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Lifeguardは2025年度の最も有望なバンドであり、今後の活躍がとても楽しみな存在である。
アッシャー・ケース、アイザック・ローウェンスタイン、カイ・スレイターの若さ溢れるトリオ、Lifeguard(ライフガード)は高校生時代から一緒に音楽を制作してきた。 パンク、ダブ、パワーポップ、エクスペリメンタルなサウンドから触発を受け、それらを爆発的なインスピレーションでまとめ上げる。 メンバーのひとり、アッシャーは、同じくシカゴで活動するポストパンクバンド、FACSのブライアン・ケースの息子である。アッシャーは、父親の豊富なレコードコレクションを通じて、若い時代からミュージシャンとしてのセンスに磨きをかけてきた。また、父親のロックやパンクに対する理解、これはアーシャーのベーシストとしての素養を形作った。
つい2年前の夏、マタドールから発売されたライフガードのEPは、バンドの初期のスタジオでの探求を注意深く記録したものだった。しかし、ローウェンスタインのロック・ステディなバックビートに支えられた彼らの驚異的なライヴ・ショウは、より大きなモーメントが待ち受けていることを暗示していた。 デビュー作『Ripped and Torn』では、有刺鉄線のように刺々しいサウンドが、スレーターとケースの新しく豊かな2声のハーモニーとコラジステの歌詞を縁取っている。 プロデューサーのランディ・ランドール(ノー・エイジ)は、ハウス・パーティーやライヴの感覚とエネルギーを想起させる閉所恐怖症的なスクラップ感を表現している。
ライフガードのプロジェクトは単なるバンド以上の意味が求められる。総じて、何かを表現し、それらを一つの形にするためにこのプロジェクトは存在している。それはもしかすると、社会や学校、そして一般的な常識や固定概念から乖離しているほどに、重要な意味を持つようになる。ライフガードのプロジェクトは、自由、ノイズ、メロディーが直感的な形を見出す特異で親密な空間である。 「物理的なメリットは、私たち全員が一緒にやっていることなのかもしれない」とスレーターは説明する。 「つまり、音楽を作ることの即時性を生み出すことに尽きるんだ」
デビューアルバム『Ripped and Torn』について、アメリカの音楽評論家、デイヴィッド・キーナンさんは次のように評論している。
スコットランドの伝説的な同名のパンク・ファンジンからタイトルを取ったとか取らないとか.......。 あるいは、ロック・ライターのレスター・バングスが、ペレ・ユビュの創始者である故ピーター・ラフナーが "引き裂かれた感情の戦火の中で "死んだと主張した、引き裂かれたTシャツを指しているのかもしれない。
あるいは、メロディック・ポストパンクと高速ハードコアを猛烈に不安定化させるこのトリオの手法を指しているのかもしれない。それは、ドレッド・フール&ザ・ディンのようなバンドがめったに思いつかないような方法による、荒々しい即興的な歌の形式をマジー・ガレージのメステティックスと再び結びつけるような、ゼロ年代の美学への恩義を示すものかもしれない。
いずれにせよ、ライフガードは、ガレージ・バンドのファースト・ウェーブのような絶対的な真摯さを自分たちの音楽に賭けている。 半分謡い、半分歌うヴォーカルは催眠術のようだ。 かれらの曲は説明されるのではなく、まるで祓われるかのように、ベースのアッシャー・ケース、アイザック・ローウェンスタインがほとんどリード楽器のように演奏するマシンガンのようなパーカッション、そしてカイ・スレーターが絶え間なく旋回するリズム・セクションに浴びせる火炎放射器のように激しいギターによって、メロディーは空中から直接引き抜かれていく。
実際、このトリオは、古典的なミニマリズムによる脳をかき乱すような魔術的な魅力を介し、暗黙の重心(ヘヴィネス)を中心に構築する。 実験的な作品である "Music for Three Drums"(スティーブ・ライヒの『Music For 18 Musicians』を引用しているのは間違いない)、"Charlie's Vox "は、ライフガードのヴィジョンの広さを明らかにし、デッドC、クローム、スウェル・マップスのようなマージン・ウォーカーの前衛的な要素を取り入れた、コラージュされたDIY音楽である。
しかし、そもそも、曲の質が伴わなければ、これらすべては単なる思い上がりになるだろう。 タイトル曲の "Ripped & Torn "は、タイトルのもうひとつの意味を示唆している。 バンドが一丸となって、孤独な亡霊からの伝言のように歌われる歌に感情的な蹂躙を加えている。
"Like You'll Lose "は、重厚なダブ/ダージ・ハイブリッドの上に、ドリーミーなオートマティック・ヴォーカルとスティーリーなファズを組み合わせ、さらに深みを増している。 「一方、"Under Your Reach "は、"Part Time Punks "の頃のザ・テレビジョン・パーソナリティーズのUK DIYを彷彿とさせるが、よりThis Heatに近づけるような、過激なサウンドを追求している。
ノー・エイジのランディ・ランドールによるプロダクションは、最高にムーディー。 「T.L.A.」で彼らは本当に「調子のいい言葉が浮かんでくる」と歌っているのだろうか? もしそうだとしたら、ライフガードは、歌について歌い、演奏について演奏することができ、そのアプローチの貪欲さゆえに、私が多くの言及を投げかけているにもかかわらず、プレイヤー自身の相互作用の外には何も指し示さない音楽を作ることができる、稀有なグループの1つだということになる。
そして確かに、そんなことができると信じていること自体に甘さがある。 しかし、おそらく私がこの作品全体を通して追い求めているのは、ライフガードが彼らの音楽にもたらす開放性のクオリティなのだ。 この3人が中学/高校時代から一緒に演奏していることからも分かるように、彼らの音楽は若々しくて、重荷がなく、自分自身に忠実で、比較されることを厭わない。
ライフガードは、アンダーグラウンド・ロックを人生と同じくらい真剣に演奏しているが、若さは音楽の質で、年齢によるものではないと確信させるほど、遊び心にあふれた熱意を擁している。 彼ら自身の引き裂かれた感情の火炎に巻き込まれるようなサウンドで、ライフガードは私をもう一度信じたいと思わせる。(''デヴィッド・キーナン「Ripped and Torn」について語る''より)
Lifeguard 『Ripped and Torn』 -Matador
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ローリング・ストーン誌で特集が組まれているのを見るかぎり、アメリカ国内では彼らのデビューは好意的に受け入れられているらしい。ニューヨークにはレモン・ツイッグス、シカゴにはライフガードありというわけだ。米国のインディーズロックの有望株であることは間違いない。ライフガードの『Ripped and Torn』はデビュー作に相応しく、鮮烈な印象に縁取られている。そして、近年稀に見るほどの”正真正銘のDIYのロック/パンクアルバム”であることは疑いない。
インディーズミュージックは商業性を盛り込んだとたん、本来の魅力を失うことがある。しかし、このアルバムでは、ガレージロック、ニューウェイヴ、インダストリアルノイズ、ハードコアパンクを横断しながら、彼らにしか構築しえない強固な世界観を作り上げている。それは社会も常識も、また、固定概念すらおびやかすことは出来ない。それほどまでに彼らのサウンドは強固なのだ。そもそも、音楽が洗練された瞬間、パンクロックは本来の魅力を見失い、その鮮烈な印象が陰りを見せる。これをデイヴィッド・キーナンさんは「若々しさ」と言っているが、荒削りで完成されていない、完成形がどうなるかわからないという点にパンクの本質が存在する。それはそれぞれの生命のエナジーの放出ともいえ、模倣とはまったく無縁なのである。
『Dressed In Trench EP』ではライフガードの本領がまだ発揮されていなかった。正直なところをいうと、なぜマタドールがこのバンドと契約したのかわからなかった。しかし、そのいくつかのカルト的な7インチのシングルの中で、グレッグ・セイジ率いるWipersのカバーをやっていたと思う。Wipersは、カート・コバーンも聴いていたガレージパンクバンドで、アメリカの最初のパンクバンド/オルタナティヴロックの始まりとする考えもある。これを見て、彼らが相当なレコードフリークらしいということはわかっていた。それらのレコードフリークとしての無尽蔵の音楽的な蓄積が初めて見える形になったのが「Ripped and Torn』であろう。このデビューアルバムには、普通のバンドであれば恥ずかしくて出来ないような若々しい試みも行われている。
しかし、ロックとは形式にこだわらないこと、そして、先に誰かがやったことを覆すことに一番の価値がある。とくに、ライフガードの音がすごいと思ったのは、一般的な常識や流行のスタイルを度外視し、それらにカウンター的な姿勢を見せ、自分たちが面白いと思うことを徹底的にやり尽くすことである。そして、曲の歌詞で歌われる主張性ではなく、音楽そのものがステートメントになっている。彼らは基本的には体裁の良いことを言わないし、そういった音楽を演奏しない。けれど、そこに信頼を寄せるべき点があるというか、異様なほどの期待を持ってしまうのだ。
「A Tightwire」
ライフガードのデビューアルバムに関しては、年代を問わず新旧の音楽が絡み合うようにして成立している。アルバムの冒頭を飾る「1-A Tightwire」はUKパンクを下地にし、モッズロックの若々しい気風が漂う。ポール・ウェラー擁するThe Jamのアートパンク、そして、UKガレージロックの最重要バンド、The Boys(日本のミッシェルガンエレファントが影響を受けたという)の疾走感のあるロックソングを組み合わせた青々しく鮮烈な印象を持つパンクロックソングである。The Jamを彷彿とさせる鮮烈なアートパンクの嵐が吹き荒れる中、シカゴらしさが登場し、苛烈な不協和音を織りまぜたギター、ハードコアパンク風のシャウトがアンセミックに叫ばれる。間違いなくこのアルバムのハイライトとなるであろう素晴らしいオープニングソングだ。
本作では、デビューアルバムで示されるべき、若々しさが直情的に表現されている。曲作りに関しては、協和音(4/8のリズム)、不協和音(3/6のリズム)のセクションを交互に配置し、徐々に熱狂的なエナジーを増幅させる。彼らの曲がスタジオやライブハウスで生み出されることを伺わせるリアルなロックソングだ。各楽器の音作りやリズムの作り込みの凄まじさは、他の追随を許さない。
タイムラグを設けず、一曲目から続いている「2-It Will Get Worse」は、デモソング風の荒削りなガレージパンクソング。アルバムの冒頭の熱狂性を追加で盛り上げるような働きを成している。この曲にはアメリカの60年代後半の原初的なガレージロックの熱狂が反映されている。しかし、ボーカルはラモーンズのようにメロディアスであり、西海岸風の旋律捌きが見いだせる。パワーコード/オクターブのユニゾンを多用するパンキッシュなギター、そして、ギターのベースラインを描く通奏低音のベース、ドタバタしたドラムのプレイにも注目である。この曲はハイスクールバンドとして始まったライフガードのドキュメントのような役割を担う。ラモーンズの映画『Rock 'n Roll High School』のリアル版ともいえる若々しい感覚に満ち溢れている。
「It Will Get Worse」
複数の収録曲には、インタリュードが設けられ、前衛的なノイズで縁取られている。ピックアップ/アンプから発生させたリアルなノイズが「3-Me and My Flashes」に収録されている。ライブの直前のサウンドチェックのような瞬間、それもまだ機材の扱いになれていなかったような時代のノイズを独立した曲のセクションの間に挿入し、ライブバンドとしてのDIYの気風を反映する。こういったアヴァンギャルドな試みは本作の後半でも再登場する。これらのノイズの要素は、キャッチーなパンクロックソングの中にあってアンダーグランドの匂いを強調させる。
「4-Under Your Reach」は、Replacements(リプレイスメンツ)の「Within Your Reach」を彷彿とさせる曲名だ。ダブという側面において、インスピレーションを受けているのかもしれない。しかし、全般的には、インダストリアルノイズの印象に縁取られ、Big Black/Shellacのようなアンダーグラウンドの雰囲気に満ちている。動きのあるベースでダブのイントロを作った後、スティーヴ・アルビニのような金属的なギターが加わり、ニューウェイヴの楽曲が組み上がっていく。
しかし、ライフガードの曲は複雑な楽曲構成から成立しているが、全体的には聴きやすさがある。それはなぜかといえば、こういった実験的で不協和音やノイズを強調させつつも、ボーカルのメロディー性を維持しており、ビーチ・ボーイズのような爽快なコーラスが聴きやすさをもたらすからだ。3人のメンバーを総動員するボーカル/チャントの洗練度は、テキサスのBeing Deadに比する。一方で、これはライフガードが”Bar Italiaの再来”であるとする不敵なメッセージなのだろう。そして、フラワー・ムーブメントの時代から受け継がれるシスコのサイケの要素が、独特な幻想性をもたらす。最終的には、DEVO/Rolling Stonesのような古典的なニューウェイヴ/サイケロックの要素と結びついて、カルト的であるが、奥深い楽曲が作り上げられる。ここには西海岸/東海岸の両方の文化に触発された中西部の雑多性がうかがえるような気がする。
「5-How to Say Deisar」はあまりにもかっこいい。Gang Of Four(ギャング・オブ・フォー)を彷彿とさせる不協和音のギターのイントロから炸裂し、ドラムのタムのジョン・ボーナム風の即興的な演奏が続く。これらは、ギター、ベースのパートを巻き込んで、カオティックハードコアへの流れを作り上げていく。無謀でしかない試みであるが、ギター、べース、ドラム、各パートの演奏技術が傑出しており、そして、ジョニー・サンダースを彷彿とさせる甲高いシャウトとベースラインがこれらの荒唐無稽なサウンドに落ち着きと規律をもたらす。「How to Say Deisar」は、言い換えれば、スタジオでの即興的な演奏で得られた偶発的な音のマテリアルを手がかりにして、それらをまとめたかのようである。全般的にはコラージュの要素があるにせよ、基本的にはスタジオのライブセッションから成立していることに変わりない。二者のボーカルの受け渡しや同音反復のベースラインが次のセクションの呼び水となり、騒擾(USハードコア)と憂鬱(UKニューウェイヴ)を変幻自在に行き来する。つまり、ハードコアパンクとニューウェイブの二つの曲をシークエンスとして直結させたという感じで、これは先例がない。
アルバムの序盤では、モッズロックやビーチ・ボーイズのような音楽性を絡めて、比較的、商業的な音楽性もはらんでいるが、中盤以降の収録曲ではアンダーグラウンドの音楽性が顕著になる。
ドラムの4カウントから始まる「6-(I Wanna) Break Out」はストップ・アンド・ゴーをギターで表現しながら、This Heat、Pere Ubu、Wireといったハードコアパンクが誕生する前夜のポストパンクを復刻している。録音に緊張感があり、バンドとして、一触即発のムードが漂う。またそこには、自分たちの音楽に信頼を置いている印象があり、驚異的なことをやっているという自負もある。トリオのエナジーがバチバチとぶつかりあうような独特な空気感は、ライフガード特有のものだろう。不協和音に対する耐性、そしてノイズのセンスはFACSにも全然引けを取らない。かりに老獪なポストパンクをテクニカルに体現させるのが、FACSであるとすれば、Lifeguardの場合は、それらをある種無謀にも思える若々しさと衝動的なエナジーで体現させる。
「(I Wanna) Break Out」はバンドのスナップショットを収めており、瞬間的な輝きを放ってやまない。ギターの不協和音、ボーカルのシャウトも強烈なのだが、ベースのアッシャーの演奏が圧倒的である。こういった不協和音がデビューアルバムでは幾度も登場し、奇しくも、それはFACSのノイズパンクと共鳴を繰り返しながら、「Post-Albini Sound(次世代のアルビニサウンド)」を象徴付けるかのように出現する。 続いて、「7-Like You'll Lose」は、そういったサウンドをベースにし、ストーンズのリバイバルソングを作るかのように、UKロックの幻想的な雰囲気を加えている。ライフガードの場合、ニューウェイヴの不協和音がサイケデリアと共鳴しながら、幻惑的なロックのイメージを増幅させ、アシッド・ハウスのような幻惑的なイメージに結びつく。これらのアーティスティックな感性こそ、ライフガードの最大の武器でもあるのだ。
「8-Music For 3 Drums」はタイトルこそ、スティーヴ・ライヒの名曲のオマージュであるが、見方を変えれば、''二人のスティーヴに対するリスペクト''とも言える。音楽的には、 Boredomsのツインドラムのノイズの実験性をミニマリズムと結びつけ、Melt Bananaのような荒唐無稽なカオティックハードコアへと昇華させている。電子音楽のパルス音を、こともあろうにドラムを中心に組み立てる。これぞ''アヴァンギャルドの中のアヴァンギャルド''と言えるだろう。アルバムの最終盤に登場する「9-Charlie's Vox」も同じように、これらの一連のインタリュードに属している。独立した曲と続けて聴くと、どのように曲のイメージが変化するかを確かめてみていただきたい。これらは少なくとも、ライフガードの不協和音の要素と合わせて、三人組としてのシンボリズムの役割を成している。もちろん、それは暗示的な意味合い、メタファーに過ぎない。真面目なのか、不真面目なのかわからないミステリアスな部分もこのバンドの魅力である。
UKのニューウェイヴ/ポストパンクの末裔とも言える曲が「10-France And」である。This Heat、Chromeような不協和音も目立つが、全体的な楽曲としては、本文の冒頭にも挙げたように、The Jamのようなアートスクールに通っていた学生がやるアートパンク、The Boysのような青春味あふれるガレージロック、そして、Minor Threat(マイナー・スレット)に影響を及ぼし、USハードコア・パンクのルーツともなったWireの『Pink Flag』に象徴される乾いた質感を持つパンクロック、さらには、Wipersのようなグランジ/メタルと地続きにあるガレージパンク、そういった年代を隔てない彼らの音楽的な好みを基礎として、現代的なロックバンドの性質が付け加えられて、ライフガードのオリジナリティ溢れる音楽が完成する。いや、それはまだ完成するどころか途上にあるのかもしれない。少なくともインディーズミュージックの意義を再訪するとともに、ロック/パンクというジャンルには無限の可能性が眠っていることを示唆するのである。
一般的にデビューアルバムでは自分たちが何者なのかを示す必要があり、鮮烈なイメージが含まれるに越したことはない。鮮烈なイメージとは、世界に対して好奇心に満ちあふれているという意味であり、それがそのまま若さや青々しさに繋がる。同時に、爽快な印象を及ぼすのである。それこそまさしく虚無的な感性が氾濫する世界に対する”強烈なカウンター”になり、''大きな希望''にもなる。アルバムの終盤にも素晴らしい曲が収録されている。聞き逃し厳禁である。
タイトル曲「11-Ripped + Torn」はロックソングとしてまことに素晴らしい。初心者が最初にギターをケーブルでアンプと繋いで、音が出力された時のような初々しい感動に満ちている。おそらく、ライフガードにとってロックすることは当たり前ではないのだろう。彼らの音楽は、ローリング・ストーンズやビートルズの時代のように新しい驚異に満ちあふれている。これらのモッズ・ロックやアート・パンクに見出すことができる紳士的な初々しさは、Pink Floyd、The Whoの最初期の作品や、The JamのようなUKロックの名盤のアルバムでしか味わったおぼえがない。
アルバムのクローズ「12-T.L.A」では、アメリカの西海岸のパワーポップ/ジャングルポップのクラシックな音楽性を盛り込んでいる。ただ、方法論はレモン・ツイッグスと似ているとはいえ、やはりライフガードらしい繊細な感性と若々しい希望に満ちあふれている。このアルバムをゲットした人々はきっと、「ライフガードと出会ってよかった!!」と実感するにちがいない。
92/100
「Rippeed + Torn」- Best Track
▪Lifeguardのデビューアルバム『Ripped and Torn』は本日、Matadorより発売されました。ストリーミングはこちら。