Weekly Recommend Naima Bock 「30 Degrees」


Naima Bock



ナイマ・ボックは現在、サウスロンドンを拠点に活動するシンガーソングライター。幼少期をブラジルのサンパウロで過ごし、ギリシャ語、英語を話すバイリンガルの母親を持ち、そしてブラジル人の父親の元で過ごした。

 

ナイマ・ボックは、幼い頃から、様々な人種の入り混じったサンパウロの様々な音楽に触れています。ナイマ・ボックの家庭では、またビーチに車でドライブに向かう際には、バーデン・パウエル、シコブアルキ、ジェラルド・ヴァンドル、カルトーラといったブラジル人アーティストの音楽が流れていた。その独特なブラジル人の音楽を日常的に触れたことが、ナイマ・ボックの他のヨーロッパのアーティストはことなる音楽上の素養を育んだ。

 

七歳には家族揃ってサンパウロからサウスロンドンに移住した。十代の頃には既に、ナイマ・ボックは早い音楽家としてのキャリアを歩み出し、 Windmil Brixtonのショーに出演するようになる。

 

また若い時代の音楽家の常として、十五歳の頃には、友人とバンドを組み、音楽活動に励んでいる。その形が最終的には、Goat Gailというバンドの音楽性で最初に実を結んでいる。このバンド活動において、ナイマ・ボックは六年もの間、ギリシャをはじめとする国々のツアーをまわり、さらにここで多種多様な文化観と音楽性に磨きをかけた。それはソロ活動に引き継がれた要素である。

 

2021年の11月には、シアトルの名門Sub Popと契約を果たし、デビュー作を12月にリリースした。ブラジルのボサノバ、フォーク、その他ロックのテイストを交えた独特な音楽性として注目が集まっている。

 

 

 

「30 Degrees」 Sub Pop   2021

 

 

Naima Bock 「30 Degrees」  

 


 

 

Tracklisting

 

1.30 Degrees

2.Berimbau

 

 

Featured Track 「Berimbou」Official Audio Listen on youtube: 

 

 

 

 

この12月7日にリリースされたばかりのシングル作「30 Degrees」は、既にリリース情報として記事に書いていますが、再び、今週の一枚として是非とも取り上げておきたいシングル。今週リリースされた中で飛び抜けて傑出した作品です。(追記・以前の記事におきまして、リリースが決定!!とするべきところを、既にリリースされたかのように書いてしまったことをお詫び申し上げます。)

 

特に、ナイマ・ボックのイギリスのミュージックシーンへの登場は、またサブ・ポップというアメリカのインディーシーンへの影響力も加味してみると、現在、画一的になりつつあるヨーロッパやアメリカのインディー・ミュージックに新しい息吹をもたらす可能性もありそうです。ボサノヴァ、そのほか民族音楽を交えたフォーク音楽として、今週のリリース作品の中でも随一の出来といえるでしょう。

 

このシングル「30 Degrees」に収録され二曲が例えば十二曲収録されたスタジオアルバムの品質に劣るのかといえばそうではないはずです。薄められた十二曲の楽曲を聴くよりは、強い印象を持つ二曲のシングル作を聴いた方が有益であることは確かでしょう。より音楽を踏み込んで聴く、何度も聴いてその作品の良さを堪能するという方が、十二曲収録のアルバムを一度聴いただけで飽きて放り出してしまうよりはるかに、音楽ファンにとってはふさわしい時間の使い方であるはずです。そういったことをこのシングル作は思い至らせてくれるかもしれません。

 

このシングル作に収録されている二曲は、おしゃれな印象によって彩られています。それはカフェで流れているようなラウンジ音楽のようなつかみやすい雰囲気が漂っていて、くつろいだ気分を聞き手に与えてくれるでしょう。

 

一曲目の「30 Degrees」は、独特なインディー・フォークの楽曲です。インドのシタールが取り入れられているのは、民族音楽へのボックの傾倒が伺え、それが付け焼き刃ではない深い理解による音楽が生み出されています。何と言っても、独特なリズム感がナイマ・ボックの音楽性の個性で、強拍を徐々に後ろにずらしていくというシンコペーションの手法が見られ、それが心地よいフォーク音楽として昇華されています。 

 

二曲目の「Berimbau」もまたヨーロッパの主流の音楽とは異なり、ボサノヴァの音楽性、リズム性を瀟洒に取り入れた楽曲。勿論、それは上辺だけの音楽性をみずからの作風に取り入れただけではないことはこの楽曲を聞いていただければ理解してもらえるはずです。

 

ここには、幼少期のサンパウロで過ごした時代の深みのあるブラジルの土地に対するナイマ・ボックの憧憬が、歌やギターの演奏により、音を楽しむ、という形でのびのびと表されています。このなんとも、オシャレで優雅、そして、開放感に溢れた楽曲の雰囲気には、ナイマ・ボックの幼少期のサンパウロのビーチの情景を追体験するかのような爽快感を感じていただけるはず。さらに、ナイマ・ボックの音楽性には、インディー・ロックらしい強い個性に彩られているようにも思え、これは、ブラジルのサンパウロのサンバで奏でられるアクの強いリズム性により強固に支えられているがゆえ、このような強い存在感を持った楽曲が生み出されるわけなのです。


このシングル「30 Digrees」は、ブラジルの音楽を文化に真摯な敬意を表し、それを聴きやすい形で提示したという面で、新鮮味溢れる作品です。これからのイギリス、あるいはアメリカのインディーミュージック・シーンに良い影響を及ぼしそうな画期的な作品としてご紹介しておきます。

 

 

 

 ・Sub Pop Naima Bock 「30 Digrees」offical HP 


 

https://www.subpop.com/releases/naima_bock/30_degrees 

 


 

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