そのうちの1曲は、ピーター・ラファージュが書いたがピート・シーガーが広めた「Coyote, My Little Brother」のカバーである。もう1曲は、ミツキの7枚目のスタジオ・アルバム『The Land Is Inhospitable And So Are We』に収録されている「Buffalo Replaced」の新曲だ。
ミツキの『The Land Is Inhospitable And So Are We』ツアーはシカゴで再開され、3月21日から24日まで4公演行われる。シカゴ公演と同時に、ミツキはHere On Earthを発表した。書店''Exile In Bookville''とのコラボレーションによるシカゴ・ギャラリーとポップアップ・ショップ。この4日間のポップアップでは、フォトグラファー、Ebru Yildizのキュレーションによる『The Land Is Inhospitable And So Are We』の写真セレクションが展示される。
ニューヨークのアンダーグランドシーンの大御所のジョン・ケールがソロ・アルバムをリリースしたとなれば、手をこまねいているわけにはいかなかったのだろう。ノイズロックとアートロックを融合させた『No Home Record』に続く『The Collective』は、ボーカリストーーキム・ゴードンがいまだ芸術的な感性を失わず、先鋭的なアヴァンギャルド性とアイデンティティを内側に秘めていることを明らかにする。
続く「I’m A Dark Inside」では、ブレイクビーツの手法を選び、ノイズと融合させる。音が次の瞬間に飛ぶようなトリッピーな感覚を活かし、Yves Tumorのデビューアルバムに近い音楽の方向性を選んでいる。それに「No New York」の頃の前衛性とサイケデリアの要素を加えているが、それは最終的に「ハイパーポップのノイズ性」というフィルターを通してアウトプットされる。
「Tree House」では、アーティストが知りうるかぎりのアヴァン・ロックの手法が示されている。ガレージロック、「No New York」のノーウェイヴ、ドイツのインダストリアルロックがカオスに混ざり合いながら、アナログレコードの向こうから流れてくるかのようだ。レコードの回転数を変えるかのように、ローファイな質感を持つこともある。この曲には、10年どころか、いや、それ以上の時間の流れていて、30年、40年のアヴァン・ロックの音楽が追憶の形式をとり、かすかに立ち上ってくる。
ブリーチャーズのサウンドを解題する上で、アメリカン・ロックのボスとして名高いブルース・スプリングスティーンが少し前、後悔を交えて語っていたことを思い出す必要がある。ボスは80年代に『Born In The USA』で商業的な成功を収め、アメリカンロックの象徴として音楽シーンに君臨するに至る。しかし、スプリングスティーンのファンはご存知の通り、ボスは90年代にそれほど象徴的なアルバムをリリースしなかった経緯がある。本人曰く、実は結構、録り溜めていた録音こそあったのだったが、それが結局世に出ずじまいだったというのだ。
ということで、このアルバムはプロデューサーではなく、バンドマンとしての喜びが凝縮されている。本作の冒頭を飾る「I Am Right On Time」はニューウェイブ系のサウンドに照準を絞り、ミニマルなテクノサウンドを基調にしたロックが展開される。アントノフのボーカルはサブ・ポップからもう間もなくデビューアルバムをリリースする''Boeckner''のような抑えがたい熱狂性が迸る。アントノフは意外にも、JAPAN、Joy Divisionの系譜にあるロートーンのボーカルを披露し、トラックの背景のミニマルなループをベースにしたサウンドに色彩的な変化を及ぼそうとする。サビでは、今年のグラミー賞の成功例に即し、boygeniusのゴスペルからの影響を交え、魅惑的な瞬間を呼び起こそうとする。曲全体を大きな枠組みから俯瞰する才覚は、プロデューサーの時代に培われたもので、構成的にもソングライティングの狙いが顕著なのが素晴らしい。
ニューウェイブからの影響は、続く「Jesus Is Dead」に反映されている。ドライブ感のあるシンセがループサウンドの形を取ってトラック全体に敷き詰められ、 ぼやくように歌うアントノフのボーカルには現代社会に対する風刺が込められている。ただ、それほど過激なサウンドになることはなく、The1975のようなダンサンブルなロックの範疇に収められている。バッキングギターとベースの土台の中で、シンセのシークエンスの抜き差しを行いつつ、曲そのものにメリハリをもたらす。このあたりにも名プロデューサーとしてのセンスが余すところなく発揮される。
続く「Me Before You」は、ドン・ヘンリーのAORサウンドを織り交ぜた、バラードともチルウェイブとも付かない淡いエモーションが独特な雰囲気を生み出す。現代的なポピュラーバラードではありながら、その中に微妙な和音のポイントをシンセとバンドアンサンブルの中に作り出し、繊細な感覚を作り出そうとしている。また80年代のソフトロックをベースにしつつも、アルト/テナーサックスの編集的なプロダクションをディレイとリバーブを交えて、曲の中盤にコラージュのように織り交ながら、実験的なポップの方向性を探ろうとする。しかし、アントノフのプロダクションの技術は曲の雰囲気を壊すほどではない。ムードやアトモスフィアを活かすために使用される。アンサンブルの個性を尊重するという点では、ジョン・コングルトンの考えに近い。このあたりにも、良質なプロデューサーとしてのセンスが発揮されている。
例えば、「Call Me AfterMidnight」はクインシー・ジョーンズのアーバン・コンテンポラリーを受け継ぎ、そのサウンドをAOR/ソフト・ロックの文脈から解釈している。その他にも、「We' Gonna Know Each Other Forever」は友情ソングともいえ、それは映画のクライマックスを彩るエンディングのようなダイナミックなスケールを持つポピュラーバラードの手法が選ばれている。
2014年にデビュー・アルバム「Strange Desire」をリリースしたバンドは、3枚のスタジオ・アルバムで熱狂的な支持を集め、印象的なライヴ・ショーと感染力のある仲間意識で有名になった。前作「Take the Sadness Out of Saturday Night」では、アントノフの没入感のあるソングライティングと、Variety誌が証言するように「個人的なストーリーを、より大きなポップ・アンセムに超大型化する」生来のスキルが披露され、バンドは新たな高みへと到達した。
Griff(グリフ)は新曲「Miss Me Too」を発表した。この曲は、自分自身に戻る道を見つけること、そして、年を取り賢くなったはずの自分が自信を失うという、あまり語られることのない皮肉について歌っている。
このシングルについて、グリフはこう語っている。「『Miss Me Too』は、失恋や成長の後、中途半端な自分の姿から抜け出せず、かつて世界や愛を信じていた自分の姿はどこに行ってしまったのだろうと思うことについて歌っているんだ。この曲は、新しい曲を書くために予約した小さなAirbnbのひとつで書いたんだ。『Black Hole』で一緒に仕事をした)LostboyとSIBAに場所をメールして、キッチン兼リビングルームをスタジオに改造して『Miss Me Too』を書いたんだ」。
この曲は、PJハーヴェイにとって、高評価を得た2023年のアルバム『I Inside The Old Year Dying』(Reviewを読む)以来の新曲であると共に、7年ぶりとなる北米ツアーの前哨となる。イギリスの16日間のに及ぶツアーでは、最新アルバムの全曲演奏に加え、彼女の10枚のアルバムディスコグラフィからの楽曲も披露される予定。
アルバムの全体を聴くと分かるとおり、『Love To You, Mate』は最初から最後までひとつの直線が通っている。停滞もなければ、大きな目眩ましのような仕掛けもない。数年の出来事と経験をケンワーシーは噛み締め、どこまでも純粋なポピュラー音楽として歌おうとしている。彼の普遍的な愛の解釈に誤謬は存在しない。それは誰にでもあり、どこにでも存在する。つけくわえておくと、愛とは、偏愛とはまったく異なる。それは誰にでも注がれているものなのである。
「I Don' t Want You To See You Like That」は ブレイクビーツやサンプリングを元にしたドラムのシャッフル・ビートを展開させる。オープナーと同じように、ジェイムス・ブレイクの影響下にあるネオソウル調のポップが続く。編集的なプロダクションはボン・イヴェールに近いものを感じるが、一方で、きちんとサビを用意し、シーランのようなアンセミックな展開を設けている。繊細なブリッジはピアノのアレンジやしなるドラム、北欧のエレクトロニカを思わせる叙情的なシンセにより美麗なイメージが引き上げられる。大げさなサビのパートを設けるのではなく、曲の始まりから終わりまで、なだらかな感情がゆったりと流れていくような感覚がある。
アルバムに内在するストーリーは、純粋なその時々の制作者のシンプルな反応が示されている。「How 'd It Get So Real」では戸惑いの感覚が織り交ぜられているが、しかし、その中でジャックは戸惑いながらも前に進む。冒頭の2曲と同じように、ブレイクビーツのビートを交えながら、なぜ、このようなことが起こったのか、というようなケンワーシーの戸惑いの声が聞こえて来そうである。それらが暗鬱になったり落胆したりしないのは、彼が未来に進もうとしているから。つまり、その瞬間、それはすべて背後に過ぎ去ったものとなる。この曲でも、サビの旋律の跳ね上がりの瞬間、言い知れないカタルシスを得ることが出来る。そして曲の中盤では、すでにそれらは彼の背後に過ぎ去ったものになる。そのとき、現実の中にある戸惑いや苦悩を乗り越えたことに気づく。そして、アウトロではやはり、ケンワーシーのコーラスとともに、ピアノの清涼感のあるフレーズが加わると、最初のイメージが一変していることに気づく。
タイトル曲「Love To You, Mate」は、ケンワーシーが古典的なポピュラー・バラードに挑戦したナンバーである。このトラックは、とくに義弟の病と家族の関係について書かれているようだが、それは先週のアイドルズの『Tangk』と同じように愛について歌ったもの。しかし、そのアプローチは対極にある。ジャックは一年の思い出、そして次のクリスマスへの思いをほろ苦い感覚を交え、回想するように歌う。しかし、彼は、それがどのようにほろ苦く、切なく、胸を掻きむしるようなものであろうとも、最終的には、それをシンプルな愛情で包み込もうとする。かつて、キース・ジャレットが『I Love You, Porgy』で、献身的に看病してくれた最愛の妻に対し、最大の感謝をジャズ・ピアノで示したように、ケンワーシーはポップ・バラードという形でそれらの思いに報いようとしている。その明るい気持ちが聞き手に温かい感情をもたらす。
ロンドンのシンガーソングライター、Holly Humberstone(ホリー・ハンバーストーン)が、新曲「Dive」とともに「Work in Progress EP」の詳細を発表しました。EPは3月15日に発売されます。アーティストはつい最近、東京に滞在し、ミュージックビデオを撮影したのは記憶に新しい。
2023年のデビュー・アルバム『Paint My Bedroom Black』に続くこの4曲入りコレクションは、長年のコラボレーターであるロブ・ミルトン、ソングライターのベン・レフトウィッチと共に2022年に書き下ろされたもので、フライテのウィル・テイラーとプロデューサーのアンドリュー・サルロとの新たなコラボレーションをフィーチャーしています。「Dive」の試聴は以下からどうぞ。
このアルバムは、彼女の2019年のデビュー作「Heard It In A Past Life」と2022年の「Surrender」に続くもので、新譜に期待される最初のプレビューは、高らかに歌い上げるフォーク調のタイトル・トラック。マギーは「Don't Forget Me」の制作過程を説明した手紙を公開している。
「Floating on a Moment」のビジュアルについて、監督のトニー・アウスラーはこうコメントしている。
「''Floating On A Moment "を初めて聴いたとき、文字通り、私をあちこちに連れて行き、万華鏡のような多彩な感情とビジョンで満たしてくれました。可能であれば、このビデオによってその精神的な流動性のようなものを捉えたかった。そもそも、ベスの作品はとてもパワフルなのです。私たちを人生の森や火の中へと導き、可能性のある未来を垣間見せてくれます。そのような声と音楽があるのならば、オープンで、どことなく思索的な映像を作らなければと思っていた」
「Floating on a Moment」
今作にはシンガーソングライターとしてのキボンズの性質が反映されている。加えて、近年、ヘンリク・グレツキの交響曲、ケンドリック・ラマーの「Mother I Sober』など現代音楽やスポークンワードにも取り組んできたギボンズの音楽的な蓄積がどのように表れるかに着目したい。
10月、ポラチェクは『Desire, I Want to Turn Into You』のレコーディングセッションから抜粋したトラック「Dang」を公開した。彼女はまた、『The Late Show With Stephen Colbert』でこの曲を披露した。最新アルバムはグラミー賞にも見事選出され、シンガーはLAの授賞式に出席している。