New Album Review Michelle 「After Diner We Talk Dreams」

 

Michelle

 

生まれも育ちもニューヨーク、Michelleは、2018年、ソフィア・ダンジェロ、ジュリアン・カウフマン、チャリー・ギルゴア、レイラク、エマリー、ジェイミー・ロッカードで構成されるインディーコレクティヴである。

 

彼女たちは、主にPOCとクイアの主義を掲げるモダン・ミュージックグループ。また、彼女たちは、「Black Lives Matter」の運動に積極的に参加し、それについての意義を見出すという点では、現代の若者の気風を象徴する集団といえる。ミチェルの活動にはこれまでのミュージックグループとは異なるユニークな点が見いだされる。この6人組のグループとして分担制の役割が敷かれ、作曲を行うメンバー、実際に制作を行うグループと二つに分かれていることである。

 

Michelleは2018年に「Heatwave」をリリースし、デビューを飾った。華々しいデビューとはならなかったものの、多くの耳の早いリスナーの心を捉えることに成功した。彼女たちの音楽の特徴は、レイヤードボーカルの爽やかなハーモニー、そして、アナログシンセサイザーを用いた柔らかな雰囲気のポップス、活気に満ちたパーカッション、芯の太いダンスグルーブであり、その音すべてが快活で爽やかだ。ボーイズ・Ⅱ・メンから影響を色濃く受けたファンキーなR&B,寝室向きのスロージャム、ビートの強いアンセムソングまで、様々なジャンルの曲が飛び交う。




「After Diner We Talk Dreams」 Atlantic

 

 

 

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Tracklisting
 
 
1.Mess U Made
2.Expiration Date
3.Pose
4.Syncopate
5.No Signal(feat.Isa Reyes)
6.Talking To Myself
7.50/50
8.Looking Glass
9.End Of The World
10.Fire Escape
11.Hazards
12.Layla In The Rocket
13.Spaced Out,Phased Out
14. My Friends

 

 

この作品は、 Michelleのデビュー作「Heatwave」に続く二作目のスタジオ・アルバムで、僅か2週間でレコーディングされた。

 

ミッチェルは、R&B,1980年代のシンセ・ポップ、ジャズ、インディー・ポップ、様々なジャンルを自由自在に行き来している。実にこの作品はバンドでもなく、グループでもなく、コレクティヴという形態らしい自由で爽やかな楽曲が数多く生み出されている。

 

ミッチェルは、ROCやクイアといった概念を掲げるグループで、さらにはブラックライブズマターのような運動にも関心を持っている。しかし、ここで言及したいのは、この6人組のポピュラーグループとしての才覚についてである。彼女たちが繰り広げるのは口当たりの良い、どのような場所でも、人を選ばずに気軽に楽しめるR&B、ポップスとしてクオリティーの高い楽曲がこの作品において数多く生み出されている。

 

高校時代にコレクティヴとして集まり、まだ若い年代を中心に楽曲を行っているグループらしい自由さ、そして爽やかさ、また清々しさ、そういった聴いていると、心が明るんでくるような魅力的な楽曲が多い。このアルバムで表現されているのは、つまり、音楽を奏でることの楽しさ、喜び、そして、表現にたいする情熱である。それらの要素はリスナーにも直に伝わってきて、このアルバムを通しで聴いていると、なんだか、わけもなく、楽しい気分になってくるし、清々しい気分にもなってくる。いってみれば、上記のような表向きに掲げられるテーマや概念とは全然関係なく、これらの楽曲のダンスグルーブの秀逸さについては時間や場所を選ばない万人に通じるものが提示されている。言い換えれば、この6人組の睦まじい友情、付かず離れずの、さっぱりとした人間関係から生み出される心温まるポップスとも形容出来るかもしれない。

 

そして、もうひとつ、R&Bやベッドルームポップの風味とは別に、ミッチェルの二作目のアルバムにはニューヨーカーらしい都会的なジャズの雰囲気が漂っている。ジャズに対する浅からぬ傾倒はラストトラック「My Frineds」に顕著に現れている。口当たりの良いポップスが並ぶ中、このジャジーな楽曲のクライマックスは、聞き手に陶酔とした余韻をもたらし、このアルバムにタイトな印象を与える。今作のアートワークに象徴されるように、カラフルな雰囲気のあるR&Bを求める人には願ってもない良盤の誕生、という評価がピッタリ当てはまるかもしれない。




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