ラベル Yard Act の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Yard Act の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
Yard Act


リーズのポストパンクバンド、Yard Actがマーキュリー賞にノミネートされたデビュー・アルバム『The Overload』をダブで再構築した『The Overdub』をリリースした。リミックスはMad Professorが手がけている。


昨日(11月14日)ツイッターでサプライズ・コラボを予告していたYard Actが、Mad Professorによって制作されたデビュー・アルバム『The Overload』のダブ・リイマジネーション『The Overdub』を公開、Rough Tradeから現在ヴァイナルで入手可能です。


このダブ・リイマジネーションはデジタル・プラットフォームにはありませんが、Yard ActはMad Professorによる「Pour Another」のダブ・ヴァージョンを公開しており、「Pour More」と題されています。


Yard ActのJames Smithは「リーズに引っ越してきてJumboレコードに出会った頃、2、3週間に一度は学生ローンを使ってレコードを買っていた(血まみれの学生、物色野郎だった)。ジャンボはいつも(そして今も)素晴らしいダブ/レゲエのセレクションを持っていて、実際70年代にはレゲエのレコードを自社レーベル「Jumbo label」からリリースしていた(なんて素晴らしいんだ!)」と語る。 

 

「父からBurning SpearやLinton Kwesi Johnsonのようなレゲエの素養はあったが、ダブミュージックについてはリー'スクラッチ'ペリーが制作したAfrican Herbsmanというボブ・マーリーのレコードをもらったくらいでよく知らなかったんだ」スミスは続けて言う。


「それをきっかけに、ダブに手を出し始めたんだ。スクラッチのカットやキング・タビーのベスト盤をいくつか聴いた後、アートワークが気に入ったのと名前がクールだと思ったからジャンボでジャー・シャカ・ミーツ・マッド・プロフェッサーのレコードを購入したんだ。なんという買い物だろう。それ以来、ずっとファンです」 

 

「「Lee Scratch Perryとの仕事からU-Roy、そしてもちろん、Massive Attackの'Protection'の見事な再解釈も忘れてはならない。Mad Profは本当に生きる伝説で、The Overloadに彼のダブなアレンジを施すことができたのは本当に光栄だよ」

 

「僕たちは元々ヴォーカルヘビーなバンドだから、彼の再構築したトラックを聴くのは本当に素晴らしいことだ。彼のベースヘビーミックスは、僕にとって、僕の放浪記を支えているもの、一緒に作った彼、このバンドのバックボーン、そして僕らの冒険の始まりとなった音楽のアイデアの発端を思い出させてくれる。このミックスは4本の弦を持つ男、Mr. Ryan Needhamに敬意を表しているんだ。このレコードを聴くたびに、Mad Professorの偉大さだけでなく、我々のRyの偉大さも思い出すだろう。さあ、みんな、スピーカーを吹きに行こうぜ!!」


Mad Professorは、さらに次のようにコメントしている。「The Overdubは自然なタイトルだよ。この企画が持ち上がったとき、私はJoe AriwA、Black Steel、Horsemanと協力して、最もクリエイティブな方法でこの企画を扱おうと考えた。当然、このようなチームでは、ダビングの前にオーバーダブが来たんだ!」


 




Yard  Act 『The Overdub』




Label: Zen FC/lslands


Release:2022年11月15日



Tracklist:



The Overdub

Horse Meat

Pay Dub

Richer Dub

Dub Incident

Dub a Witness

Blind Dub

Quarantine the Dub 

Dub Poppies

Pour More

100% Dub



Rough Trade Shop:


https://www.roughtrade.com/gb/product/yard-act-mad-professor/the-overdub


 

Yard Act & Elton John


今年初めにリリースされたデビューアルバム「The Overload」に続き、Yard Actはアルバムに収録されていた「100% Endurance」の新バージョンを公開した。これは、なんと、驚くべきことに、英国の偉大な歌手、エルトン・ジョンとのコラボレーションによって実現したものである。


「僕らのキャンプには、”アートをやると信じられないことが起こる”という格言があるんだ。作りたいから作る、作らないよりは、共有したいから、作ったものを世に送り出す、そして、それをしばらくそのまま放っておいて、その通りにさせる。自分が作ったものが、自分の意図しないところへ連れて行ってくれることもありますが、それは自分の力ではコントロール出来ないことなんです。身に起こる現象全てをみずからの手でコントロールすることはできない。(アートをやっていると)どうしてもそうなってしまうんだ」とバンドのジェームス・スミスは説明する。

 

「エルトン・ジョンは、僕らの作品を聴いて、僕らのことをめちゃくちゃ良いと思っているとプレスに言い始めて、それから電話でおしゃべりをして、何回か電話をした後に、『エルトン、僕たちのスタジオに来て曲のピアノを弾きませんか?』と尋ねてみたんだ。とにかく、彼は「イエス」と言ったんだから、「ノー」と言わなかったことは問題じゃない。他に何て言ったらいいのかよくわからない。エルトンはミュージシャンとして実に素晴らしい。集中力が途切れず、常に陽気で、とにかく本当に素晴らしいミュージシャンなんだ」。


一方、エルトン・ジョンは、次のように今回のコラボレーションについて話す。「最初にヤード・アクトを聴いたときから、ジェームスの歌詞に惚れ込んでしまったよ。彼らのサウンドは、新鮮な空気のようなものだ。ジェームス・スミスから電話でスタジオに来ないか、と誘われたとき、私は即座にこのアイデアを気に入りました。私は60年代後半にセッション・ミュージシャンとして活動を始めましたが、当時、セッション自体がとても好きだった。最初に会うミュージシャンと一緒に演奏するのはとてもスリリングであり、自分のコンフォートゾーンを押し広げられ、常により良いミュージシャンになることができた。最近、ロックダウンの間、私は時間を持て余していたので、再び、協調してスタジオセッションを行うようになり、そのチャレンジとプロセスの刺激性に久しぶりに惚れ込んでしまったのです。ヤード・アクトはとても特別なバンドであり、大きな未来が待っている。彼らの旅に参加させてもらって光栄に思っていますよ」


ヤード・アクトのジェイムズ・ジェームスは、「100% Endurance」のリテイクの制作過程について次のように話している。

 

「ピアノを置き、ボーカルマイクを置き、私たちから指示を受け、私たちが頼んだことをすべて試した後、エルトンは他の人の曲でセッションするのが好きだと繰り返し、私(ジェイムス)とアリにとても心に響くことを言ったんだ。すごく魅力的だったのは、彼の他の人と聴こえ方が全然違うことで、聴いているものをしっかり聴き、すべての音を十全に理解できる。その鋭い洞察力、強い好奇心、そして何より、音楽への真摯なアプローチが、(今さらながら)エルトンが長年音楽シーンの頂点に立っている理由だと思う。エルトンはダイヤモンドさ。今回、彼とコラボレートし、一緒に演奏できたことは僕たちにとって大きな光栄でした。今、僕のママはこのことを友達にしきりに自慢してまわっているんだけど、アートをやると時々とんでもないことが起こるんだよ」

 

 

 

 

・Apple Music Affiliate Link

 

 

 


Yard Act

 

 

2022年1月21日にアルバム「The Overload」を引っさげてデビュー目前のUK、リーズのポスト・パンクバンド、ヤード・アクトは、今年の新人の中でも最も未来を嘱望されているホットな四人組といえるでしょう。

 

そう。すでに、BBC Radio 1の「BBC Sound Of 2022」のロングリストに選出されているヤード・アクトは、2022年、デビューを果たすアーティストの中で、最も注目すべきアーティストであることは間違いありません。


ヤード・アクトは、ジェームス・スミス(ヴォーカル)、ライアン・ニードハム(ベース)、サム・ジシップストーン(ギター)を中心に、ヨークシャー州リーズで結成され、ジェイ・ラッセル(ドラム)を加えて、現在のラインナップに至っています。

 

ヤード・アクトのスポークンワードを紡ぎ出すジェームス・スミスは、かつてのUKのミュージックシーンのご意見番、ザ・スミスのモリッシー、レディオ・ヘッドのトム・ヨークと同じように、社会に対する英国の若者の声を代弁する存在です。彼は、社会的、政治的な灰色の影を探し求め、その物語に、風刺的なスポークンワードを吹き込んでいます。リーズならではのサウンドを構築しながら、地元のパブにいる田舎者、デスクワークに行き詰まった反資本家、我々全員の中に存在する、安易な加担や闘志の間で揺れ動いて疲れ果てた活動家、そういった、現代のイギリスの生活のあらゆる場面を音楽に結びつけています。しかし、それらの社会に内在する問題について、彼らは、後ろ指を指すのでなく、シニカルさを交えて表現しているのです。

 

ヤード・アクトは、ソングトラックの制作過程で、特に、アイディアに力を入れています。地元リーズのカジュアルなパブで知り合ったジェームス・スミスとライアン・ニードハムは意気投合したのち同居をはじめ、共に暮すことにより高い作業効率を維持し、デビュー前からプログラミング、ループ、レイヤリングといったマスタリングツールを介して、デモテープを制作していきました。

 

「ライアンはヴァイブスであり、僕はオーバーヘッドだ!!」と、スミスはソングライティングの行程について冗談交じりに語る。

 

「今までで一番素晴らしい創造的なパートナーシップだ。グルーブを見出すと、ソングライティングが勝手に進んでいくんだ」

 

ヤード・アクトは、僅か三回目の公演を終えたところで、世界的なパンデミックに直面しました。しかし、彼らは活動を断念せず、自主レーベル”Zen F.C.”を立ち上げて、2020年から2021年初めにかけて、「The Trapper's Pelts」「Fixer Upper」「Peanuts」「Dark Days」(これらの楽曲は、後に「Dark Days EP」として発売)をリリースしています。これらの楽曲は、BBC 6 Musicでオンエアされ、徐々に、イギリス国内のミュージックシーンで話題を呼ぶようになり、パンデミックにも関わらず、ファンベースが急激に増え続けています。


「バンドを始めたのはただライブで演奏をするのが楽しかったからだよ」とフロントマンのジェームス・スミスは言う。

 

「でも、すぐに自分たちは曲を書くのが好きなんだと気がついたんだ。ありきたりなんだけど、僕たちはいつだってポップミュージックに影響されてきたし、それを”僕たち”らしく表現する方法を探求してきた。スポークンワードに人々が反応すればするほど、僕たちは励まされる。強い部分を探求し、それを極限まで押し上げることが重要だと思う。ただし、僕たちヤード・アクトの極限というのは、僕がたくさん話すことなのさ」

 

 

 

 

 

 Yard Act  「Rich」(4Singles) Zen F.C

 



Tracklisting

 

1.Rich

2.Payday

3.Land Of The Blind

4. The Overload



Listen On 「Rich」:


https://yardact.lnk.to/RichPR


 

 

今週の一枚としてご紹介させていただくのは、アルバム「The Overload」を引っさげてのデビューを1月21日に控え、世界的に話題騒然となっているヤード・アクトのシングル作「Rich」となります。

 

「Rich」については、昨日、Youtubeのヤードアクト公式アカウントを通じてMVが公表されたシングル作品で、今年、最も鮮烈な印象をミュージック・シーンに与えるであろうデビュー作「The Overload」発表前の最後のリリース。これで、すべて、ヤードアクトのデビューにむけて舞台は整ったといえるでしょう。ファンは、すでに、この1月下旬にリリースされるアルバムを首を長くして待ち望んでいるものと思われますが、この四曲を聴くだけでも、ヤード・アクトのファースト・アルバム到着日までの期待感は募るばかりと言えるでしょう。

 

ヤード・アクトの音楽の魅力は、特に、すでに発表されている「Payday」「Land Of The Blind」「The Overload」の3つのシングル曲、及び「Rich」に見えるとおり、パブリック・イメージ・リミテッド、トーキング・ヘッズ、ザ・スリッツ時代のUKポスト・パンクの熱狂性、そして、そこに、新たに、スポークンワードを介した社会に対する風刺のスパイスが効いていること。その風刺は、それほど嫌なものではなく、スカッとした爽快感すら与えるのは、そもそもこの四人組が社会に対してそれほど大きな信頼を置いていない証拠であるわけです。

 

また、「ソープ・オペラ」と称されるヤード・アクトの音楽は、パンクのような苛烈性とオペラのような壮大なストーリーを交えて展開されており、つまり、本来相容れないはずの、セックス・ピストルズとピンク・フロイドの融合体ともいえる。そして、Music Videoについても、このリーズの四人の若者たちのシニカルなジョークが満載、苛烈でありながらコメディドラマを観ているかのような笑いのタッチに満ち、それが、実際のポスト・パンク感満載の音楽にしても、スポークンワードにしても、痛快な印象を与えてくれるはずです。彼らの社会風刺は、アメリカの往年のギャングスタ・ラップのように痛烈であるにもかかわらず、皮肉やブラックジョークに満ちているため、このバンドの印象は、それほど堅苦しくなく、親近感を覚えてもらえることでしょう。

 

ヤード・アクトの音楽性の中に感じ取れるのは、1970年代のロンドン・パンク、その後に続くニューウェイブ・パンクに対する憧憬。そして、この1970年代のロンドンの若者たちは、ヤード・アクトと同じように、社会という概念をことさら真面目に捉えず、自分たちなりに、それをユニークな視点を持って眺めていたはず。これは、自分そのもの、周囲にいる人間たちを社会や権力よりも信頼していたからです。2000年代に差し掛かるにつれ、それよりさらに大きな概念、社会通念、資本主義、そして、権力、そういった架空の何かを、多くの人々は金科玉条として信じ込むようになっていった。

 

しかし、リーズのヤード・アクトは、頼もしいことに、必ずしもそうではないようです。彼らは、社会常識と足並みを揃えることを拒絶するパンクスピリットの継承者とも言えます。社会通念を別の側面から眺めてみることもときに大切であると提案し、なおかつ、イギリスのミュージック・シーンの伝統性を引き継いだユーモア、ジョーク、さらに、社会風刺を交え、素晴らしい未来の音楽を生み出そうと努めているのです。