New Album Reviews John Carroll Kirby 「Dance Ansestral」

 

 

John Carroll Kirby


ジョン・キャロル・カービーは、アメリカ・カルフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するアメリカの鍵盤奏者、レコードプロデューサー、作曲家。

 

ミュージシャンとしてジョン・カービーは、ソランジュ、フランク・オーシャン、マイリー・サイラス、ノラ・ジョーンズ、バット・フォー・ラッシーズ・コナン・モカシン、セバスチャン・テリエ、さらにハリー・スタイルズ、幅広い音楽性のアーティストとコラボレーションを行ってきた。

 

若い時代から、カービーはピアノのレッスンを通じてジャズ音楽を学んできた。南カルフォルニア大学では、ジャズのオーケストラレーションを学び、さらに、他のアーティストとツアーを行い、数々のアーティストの作品の共同製作者として参加してきた。2016年には、プロデューサーとして参加したソランジュのアルバムがビルボード200にランクイン、この年にこのアルバムで初のグラミー賞を獲得している。

 

その後も、ジョン・カービーは、INGA,セバスティアン・テリエ、ミッドナイト・ジャガーノート、シャバズ・パレスといった様々なアーティストの作品にプロデューサーとして名を連ねてきた。ソロアーティストとしてはじめて、2017年に「Travel」を発表。幼年期からのジャズの深い理解、そこに、電子音楽やニューエイジの要素を加味した個性的な楽曲を数多くリリースしている。その後、コンスタントに作品のリリースを行ない、これまで7作品を発表している。




「Dance Ancestral」 Stone Throw Records 

 


 

Tracklisting


1.Dawn Of New Day(feat.Laraaji)

2.Pan's Dance

3.Capezios For You My Lord

4.Pause On The Accident Ballcout

5.Frog Life

6.Ghost of Bix Beiderbecke

7.Message In Water

8.Tiptoe To The Grave

9.Gabriel's Gig


 

今年5月に来日公演が決定しているジョン・キャロル・カービーの最新作は、一曲目において、アンビエントの大御所ララージをフューチャーし、さらにカナダ出身のアーティスト”Yu Su”を制作パートナーとして迎え入れ、電子音楽として広大な着想に溢れた快作に挙げられるように思えます。

 

ソロアーティストとして通算五作目となる本作の全体的な印象は、近年のトレンドであるクロスオーバーとしてのアプローチが多分に込められているように思えます。しかし、それらのクロスオーバーの要素は全体的な作品の個性を薄めるどころか、より強い個性を放ち、作品としての軸のようなものが定まっているという印象を受けます。本作において、ジョン・カービーは一貫して同じテーマが掲げており、電子音楽、チルアウトに近い爽やかで涼し気な雰囲気を持つ楽曲、それがこのアーティストらしい解釈の仕方により、ジャズ、ニューエイジ、アンビエント、エレクトロニック、ビンデージソウル、多種多様なジャンルの音楽の観点から、聞きやすくメロウで、さらに深みのあるグルーブ感あふれる聴き応えある9つの楽曲が生み出されているのです。


「これまでのアルバムよりコアなエレクトロニックを生み出したかった。人生におけるステップと呼ぶパターンやルーチンを取り入れています。ここでいうダンスミュージックとは、実際のダンスについてではなく、人々が永遠に繰り返すパフォーマンスについて説明しています」

 

上記のように、カービーが述べているとおり、これらの楽曲のアプローチの中で、これまで多くの秀逸な国内外のアーティストの作品にエンジニアとして名を連ねてきたジョン・キャロル・カービーらしい、老獪なサウンドアプローチの真価が発揮されている。楽曲を生み出す上で、宗教、哲学、いくつかの思想にカービーはアクセスすることにより、深みのある作品が生み出されています。

 

表向きには掴みやすい、チルアウト寄りのニュアンスを取り入れた楽曲には、硬い芯のようなものがしっかり通っている。このことにより、このアルバムはきわめて渋く、力強い印象を放つ。時に、エレクトリック・ピアノに深いフィルターをかけたり、ディストーションでかるく音を歪ませたり、敏腕プロデューサーとしての遊び心や冒険心にあふれている。それがこのアーティストらしい開放感たっぷりの爽やかな風味を持つ電子音楽として、まったりと展開されていきます。

 

クラシカルなデトロイトテクノを下地に、そこに、ビンテージソウルのキャラクター性を加味したことによって、聴き応えたっぷりのアルバムが生み出されています。モダンなチルアウトとしても楽しめる一方、色彩感あふれるソウルミュージックとしても聴きごたえたっぷりの作品と言えるのではないでしょうか??

 

(Score:68/100)

 

 

 

 


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