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 Wombo  『Danger In Fives』


 

Label: Fire Talk

Release: 2025年8月8日

 

Listen/Stream 

 

  

Review


Womboは2016年頃から活動しているケンタッキー州ルイヴィルのロックバンド。先週末にニューアルバム『Danger In Five』をリリースしたウォンボ。トリオ編成で、アルトロックバンドとして真を穿ったサウンドを誇る。表向きにはパンクの音楽性は希薄ですが、ポストハードコアのようなサウンドを通過したロックソングを提供します。これはまさしく、ルイヴィルが80~90年代を通して、アートロックやプログレッシヴロックの名産地で有り続けてきたことを印象づける。

 

基本的には、『Danger In Fives』はマスロックのような数学的な変拍子を基調としたアルバムです。マスロックとは、二つ以上の異なるリズムを織り交ぜたポリリズムのロックのことを意味します。広義においては、転調や変拍子を強調するロックサウンドのことを言う場合もある。


しかしながら、今作はスノビズムをひけらかすような内容ではありません。Womboの音楽に、ポップネスをもたらしているのが、ベース/ボーカルのシドニー・チャッドウィックのアンニュイなボーカルですが、最近流行するシューゲイズやドリームポップのアウトプットとは明確に異なる。2000年代のレディオヘッドのトム・ヨーク、Portisheadのベス・ギボンズ、Cocteau Twinsのエリザベス・フレイザーをかけ合わせたような特異なボーカルであり、現実空間と幻想的な空間の間を揺らめくようなニュアンスをもたらす。また、上記のボーカリストがそうであるように、器楽的な音階を強調するボーカルであり、器楽的なニュアンスをアンサンブルに及ぼす。

 

『Danger In Fives』は入念に作り込んだサウンドが特色です。それらはミニマル音楽を通過したロックソングという点では、ニューヨークのFrankie Cosmosのソングライティングに近い印象を抱く。しかし、同時に、ボーカルとギターがユニゾンしたり、ポリリズムがリズムの中に取り入れられたり、全体的なアンサンブルの中でベースの演奏が優位になり、90年代初頭の最初期のグランジやメタルのような音楽が重点を占めるとき、Womboのオリジナリティの高い魅惑的なサウンドが表側に出てきます。それらは、全般的には、Radiohead『Kid A』のエレクトリックサウンドとロックの融合を基底にして、Portishead、Trickyのトリップホップを織り交ぜて、最終的にそれらをルイヴィルのアートロック/マスロックで濾過したような特異なサウンドになる。


複雑なサウンドを想像するかもしれませんが、実際の音楽はそこまで難解ではありません。楽曲の作りがシンプルで、盛り上がってきたところでスパッと切り上げる。それが全11曲、30分後半という簡潔な構成に表れています。Womboの曲はまったく演出がかっていないのが良い。グリム童話やアンデルセンの童話からの影響があり、幻想的な興趣を添えているが、実際的にそれは彼らのいる現実とどこかで繋がっています。基本的には、リアリズムの音楽でもあるのです。

 

Womboは、曲の中で、強い主張性を織り交ぜることはほとんどありません。本作の場合、シドニー・チャッドウィックのボーカルはスキャットやハミングのように明確な言葉を持たぬ場合が多い。しかし、それがたとえ、2000年代のトム・ヨークのように、器楽的な音響効果を強調するものであるとしても、音楽そのものからメッセージが立ち上がって来ないわけではありません。(例えば、意外にもインストの方がボーカルよりも多くのメッセージが伝わる場合があり、無言の方が多言より説得力を持つことがあるのと同じ)ようするに、彼らのサウンドには、アメリカの現実的な側面が反映され、それは寂れた工業地帯や閑散とした農村風景など、一般的な報道では表沙汰にならない現実的な側面をしたたかに織り込んでいるのです。その音楽は、時々、不安を掻き立てることもあるが、奇妙な癒やされるような感覚が内在しています。

 

その中で、Womboが重視するのはホームという概念です。それは実際的な自宅という考えだけではなく、いつでも帰ってこれるような共同体のようなものを意味するのかもしれません。これらの不安の多い世界情勢の中で、こういったホームの広義の解釈によって、Womboのサウンドは独特な安らぎや癒しの印象を受け手に与えることがあります。それはもっといえば、現代社会において、必ずしも物理的な空間を示唆するとはかぎらず、仮想的な空間のようなものも含まれるのかもしれません。これらが、このアルバムの曲に概念として反映されるとき、Womboのサウンドは聞き入らせるだけでなく、かなり説得力のある水準まで達することがあるのです。

  

こういった点を踏まえた上で、注目すべき曲が幾つかあります。オープナーを飾る「Danger In Five」はアルバムの方向性を理解する上で不可欠な楽曲です。グランジ風のベース進行の中でドリームポップ風のアンニュイなボーカルが本作をリードしている。この曲は、ボーカルの性別こそ異なるものの、Interpolのような独特な哀愁を作風の基底に添えている。また、ルイヴィルのバンドらしい不協和音やクロマティックスケールが登場します。「S.T. Titled」は、Joan of Ark、Rodan、Helmetの不協和音を強調したパンクのエッセンスを吸収し、独特な楽曲に仕上げている。この曲ではドラムやベースの生み出すリズムと呼応しつつ、ギターが即興演奏のようにプレイされる。ロックソングの不協和音という要素を押し出した、面白いトラックとなっています。


このアルバムの場合は、それらの不協和音の中で、調和的な旋律を描くボーカルが魅力的に聞こえます。それらは、トリップホップのようなUK/ブリストルのサウンドを彷彿とさせる。「A Dog Says」などを聞けば、このバンドの特異なサウンドを掴むことができるのではないでしょうか。

 

古典的な童話をモチーフにした幻想的な音楽性は、短いインタリュード「Really melancholy and There Are No Words」で聴くことができます。また、続く「Spyhopping」においても、彼らの織りなす独特なワンダーワールドを垣間見られます。さらに、終盤のハイライト曲「Common Things」は素晴らしく、ピクシーズの「Trompe le Monde」の時期のアルトロックソングをわずかに思い起こさせます。ギターソロについては、Weezerのリバース・クオモのプレイを彷彿とさせる。そして、Womboの手にかかると、この曲は独特なメランコリアを放ち、癒やしの雰囲気のあるオルタナティヴロックのスタイルに変貌します。アルバムのクローズ「Garden Spies」はマスロックのテクニカルな音楽性を吸収し、雰囲気を満ちたエンディングを形成しています。アートロックという側面で少しマニアックな作風ですが、聞き逃し厳禁のアルバムでもあるでしょう。

 

 

 

84/100 

 

 

「Common Things」 


ロサンゼルスを拠点に活動するメリーナ・ドゥテルテのプロジェクト、Jay Somが、近日リリース予定のアルバム『Belong』からのセカンド・シングル「Cards On The Table」を発表した。


「Cards On The Table」は、魅惑的なエレクトロニック・フラリッシュ、穏やかなフック、そして歪んだヴォーカル(ミニ・トゥリーズのレクシー・ヴェガが参加)が、テッセレーションされたドラムマシンとシンセサイザーの上を流れ落ちるエレクトロニック・ポップの優しさと明解さに満ちたスライスである。 この曲は、アルバムのリードシングル「Float (feat. Jim Adkins)」、コンプリメンタリーリリース「A Million Reasons Why」に続く作品となる。


ドゥテルテはこの曲についてこう語っている。

 

『Cards On The Table』は『Belong』で一番好きな曲だ! この曲は、友人関係の移り変わりと、プラトニックな関係において、お互いが誤解していると感じたときに、対立がいかに破滅的なものになり得るかについて歌っている。

 

そのようなダイナミズムをナビゲートすることは、普遍的な経験だと思う。 自分の人生を出たり入ったりする人が絶えることのないサイクルのように感じるけど、それは最終的に自己発見と成長につながる。


ジェイ・ソムは、今夏のルーシー・デイカスのサポート・ツアーに続き、5年以上ぶりとなる北米ヘッドライン・ツアーも発表した。 秋にはイギリスとヨーロッパに戻り、ピッチフォーク・ロンドンとピッチフォーク・パリにも出演予定。

 

 「Cards On The Table」





Tanukichan & Winter

 

今月、ウィンターことサミラ・ウィンターがニューアルバム『Adult Romantix』をWinspearからリリースする。彼女はシューゲイザー仲間のミュージシャン、Tanukichan(最新作のQ&Aを読む)との最後のシングル "Hide-A-Lullaby "をミュージック・ビデオと同時に公開した。


「この曲は、内なる自己破壊者、心の片隅に隠された秘密、潜在意識の象徴としての暗い森というテーマを探求している」ウィンターは説明した。 「ハンナ・ヴァン・ルーン(タヌキチャン)にこの曲を一緒に歌ってもらえたのは素晴らしい。彼女のベルベットのような、ささやくような歌声が、この曲の呪われたミステリアスなロマンチックなイメージを完璧に立てている」


「Hide-A-Lullaby」のミニ・ドキュメンタリー映像は、ウィンターのコミュニティに所属するビジュアル・アーティストたちが、そのプロセスやインスピレーションについて語るインタビューである。 アシュリン・トランとアレックス・カルメンは、自己描写とジェンダー規範の影響について語る。 彼らはまた、ノスタルジア、白昼夢、記憶についても語る。 サミラ・ウィンターは、恋に落ち、彼女の近日発売のアルバムにインスピレーションを与えた「失われたLAの夏」について語る。 3人のユニークな芸術的視点に迫るクールなビデオだ。


「Hide-A-Lullaby」




Wisp 『If Not Winter』


Label: Interscope

Release: 2025年8月1日

 

Review

 

カルフォルニアのWispは次世代のシューゲイズアーティストで、すでにコーチェラ・フェスティバルに出演し、過度な注目を浴びている。昨年、たぬきちゃんのEPにもゲスト参加していた覚えがある。いわば今最も注目されるシューゲイズアーティスト。待望のデビュー・アルバムは、冬にイメージに縁取られ、そしてアーティストのキャラクターのイメージを押し出した内容だ。

 

サウンドは全般的には、Wispが信奉するというMBV、Whirrといったシューゲイズバンドの影響が押し出されている。さらにサウンドプロダクションとしては、MogwaiやExplosions In The Skyのような音響派に近く、全般的にはダンスビートやエレクトロニックの性質が強く、ボワボワとした抽象的なロックサウンドが敷き詰められている。このアルバムはインタースコープからの発売ということで、それ相応の売れ行きは予測出来るかもしれないが、シューゲイズアルバムとしてはやや期待はずれと言える。バイラルヒットが見込める曲が用意されているが、内容が少し薄い気がする。インクを水で薄めたようなアルバムで、太鼓判を押すほどではないだろう。

 

その全般的なサウンドは、Y2KやK-POPとシューゲイズやダークウェイヴの融合である。その意図は斬新で、才気煥発なメロディーセンスが発揮される場合もある。しかし、まだそれは瞬間的に過ぎず、クリエイティビティは線香花火のように立ち消えになってしまう。あまり持続しない。そして、ロンドンのYEULEのような甘いポップセンスが漂い、その点は、オープニング「Sword」のような曲で聴くことが出来る。悲哀に満ちたメロディセンスが轟音のフィードバックギターやポストロックのアンビエンスがからみあい、Wispの持つ独自の世界観が垣間見える。そしてそれはシューゲイズというよりも、ユーロビートやレイブのようなサウンドに傾倒する。このアルバムは、どちらかと言えば、インディーポップに属するダークウェイヴのような音楽性が顕著である。また、それらは、ヘヴィメタル/ニューメタルに近いテイストを持つケースもある。「Breath onto Me」は、Wispの持ち味であるペーソスに満ち溢れたメロディーとメタリックなサウンドが融合している。これらはシューゲイズの第一世代というより、Amusement Parks on Fire、The Radio Dept.のようなミレニアム世代以降の第二世代のシューゲイズを参考にしているような印象がある。シューゲイズの甘美的な雰囲気を活かしたサウンド。しかし、2020年代のシューゲイズとして聴くと、既に形骸化していて、物新しさに欠けるように思える。

 

一方で、Y2K、aespaのようなサウンドに傾倒した曲の方がむしろ良い印象を放っている。 「Save Me Now」はWispの甘いメロディセンスがこれらの現代的なカルチャーと融合し、瞬発力を見せる。そして同じようにヴァースからコーラスというシンプルな構成の中で、ロックやメタルのパワフルな効力を持つことがある。この曲もまたYEULEのサウンドに近い雰囲気がある。


ダークウェイブのサウンドを参考にして、抽象的なロックサウンドで縁取った「After Dark」は、たしかに夏の暑さを和らげる清涼効果があり、冬のアトモスフィアに彩られている。それらは情景的な印象を呼び覚まし、アーティストが表現しようとする冬の息吹のようなものを感じとられる。一方で、どうしても曲全般は依然として薄められすぎているという印象を抱いてしまう。苛烈なシューゲイズサウンドをメタリックなノイズで表現した「Guide Light」も意図は明瞭で期待させるが、本物のヘヴィネスを体現出来ていない。ヘヴィネスとは、表層のラウドネスではなく、内面から自然に滲み出て来る何かなのだ。K-POPのようなサウンドに依拠しすぎていることが足かせになり、独自のオリジナリティ示すには至っていない。この点では、商業性とアンダーグラウンドの音楽の間で迷っているという気がする。もう少し、吹っ切れたようなサウンドがあれば、迫力が出ただろうし、より多くのリスナーに支持されたかもしれない。

 

対象的に、ヘヴィネスを削ぎ落としたY2K風のポップソングの曲に活路が見いだせる気がする。ニュージーランドのFazerdazeのようなドリームポップの範疇にあるタイトル曲「If Not Winter」はアルバムのハイライトであり、Wispのメロディーセンスがキラリと光る瞬間でもある。過激さよりも軽やかさを重視したほうが、良さが出てくるのではないかと思った。この曲では少なくとも、Wispのダークなメロディーセンスと切ないような感情が上手く合致している。 そしてこの曲でも、アーティストの冬のイメージが上手く導き出されていることが分かる。 

 

アルバムとしてはもう一声。ただ、難しいのは、シューゲイズとしてもセンスの良い曲があること。「Mesmerized」はニュージェネレーションのシューゲイズソングで、ハイパーポップのメタルの要素がヨーロッパのEDMの要素が巧みに結びつき、このジャンルの特徴である超大な音像を作り出す。さらに、グランジ風のギターロックの要素がこの曲の大きな魅力となっている。しかし、以降の収録曲は、アルバムのために収録した間に合わせのものに過ぎず、Wispの本領発揮には至っていないような気がして残念であった。他方、アルバムの最後に収録されている「All I Need」は良い雰囲気が漂っている。デモ風のラフな曲であるが、なにかこのアーティストのことを少し理解出来るような気がした。最もストレートな感情を示したフォークミュージックによるこの曲は、激しいシューゲイズサウンドの中において異彩を放ってやまない。

 

 

 

75/100 

 

 

 

Best Track 「If Not Winter」


 

レモンヘッズが、約20年ぶりとなるアルバム『Love Chant』の最新プレビューとして「The Key of Victory」を公開した。

 

エヴァン・ダンドは「The Key of Victory」についてこう語っている。「静かで、ビッチだ。 静かで、ビッチで、かわいくて、モード。 ストリート・ハッスルのような雰囲気を出そうとした」


エヴァン・ダンドの回顧録『Rumours Of My Demise』と同時にリリースされるアルバム『Love Chant』は、ブラジルのマルチ・インストゥルメンタリスト、アポロ・ノーヴェがプロデュースし、旧友と新しい盟友を引き合わせた。

 

 J・マスシス(ダイナソーJr)、ジュリアナ・ハットフィールド、トム・モーガンが、プロデューサーのブライス・ゴギン、ナッシュヴィルのエリン・ライ、ブレイク・ベイビーズのジョン・ストローム、ザ・ベヴィス・フロンドのニック・サロマン、ニューヨークのカルト的人気バンド、ザ・モルディ・ピーチのアダム・グリーンらとともに、再び参加した。


Love Chant』は10月24日にファイヤー・レコードからリリースされ、現在予約受付中である。 Rumours Of My Demise』は11月6日にFaberからリリースされる。

 

 「The Key of Victory」

The New Eves  『The New Eve Is Rising』

Label: Transgressive

Release:  2025年8月1日


Lisen/Stream

 


Review

 

今年のTransgressive Recordsは、魅力的なデビューバンドを積極的に送り出している。ブライントンの四人組、The New Evesもまたそのうちの一つ。ニンジャ・チューンのBlack Country, New Roadのツアーにも帯同し、今後人気を獲得しそうだ。The New Evesは、2025年にデビューしたばかりで、潜在的な能力は未知数であるが、若いエナジーとパワフルなサウンドを特色にしている。この四人組は、ニューヨークの1960年代後半のプロトパンクを吸収し、パティ・スミス、VUなどのプリミティブなロックサウンドを、彼女たちの最大のストロングポイントであるスカンジナビアの伝統的な羊飼いの音楽と結びつける。その伝統音楽は上辺だけのものではなく、本格的である。例えば、アルバムの先行シングル「Cow Song」はその象徴的な楽曲で、ヨーデルのような特殊な歌唱法が登場する。それらは確かに北欧の牧歌的な印象を呼び起こす。

 

The New Evesの音楽は、ラフ・トレードに所属するLankum(アイルランドの中世の伝統音楽を実際の楽譜を参照し、実験音楽の領域から探求する)のような民俗学的な興味を呼び覚ます。しかし、ブライトンの四人組の記念すべきデビューアルバム『The New Eve Is Rising』は、必ずしも世界音楽だけに限定されているわけではない。例えば、その音楽性は、英国の伝統的な戯曲を筆頭とする舞台芸術(オペラ/バレエ)のようなシークエンスを想起させることもある。それらが現在のUKロックの一つの主流であるシアトリカルな音楽性を矢面に押し出す場合がある。これらは結局、イギリスの音楽形態そのものが、西ヨーロッパの芸術性と密接に関連してきたことを想起させる。そこには確かに付け焼き刃ではない、歴史や文化の匂いが漂っている。

 

アルバムのオープニングを飾り、大胆不敵にもバンド名を冠した「The New Eve」を聴けば、このバンドがどのような音楽を志すのか、その一端を掴むことが出来るに違いない。例えば、The Whoの『Tommy』で示されたような、ロックオペラの再現を試みているらしいことが分かる。しかし、表現者が違えば、もちろん、外側に表れる印象も変化する。この曲ではバレエやオペラの音楽性を吸収し、ドローン音楽を弦楽器で表現し、舞台上の独白のようなボーカルが繰り広げられる。Lankumのような実験音楽性を踏襲し、ミステリアスなイントロを形成している。そして、オペラやバレエのような印象を持つ導入部に続いて、2分以降には、ニューヨークのプロトパンクの原始的なロックが発現する。ジョン・ケイルのエレクトリック・ビオラのような弦楽器のトレモロ、そして、ルー・リードさながらに、アンプのダイヤルをフルに回して演奏したかのような分厚いギターが炸裂し、この一曲目は「Sister Ray」のような秘術的なロックサウンドを生み出す。デビューバンドらしからぬ不敵なイメージが的確に体現された楽曲である。

 

The New Evesは、ニューヨークのプロトパンク、ブライアン・イーノがプロデュースを担当した『No New York』のコンピレーションに登場する複数のアート・ロックバンドの形式を受け継ぎ、ノイズや不協和音を徹底して強調している。それは、まるで現在の世界情勢や貿易戦争、の軋轢をそのままギターロックに乗り移らせたかのような印象をもたらす。もう一つ特筆すべきは、米国西海岸の原始的なパンクバンドのような不穏な空気感を持ち合わせていることである。

 

先行シングルとしてリリースされた「Highway Man」は、Dead Kennedys、Black Flag、Germs、そしてロサンゼルスの最初のパンクグループ、Xのような不穏なテイストを滲ませる。曲全体に響く不協和音は、日本のポストパンクバンド、INUのシニカルな空気感とも共通する。ベースがこの曲をリードし、その後、ミニマルなギター、そしてスカンジナビアの伝統音楽の歌唱法を受け継いだ、喉を小刻みに震わせ、トレモロの効果を得る特異なボーカルなど、多彩な文化が不穏なパンクロックサウンドのなかに混在している。それらの原始的なパンクサウンドの中では、ボーカルアートの形式も織り交ぜられ、ニューヨークのメレディス・モンクのような舞台芸術に根ざしたコーラスワークも登場する。これらは音楽の聴きやすさを維持してはいるが、その中に奇異なイメージをもたらすことがある。それは何によるものなのか。協和音の中に入り交じる不協和音という形で、このバンドの独自のスタイルを象徴付けているのである。曲の後半では、ボーカルにも力がこもり、魔術的かつ秘術的なデビューバンドの魅力が顕わになる。

 

続く「Cow Song」は、クラシックや民族音楽とロックの融合を目指した楽曲で、BC,NRとも共通点がある。しかし、フォロワー的でもなければ、はたまたイミテーションでもない。 アルバムの幾つかの曲がスウェーデンの山小屋で書かれたというエピソードからも分かる通り、The New Evesのワールドミュージックの要素はかなり本格的であり、類型が見当たらない。この曲では、The Whoの名曲「Baba O' Riley」の作風を受け継ぎ、それらを舞台芸術のボーカルアートの形式と融合させている。ヨーデルのように、喉を震わせる特異な歌唱法、そしてスティーヴ・ライヒ、フィリップ・グラスの20世紀のミニマル・ミュージックの方式を受け継いで、それらをダンスミュージックのパルス音のように響かせ、2025年の新しい舞踏音楽に挑戦している。ラフで荒削りな印象もあるものの、それもまた、この曲を聞く際の魅力となるはずだ。

 

一方で、「Mid Air Glass」は、チェロのような弦楽器のトレモロを通奏低音として敷き詰め、アイスランドのビョークのような歌唱法を披露している。明確にボーカルの役割分担をしているのかまでは分からないが、楽曲ごとにメンバーそれぞれの個性を活かしているような感じがあり、その点に好意的な印象を覚えた。スカンジナビアやアイスランドのような北欧の音楽が曲の中盤までは優位を占めるが、後半以降、その音楽はスコットランド/アイルランドの音楽に傾倒していく。それらの繁栄と衰退を繰り返す西ヨーロッパの情勢の変遷と呼応するような音楽である。曲の後半では、弦楽器とムーディーなギターが活躍し、ジム・オルークのようなアヴァンフォークに近くなる。というようにこの音楽のコスモポリタニズムは魅惑的に聞こえる。そして実際的に曲の後半では、瞑想的な音楽性が優位になるのが興味深いポイントである。

 

 

「Astrolabe」 には、The Lankumのような伝統音楽と実験音楽の間にある絶妙なニュアンスが捉えられる。そしてその音楽から立ち上るスカンジナビアの海の音楽の影響がより鮮明になる。この曲には、中世ヨーロッパのスペイン以北の音楽が入り混じっている。それらが悠久の歴史に対する憧憬を掻き立てる。これらは実際に、ルー・リードの音楽やフォークの形式の原点となったヨーロッパの民族音楽に傾倒していく。変拍子のように聞こえる複合的なリズムの構成、拍子の感覚を見失ったかのようなビートが、チャントのようなボーカルや弦楽器と結びつき、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの最初期のようなサイケデリックな音楽性を発生させる。


「Circles」でもルー・リードやジョン・ケイルの作曲を受け継ぎ、わざと曲の中でテンポを早め、音楽そのものが異なるニュアンスを帯びるように組み立てられている。この曲もまた、複数のボーカルの融合やリズムの側面での変拍子などを駆使し、生きた音楽を探っている。また、曲の後半では、オーケストラのティンパニーのようなドラムが優勢となり、アフリカの民族舞踊のような反復するリズムを徹底的に強調させ、いわば儀式的であり魔術的な音楽性を作り出す。これらのリズムの側面での多彩さは曲全般に大きな変化を及ぼし、 飽きさせることがない。

 

アルバムの後半の3曲では、ヴェルヴェットアンダーグラウンドを中心とするニューヨークのプロトパンクのスタイルを継承しつつ、ギターロックに傾倒している。聴いていて面白いと思ったのは、ライブセッションの中で自分たちの音を探している様子が伺えることである。この四人組にしか持ち得ない心地よい音を実際のスタジオセッションから探る。それは音楽によるコミュニケーションの手段であり、そういった温和さや心楽しい感覚がありありと感じられた。その等身大のロックサウンドは、決して商業性が高いとは言えないが、今後が非常に楽しみである。


「Mary」はメインボーカルが力強さがあって素晴らしい。そして、完成度を度外視した自由な気風に満ちたサウンドが牧歌的な雰囲気を造出している。その中には、まるでボブ・ディランを称賛するかのようなブルースハープ(ハーモニカ)も鳴り響いている。もちろん、ディランほどには上手くないが、70年代以降の平和主義に根ざしたロックの残影をどこかに見いだせる。この曲でもジェットコースターのような展開力が健在である。民族音楽的なダンスミュージックを奏でる四人組は、どこまでも純粋に音を鳴らすことを楽しむ。なんの注文が付けられようか。

 

長い時代、女性中心のロックバンドは冷遇されてきた経緯がある。また、音楽産業という男性優位の業界の枠組みの中、アイドル的なポジションしか与えられなかった。しかし、近年ではその潮目が変わり、自由闊達に女性ロックバンドが活躍することが可能になってきた。ロックを始めたのは男性であるが、それをやるのに性差などは必要ないのである。これはまた、ロック・ミュージックという形式が現実世界とは別の理想主義を描き出せるからこその利点である。

 

終盤でも音楽を心から奏でるスタンスは相変わらず。「Rivers Run Red」では、パティ・スミスやテレヴィジョンの文学的なロックのイディオムを受け継いで、見事にそれを現代に復刻している。クローズ「Volcano」は、火山のような爆発的なエナジーをブルースロックで体現する。あまりに渋すぎるが、驚くべきことに、これをやっているのは若い女性たちなのだ。

 

 

 

 

85/100 

 

 


 Best Track- 「Cow Song」





 

ロサンゼルスを拠点に活動するミュージシャン、イジー・ヘーガロップは、Prewnのマントルの下、心の輪郭を余すところなくさらけ出した音楽を奏でる。このことは、2023年のデビュー・アルバム『Through the Window』の重力の印に特に顕著に表れているが、今度の2ndアルバム『System』では、彼女の身体と心の親密なメカニズムをさらに垣間見ることができる。


「この新しいアルバムは、もっと自己中心的なところ、つまり激しさと感情の淀んだ余韻から生まれている」とヘイガープは言う。「もっと無感覚で、空虚で、混乱していた時期から生まれたものだと思う。心からの痛みからより切り離され、苛立ちと目的のない不快感に凝り固まっていた。


リード・シングルでタイトル曲の "System "は、エイドリアン・レンカーとジェシカ・プラットを同居させたような、ヘーガープの背筋がゾクゾクするような歌声にぴったりの曲だ。ゆったりとしたストリングスのエコーがシーンの幕を開け、数分後には鋭く描かれたギターとタンバリンに取って代わられ、巨大な高波のような感情の解放へと向かっていく。


「System』を書いたとき、私は今生きていて、優雅で幸せなはずだった。「でも、どういうわけか、どこに行ってもついてくる自分の中の恐怖や憂鬱から逃れることができなかった」と彼女は説明する。

 

 

「System」



Prewn 『System』 


Label: Exploding In Sound

Release: 2025年10月23日

 

Tracklist:

 

1. Easy

2. Commotion

3. System

4. It’s Only You

5. My Side

6. Forgot

7. Dirty Dog

8. Cavity

9. Don’t Be Scared

 

 

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 Far Caspian  『Autofiction』   



Label: Tiny Library 

Release: 2025年7月25日

 

Listen/ Stream 

 

 

Review   

 

アイルランド出身のミュージシャン、Far Caspian(ファー・カスピアン)は、前作『The Last Remaining Light』を通じて、素晴らしいインディーロックソングを聴かせてくれた。2021年頃からクローン病に悩まされ、また、その中で神経症などに悩まされていたジョエル・ジョンストンだったが、前作アルバムの発表後、 ロサンゼルスなどをツアーし、好評を博した。イギリスでは最近、スロウコアやサッドコアのバンドが登場する。リーズのファー・カスピアンの場合は、ローファイなサウンドが特色で、Tascamなどを用いたアナログ風のサウンドが主体となっている。ジョエル・ジョンストンのソングライティングは派手さはないが、その音楽は叙情的で切ない雰囲気がある。軽妙なインディーロックソングの中に、淡いエモーションが漂っているのだ。

 

前作のアルバムのレコーディング中に、ジョエル・ジョンストンは、ブライアン・イーノのアルバムをよく聴いていたというが、それがプロデュースとしてかなり洗練されたサウンドを生み出す要因となった。 新作アルバム『Autofiction』でも大きな音楽性の変更はないように思える。

 

アルバムの冒頭を飾る「Ditch」は、オープニングを飾るに相応しいダイナミックなトラックとして聞き入らせてくれる。アナログの逆再生をかけて、そのサウンドの向こうから、軽妙なアコースティックギターのバッキングが鳴り響く。ミニマルな構成を持つ演奏をベースにし、奥行きのあるアトモスフェリックなアンビエンスを作り、ジョエル・ジョンストンらしい心温まるエモーションが、音の向こうからぼんやり立ち上ってくる。どうやら、ライブツアーの時に指摘されたらしく、ボーカルの音量を上げて録音したのだとか。実際的に、きっとそれは幻想的なインディーロックソングの中で、クリアな質感を持つボーカルという形を捉えられるはずだ。

 

ジョエル・ジョンストンのボーカルは、少しだけ物憂げでダウナーな雰囲気を持っている。欠点のように思えるが、これは間違いなく、繊細さという面でストロングポイントなのである。それがむしろ曲の背景となるギターロックと絶妙なコントラストを描き、迫力をもたらしている。


オープナー「Ditch」のサウンドは、エリオット・スミスのように、インディーフォークやサッドコアの雰囲気に縁取られているが、ロックのアプローチを選ぶことにより、絶妙な均衡を保っている。そして、静と動をギターの重ね録りによって音量のダイナミズムを表現しながら、フォークロックとシューゲイズの間を行き来している。


この曲のサウンドは、従来よりもノイジーに聞こえる。だが、その中で独特な美的センスが現れることがある。メロディアスなきらめきともいうべき瞬間が、ミニマルな構成からぼんやりと立ち上ることがある。例えば、3分前後の轟音のフィードバックギターから、癒やされるような音楽性が滲み出てくる。それは、バンジョーの演奏から繰り出されるアメリカーナの要素が、スーパーチャンクのような、ほっこりするようなハートウォーミングな音楽性を作り出すのである。

 

二曲目「First Day」は、カスピアンらしい持ち味が現れ、ジョギングをするような軽快な疾走感を持つロックソングである。今回のアルバムでは、ギターを多重録音し、異なるコードを演奏しながら、その中でムードのあるボーカルが心地よい雰囲気を作る。前作では、ドラムの録音やミキシングに結構苦労したような印象があった。しかし、今回のアルバムでは慣れたというべきか、その経験を踏まえて、ミックスの側面で、ギターやボーカルと上手くマッチしている。


この曲では、良質なシンガーソングライターとしての表情だけではなく、名プロデューサーとしての性質を捉えることが出来るかもしれない。そして、前作アルバムでも登場した女性ボーカルとのデュオも同じように物憂げな雰囲気を醸し出す。そのサウンドには前作と同様、Rideの90年代のメロディアスで哀愁に満ちたロックソングの影響が捉えられる。二本以上の重厚なギターサウンドの迫力はもちろん、アウトロではドラムのテイクが強い印象を及ぼす。今作はソロアルバムの性質が強いが、依然としてバンドアンサンブルを重視していることが痛感出来る。

  

ジョンストンは、『Autofiction』に関して、''今この瞬間を楽しむことをモットーにしている''という。序盤から中盤にかけての以降の三、四曲は、フラットなアルトロックソングを聴くことが出来るが、それぞれ異なる音楽性に縁取られ、録音を通して現在を楽しんでいる様子が伺える。


このアルバムが、どのように評価されるか、もしくはどのような完成品になるのかというのを考えず、直情的でストレートなサウンドを重視している。そのサウンドは飾り気がなくどこまでも実直だ。またジョンストンは自分を楽しませることが良い作品を作るための近道であることをよく知っている。「The Sound Changind Place」ではスロウテンポのギターロック、続く「Window」ではミドルテンポのギターロックを提供し、心地よく、時に切ない叙情性を曲の節々に込めている。


「Lough」では、パワーポップやジャングルポップ風のサウンドを選び、これもまた独特な甘酸っぱさがある。上記の三曲はアナログのコンソールを取り入れたことにより、本格的なローファイサウンドを獲得した。 ザラザラとした質感を持つギターサウンドは、現代のアルトロックの主流のサウンドディレクションだ。カスピアンの場合は幻想的な雰囲気を兼ね備えている。

 

アルバムの中では、フォーク・ロックやジャングルポップなどの音楽性が強いように思える。しかし、その中でシューゲイズ色が強いのが続く「Here Is Now」である。 このアルバムの重要な録音方法であるギターの多重録音で得た重厚なギターサウンドをベースにして、ドリームポップのような夢想的なジョンストンのボーカルが揺らめく。


ジョンストンのボーカルや歌詞には、伝統的な英国詩人のような性質がある。そして、それらが、轟音性を強調したサウンドと、それとは対象的なミニマルなエレクトロニックの静かなサウンドを対比させ、起伏のあるロックソングを構築する。それほど構成は奇をてらわず、ヴァースからコーラスにそのまま跳躍するというのも、聴きやすさがある要因なのかもしれない。


ともあれ、前作アルバムから引き継がれるエレクトロニックの音楽から触発を受けたサウンドがミニマルな構成を持つロックソングと結びつく。また、最新アルバムでは、ドラムの録音に結構こだわっており、硬質な響きを持つスネアが力強い印象を帯びている。最終的には、生のドラムの録音をエレクトロニックの打ち込みやサンプラーのような音として収録している。こういったアコースティックなサウンドを活かしたロックソングがこのアルバムの持ち味である。


アルバムの前半部から中盤部は、前作アルバムの復習ともいうべきサウンドが顕著だ。しかし、完全な自己模倣には陥っていない。新しい音楽性がアルバムの終盤になって登場する。アーティストの持ち前のローファイ性をサイケのテイストで縁取った「A Drawing Of The Sun」は、American Footballの『LP1』のポスト世代に位置づけられる。エモ好きは要チェックだ。

 

また、「An Outstreched Hand/ Rain From Here to Kerry」はオーストラリアのRoyel Otisのようなポストパンク勢からのフィードバックを感じさせる。ただ、ファー・カスピアンの場合は、美麗なギターのアルペジオを徹底して強調させたキラキラとした星の瞬きのようなサウンドが特色である。音楽の系統としてはエモ。しかし、このアルバムでは、柔らかさと強さが共存している。これはたぶん、前作にはなかった要素であり、シンガーソングライターとしての進歩を意味する。

 

終盤にも注目曲が収録されている。「Autofiction」は、エモとアルトロックの中間域にあるミドルテンポの女性ボーカルとのデュエット形式で展開される。この曲は、二曲目「First Day」と同じように、ファー・カスピアンのアイルランドのルーツを伺わせ、スコットランド民謡のダブル・トニック(楽曲の構成の中で2つの主音を作る。二つの調性を対比させる形式)の影響がバラード風のロックソング、スロウコアやサッドコアのようなインディーサウンドに縁取られている。


前回のアルバムではニッチなロックソングもあったが、今回のアルバムにおいてファー・カスピアンの音楽は一般性を獲得したように感じられる。一見すると矛盾しているようだが、徹底して自己を楽しませることにより、広汎なポピュラー性を獲得する場合がある。それは、自分が楽しんでいるから他者を楽しませられるという、ごくシンプルな理論だ。このロジックに即して、ジョエル・ジョンストンは、相変わらず良質なインディーロックアルバムを制作している。


「Whim」のようなサウンドはグランジ的な響きが漂う。90年代のアメリカのカレッジ・ロックの系譜にあるファー・カスピアンらしいサウンド。これらのスタイリッシュでマディーな匂いのするアルトロックソングは、他のバンドやアーティストの作品ではなかなか聴くことが出来ない。

 

クローズ曲「End」はエレクトロニカとロックの実直な融合である。そこにあるのは、やはり''瞬間に集中する''ということである。何ができるかわからないが、やってみる。これがロックの楽しみだ。本作を通じて、何かしら新しい音楽の芽をアーティストは見つけたに違いない。楽しみは苦しみを凌駕する。音楽を心から楽しむこと。それは結局、受け手にも伝わってくる。前作は会心の一作だったが、今作でもカスピアンは人知れず、良質なアルバムを制作している。

 

 

82/100 

 

 

 

「A Drawing of The Sun」  



The Bethsが、8月29日にAntiからリリースされるニューアルバム『Straight Line As a LIe』から3枚目のシングル「mother, pray for me」をリリースした。

 

 ザ・ベスは、ニュージーランドを拠点に活動するヴォーカリスト/ギタリストのエリザベス・ストークス、ギタリストのジョナサン・パース、ベーシストのベンジャミン・シンクレア、ドラマーのトリスタン・デッキの4人組。 

 

先月のシングル「No Joy」に続く「Mother, Pray For Me」は、「何も感じないことを歌った、パンチの効いたギター・トラック」と評されている(Paste Magazine)

 

清らかな指弾きのギターにのせて、ストークスの声は子供のように切々と繋がりを求めている。 ストークスはここで、彼女の両親が歩んできた人生、その死、そして両親を、たとえそれが十分でないと感じたとしても、最善を尽くした人間として見る方法と格闘している。 「書いている間、ずっと泣いていました。 

 

「私たちの関係がどうあってほしいのか、どうあるべきなのか、実際どうなのか、そしてそこから私が何を期待できるのか、できないのか」


「母はインドネシアからの移民で、とてもカトリック的なんだ。 私はジャカルタで生まれ、4歳のときにオークランドに引っ越した。 この曲は、私と母との関係、そして母の信仰と母との関係を理解しようとしている曲だと思う。 書くのは大変だった。 フルバンドアレンジも考えたんだけど、最終的には私とギターだけで、一番クリアに感じられた。 それとオルガンを少し」

  

ザ・ベスの2022年のアルバム『Expert In A Dying Field』から『Straight Line Was A Lie』までの道のりは、一筋縄ではいかなかった。 ストークスは初めて、携帯電話で録音した断片以上の新しい曲を書くのに苦労していた。 彼女は最近、SSRIを服用し始めたが、そのせいで、精神的、肉体的な健康状態から、家族間のいざこざまで、自分の人生で壊れているものすべてを「解決」できるような気がしていた。 だが、同時に、書くことが以前のように簡単にはできなくなっていた。 

 

『Straight Line Was A Lie』では、ストークスとピアースは典型的なベスの執筆プロセスを打ち破り、創造的なインプットの波に自分たちを開放した。 すでに有名な作詞家であるストークスは、個人的なことをとらえ、普遍的なことを梯子するキャッチーでインスタント・クラシックなフレーズで、長い間ファンや批評家に感動を与えてきた。 

 

しかし、ストークスは作詞との関係を意図的に解体し、再構築した結果、完全に生まれ変わった。 彼女のソングライティングは、洞察力と脆弱性という驚くべき新たな深みを獲得し、『Straight Line Was A Lie』はこれまでで最も鋭い観察眼と真実味に溢れ、詩的なベス・プロジェクトとなった。   

 

今年初め、ベスは今秋、北米、英国、ヨーロッパを回るワールド・ツアーを発表した。 ロサンゼルスのThe Wiltern、サンフランシスコのThe Fillmore、シカゴのThe Salt Shed、ニューヨークのBrooklyn Paramount、フィラデルフィアのUnion Transfer、ワシントンDCの9:30 Clubなど、これまでで最大規模の会場でヘッドライナーを務める。

 

 

「Mother, Pray For Me」 

ピーター・シルバーマンのレコーディング・プロジェクトであり最愛のバンドであるThe Antlersが、待望のニューアルバム『Blight』を10月10日(金)にTransgressive Recordsよりリリースすることを発表した。 


ザ・アントラーズの4年以上ぶりとなるスタジオ・ニューアルバム『Blight』から最初のリードシングル「Carnage」が初公開された。


依然としてIDMのエレクトロニカの要素は多分に感じさせるが、2009年の代表作 『Hospice』のようなロック的な音楽性から距離を置き、よりソングライター色を押し出した渋いテイストのバラードソングだ。


シンガーソングライター兼ギタリスト兼プロデューサーのピーター・シルバーマンの轟音テレキャスターが、長年のコラボレーターであるマイケル・ラーナーの不協和音のようなドラミングに群がり、バンドが長い間ライヴで生み出してきたエネルギーをテープに収めることはなかった。 


「”Carnage”は、私たちがめったに認めないような暴力について歌った曲だ。何の罪もない生き物が、彼らの世界と私たちの世界が衝突するとき、破壊の道に巻き込まれる」 


2021年の素朴でフォーク調の『Green to Gold』に続く『Blight』は、簡単な答えを提示することなく、多くの問いを投げかけている。 


アントラーズの創設者であり、主要なソングライターであるシルバーマンは、9曲の新曲の中で、私たちの受動的な破壊傾向(無頓着な汚染、無自覚な浪費、自然界のうっかりした荒廃)を見つめ直している。 


しかし、その重いテーマにもかかわらず、『Blight』は決して退屈な作品ではない。 冒険的なアレンジと持続的な勢いにより、このアルバムはむしろ玉虫色のオデッセイのように演奏される。  


アルバムは数年かけてレコーディングされ、その大部分はニューヨーク州北部にあるシルバーマンの自宅スタジオで制作された。 「このアルバムの大部分は、この広大な畑を歩きながら構想された。廃墟の惑星をさまよっているような気分だった」


そしてある意味、『Blight』はSFのようでもあり、近未来から届けられたかのようでもある。 このアルバムは、綿密な世界構築の作品であり、耳の保養と驚くようなスタイルの変化で溢れている。 


指弾きのギター、催眠術のようなオルガンのスタブ、軽快なピアノのメロディーなど、多くの曲がまばらな要素から始まるが、その土台に縛られ続けることはほとんどない。 曲の途中で穏やかなバラードからドキドキするようなエレクトロニカへと変化し、最後にはまったく別の地点に着地する。   

 


「Carnage」   

 

 

 

The Antlers 『Blight』 

Label:Transgressive

Release: 2025年10月10日

 

Tracklist:

 

1.Consider the Source 

2.Pour 

3.Carnage 

4.Blight 

5.Something in the Air 

6.Deactivate 

7.Calamity 

8.A Great Flood 

9.They Lost All of Us 

 

Pre-save: https://transgressive.lnk.to/blight 

Interview: Huan Huan(緩緩)       台北のベストインディーロックバンド 音楽性やライブ、日本ツアーについて語る



ライブで最も重要なのは、バンドのエネルギーを音と映像の両方で観客に伝えることーHuan Huan(Baozi)


Huan Huanは台北を拠点とするオルタナティブロックバンド。ボーカルのCoco、ドラマーのYi Jen、ベーシストのStone、ギタリストの Baoziからなる。メンバーチェンジを経て、2017年ごろから音源を発表してきた。


デビュー当時はドリームポップやシューゲイズを主体とする音楽を発表していた。徐々に音楽の間口を広くさせていき、ポストロックやジャズ、ソウルミュージック、そしてアジアのポップなどを音楽性の中に取り入れてきた。


現在のファン・ファンの音楽はスローな方向に傾き、フォークやロックの影響をココの透明感のある癒しのボーカルと融合させている。 彼らの多様な歌詞は、北京語、英語、台湾語にまたがっており、異なる文化を持つ聴衆とつながることを可能にしている。 


セカンド・アルバム『When The Wind Came Across』では、モータウンとソウルの要素を取り入れた。「That Afternoon」という曲では初めて台湾語の歌詞を試みた。 このアルバムは、明るくも優しく、日常の瞬間に寄り添ってくれる静かな友人のような黄金色の温かなリスニング体験を提供する。 


2025年には、台湾の福建語の曲「Words Unsaid」、北京語の曲「Afraid」、そしてアートの枠を超えたコラボ曲「Fracture - To W」の3枚のシングルをリリースし、さらなる進化を遂げた。 これらの作品は、穏やかな芯を体現しつつも、新たな境界線を探るために外へと手を伸ばし続けている。


2015年の結成以来、Huan Huanはその独特なサウンドでマンダリンの音楽シーンで目立ってきた。 2017年、デビューシングル「Huan Huan」をリリース。 2019年のEP『Charlie』のリリースに続き、彼らは国内外の批評家から注目を集めた。 次いで、音楽フェス「LUCfest」でのパフォーマンスが海外のキュレーターの目に留まり、オランダの「Motel Mozaïque」、ポルトガルの「MIL Festival」への招待につながった。


2020年、Huan Huanはデビューアルバム『Water Can Go Anywhere』をリリースし、これまでのEPにあったポストロックやシューゲイザーの影響から、フォークロックやドリームポップを取り入れたヒーリング・サウンドへとシフトした。 収録曲「I'd Better Be On Time」は、Disney+のシリーズ「Small & Mighty」でフィーチャーされ、ソニーとコラボし、同曲のライブ・セッションを行った。 


また、このアルバムをきっかけに、日本のインパートメント・レコードからフィジカル・リリースのオファーがあり、日本のTBSラジオで生放送インタビューが行われた。 アルバムのリリース後、ファン・ファンは2021年ゴールデン・インディ・ミュージック・アワードの「ベスト・ニュー・アーティスト」にノミネートされ、スペインのプリマヴェラ・プロやタイのバンコク・ミュージック・シティなどの国際フェスティバルでバーチャル・パフォーマンスを行った。


パンデミック規制の緩和により、Huan Huanは国際的なプレゼンスを拡大し続けた。 2022年のEP『Blue Room Orange Man』では、クラシック・ギターとシンセ・ベースを導入し、サウンドをより豊かにした。 彼らはマレーシアのCITY Plus Radioの独占インタビューに招待され、シンガポールのASEAN音楽祭にも出演した。 


2023年、彼らはプロデューサーのユチェイン・ワンとコラボレートし、セカンド・アルバム『When The Wind Came Across』をリリース。 このアルバムの新鮮で風通しの良い台湾語の歌詞はリスナーの共感を呼び、広く称賛された。 


特筆すべきは、「No Tears」がネットフリックス・シリーズ「At This Moment」のエンディング・テーマに選ばれたこと。 その後、沖縄で開催されたミュージック・パワー2023で日本のステージにデビューし、地元の観客から熱狂的な反応を得た。


2024年、ファン・ファンは "Huan Huan to Your Home "ツアーを開始し、ファンとのつながりを深め、彼らの音楽が感情に与える影響を探るため、親密なハウス・コンサートを行った。 こうした親密な交流を通じて、彼らは自分たちの音楽がリスナーの聖域となることを理解した。 2025年4月、ファン・ファンはリリースしたばかりのシングル「Afraid」と「Words Unsaid」を、台湾を代表して日本の有名な音楽フェスティバル「SYNCHRONICITY」のステージに持ち込んだ。 


バンドはまた、FM802、Asian Breezeといった著名なラジオ番組にも出演し、メディアとリスナーの双方から満場一致の賞賛を受けた。


2025年5月には初の中国ツアーを行い、南京、杭州、上海、武漢、広州を訪れた。 心のこもった隙のないパフォーマンスは口コミで評判を呼び、チケットの売り上げも伸びた。 7月には、台湾の詩人、リン・ユーをフィーチャーし、音楽と文学のコラボレーションを図った『Fracture - To W』をリリースした。 バンドは今後、これらの作品を国際舞台で披露し、大胆な新章を開く予定。(バンドの公式HPの紹介文を参照)



ーーインタビューをお受けいただきありがとうございます。まず、Huan Huanの結成の経緯について教えていただけますか??


Huan Huanは何度かメンバーチェンジを経て、徐々に現在のアンサンブルになりました。 ボーカルのココが、ポストロックをやりたいとネットでバンド仲間を募集したのが始まりでした。 

「Huan Huan」というバンド名は、ココがシャワーを浴びているときに思いついたもので、彼女の非常にマイペースな性格にぴったりだと感じた。 2019年、ドラマーのYi-Chenが加入し、ギタリストのBaoziが続いた。 


ベーシストのストーンが加入したのは、セカンドアルバムのレコーディングのときだった。 時が経つにつれ、バンドの音楽スタイルも進化し、ポストロックから現在はフォークロックに近いサウンドへと変化していきました。



ーーメンバーはそれぞれどんな音楽に影響を受けていますか?


Baozi: 一番影響を受けた音楽のジャンルは、ロック、J-POP / J-Rock、オルタナティブ・ロック、ポスト・ロックなどです。


Coco: ビーチハウス、ドーター、キングス・オブ・コンビニエンス、ウィルコ、ビッグ・シーフなどかな。


Stone: 最も影響を受けた音楽はブラックミュージックで、特にソウルやジャズ。 マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、ジャクソン5、ディアンジェロ、エリカ・バドゥなど。


Yi Jen:10代の頃はロック、大学時代はポストロックやエレクトロニック・ミュージック、今はモータウンのグルーヴやジャズの即興演奏が好きです。



ーー近年、ライブに力を入れている印象がありますね。皆さんがライブで大切にしていることは?


 Baozi: ライブで最も重要なのは、バンドのエネルギーを音と映像の両方で観客に伝えることだと思いますね。私たちがセットを計画するときは、CDやストリーミングで聴くよりも、より強烈で没入感のある体験を作り出したいと思っています。 


ライブはより直接的に交流できるため、バンド全体の個性だけでなく、メンバーそれぞれの個性も表現したい。 そのため、今年から曲間のつなぎに各メンバーのソロを入れるようにしました。


ーーHuan Huanは今年、「Words Unsaid」と「Afraid」の2枚のシングルをリリースしました。バンドの新曲について詳しく教えてください。


Baozi:「Words Unsaid」はHuan Huanにとって2曲目の台湾語の曲です。 歌詞はとても悲しい内容なんですが、リスナーの感情のはけ口になれば良いかなと思い、情熱的でアップビートなダンススタイルでその悲しみを表現することにしました。 


今までで一番テンポの速い曲でもあります。 ボーカルのココがキングス・オブ・コンビニエンスが大好きで、フォークとダンス・ミュージックを融合させてみたいとずっと思っていたんだ。 ついに完成したときは、演奏する手が痛くなるくらい興奮したし、嬉しかったよ(笑)! 演奏する手は痛かったけどね(笑)!!


Stone:「Afraid」は、長年にわたるHuan Huanの特徴である暖かくオーガニックなスタイルを継承しています。 ココの歌詞は、心の奥底から最も繊細で親密な感情をとらえています。 もう一曲の「Words Unsaid」は私たちにとって新しい方向性です。エモーショナルな深みを保ちつつ、ライブの観客が没頭できるようなグルーヴをより多く取り入れました。 ツアー中の反応も上々です。



Huan Huan



ーー今年、下北沢の来日公演がありましたよね。 どうでしたか?  東京の観光はなさいましたか?


Baozi: 日本での公演は、私たちにとってエキサイティングであると同時に緊張する経験でした。 日本の音楽シーンは非常に強いと見てきたので、SYNCHRONICITYのような大きなイベントへの出演したことは大きな励みになりました。 


さらに、下北沢のmono recordでも小規模なライヴを行いました。 私たちの音楽が言葉の壁を越えて、日本の聴衆に癒しと喜びをもたらすことができることを知ったとき、それは本当に感動的で確かな瞬間でした。


観光では、池袋のサンシャインシティに行って、おいしい居酒屋料理とお酒を食べ歩きました(笑)! とても美味しかった(笑)!!


Stone:  そうですね。今回の日本ツアーでは、いくつかの素晴らしいライブハウスを訪れましたし、SYNCHRONICITYでは他の素晴らしいバンドのパフォーマンスも観ました。 観客の多様性と熱心さに感銘を受けました。 ほとんどのイベントとインタビューが渋谷近辺だったので、数日かけて渋谷を深く探索しました。 賑やかな通りは活気があって、よく道に迷ってしまったよ。(笑)


Yi Jen:私はSYNCHRONICITYの会場のすぐそばにある任天堂ショップに行きました。 また、海外ではなかなか見ることのできないヴィンテージの雰囲気を楽しむために、いくつかの「喫茶店」にも行きました!!


Coco: 今回は、日本の友人たちが温かく迎えてくれました。ライヴにたくさんの人が応援に来てくれただけでなく、スタッフが私たちと他のパフォーマーを独特の雰囲気のレストランに連れて行ってくれました。 みんなで熱唱したことが印象に残ってます。 本当に貴重で大切な思い出でした!!


ーーHuan Huanの今後の予定はどうでしょう?  近い将来、アルバムやEPをリリースする予定は?


Coco:  次のアルバムのコンセプトはすでに大まかな方向性が決まっています。 2025年に3枚のシングルをリリースした後、創作の勢いを維持したまま、フルアルバムの準備を始めたいと思っています。


ーー今、台北ではどんな音楽が流行っていますか? また、この街の魅力は何でしょうか??


 Baozi:  台北では、あらゆる音楽がそれぞれのファン層を持っています。 世界的なトレンドと同じように、ヒップホップやK-POPは今でも人気があります。また、日本的な音楽も昔から根強い人気がありますね。


私が台北の街に最も惹かれるのは、その多様性と温かさなのです。 オープンマインドな雰囲気は、あらゆる文化的要素を受け入れてくれるし、お店のオーナーも市民もとても親切だ。 それがこの街の一番好きなところですね。


Stone:  台北(タイペイ)はサブカルチャーが盛んな街で、それぞれのグループが好みのジャンルを持っているというBaoziの意見に賛成です。 また、最近、どうやら大学生の間でシューゲイザーがじわじわと人気が出てきているようです。なんだか学生時代に戻ったようで驚いています。(笑)



ーー最後に、ファンファンの活動からしか得られないものを挙げるとしたら?


Baozi: ファンファンというバンドは、誰にでもいる優しい友達のような気がします。 悩みを打ち明けたとき、すぐにどうしたらいいか教えてくれるのではなく、ただ一緒にいて、話を聞いてくれて、一番必要な慰めをしてくれる。


私たちが心の優しい声を歌うのは、聴く人にとって唯一無二の慰めであってほしいと願っているからです。 この特別な優しさこそ、ファン・ファンならではの魅力だと思います。


Coco: 私たちは、オープンで思いやりのある精神で物事に取り組み、私たちの音楽が聴く人に癒しの感覚を提供できることを願っています。


Stone: 長い年月を経て、今のファンファンには私たち4人の自然で純粋な面がより多く反映されていると感じています。 壮大さを装う必要はなく、ただ正直に自分たちを表現し、分かち合っている。 これからも、このような雰囲気を世界の隅々まで届けていきたいと思っています。


Yi Jen:内向的で率直な友人。とても温かい仲間たち。




ーーありがとうございました。今後の活躍にも期待してます。また日本に遊びに来てください!!











インタビュー: Music Tribune (Tokyo)

取材協力: (Meng: In Utero [Manager of Huan Huan])




Huan Huan is an alternative rock band based in Taipei. The band consists of vocalist Coco, drummer Yi Jen, bassist Stone, and guitarist Baozi. After changing members, the band has been releasing music since around 2017.


At the time of their debut, their music was mainly dream pop and shoegaze. Gradually, they have broadened their musical horizons and have incorporated post-rock, jazz, soul music, and Asian pop into their musicality.


Today, Fan Fan's music leans in a slower direction, blending folk and rock influences with Coco's clear, soothing vocals. Their diverse lyrics span Mandarin, English, and Taiwanese, allowing them to connect with audiences from different cultures. 


For his second album, "When The Wind Came Across," he incorporated elements of Motown and Soul. On the other hand, the song "That Afternoon" was the first time he tried Taiwanese lyrics. The album offers a golden, warm listening experience, bright yet gentle, like a quiet friend who accompanies you in your everyday moments. 


In 2025, the group further evolved with the release of three singles: the Taiwanese Fujian song "Words Unsaid," the Mandarin song "Afraid," and the cross-artistic collaboration "Fracture - To W." These pieces embody a calm core, yet continue to reach outward to explore new boundaries.


Since its formation in 2015, Huan Huan has stood out in the Mandarin music scene with its unique sound. In 2017, they released their debut single, "Huan Huan". Following the release of their EP "Charlie" in 2019, they garnered attention from local and international critics. Next, their performance at the music festival LUCfest caught the attention of international curators, leading to invitations to Motel Mozaïque in the Netherlands and MIL Festival in Portugal.


In 2020, Huan Huan released their debut album, Water Can Go Anywhere, which shifted away from the post-rock and shoegaze influences of their previous EPs to a healing sound that incorporated folk rock and dream pop. The track "I'd Better Be On Time" was featured on the Disney+ series "Small & Mighty," and the band collaborated with Sony on a live session of the song. 


The album also led to an offer for a physical release from Japan's Imperament Records and a live interview on Japan's TBS radio. Following the album's release, Fun Fun Fun was nominated for "Best New Artist" at the 2021 Golden Indie Music Awards and performed virtually at international festivals such as Primavera Pro in Spain and Bangkok Music City in Thailand. He has performed virtually at international festivals such as Primavera Pro in Spain and Bangkok Music City in Thailand.(Via Official HP)




ーーThank you for taking the time to do this interview! How the band was formed?  Do you have a story about the formation of Huan Huan(緩緩)?


Huan Huan went through several lineup changes before gradually forming its current ensemble. It all started when vocalist Coco posted an online call for bandmates, hoping to play post-rock. 

The band name "Huan Huan" came to her while she was taking a shower—she felt it perfectly matched her extremely slow-paced personality. In 2019, drummer Yi-Chen joined, followed by guitarist Baozi. It wasn’t until the recording of their second album that bassist Stone became part of the band. Over time, the band’s musical style also evolved, shifting from post-rock to what is now a sound more akin to folk rock.



ーーWhat kind of music influences each member of the band?


Baozi: The music genres that have influenced me the most are Rock, J-Pop / J-Rock, Alternative Rock, Post Rock, and so on.


Coco: The music that has influenced me the most is probably Western indie music from the 1990s to 2000s, such as bands like Beach House, Daughter, Kings of Convenience, Wilco, and Big Thief.
Stone: The music that has influenced me the most is Black music, especially soul and jazz. I enjoy listening to classic tracks from the 1960s to the 2000s—artists like Marvin Gaye, Stevie Wonder, The Jackson 5, D’Angelo, Erykah Badu, and others.


Yi Jen: I have been influenced by different music in my different ages, such as rock music during my teenage years, and then post rock or electronic music during my college years, and now I pretty like the grooves of Motown music or the vibrant improvisations in jazz music.



ーーI get the impression that in recent years you have been putting more effort into your live performances.  What do you consider important in your live performances?


Baozi: I think the most important part of a live performance is conveying the band's energy to the audience through both sound and visuals. When we plan our set, we want to create an experience that feels more intense and immersive than just listening to a CD or streaming. 


Because live shows allow for more direct interaction, we also want to express not only the band’s overall personality but also the individual characteristics of each member. That’s why, starting this year, we’ve included solo segments from each member to bridge between songs.



ーーHuan Huan has released two good singles 「Words Unsaid」and「Afraid」this year. Can you tell us more about these new songs from the band?


Baozi: “Words Unsaid” is Huan Huan’s second song in Taiwanese. Although the lyrics are quite sorrowful, we chose to express that sadness through a passionate, upbeat dance style, hoping it could serve as an outlet for listeners’ emotions. It’s also our fastest-paced track so far. Our vocalist Coco really likes Kings of Convenience, and we’ve always wanted to try blending folk with dance music. When we finally pulled it off, we were so excited and happy—though our hands were sore from playing it! (laughs)


Stone:「Afraid」continues Huan Huan’s signature warm and organic style over the years. Coco’s lyrics capture the most delicate, intimate emotions from deep within. I feel that both the songwriting and the performance embody a very 'Huan Huan' atmosphere.「Words Unsaid」is a new direction for us. While maintaining emotional depth, we incorporated more groove—something the live audience can really immerse themselves in. The response during the tour has been quite positive.



ーーYou guys had a tour in Japan this year. How did you feel about it? Did you do any sightseeing?


Baozi: Performing in Japan was both an exciting and nerve-wracking experience for us. We've always seen Japan’s music scene as extremely strong, so getting selected to perform at a major event like SYNCHRONICITY was a huge encouragement. 


We also had a smaller show at mono record in Shimokitazawa. When we saw that our music could cross language barriers and still bring healing and joy to Japanese audiences, it was a truly touching and validating moment. As for sightseeing, I went to Sunshine City in Ikebukuro and had a ton of delicious izakaya food and drinks—so good! (laughs)


Stone: During this Japan tour, we visited some great live houses and also watched performances by other excellent bands at SYNCHRONICITY. I was impressed by the diversity and engagement of the audience—it really felt like music is a way of life. Since most of our events and interviews were around Shibuya, we spent several days exploring the area in depth. The bustling streets were so vibrant that I often got lost (laughs).


Yi Jen: I went to Nintendo store in Shubuya just right beside our venue in SYNCHRONICITY because I’m a fan of their game “Pickmin Bloom”. We also went to several “kissaten” to enjoy the vintage vibe that we can hardly find outside of Japan!


Coco: This time, we were warmly welcomed by our friends in Japan. Not only did many people come to our shows to show their support, but the staff also took us and other performers to dine at restaurants with a unique atmosphere. Everyone sang together enthusiastically—it left a deep impression on me. It’s truly a rare and cherished memory!



ーーWhat are Huan Huan's plans for the future?  Any plans for releasing an album or EP in the near future?


Coco: The concept for the next album already has a rough initial direction. After releasing three singles in 2025, we hope to maintain our creative momentum and begin preparing for the full album.


ーーWhat kind of music is popular in Taipei now? And what do you think is attractive about this city?


Baozi: In Taipei, all kinds of music have their own fan bases. Just like global trends, hip-hop and K-pop are still really popular, but Japanese-style music has always had a strong following here too. What attracts me most to Taipei is its diversity and warmth. 

The open-minded atmosphere allows all kinds of cultural elements to thrive, and both shop owners and everyday citizens are incredibly kind. That’s what I love most about the city.


Stone: I agree with Baozi’s observation that Taipei is a city where subcultures thrive, with each group having its own preferred genres. Recently, I’ve noticed that Shoegaze music is gradually becoming popular among university students, which surprises me—it almost feels like I’ve gone back to my college days (laughs).



ーーFinally, if you had to name something that you can only get from Huan Huan's activities, what would it be?

Baozi: I think Huan Huan as a band feels like that one especially gentle friend we all have. When you share your worries with them, they won’t immediately tell you what to do—they’ll just stay with you, listen, and offer the comfort you need most. The way we sing the softest voices of the heart is something we hope is uniquely comforting to our listeners. I believe that this special kind of tenderness is Huan Huan’s most unique charm.


Coco: We approach things with a spirit of openness and compassion, and we hope our music can offer a sense of healing to those who listen.


Stone: After all these years, I feel that Huan Huan now reflects more of the natural, genuine sides of the four of us. We don’t need to pretend to be grand; we just honestly present and share ourselves. Moving forward, we want to keep bringing this kind of atmosphere to every corner of the world.


Yi Jen: An introverted an candid friend, a warm company.


ーThank you so much. We look forward to seeing your future activities. Please come visit  in Japan again!



Interview : Music Tribune (Tokyo) 

Special Thanks To:  Meng(In Utero [Manager of Huan Huan])

 



ユタ/ソルトレイクシティのインディーロックバンド、The Moss(ザ・モス)がニューシングル「Darkness」をリリースした。バンドの音楽は、オーガニックインディーロックと呼ばれる。

 

ディスコなどのダンスミュージックをベースとしながらも、イーグルスのバラードソングのように哀愁を感じさせる楽曲である。リリックビデオが公開されているので下記よりご覧ください。

 

S-Curve Records(Yola、Andy Tonglenをルースターに持つ)からリリースされたこのシングルは、輝く曲調、ユニークなビジョン、オーガニックなインディーロックで知られるThe Mossの1年以上ぶりの楽曲となる。 "Darkness "は、彼らの待望の次作EPからのリリースだ。 


タイク・ジェイムス(ヴォーカル/ギター)とアディソン・シャープ(ギター)は、10代の仲間としてオアフ島の海岸からユタ州のグレート・ソルト・レイクに移り住み、ウィリー・ファウラー(ドラムス)、カイデン・ジャクソン(ベース)と共にザ・モスを結成した。 グループの主要ソングライターであるタイクは、自身の個人的な経験や情熱をザ・モスの晴れやかで陽気な楽曲に注ぎ込んでいる。 


バンドの洞察に満ちた楽曲と記憶に残るライブ・ショーにより、ザ・モスはAlternative Press、Under The Radar、The Alternative、LADYGUNN、Earmilk、Atwood Magazine、OnesToWatchなど、世界中の音楽メディアから高い評価を得ている。 ニューシングル "Darkness "は、待望のEPからのリリース。 

 

バンドのタイク・ジェイムスは、「"Darkness"は、誰かを深く思いながらも、自分の感情を整理するために相手から離れる必要があるという、この循環的な思考として書かれている」と打ち明けている。

 

The Mossは7500万回以上のストリーミングを記録し、Alt Pressから "Rising Artist To Watch "として高い評価を受けている。 バンドは2025年にアメリカで50以上のヘッドライナー公演を行い、8月にはマウント・ジョイと共演する。 最近、バンドは、BottleRock、Levitateなどに出演している。今後の活躍が楽しみなロックバンドだ。

 

 

 「Darkness」


 

 

Originating on the shores of Oahu as teenage buddies, Tyke James (vocals/guitar) and Addison Sharp (guitar) traded in beaches for the Great Salt Lake joining forces with Willie Fowler (drums) Caiden Jackson (bass) to form The Moss. 

 

As the group’s principal songwriter, Tyke channels his own personal experiences and passions into The Moss’ radiant and deceptively sunny tunes—their unique version of organic indie rock draws from artists like Pinegrove and Kevin Morby for sonic inspiration. 

 

The band’s insightful songs and memorable live shows have earned The Moss acclaim across the music press world, including Alternative Press, Under The Radar, The Alternative, LADYGUNN, Earmilk, Atwood Magazine and OnesToWatch. 

 

Their new single "Darkness" is off of their highly anticipated forthcoming EP. Tyke of the band confides, “Darkness is written as this cyclical thought, of caring deeply about someone, but needing space from them to sort out your own emotions.”  

 

 

 


ケイシー・ゴメス・ウォーカー率いるシカゴを拠点とするバンド、ケース・オーツが、近日発売予定のデビューアルバム『Last Missouri Exit』からのニューシングル「Nora」をリリースした。

 

「In a Bungalow」に続く、先月の「人々と場所の思い出」をテーマにした作品に続き、「Nora」は60年代を彷彿とさせる、暗くも遊び心のあるトラックです。曲の意外なサビ「I’m glad you are here now / I can see now」は、突然の啓示のような一節で、夜遅くの自己反省に満ちた、知性と優美さが溢れる瞬間です。


Casey Gomez Walkerの「Nora」について次のように説明している。


時々、明らかに元恋人を愛している人と関係を持つことがあります。あなたは自分を欺き、それが真実ではないかもしれない、または彼らがあなたを愛し始めるかもしれないと考えるかもしれません。あなたはそこに留まります。しかし、結局彼らはそうしません。

 

だからこの曲は、私の元恋人の現在の恋人への愛の手紙です。もし彼らが一緒にいるべきなら、怒る意味はありません。私は本当に彼女に感謝しています。あの状況から解放してくれたこと、そして彼女の愛を祝っています。本物の愛に対して怒る理由はありません。それは尊重されるべきものです。だからこの曲では、彼女に「愛している」と伝え、今ここにいることを喜び、今なら理解できると歌っています。


Case Oatsは今夏、ニューヨーク、トロント、シカゴでアルバムリリースライブを複数開催し、さらに2つのフェスティバルにも出演予定。Skokieの「Out of Space」とナッシュビルの「Americana Music Festival」です。10月には、LuciusとSuperchunkの北米ツアーをサポートする。


『Last Missouri Exit(ラスト・ミズーリ・イグジット)』は8月22日にマージ・レコードからリリースされる。

 

「Nora」 




 Alex G 『Headlights』

 

Label: RCA / SONY MUSIC

Release:  2025年7月18日


Listen/Stream

 

Review

 

『God Save The Animals』から3年を経てリリースされたフィラデルフィアのシンガーソングライター、Alex Gの新作『Headlights』は、近年の男性ミュージシャンの中でも傑出した作品である。この作品を機にイギリスのDominoからアメリカのRCAへとアレックスGは移籍している。前作ではアメリカーナやフォーク・ミュージックをベースに温和なロックワールドを展開させたが、それらの個性的な音楽性を引き継いだ上で、ソングライティングはより円熟味を増している。現代的なポップ/ロックミュージックの流れを踏まえた上で、彼は普遍的な音楽を探求する。

 

前作アルバムはくっきりとした音像が重視され、ドラムがかなり強めに出力されていたという点で、バンド性を重視したアルバムではなかったか。その中で幻想的なカントリー/フォークの要素をもとにした、ポピュラーなロックソングが多かった印象を覚えた。最新作では前作の延長線上を行きながらさらに深い領域に達した。円熟味のあるソングライティングが堪能できるはず。


しっとりとしたアコースティックギターで始まるフォークバラード「June Guitar」はエリック・クラプトンの「Pilgrim」を彷彿とさせる渋く哀愁のあるバラードソングに近い。前作よりもギターの音像がクリアに浮かび上がり、弾き語りの形式でこのアルバムをリードする。ドラムもまたボンゴのような打楽器を使用し、ボーカルやギターのメロディーが浮かび上がるように配慮されている。そして、アレックスGのボーカルが入ると、面白いように音楽の世界が広がっていく。


間奏には蛇腹楽器の音色を取り入れたり、女性ボーカルが入ったりもするが、その中心となっているのは、長調と短調を行き来する巧みなコード進行、そして、商業音楽の基礎的な半音階進行(C#から半音階ずつ降りていく)である。これらが一緒くたとなり、開放的な印象を持つフォーク・ロックの境界線がゆっくりと押し広げられていく。ポピュラーソングのお手本ともいうべき見事な楽曲ではないか。

 

新しい音楽性を垣間見せたあと、「Real Thing」では、『God Save The Animals』の作風の延長線上にある音楽性が選ばれている。しかし、カントリーをベースにしたギターの奏法には磨きがかけられ、ギターの弦でリズムを取る音ですら、調和的な響きに聞こえてくる。しかし、この曲では、明らかに前作とはボーカルスタイルが異なるのに気がつく。繊細性や脆弱性を押し出した男性シンガーにしか紡ぎ得ない哀愁や切ないメロディーをさらりと歌い上げている。

 

二曲目で聞こえるようなフォークロックソングは、落ち着いた印象をもたらしてくれる。また、アコースティックギターの演奏にピアノ/シンセの音色が加わるとき、この曲はバラッド的な性質を持ち、切ないセンチメンタルな性質を帯びる。アレックスのギターロックは夕暮れの国道や幹線道路、パーキング沿いにあるモーテル、そういったアメリカ的な情景をありありと思い浮かばせる。歌も魅力なのだが、同時に、バックストロークのギターの演奏も聞かせるものがある。高音部の繊細なピッキングのアルペジオは、この曲にリズム的な効果を及ぼしている。

 

一転して、ドラムが強めに出力される「Afterlife」は民族舞踊のような音楽性が色濃い。単なるアメリカの伝統音楽というより、ケルト民謡かヨーロッパの舞踏音楽のような陽気さがある。これらは従来のアメリカーナやカントリー/フォークの形式にとどまらず、民族音楽の資質が彼のソングライティングの中に現れた瞬間だ。


バンジョーのように高音域を強調付けるギター、及び、アコースティギターの多重録音は重層的なハーモニーを生み出している。そしてアレックスのボーカルはおそらく、70年代や80年代のロックやポピュラーをベースにした歌唱法であり、これらがこの楽曲に普遍的な意味合いをもたらしている。


アレックスGは音域が広いシンガーで、アルバムの冒頭部からアルトの領域からソプラノに近い音域を華麗に歌い上げる。楽曲の後半では、祝祭的な音楽性が強まり、民族舞踊の要素はAORの要素と組み合わされ、華やかなアウトロを形成している。一つの音楽主題の変遷の流れを楽しめるにちがいない。

 

Alex Gは、自分自身でも比較的高い音域を歌いこなうシンガーであるが、このアルバムでは自分の音域ではカバーしきれない箇所を女性シンガーに任せることがある。対象的に、「Beams Me Up」では、瞑想的なフォークロックを選んでいる。アコースティックギターと歌がメインであるのは事実だが、ピアノのグリッサンドを用いたりと、様々な工夫が凝らされている。これらが北部とも南部とも西海岸ともつかない70年代風のフォーク・ロックの楽曲と組み合わされ、さらに重厚なコーラスが入ると、この曲は次第に瞑想的な領域にまでたどり着く。


自分自身の声に合わせて、どことなく幻想的でファンシーな印象を持つ女性コーラスを背景に、着想を徐々に押し広げていき、ファンタジックな雰囲気を持つフォークソングを作り上げる。この点はアルバムのアートワークのイメージと音楽性が上手くリンクした瞬間だ。また、70年代のフォーク・ロックにとどまらず、90年代のブリットポップのような音楽性が中盤から強まる。部分的にはオアシスのような存在に対するリスペクトが含まれている気がする。そういった中で、2分後半からはアメリカーナやカントリーの印象が強まり、奥深い感覚に到達している。


「Afterlife」

 



続く「Spinning」には深い感銘を受けた。 オアシスの最初期のような憂いにあふれたイントロのギターのアルペジオに始まり、バッキングギターと自身のボーカルのファルセットを中心として次第にダイナミックな展開を辿る。アコースティックギター、そしておそらくエレクトリック二本以上の多重録音については、特にギターサウンドに対するこだわりを感じさせる。そしてアルトの音域のボーカルからソプラノの裏声の音域へと音階跳躍する瞬間に奇妙なカタルシスが発生する。いわば暗い心情から一瞬で切り替わり、祝祭的に鳴り響くサビの導入部が劇的である。サビでは音階が跳躍するという商業音楽の基礎的な作曲技法を踏まえた素晴らしい一曲。また、チープ・トリックの系譜にあるメロディーメイカーの才覚を見出すことも出来る。

 

「Louisiana」では、まるで田舎の小屋で録音したようなローファイでガレージなロックソングを聴くことが出来る。この曲はアルバムの中盤までにかけてアーティストの趣味性が反映されている。マック・デマルコのようなフォーク・ロックとして聴くことも出来るが、全体的にはサッドコアやスロウコアのような音楽性が滲み出ている。この点では、Homeshakeのような音楽性に近接している。また、前衛的なロックミュージシャンとしての姿もわずかに見いだせる。「Bounce Boy」では遊び心あふれる音楽を楽しめる。シンセロックやダンス・ミュージックを宅録のような感じで処理して、果敢なチャレンジを行っている。シーケンサーのサンプリングを徹底して活用した曲で、属に言われる「コラージュ・サウンド」として楽しむことが出来る。

 

その後の収録曲の流れは見事としか言いようがない。再び、アメリカーナやカントリー/フォークを中心とする音楽的な主題に戻り、「Orange」では、アルバムの冒頭で聞けるような幻想的で心地よいフォークサウンド、さらに、アメリカーナの歌唱を維持した上で、続く「Far and Wide」ではストリングスを取り入れ、アメリカの民族音楽的なルーツに迫る。この曲の中には小さい子が聴くようなアメリカの民謡の要素が含まれ、それらがギターロックやオーケストラと融合している。特に、最近のRCAが得意とするフィル・スペクター級のオーケストレーションに注目したい。曲の終盤では弦楽器がレガートからピチカートへと変わり、ダイナミックな変遷を描く。ビートルズの「The Long And Winding Road」のチェンバーポップの進化系が示されている。


そういった流れに導かれるようにしてタイトル曲「Headlight」が現れる。これはまるで暗闇の向こうから車のヘッドライトの照らし出され、不思議な光景が出現するかのようでもある。それらはやはり、アレックスの得意とするカントリー/フォークとロックの合体という形式を見いだせる。しかし、ファジーかつウージーなギターに、マカロニ・ウェスタンのような独特な雰囲気が滲み出ている。まるで現代から西部劇のムービーを見るようなユニークな雰囲気が込められている。それらの雰囲気を湧き立てるように、アコーディオンのような楽器の音色が響く。

 

 アルバムの終盤の二曲も聴き逃がせない。ジャズ風のピアノと女性コーラスをゴスペルのように配置した曲もまた、アレックスの意外性に富んだ音楽性を象徴付けるものである。次から次へと予測しえない音楽が登場するという点において、このアルバムはミュージシャンとしての冒険心のようなものが現れ出た瞬間なのではないかと思われる。本作のクローズ曲にはライブ曲が収録。「Logan Hotel(Live)」では70年代のフォーク・ロックの音楽性が色濃いが、アレックスの曲はそれらの音楽の普遍的な側面にスポットライトを当てている。最近の男性シンガーソングライターの作品の中では傑出している。RCAに移籍して早くも結果を出した形になった。

 

 

 

 

86/100 

 

 

 

「Spinning」


カナダーのシンガーソングライター、マック・デマルコ(Mac DeMarco)は、近日発売予定のアルバム『Guitar』からのセカンドシングルとして「Holy」を公開した。

 

自分で監督したビデオについて、マック・デマルコは次のように語っている。 「数時間、服を着たまま海を泳ぎ回って、ブーツを完全に海水でいっぱいにした。 他にも岩の上で撮ったものもあったんだけど、結局、庭で転んでリンゴを食べている映像が一番良かった。 聴いてくれてありがとう!!」


リリースについて、彼はこうコメントしている。『Guitar』は、僕が今、自分の人生のどこにいるのかを、紙に書くことができる限り、忠実に表現した作品なんだと思う。 この音楽を共有できることを嬉しく思うし、できる限り多くの場所でこの曲を演奏することを楽しみにしています」


『Guitar』は、ロサンゼルスからニューヨークまで様々な場所でレコーディングされた2023年のインストゥルメンタル・アルバム『Five Easy Hot Dogs』、199曲収録の『One Wayne G』に続く作品である。

 


「Holy」

 


Eliza McLamb(イライザ・マクラム)がセカンドアルバム『Good Story』を発表した。 2024年の素晴らしい『Going Through It』に続くアルバムで、10月24日にRoyal Mountainからリリースされる。 

 

彼女はilluminati hottiesのSarah Tudzinとレコーディングし、バンドにはギターのJacob Blizard、ベースのRyan Ficano、鍵盤のSarah Goldstone、ドラムのJason McGerrが参加している。 「個人的な物語を作り上げるという強迫観念から離れ、より新鮮に感じられ、アイデアを拾い上げることができるような、余地を切り開き、新しい曲を持ち込んだ」とマクラムは言う。 「でも、個人的な物語を作らなければならないという強迫観念について、これらの曲を書いたんだ」。


最初のシングルは「Like the Boys」で魅力的なインディー・ロック・トラックだ。 ライク・ザ・ボーイズ』は、男の子たちの中の女の子であることについて歌っている」とマクラムは言う。 「私は彼らの権威と大胆さを得たかった。 彼らがお互いに愛し合うように、私も愛されたかった。 そして今、振り返ってみると、私たちは皆、互いにふりをし合って遊んでいた。 遊びがいかに暴力的なものであるかもね」 彼女が監督を務めたミュージックビデオは以下からご覧ください。



Eliza McLamb 『Good Story』

Label: Royal Mountain

Release:  2025年10月24日 

 

Tracklist:

1. Better Song

2. Like the Boys

3. California

4. Suffering

5. Good Story

6. Promise

7. Water Inside the Fence

8. Talisman

9. Mausoleum

10. Forever, Like That

11. Every Year

12. Girls I Know

13. Getting 


シカゴのWhitneyは4thアルバム『Small Talk』を発表した。AWALからの最初のリリースとなる。ノスタルジックなソウル/フォークロックソングを落とし込むことにかけて、ホイットニーの右に出るグループは見当たらない。

 

全11曲を収録したホイットニーのニューアルバム「Small Talk」のゲスト・ヴォーカルはマディソン・カニンガムただ一人。

 

ニューシングル「Dandelions」は、ホイットニーの核となる価値観に立ち返ったもので、ジュリアン・エルリッヒのゴージャスなファルセット・ヴォーカル、アメリカーナ寄りのソングライティング、そしてマックス・カカチェクのスライド・ギターを伴う豪華なアレンジが特徴だ。

 

深い感銘を与える「Dandelions」は、青々とした、霞んだ夏の夜のような雰囲気を持っている。 ジュリアン・エルリッヒのコメントは以下の通り。

 

「数年前、マックスと私は、当時付き合っていた人たちの近くに引っ越す寸前だった。 数ヶ月の間に2人の関係は突然崩れ去り、私たちは混乱と悲しみに包まれた。 そのような出来事に触発され(そして中西部の誇りという気まぐれに)、私たちは『ダンデライオン』の物語を、大都会の希望に満ち溢れ、噛み砕かれてハートランドに吐き戻される男の物語に紡ぐことにした。

 

 

「Dandelions」



Whitney 『Small Talk』 


Label: AWAL

Release:  2025年11月7日

 

Tracklist:

 

1.Silent Exchange
2.Won’t You Speak Your Mind
3.The Thread
4.Damage
5.Dandelions
6.Islands (Really Something)
7.In The Saddle
8.Evangeline (Ft. Madison Cunningham)
9.Back To The Wind
10.Small Talk
11.Darling

 


ウィルコのソングライター、ジェフ・トゥイーディーが4曲の新曲「One Tiny Flower」、「Out In The Dark」、「Stray Cats in Spain」、「Enough」のリリースと同時に、ニューアルバム『Twilight Override』を発表した。本作はジェフ・トゥイーディーにとって従来で最も壮大な音楽的な冒険となり、三枚組の圧倒的なボリュームを持つ作品としてリリースされる。また、このアルバムはミュージシャンにとって創造が何かを徹底的に追求したものである。

 

「創造的なことをすることを選択するとき、あなたは他の人々が神と呼ぶ何かと自分を一致させる。 そして、創造と手を組むということは、本質的に破壊に反対する側に立つということだ。 あなたは創造の側にいる。 そうすれば、破壊への衝動を抑えることができる。 創造性は暗闇を食べるんだ」とトゥイーディーは説明する。


「黄昏という言葉は確かにきれいだけどね.......。 それに、世界はかつての帝国の幸せな人々で溢れているから、この不協和音の原因はそれだけではないのかもしれない。 それが何であれ(あるいはその中にあるにせよ)、このアンニュイな日々を圧迫しているのは事実なんだ。 無視するのはとても難しいよ。 Twilight Override』は、それを圧倒してやり返すための私の努力だ。 この歌と音と声とギターと言葉は、重苦しさを手放し、私自身の光のワット数を上げるための努力なのだ。 迫り来る魂の夜(悪夢)を飲み込もうとする私の努力なんだ」 

 

ご存知の通り、ジェフ・トゥイーディーはWILCOのフロントマンとして活躍するほか、音楽雑誌に関わったり、音楽フェスを主催し、様々な形で音楽シーンに関わってきた。次作のソロアルバムはアーティストにとって象徴的な作品となりそうだ。また、シカゴの音楽シーンのミュージシャン、そして彼の息子などを作品に登場させ、音楽の理想的な形を探ろうとしている。

 

2020年のパンデミック時代を反映した『Love Is The King』から5年後にリリースされる3枚組アルバム『Twilight Override』は、トゥイーディーがシカゴのスタジオ、ザ・ロフトでレコーディングとセルフ・プロデュースを行い、シカゴを拠点とする友人や家族が参加している。 ジェイムズ・エルキントン、シマ・カニンガム、マシー・スチュワート、リアム・カザー、そしてトゥイーディーの子供スペンサーとサミーが参加している。



 

 

 

Jeff Tweedy 『Twilight Override』

Label: dBpm

Release; 2025年9月26日

 

Disc 1:

One Tiny Flower

Caught Up in the Past

Parking Lot

Forever Never Ends

Love Is for Love

Mirror

Secret Door

Betrayed

Sign of Life

Throwaway Lines

 

Disc 2:

KC Rain (No Wonder)

Out in the Dark

Better Song

New Orleans

Over My Head (Everything Goes)

Western Clear Skies

Blank Baby

No One’s Moving On

Feel Free

 

Disc 3:

Lou Reed Was My Babysitter

Amar Bharati

Wedding Cake

Stray Cats in Spain

Ain’t It a Shame

Twilight Override

Too Real

This Is How It Ends

Saddest Eyes

Cry Baby Cry

Enough


ロサンゼルスの四人組ロックバンド、Rocketが待望のデビューアルバム『R is for Rocket』を発表した。本作は10月3日にTransgressive Records / Canvasbackからリリースされる。


この発表と合わせて公開されたリード・シングル "Wide Awake "は、ギザギザでファズの効いた、バンドのレベルアップしたサウンドを紹介する曲で、ヴォーカルのアリシア・タトルの甘くヒプノティックなヴォーカルがバランスをとっている。ミュージックビデオも非常にユニークだ。


「"R is for Rocket"は、人生で最も重要な人間関係について歌っている。友人、両親、ガールフレンドやボーイフレンドとの関係、そして最も重要なのは自分自身との関係だ」


「Wide Awakeは、このアルバムのすべての要素の完璧なバランスであり、何年もの制作期間と数え切れないほどのバージョンを経て、ついに共有できることに興奮しています」


デビューアルバムについての詳細はローリング・ストーン誌に掲載されている。同誌は、このアルバムを "爆発的なイントロダクション "、"彼らのダイナミックで90年代風のロック・サウンドをレベルアップさせている "と称している。


Tuttle(ヴォーカル、ベース)、Baron Rinzler(ギター)、Cooper Ladomade(ドラムス)、Desi Scaglione(ギター)からなるRocketは、ここ数年多忙な日々を送っている。 


幼少期からの友情を持つロサンゼルスのクルーは、2021年に結成され、無名の小屋でデビューEPを録音した。 彼らの誰もが「バンド」というアイデアに真剣に取り組んだのは初めてのことだった。にもかかわらず、燃え上がるような気密性の高い曲で完全な形になった。


この4人組の注目すべきデビュー・アルバム『R is for Rocket』は、華やかでラウド、アンセミック、爆音、美しいサウンドの地形を駆け抜ける歓喜の旅である。まったく新しいサウンドでありながらノスタルジーを呼び起こすという稀有な偉業を達成しており、一瞬で人を魅了する曲で構成されている。 


バンドのギザギザでファジーなサウンドは、ソニック・ユースやマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのような90年代のギター・バンドを先祖に持っているが、ロケットはそれらの試金石を使って彼ら独自のサウンドを打ち立てようとする。 彼らが同世代で最も有望なギター・バンドのひとつと広く認められているのも不思議ではない。


このアルバムは、絶賛された『Versions of You EP』のエネルギーをベースにしていたが、『R is for Rocket』ではバンドの技術が目覚ましく進化している。2024年初頭にアルバムの制作を開始するまでに、彼らはほぼ絶え間ないツアースケジュールをこなしてきた。彼らのヒーローであるライド、サニー・デイ・リアル・エステート、シルヴァーサン・ピックアップスの前座として数え切れないほどの時間をストリートで過ごす中、四人組はデビュー・アルバムを制作に取り組み、ドラムのクーパー・ラドマデの実家の庭にあるささやかなスタジオで作曲を行った。

 

今年の秋、ロケットはデビュー・アメリカ・ヘッドライン・ツアーに乗り出す。8月にイギリス全土でスマッシング・パンプキンズをサポートした後、全米ツアーが10月にスタートする。このサポートツアーが決まったとき、ロケットにとって奇跡のように思えた。その知らせを受けたバンド・メンバーは泣いたという。 


ギタリストのデジー・スカリオーネが最初にこの知らせを聞いてリード・シンガーでベーシストのアリシア・タトルに伝え、彼らのマネージャーはドラマーのクーパー・ラドマデに何度かヒントを与えたあと、最終的に打ち明けた。 RSの特集において、タトルは次のように語った。「彼らは僕らにとって本当に大きなバンドなんだ。 「僕らの音楽を聴けば、それは明らかだよ」


「絶対に不可能なことのように感じる」とタトルは続けた。 「レコードを出す前にスマッシング・パンプキンズとショーをやったんだ。 彼らは『もちろん』って感じだった。 私の頭の中では、それは本当に計算できない」 


ここ数年(正確には10年)の総決算が『R is for Rocket』である。しかし、同時にこれはロケットの伝説の始まりに過ぎない。

 

 「Wide Away」






Rocket  『R is for Rocket』

Label: Transgressive/ Canvas

Relea[e: 2025年10月3日


Tracklist

 

1. The Choice

2. Act Like Your Title

3. Crossing Fingers

4. One Million

5. Another Second Chance          

6. Pretending

7. Crazy

8. Number One Fan

9. Wide Awake  

10. R is For Rocket




EU DATES: 

 

August 8th - Gothenburg, Sweden @ Way Out West Festival

August 10th - London, UK @ Gunnersbury Park ^

August 11th - London, UK @ Windmill Brixton SOLD OUT

August 12th - Halifax, UK @ The Piece Hall ^

August 13th - Scarborough, UK @ Scarborough Open Air Theatre ^

August 14th - Colchester, UK @ Colchester Castle Park ^

August 16th - Wales, UK @ Greenman Festival

^ w/ Smashing Pumpkins


US DATES:

 

Oct 27th - Phoenix, AZ @ Rebel Lounge

Oct 30th - Denton, TX @ Rubber Gloves

Oct 31st - Austin, TX @ Mohawk (Indoors)

Nov 3rd - Nashville, TN @ drkmttr

Nov 4th - Atlanta, GA @ Aisle 5

Nov 6th - Washington, DC @ DC9

Nov 7th - Philadelphia, PA @ Warehouse on Watts

Nov 8th - New York, NY @ Baby's All Right

Nov 11th - Toronto, ON @ The Garrison

Nov 13th - Columbus, OH @ Ace of Cups

Nov 14th - Chicago, IL @ Schubas Tavern

Nov 15th - Minneapolis, MN @ 7th St Entry

Nov 18th - Seattle, WA @ Barboza

Nov 19th - Portland, OR @ Polaris Hall

Nov 21st - San Francisco, CA @ Bottom of the Hill

Nov 22nd - Los Angeles, CA @ The Roxy



 Pre-save: https://transgressive.lnk.to/risforrocket

 

 

Rocket Biography: 

 

ロサンゼルスのRocketは、Tuttle(ヴォーカル、ベース)、Baron Rinzler(ギター)、Cooper Ladomade(ドラムス)、Desi Scaglione(ギター)からなる。2021年頃から公式のリリースを続けているが、高校時代の同級生や幼馴染を中心に2015年頃からインディペンデントな活動を続けている。2025年に入り、バンドはTransgressiveと契約を結び、スマッシング・パンプキンズのツアーサポートを務め、一躍西海岸の注目のロックバンドとみなされるようになった。

 

ロケットの2023年のデビューEPは、Pitchfork、Rolling Stone、Stereogum、Brooklyn Vegan、Paste、Consequenceなどに賞賛され、バンドはNMEで初のカバーストーリーを獲得した。 

 

その勢いのまま、バンドは2024年のほとんどをツアーで回り、ピクシーズのフランク・ブラック、ライド、サニー・デイ・リアル・エステート、シルヴァーサン・ピックアップスなどの代表的なバンドや、ジュリー、バー・イタリア、ホットラインTNTなどの同業者たちのオープニングを務めた。 バンドは、Pitchfork London & Paris、Bumbershoot、Best Friends Foreverなど、世界中のフェスティバルのステージに登場している。2025年にはEU/USツアーを開催し、デビュー・アルバム『R is for Rocket』とトランスグレッシヴからリリースする。 

©Daniel Topete

 

ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライター/プロデューサーのメリーナ・ドゥテルテのプロジェクト、Jay Somが6年ぶりとなるアルバム『Belong』を発表した。 10月10日にラッキー・ナンバー/ポリビニールからリリースされる。 

 

パラモアのヘイリー・ウィリアムス、ジミー・イート・ワールドのジム・アドキンス、ミニ・トゥリーズのレクシー・ヴェガなど、ドゥテルテはソロ・アルバムで初めてゲスト・ヴォーカリストを迎えている。 アドキンスは瞑想的な「A Million Reasons Why」と共に本日リリースされる高揚感溢れるニューシングル「Float」に参加している。

 

この曲は、自己防衛のために過去の自分にしがみつこうと必死になっていることを歌っている」とドゥテルテは「Float」について語った。 「未知なるものへの恐怖は圧倒的なもので、それと戦ったり逃げたりするのではなく、それと向き合うことが最善の解決策になることもある。


アドキンスは、「メリーナは音楽制作のあらゆる面で絶対的なプロフェッショナルだ。 彼女のビジョンの中に、私が貢献できるスペースがあったことを光栄に思う。 それに、とても楽しい仕事だった。 素晴らしい曲だ!」


ドゥテルテが作詞、作曲、演奏、プロデュース、エンジニアリング、ミキシングを手がけたBelongには、ソフト・グラスのジョアン・ゴンザレス、マル・ハウザー、ステフ・マルツィアーノも参加している。 

 

「初めて何かに挑戦する時、ある種の恐れを抱くものだが、私はコントロールを手放さなければならないという事実を受け入れなければならなかった」とドゥテルテは説明した。 "このレコードは本質的にまだ私自身であるが、多くの選択は、私を助けてくれた友人たちによってなされた。


『Anak Ko』をリリースして以来、ドゥテルテはバチェラーとしてPalehoundから音楽をリリースし、ツアー・バンド・メンバーとしてboygeniusに参加し、Troye Sivan、Living Hour、Fashion Club等とコラボレーションしている。



「Float」

 

 

 

 

Jay Som  『Belong』

 



Label: Lucky Number/ Polyvinyl

Release: 2025年10月10日 

 

 

Tracklist:


1. Cards On The Table

2. Float [feat. Jim Adkins]

3. What You Need

4. Appointments

5. Drop A

6. Past Lives [feat. Hayley Williams]

7. D.H.

8. Casino Stars

9. Meander/Sprouting Wings

10. A Million Reasons Why

11. Want It All

 

 

 

このアルバムでドゥテルテは、ジェイ・ソムが過去6年間遠ざかっていたインディー・ロックのエコシステムの中で、自分の居場所、あるいは自分の居場所を探している。

 

その結果、これまでのジェイ・ソムのアルバムとは一線を画す作品に仕上がった。このアルバムは、自己定義について歌った11曲入りで、スーパーチャージされたパワー・ポップのヒット曲とぼんやりしたバラード、エレクトロニックな珍曲と軽快なアンセムの間を浮遊している。


ジェイ・ソムの絶賛された2ndアルバム『Anak Ko』が2019年にリリースされて以来、ドゥテルテはここ数年間、プロダクションとオーディオ・エンジニアリングへの情熱を培ってきた。その結果、グラミー賞を受賞したboygeniusのアルバム『the record』、ルーシー・デイカスの最新作『Forever Is A Feeling』、そして数え切れないほどの愛されるインディー・レコードのプロデュースを手がけることになった。

 

また、ボーイジーニアスのツアー・バンド・メンバーとして参加したり、トロイ・シヴァンやビーバドビーらと『No Rome』でコラボしたり、『I Saw the TV Glow』のサウンドトラックに参加したりと、その活動は多岐にわたる。しかし、ドゥテルテはこれまで以上に多忙を極めている。


ジェイ・ソムは常にドゥテルテのソロ・プロジェクトであったが、このアルバムでは外部のミュージシャン、作家、プロデューサーとコラボレーションすることで、彼女の世界を広げている。ドゥテルテは、ジョアン・ゴンザレス(ソフト・グラスのメンバー)、マル・ハウザー(Mk.geeやイルミナティ・ホティーズのコラボレーター)、ステフ・マルツィアーノ(ヴンダバー、ホット・ワックス、サー・クロエのプロデューサー)、カイル・プリーの参加を得て、作詞、作曲、演奏、プロデュース、エンジニアリング、ミキシングを行った。