本日、オークランドのソウル・エレクトロニック・コレクティブ、LEISUREが新作スタジオアルバム『Welcome To The Mood』をリリースします。ジャンルを超越する6人組は、5作目となる本作で、魂のこもったスローバーニングな精神を磨き上げ、輝かしい新たな章を切り開く。それは結束、創造的自由、そして真の目的を持って進化するバンドの実体験に根ざしたものである。
本作ではより有機的なライブ録音の手法も採用しました。「前作ツアーで過去最多の公演を経験し、制作過程にもライブの要素を積極的に取り入れたいと考えました。そのため、ドラムブレイクやループの使用を控え、ライブ録音でトラックを構築したのです」とメンバーは語る。
このアルバムの制作では、 弦楽セクション、ブラス、ピアノ、バックボーカルといったプロフェッショナルなミュージシャンを招き、個々の技術を超えた音響的な可能性を追求することで、サウンドの幅をさらに広げた。しかし核心は深く個人的な領域にある。人里離れた隠れ家で書かれた楽曲は、逃避の静けさを帯びつつ、感情の脆弱性に対する新たな自信を捉えています。
テーマ的に『Welcome To The Mood』は、真実性・人間性・創造的な祝祭の糸で織りなされた豊かな音響のタペストリー。歌詞は普遍的体験——愛、喪失、繋がり、希望、目的——を探求し、日常から引き出されながらもLEISURE特有の豊かな音色とゆったりとしたグルーヴで表現されている。
各楽曲はリアリティを基盤としつつ、ノスタルジックでありながら未来的な音響風景によって昇華されている。これはフランク・ロイド・ライトの精神を反映したもので、アルバムのビジュアル制作過程において、彼の建築物「タリアセン・ウェスト」が文字通りかつ象徴的なインスピレーションの源となった。
先行公開された新曲「Missing You」のライブ映像は、この建築的ランドマークで撮影された。タリアシン・ウェストを背景に選ぶことで、LEISUREはライトの建築的天才に敬意を表すると同時に、建築であれ音であれ、芸術が日常生活を豊かにする上で重要な役割を果たすという自らのビジョンをさらに確立している。
ロイドの建築はこのアルバム全体のテーマにもなっている。バンドはこう付け加える。「1937年にフランク・ロイド・ライトが建てた空間が、2025年になってもなお未来的でノスタルジックに感じられるのは驚くべきことです。これは私たちの音楽が目指すところでもあります。創造性と繋がりのための空間を築くという彼のインスピレーションも、私たちと共有するものです」
即効性や一夜にしての成功に囚われる現代社会において、LEISUREはあえて遠回りの道を選んできた。6人のメンバー(そして仲間)は2015年、ニュージーランドの荒々しい西海岸を旅する即興の旅で出会った。その時点で、彼らはそれぞれ何年も音楽業界の厳しい現実と向き合ってきました。
5人はそれぞれ受賞歴のあるソングライター、プロデューサー、クリエイターである。彼らは結束し、新たな音楽的パラダイムを切り拓くことを決意した——無駄を省き、旅を楽しむこと。そして何よりも、LEISUREらしさを貫くこと。
今作は、ソウルフルでスロウバーニングな彼らの美学をさらに研ぎ澄ましつつ、「共にあること」「創造の自由」、そして「バンドとして本質的に進化するという生きた実感」を軸に、よりオーガニックでライブ感のある録音手法を取り入れて制作された。
「前作のツアーでは過去最多のライブを行い、よりライブ感を制作に反映させたくなったんです。だから今回は、これまでのようにドラムブレイクやループを多用せず、ライブ録音を中心に進めました」
さらに彼らは弦楽器やブラス、ピアノ、バックボーカルといった器楽のスペシャリストたちを迎え入れ、各メンバーのスキルを超えた音の可能性を追求していった。テーマ的として"本物らしさ"、"人間味"、そして"創造を祝う喜び"といった要素を織り込んだ、豊かな音のタペストリー。歌詞では、愛や喪失、つながり、希望、そして人生の目的といった普遍的なテーマを取り上げつつ、それをLEISUREならではのリッチな音色とゆったりとしたグルーヴで描いている。
『Welcome To The Mood』は、BBC、ローリング・ストーン、KCRWなどから称賛を受けた2023年の傑作アルバム『Leisurevision』に続く作品です。
5億3000万回以上のストリーミング再生、ロラパルーザ、M3F、そして今後のACL出演といった大型フェスティバルへの出演、さらにニュージーランド、オーストラリア、イギリス、ヨーロッパ、アメリカでのソールドアウト・ヘッドライン公演を経て、彼らは確かな手応えを掴んでいる。
Leisure 『Welcome To The Mood』- Nettwerk (92/100)
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『Welcome To The Mood』はNettwerkからのリリース。2025年は特にポップバンドの活躍が際立っているという印象です。2025年の世界の音楽のトレンドは間違いなく、''ソフィスティ・ポップ''であると指摘します。
ソフィスティポップは、かつてAORとかソフト・ロックと呼ばれ、その後、このジャンルはブラックミュージックと連動するようにして発展し、クインシー、マーヴィン、ワンダーなどアメリカの音楽界を担う千両役者が出てきました。また、このジャンルはディスコソウルとも無関係ではなく、ダンサンブルな音楽を含む場合が多い。
ひとえにポップバンドとは言っても、最近のこのジャンルは混合化が著しく進み、単一のジャンルで把捉しきれないものがある。また、その混在する多彩な音楽が最大の魅力であり、大きな可能性をはらんでいる。
今週ご紹介するのは、NZ/オークランドの6人組グループ、Leisure。TOPSのようなヨットロックから、80年代初頭のStylistics、Commodoresのような、マーヴィン・ゲイやスティーリー・ダン、クインシー・ジョーンズらが登場する前夜のソウルミュージックを織り交ぜ、トロピカルな雰囲気に満ちたポップソングを制作している。新作『Welcome To The Mood』は相当練り上げられたかなり完成度の高い作品である。もちろん、ミックスやマスターで磨き上げられ、現代的なデジタルレコーディングの精華である”艶のあるクリアな音質”が特徴で、聴きやすい作品です。ただ、音質が良いからといえ、このアルバムはプロデュースに依存しすぎているわけではありません。
今、私の手元には、幸いにも、日本の販売元から提供されたWIPバージョンのDisco音源があり、それを聴くと、デモバージョンでも十分に魅力的な音源となっていると思います。むしろ、アウトテイクで出したら面白いのではと思うほど......。デモらしいラフな音質ではあるものの、かっこ良い。そして制作段階で、テンポなどを調整しながら、最終のマスター音源を作り上げている。特に、Work In Progressのバージョンを聴くと、その制作過程がよりわかりやすい。
ドラムの演奏が際立ち、レジャーの楽曲全体を司令塔のようにコントロールしている。ドラムが冗長なくらい反復的なリズムを刻むなか、6人組というコレクティブに近い分厚い構成による多角的なアンサンブルが繰り広げられ、音楽そのもののバリエーションが増していく。スピーカーから少し離れた場所で聴いてみると、他の楽器のパートが消えてしまい、ドラムテイクのリズムセクションしか聞こえないこともある。これは間違いなく、ドラムがファンクのリズムを刻み、その後にベース、ギター、ボーカルといった楽器を重ねていったジャムの様子がうかがえる。本作は、レコーディングセッションの要素が強く、ファンク/ソウル/フュージョンジャズの性質が色濃い。
レジャーの音楽は、表面的には、ポップネスの要素が強い反面、その内実はファンクソウル/ディスコソウルを濾過したポップソングである。ジェイムス・ブラウンの系統にあるファンクのビートが礎になり、軽快で清涼感のあるポップソングが形作られる。ロイド・ライトに因んでいいますと、音の建築の礎が強固だから、その上に何を積み重ねても、音楽がガタガタと崩れません。レジャーの曲に多彩な要素をもたらしているのは、ギターとシンセですが、それと同時に、彼らの曲はドラムとベースだけでも成立しえる。作曲において意外と軽視できないのが低音部やベース音の存在であり、主旋律が一番生きてくるのは、低音部の旋律やリズムが盤石な場合のみ。高音域の美しい旋律とは、低音部の旋律やリズムとのコントラストによって生じる。この点では、ニュージーランドのレジャーの音楽は、低音部のリズムやメロディから始まり、最後にボーカルやギター、シンセが存在する。一般的なソウルミュージックの制作方法と同じなのではないかと推測出来る。
また、レジャーの音楽は、The 1975と同じく、ポップをベースにしているが、ロックの性質を帯びる場合がある。ただ、レジャーはどちらかと言えば、The Doobie Brothers、Earth Wind & Fireのような白人と黒人の融合したロックソングの性質を受け継いでいる。彼らのソウルのイディオムはかならずしも、ブルー・アイド・ソウルに根ざしたものとはかぎらず、サザンソウルやサザンロックなど、米国南部のロックやR&Bの要素をうまく取り込んで、それらを日本とシティポップや米国西海岸のソフィスティポップと撚り合わせて、安定感に満ちた聴き応えのある音楽を提供しています。
TOPSと同じように軽やかな音楽な印象があるものの、バンドアンサンブルの内実は結構ディープ。 音源を作り込みに作り込んだ上で、最後に残った濾過されたサウンドの結果がこのアルバムです。だから、最終のマスター音源は、氷山の一角が現れたに過ぎず、それだけ参考にしても同じ内容にはならないでしょう。ビートルズやストゥージズと同じように、気の遠くなるような回数のテイクを重ねたと推測される。なおかつ聴いていて心地良いポイントを探り、その鉱脈を掘り下げる。『Welcome To The Mood』は、最初から結果を求めるサウンドではなく、過程を重んじる制作となっている。つまり、積み重ねた結果がこうなったという帰納法のサウンド。面倒くさくて遠回りにも思えますが、テイクを重ねるのは良い録音を生むための近道なのです。
良いアルバムというのは、おおよそ2つのパターンがあって、作品自体がマクロコスモスのような極大の世界を内包しているか、もしくは、ラフなロックバンドのアルバムのように、瞬間的な美しさや楽しさを詰め込んだ生々しい録音が淡々と続くか、そのいずれかに該当します。これが理想的な曲だけを組み合わせても、名作が成立しない理由なのです。そして、制作段階において、どんな印象をもたらす作品にするのかを決定しないで制作に取り組むのは、目的地を決めずに船を出す行為と同じである。そういった無謀な制作過程からも、名作が出てくる場合もありますが、例外的な事例と言えるのではないでしょうか。それは結局のところ、そういったサウンド・ディレクションの元で制作された”実験的なコンセプトアルバム”に過ぎないのです。また、瞬間を逃さない野生的な勘も必要です。
結局のところ、「Welcome To The Mood』が聴きごたえがあって聴きやすい理由は、一貫性があって、最初から最後まで一つのレコーディングセッションが続いている感覚があるから。そして彼らの見事なライブセッションが永続してほしいと思わせる感覚もある。そういった意味では瞬間的な音源に永遠が内包されているといえるでしょう。
「Welcome To The Mood」は、このすべての項目をクリアしていて、聞き手の注目をしっかりと惹きつける。そして、この曲のイントロのトロピカルなカッティング・ギターは、ヨットロックのトロピカルな心地よさを感じさせるだけではなく、アルバムの全体のサウンドを要約し、その世界を拡大させるためのひとつの入り口となっている。
なぜ、こういった音やリズムが最初に鳴りひびくのかと考えはじめたとたん、がぜんこのアルバムの虜になってしまう。そしてアレンジとなるグロッケンシュピール、ドラムのリムショット(縁を叩く)を駆使した規則的なビート、それらの器楽的な演奏が一つの曲を作り上げるために機能している。
レジャーは6人組という多人数の編成であろうとも、一つの目的のために向かっている。そのためには、誰かが主役となり、同じ人が脇役となるというように、多彩な役割を担う必要性がある。そして、レジャーの6人はそれをしっかりこなしています。タイトル曲は、ほとんど序章のような意味を持ち、聞き手を優しく手ほどきし、ボーカリストがタイトルを歌いながら、その内的な音楽のマクロコスモスを拡大させていく。
「Sundown」は一曲目の音楽的な世界を補足したり、拡張させるための役割を担うっています。そしてそのための機能を話すのが、ドゥービー・ブラザーズの「Long Train Running」を彷彿とさせるノリの良いファンクロックのドラムとベース、カッティング気味のギターである。この曲はイントロの時点でインストゥルメンタルの楽曲としても明確に成立していますが、その上にボーカルが入るのだから非常に贅沢です。
ギター/ボーカルは、ネオソウルの範疇にあるポップスを絡めた、軽やかでソフトな歌声により、この曲をぐんぐんリードしていく。バックバンドとしての音楽と呼応しながら、十分なフロントマンとしての仕事を完璧にこなしている。そして、もったいぶらずにヴァースからコーラスの聞かせどころにすんなり移行するあたりもスタイリッシュでしょう。ファンクの要素が強いダンサンブルな裏拍のビートを活かし、ギターのフレーズを組み替えたり、トランペットのアレンジメントを取り入れたりして、ソウル・ジャズのサウンドへと敷衍させていく。
「Sundown」
「Diamonds」はディスコソウルを反映していて、ミラーボールの華やかで景気の良いディスコサウンドを想起させるが、依然としてファンクの性質が強い。彼らのファンクのイディオムは聞き手にリズム感を与え、そして楽しく踊らせるための機能を果たす。
同じように、同年代のEarth Wind & Fireに触発されたファンクをベースにしたギター、それから強固なベースが強拍のポイントを形成し、 反復的な曲の構成の中で、徐々に渦巻くようなグルーヴ感覚を作り出す。
''グルーヴ''とは、音のうねるような迫力のことをいい、それらがハウス/テクノ等では旋律的な側面とは対照的に単一の独立したエネルギーを持ち、曲の全体的な印象を決定づける。この曲でもまた、連結部分となるセクションは作られず、ヴァースを数回繰り返しただけでコーラスへとスムーズに移行してゆく。そしてコーラスの部分では、アンセミックなフレーズが意図的に使用されて、他者に口ずさませるための余白の部分を残している。良い音楽を作る際に、主体性を重んじた結果、聞き手への配慮という点を忘れがちですが、レジャーはそのこともよく考えているようです。二曲目と同様に、ベースの演奏がとくに傑出していて、ボーカルの主旋律と見事な対旋律を形成している。 最終的に、この曲はタイトルと呼応するかのように、ダイアモンドのようなまばゆいほどの輝きを放っている。
中盤のハイライト曲は続く「The Colour of The Sound」で訪れる。 アンビエント風の抽象的なシンセサイザーで始まり、十分な余韻を保った上で、曲が本格的に始まります。デモバージョンは、シンプルなスタジオセッションがパッケージされ、ファンカデリックのようなサウンドでしたが、最終の音源では、いっそう艷やかな音質になり、ポップソングの要素が強調されている。ラフなデモバージョンよりも音の粒が精細になり、ドラムを中心とするダブのエフェクトの意図も明瞭になっている。他の曲では器楽的なリードを譲る場合が多いものの、この曲ではカッティングギターが主役となり、ドラムのリムショットを背景に全般的なアンサンブルをリードしている。特にバスドラムの小気味よいヒット、旋律の跳躍があるベースが曲全体を補佐している。
「The Colour of The Sound」
この曲のボーカルは、すこしだけもったいぶったような感じで始まり、次の構成に向けた期待感を盛り上げる。ボーカルについては、ネオソウルやソフィスティポップの影響を交え、未来的で都会的なサウンドを作り出す。コーラスでは、ネオソウルの雰囲気が強まり、まったりした甘口のR&Bの雰囲気を押し出す。ボーカルとシンセのアトモスフェリックなサウンドが優勢になる中で、存在感を増していき、じっくりと陶酔感のあるポップサウンドを作り上げていく。
サビのあとの間奏で演奏されるトランペットはそのモダンでアーバンな雰囲気を盛り上げている。全体的なソフィスティポップの枠組みの中で、フュージョンジャズの要素を並立させる。これらの音の多彩性を作り上げているのは、多角的なサウンドや器楽の効果であることは疑いがありません。その後、音楽はさらにドラマティックになり、弦楽器やエレクトリックピアノ(ローズピアノ)の演奏を通して多彩性を増す。音楽全体が可能性に満ちあふれ、その裾野を徐々に広げていく様は圧巻と言える。構成的な側面でも、再びイントロやヴァースのフレーズに回帰し、均衡が図られている。
「Dominoes」もまたアンビエント風のシンセサイザーのシークエンスで始まり、よりアグレッシヴで快活なバンドサウンドへと受け継がれる。この曲ではボーカルにちょっとした遊び心を付け加え、レジャーの音楽形式の基本であるヴァースからコーラスという簡素な構成を通じて、アンセミックなポップソングを作り上げている。現代的なリスナーの多くは、TikTokのショート動画などで音楽のニュアンスを掴む場合が多いので、聞き所が最もわかり易い場所に配置され、なおかつ、コーラスが早くやってくるのに越したことはないでしょう。レジャーはそのあたりを把握していて、ほとんどもったぶったようなフレーズを挟まず、すんなりサビの部分をきかせてくれます。このあたりがこのアルバム全体をストレスなく聞き通せる理由なのかもしれません。
「Beach House」はアルバムの中では最もヨットロックの性質が強い。トロピカルな音楽性やジャック・ジョンソンのようなハワイのフォーク音楽の内在もまた、この曲の醍醐味となるはず。アコースティックギターとメロウなエレクトリック・ピアノが曲全体の枠組みを決め、そして同じく、それと呼応するようなネオソウル風のボーカルが、このアルバムの方向性を決定づける。
海辺、ヤシの木、ビーチパラソル、カクテル、沈む太陽.....、こういった印象的なトロピカル音楽が軽快なポップスに縁取られている。これはシティポップの音楽性にも通じるものがあるかもしれません。少なくとも、日本のポップスにも調和する音楽として楽しめること請け合いです。また、曲の後半のボーカルは聴き応えがあり、オーティス・レディングを始めとするモータウン風の歌唱が披露されている。こういった聞き所を用意してくれているが本当にたのもしい。
「Tenderness」はクールなボーカルではあるが、裏声のファルセットの歌唱は背景の音楽と絶妙に合致している。前の曲のムードを引き立てるように、リゾート的な感覚を押し上げる。いわば、レジャーは、音楽の中に安らぎを見出したいとか、休息を見つけたいと考える聞き手に相応しいポップソングを提供します。これぞプロフェッショナルといわずしてなんと言うべきか。なだらかなテンポの王道のディスコファンクのサウンドは、スタイリスティックスやコモドアーズのようなモータウンの系譜にあるソウルと絡み合い、絶妙なテイストをはなつ。
全体的なサウンドの趣向としては、テキサスのKhruangbin(クルアンビン)に近いです。ただ、Leisureが志向するのは、ソフィスティッポップに近く、さらにR&Bの要素はこちらの方が色濃いでしょう。レジャーが志す「ムード」とは何か。その答えはアルバムの最終盤になると、より鮮明になる。
ヨットロックやフュージョンの真髄を詰め込んだ「Desert On The Moon」は、かつてスティーリー・ダンだとか、スティービー・ワンダーのような名手たちがもたらしたAORやソフトロックというジャンルが2020年代中盤に差し掛かり、次世代のポップソングのコアとなったことを印象づける。
本作の音楽は、もしかすると、現代的な音楽にさほど詳しくない聞き手にも共鳴する感覚があるかもしれません。この曲では、インドのシタールのようなエキゾチックな弦楽器が登場したり、コンガのようなアフリカ民族音楽で使用される打楽器が組み合わされて、心楽しい響きを形成しています。
最終曲「One In A Milllion」は白眉の出来栄え。エルトン・ジョン、ビリー・ジョエルに匹敵する素晴らしいピアノバラードが憂愁の美を飾る。本作に触れてくださった音楽ファンの方はきっと聴いてよかったと思っていただけるはずです。ニュージーランドから音楽界のオールブラックスが登場‼︎
「One In A Milllion」
▪Leisureのニューアルバム『Welcome to the Mood』は本日(9月12日)、Nettwerkから発売されました。
日本盤のCDがInpartmentから発売中です。詳細についてはこちらをご覧ください。