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St. Vincentがニューアルバム『All Born Screaming』の最終シングル「Big Time Nothing」を配信した。ムーグ・シンセを導入したダンサンブルなポップナンバーだ。

 

マイケル・ジャクスンの『Thriller』のサウンドに対するオマージュが示されている。勢いを失った商業音楽にもう一度、MTVの全盛期の繁栄を取り戻すべく、クラークは奔走する。一つの反復的なベースラインを元にして、渦巻くようなファンクソウルがエナジーを上昇させ、無から炎を作り出す。それはアーティスト自身の存在性を焦がすような強烈な熱量を包含しているのである。

 

セント・ヴィンセントはファーストシングル「Broken Man」、デイヴ・グロールをドラムに、ジャスティン・メルダル=ジョンセンをベースに迎えたセカンド・シングル「Flea」を公開した。


アニー・クラークはこのアルバムをセルフ・プロデュースし、ミックスはシアン・リオーダンが担当した。このアルバムには、ケイト・ル・ボン、レイチェル・エクロース、ジョシュ・フリース、マーク・ギリアナ、ステラ・モグザワ、デヴィッド・ラリッケも参加している。


クラークは以前のプレスリリースで、アルバムについてややミステリアスに語っている。「感情的には、自分の心が本当は何を言っているのかを知るために、一人で森の中を長く歩かなければ辿り着けない場所がある。このアルバムがリアルに聞こえるのは、それがリアルだからなの」

 

St.Vincentの新作アルバム『All Born Screaming』は今週末、4月26日にVirgin Musicからオンセール。


 

「Big Time Nothing」-Best New Tracks



St.Vincent    『All Born Screaming』


Label: Virgin Music

Release:  2024/04/26


Tracklist:

1. Hell is Near
2. Reckless
3. Broken Man
4. Flea
5. Big Time Nothing
6. Violent Times
7. The Power’s Out
8. Sweetest Fruit
9. So Many Planets
10. All Born Screaming [feat. Cate Le Bon]


Pre-order(INT)

https://link.fans/st-vincent



ニューヨークのシンガーソングライター、ミツキがニューアルバム『The Land is Inhospitable and So Are We』 「Star」の新しいビデオを公開した。ビデオの監督はMaegan Houangが手掛けた。ミツキは同時に世界ツアーの日程を発表した。今後のアーティストのツアー日程は以下の通り。


HouangはプレスリリースでMVについて次のように語っている。「ミツキと私が過去に一緒に制作した、より物語的でコンセプト重視のビデオとは異なり、このビデオは、私たち全員が経験する印象的な循環を表現したかった。我々の人生は、光と闇の間で揺れ動き、永久のものは何もない無限のサイクルで繰り返される。最高の瞬間はつかの間だが、悪い瞬間もまたつかの間だ」


ミツキは『The Land is Inhospitable So Are We』の曲を何年もかけて一気に書き上げた。このLPは主にナッシュビルのボム・シェルターでレコーディングされ、パトリック・ハイランドが共同プロデュースした。このアルバムはMUSIC TRIBUNEのアルバムオブザイヤーに輝いたほか、レビューでも⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️を獲得。



「Star」





Mitski 2024 Tour Dates:


Sat. Apr. 27 - Edinburgh, UK @ Usher Hall ✺ 

Sun. Apr. 28 - Edinburgh, UK @ Usher Hall ✺ 

Wed. May 1 - Manchester, UK @ 02 Apollo ✺ 

Sat. May 4 - Dublin, IE @ 3Arena ✺ 

Mon. May 6 - Wolverhampton, UK @ The Civic at the Halls ⁂ 

Wed. May 8 - London, UK @ Eventim Apollo ⁂ 

Thu. May 9 - London, UK @ Eventim Apollo ⁂ 

Fri. May 10 - London, UK @ Eventim Apollo ⁂ 

Sat. May 11 - London, UK @ Eventim Apollo ⁂ 

Tue. May 14 - Brussels, BE @ Cirque Royal ✥ 

Wed. May 15 - Brussels, BE @ Cirque Royal ✥ 

Fri. May 17 - Paris, FR @ Le Grand Rex ✥ 

Sat. May 18 - Paris, FR @ Le Grand Rex ✥ 

Mon. May 20 - Amsterdam, NL @ Royal Theater Carré ✥ 

Tue. May 21 - Amsterdam, NL @ Royal Theater Carré ✥ 

Fri. May 24 - Berlin, DE @ Tempodrom ✥ 

Sat. May 25 - Berlin, DE @ Tempodrom ✥ 

Tue. May 28 - Frankfurt, DE @ Jahrhunderthalle ✥ 

Thu. May 30 - Zürich, CH @ Theatre 11 ✥ 

Sat. Jun. 1 - Barcelona, ES @ Primavera Sound

Tue. Jun. 4 - Madrid, ES @ Noches Del Botanico

Thu. Jun. 6 - Porto, PT @ Primavera Sound

Sun. Aug. 18 - London, UK @ All Points East Festival at Victoria Park [Headline Performance]

Tue. Aug. 27 - Detroit, MI @ Masonic Temple Theatre ★ 

Wed. Aug. 28 - Detroit, MI @ Masonic Temple Theatre ★ 

Fri. Aug. 30 - Columbia, MD @ Merriweather Post Pavilion ★ [SOLD OUT] 

Sat. Aug. 31 - Columbia, MD @ Merriweather Post Pavilion ☾ [SOLD OUT] 

Sun. Sept. 1 - Columbia, MD @ Merriweather Post Pavilion §

Tue. Sept. 3 - Cleveland, OH @ Jacobs Pavilion ★ [SOLD OUT] 

Fri. Sept. 6 - Atlanta, GA @ The Fox Theatre ★ 

Sat. Sept. 7 - Atlanta, GA @ The Fox Theatre ★ 

Sun. Sept. 8 - Atlanta, GA @ The Fox Theatre ★ 

Tue. Sept. 10 - Sugar Land, TX @ Smart Financial Centre ▽ 

Thu. Sept. 12 - Austin, TX @ Moody Center ✦ 

Fri. Sept. 13 - Grand Prairie, TX @ Texas Trust CU Theatre ▽ 

Sat. Sept. 14 - Grand Prairie, TX @ Texas Trust CU Theatre ▽ 

Tue. Sept. 17 - Morrison, CO @ Red Rocks Amphitheatre ✽ 

Wed. Sept. 18 - Greenwood Village, CO @ Fiddler’s Green Amphitheatre ✽ 

Sat. Sept. 21 - Portland, OR @ Moda Center ✽ 

Mon. Sept. 23 - Berkeley, CA @ Greek Theatre ◇ [SOLD OUT] 

Tue. Sept. 24 - Berkeley, CA @ Greek Theatre ◇ [SOLD OUT] 

Wed. Sept. 25 - Stanford, CA @ Frost Amphitheater ◇ 

Sat. Sept. 28 - Los Angeles, CA @ Hollywood Bowl ∞


✺ w/ Richard Dawson 

⁂ w/ Miya Folick 

✥ w/ Iceage 

★ w/ Lamp 

▽ w/ Arlo Parks 

✦ w/ Ethel Cain 

✽ w/ Laufey 

◇ w/ Wyatt Flores 

☾ w/ Alvvays 

§ w/ Sierra Ferrell

∞ w/ Sharon Van Etten

 

 

ロンドンを拠点に活動する シンガーソングライター、マルチインストゥルメンタリスト、プロデューサー、Alfie Templeman(アルフィー・テンプルマン)が、6月にリリースを控える最新アルバム『Radiosoul』より3曲目となる先行シングル「Hello Lonely」をリリースした。先行公開された「Eyes Wide Shut」「Radiosoul」に続く三作目のシングル。MVと配信リンクを下記よりチェックしてみよう。

 

ーーこの曲は、コロナ禍、そしてコロナが明けてからもみんなが抱えたあの混乱の様子を捉えていると思います。


みんなが『これからどうなるの?』と考えた時期です。いつも社交性の面で少し苦手と感じていて、時々SNSやツアーで苦労することがあります。1年に100回もステージに上がり、さまざまな人と会話を続けることがエネルギーを必要とするからです。仕事と家庭の生活がまったく異なる場合、静寂はかなり耳障りで非常に強烈に感じられます。「ハロー・ロンリー」は、それらの耳障りで大きな”静寂の瞬間”を乗り越え、自分の正気を確認することについて表現した曲です。  ーー Alfie Templeman


 

NMEやBBC Radioなど、楽曲をリリースするたび、さまざまなメディアから称賛を集めるアルフィー・テンプルマン。今回の楽曲は仕事とプライベートを両立することの難しさをテーマに、自身が抱える苦悩や葛藤をストレートかつ独特な視点で歌っている。



しかしサウンド面は内省的な内容と相反して、アルフィーの楽曲の中でも一際目立つダンサブルな1曲に。これまでにリリースした2曲「Eyes Wide Shut」、「Radiosoul」とのサウンドの一貫性を保ちつつも、苦悩や葛藤を吹き飛ばしてしまうほどの勢いや疾走感を感じさせるトラックに仕上がった。


プリンスからミネアポリス・サウンドを、トーキング・ヘッズからはポスト・パンクの精神を、そしてテーム・インパラが持つサイケデリック性とスティーヴ・レイシーに代表されるオルタナティブR&Bサウンドを、アルフィーがもつ奇跡的なバランス感覚で混ぜ合わせ、他にはない正真正銘の”アルフィー・サウンド”を確立。



6月のアルバムリリースに向かって、リリースする度に音楽家としてのさまざまな表情を見せるアルフィーの進化の過程を見逃すな!



「Hello Lonely」-Best New Tracks

 

 

 

Alfie Templeman(アルフィー・テンプルマン) 「Hello Lonely (ハロー・ロンリー)」 ーNew Single



レーベル:ASTERI ENTERTAINMENT

形態:ストリーミング&ダウンロード

配信リンク: https://asteri.lnk.to/ATHelloLonely

 

 

Alfie Templeman:

 

イングランド、ベッドフォードシャー出身のシンガーソングライター / マルチインストゥルメンタリスト / プロデューサー。 8歳の時にRushのライブに魅せられ、曲づくりを始める。ドラム、ギター、キーボード、マンドリン、ハーモニカなど10個以上の楽器を独学で習得。2018年にEP『Like an Animal』でデビュー。

 

2022年には1st フルアルバム『Mellow Moon』をリリース。全世界でのストリーミング数は現在累計3億回を超える。UKのインディーポップ・シーンの新星としてBBCラジオ、サンデー・タイムズ、The ObserverやVOGUE UK(ヴォーグ イギリス版)などからも注目を集める。



テイラー・スウィフトのニューアルバム『The Tortured Poets Department』が間もなくリリースされることを予告する謎めいた壁画がシカゴに出現した。


4月15日(月)、ペインターのグループがまだ壁画に取り組んでいるところで、リバーノース地区の建物の側面に白黒の作品を刷毛で描いている。

 

この壁画を撮影したファンの写真を見ると、大きなQRコードが部分的に薄くなった線で囲まれていたという。よく見ると、それぞれスウィフトのラッキーナンバーである "13 "と新譜の頭文字である "TTPD "が繰り返されているように見える。一体、何が起こったのか??




そして、このQRコードを携帯電話ですると、視聴者はスウィフトの公式YouTubeページの未登録のShortにたどり着く。それから、再生を押すと、タイプライターで一文字ずつ綴ったような「Error 321」という謎めいたメッセージが画面に表示された。

 

今週末(4月19日)にリリースされる『The Tortured Poets Department』は、音楽業界を蘇らせた『Midnights』に続く作品である。


歴代最高の商業的な成功を収めたワールドツアー、The Eras Tourと併行してレコーディングされた16曲のメイン・トラック(そのうちの2曲はポスト・マローンやフローレンス+ザ・マシーンとのコラボレーション)と、4曲のボーナス・トラックが収録され、様々なデラックス・エディションのアルバムに散りばめられている。  


テイラー・スウィフトがこのプロジェクトを最初に発表したのは、2024年のグラミー賞のセレモニーの最中で、アーティストは『ミッドナイツ』の最優秀ポップ・ヴォーカル賞を受賞した瞬間だ。その直前には彼女のウェブサイトに同様の「エラー321」のメッセージが表示されていた。

 

この新しい壁画は、ミュージシャンと彼女のチームが『Tortured Poets』の到着に向けてファンを興奮させた最新の方法に過ぎない。

 

スウィフトはまた、アップル・ミュージックの旧曲の歌詞にこのアルバムに関する一言のヒントを隠し、同プラットフォームで5つの「Stages of Heartbreak」プレイリストを公開した。またこのアルバムには隠されたメッセージが含まれているとのこと。


シカゴの『Tortured Poets』の壁画と、そのQRコードからリンクされたビデオは以下を参照のこと。

 

 


ウェイズ・ブラッド(別名: ナタリー・メリング)は、2019年4月5日にサブ・ポップから発売された『Titanic Rising』の5周年を記念して、「Andromeda」のビデオを公開した。SFテイストのミュージックビデオで、メリングがカルフォルニアの大地から宇宙へと旅立つという内容。

 

このアルバムはナタリー・メリングの出世作であり、三部作の第一作に位置づけられる。その後、アーティストは2022年、二作目の『And In The Darkness,Hearts Glow』を発表した。以後、フジロックで来日公演を行い、苗場ではニューヨークのシンガー、キャロライン・ポラチェックと交流していた。今年に入り、両者はコラボレーションを行い、「Butterfly Net」をリリースした。


ミュージックビデオは2018年に部分的に撮影され、今年に入って完成した。ナタリー・メリングはアンバー・ナヴァロ、コルトン・ストックと共同でビデオ監督を務めた。以下よりご覧ください。



 Maggie Rogers 『Don’t Forget Me』

 

 

Label: Polydor

Release: 2024/04/12

 

Review

 

Apple Musicのプレスリリースの声明を通じて、ニューヨークのマギー・ロジャースは、できるだけ音楽を楽しむようにしたと述べている。その楽しさがリスナーに届けば理想的であるというメッセージなのだろうか? レビューを行うに際し、世界屈指の名門レーベル、ポリドールから発売された本作は、1986年のマドンナの傑作『True Blue』の雰囲気によく似ている。マドンナのアルバムは、クラブチューンとポップスをどこまで融合出来るかにポイントが置かれていたが、マギー・ロジャースのアルバムも同様にダンサンブルなポピュラーテイストが漂う。いわゆる楽しみや商業性を重視した作品ではあるものの、聞き入らせる何かがある。マギー・ロジャースは、シンディー・ローパー、マドンナ、そして現代のセント・ヴィンセントにつながる一連のUSポップの継承者に位置づけられる。歌唱の中にはR&Bからの影響もありそうだ。

 

アルバムのオープナー「It Was Coming All Along」は分厚いシンセのベースラインとグルーヴィーなドラム、そして装飾的に導入されるギターラインという3つの構成にロジャースのボーカルが加わる。この一曲目を聞けば、ロジャースのシンガーとしての実力が余すところなく発揮されていることがわかる。ウィスパーボイスのようなニュアンスから、それとは対極にある伸びやかなビブラート、そして、R&Bに属するソウルフルな歌唱法等、あらゆるサングの手法を用いながら、多角的なメロディーと多次元的な楽曲構成を提供する。ハイクオリティのサウンドも名門レーベル、ポリドールの手によりダイヤモンドのような美しく高級感のある輝くを放つ。そしてアーティスト自身が述べているように、それは華やかで楽しげな空気感を生み出す。


同じく「Drunk」も、マドンナからのUSポピュラーの系譜を受け継ぎ、それにギターロックの性質を加えている。タイトルと呼応するかのように、酩酊した状態の楽しげな気分と、それとは正反対にあるブルーな気分を織り交ぜ、奥行きのあるポピュラー・ソングを展開する。ニューキャッスルのスター、サム・フェンダーのようなロック的な性質を織り交ぜながら、アンニュイなムードからそれとは対極にある激した瞬間まで、幅広いエモーションを表現している。そして、これらの微細な感情の抑揚は、やはりフェンダーのヒットソング「Seventeen Going Underground」のような共感性を思わせ、スタンダードなポップソングの魅力を擁しているのである。


特に驚いたのが、先行シングルとして公開された「So Sick of Dreaming」だった。ここではスティング要するThe Policeの名曲「Every Breath You Take」の80年代のニューウェイブサウンドを影響を込め、ブライアン・アダムスを彷彿とさせる爽快なロック/ポピュラー・ソングへと昇華させている。もちろん、そこにはアーティストが説明するように、米国の南部的なロマンチシズムが微かに揺曳する。


特に、前作の『Surrender』ではシンセ・ポップという形に拘っていたが、今回の楽曲はその限りではない。繊細なものからダイナミックなニュアンスに至るまでを丹念に表現し、そしてそれらをメロとサビという構成からなるシンプルなポップソングに落とし込んでいる。さらに前作よりもロジャースのボーカルにはソウルフルな渋さと哀愁が漂い、この曲に深みをもたらしている。そしてサブでコーラスが加わった時、この曲は最も華やかな瞬間を迎える。曲の終盤ではニューヨークのスタイルであるスポークンワードのサンプリングを散りばめ、アルバムの伏在的なテーマである20代の思い出を切なく蘇らせる。


「The Kill」は不穏なワードだが、曲自体はTears For Fearsのヒット曲「Everybody Wants To Rule The World」のシンセポップの形を受け継ぎ、それをモダンな印象で彩る。しかし、MTVが24時間放映されていた音楽業界が最も華やかな時代の80’sのポップスは、ロジャースのソングライティングやボーカルの手腕にかかるやいなや、モダンな印象を持つポップソングへと変化する。ここにもポリドールのプロデュースとマギー・ロジャースの録音の魔法が見え隠れする。ミニマルな構造性を持つ楽曲だが、構成自体が単調さに陥ることはほとんどないのが驚きだ。ギターロックとシンセポップをかけあわせた作風の中で、ロジャースは曲のランタイムごとに自身の微細なボーカルのニュアンスや抑揚の変化を通して、音程やリズム、そして構成自体にもバリエーションをもたらしている。特にアウトロにかけてのギターリフとボーカルの掛け合いについては、ロック的な熱狂を巻き起こしている。単なるポピュラー・ソングだけではなく、オルタネイトな響きを持つロックへと変化する瞬間もあるのがこの曲の面白い点なのである。

 

その後も、アーティストの感覚的なポップサウンドがポリドールらしい重厚なベースを要する迫力のあるプロダクションと交差する。アーティストの最もナイーブな一面を表したのが続く「If Now Was Then」で、ロジャースが20代の頃の自分自身になりきったかのように歌を紡ぐ。そこには純粋な響きがあり、高いトーンを歌ったときに、少しセンチメンタルな気分になる。サビの箇所ではポピュラーシンガーから実力派のソウルシンガーへと歌唱法を変える。これらの歌唱のバリエーションは、楽曲自体にも深い影響を及ぼし、聴き応えという側面をもたらす。普通のトーンからファルセットへの切り替えも完璧で、歌手としての非凡さが体現されている。

 


スタンダードなバラードソングが年々少なくなっているが、ロジャースは普遍的な音楽へと真っ向から勝負を挑んでいる。「I Still Do」は、ビリー・ジョエルを彷彿とさせる良質なバラードソングである。この曲では、一般的なバラードソングとは異なり、音程の駆け上がりや跳躍ではなく、最も鎮静した瞬間に、あっと息を飲むような美しさが表れる。それはやはりロジャースの多角的な歌唱法という点に理由が求められ、微細なビブラートと中音域を揺れ動く繊細なボーカルが背後のピアノと劇的な合致を果たすのである。歌そのものの鮮明さも、ポリドールの録音の醍醐味の一つだ。取り分け、最後に登場する高い音程のビブラートは本当に素晴らしい。

 


「I Still Go」

 

 

 

アルバムは二部構成のような形で構成されており、ほとんど捨て曲であったり、間に合せの収録曲は一つも見当たらない。続く「On & On & On」では2つ目のオープニングトラックのような感じで楽しめる。ここでは冒頭に述べたようにマドンナの作風を踏襲し、それらを現代的なクラブチューンへと変化させている。特にロジャースのダイナミックなボーカルはいわずもがな、ファンクの印象を突き出したしなやかなベースラインがこの曲に華やかさをもたらしている。 続く「Never Going Home」もサム・フェンダーの新しいフォーク・ロックの形を女性ボーカリストとして再現する。そしてこの曲には最もアメリカの南部的なロマンチシズムが漂う。

 

続く「All The Time」では、エンジェル・オルセンやレンカーのような形で、フォークミュージックというフィルターを通じて、質の高いポピュラー・ソングを提供している。ここにもプレスリリースで示された通り、南部的なロマンが漂う。それがアコースティックギターとピアノ、そしてボーカルという3つの要素で、親しみやすく落ち着いたバラードへと昇華されている。


アルバムのクローズでも前の2曲のフォーク・ミュージックの気風を微かに留めながら、ソウルフルなポピュラー・ソングで本作は締めくくられる。このアルバムのタイトルを心から叫ぶようにロジャースが真心を歌う時、本作を聴いたことへの満足感や充実感は最高潮に達する。それはもちろん、ビブラートの精度を始め、歌手による高い水準の歌唱を中心にそれらの切ないような感覚が表現される。2024年のポピュラー音楽のニュースタンダードの登場である。


本作は歌手としての技量は勿論、音楽的なムード、そして20代の頃の回想という複数のテーマが合致し、ポリドールの卓越したプロダクションにより、高水準の作品に仕上がっている。前作『Surrender』に続いて、アーティストはいよいよ世界的な舞台に登場することが期待される。

 


 

95/100 

 

 

Best Track -「So Sick Of Dreaming」


ディズニー・チャンネルでお馴染みの人気女優/歌手としても活躍するサブリナ・カーペンター(Sabrina Carpenter)が新曲「Espresso」を配信した。この曲は、エイミー・アレン、ジュリアン・ブネッタ、ステフ・ジョーンズと共作した。ブネッタは、この新曲のプロデュースも手がけており、デイヴ・メイヤーズ監督によるミュージックビデオも公開されている。以下より。


カーペンターは、Apple Music 1のゼイン・ロウとのインタビューで「Espresso」について解き明かした。

 

「変な話だけど、この曲はフランスで書いた。この曲には、世界を旅しているような興奮とエネルギーがあった。とてもあっという間の作業だったことを覚えている。つまり、最初から最後まで......。だからこそ、得難いような楽しさが伝わってくるんだと思う。私にとっては、曲全体に個性があふれていることが、とてもエキサイティングなことでした。そういう曲は、わたしの音楽とか、わたしが誰であるのかとか、そういうことを知らない人たちが、この1曲を聴くだけで、わたしのユーモアのセンスについてよりよく理解し、戻ってくれるような曲なのです」

 

 「Espresso」

 


SUB POPの一押しシンガー、Suki Waterhouse(スキ・ウォーターハウス)が2作のシングル「My Fun」と「Faded」を同時配信した。両曲とも、カラム・スコット=ダイソンによるアニメーション・ヴィジュアル付きで公開された。アーティストはコーチェラフェスティバルへの出演を目前に控えている。

 

映像の監督を務めたスコット・ダイソンは、声明の中で次のようにコメントしている。


「モンティ・パイソンや他の偉大なカットアウト・アニメーターにインスパイアされて、この2つのビデオでは、活気があって、楽しくて、チョッピーなカードカットのストップモーション・アニメーション・スタイルにしてみたんだ」

 

「曲によって雰囲気が違っていたので、"My Fun "では彩度の高い明るい雰囲気に、"Faded "では少し洗礼された雰囲気にしました」


ウォーターハウスは2022年にサブ・ポップからデビュー作『I Can't Let Go』をリリースした。なお、現在、レーベルはシアトルの空港にあるサブ・ポップのショップ店員を募集中とのことである。詳細はサブポップ公式サイトにて。

 

 

 「My Fun」

 

 

「Fade」

 Weekly Music Feature -- Leyla McCalla

 

©ANTI-


ハイチからの移民と活動家の間にニューヨークで生まれたレイラ・マッカラ(Leyla Mccalla)は、過去と現在からインスピレーションを得ている。


マッカラは、チェロ、テナー・バンジョー、ギターを見事に操り、多言語を操るシンガー・ソングライターとして、彼女のルーツと経験が融合した独特のサウンドを生み出す。ソロ活動に加え、マッカラは''Our Native Daughters''(リアノン・ギデンズ、エイミシスト・キア、アリソン・ラッセルと共に)の創設メンバーであり、グラミー賞を受賞した黒人ストリングス・バンド、キャロライナ・チョコレート・ドロップスの卒業生でもある。


マッカラの5枚目のスタジオ録音となるニュー・アルバム『サン・ウィズアウト・ザ・ヒート』(ANTIから4月12日発売)は、変容の痛みと緊張を抱えながらも、遊び心に溢れ、喜びに満ちている。『Sun Without the Heat』の10曲を通して、マッカラは、アフロビート、エチオピアの様式、ブラジルのトロピカリズム、アメリカのフォークやブルースなど、さまざまな形態のアフロ・ディアスポラ音楽に由来するメロディーとリズムで、重さと軽さのバランスを実現している。


 彼女の2022年のアルバム『Breaking the Thermometer』(ANTI-)は、デューク・パフォーマンスズの依頼による音楽、ダンス、演劇の複合的な作品のアルバム・コンパニオンである。命がけでハイチのクレヨル語のニュースを報道したラジオ・ハイチの勇敢なジャーナリストの物語を通して、『Breaking the Thermometer』は、自己と社会の解放を促進する自由で独立した報道の重要性を明らかにしている。


『Breaking the Thermometer』は、『The Guardian』、『Variety』、『Mojo』、『NPR Music』によって今年のベスト・アルバムのひとつに選ばれ、彼女の曲「Dodinin」は、バラク・オバマのお気に入りリストに入った。マッカラは、フォーク・アライアンス・インターナショナルから2022年度の''ピープルズ・ヴォイス・アワード''を受賞した。この賞は、創作活動に臆することなく社会変革を取り入れたアーティストに贈られる賞である。


次のプロジェクトを構想する中で、マッカラは音楽的な味覚を広げ、長年創作に影響を及ぼしてきたものを見直した。「私は音楽が緊急性を帯びているのが好きなの。でも、新しいアルバムは遊び心があって楽しいものにしたかった」


『サン・ウィズアウト・ザ・ヒート』でマッカラは、オクタヴィア・バトラー、アレクシス・ポーリン・ガンブス、アドリアン・マリー・ブラウンら黒人フェミニスト・アフロフューチャリストの著作から歌詞の霊感を得ている。これらの著者のように、マッカラはソングライティングを、信仰と希望を高め、コミュニティーの思考を促し、個人の変容を触媒する方法として見ている。「ソングライティングは、語るべき物語を語るための方法です。時には痛みを伴う話もある」


 このアルバムのタイトル曲は、奴隷解放宣言の6年前、1857年にフレデリック・ダグラスが奴隷制度廃止論者の白人群衆を前に行った演説を引用している。


彼の生々しい言葉がこの曲に響いている。「耕さずに作物が欲しいのか/雷を鳴らさずに雨が欲しいのか/轟音を鳴らさずに海が欲しいのか」 


ダグラスの主張は、マッカラがこの曲の中心的なメッセージに織り込んでいるように、変革的な行動にコミットすることなしには、解放と平等はあり得ないということだ。


「私たちは皆、太陽の暖かさを求めているが、誰もがその熱さを感じたいわけではない。両方が必要なの」

 

このスピーチと、スーザン・ラフォの著書『Liberated to the Bone』(2022年)に心を動かされたマッカラは、歌詞を付け加えてこの考えを全面的に主張する。"暑さなくして、太陽はない"。この歌は、社会変革のための継続的な取り組みと、私たちが今も背負っている闘いを思い起こさせる役割を果たす。"この傷はとても古い "とマッカラは私たちに思い起こさせる。


『サン・ウィズアウト・ザ・ヒート』は、ニューオーリンズのドックサイド・スタディーズで9日間の集中セッションでレコーディングされた。マリアム・クダスのプロデュースで、マッカラは長年のバンド・メンバーでありコラボレーターでもあるショーン・マイヤーズ(パーカッションとドラム)、ピート・オリンチウ(エレクトリック・ベースとピアノ)、ナウム・ズディベル(ギター)が参加した。クダスはシンセサイザー、オルガン、バッキング・ヴォーカルで参加している。


「いつもはスタジオに入ると、曲と骨組みがすでに出来上がっている」とマッカラは言う。「でもこのアルバムでは、リアルタイムで骨組みを作った。威圧的なプロセスだったけど、一緒に仕事をするミュージシャンたちに自分がどれだけ支えられているかを実感することができた」



その結果、個人的なものと普遍的なもの、悲しみと喜びを同時に抱えた超越的な曲のコレクションが生まれた。このアルバムを通して、マッカラは変容の要素と、闇から光へと向かうために必要な熱を探求している。


『Sun Without the Heat』はANTI- Recordsからリリースされる。マッカラは現在、リッチモンド大学のアーティスト・イン・レジデンスでもある。このアルバムに寄せられた賛辞は以下の通り。



「一度レイラにのめり込んだら、もう手離すことは難しい」-Iggy Pop、BBC Radio 6 Music


「高揚感と力強さ.このアルバムはまさしく彼女の音楽的遺産を祝福するものである」- UNCUT


「このアルバムの他、この夏、フェスティバルの観客の上を転がり落ちるような良い音はほとんどないだろう」 - The Guardian


「レイラ・マッカラは、恐怖なくして希望は持てないことを知っており、変身という行為自体がトラウマになりうることを決して度外視しない。この強烈なエッジ、そして彼女の信仰によるメッセージの背後にある利害関係の認識は、これらの曲を空虚なセンチメンタリズムのリスクを超えて押し上げ、「Sun Without the Heat」を真に高揚させる」- MOJO


「レイラ・マッカラのような方法で、音楽の名手が自分の声の予期せぬ可能性を探求するのを聞くのは、爽快なことだ...。ポストコロニアル、汎アフリカの経験の複雑なテクスチャーを彼女の憧れの詩的言語でなぞる」- NPR



Leyla McCalla『Sun Without the Heat』- ANTI-



 

カリブ海にあるハイチは、およそポスト・コロニアルの時代のおいて、植民地化、及び、占領という二つの悲劇的な運命にさらされてきた。クリストファー・コロンブスが15世紀にヨーロッパ人として最初にこの諸島を発見すると、以降の四半世紀はスペインによる侵略、以後はフランスの占領下に置かれた。ナポレオンの時代、アフリカの諸国を始め、カリブ海の群島まで皇帝の名は轟く。植民地という考えについては、二つの側面から解釈できる。つまり、先住民族の圧政による支配と土地の文化の掠奪である。何も、金銀財宝にとどまらない。侵略国家はいつもその国の文化を消去し、その国の風土を全く別の色で染め上げる。地球上のあらゆる国という国、そして島という島、土地と地域が近代化文明の中で、およそその国の資本主義化や現代化という名目上、別の国家への転身を義務付けられてきた。「Invadeー侵略」という行為の本質は事物的な掠奪にあるのではない。究極の目的は国家の文化性を破壊することなのだ。これは現代の社会通念であるグローバリズムやグローバリゼーションの考えに置換することもできる。

 

ハイチの音楽は、日本のFMラジオ局の”J-WAVE”の特集動画で紹介されている通り、明らかにスペインのフラメンコやサルサに近い。もしくはアルゼンチンのタンゴ、もしくはブラジルのサンバにも比する陽気な気風に彩られている。南米の気風がハイチの音楽には反映されているが、一方で、カリブ諸島、それよりも西に位置するハワイやグアムのような土地のトロピカルな音楽の浸透もある。いついかなる時代において、これらの複数の地域の音楽が混交し、別の土地に伝わったのかまでは明言しかねるが、中世ヨーロッパの繁栄の時代、それはもちろんエカテリーナの時代のロシヤ帝国の繁栄の時代とも重なりながら、カリブ海の地域に位置する幾つかの諸島では、国家間での文化の交換、やりとり、交易がなんらかの形で行われていたものと推測される。つまり、これらの文化性の混交がハイチの音楽の魅力ともなっているのである。

 

レイラ・マッカラの音楽が素晴らしいのは、歴史という側面を悲観視するのではなく、肯定的に捉えていることだろう。前時代の侵略や植民地支配の歴史を否定せず、それを肯定的に捉えた上で、どのような独自の音楽文化を次世代に伝えていくのかという点に表現性の核心が据えられている。これはまた、植民地国家としての自立性や自主性、アフリカの諸国と同じように「本質的な意味の独立」というテーマを交えながら、マッカラはそれを音楽という形を通じて勝利を手元にたぐりよせようと試みるのである。もちろん、ためしに、世界地図を目の前に広げてみてもらいたい。ハイチという土地の地政学を見ると、南アメリカとも繋がっている。マッカラの音楽は、アフリカ、アメリカ、カリブ、ヨーロッパというように、無数の地域の音楽がR&Bやジャズ、ワールドミュージック、そしてロックという複数の文脈を元に展開されていくのである。 言うなれば、音楽における数世紀の歴史がこのアルバムに凝縮されているのである。

 

 

アルバムの音楽の世界に踏み入ると、そこには驚嘆すべきユートピアが広がっている。オープニングを飾る「Open The Road」にはマッカラの開放的な音の響きを容易に見いだすことが出来る。この曲では、ハワイアンやアロハの音楽性を踏まえて、古典的なジャズやサルサを始めとするワールド・ミュージックのリズムとスケールを駆使して展開される。複雑な変拍子を背景に演奏されるマッカラのテクニカルなエレクトリック・ギターは、シカゴ/ルイヴィル/ピッツバーグのポスト・ロックのような形で体現される場合もある。しかしながら、音楽そのものが神経質になったり、強張ったりすることはほとんどない。レイラ・マッカラの20世紀はじめのR&Bシンガーのようなナチュラルなボーカルは、メロウな空気感を生み出し、リゾート地のコテージの向こうに広がるエメラルドの海、その果てに境界線を形作る雲ひとつない青空のような爽快さがある。マッカラは、ジャズに加え、Dick Daleのようなサーフミュージックの影響を絡めながら、トロピカルな気風を反映したギターリフにより、この曲を面白いようにリードしていく。

 

 続く「Scaled To Survive」でも”ロハス”な気風が続く。ハワイアン・ミュージックを反映させ、鳥の声をシンセのシークエンスで表現し、それをヒップホップのビートのように見立て、Buddy Hollyの「Everyday」のような古典的なロックンロールの影響を交えながら、蠱惑的なポピュラーソングを展開させる。レイラ・マッカラのボーカルは背景のサウンドプロダクションと絶妙に合致し、それは南国的な雰囲気にとどまらず、いわくいいがたい天国的な空気感を作り出す場合もある。ギターの演奏はミュージック・コンクレートのように配置される。その間にボーカルが入ると、トリニダード・ドバゴのカリプソ(レゲエのルーツ)のようなトロピカルな印象を形作る。 

 

 

三曲目「Take Me Away」は、端的に言えば、世界のカーニバルの音楽である。聞き方によっては、リオのサンバのようでもあり、スペインのサルサのようでもあり、また、フラメンコのような陽気さもある。また、アフロ・ビートからの影響を指摘するリスナーもいるかもしれない。しかし、この曲はどちらかと言えば、日本の「囃子」のような音楽性がギターロックの形で表現されていてとてもおもしろい。これらの囃子という民族音楽は、日本の地方のお祭りに見出され、大阪の岸和田のだんじりであったり、他にも東北のお祭り等で、神輿を担ぎながら、民衆が掛け声を掛けながら、やんややんやと騒ぎ立てながら町中を陽気に練り歩くのだ。リズムに関しては、ハイチの民族音楽の影響がありそうだが、実際にアウトプットされるサウンドは驚くほど自由で開放的である。このトラックに満ち溢れる崇高性や完璧性とは対極にある別の意味の音楽の楽しみは、タイトルにあるようにリスナーを別の場所に誘う力とイメージの換気力を兼ね備えている。しかし、音楽的にはカーニバルのような陽気さがあるが、マッカラのボーカルはR&Bのようにしっとりとしており、そして落ち着いた雰囲気に縁取られている。

 

マッカラのギターの演奏に関しては、どうやらジャズのスケールの反映がありそうだ。「So I'll Go」は、シカゴのジャズ協会の名誉会員であるジェフ・パーカーのようなロックとジャズの中間にある淡い感覚の音楽を体現している。これらは、TortoiseやRodanのようなポスト・ロック性にとどまらず、アーティストのアヴァンギャルド・ロックへの親和性も見出せる。この曲はおそらく、これまでにありそうでなかったタイプのロックソングで、ハイチ・トロピカルやハワイアン・ミュージックのようなリゾート地の音楽性が巧みに織り交ぜられている。それらが最終的に、ミニマルロックの要素と綿密に絡み合い、ワイアードな音楽性を作り出すのだ。ロック的な文脈に位置しながら、マッカラのボーカルスタイルには、Ernestine AndersonのようなジャズとR&Bの中間にあるブルージーな味わいがある。これらは、熟成に熟成を重ねたケンタッキーのバーボンのような苦味と渋さをもって、わたしたちの音楽的な味覚を捉えてやまない。


続く「Tree」は二部構成のアルバムの序章のような感じで始まる。古典的なR&Bに依拠したバラードだが、マッカラはそれを普遍的な歌声で奏でる。アコースティックギターでの弾き語りは、ブルージャズに近いニュアンスで展開されるが、その中には往年のR&Bシンガーのような開放的な感覚と奥行きのある歌声が披露される。イントロのモチーフが終わった後、サルサやタンゴ、フラメンコを彷彿とさせる南米的な気風を携えたポピュラーソングが続く。また、曲の進行ごとに、面白いように表情が変わり、稀にキューバの”Buena Vista Social Club”に象徴づけられるジャズのビックバンドの音楽に近づく瞬間もある。少なくとも、南米的な哀愁が感情的に織り交ぜられ、それが巧みなギターの演奏やボーカルのニュアンスの変化により、聴き応えのあるナンバーに昇華される。ここにも、JFKの時代、南米とアメリカの国家的な関係性に歪みが生じさせることになった政治的な事変が、ナラティヴなテーマとして機能している。それらは古き日へのララバイなのであり、それらの政治的な運命に翻弄された民衆への哀悼を意味する。

 

続くタイトル曲にも、それらの政治的なテーマが内在している。プレスリリースで銘記されている通りで、「耕さずに作物が欲しいのか/雷を鳴らさずに雨が欲しいのか/轟音を鳴らさずに海が欲しいのか」という勇敢なメッセージが織り交ぜられている。しかし、マッカラの本質的な音楽性は、平和や友愛という側面にあり、それらをハワイアン・ミュージックやフォーク・ソングを基調とするスタンダードな響きを持つポピュラーナンバーとして展開される。これらの歌詞を通し、サブテクスト(行間)のリリックが聞こえてきそうだ。混迷をきわめる世界情勢の中で何を重んじるべきか?   それは”もう一度、敵対した人々が手を取り合い、踊ることが出来る”ということなのだ。それは普遍的なメッセージなのであり、パブロ・ピカソが絵画の中に込めたメッセージとまったく同じ内容である。その後、アルバムの音楽は現世的な雰囲気を離れ、やや神秘的な音楽性へと舵を取る。「Tower」のイントロでは、中近東のガムランやインドネシアの音楽のような民族性に少しの親しみを示した後、そのモチーフをベースにしてハイチのアグレッシヴな響きのある民族音楽を展開させる。どこまでもそのリズムは高らかであり、そしてマッカラのボーカルも誇らしげだ。自国の文化を誇るのにどのような遠慮がいるのか。 

 

 「Sun Without the Heat」

 

 

こういった点を踏まえると、驚くほど曲のタイトルと制作者の考えがスムーズに合致していることに気づく。マッカラが伝えたいのは普遍的な愛であり、以外の何物でもない。それは性愛を越えた万物に注がれるべき本質的な光を意味する。これがゆえに、レフ・トルストイは、かつて「光あるうちに光の中を歩め」と言った。「Love We Had」は、ANTI-らしいシンプルなロックンロールナンバーで、世の中に愛を忘れた人々がたくさんいることの証明代わりである。しかし、それでも思い出してみてほしい。愛が存在せずにして何者も存在しえない。そして昨年、マッキンリー・ディクソンが語ったように、どのような人も、愛されているということなのである。それがワールド・ミュージックやサーフミュージックのような楽しげな響きで繰り広げられるとあらば、このトラックに耳を澄まさずにはいられないというのも道理なのである。

 

レイラ・マッカラは、みずからのハイチ出身という出自を踏まえ、歴史的なテーマや真摯なメッセージ性を内在させながらも、どこまでも純粋で親しみやすい音楽を作り出す。そして優れたミュージシャンというのは、自分から与えるということを厭わないものである。ぜひ、目をゆっくりとつぶり、「Giive A Break」に耳を澄ませ、思い出してほしい。自らの心がこの世に蔓延する本質とは対極に位置するーー憎しみ、恨み、悲しみーーこういったものに毒され、美しい心の鏡を曇らせていたということを。そして、じっくり思いを馳せてみてほしい、それとは対極にあるーー愛、安らぎ、優しさーーそういったものも人々の心のどこかに存在するということを。

 

アルバムの最後でも、マッカラの音楽的表現は、どこまでも透徹しており、一貫性があり、何も注文をつける点はない。講釈や評言を付け加えるのが無粋なくらい。「I Want To Believe」は、レイラ・マッカラのチェロの演奏を通じて繰り広げられる「自分を信じることができなくなった人々に捧げられるささやかな応援ソング」だ。この曲は普遍的な音楽の美しさをどこかに留めている。今年のポピュラーミュージックの名盤の登場といっても過言ではないかもしれない。



98/100
 
 

「I Want To Believe」


マディ・ディアス(Madi Diaz)がレノン・ステラ(Lennon Stella)と新曲「One Less Question」でタッグを組んだ。両者は、昨夜に放映された”Jimmy Kimmel Live!”で、この曲をファンの前にお目見えした。彼らのパフォーマンスとスタジオ・バージョンの試聴は以下から。


「One Less Question」は、マディ・ディアスによれば、「本当の愛がいかにあなたを迷わせないか、その人があなたの人生にとどまることを全身で知ったとき、どのように感じるか」について歌っているという。「それは無条件。それは信頼。それは真実だ。その人が答えなのだから。その感覚を味わうことができるなんて、なんと美しいことだろう」


「レノンがこの曲の私のヴァージョンをレコーディングさせてくれたことは、この上なく光栄なことだし、私がこの曲の一部になってほしいと頼んだとき、彼女が”イエス”と言ってくれたということは、これ以上の夢のようなことはない」とディアスは続けた。「彼女がこの物語の一部になってくれて光栄だし、私も彼女のほんの一部になれて嬉しい。私たちがお互いに出会っていなかったら、この曲は存在しなかったかもしれません」と続けた。


一方のレノン・ステラは、「私はこの曲がとても大好きなんです。マディと私はケイト・ヨークと一緒に、ライパーズ・フォークの私の家でハングした夜に書いたの。この曲を聴いてもらえるのがとても楽しみです。私たち3人にとって、とても特別な曲なの」


Madi Diaz(マディ・ディアス)の最新アルバム『Weird Faith』は今年初めにANTI-からリリースされた。



「One Less Question」-Jimmy Kimmel Live!


UKの有力メディアに注目を浴びる"Imogen and The Knife"(イモージェン・アンド・ザ・ナイフ)は、弱さとコントロールの共存を表現し、デビュー・シングル「Mother Of God」で創造的なヴィジョンを描き出す。ソングライターとしての性質はもちろん、ロックテイスト溢れるパンチのあるナンバーによって今後、ロンドンのミュージック・シーンで注目を浴びる可能性が出てきた。

 

Imogen and The Knife(イモージェン・アンド・ザ・ナイフ)は、音楽表現におけるメタファーの達人である。シンガーソングライターは、"ザ・ナイフ "を反抗的な権力の奪還として用い、その名を通してきわめて説得力のある声明を打ち出している。彼女、そして歌手の人生を通じて重要なモチーフとして作用してきた”手術用のナイフ”は、今やイモージェンの芸術的表現を意味するものに生まれ変わった。その象徴は、歌詞にも実際の音楽性にも体現されている。


「Mother Of God」は、彼女の旅の始まりである。複雑なレイヤーを重ねたインストゥルメンテーションにテーマ性を融合させ、詩の一行一行が彼女のプロジェクトに関する意図を的確に反映している。個人的であり奥行きのあるこの曲は、新人のサウンドをニュアンス豊かに表現している。以下の歌詞を見れば、その文学的な才能がいかほどのものかご理解いただけるだろう。

 

ーー私を失望させたすべての人のモザイク  私は椅子を引き、私の痛みの使徒らのところへ安堵のあまり、ただ雨から逃れるため酒を飲んだ あなたは両手で銀の刃を握りしめていた 私を愛しているように笑った あなたが刻んだ私のイニシャル 私はなにかを話そうとしたが、後ろ向きでしか話すことができなかった ようやく床に着いたとき、ボートハウスが白亜に染まったーー


この曲のインスピレーションについて、イモージェンは次のように語っている。 「マザー・オブ・ゴッド! これが唯一のものであるはずがないというのは、対処しない限り、夢と痛みが去らないという目覚めの悟り。この曲が書かれた後、繰り返される夢は少なくともそうなったのだから」


破綻した人間関係を内面的に見つめたこの曲は、Imogen and The Knife(イモージェン・アンド・ザ・ナイフ)の世界に没入させてくれる。ギターが多用された陰鬱なヴァースと、コーラス中の奔放なホーン・セクションが織り成すダイナミックかつエクストリームな激しさは、アルバム全体の共通事項だ。オーケストラ・インストゥルメントとモダンなプロダクションの間で、ネオ・ソウル、R&B、ポップの要素がインパクトのある折衷的なアレンジに結実している。


説得力のあるリード・ヴォーカルに導かれ、イモージェンは魅力的なビジュアルを創り上げている。

 

 

「Mother Of God」

Billie Eillish(ビリー・アイリッシュ)が3枚目のスタジオ・アルバム『Hit me Hard and Soft』の制作を発表した。Darkroom / Interscope Recordsから5月17日にリリースされる。アルバムの先行シングルは配信されないとの情報。


『Hit me Hard and Soft』は彼女のこれまでで最も大胆な作品であり、多様でありながらまとまりのある曲のコレクション。彼女の弟で、唯一のコラボレーターであるフィニアスの協力を得て、ふたりは地元ロサンゼルスでアルバムの作曲、レコーディング、プロデュースを行なった。今作は、大成功を収めた2枚のアルバム『When We All Fall Asleep, Where do We Go?"』と『Happier Than Ever』に続き、ビリー・アイリッシュの世界をさらに発展させる内容となっている。


ビリー・アイリッシュは、インスタグラムの「Close Friends」のストーリーにフォロワー全員を追加して、ティーザーとしてソーシャルに投稿した後、2019年のデビュー作『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DOE WE GO?"』の成功に続く、2021年の『Happier Than Ever』の続編を発表した。


2月、彼女はアルバムが完成したことを報告し、「私のアルバムはマスタリング完了」と書いた。彼女のセカンド・アルバムは、2022年のグラミー賞で年間最優秀アルバム賞、最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞、年間最優秀楽曲賞、年間最優秀レコード賞を含む7部門にノミネートされた。


そして今回、アイリッシュはインスタグラムで3枚目のスタジオ・アルバムを発表した。「so crazy to be writing this right now I'm nervyyyyy & exciteddd not doing singles I wanna give it to all at once you :PPP」( このことを皆に報告することはすごくクレイジー。先行シングルは配信されません。発売日に合わせて、全てをあなたがたの元に届けたいと思うから、とした上で、ビリー・アイリッシュは次のようにファンに書いている。フィニアスと私は本当にこのアルバムをこれ以上ないほど誇りに思っています。)



Trailor




Billie Eilish 『Hit me Hard and Soft』


Label: Darkroom / Interscope Records

Release: 2024/05/17


*収録曲は未定



Billie Eilish:


ビリー・アイリッシュ(2001年12月18日生まれ)はアメリカのシンガーソングライター。2015年、デビュー・シングル「Ocean Eyes」で世間の注目を浴びる。この曲の作詞・作曲・プロデュースは、彼女が楽曲やライブでコラボレーションしている兄のフィニアス・オコネルが担当。2017年には『Don't Smile at Me』というタイトルのデビュー・エクステンデッド・プレイ(EP)をリリースした。


アイリッシュのファースト・スタジオ・アルバム『When We All Fall Asleep, Where Do We Go?(2019年)は、USビルボード200とUKアルバム・チャートで首位デビューを果たした。5枚目のシングル「Bad Guy」の成功に後押しされ、アイリッシュにとって初の全米ビルボード・ホット100での1位を獲得し、今年最も売れたアルバムのひとつとなった。


このヒットにより、アイリッシュは21世紀生まれのアーティストとして初めてチャート1位を獲得した。翌年、アイリッシュは同名のジェームズ・ボンド映画の主題歌「No Time to Die」を披露し、全英シングル・チャートの首位を獲得、2022年度アカデミー賞オリジナル楽曲賞を受賞した。その後のシングル「Everything I Wanted」、「My Future」、「Therefore I Am」、「Your Power」は全米と全英でトップ10入りを果たした。セカンド・スタジオ・アルバム『Happier Than Ever』(2021年)は25カ国のチャートで首位を獲得。

 

©Alasdair McLellan

泣く子も黙るエレクトロ・ポップの伝説、Pet Shop Boys(ペット・ショップ・ボーイズ)が、次作『Nonetheless』からセカンド・シングル「Dancing Star」を配信した。彼らの痛快なディスコポップはABBAの楽曲と双璧をなし、アンセミックな響きを持つキラーチューンばかりだ。

 

リード曲「Loneliness」に続くナンバーは、1961年にソビエト連邦から亡命し、世界的スターとなったバレエ・ダンサー、ルドルフ・ヌレエフにインスパイアされた。ブレエフはドキュメンタリー映画としても取り上げられている。

 

従来と同様にPSBらしいディスコポップのサウンドアプローチが図られているが、アーティスティックな香りがわずかに漂う。それは近代の歴史に翻弄された芸術家の姿がリアルに反映されているから。以下よりチェックしていこう。


2020年の『Hotspot』に続く『Nonetheless』は、Parlophone(パーロフォン)から4月26日にリリースされる。

 

 

「Dancing Star」

 


オーストラリア出身のシンガー・ソングライター/女優、グレース・カミングス(Grace Cummings)が、ATOより今週末に発売される三作目のアルバム『Ramona』から最終シングル「A Precious Thing」をミュージック・ビデオで公開した。

 

「A Precious Things」は美しさと雄大さを兼ね備えたポップバラード。アウトロのオーケストラストリングスは、伝説のソウルシンガー、また米国のブラックミュージックの先駆者でもあるサム・クック(Sam Cooke)の「Change Gonna Come」のような偉大さがある。昨年、デビューアルバムをリリースしたニューヨークの新人シンガー、マディソン・マクファーリン(Madison McFerrin)に続いて、ソウルフルなカラーを持った実力派の歌手の登場である。

 

曲の終盤の圧倒されるような素晴らしい歌唱力は鳥肌もの。オーケストラをフィーチャーしたドラマティックな曲の展開も◎。今週の”Best New Tracks”として紹介します。アルバム発売日を目前にチェックしてみよう。

 

グレース・カミングスは同国の人気ロックバンド、ライブアクトとして世界的に支持を集めるキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザード(King Gizzard & The Lizard Wizard)との共演を含むツアーを予定している。


このドラマチックなポップバラードについて、カミングスはプレスリリースで次のように語っている。「この曲は2022年のクリスマス・イヴに書きました。この曲は以前、ワシの金切り声をフィーチャーしていた。私たちはその部分を取り除き、ティンパニに置き換えることにしました」


グレース・カミングスは舞台俳優としても活躍している。それが彼女の音楽における演劇性や声の力強さとなっている。ジョナサン・ウィルソンは『Ramona』をプロデュースした。アルバムのタイトルとタイトル曲は、ボブ・ディランの1964年の曲 "To Ramona "にインスパイアされている。


「自分自身になりたくなかったから、代わりに激しさとメロドラマに満ちたラモーナになろうと決めたの」とカミングスはプレスリリースで説明している。「私にとって、コスチュームや仮面をかぶることは安全なこと。本当の正直さや弱さを表現する唯一の方法だと感じることもある」

 


「A Precious Thing」

 

©Lauren Tepfer


ニュージーランドの人気ソングライター、Lorde(ロード)は、A24の『Everyone's Getting Involved』に収録予定のトーキング・ヘッズの「Stop Making Sense」へのトリビュートをリリースした。
 
 
『Everyone's Getting Involved』には、マイリー・サイラス、BADBADNOTGOOD、ブロンドシェル、ガール・イン・レッド、ジーン・ドーソン、ケヴィン・アブストラクト、リンダ・リンダス、トロ・イ・モワなどのカバーも収録されている。これまでのところ、パラモアの「Burning Down the House」テイクと、ティーゾ・タッチダウンの「Making Flippy Floppy」ヴァージョンを聴いている。このプロジェクトのリリース日はまだ発表されていない。



「Take Me To The River」

©︎Alex Da Coste

セント・ヴィンセント(St.Vincent)は本日、2ndシングル「Flea」をストリーミングでリリースした。この曲にはデイヴ・グロールがドラマーとして、ジャスティン・メルダル=ジョンセンがベーシストとして参加しています。


セント・ヴィンセントのニュー・アルバム『All Born Screaming』は来月リリースされる。アルバム発売を記念し、ヘッドライナーツアーの日程が発表された。西海岸ではSpoon、Momma、Eartheater、東海岸と中西部ではYves TumorとDorian Electraのサポートアクトが予定されています。


「Flea」






ST. VINCENT: 2024 Tour Dates:

May 22 — Ventura, CA — The Majestic Ventura Theater *
May 25 — San Francisco, CA — The Masonic *
August 8 — Bend, OR — Hayden Homes Amphitheater #
August 11 — Vancouver, BC — Orpheum $
August 13 — Boise, ID — Knitting Factory $
August 14 — Ogden, UT — Twilight Concert Series $
August 16 — Los Angeles, CA — Greek Theater
September 5 — Boston, MA — MGM Music Hall at Fenway ^
September 6 — Philadelphia, PA — The Met ^
September 10 — Brooklyn, NY — Brooklyn Paramount ^
September 11 — Brooklyn, NY — Brooklyn Paramount ^
September 13 — Washington D.C. — Anthem ^
September 14 — Toronto, ON — Massey Hall %
September 16 — Ann Arbor, MI — Michigan Theater %
September 20 — St. Paul, MN — The Palace Theater %

* Momma supports
# Spoon supports
$ Eartheater
^ Yves Tumor supports
% Dorian Electra supports

 

©︎Jessica Fowly

カナダのシンガー、シャーロット・デイ・ウィルソン(Sharlotte Day Wilson)は、次作アルバム『Cyan Blue(シアン・ブルー)』から新曲「Canopy」を発表した。この曲は、以前に発表されたシングル「I Don't Love You」と「Forever」に続く。


ウィルソン曰く、この曲は「愛を失い別れることは、愛を見つけることと同じくらい感動的なことなのだということを思い出させてくれる曲」だという。


シルヴァン・ショッセが撮影し、メラニー・サンチェスがスタイリングしたビデオは以下よりご覧下さい。『Cyan Blue』は5月3日にStone  Woman Music/XLよりリリース予定。


「Canopy」

 



girl in redがサブリナ・カーペンターとのコラボシングルを発表した。4月12日にリリースされるセカンドアルバム『I'M DOING IT AGAIN BABY!』の最新曲「You Need Me Now?」を下記よりチェックしてみよう。


「元々、アリアナ・グランデにフィーチャリングしてほしいというセリフがあったんだけど、彼女が嫌がったから自分でやることになった。でも、それじゃクールさに欠けると思ったの」とマリーはDorkの取材に対して語っている。

 

そして、彼女はサブリナに連絡を取った。「私は『Feather』も『Nonsense』も大好きだし、『Emails I Can't Send』はとてもシックなアルバムだと思う。彼女なら私にできない何かをこの曲に与えてくれると思ったの」


サブリナはマリーに、マリーが望むことであれば、曲の中でゲップをしてもいいと言った。「私はそれがとても面白かったわ」とマリーは言う。「2人は一緒に歌詞を書き、サブリナは自分のパートをわずか4時間で書き上げた。素晴らしいエネルギーがあるのよ」


「デュエットやコラボレーションの多くは、とても計算された感じがする。フィニアスと『Serotonin』を作った時もそうだった。変な曲だけど、楽しく感じる。常に真剣でいるのではなく、変なアイデアを持つことを自分に許し、それを試してみる。真剣でありながら、それを楽しむことは可能なんだ」

 

『I'M DOING IT AGAIN BABY!』の先行シングルとして「Too Much」、タイトル曲「I'm Doing It Again」が配信されています。


ガール・イン・レッドは''フジロックフェスティバル2024''で来日公演を行います。こちらも注目です。


「You Need Me Now?」



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©Decca

北欧ポップスの新世代シンガーであるオーロラが、新曲「Some Type Of Skin(サム・タイプ・オブ・スキン)」をリリースした。海外ではDecca、国内ではUniversal Musicより発売された。


ヤングブラッドやグライムスらとの仕事で知られるクリス・グレアッティが共同プロデュース、オリヴィア・ロドリゴ、レディー・ガガ、コナン・グレイの作品を手掛けたミッチ・マッカーシーがミキシングを担当したエレクトロ・ポップな同曲でオーロラは、無防備さと、感情的な回復を必要とする気持ちとの葛藤を表現している。

 

オーロラは、最新曲について次のようにコメントしている。「私はずっと、ある種の皮膚を作り出すべきだって言われてきた。いつも私は世界に自分を溶け込ませすぎて、どこが世界の終わりで、どこが自分の始まりかがほとんど分かっていなかった。この曲ではその膨大さを叫びにしている。それから、人間であることは喜ばしいこと。たとえそれが私たちの誰の手にも負えないことだとしても」

 

さらに、オーロラとKaveh Nabatianが共同で監督を務めた、「Some Type Of Skin」のミュージック・ビデオも併せて公開された。

 

オーロラは2023年11月にリリースした楽曲「Your Blood(ユア・ブラッド)」のミュージック・ビデオでもタッグを組んだKavehとの仕事について、「Kavehは別の世界にいる奇妙なソウルメイトのような存在。私たちの心が衝突すると、いつだって素晴らしいものになるの。もう一度私たちの心の中に飛び込んで、孤独というものに視覚的に生命を吹き込むことができたのは素敵なことだった」と話している。

 

オーロラは2024年のサマーソニックで来日公演を予定しています。 最新のフルアルバムは2022年の『The God You Can Touch』です。



 「Some Type of Skin」

 


ジョン・グラント(Joh Grant)がニューアルバム『The Art of the Lie』を発表し、ディスコポップ風の軽快なファーストシングル「It's a Bitch」をリリースし、同時にミュージック・ビデオを公開した。新作『The Art of the Lie』はベラ・ユニオンから6月14日にリリースされる。

 

ジョン・グラントは米国の歌手であり、かつてオルタナティヴロック・バンド、ザ・ザーズの創設メンバーでもあった。現在はリードシンガー、ピアニスト、ソングライターとして活動している。ソロシンガーとしては着実に実績を積み重ねている。ソロデビューアルバム『Queen of Denmark』(2010年)はMojo誌の年間ベストアルバムに選ばれた。続くセカンドアルバム『Pale Green Ghosts』(2013年)はRough Trade誌の年間のベストアルバムに選ばれた。

 

3rdアルバム『Grey Tickles, Black Pressure』(2015年)は広く批評家の称賛を受け、全英アルバム・チャートで5位を記録、4thアルバム『Love Is Magic』(2018年)は全英トップ20入りを果たした。

 

5枚目のアルバム『Boy from Michigan』(2021年)も絶賛された。また、ライヴ・アルバム『John Grant and the BBC Philharmonic Orchestra』をリリース: ライブ・イン・コンサート』(2014年)では、BBCフィルハーモニー管弦楽団の伴奏で、最初の2枚のアルバムからの曲を演奏した。


ジョン・グラントはこのアルバムでプロデューサーのアイヴァー・ゲストと仕事をした。2人の出会いのきっかけは、グレース・ジョーンズがキュレーションし、ゲストがプロデュースした「メルトダウン・フェスティバル」にグラントが出演したことだった。ゲストはジョーンズの『ハリケーン』とブリジット・フォンテーヌの『禁酒法』をプロデュースした。「グレースとブリギットは、私にとってとても大きなアーティストです。彼が彼らのために作ったアルバムが大好きだ。ハリケーンはグレースのカタログの中で欠かすことのできない作品なんだ」


このことがきっかけで、グラントはゲストに一緒に仕事をすることを提案した。「私は言ったんだ。彼は『君の言う通りだ』と言った」とグラントは言う。


プレスリリースでは、このアルバムをローリー・アンダーソン、『アート・オブ・ノイズ』、ヴァンゲリスの『ブレードランナー』のサウンドトラック、そして "ジョン・カーペンターもメンバーだったらカーペンターズ "に例えている。


アルバムのタイトルとそのテーマは、現在の政治情勢にインスパイアされている。ドナルド・トランプの自伝的な著書『The Art of the Deal』は、今やMAGAの弟子たちの間では単なる聖書の一冊に過ぎず、トランプ自身は天から遣わされた救世主のようにと見なされることもある。なぜなら、神はあなたが金持ちになることを望んでいるからです」とグラントは説明する。「このアルバムは、人々が信奉する嘘と、その嘘がもたらす心の傷について描いたものでもある」


「It's a Bitch」

 

 

John Grant 『The Art Of Lies』

Label: Bella Union

Release: 2024/06/14


Tracklist: 

1. All That School For Nothing


2. Marbles


3. Father


4. Mother and Son


5. Twistin Scriptures


6. Meek AF


7. It’s a Bitch


8. Daddy


9. The Child Catcher


10. Laura Lou


11. Zeitgeist

 

Pre-order::

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