New EP Reviews Japanese Breakfast 「Live At Electric Lady」

 Japanese Breakfast


ジャパニーズ・ブレックファーストはオレゴン州ユージーン出身、ミシェル・ザウナーのソロプロジェクト。

 

2013年、リトル・ビック・リーグのヴォーカルとして活動していたザウナーは母親が癌であるとの知らせを受け、オレゴン州に帰郷。

 

その後、リトル・ビック・リーグの作品「Tropical Jinx」をリリースした後、「Japanese Breakfast」として名乗るようになり、ソングライターとしての活動を始めています。厳密に言うなら、彼女は日系人ではないものの、外国的な響き「Japanese」そしてアメリカ的な響き「Breakfast」という組み合わせが面白かったから、自身のプロジェクト名を「Japanse Breakfast」と冠するようになったそう。

 

 2016年にはアルバム「Phychopomp」をDeadoceansからリリースしてデビュー。センセーショナルな話題を呼んだアルバムではないものの、ドリーム・ポップとディスコサウンドをかけ合わせた独特なサウンドを展開。その後、翌年リリースした「Soft Sounds from Anotherplanet」は、シューゲイザーとドリームポップの中間を行く音楽性で多くのファンを魅了します。

 

この年、ジャパニーズブレックファーストの名は瞬く間に、国内のインディーロックファンに知られるようになる。最新作「Jubiee」では、日本のアイドルポップ、アメリカのインディーロック/ローファイを融合した個性的な音楽性で、アメリカのインディーロック界を席巻。

 

2021年現在のアメリカインディーロック界において、”Indigo de Souza”と共に双璧をなす再注目のアーティストです。




「Live At Electric Lady」EP   2021 Dead Oceans




 

これまでアイドルポップとドリーム・ポップを融合させたような独特な世界観を打ち出してきたジャパニーズ・ブレックファースト。

 

正直なところ、音楽性の最初の印象としては、インディゴ・デ・ゾーサほどには良くなかったんですが、近年のリリースを見るかぎりで、ジャパニーズ・ブレックファーストは完全にその最初のイメージから脱却し、よりバラエティ豊かな創造性の高い個性的なシンガーソングライターとしての道を歩み始めているのをひしひしと感じます。

 

前作の「Glider」2021は、ゲームのサウンドトラックを初めてジャパニーズ・ブレックファーストが手掛けた作品ですが、徐々に最初期のイメージとは異なるマルチタレント性を発揮しはじめ、彼女の才覚は、最初期には花開いておらず、ウィーザーの名曲「Say It Aint'so」を収録した今作「Live At Electric City」で、いよいよその本領を発揮し始めたと言えます。

 

特に、2021年リリースの「Juibee」の完成度の高い楽曲をゴージャスなストリングスアレンジを交えてライブ音源として再録した「Live At Electric City」は、近年までのドリーム・ポップのアーティストというイメージを払拭し、落ち着いた上品さの漂うシンガーとしての才質が遺憾なく発揮されている傑作です。

 

これまでソングライティングという面では、類稀なる才覚をみせてきたミシェル・ザウナーはこのライブ盤において、エレクトリック・ピアノ、ストリングスのアレンジ楽曲に取り組むことにより、これまでとは異なるシンガーとしての資質を示すことに成功し、本来のザウナーのキュートなキャラクター性と合わさり、クラシカル寄りの雰囲気が醸し出されています。

 

特に、このライブ盤では、「Ballad O」「Boyish」は、一聴の価値有りです。何となく平成時代の日本のポップスを彷彿とさせ、日本人にとっては馴染みのあるような曲で、こういった楽曲はアメリカには存在しないため、珍しく聴こえるのかもしれません。

 

近年の日本のアーティストは平成時代のポップスのメロの良さというのを捨ててしまった感もなくはないですが、意外にもアメリカのアーティスト、ジャパニーズブレックファーストがこの平成時代の日本のポップス性を見事に引き継がれているのに驚く。

 

他にも、Weezerのカバー「Say Aint' It So」のアレンジメントも原曲に引けを取らない上質な雰囲気に彩られています。弦楽器のアレンジメントが秀逸で、ホロリとしてしまうようなセンチメンタルで美しい楽曲が多く収録。ジャパニーズ・ブレックファーストのメロディセンスというのがいかに秀でているのか痛感出来る作品。Weezerのファンはもちろんのこと、インディーロックファンは必聴の一枚です!!




Japanese Breakfastのリリース情報につきましては、Dead Oceansの公式HPを御参照下さい。

 

 https://deadoceans.com/news/japanese-breakfast-releases-live-at-electric-lady-ep/



References


https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ジャパニーズ・ブレックファスト


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