New Pegans『Making Circles of Our Own』/ Review

New Pegans 『Making Circles of Our Own』

 

 

 

Label: Big Scary Monsters

Release Date: 2023年2月17日

 

 

 

 

Review 


アイルランドの五人組のインディー・ロックバンド、ニュー・ペガンズのセカンド・アルバム『Making Circles of Our Own』は、バンドメンバーのCahir O' Doherty、Allan McGrrevyが、アイルランドのGlens of AntrimにあるBadlands Studioでレコーディングを行った。

 

インディーロック/オルタナティヴ・ロックバンドとは言っても、ニュー・ペガンズの音楽性はどちらかといえばポスト・パンク寄りの硬質なギターサウンドを特徴とする。メインボーカルのフレージングが独特で、メロディーもほのかな哀愁を帯びている。このバンドはパンキッシュなパンチ力が持ち味で、さらにはブリストル・サウンドのような独特なクールさを漂わせています。

 

UKでのセカンド・アルバムの売上が好調な同郷アイルランドのThe Murder Capitalと同じように、New Pegansのサウンドは、かなり綿密な計算の上に構築されていることに気づく。ギター・サウンドがフェーザーなどのエフェクターにより緻密に作り込まれていて、スタジオで相当な試行錯誤を重ねた痕跡がとどめられている。テクニカルな変拍子をそつなく織り交ぜつつ、バラードとオルタナティヴ・ロック、ポスト・パンクの激情性をかけ合わせた個性的なロックサンドを探求している。彼らはドリーム・ポップのような陶酔的な哀愁を表向きなキャラクターとしていますが、また時には、歪んだディストーションによってシューゲイズのような陶酔的な轟音サウンドを部分的に持ち合わす。相反する要素が複雑怪奇に絡み合っているのです。

 

轟音性の強いディストーション・サウンドは、ボーカルが歌われる間は、引き立て役に徹しているものの、間奏に移った瞬間、シューゲイズのような轟音サウンドをガツンと押し出す。アンサンブルとしての役割分担がとれたメリハリの利いたサウンドを擁する。つまり、ニュー・ペガンズは、チャプター・ハウス、ジーザス&メリー・チェイン周辺の80年代のドリーム・ポップ/シューゲイズの源流に当たるサウンドを、よりモダンなポスト・パンクをひとつのファクターとして通過した上、かなり新鮮味あふれるサウンドをこのセカンドアルバムで提示している。

 

全般的には、分厚いベースライン、スネアのダイナミクスが押し出されたドラム、リバーヴ/ディレイを強く噛ませたディストーションギターの掛け合いについては迫力満点で、ケリー・オケレケ擁するブロック・パーティーの2005年のデビュー作「Silent Alarm」のアート性の強い音作りを彷彿とさせるものがある。ただ、ニュー・ペガンズのセカンド・アルバムは、ブロック・パーティーが内的な孤独に焦点を絞っていたのとは対照的に、どちらかといえば他者とのコミニティーにおける共感性に重点を置いている。鮮烈な印象を与えるオープニング「Better People」、二曲目の「Find Fault with Me」を聴くと分かる通り、セカンド・アルバムの楽曲では、聞き手の感情に対して訴えかけ、自分たちの位置取る特異なフィールドに誘引していくパワーを持つ。


ボーカルについては、直情的でありながら少しセンチメンタルな感じがするので、とても好感が持てます。それでも、セカンドアルバムの曲は飽くまでParamoreやAlvveysのようなロックバンガーやステージでの観客とのシンガロング性を志向して作られている。さらに、バンドの音楽の中に一貫して感じられるのは純粋で真摯な姿勢であり、茶化したり、ごまかしたりするような夾雑物が感じられない。今あるものをレコーディング・スタジオにそのまま持ち込み、全部出しきったという感じである。この点がザ・マーダー・キャピタルと同様、取っつきやすいサウンドとは言えないにもかかわらず、聞き手に大きな共感と熱量を与えそうな理由なのである。

 

ニュー・ペガンズはこのセカンドアルバムで自らの作風を確立したといえば誇張になってしまいますが、少なくともバンドとしての完成形にむけて着実に歩みを進めています。オルト・ロック/ポスト・パンク/シューゲイズの怒涛の展開を潜り抜けた後のアイリッシュ・バラード「The State of My Love's Desires」に辿り着いた瞬間、リスナーは何らかの爽快感すら覚えるかもしれません。

 


84/100

 

 

Featured Track 「Better People」

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