Momma  最新作『Household Name』 ロックスターへの道を力強く駆け抜ける



二人のソングライター、エタ・フリードマンとアレグラ・ワインガーテンは高校時代に初めて出会い、純粋な必要性からMommaとなるデュオを結成した。以来、フックとイヤーワームにあふれたノスタルジックなオルト・ロックのレコードを3枚リリースしている。Mommaは、新しいレーベルであるPolyvinyl Recordsから3枚目のアルバム『Household Name』をリリースした。

 

Mommaの最新シングル "Rockstar "のミュージックビデオでは、バンドがBattle of the Bandsで演奏している様子から、VH1 Behind the Musicを真似て、バンドがランクアップしていく様子に移行するのが分かります。バンドが、ゴールドレコードを集め、チャートでトップになるにつれ、「それを認めるのは大変なことだ」と彼女たちは歌います。「ああ、私は彼らが望むものを手に入れた、私は本物のロックスターだ」と。まさにMommaはMTV全盛期のような時代のロマンにあこがれている。それは夢ごこちではあるが、まったくの絵空事ではあるまい。


ニューヨークのブルックリンを拠点とするインディー・ロック・トリオのMommaは、Etta Friedman(エタ・フリードマン)とAllegra Weingarten(アレグラ・ウィンガーテン、そしてマルチインストゥルメンタリスト/プロデューサーのAron Kobayashi Ritch(アロン・コバヤシ・リッチ)から構成されており、「ロックスター」に対する異質な憧れを抱くロックグループである。

 

Mommaの7月1日にリリースされた最新作『Household Name』は、過去に目を向けつつ、自信に満ちた威勢の良さ、真剣な遊び心を融合させ、全体的に同じような境地を歩む。このロックスターはまだ有名ではないかもしれないが、時間が経てばあなたを驚かせるかもしれない。 

 

 

 

 


"私たちは皆、永遠に、この仕事を続けるんだという会話をしたことがある"


- アレグラ・ワインガーテン


もちろん、当初のMommaの目標はそれほど高いものではなかった。Mommaは、ウィンガーテンとフリードマンが高校生のときに初めて必要に駆られて結成されたバンドである。「ライブの依頼を受けたとき、ギタリストがいなかったから、仕方なくアレグリアに頼んだんだ」とフリードマンは話している。そこから2人は、切っても切れない関係になり、ライヴ、レコーディング、ソングライティングをノンストップで一緒に行うようになった。アレグラのベッドルームの床で、フェアリーライトをつけ、マリファナを吸っていた」とフリードマンは初期の曲作りについて語るが、この手法はすぐに2016年のデビュー作『Interloper』につながったのだ。

 

初期の頃、そのレコードは、2人がバンドに対して抱いていた目標を大きく表していた。「サインをもらうとかそういうことは考えていなかったと思う」と、ウィンガーテンは言う。「ただライヴをやって、音楽を作って、たぶんミュージックビデオを何本か作りたかったんだと思う」


この控えめな目標は、Mommaのセカンド・アルバム『Two of Me』のリリースから少しずつ状況が変化し始めることになる。二人はそのチャンスを見逃すことはなかった。二作目のインディー・ロック・レコードは、登場時期(2020年6月)が成功を実現することを困難にしていたとしても、インディーズシーンで大きな注目を集めていたのだった。しかし、『Household Name』のリリース前、バンドと契約したPolyvinyl Recordsは、その熱狂性をを継続させることに成功した。

 

エタ・フリードマンは、高校時代から馴染み深いインディペンデント・レーベル、ポリヴァイナルと契約したことについて、「超現実的な話」と言う。フリードマンとワインガーテンは最近大学を卒業したばかりだが、これは2人の新進気鋭のソングライターにとって自分たちのやっていることが長期的な成功をもたらす可能性が高いということを認められたように感じられるだろう。


以後、バンドの活動方法も根本的に変わり、これまでにはなかったようなチャンスに恵まれるようになった。それが顕著に表れたのは、「Household Name」のレコーディングの時であった。これまでのアルバムでは、レコーディングは他の作業の合間に行われ、できるだけ早く何かを完成させるという明確な目標のもと、かなり急ピッチで進められていたという。しかし、今回、Mommaは初めて、じっくりと曲のデモを作り、練り直して、実際の制作に着手するようになった。

 

 

"このアルバムは、私たちがずっと鳴らしたいと思っていたような音を出すことができたと思える最初のレコード”


- エタ・フリードマン

 

 

「レーベルと契約し、ある程度の予算も与えられた。それが自分たちにとってどういう意味を持つのか、本当に考えなければなりませんでした」と、アロン・コバヤシ・リッチは言う。以前はストレートな方法で曲を書き、レコーディングしていたが、『Household Name』のトラックは流動的で、バンドが望む場所に到達するための時間が与えられるにつれて変化し続ける。その結果、Mommaはこれまでで最もタイトな曲のコレクションとなった。「Speeding 72」のような、決定的なリフと織り成すコーラスは、Mommaのこれまでのやり方を根底から覆すものではなかろうが、この曲がそのサウンドのベストバージョンでないことに異論はないだろう。


「Rockstar」のような威勢のいい曲を既に書いているかかわらず、Mommaはまだ何か証明するものが残されていると感じているようだ。『Household Name』は、バンドにとって大きなチャンスであり、時間と資金を与えられたバンドは、それなりの期待を背負っている。しかし、知名度の上昇に際して不可欠なものとなる外側からの強いプレッシャーは、Mommaが自分たちに課しているものに比べれば微々たるもの。コバヤシ・リッチは、「自分たちがどこまでやれるか試してみたい。本当にたくさん取り組んで、考え抜いたときにどうなるかを見たいんです」と話す。


Mommaは、これほど若いアーティスト集団としては印象的な方法を用い、バンドキャラクターたらしめている。「Rockstar」のビデオや、90年代のロックを強く意識したこの新譜に見られるノスタルジックな雰囲気は、バンド活動と並行してのフルタイム労働が高いハードルになっていることを自認するMommaにとって、決して無縁な話とは言いがたいものである。とはいえ、彼女たちは将来のヴィジョンに対しても臆することも悲観することもない。ウィンガーテンは、「私たちは皆、永遠にこの仕事を続けるつもりという話をしたことがあります」と言う。さらに、「わたしたちを束縛するものは何もない」とフリードマンは自信満々に付け加える。


『Household Name』を、Mommaのディスコグラフィ全体と合わせて聴いてみると、このバンドの成功を疑う理由を見つけるのは困難だ。何より、まるで3rdアルバムであるにもかかわらず、デビュー作ののような勢いと新鮮さよって彩られたロックンロールのマスターピースである。

 

このことについて、「このアルバムは、自分たちがずっと長らく望んでいたサウンドを実現できたと思える最初のアルバムです」とエタ・フリードマンは語っている。一見すると、無謀なチャレンジにも思えるMommaのロックスターへの憧れ、彼女たちはその階段を登り始めたばかりだ。しかし、それは最新作『Household』のリリースにより着実にゴールに近づきつつあるとも言える。

 

 

 

 

『Household』 Listen/Stream  : https://momma-band.ffm.to/household-name


 

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