー・ヘンリー、ジョーンアズポリスウーマンなどのゲストアーティストが参加しています。
ニューアルバムをサポートするために、ミシェル・ンデゲオチェロは、6月21日にニューヨークのブルーノート・ジャズ・フェスティバル、7月29日にナパ・バレーでの公演を含む今後のツアー日程も発表し、ミネアポリス、ミルウォーキー、シカゴ、ワシントンDC、フィラデルフィア、イギリスのウィズボーンで行われるWe Out Here Festivalでのコンサートも予定しています。
Blue Noteは新たにブルックリンを拠点にするマルチ奏者・SSWのCautious Clay(コーシャス・クレイ)と契約したことを発表し、今年後半にリリース予定のレーベル・デビューのリード・シングル「Ohio」も同時に公開しています。
1. Black Classical Music ft. Venna & Charlie Stacey 2. Afro Cubanism 3. Raisins Under The Sun ft. Shabaka Hutchings 4. Rust ft. Tom Misch 5. Turquoise Galaxy 6. The Light ft. Bahia Dayes 7. Pon Di Plaza ft. Chronixx 8. Magnolia Symphony 9. Early Dayes 10. Chasing The Drum 11. Birds of Paradise 12. Gelato 13. Marching Band ft. Masego 14. Crystal Palace Park ft. Elijah Fox 15. Presidential ft. Jahaan Sweet 16. Jukebox 17. Woman’s Touch ft. Jamilah Barry 18. Tioga Pass ft. Rocco Palladino 19. Cowrie Charms ft. Leon Thomas & Barbara Hicks
ジョサイア・スタインブリックのピアノソロを中心としたアルバム『For Anyone That Knows You』の収録曲にはサム・ゲンデルが参加している。基本的には、ポスト・クラシカル/モダンクラシカルに属する作品ではあるが、スタインブリックのピアノ音楽は、モダンジャズの影響を多分に受けている。細やかなアーティスト自身のピアノのプレイに加え、ゲンデルのサックスは、簡素なポスト・クラシカルの爽やかな雰囲気にジャジーで大人びた要素を付け加えている。
『For Anyone That Knows You』は、人気演奏家のサム・ゲンデルの参加により一定の評判を呼びそうである。また、追記として、スタインブリックは、作曲家/編曲家/ピアニストとしても現代の音楽家として素晴らしい才覚を感じさせる。今作については、その印象は少しだけ曇りがちではあるけれど、今後、どういった作品をリリースするのかに注目していきたいところでしょう。
メラニー・チャールズのデビューアルバム『Y'all Don't (Really) Care About Black Women』、MdCLが2022年にドワイト・トリブルとテオドロス・アヴェリーを迎えてリリースした最後のロングプレイヤー『フリーダム - ファロア・サンダースの音楽を祝う』に続き、3人の先鋭ミュージシャンは、9トラックの音の探求と即興によるジャズ、ヒップホップ、ソウルなハウスにわたる芸術の旅に参加することになった。
また、ファラオ・サンダースが最近亡くなったことを受け、偉大なマスターの3つの再解釈、「The Creator Has a Master Plan」(ここでは2つのバージョンがある)と「Love is Everywhere」は、彼のメッセージと精神をそのままにこの曲を再創造する方法として機能している。
この旅は、2018年にアメリカのデトロイトで始まった。特別なデュオ・パフォーマンスと銘打たれ、コラボレーター/リミキサーMdCL(Nubya Garcia, Bugz In The Attic, Dwight Trible, Ge-Ology)が、デトロイト出身のザック・サギノーことShigeto(Andrés、Dabrye、Shlohmo)とともに地元の会場、モーターシティ・ワインを舞台にパフォーマンスを行うよう招待された。
MdCLのアルバム『Heritage』で初めて披露された『Bushido』は、70年代のジャズ・フュージョンに重きを置いており、MdCLのシンセの衝動とドナルド・バード寄りのソウル・ジャズのプロダクションが、雰囲気と実験の境界を這うように展開している。MFTでは、Charlesのボーカルが、大きなリバーブとディレイで処理され、Hotel San Claudio全体に存在する、広大な天空のようにゆったりとした質感を与えているのがわかる。
トリオのケミストリーは、どんな形であれ、新境地を開拓することに長けており、その勢いは現在のところ衰え知らずである。LA、デトロイト、ニューヨーク、そして日本からイタリアを経由し、Hotel San Claudioは、今まさに世界に飛び立とうとしているのである。
Shigeto/Mark de Clive-lowe/Melaine Charles
Mark de Clive-lowe、Shigeto、Melaine Charlesから成るトリオは、コラボレーションという本質に迫り、そして、ミュージシャンの異なる性質が掛け合わるということがなんたるかを今作においてはっきりと示している。
昨年9月に亡くなった米国アーカンソー州のジャズの巨匠、ファラオ・サンダースに捧げられた『Hotel San Claudio』は、少なくとも単なるトリビュート・アルバム以上の価値を持つように思える。それは固定化し概念化したジャズシーンに対して新風を吹き込むとともに、音楽の新たな可能性の極限をトリオは探求しようというのだ。
『Hotel San Claudio』は、イタリアにあるホテルを主題に据えた作品である。もちろんタイトルから連想される優雅さは全体に見出すことが出来るが、なんと言っても、巨匠のもたらした音楽の革新性を次世代に受け継ごうというトリオの心意気が全面に漲ったパワフルな一作と呼べるだろう。
最近、トリオは「Jazz Is Dead」というキャッチフレーズを掲げ、ライブ/レジデンスを定期的に開催している。ジャズは死すというのは真実ではあるまいが、少なくともトリオはジャズにあたらしい要素を加味し、フューチャー・ジャズ、ニュー・ジャズ、クロスオーバー・ジャズの時代を次へ、さらに次へと進めようとしている。
ニューエイジ/スピリチュアル・ジャズの系譜にあるオープニング・トラック「The Creator Has A Master Plan」において、トリオはくつろいだ雰囲気に充ちた音の世界を綿密に構築する。フルート奏者のメライン・チャールズの雰囲気たっぷりの演奏により、物質的な世界とも精神的な世界ともつかない音響世界へ聞き手をいざなう。そのスピリチュアルな音響空間に、ソウルフルなチャールズのメロウかつソフトなボーカルが乗せられる。
続く、カリブ音楽の変則的なリズムを交えた#2「Strings」は、ラップ、ディープ・ハウス、ジャズの合間を行くようなナンバーだ。前曲とは異なり、このトラックをリードするのは、DJのMark de Clive-lowe(MdCL)である。彼の独創性の高いベースラインとリードシンセが魅惑的なアンビエンスを形成し、それに合わさるような形で、シゲトのジャズ風のドラミングがトラックに力強さを付与する。さらに、メライン・チャールズのソウルフルなボーカルが加わることで、三位一体の完璧なジャズ・ソウルが組み上げられ、また、その上に爽やかなライムが加わる。
「Interlude(Degestivo)」は、5曲目の間奏曲の続きではなく、「The Creator Has A Master Plan」のテーマを変奏させたものと思われるが、それは別の意味が込められており、次の二曲目の連曲「The Creator Has A Master Plan Ⅱ」の呼び水ともなっている。
他にもカバーソングでは他ジャンルの曲をどのようにジャズギターとして魅力的にするのか、トラッド・フォーク「Danny Boy」やブルース「Fat Foot」といった曲を通じて試行錯誤を重ねていった様子が伺える。もちろん、それは実際、聞きやすく親しみやすいジャズとして再構成が施されているのである。他にも、ラルフ・タウナーのOregonにおけるフォーク/カントリーの影響を「Argentina Nights」に見い出すことが出来る。さらに、ディキシーランド・ジャズのリズムを取り入れた「Little Old Lady」もまたソロ演奏ではありながら心楽しい雰囲気が生み出されている。アルバムの最後を飾る「Empty Space」はラルフ・タウナーらしい気品溢れる一曲となっている。
『At First Light」は、ジャズ・ギターの基本的なアルバムに位置づけられ、その中に、フォーク/カントリー、ブルース、クラシックといった多彩な要素が織り交ぜられている。以下のドキュメントを見てもわかる通り、音楽家としてのルーツを踏まえたかなり意義深い作品として楽しめるはずだ。同時に、タウナーの先行作品とは異なる清新な気風も感じ取れる作品となっている。
シアトル出身で、現在、ブリックリンを拠点に活動するドラマー、プロデューサー、ラッパーであるKassa Overall(カッサ・オーバーオール)がWarp Recordsとの契約を発表し、ニューシングル「Ready to Ball」を公開しました。カッサ・オーバーオールはNYジャズシーンの最前線を行く才能とも称される。
「感情的なレベルで、この曲は本当に嫉妬の感情を扱っているんだ」とKassa Overallは声明の中で「Ready to Ball」について述べています。
ドラマーのビリー・ハートとピアニストのジェリ・アレンの弟子であるオーバーオールは、2019年の『Go Get Ice Cream and Listen to Jazz』と2020年の『I Think I'm Good』という2枚のスタジオ・アルバムをリリースしています。また、これまでにオノ・ヨーコ、ジョン・バティスト、フランシス・アンド・ザ・ライツらとコラボレートしている。
カクテルバーのピアニスティックと呟くようなヴォーカルという一見狭い範囲の中で、ウェイツとプロデューサーのジェリー・イエスターは、ジャジーな「Virginia Avenue」からアップテンポのファンク「Ice Cream Man」まで、そしてアコースティックギターのフォーク調「I Hope That I Don't Fall in Love With You」からサルーンソング「Midnight Lullaby」まで、驚くほど幅広いスタイルのコレクションを実現しており、フランクシナトラかトニーベネットのレパートリーに加えたいほどの完成度がある。ウェイツの音楽的アプローチは、もちろん様式化されており、時には派生的な内容もある。
2020年12月にロンドンのPaul Epworth's Church Studiosでレコーディングが行われた。3月31日に2xLP、2xCD、デジタルで発売される予定です。以下、トレーラーをチェックし、そのファースト・シングル「Miles Chases New Voodoo in the Church」を聴いてみてください。
ガルシアはプレスリリースでニューシングルについて次のように語っている。"このシングルは、マイルス・デイヴィスのジミ・ヘンドリックスへの頌歌('Miles Runs the Voodoo Down')を私たちが解釈したものです」
London Brewに参加したミュージシャンたちは、ギタリストのマーティン・テレフェとエグゼクティブ・プロデューサーのブルース・ランプコフによって、パンデミックのために結局中止となったBitches Brewの50周年を祝うライブのために集められた。「私にとって、ビッチェズ・ブリューとはそういうものだ」とシャバカ・ハッチングスは声明で述べている。
若い時代、ジャレットはマイルス・デイヴィスのバンドにも所属し、ECMと契約を結び、ジャズとクラシックの音楽を架橋させる独創的な演奏法を確立した。その後、90年代になると、難病の慢性疲労症候群に苦しんだけれども、最愛の妻の献身的な介抱もあってか、劇的な復活を遂げ、『The Melody At Night,With You」(ECM 1999)という傑作を作りあげた。ピアニストの過渡期を象徴するピアノ・ソロ作品には、その時、付きっきりで介抱してくれた最愛の妻に対する愛情を込めた「I Love You, Porgy」、アメリカの民謡「Sherenandoah」のピアノ・アレンジが収録されている。2000年代に入ってからも精力的にライブ・コンサートをこなしていたが、数年前に、ジャーレットは脳の病を患い、近年は神経による麻痺のため、新たに活動を行うことが困難になっている。そして、残念ながら、コンサート開催も現時点ではのぞみ薄で、昨年発売されたフランスでのライブを収録した『Bordeaux Concert(Live)』もまた、そういった往年のファンとしての心残りや寂しさを補足するようなリリースとなっている。
ジャレットの傑作は、そのキャリアが長いだけにあまりにも多く、ライブ盤、スタジオ盤ともにファンの数だけ名盤が存在する。ライブの傑作として名高い『ケルン・コンサート」は、もはや彼の決定盤ともいえようが、その他、『At The Deer Head Inn』がニューオーリンズ・ジャズのゴージャスな雰囲気に充ちており、異色の作品と言えるかもしれないが、彼の最高のライブ・アルバムであると考えている。また、ECMの”NEW SERIES”のクラシック音楽の再リリースの動向との兼ね合いもあってか、これまで、ジャレットは、バッハ、モーツァルト、ショスターコーヴィッチといったクラシックの大家の作品にも取り組んでいる。クラシックの演奏家として見ると、例えば、ロバート・ヒルのゴールドベルク、オーストリアの巨匠のアルフレッド・ブレンデル、その弟子に当たるティル・フェルナーの傑作に比べると多少物足りなさもあるけれど、少なくとも、ジャレットはジャンルレスやクロスオーバーに果敢に挑んだピアニストには違いない。彼は、どのような時代にあっても孤高の演奏家として活躍したのである。
今回、リリースされた70年代でのスウェーデンのフル・コンサートを収録した『Dramaten Theater,Stockholm Sweden September 1972』は、今作のブートレグ盤の他にも別のレーベルからリリースがある。私はその存在をこれまで知らなかったが、どうやらファンの間では名盤に数えられる作品のようで、これは、キース・ジャレットがECMに移籍した当初に録音された音源である。もちろん、ブートレグであるため、音質は平均的で、お世辞にも聞きやすいとは言えない。ノイズが至る箇所に走り、音割れしている部分もある。だが、この演奏家の最も乗りに乗った時期に録音された名演であることに変わりなく、キース・ジャレットのピアノ演奏に合わせて聴こえるグレン・グールドのような唸りと、演奏時の鮮明な息吹を感じとることが出来る。