David Byrne 自身のラジオでプレイリスト「Phychedelia Lives!」を公開

David Byrne
 

トーキング・ヘッズのDavid Byrneは、自身の名を冠したラジオ局で、60年代のサイケデリックミュージックを集めた新しいプレイリストを公開した。
 

「ここに、60年代後半から始まるサイケデリックなプレイリストを皆さんに提供致します。当然のことではありますが、 ーーサイケデリアが登場した後、現代まで数十年を経て」「ザ・ビートルズ、ジミ・ヘンドリックスといった素晴らしいアーティストがミュージック・シーンに姿を現した..しかしながら、他の多くのーーそして、世界の他の部分から多種多様なサイケデリアと呼ばれる概念があります。その後もそれらは途絶えることなく、ハミングし続け、従来の認識や理解に対する解毒剤ーAntidotesーとなっている」と、デイヴィッド・バーンはプレイリストの参加者へのメールを通じて以上のようなメッセージを共有している。


現在は、イギリスからニューヨークにアーティスト活動の拠点を移しているデイヴィッド・バーンが定義するサイケデリック・ミュージックというのは、このジャンルとして捉えられているような曲の一般的な定義とは若干異なることは、お気づきになられると思う。Spiritualized、Pink Floyd、Can、Procol Harumなどのプログレッシブ・ロック、クラウト・ロックの象徴的なアーティストが含まれているほか、さらに、バーンらしい意外な曲の選出もこのプレイリスト中に見受けられる。

 

サーフ・サウンドの象徴であるビーチ・ボーイズの「Cabin Essence」は、1965年のアルバム『20/20』、2011年のボックスセット『The Smile Sessions』にも収録されている曲である。そこから、フォーク・ロックの巨人、ボブ・ディランの「Series of Dreams」やグラム・ロックの旗手、デヴィッド・ボウイ「Outside」「Hallo Spaceboy」からグランジ・ロックのサウンドガーデン(「Black Hole Sun」)、実父にセルジュ・ゲンスブールを持つシャンソンの流れを汲む女優のシャーロット・ゲンズブール(「Greenwich Mean Time」)、さらに、カントリー・シンガーのスタージル・シンプソン(「Turtles All the Way Down」)、オールディーズのテンプテーションズのトラックに至るまで、バーンはあらゆるジャンルの曲に踏み込み、サイケデリアの概念を見出そうとする。いかに、ジャンルという概念があやふやであり主観的な定義にすぎないか、それぞれ異なるジャンルを見出すことも可能であると肯定的に教えてくれるのだ。

 

最近、70歳を過ぎてから、デイヴィッド・バーンは、若い時代よりも生き生きとした姿を見せている。

 

彼は、音楽界だけではなく、映画界にも活躍の幅を広げ、ハリウッドで活躍するミシェル・ヨー監督のSFスリラー『Everything Everywhere All At Once』の公式スコアで、デイヴィッド・バーンはコラボレーションを行っている。また、このサウンドトラックのファーストシングルであるデュエット曲「This Is a Life」では、日系アメリカ人シンガーソングライター、Mitkiと共演を果たしている。

 

さらに、デイヴィッド・バーンは、2022年初めに発売されたオノ・ヨーコのカバー・コンピレーションアルバム「Ocean Child」では、ニューヨークの象徴的なインディー・ロックバンド、Yo La Tengoとのコラボレーションソング「Who Has Seen The Wind?」を提供している。そのほか、最近では、ニューヨークのバックストリートにあるバワリー・ボールルームで行われたウクライナの慈善コンサートでクロージングの夜にゲスト出演し、ジョン・レノンとプラスティック・オノ・バンドの「Give Peace a Chance」をカバーしている。ニューウェイヴの申し子として登場したバーンは過去を懐かしむミュージシャンではなく、常に現在の音楽シーンの最新鋭のミュージシャンである。これからも、バーンの活動には目が離すことが出来ない。

 

 

Divid Byrne Presents [Phychedelic Lives]