LAのポップシンガー、Savannah Pope ニューシングル「Terrible Thing」をリリース

ロサンゼルスを拠点とするポップシンガー、Savannah Pope(サバンナ・ポープ)によるニューシングル「Terrible Thing」を聴いてみよう。音楽的にはアヴァン・ポップだが、ダイナミックなスネアのパーカションが重々しく響き、ホープの歌うボーカルに独特な説得力をもたらしている。

 

同楽曲はポープのキャリアにおいて繊細かつ野心的な作品である。バロック調でフラメンコの影響を感じさせる告白的な楽曲だ。長く渇望しながらも完全に掴みきれない愛のパラドックスと向き合う。世界的な影響を思わせるリズムの華麗さと、ロード、レナード・コーエン、ソフィア・イゼラ、ミューズらを想起させる情感の核が融合し、聴く者を魅了する強烈な体験へと誘う。

サバンナは新曲について、「豊かなアレンジと映画的な物語性でアイデンティティ、抑圧、生存を扱うEPの一部と位置づける。「こうしたことは口に出して言える類いのものじゃない。歌で語らなければならない」と語る。 

このアーティストは、理解する前にまず身体で感じるような、忘れがたい独自性の楽曲を生み出す。オペラ的な歌唱力、圧倒的なビジュアル、そして一切の妥協を許さない生々しいソングライティングで知られ、シネマティックなアートロック、詩的なインディー、アヴァンギャルドなポップスペクタクルの境界を漂う楽曲を紡ぎ出す。

近々リリース予定のEPは、ブレイク作『Pandemonium』で始まった進化をさらに推進させている。彼女の経験に根ざした繊細で、容易には言葉にできない領域へと深く潜り込もうとしている。

 

 

「Terrible Thing」
 

 

 Savannah Pope:

サバンナの音楽への道程は直線的であったとはいいがたい。彼女が初めてギターを学んだのは更生施設であり、創造性の断片が唯一の逃避先となった監禁の場であった。大学では、バルセロナで絵画を学び、後にブルックリンのプラット校を中退している。束縛から解放された感覚でロサンゼルスに戻った。 ある夜、オープンマイクで突如ステージに飛び乗った決断が全てを変えた。

「胃の底に奇妙な衝動を感じた」と彼女は語る。「誰かのギターを借りて、ただ飛び込んだ。反応は電気のように走った。私は夢中になった」

 

その後、数年間、バンド活動に没頭した。騒々しく混沌とした、形成期の時代。彼女の声は騒音の中で空間を支配するまでに変貌を遂げた。 しかし、自身のバンドが軌道に乗り始めた矢先、サバンナは車に轢かれ、数ヶ月間歩行不能に陥った。

 

依存症が忍び寄る中、再び、音楽が心の支えとなった。わずかな保険金でデビューアルバムを制作、ソロプロジェクトを始動。自ら手掛けるジャンルを超越した音と映像の宇宙が誕生した。サバンナの作品は個人的体験とシュルレアリスム的視点に駆動され、深いテーマ性を帯びている。 

新作EPは、女性としてのアイデンティティ、トラウマ、社会の認識と内なる真実の葛藤を探る、バロック的で感情豊かな作品群となりつつある。「こうしたことは口に出して言えないものなの」と彼女は語る。「それは言葉ではなく歌で表現する必要があった」

新曲はこの精神を体現している。 スペインへの旅とフラメンコへの再燃した愛に触発されたこの楽曲は、渇望していた愛を受け取るものの、完全に受け入れられないという混乱した体験を捉えている。

 

「やり場のない吐き出すことを必要とする気持ちについて歌っている」と彼女は説明する。リズムの華麗さは、彼女の世界的な影響力を示し、感情的な共鳴はロード、レナード・コーエン、ソフィア・イゼラ、ミューズといった多様なアーティストを想起させる。 

「パノプティコン」のような他の楽曲は、フローレンス・アンド・ザ・マシーン、ラナ・デル・レイ、そして、その演劇性と勇気が今もサバンナのアプローチに影響を与え続けるアーティスト、ボウイから音響的影響を受けている。

 

アダム・ギメネスらとの共作や、ジョシュア・サドリア＝ブラウン、オール・メイド・アップといったプロデューサーとの協業を通じ、サバンナは各レコーディングセッションを感情の錬金術の実験のように扱っている。 サバンナの没入型アートはスタジオをはるかに超える。

自身で衣装をデザインし、ミュージックビデオの監督・編集を手掛け、ビジュアル素材を全て制作する。「Melancholic Goddess」などの動画はインスタグラムで数百万回再生され、大成功したクラウドファンディングで資金調達した『Pandemonium』のリリースショーは完売した。LAで最も魅力的なアンダーグラウンド・パフォーマーの一人としての地位を確固たるものにしつつある。 

音楽以外では、クロスワードパズルに没頭中だ。（ボグルではチャンピオン級の挑発者）、さらに熱心な読書家、奇妙な映画を探し求める映画愛好家の表情を持つ。移民の権利や生殖権、動物保護活動、自身のプラットフォームを通じたマイノリティの声の支援に情熱を注いでいる。 

サバンナ・ポープの音楽の核心は、私たちが埋もれさせた真実や沈黙で包んだ傷と向き合うことにあるようだ。他人が目を背ける場所へ敢えて目を向けて、それを認めることで、ある種の解放をもたらす。「人々に、隠すように教えられてきた自分の一部を受け入れてもらいたいと思っていた」と彼女は語る。