Peter Gabriel(ピーター・ガブリエル) 『i/o』の全貌を明らかにする


プログレッシヴ・ロックバンドの大御所、Genesisのメンバーで、現在は、ビヨンセ、The 1975等がレコーディングを行った”リアル・ワールド・スタジオ”を主宰するピーター・ガブリエル。彼は1年近く前から、満月に合わせてシングルを発表し、ニューアルバム『i/o』を秘密主義的に予告してきた。12月1日、ガブリエルはついに、このプロジェクトの全貌を明らかにする。なお、通常、12月はクリスマスのホリデー・シングル等の発表を除き、インディーズ・アーティストや、大物ミュージシャンのサプライズ以外は、アルバムの発売日を合わせることはかなり稀である。これはピーター・ガブリエルによる「奇策」とも呼べるリリース日設定なのだ。


音楽家は、基本的に、大御所になればなるほど、その影響力を音楽以外に敷衍し、社会的な影響を持つ人物になることを避けて通ることは出来ない。例えば、キャット・スティーヴンスは、ムスリムに改宗後、平和的な活動に従事し、世界平和についての提言を行っている。ブライアン・イーノも、かつては「The Ship」の時代、人類のパラノイアについて悲嘆を語っていた。同様に、最近、ピーター・ガブリエルも、音楽的な活動の他、社会的な発言も行うようになってきている。最近では、AIが音楽産業や社会的に影響を及ぼす危険性について、人類のテクノロジーの進化の過程を肯定的に捉えながらも、そのことについて警鐘をならしたばかりである。なお、レコーディング・アカデミーは、AIにより制作された音楽は、基本的にグラミー賞の対象外だとしている。音楽は常にテクノロジーの進化とともに発展してきたが、ここで、もう一度、音楽とは何であるのか。リスナー及び制作者も一緒になって考えていかねばならない。

 

得てして、啓示的な音楽家は、音楽を超越する何かを生み出そうとする。『i/o』では何が語られるのか。ピーター・ガブリエルにとって、20年以上ぶりとなるソロ名義の新作オリジナル・アルバムとなるほか、プレスリリースを見る限りでは、人類の光と影を反映するようなアルバムである。

 

本作には、ギタリストのブライアン・イーノ、ギタリストのデヴィッド・ローズ、ベーシストのトニー・レヴィン、ドラマーのマヌ・カッチェ、ソウェト・ゴスペル・クワイア、スウェーデンの男声合唱団のOprhei Drängar、ニュー・ブラッド・オーケストラ等、多くのミュージシャンやプロデューサーがこのアルバムに参加している。アルバムのアートワーク、及び収録曲は下記より。


他にも、マーク 'スパイク' ステントによるブライト・サイド・ミックスとチャド・ブレイクによるダーク・サイド・ミックスに注目。この2つのミックスは2枚組CDに収録されているほか、2枚組ビニール・アルバムとして別売りもされている。さらに、ハンス=マーティン・バフが指揮したインサイド・ミックスも3枚組と4枚組LPのデラックス・セットとして収録されている。

 

 

 

Peter Gabriel 『i/o』



Tracklist:

 

01. Panopticom

02. The Court

03. Playing for Time

04. i/o

05. Four Kinds of Horses

06. Road to Joy

07. So Much

08. Olive Tree

09. Love Can Heal

10. This Is Home

11. And Still

12. Live And Let Live