ブルーノートレコード ユニバーサルミュージックと提携し、新レーベル「Blue Note Africa」の設立を発表 

ブルーノート・レコード、ユニバーサル・ミュージック・グループ・アフリカの二社は、アフリカ大陸全体のジャズアーティストと署名を交わし世界中の聴衆に届けるため、新レーベル「ブルーノートアフリカ」の設立すると先月の初めに発表しました。

 

二社の提携レーベル、ブルーノート・アフリカは、最初のリリースカタログの第一号として、南アフリカのピアニスト兼作曲家、Nduduzo Makhathini(ンドゥーゾ・マカティーニ)のニューアルバム「In The Spirit Of NTU」をリリースします。


Nduduzo Makhathini Photo:Hugh Mdlalose


ンドゥーゾ・マカティーニは、米国のジャズ・シンガーソングライター、Somiの2022年のSalon Africanaからリリースされたアルバム「Zenzile:The Reimagination of Miriam Makeda」の17曲目に収録されている「Mabhongo」でもレコーディングに参加し、流麗なジャズピアノのアレンジを披露しています。

 

新レーベル、ユニバーサルミュージックアフリカのCEOに就任したSipho Dlamini氏は、次のように述べています。


「ブルーノートアフリカを作成し、アフリカジャズの並み居る才能が、米国で市民権を獲得するためのチャンネルを提供する試みは、彼自身の伝説”ドン・ウォズ”が率いる献身的かつ情熱的なチームと共に、エキサイティングと言えるでしょう。これで、ケープからカイロ、カルフォルニアまで、アフリカンジャズの旅路を悠々と歩くことが出来るようになりました」

 

さらに、この2つの会社が提携して新たに設立された「ブルーノートアフリカ」について、ブルーノートのドン・ウィズ社長は、以下のような説明を付け加えています。

 

「アフリカ音楽は、これまで、ブルーノート・レコードの膨大なカタログにあるほぼすべてのアルバムの主要な創造的な支流をなしていました。それで、この新しい試みによって、Siphoと彼が率いる才能あるユニバーサルミュージックアフリカのチームと連携を図っていくことは、私達にとっても大きな名誉になります。一緒に私達は、アフリカから今日に発せられる信じがたい音楽に、光を当てていきたいと考えています」

 

ジャズは、20世紀のアメリカの芸術形態であると一般的にはみなされているものの、もちろん、この音楽はアフリカに源流が求められ、二大陸間の音楽的な概念の交流は、現代まで音楽シーン全体に引き継がれています。

 

1947年、アメリカのジャズドラマー、ブルーノートの伝説的な人物、アート・ブレイキーが最初にアフリカ大陸を訪問しました。この伝説的な旅行は、当初数ヶ月の予定でしたが、ブレイキーがその後、ナイジェリアとガーナを旅したため、数年間続きました。この訪問は、宗教的にも音楽的にも、ブレイキーの音楽に強い影響を及ぼし、「Orgy In Rhythm」(1957),「Holiday for Skins」(1958)、「The African Beat」(1962) を始めとする作品に反映されました。その後、1963年、アート・ブレイキーのブルーノートアルバム「African High Life」では、ソロモン・イロリを含む伝統的なアフリカのドラマーをフューチャーしています。

 

1950年後半のほぼ同時期、南アフリカのジャズシーンには、トランペット奏者のヒューマ・セケラ、ピアニストのダラー・ブランド(後にアブドゥーラ・イブラヒムとして知られる) が台頭しています。

 

60年代初頭、アパルトヘイト(人種隔離政策)による、黒人の表現活動に対する制限、検閲、暴力が南アフリカの社会全体に蔓延し、激化した後、マセケラとイブラヒムの両者は、母国を離れ、以後、南アフリカジャズの世界的な大使として名を馳せるようになりました。しかし、何世代にもわたり、南アフリカのジャズ・ミュージシャンは、アパルトヘイトによる艱難辛苦に耐えながら、現代に継承される活気あるジャズシーンを長い年月をかけて生み出していったのです。

 

名ジャズ・ピアニストのマッコイ・タイナーは、1960年代後半から70年代前半、ブルーノートからリリースしたアルバム「アフリカンビレッジ」「ナイルからのメッセージ」「アセンテ」などの作品で、アフリカ系アメリカ人としてのルーツを探求しています。2008年、ベナンの才気あふれるギタリスト、リオネル・ルエケは、アメリカーアフリカの両大陸の音楽性を融合したモダン・ジャズの可能性を広げるアルバム「カリブ」をブルーノートから発表しています。

 

2018年、ユニバーサル・ミュージック・グループ・アフリカは、現代の南アフリカのジャズシーンを率いるンドゥーゾ・マカティーニとサインを交わしました。マカティーニの二枚目のアルバム「Modest Of Communication:Letters From The Underworlds」は、ユニバーサルミュージックグループ、ブルーノートレコードの二社共同で2020年に発売されました。 上記のアルバムは、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカで高い評価を得ており、ニューヨーク・タイムズによって「2020年のベストジャズアルバム」に選出されています。

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