Lucy Liyou、新作アルバム『Dog Dreams』のリリースを発表 5月12日に発売

 


サンフランシスコの実験音楽家、ボーカリスト、Lucy Liyou(ルーシー・リヨウ)がニューアルバム『Dog Dreams』のリリースを発表しました。韓国の民俗オペラをテーマに置いた前作「Welfare/Practice」に続く新作アルバムは5月12日にAmerican Dreamsより発売されます。デジタルストリーミングのほか、ヴァイナルでも限定リリースされます。


タイトルは、韓国語の「개꿈」を直訳したもので、空想的な白昼夢から悪夢のような恐怖を意味し、常に無意味、非現実的、あるいは単に愚かであるという考えを示唆している。Lucy Liyouの2枚目のアルバムは、代わりに、ユング、フロイトのような夢分析および深層心理における興味を交え、なぜ、人は夢を見るのか、真面目な現実にはない眠りが何をもたらすのか、体が休まるときにのみ現れる忘れられた欲望は何なのかという疑問を真剣に受け止めている。


すべての夢がそうであるように、Dog Dreamsは個人的であると同時に共同的でもある。私たちの中で、特に奇妙な夢を見たとき、興奮しながら友人と共有したことがない人はいないでしょう。



このアルバムは、Liyouが自身の繰り返し見る夢に基づいて作曲・執筆したものですが、実はミュージシャンのNick Zanca(以前はMister Liesという別名で知られていました)と共同制作しており、最初は非同期に作業を行い、その後、ニューヨークのリッジウッドにあるZancaのスタジオで一緒にアルバムを完成させることになりました。



レコーディングの間、LiyouとZancaは即興で演奏し、Liyouの記憶から呼び起こされたイメージは、白昼夢や空想、束縛のない思索的な気まぐれにまで広がっていきました。2人の生き生きとした相乗効果に支えられ、最後の組曲は35分の緊張感ある音のクレッシェンドとなり、限りなく喚起されるように感じられます。


ドイツのマルクス主義哲学者、エルンスト・ブロッホが言うように、夢は目覚めた瞬間に終わるのではない。夢は目覚めた瞬間に終わるのではなく、覚醒した世界の下地に染み込み、未来の可能性をまだ意識していないことへの執拗な憧れの「残像」となる。つまり、この場合は潜在意識にわだかまる残響のような意味に転訛される。そして、それこそが「DOG DREAMS」の正体でもある。私たちの、言葉にならない、あるいは、言葉にならないけれども、もっと欲しいという内なる渇望にあえて音を付与しようとし、内的な継続的な対話からの余韻を記録として止めておこうというのです。


デビュー作『Welfare / Practice』(2022年)では、瑞々しく溶けたようなインストゥルメンタルと、堅苦しい音声合成が融合していたが、ここでは、アーティスト、夢想家、ロマンチストとしてのLiyou自身の声が、彼らの音楽の緻密な実験の質感を破り、まるで愛する人の強い抱擁が我々を宙空に保つように、現在という無数の中の一つの点に密接している瞬間を把捉することが出来る。


アルバムのタイトル曲である「Dog Dreams」は、リヨウの芸術的ビジョンにおける肉体の重要性と、その肉体に宿り、現実空間に繋ぎとめようとすることの難しさや覚束なさを明確に示しています。語り手は、友人に呼びかける前に、「どうして私を頼ってくれないの?/ 舌打ち、唇の開閉、神経質な歯ぎしりしか発声できず、自分が何を求めているのかがまだわからない」


ルーシー・リヨウが織り成す前衛的な音像は、同じく韓国系アメリカ人の詩人、キム・ミョンミが定義する歌詞と似ている。「自分の生きる韻律」-喜びと傷みを等しく体現しようとする歌、「最初と最後の舌の価値観」。


そして、キムの織りなす現代詩のように、リヨウの音楽もまた「下降、沈降、あらゆる方向への支流」の指標となり、すべては、未だ明瞭でないにもかかわらず嘆願する声と、痛ましい傷を労りながらも愛を求め続ける身体に溌剌としたエネルギーを注入する。


この意味で、『DOG DREAMS』は、ポストフェミニズムの小説家であるキャシー・アッカーが言うところの「不思議の空間」に到達するための「開口部」ともなりえるのだ。



Lucy Lyou 『Dog Dreams』



Label: American Dream

Release Date: 2023年5月12日


Tracklist:


1.Dog Dreams

2.April In Paris

3.Fold The Horse