オランダと南アフリカにルーツを持つJoya MooiによるニューEP 揺れ動く感情を描いた、パーソナルでありながら普遍的な作品
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本作は、個人的な変化に満ちた一年を背景に、嫉妬や喪失、母性といった複雑な感情を、多面的で揺れ動くものとして描き出している。前作のEP『Open Hearts』が他者の語り難い物語に焦点を当てていたのに対し、本作ではより内面的でパーソナルな視点へと深く踏み込んでいる。
タイトルトラック「All The Things」は、友情の終わりに漂う静かな余韻を捉えた一曲であり、対立そのものではなく、手放す過程とその先にある心の整理を描いている。Easy Freakによる抑制の効いたプロダクションと、Joya Mooiの内省的なソングライティングが重なり合い、本作全体のトーンを象徴する仕上がりとなっている。サウンド面では、ソウルやオルタナティブR&Bを軸としつつ、オランダと南アフリカ双方のルーツに由来するニュアンスを織り交ぜた、流動的でグローバルな音像が広がっている。
「Technicolour」では嫉妬や他者との比較がもたらす感情の複雑さを掘り下げ、「Pay Day」では母になることを前にした心境の変化と、経済的な安定を超えた拠り所を模索する姿を描いている。
「Only Water」はオリンピック飛び込み選手グレッグ・ロガニスの人生に着想を得て、逃避と再生をメタファーとして表現し、「Lookalike」では記憶がふと重なる瞬間を通して、喪失と向き合う。これらの楽曲が有機的に結びつくことで、矛盾や脆さを抱えたまま前に進む姿が、一つの物語として浮かび上がる。『All The Things』は、Joya Mooiの表現の幅をさらに広げる作品であり、個人的でありながら普遍的な感情の揺らぎに寄り添うリスニング体験を届ける。
Joya Mooi:
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オランダと南アフリカにルーツを持つシンガー/ソングライター、Joya Mooi。ソウルやオルタナティブR&Bを軸に、グローバルな感覚を取り入れたサウンドと繊細なストーリーテリングで知られ、個人的な内省と広範な文化的物語を行き来しながら、アイデンティティやルーツ、複雑な感情を描き出す。
現代のソングライティングにおいて単純化されがちな感情の揺らぎや矛盾を、ありのままに受け止める余白を持った表現を特徴とし、温かみのある歌声と丁寧な歌詞を通じて、国境を越えてリスナーとつながり続けている。
[作品情報]
アーティスト:Joya Mooi
タイトル:All the Things
ジャンル:R&B, Pop
発売元・レーベル:SWEET SOUL RECORDS
配信リンク:https://lnk.to/joya-mooi-all-the-things
トラックリスト:
01. Technicolour feat. Ric Wilson
02. All The Things
03. Pay Day
04. Only Water feat. Lady Donli
05. Lookalike
Review:
最新EPはダイアナ・ロス時代のシンセサイザーを基調としたポップとR&Bの融合をしめしたオープニングトラックに始まり、コラボレーターのヒップホップの話を織り交ぜた音楽世界がみち広がる。二曲目では陽気なイントロダクションとは対照的に、ほのかなペーソスを感じさせるシンセポップが続く。
EPのハイライトとなる「Pay Day」は強烈なイントロからしっとりとしたソウルミュージックが流れていく。これらの音楽はかつてどこかに存在した音楽の安心感と懐かしさを思わせる。ボーカリストのムーイは楽曲ごとに歌い方を変化させ、愛おしき人生の日々の思いを吐露する。
確かにジョヤ・ムーイのボーカルには人を酔わせ、ほどよい陶酔感が込められている。Lady Donliをフィーチャーした三曲目ではジャズファンクからの影響を滲ませる。しかし、そのメロウなボーカルの真価は最終トラック「Looks Like」において発揮される。記憶と喪失を描いた本楽曲は現代的なネオソウルを踏襲しつつ、ムーイ特有のバラードソングの形を見出すことが出来る。







