Francis of Delirium 『Run, Run Pure Beauty』
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Release: 2026年5月29日
Review
ベルギー/ルクセンブルグで活動を行うFrancis of Deliriumは注目すべきバンドです。 フランシス・オブ・デリリウムは、ジャナ(ギター&ボーカル)、ジェフ・ヘニコ(ベース)、デニス・シューマッハー(ドラム)で構成されている。過去5年間、彼らはヨーロッパと北米をツアーし、ヘッドライン公演やフェスティバルに出演し、Blondshell、Briston Maroney、The Districts、Horsegirl、Soccer Mommyといったアーティストとのツアーもこなしてきた。また、The 1975、アラニス・モリセット、DIIV、Wolf Aliceのサポートアクトも務めている。
昨年の夏は、TikTokで楽曲『Duvet』が大ヒットし再注目された90年代のバンド、Bóaとの記憶に残るUKツアーが行われた。各会場の開場数時間前から若者の列が会場の外に蛇行するほど、これらの公演には真の興奮が漂っており、ジャナが活力を得るようなエネルギーが溢れていた。
最新アルバム『Run, Run Pure Beauty』は彼らのそういった前評判に負けないようなロックソング集である。完成させる原動力となったリスナーとより深いレベルでつながろうとするアーティストである彼女にとって、新作アルバム『Run, Run Pure Beauty』の中心テーマに「希望」と「内なる強さ」を据えたことは、当然といえるかもしれない。ジャナは、タイトル曲について、「人間とテクノロジーによって破壊された後の世界を想像した曲だ。人間が残したものと激しく対峙する中で、最終的には自然の純粋な美しさが勝利を収める」と語っています。自身の旅路と、私たちが直面している激動の時代からインスピレーションを得て、このアルバムでは異なる視点を楽曲制作に取り入れたいと考えた彼女は、サウンド面でも進化を遂げている。
アルバムのオープニングを飾る「Aliens」はクラシック風のファンファーレで始まり、その後、 甘酸っぱい雰囲気のあるインディーロックソングが続いている。しかし、従来のインディーロックソングとしては、誇張抜きにスケールの大きな内容となっている。いや、ドラマチックとも言えるでしょう。ストリングスなどをアレンジメントに施したオルタナティヴロック、ジャナのほろ苦い感じに満ちたボーカルなど、このジャンルのファンにはうってつけの内容といえるかもしれない。さらにボーカルには、オペラのような歌唱の影響が感じられ、これらがバッキングギターやそれとは対象的なシューゲイズ的な轟音性を持つディストーションギターと融合する。「Out Tonight」は現今流行りのタイプのインディーロックソングで、Soccer Mommy、Momma周辺の甘酸っぱい感じの一曲である。しかし、一貫してジャナのボーカルは、ロックシンガーっぽくなく、どちらかといえば、賛美歌のようなさらりとした印象に満ちている。全体的には、音楽全体がさっぱりとしたクリアなイメージに満たされるというわけです。
80年代風のロックやヘヴィーメタルからの影響もありそう。「Higher」はどちらかと言えばギターヒーローからの影響を感じさせる。この曲に満ちるEUROPEのようなバンドの情熱的なボーカルは、今や女性ボーカルのイメージで縁取られることになった。 また、この年代のシンセ・ポップやエレクトロ・ポップ、ニューロマンティックのようなバンドからの音楽的な影響が受け継がれている。そういったメロディアスなロックソングがFrancis of Deliriumの魅力であり、ヨーロッパのロックバンドらしさでもある。「Damned」は助走を付けながらジャンプアップするような軽快な印象に満ちたロックソングである。曲の終盤では、不思議な高揚感がある。
インディーロックバンドとしての矜持が現れた「Little Black Dress」は、アルバムの注目曲の1つ。サビでは爽快感があり、カタルシスもあり、ライブなどでは映えそうなナンバーとなっている。この曲では「希望」と「内なる強さ」というテーマが明瞭な形であらわれているのではないかと思う。「Sucker Punch」でも清涼感に満ちたサウンドが、少しセンチメンタルな感覚のあるボーカルと組み合わされている。一方で、USオルタナティヴロックからの影響も感じさせる。「Open Up To Your Mouth To Love」はフォークやアメリカーナとロックソングの融合という流行りのスタイルを継承している。楽曲としては終盤に驚くべき曲調の変化がある。このバンドあるいはソングライターの感覚的な流れを音楽として見事な形で縁取っている。
アルバムの終盤では、センチメンタルで湿っぽい曲が多くなってくる。「Requiem For A Dying Day」では、80年代のポップやフォーク・ソングからの影響をにじませ、オペラティックな音楽とロックを融合させている。これはEURO圏から登場した新しいロック・オペラである。
一方、ほっとさせるようなカントリーとロックの融合を示した「Modern Madonna」も良曲であり、聞き逃すことができない。この曲では、数々の名バンドやアーティストとの共演を重ねてきたバンドとしての地力が現れた形となった。しかし、本作の究極のハイライトは間違いなく最終曲「It's A Beatutiful Life」となる。ミュージックビデオは、少しシュールで、このバンドやジャナの美学のようなものが表れ出ている。負け続けるバスケ選手。しかし、最後は見事シュートを決めるという、トホホな内容である。(ゲームに勝っていない)笑ってよいのか、それとも........。いずれにせよ、このロックソングは、基本的に聞き逃すことができないでしょう。
80/100
「It's A Beatutiful Life」- Best Track
▪Listen to 『It's a Beautiful Life』:【https://found.ee/6cAYfn】
