New Album Review Viagra Boys 『Cave World』

 Viagra Boys  『Cave World』

 


Label: 2022 Year0001

Release:   2022年7月8日

 

 

先日リリースされた「Cave World」は、スウェーデン・ストックホルムのポストパンクバンド、Viagra Boysの2ndアルバムとなります。2021年の「Walfare Jazz」に続く作品で、同郷のThe HivesのPelle Gunnerfeldt,そしてDJ Haydnがプロデュースを担当しています。2020年の夏の後に元のトラックの手直しを行い、楽曲を全てを再録を行い、発表されています。

 

デビュー・アルバムがジャズ、ディスコパンクといった要素が色濃かったのに対し、今作は、ハイブスがレコーディングプロデュースを手掛けたこともあり、ガレージ・ロック、ノイズロック色が強まっています。どちらかといえば、より轟音性が付加されたといえる。これらの新世代のガレージロック/ディスコパンクの楽曲の合間に、エレクトロニカに近い楽曲が収録されています。


デビュー・アルバムの実験性は今作にも異なる形で引き継がれていて、ダンサンブルな要素がいくつかの曲に見られ、その点はライブで良い効果を発揮するといえる。しかしながら、前作に見られたポスト・パンクバンドとしてのひねりのようなものが消えてしまい、悪い意味でより商業的なロックに堕しているのが欠点のひとつに挙げられるでしょう。バンドのフリースタイルのライブのアバンギャルド性、無茶苦茶さが、前作よりも弱まっているという難点がある。それらは、エレクトロニカ寄りの楽曲を配置することで、微妙な均衡がたもたれてはいるものの、これらのエレクトロニカのアプローチはむしろバンドの破天荒な勢いを削いでしまっているように思える。

 

このあたりは聞き方だったり、何を作品に求めるかにもよるのかもしれませんが、アルバムとしてこのバンドの持ち味が立ち消え、オリジナル作品というか、リミックス作品のような形で提示されているのが惜しい点です。また、The Hivesのデビュー作のような鮮烈さがあるわけでもなければ、Wireの『Pink Flag』で見られるポスト・パンクの醍醐味があるわけでもないため、評価に困る作品です。

 

ポスト・パンク好きというよりかは、もしかすると、これはディスコ・パンク好きにヒットする作品かもしれない。また、もうひとつ難点をあげるなら、DJの作品なのか、ガレージロックの作品なのか、レコーディング/ミキシングの指針が曖昧であるように感じられる。つまり、バンドの曲が悪かったというのではなく、ミキシング/マスタリングの段階で何らかの問題があったように感じられる。同じような路線であれば、Foalsの最新作の方に軍配が上がるか。

 

 

Critical Rating:

65/100


 

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