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©George Brown


リーズのロックバンド、Drahla(ドラフラ)がニューシングル「Second Rhythm」をリリースしました。バンドが自主制作したビデオも同時に公開された。先月リリースされた「Default Parody」に続く『angeltape』のセカンド・シングルとなります。以下よりチェックしてみてください。


ーー今年、Drahlaはセカンドアルバム『angeltape』で待望の復帰を果たす。この作品は、リーズを拠点とするアート・ロックの実験主義者にとって興味深いものであっただけでなく、曲作りのプロセスに影響を与えたのと同じ類の好奇心を持ち、聴衆に興味深い世界を提供する。

 

今作を通じ、ドラフラは従来のメロディックな構造を避け、音楽の可能性の不確実性を受け入れている。そして、2019年に批評家から絶賛されたデビュー作『Useless Coordinates』をリリース後、バンドメンバーが直面した困難な過渡期がいかなるものであったのかを示唆している。

 

「暗く、妥協なきリスニング」と評された衝撃的なイントロダクションは、2017年の『Third Article]』EPの成功、Parquet Courts、Ought、Buzzcocksとステージを共にした経験が反映されている。

 

2023年にマシュー・ベンとジェイミー・ロックハートと録音された「angeltape」は、より内省的で抽象的な自己詳察だ。

 

「核心からずれているのは明らかなんだ/自分の言葉から離れすぎたと感じる」とブラウンは「Lip Sync」で端的に打ち明け、秀抜した芸術的進化を垣間見せる。「angeltape」は5年間のブランクの狭間で繰り広げられた体験のアヴァンギャルドな実録だ。良くも悪くも様々な変化が彼らの仕事と実生活を馴染みのない境地に導いた。もちろん、Drahlaは逆境に屈することはない。創造的に若返ったサウンドで返り咲き、今作を強かに検証する。ーーCaptured Tracks


2019年の『Useless Coordinates』に続く『angeltape』は、4月5日にCaptured Tracksからリリースされる予定です。

 


「Second Rhyth」

ニューヨークのBodega(ボデガ)が、サードアルバム『Our Brand Could Be Yr Life』から 「City Is Taken」をリリースしました。

 

ポストパンクバンド、ボデガのリード・ヴォーカルであるニッキー・ベルフィリオは、ニューシングルに込められたテーマについて次のように語った。

 

「”City Is Taken”は、2010年にニューヨークに引っ越した経験を歌ったものです。私は、自分自身と自分の芸術的ロールモデルを、アーティストがどこへ行こうともついて回る、目に見えない儲けの網にかかった高級化の力学として見るに至った。私の視覚的存在は、知らず知らずのうちに破壊の象徴となり、私が創造しようとしたものすべてに対するアンチテーゼとなったんです」


「City Is Taken」には、ルカ・バルサーが監督したミュージック・ビデオも公開された。この映像は、ベンとニッキーがこの曲を演奏する様子を収録している。夜のニューヨークの街中で、商業銀行やチェーン・レストランなど、この街の歴史的な音楽の過去の廃墟前で撮影された。映像は、個人的な地理学と考古学の研究として機能し、バンドによるNYの物語を掘り起こす。


『Our Brand Could Be Yr Life』は、ホジーとベルフィリオの古巣バンド、ボデガ・ベイの2015年にリリースされた自主制作33曲入りLPのフル・リメイクであり、2022年にリリースされたボデガのセカンド・スタジオ・アルバム『Broken Equipment』に続く作品となります。


「Our Brand Could Be Yr Life』は4月12日にクリサリス・レコードからリリースされます。



「City Is Taken」



Label: Partisan

Release: 2024/02/16


Listen/Purchase 

 



Review

 


 ロンドンのポスト・パンクバンド、アイドルズが前作のアルバム『Crawler』を発表したのは2021年のこと。

 

彼らのアルバム『Crawler』はグラミー賞にもノミネートされ、マーキュリー賞にもノミネートされた。その後、彼らが過酷なツアースケジュールをこなしたのは、この年に他のブレイクを果たしたバンドと同様である。特に、ライブステージでのアジテーションを交えたジョー・タルボットのマイクパフォーマンスは多くの聴衆を惹きつけるものだった。記憶に新しいのは、2022年の英国の最大級の音楽祭”グラストンベリー”のステージで、ちょうどその数時間前に起こった人工中絶の権利を自動的に保証するものではないとの判決、米国最高裁判所が「Roe v. Wade (ロー対ウェイド裁判)」の判例を覆したことについて言及し、こんなことを言っていた。

 

「彼らは米国の法律を中世に戻したんだ。つまり、中絶が違法行為であるかどうかが決定された。これはすべての母親、すべての女性、それから、母親になるかどうかを選択する権利のためにある法律なんだ」とタルボットはこの最高裁の決定について異議を唱えた後、こう述べた。「オープンマインド、万歳。私の母に万歳。そして、あなたがたひとりひとりにも万歳だ」

 

実は、ジョー・タルボットの母親というテーマはデビュー・アルバム『Brutalism』にも登場し、重要なインスピレーションの源となっている。 3作目のアルバム『Crawler』は、パンデミックの封鎖で落胆している人々を勇気づけるために書かれた。続いて、4作目のアルバム『Tangk』はシンプルに言えば、普遍的な愛について書かれた作品である。驚くほどアグレッシヴな轟音ポスト・パンクが主要なイメージを占めていた『Crawler』に比べると、ダンサンブルなニューウェイブ風のナンバーを交え、アイドルズは、より深みのある音楽を追い求め始めているという気がする。


このアルバムには例えば、米国のジミー・ファロン主演の深夜番組に出演し、「The Wheel」をパフォーマンスした時のように、まるで数万人の観客を前に演奏するような驚くべき迫力やエナジーとは少し異なる音楽性が展開される。それはまた、バンドとしての熟成や円熟味というべきで、マーキュリー賞にノミネートされた時の重戦車のような勢いとは別様の音楽的な核心へと至るプロセスが示されたとも言える。いわば、前作までは外側に放射されていたエナジーが、今作では、地球の近くのコアに向けて放たれるかのように、次世代のパンクサウンドのエナジーが内側へ、さらに内側へと向かっていき、地球の地殻の最深部へと迫っていくのである。

 

一見すると、これは、アイドルズに対して、ポストハードコアパンクのイメージを抱いていたリスナーにとっては、彼らが意気消沈したか、ちょっと後退したように感じられるかもしれない。しかし、実際はそうではない。レディオ・ヘッドのプロデューサーとして知られるナイジェル・ゴッドリッチを招いた『Tangk』は、ディスコやニューウェイブ、マンチェスターの80年代のFactoryを中心とする象徴的なダンスムーブメントの音楽をベースにし、彼らなりの2020年代のポスト・パンクの理想像をリアルに描いている。そしてそれはタルボットが語っている通りで、「踊りによって人々を喜ばせ、人生に必要な愛を伝える」という2021年からの一貫したテーマが奔流している。

 

アルバムのオープニングは予兆のような感じで始まり、彼らとしては珍しくピアノを導入し、現代音楽や映画のオープニングのような効果を導入している。そして、彼らの代表曲「The Wheel」の続編「Gift House」でフックの効いたポストパンクを期待するリスナーの期待に応える。


しかし、ポストハードコアサウンドの印象が強かった「The Wheel」のラウドな感じを残しつつも、ダンス・ロックを基調にしたグルーヴィーなトラックが展開される。これは、イギリスでディスコ・サウンドやダンス・ロック(2000年-2010年代を象徴するアークティック・モンキーズ、キラーズ等が示した)の影響を絡めた次世代のイギリスのロック・ミュージックを展開させる。それは「ポスト・ダンスロック」とも称すべき、最もモダンなスタイルが刻印されている。ナイジェル・ゴッドリッチのプロデューサーの手腕は傑出しており、徹底して重低音を生かしたラウドロック・バンドとしての性質をこの上なく魅力的な形でパッケージしている。

 

特に、バンドとしての著しい進化を象徴付けるトラックとして「POP POP POP」が挙げられる。彼らは新たにロンドンのベースメントのクラブミュージックを吸収し、UKグライム、ガラージ、ブレイクビーツ、UKラップまでを取り入れ、新しいダンスロックの形を提示している。ロンドン近郊のダンスフロアで鳴り響いているようなリアルなクラブ・ミュージックを反映させ、それらを近年にないほど洗練させている。


ここに重要なテーマである「人々を踊らせる」という彼らの意図がわかりやすい形で反映されている。その中にはノッティンガムのスリーフォード・モッズが好むようなアンダーグラウンドなクラブ音楽の性質が含まれている。


そしてシンセの効果を背景に、タルボットは従来になく、ふてぶてしさを見せ、スポークンワードにかぎりなく近い歌唱法を披露する。横ノリのクルーヴは、真夜中の歓楽への称賛と言える。それは分離した社会、あるいは制限された世の中に対する痛烈な批評性ーーパンクの姿勢ーーなのである。 

 

バンドサウンドとしての円熟味、そして、ボーカリストとしての成長は、続く「Roy」にも見いだせる。このトラックにおいて、タルボットはソウルに近い渋さのあるボーカルに取り組んでいる。民族音楽のパーカッションを下地にしたイントロから、意外にもプログレッシヴ・ロックに近いダイナミックな展開力を見せる。モダンなサイケロックを反映させたギター、そしてシンセの兼ね合いはピンク・フロイドの初期のサウンドを思わせる。しかし、単なるフォロワー的なサウンドと堕することがないのは、タルボットのボーカルの歌い方にその理由が求められるのかもしれない。彼は、ノーザン・ソウルの古典的なソウルシンガー、オーティス・レディングになりきったかのように、味わい深い叙情的なボーカルで、実験的なサウンドをリードしていく。多様な音楽ジャンルがフロントマンの声を取り巻くかのように奇妙な形で渦巻いている。

 

プログレッシヴ・ロックやポスト・ロックに近い形はインストゥルメンタルという形で次の曲に昇華される。ピアノとサイケデリックなギター、アンビエントに近い抽象的なサウンドによって、中間部に起伏をもたらし、聞き手を飽きさせない工夫を凝らしている。

 

アンティークな感じのピアノの音色は、現代という時間軸を離れて、中世の時代に迷い込んだかのようなシュールレアスティックな音像空間を作り出す。この曲にもゴッドリッチのプロデューサーとしての卓越した手腕が示され、アルバムの中にストーリー性をもたらそうと試みる。 そしてアイドルズの音楽の表向きの印象を形作る射幸性とは対極にある「聞かせる音」を提供している。もちろん、これは彼らの音楽の美学が目に浮かぶような形で表現されたと言える。

 

ダンスというテーマは他のトラックにも見出せる。アース・ウィンド・アンド・ファイアーの「Boggie Wonderland」のようなソウルフルなエンターテイメント性を重視したイントロのストリングスから始まる「Dancer」は、彼らが次の段階へと歩みを進めた証拠だ。この曲ではダンスロックの代表格、LCD Soundsystemをコラボレーターに選び、ヒップホップのダンスロックバージョンと洒落込む。しかし、その後に展開されるのは、やはりアイドルズの代名詞的な無骨なポスト・パンク。


これらのゴツゴツとした玄武岩のような感覚は、タルボットのスペイン語やポルトガル語を意識したシラブルにより、フレッシュな印象をもたらす。かつてジョン・ライドンがドイツ語の音節を英語の中に取り入れたように、彼は南欧の言語性を英語の発音の中に取り入れている。それはラテン語の源流に迫るかのようであり、旧来になかったサウンドが生み出された証拠である。ここにアイドルズの表向きには見えづらいインテリジェンス性をうかがい知ることが出来る。

 

特に、意外だったのは続く「Grace」。この曲では、The Whoの「Baba O' Riley」のソングライティングを継承し、それらをビート感の強固なポストパンクという形で展開させる。しかし、一見すると、外向きのように思えるサウンドはやはり、奇妙な内省的な感覚に彩られている。そして、The Smith、Stone Roses、Oasis、Blur、Coldplayといった80年代から90年代のブリット・ポップバンドの核心にある音の感覚を鋭い感性によって掴み、マシンビートを背景に、驚くほどセンチメンタルなボーカルを披露する。基礎となる大まかなコード進行は「Baba O' Riley」と同じであるが、ボーカルのスタイルを見ると分かる通り、タルボットは神妙な感覚を表現しようとしている。これは無数のライブ・ツアーをこなしてきた中で、彼とバンドが自分たちの奥底にある最も重要なスピリットを誰にも明け渡さなかったことをはっきりと証明づけている。


そしてもちろんアルバムの終盤を聴くと、ハードコア・パンクとしてのバンドの性質が薄められたわけではないことがわかる。ダリル・ホール&ジョン・オーツにちなんだ「Hall & Oates」は、意外にもゴツゴツした岩石のような無骨なポストハードコアで、爆発的なエナジーが枯渇したわけではないことを示す。実際、このアルバムでは「Gift House」とならんで、パンチとスパイスの効いた音楽をお好みのリスナーに、この上ないエンターテイメント性を提供する。パンクバンドとしての性質は「Jungle」にも表れている。この曲では、むしろパンクの源流にあるプロトパンクのサウンドをアイドルズは追い求めている。やはり硬質なカミソリのようなギターとガレージ・ロックのごときプリミティヴな質感が合わさったような痛快なパンクサウンド。

 

 複数のハイライトやライブレパートリーを用意した上で、アルバムの終盤では実験的なサウンドが展開される。「Gratitude」では、Sonic Youthの『Goo』のような骨太のベースラインを受け継ぎ、疾走感のあるポストパンクを提示している。ここにも野暮でプリミティブなものに対するアイドルズのメンバーの愛があり、それは新旧の音楽ファンの表情を綻ばせるものと思われる。


これまで、アイドルズの5人は、ギターロックの代表格とも言えるMy Bloody Valentine(マイブラ)、Yo La Tengo(ヨ・ラ・テンゴ)とは一風異なるギターロックの轟音性の可能性を追求し、未来の可能性に賭けてきた。最後のクローズ曲「Monolith」では、プログレッシヴ/ポストロックバンドの未来系を示している。今作のクライマックスで明示されるもの、それはやはり、現代のロックバンドと同じく、電子音楽を反映させた現代的なロックミュージックなのである。

 

 

 

86/100 
 



 

Best Track 「Grace」

  

 

 

 

 

 IDLES 『Tangk』:





 『TANGK』は、クレイジーな真実を追求するバンド、IDLESの正しく活気に満ちた5枚目のアルバムである。バンドが想像していたギターの激しい音の響きを擬音で表現したもので、以来、愛に生きることを意味するシンボルに成長した。


かつてIDLESは、強靭な姿勢で永遠の権利者に立ち向かい、個人的なトラウマをリアルタイムで行使することを目標としていたが、新しい活動は、そのような忍耐の果実を提供するために到着した。


ナイジェル・ゴドリッチ、ケニー・ビーツ、そしてIDLESのギタリスト、マーク・ボーウェンが共同プロデュースした『TANGK』からは、反抗的なエンパワーメントのラディカルな感覚が放たれている。フロントマンのジョー・タルボットは、煽情的なポスト・パンクの火付け役という評判とは裏腹に、この10曲の中のほとんどすべての感情を鍛え抜かれたソウルで歌っている。


『TANGK』はラブ・アルバムであり、侵食してくる虚無感を退けるために大声で叫ぶ何かを必要とする人なら、今もこれからも、誰にでも開かれたアルバム。『TANGK』は2024年2月16日にパルチザン・レコードからリリースされた。

Weekly Music Feature

 

Royel Otis




 『Sofa Kings EP』で大成功を収めたロイエル・オーティスがデビュー・アルバム『Pratts & Pain』を本日リリースする。グラミー賞受賞者のダン・キャリー(Foals, Wet Leg)がプロデュースした本作は、サウス・ロンドンのプラッツ&ペイン・パブという居心地の良い場所で丹念に制作された。デュオは、歌詞を完成させ、アルバムの方向性を前進させるために、頻繁にそこに避難した。


 『プラッツ&ペイン』は、信頼と仲間意識によって育まれたロイエル・オーティスの音楽的進化の証である。音楽的には、このアルバムはインディーとサイケデリアをシームレスに融合させ、ファンを魅惑的な旅へと誘い、自発性を謳歌している。


 ロイエル・オーティスは、その核となる2人の絆に揺るぎはない。ロイエルが言うように、「私たちは互いの仲間や創造的相乗効果に喜びを感じている」という。「オーティスの直感と行動を信じることは第二の天性であり、私はそれを心から応援している。互いに支え合うことで、偉大さが生まれる」


 プロデューサーのダン・キャリーの有名なホーム・スタジオの角を曲がったところにあるサウス・ロンドンのパブ、「プラッツ&ペイン」は、ロイエル・オーティスの歴史において重要な位置を占めている。


 2023年初頭にキャリーとデビュー・アルバムを制作する際、幼なじみのオーティス・パヴロヴィッチとロイエル・マデルというオーストラリア出身のデュオは、歌詞を完成させ、最初のLPの方向性を決めるためにパブに出かけた。


「ダンがヴォーカルを録音してくれと頼むと、"30分だけ待ってくれ、プラッツ&ペインに行くから "と言って、パブで一杯やって、ショットを数杯飲んで、歌詞を書き上げたんだ」とロイエルは回想している。


 やがて、それが二人の間でちょっとした評判となり、彼らはこのレコードに『PRATTS & PAIN』というタイトルを名付けることになった。デビューアルバム全体を通して、ロイエル・オーティスはメロディアスでポップなインディーとウージーなサイケの間を揺れ動くが、ひとつのレーンに縛られている感じはほとんどない。ひとつのスタイルやムードが飽きられるとすぐに、サイケデリックな怪しさや不協和音のノイズへとハンドブレーキがかかり、聴く者を飽きさせることがない。2枚のEPの発表を経て、『PRATTS & PAIN』ではバンドの歴史のすべてが1枚のアルバムに集約されている。


 ロイエル・オーティスの曲を作るためのオープンな方程式は、『PRATTS & PAIN』にすべて書かれている。「Velvet」と「Big Ciggie」では、キャリーの11歳になる甥のアーチーがドラムで参加している。最初のシングル「Adored」では、完璧なインディー・ポップ・ヒットを完成させ、「Sonic Blue」では、この根底にあるエネルギーを保ち、鋭いラウド性に彩られたギターをトップに据えている。


 一方、「Velvet」はトーキング・ヘッズのユニークなエネルギーを持ち、「Molly」は不穏で深い雰囲気のスロー・ジャム。しかし、音楽がどのようなサウンド・テンプレートに基づいているにせよ、ロイエル・オーティスの核心は、相互信頼という基礎となるDNAに戻ってくる。ロイエルは言う。「一緒にいて楽しいし、難しいことはない。私はオーティスの考えを信頼している。



Royel Otis 『Pratts & Pain』 /  OWNESS PTY LTD



 ロイエル・オーティスは2019年にシドニーで結成された若手バンドであるが、すでに、ロンドンとマンチェスターのメディアを中心に注目を受けている。

 

 もちろん、オーストラリアという土地が英国人の移民が多いことを鑑みると、イギリスのリスナーがロイエル・オーティスの音楽にちょっとした親近感を見出すのは当然なのではないだろうか。そして彼らがロンドンでレコーディングし、そして同地のパブの名をタイトルに冠することについてもである。現在は夏のオーストラリアのミュージックシーンの盛り上がりを象徴づけるようなデュオであり、南半球にいる彼らが音楽を提供することは北半球に住む人にとって、春の雪解けを見届けるようなものである。

 

 さて、シドニーのデュオ、ロイエル・オーティスは3枚のEPを発表した後、『Sofa Kings』をリリースし、着々とファンベースを拡大させてきた。とりわけ、全般的な彼らの音楽の評価を高め、そして、ダン・キャリーをプロデューサーに起用するに至った経緯として「Murder on the Dance Floor」がある。このライブセッションは、ロイエル・オーティスがウェット・レッグに近い存在と見なされる要因となった。この曲のおかげでロイエル・オーティスがどれほどクールなバンドなのか、その評判が広まったのだ。 

 

 

 

 

 当時のファンの反応は「かなりクレイジーだった」とロイエル・オーティスはauducyの取材に対して次のように述べている。「私達はそれを始める前に一日リハーサルおこないました」とパブロヴィッチ。「ライブセッションを終えるのに一時間ありましたが、まあ、それが起こるということです」とマデルは付け加えた。

 

「私達はアイディアを検討していて、かなりストレスを感じていた」バンドの最初のアルバムのタイトル曲は、彼らの知名度を上昇させる要因となり、最初のヒットシングルになった。そして、このヒットシングルがどのように生まれたのかを解き明かした。


 ロイエル・オーティスはDMA'sと親しい関係にあるというが、そもそも「友達を利用しようと思った」と言い、「彼らにぴったりな曲を書いてみようと思った」と話している。このことはデュオがコミュニティ性を重視し、自分達の感覚をリアルな音楽としてアウトプットすることを証し立てる。もうひとつ、彼らの音楽を語る上で、日本の映画と漫画の影響があることも付け加えておきたい。ジブリ映画、「AKIRA」といった作品は彼らの音楽にSFと幻想的な要素をもたらしている。他にも韓国のポップカルチャーにも、ロイエル・オーティスの二人はちょっとした親しみを感じているという。

 

 ロイエル・オーティスの『Pratts & Pain』のサウンドは、ダンキャリーがプロデュースを手掛けたということもあってか、Wet Leg(ウェット・レッグ)のオルトポップとSF的な雰囲気を持つ未来志向のポスト・パンクのクロスオーバーに近い。しかし、そこにレコーディングの場所もあいまってか、英国的な匂いのするアルバムである。そして、実際にデュオがサイケ、ローファイ、ポスト・パンク、ネオソウル、プロトパンクという複数の影響を内包させながら、英国のフットボール・スタジアムで聞かれるようなチャントのコーラスを意識していることがわかる。アルバムの冒頭「Adored」は、Nilfur Yanyaの『Pailnless』に収録されていた「stabilise」の影響下にあり、ドライブ感とフックのあるポスト・パンクをよりスタイリッシュに洗練させている。

 

 また、ロイエル・オーティスは、ディスコサウンドとジャミロクワイからの影響を公言しているが、「Fried Rice」は、ダンサンブルなポスト・パンクをイギリス的なテンションで包み込んだかのような痛快なトラックだ。ワイト島のデュオのように脱力感のあるポップセンスと曲の運び方は同様であるのだが、そこにフットボールチームのチャントのようなテンションを付加しているのがかなり新鮮である。タイトルを「Fish & Chips」にしなかったのが惜しいが、少なくともロンドンのパブでギネスかペールエールのパイントを飲み、プレミアリーグの試合を観戦する時のような、熱狂と無気力さと陽気さの中間にある奇妙なワクワクした感覚がこの曲にはわだかまっている。

 

 サイケロック・サウンドからの影響はファンクの要素と合わさり、セッションの内的な熱狂性がパッケージされている。しなるようなギターのカッティングは70、80年代のミラーボールディスコやディスコファンクの要素と融合し、ノースロンドンのGirl Rayを思わせるダンサンブルなナンバーに昇華している。ただインディーポップの要素が強いガール・レイとは対象的にロイエル・オーティスのサウンドはギター・ポップやLAのローファイやサイケロックに傾倒している。それは例えば、Miami Horror(マイアミ・ホラー)のようなスタイリッシュなディスコサウンドという形で展開される。これはまさにウェスト・コーストサウンドの現代版として楽しめるかもしれない。

 

 ロイエル・オーティスのプロトパンクからの影響、Sonic Youthの変則チューニングのギターサウンドの影響は「Sonic Blue」に見いだせる。『Bad Moon Rising』の頃のニューヨークのアヴァン・ロック/プロトパンクを一般的に聞きやすく親しみやすく昇華させ、ドライブ感のあるポストパンクによって展開させる。


 このアプローチは、IDLESと大きな違いはないと思うが、シンセのマテリアルのキラキラした輝き、ボーカルの鮮烈な印象は「TANGK」に匹敵する。全体的にはロサンゼルスの双子のデュオ、The Gardenのような勢いに任せたような適当さと荒削りさがあるが、適度に力の抜けたサウンドはスカッとしたカタルシスをもたらす瞬間がある。疾走感のあるポスト・パンクは炭酸ソーダを飲み終えたときのような清々しい感じに満ちている。

 

 ロイエル・オーティスのサウンドは、その後も変幻自在に基底とする音楽性を少しずつ変化させていき、「Heading For The Door」では、ネオソウルの影響を絡めたインディーポップで聞き手にエンターテイメント性をもたらし、続いて「Velvet」では、70年代のウェストコーストロックをプレミアリーグのチャントのように変化させる。

 

 これらのサウンドがそれほど安っぽくならないのは、彼らがブルース・ロックを何らかの形で間接的に聴いているから。そしてそのイメージからは想像できないような渋さは、ローリング・ストーンズのようなホンキートンクに近くなり、最終的にはSham 69のフットボールのチャントを基調とするUKのオリジナルパンクの源流に至る。言うまでもなく、ライブステージではシンガロングを誘発するはず。これらのサウンドには現在のロンドンのバンドよりもイギリス的な本質が流れているかもしれない。それはもしかすると、デュオの隠れたイギリス的なルーツに迫っているとも言える。 

 

 

「Velvet」

 


 

 6曲目までを前半部とすると、アルバムの後半では、ややこれらの変幻自在なサウンドに変化が見える。

 

 いうなれば、パイントのギネスをしばらくテーブルの上に置いておいた時のような渋い味わいに変わる。「IHYSM」は勢いのあるポストパンクで鮮烈さを感じさせ、「Molly」でもBar Italia(バー・イタリア)の三人が好むようなダウナーなスロウバーナーとして楽しめる。「Daisy Chain」ではウェット・レッグのようなアンセミックなインディーポップとニューウェイブの合間を探り、Indigo De Souzaのデビュー当時の鮮烈さを思わせる。

 

 それらのダサさとかっこよさの絶妙なバランス感覚を持ち、アルバムのその後の収録曲をリードし続けている。ただ本来、ロックやパンクはそういったアンビバレントな感覚を探るものでもあるからそれほど悪いことではない。そのあと、ギリギリの綱渡りのようなスリリングな感覚で曲が進んでいき、「Sofa King」ではダンサンブルなビートに彩られたサイケデリック・ロック、「Glory to Glory」では、The ClashのようなUKのオリジナルパンクをインディーポップから再解釈している。曲のサビの部分にはフックがあり、これらのアンセミックな展開はライブでその真価を発揮しそう。

 

 このアルバムの最も興味深い点は、終盤になればなるほど音楽的な年代が遡っていくような感覚を覚えること。


「Always Always」ではBeach Fossilsがデビュー時に試みたビンテージロックの再現性を再考する。クローズ曲では、ロンドンのHorseyのロックとミュージカルを融合したようなシアトリカルなサウンドで終わる。 そしてまだ何か残っているという気がする。

 

 正直なところ、ロイエル・オーティスの二人が作り出すサウンドは、取り立てて圧倒的なオリジナリティーがあるというわけではないけれど、アルバムの収録曲の随所から、二人の才覚の煌めきと、押さえつけがたいようなポテンシャルも感じ取れる。それはおそらく両者の信頼関係からもたらされるものなのだろうか。しかし、まだ、このアルバムで彼らのポテンシャルの全てを推し量ることは難しいかもしれません。ただ、今週のアルバムの中では、一番真新しさと楽しさがある素敵なサウンドでした。

 

 


85/100




Royel Otis 『Pratts & Pain』はロイエル・オーティスの自主レーベル、OWNESS PTY LTDから発売中。ストリーミング/ご購入はこちら

 


 

Weekend Featured Track「Sonic Blue」

Alex-Kurunis

 

ロンドンのポストパンクバンド、Squid(スクイッド)が新曲「Fugue (Bin Song)」を発表した。昨年、バンドは渋谷WWWXと京都メトロで待望の来日公演を行った。


この新曲は、昨年リリースされた2ndアルバム『O Monolith』を引っ提げた北米ツアーに先駆けて発表された。(Reviewを読む)この曲は、ピーター・ガブリエルの所有する「リアル・ワールド・スタジオ」で、長年のコラボレーターであるダン・キャリーとアルバムのセッション中に録音された。


ニューヨークのデュオ、Water for Your Eyesが、今後開催されるスクイッドのツアー日程のサポートアクトを務める。このツアーでは、両バンドのコラボレーション・ツアー・ポスターやスクイッドのカセット・ミックステープなど、ツアー限定グッズが販売される。


バンドのオリー・ジャッジはプレスリリースの中で、「これは昨今の音楽消費の即時性に対する解毒剤なんだ。友人や尊敬する人たちの音楽が収録されている。夜、お気に入りの椅子に座りながら聴くのがベストかもしれない」


 

リーズを拠点とするアートロックバンド、Drahla(ドラフラ)が2019年のデビュー作『Useless Coordinates』に続く作品を発表した。

 

ニューアルバムは『angeltape』と銘打たれ、Captured Tracksから4月5日に発売される。新曲「Default Parody」のビデオとアルバムのジャケット、トラックリストは以下をチェックしよう。


Drahlaは、ヴォーカリスト兼ギタリストのルシエル・ブラウン、ギタリストのユアン・バー、ベーシストのロブ・リッグス、そしてドラマーのマイク・エインズレーからなる。バンドは、マシュー・ベンとジェイミー・ロックハートと共に『angeltape』をレコーディングした。

 

「自分たちが持っていたものをどう再燃させればいいのかわからない、という不安と不確実性があった。絶え間ない変化、相反するアイデアや構成、曲のエネルギーや推進力。再接続、励まし、自由という感覚もあると思う。私たちが再び一緒に何かを見つけることから生まれる興奮があるんだ」


ニュー・シングルについて、ルシエル・ブラウンはこう語っている。

 

「コントロールされたカオスで、たくさんの異なるアイディアが奇妙な調和を生み出している。ギターにユアンが加わったことで、相互作用がより自由になり、これまでのバンドでの役割から、最初から最後まで何かを書くということに初めて気づいた」

 

「リリックは、シェイクスピアの『to be or not to be』からインスピレーションを得ている。人生の喪失と喪失を伴う人生をナビゲートしている。『To be, I see, what is, to be』は、自分自身との一方通行の解体された会話なんだ。このビデオは、弟のジョージ・ブラウンの協力を得て、僕らが自宅で制作した」





Drahla 『angeltape』


Label: Captured Tracks

Release:2024/04/05



Tracklist:


1. Under The Glass

2. Default Parody

3. Zig-Zag

4. Second Rhythm

5. Talking Radiance

6. Concrete Lily

7. Lip Sync

8. A

9. Venus

10. Grief In Phantasia

 

 

Pre-order:

 

https://drahla.ffm.to/angeltape.oyd 


 


ロンドンのポストパンク・デュオ、The KVBがニューアルバム『Tremors』を発表。4月5日にInvada Recordsからリリースされる。


Invadaは、ポーティスヘッドのジェフ・バーロウが手掛けるレーベルで、ひときわ個性的な作品をリリースしている。2023年、ミドルスブラのインダストリアル・ノイズバンド、Benefitsの『Nails』をリリースしている。引き続き、The KVBにも注目しておきたい。

 

The KVBはリードシングル「Labyrinths」とミュージックビデオを公開した。アルバム・ジャケットのトラックリストは以下の通り。


「Labyrinths」について、バンドは声明の中でこう語っている。


歌詞は、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編小説集にインスパイアされたもので、歴史的な主観性、真実の柔軟性、物語の構築について言及している。

デジタル化された自然、CRTスクリーン、アナログなグリッチ・テクスチャーが内臓を襲う。最初のビデオ・シングルは、アルバムのアートワークを反映させ、編集のエネルギーは曲の攻撃性を反映させたかった。


KVBは、マンチェスター/ブリストルでアルバムをレコーディングし、ジェームス・トレヴァスカス(Billy Nomates、RVG)と共に録音した。


テーマ的には、"ディストピア、黙示録、人間の条件”といった前作までのテーマを発展させたが、以前よりも悲観的な見通しと深い不信感を持っている。なおかつまた、喪失感、避けられない変化への抵抗、嘆き、受容といったテーマにも触れている。

 

 

「Labyrinths」


The KVB 『Tremors』


Label: Invada

Release: 2024/04/05


Tracklist:


1. Negative Drive

2. Words

3. Tremors

4. Labyrinths

5. In The Silence

6. Tremors (Reprise)

7. Overload

8. Dead Of Night

9. A Thirst

10. Deep End

 

Pre-order:

 

https://lnk.to/VqzsGbvp 

 

©Phoebe Fox

リーズのロックバンド、Yard Actが2ndアルバム『Where's My Utopia?』の四作目のシングルを公開した。「We Make Hits」について、ジェイムズ・スミスは「友情と、人生で大切にしている人たちと音楽を作っているときに感じる、ありのままの喜びへの賛歌」を表現しているとしている。


この曲の構想について、彼はコメントしている。「''We Make Hits "は、最近のヤード・アクトの曲のほとんどがそうであるように、ライアンの空きベッドルームで始まった。彼はベースラインをいくつか録音していて、僕はその上に言葉を乗せて、何が起こるか試してみたんだ。ラップトップの周りに座ってお互いを笑わせようとしたり、ブラックコーヒーを飲んだり、1時間おきくらいに窓から顔を出してタバコを吸ったりしていた。外では大騒ぎしていても、密室の中では私たちは同じで、そのことに感謝しているよ」


このシングルはまた、新しいビデオと一緒にリリースされ、バンドの拡大し続ける映像世界に加え、「The Trench Coat Museum」のビデオで紹介された物語や登場人物をさらに進化させている。

 

バンドのビデオ・ディレクターであり、頻繁にコラボレートしているジェームス・スレイターはこう語っている。

 

「バンドのオリジン・ストーリーを描いた曲を使い、2人のしがないアサシンが、学生のベッドルームで立ち退きの通告を受け、職探しに乗り出し、最終的に神聖なるグローバル・エンタープライズの殺し屋として働くことになるというバックストーリーを描いたんだ」

 


「We Make Hits」

 

Yard Actの新作アルバム『Where's My Utopia?』は3月1日にアイランド/ユニバーサルミュージックから発売される。「Dream Job」「Petroleum」が先行シングルとして公開された。

 


韓国のパンク・バンド、セーラー・ハネムーンは、昨年デビュー・シングルをリリースしたばかりの有望株。バンドは母国の音楽の社会規範に挑戦を挑み、友情グループにおける有害な関係に焦点を当てたシングルをリリースした。かなりシュールなミュージックビデオも公開された。


「Bad Apple」は、今年5月3日にリリースされる8曲入りのEPの期待感を盛り上げてくれている。ガールズ・バンドによるこのプロジェクトは、即興的に作られた音楽に取り組み、親しい間柄のグループなら誰もが苦労する厄介で入り組んだトークを、ライトでノイジーなポップパンクに昇華させた。


セーラー・ハネムーン特有のフィルターを通さないストレートな歯に衣着せぬ雰囲気は、典型的なK-POPとは明らかに異なる魅力を示している。バンドは、主題とプロダクションに現代的なモチーフを残しつつ、オリジナルの70年代のパンクミュージックの反骨精神を再浮上させようと試みている。


セーラー・ハネムーンの声明は以下の通り。「''Bad Apple''は、友人のひとりがある種の偏屈者であることに気づくことがテーマになっている。自分のためだけでなく、(彼らがいつも批判していた)他の友達のためにも、友達として彼らから離れるための決断をすることについてなんだ」


「Bad Apple」

 



リディア・ガミル率いるブルックリンのポスト・パンク・バンド、Gustavが新作アルバムの制作を発表した 。

 

2021年の『Audio Drag for Ego Slobs』に続く『Package Pt.2』は、ロイヤル・マウンテン・レコードから4月5日に発売される。

 

アルバムはデヴィッド・ボウイの『ブラックスター』を手がけたエリン・トンコンがプロデュースし、スタジオGブルックリンとサーキュラー・ルインでレコーディングされた。アレックス・ロス・ペリー監督による新曲「Starting and Staring」のミュージックビデオは以下からご視聴下さい。

 

 

「Starting and Staring」


Gustav 『Package Pt. 2』


Label: Royal Mountain

Release: 2024/04/05


Tracklist:


1. Statue

2. Close

3. What Does It Mean

4. Starting And Staring

5. I Won

6. Weighing Me Down

7. Here Hair

8. Hard Hair

9. Produce

10. Happiest Thought

11. Ground

12. End Of The Year

 

 Pre-order:

 

https://royalmountain.lnk.to/startingandstaring 

 

©︎Pooneh Ghana

ニューヨークのポストパンクバンド、Bodegaはニューアルバム『Our Brand Could Be Yr Life』を4月12日にリリースする。この発表に伴い、ルカ・バルサーが監督したミュージックビデオ付きのニューシングル「Tarkovski」が公開された。以下よりチェックしてみてください。


『Xtra Equipment』に続く『Our Brand Could Be Yr Life』は、ベン・ホジーとニッキー・ベルフィグリオがボデガ・ベイとして2015年に自主リリースした33曲入りのアルバムを再編集したものだ。


「これらの収録曲は几帳面だったが、同時に積極的にローファイで、瑞々しいブライアン・ウィルソンの叙事詩のように扱われ、スクラップなMacBookのマイクを通して録音された」とベン・ホジーは振り返り、そのプロセスについてこう付け加えた。


「ヒッチコックが『知りすぎていた男』をリメイクした時や、小津安二郎が『浮草物語』をリメイクした時のようにね。年をとって自分の技がうまくなれば、同じ素材をもう一度見直して、違うことをすることができる」


「このテーマは依然として切迫したものなんだ。ギター音楽の企業化という考えは、悪化の一途をたどっていないか。ロックのいうのはそもそも常に表面的なものだったのだろうか? 果たしてロックは常に表面的なものであり、私が若くて世間知らずだったため、理解できなかっただけなのか?」


いや、きっとそうではないはずだ。ベン・ホジーは更にロックに対するレクチャーを続けた。


「1957年のロック・ミュージックを振り返ってみると、そこには信じられないような電気が渦巻いていた。チャック・ベリーは本当に過小評価されている詩人。オリジナルのロックンロールを否定するつもりはさらさらないし、今でも大好きで大切にしている。しかし、それは意図的に表面的なものだった。ティーンエイジャーに売り込み、すぐに捨てられるような商品だった」

 


「Tarkovski」



Bodega 『Our Brand Could Be Yr Life』


 

Label: Chrisalis

Release: 2024/01/08

 

Tracklist:

 

1. Dedicated To The Dedicated

2. G.N.D. Deity

3. Bodega Bait

4. Tarkovski

5. Major Amberson

6. Stain Gaze

7. Webster Hall

8. ATM

9. Set The Controls For The Heart Of The Drum

10. Protean

11. Born Into By What Consumes

12. Cultural Consumer I

13. Cultural Consumer II

14. Cultural Consumer III

15. City Is Taken

 

Pre-order:

 

https://bodegabk.bandcamp.com/album/our-brand-could-be-yr-life 

PROJECTOR

 



Next Preview:


イギリス国内では珍しく観光ビーチを持つ港町ーーブライトンは、若者の街であり、ファッションの街でもある。現在、ポストパンクの最重要地になりつつあるこの都市から登場するトリオがいる。


2018年の結成以来、PROJECTORは頑なに独自の道を歩んできた。フックのあるオルタナティヴロックに鋭利なインダストリアル・ドラム・マシン、そしてロンドンのシーンに触発された熱狂的なポストパンクにみずみずしいメロディを持ち込む。バンドはサウンドの幅広さとポップに対する実験的な姿勢をデビュー時から保持している。トリオはロック界の巨人、クレオパトリック(Cleopatrick)とヨーロッパツアーを行い、BBCラジオ6のスティーヴ・ラマック/エイミー・ラメの番組でオンエアされるようになった。それはこのクラフトに対する自信の賜物だった。


PROJECTORのサウンドを聴けば、現代のポストパンクがどうあるべきなのか、そして何をアウトプットすべきかを熟知しているかは瞭然だ。表現の微妙なニュアンス、現代生活、精神、政治の真の狂気と厳しさについて言及している。(彼らは歌詞について話したがらない)。レコーディングに対して一貫した姿勢を貫いてきたPROJECTORはこの数年、独力でプロデュースとレコーディングを行うことで、クリエイティブなアウトプットの手綱をしっかりと握っている。


PROJECTORのデビューアルバム「NOW WHEN WE TALK IT'S VIOLENCE」は2月9日に自主レーベルから発売が予定されている。三者三様の芸術的な錯乱、攻撃性を持ち寄り、そしてバンドがメインストリームのロック・シーンに殴り込みをかける。ポップなフックの間を軽やかに行き来する。 

 


 

 

ある時は、ジョイ・ディヴィジョン/インターポールを想起させるダークでインダストリアルなブルータリズムに染め上げられたかと思えば、またある時は、Squid風味のハイパーアクティブなラントポップのスペクタクルを織りなす。アルバムのクライマックスは、ドラムマシーンとみずみずしいハーモニーで歪んだアシッドに侵食されたカントリーに傾き、ラナ・デル・レイ風味のコーラスに乗せ、『Incesticide』時代のパラノイアなグランジ・ロックへと飛躍してゆく。


男女の双方のメインボーカルの個性が苛烈なポストパンク性、それとは対照的な内省的なオルトロック性を生み出す。ボーカルにはリアム・ギャラガーのようなフックと親しみやすさがある。かと思えば、それとは対照的にアンダーグラウンドなカルト的な雰囲気を擁する。それはロックの持つ原初的な危険性である。なによりも、バンドのテンションが、ピクシーズの初期のような奇妙な熱気を持ち、曲全般をリードする。それは彼らのライブのリアルなエネルギーを力強く反映している。

 

PROJECTORは、デビューを記念し、2024年2月からUKおよびEUツアーを行う。ツアーの皮切りはノッティンガムで開始を告げ、故郷のブライトン、グラスゴーでのライブが予定されている。


ブライトンの新進気鋭のバンドがこの先どのようなウェイブを巻き起こすのか。それはまだ誰にも知り得ないこと。 

 





「ブライトンのトリオ、プロジェクターは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのウォール・オブ・サウンドとピクシーズの刺すような衝動の中間に位置する」-DIY Magazine

 

 



・TOUR DATES:


・2/22

The Bodega Social ClubーNOTTINGHAM


・2/23


The Green Door StoreーBRIGHTON

 

・2/29

The Garage AtticーGLASGOW





PROJECTOR 『Now When We Talk It's Violence』 


 

Label: Projector

Release: 2024/02/09


Tracklist:

 

1.And Now The End

2.No Guilt

3.Dubious Goals Committee

4.Sunshine

5.Don't Give Anything Up for Love

6.Now When We Talk It's Violence

7.Chemical

8.Necessary

9.Big Idea

10.Breeding Ground

11.Tasyes LIke Sarah

 


Pre-order:

 

https://projectorofficial.bandcamp.com/album/now-when-we-talk-its-violence

©︎Daniel Topete


ロンドンのポストパンクバンド、IDLES(アイドルズ)がニューシングル「Grace」をリリースしました。バンドは今年、フジロックで来日公演を行なっています。LCD Soundsystemとのコラボ曲「Dancer」に続くこの曲は、Nigel Godrich(ナイジェル・ゴッドリッチ)、Kenny Beats(ケニー・ビーツ)、そしてギタリストのMark Bowen(マーク・ボーエン)の共同プロデュース。試聴は以下から。


バンドのボーカリスト、ジョー・タルボットはプレスリリースで次のように述べている。「この曲はどこからともなくやってきた。ナイジェルとのセッションから生まれた唯一の言葉や歌で、僕には本当に必要なものだ。すべては愛なんだ」


アイドルズの2021年の『CRAWLER』に続く2ndアルバム『TANGK』は、Partisanから2月16日にリリースされる。

 

アルバムレビューは以下よりご一読下さい:


REVIEW- IDLES  『TANGK』


 

「Grace」

 



ロンドンを拠点にするメルボルン育ちのポスト・パンク・バンド、ハイスクールが[PIAS]と契約し、ニュー・シングル「August 19」をリリースしました。


ローリー・トロッビアーニとルーク・スコットからなるHighSchoolは、2021年のデビューEP『Forever At Last』をリリースし、今回はそれに続く「August 19」を発表した。


この曲は、ノスタルジア、思春期、若い愛というテーマを探求している。後知恵の鋭さで書かれたこの曲は、校庭での恋愛がいかにその時のすべてを意味し、すべてを包み込むがあまりに儚いものであったかを振り返っている。また、「August 19」は、サンクンのポピー・ビリンガムをバッキング・ヴォーカルに迎え、これまでのどの曲よりもベッドルーム・ポップに傾倒している。


リード・シンガーのロリー・トロッビアーニは新曲について、「"August 19 "はEPのために書いた最後の曲で、リリースされる最初の曲になる。この曲はとても早く自然にできたので、いじりすぎず、作りすぎない方がいいと思ったんだ。タイトルは、私たちがこの曲を書いた日付です。携帯電話のボイスメモとして保存され、タイトルが変わることはなかった」


[PIAS]と契約した後、彼らはロンドンの新進プロデューサー、フィン・ビリンガム(サム・アクプロ、サンケン)とレコーディングするためにスタジオに向かった。

 

数回のセッションを経て、グラミー賞を受賞したエンジニア、フィリップ・ワイス(マドンナ、ナス、ドレイク、アール・スウェットシャツ)がミックスし、ブラーとデペッシュ・モードのプロデューサー、ベン・ヒリアーがマスタリングしたEPが完成した。


「PIASとの契約は、私たちの旅における重要なマイルストーンであり、新しい地平を切り開くものです。オーストラリアの素敵な人たちのホーム・サポートがあることを知りながら、このような才能あるアーティストの仲間入りができ、このような広範囲に及ぶネットワークの一員になれることに感激し、身の引き締まる思いです」




 


ブリストル発のポストパンクバンド、Mould(モールド)が「Birdsong」を発表し、鮮烈なデビューを飾った。


この曲は、バンドの底しれぬポテンシャルを体現している。ポスト・パンク的な勢いに加え、彼らは70年代のオリジナルのUKパンク、クラフトヴェルクの系譜にあるジャーマン・テクノの要素を追加している。若さゆえのアグレッシブさもバンドの強み。


「"Birdsong "は、僕らが初めて一緒に作った曲なんだ」とフロントマンでギタリストのジョー・シェリンは説明する。

 

「この曲は、楽観的であろうとすることがいかに疲れるかを歌っている。ある人に、僕は前向きで、いつも良いことを見ようとしていると言われたんだけど、この曲はその個人的な代償について歌っているんだ」

 

12月には、さらなるツアーが予定されている。来年には、リチュアル・ユニオンと2000treesでのセットも予定されている。

 


「Birdsong」

 


イギリスで絶大な人気を誇るポストパンクバンド、IDLESはニューアルバム『TANGK』をPartisanから2月16日にリリースすると発表した。バンドのマーク・ボーウェンは、ナイジェル・ゴドリッチとケニー・ビーツ(2021年の『CRAWLER』も手がけた)と共同プロデュースした。


「TANGK。愛が必要だった。だから作った」とフロントマンのジョー・タルボットは言う。「それはまるで魔法のように感じられる。これは感謝とパワーのアルバム。すべて愛の歌。すべては愛なんだ」


『TANGK」のファースト・シングルは、ジェームス・マーフィーとLCDサウンドシステムのナンシー・ワング(IDLESはこの夏一緒にツアーを回った)がバッキング・ヴォーカルを務めるドライヴ感のある 「Dancer」。


「ダンスフロアのドキドキするような心臓の鼓動から生まれる暴力で、あなたの体を駆け巡り、音楽から、愛から、そしてあなたからあなたに生命を与えるものです」とジョー・タルボットは言う。


 


IDLESはまた、2024年のヨーロッパ、アジア・ツアー日程も発表しており、そのリストは以下の通り。今年フジロックフェスティバルで来日したため、アジアは香港とバンコクでの公演のみ。


アルバムレビューは以下よりご一読下さい:


REVIEW- IDLES  『TANGK』




IDLES 『TANGK』



Label: Partisan
Release: 2024/2/16


Tracklist:

1. IDEA 01

2. Gift Horse

3. POP POP POP

4. Roy

5. A Gospel

6. Dancer

7. Grace

8. Hall & Oates

9. Jungle

10. Gratitude

11. Monolith


IDLES – 2023/2024 TOUR DATES

Dec 1st 2023 – Hong Kong, CN @ Clockenflap

Dec 2nd, 2023 – Bangkok, TH @ Maho Rasop Festival

Feb 29th, 2024 – Porto, PT @ Super Bock Arena

March 1st, 2024 – Madrid, ES @ Wizinik

March 2nd, 2024 – Barcelona, ES @ Sant Jordi Club

March 5th, 2024 – Milan, IT @ Alcatraz

March 7th, 2024 – Paris, FR @ Zenith

March 8th, 2024 – Netherlands / Amsterdam, NL @ AFAS

March 9th, 2024 – Antwerp, BE @ Lotto Arena

March 11th, 2024 – Prague, CZ @ SaSaZu

March 12th, 2024 – Luxembourg, LU @ Rockhal

March 14th, 2024 – Zurich, CH @ Halle 622

March 15th, 2024 – Berlin, DE @ Max-Schmeling-Halle

March 16th, 2024 – Hamburg, DE @ Sporthalle

March 18th, 2024 – Stockholm, SE @ Munchen Brewery

March 19th, 2024 – Copenhagen, DK @ KB Hallen

March 21st, 2024 – Cologne, DE @ Palladium

March 22nd, 2024 – München, DE @ Zenith

March 23rd, 2024 – Frankfurt, DE @ Jahrhunderthalle


 

ブライトンを拠点にする7人組のポスト・ロック・バンド、Flip Top Head(フリップ・トップ・ヘッド)が、ニュー・シングル「Alfred Street」をBlitzcat Recordsよりリリースした。現在、ブライトンでは、KEGを始め、複数のユニークなポストパンクバンドが群雄割拠している。彼らもまたトロンボーン奏者を擁するという点で、同じ様な個性的な魅力を擁している。

 

このニューシングルには、リハーサルの終わりに、ギタリストのハリーが電車に乗る時間に合わせて40分ほどで書き上げたという信じがたいエピソードもある。「Alfred Street」は、表現すべきことがあまりにも多く、それを表現する時間があまりにも少ないというディストピア的な感覚を孕みながら、決定的な緊迫感をもって前進してゆく。


「Alfred Street」は、3分ちょっとの間に喧騒が詰め込まれており、味わい深さがある。トロンボーンが次元を滑り、きらめくポストパンクの角ばったサウンドが、広がりのあるポストロックのブレイクダウン、スポークンワードの官能性、そして高鳴るヴォーカルの巧みさへと変化していく。


7人編成のFlip Top Headは、その分厚くマニアックなテクスチャーと、複数のリード・ヴォーカルによって、実存的な暗黒とガラスの破片のようなギターの熱に取りつかれたツートーン・バンドのようだ。さらに男女のダブル・ボーカルにはニヒリズムとペーソスが漂っている。Squidのアンサンブルにも近い緊張感と熱狂性があり、またZEPのようなクールな決めが後半に訪れる。


「Alfred Street」






 

Sleaford Mods(アンドリュー・ファーンとジェイソン・ウィリアムソン)がリリースするEP『More UK Grim』は、今年初めにリリースされ高い評価を得たアルバム『UK GRIM』と同時にレコーディングされた。EPは Rough  Tradeから10月20日に発売される。


リード・シングルの『Big Pharma』は、"truuther"(真実主義者)のワームホールに疑いの眼差しを投げかけながら、最近のアルバムと同じように "take no prisoners"(囚われの身とならない)という叙情的なアプローチをとっている。


『More UK GRIM EP』の基調をなすこの曲には、ショーン・シアーズ監督による鋭い風刺の効いたアニメーション・ビデオが付属している。彼は、入念に研究された医学的治療法よりも尿を飲むことを尊ぶ健康療法の「哲学」の結果を検証するため、独特の様式化された2Dビジョンを適用した。


「"ビッグ・ファーマ "は、コビッドが再び動き出した2022年秋の序章で書かれた。この作品には通常のスリーフォード・モッズの不条理主義がたくさん盛り込まれているが、非常に疑わしい人々が全面的に押し出している情報の中に真実を見出そうとする現在進行形の魅力にも注目している」とジェイソン・ウィリアムソンは説明する。


「''ビッグ・ファーマ "という言葉は、その本来の位置から根こそぎ取り払われた。それは本来、製薬業界が大量に生命を台無しにするような製品をどんどん生産していくことに対して、正しく批判を投げかけるものだった。その代わりに今、『ビッグ・ファーマ』は、自分たちの主張の財政的な狙いを、ある種の批判的思考的な大げさな正当性で覆い隠そうとする右翼団体や業界団体によって使われる言葉として、より親しまれている。でも、それは間違っている。それは、絶望、広範な恐怖、そして、私たち大衆が背負わされている限られた批判的認識と結びついた、何世代にもわたる自由放任の誤った情報を糧としているのだ」


ウィリアムソンは、Sleaford Modsの曲は、「この用語をある種の顔のない政治的/産業的複合体の一部として売り込んでいる人々を弁解するものではなく、投稿する前に本当に自分の脳を働かせるべきキーボード戦士たちを揶揄するものでもある」と付け加えている。


「個人的な責任もたくさん問われなければならない。最近、"ビッグ・ファーマ "が反トランス運動に採用された。しかし最新のスマートフォンの次のバージョンと同じで、機能はほとんど同じなんだ」


「Big Farma」



 Sleaford Mods 『More UK Grim』EP



Tracklist:


Under The Rules

Old Nottz

Big Pharma

PO Crazeh

My 18hr Girdle

Old Nottz (Alt mix)

 


ノースカロライナのポストパンクバンド、Truth Club(トゥルース・クラブ)がニューシングル「Uh Oh」を発表した。この曲は、2ndアルバム『Running From the Chase』からの3曲目。この曲は、インディゴ・デ・ソーザ(Indigo De Souza)がゲスト・ヴォーカルを務めた前作「Blue Eternal」と「Exit Cycle」に続く作品である。この曲のリリック・ビデオは以下よりご視聴ください。


『Running From the Chase』は10月6日にDouble Double Whammyよりリリースされる。



 Deeper  『Careful!』

 

 

Label: Sub Pop 

Release :2023/9/12

 


Review



「立ち止まっていては、Deeperにはなることができないと思った」シカゴの四人組、Deeperのニック・ゴールは述べた。「この曲を聴いているとき、気持ちいいだろうか? この曲を聴いているとき、体はそれに合わせて動きたくなるだろうか?」これは、Deeper(ニック・ゴール、シラーズ・バッティ、ドリュー・マクブライド、ケヴィン・フェアバーン)が、『Careful!』の制作に取り組んでいる際に、彼らが自問したことだったという。「面白い曲にしたかったんだけど、2歳の子供が聴いてもいいような曲にしたかった。基本的にはポップ・ミュージックなんだ」


2020年3月、『Auto-Pain』をリリースして以降、Deeperは、1年半近く新作をライブで演奏することができなかったという。「自分の音楽が、他の人々にとって何を意味するのかを数値化するためにSpotifyの数字のみに頼る、という真空状態の中で生きるのはかなり大変だった」とマクブライドは言う。「しかし、自然は真空を嫌うものであり、バンドは空っぽの時間だけに止まらず、自分たちのアイデンティティとは一体何なのか? という突然空虚になった考えを埋めるべく急いだ。自分たちだけ孤立して、"Deeperって何?"って感じだった」とバッティ。さらに、「バンドとしてひとつのジャンルに留まりたくないといつも話していた」とゴールは言った。

 

Deeperの音楽は、2020年以降イギリスで活発な動きをみせるポストパンク・リバイバルに属している。Thit Heat、DEVO,Talking Heads,北米のプロトパンクを形成したTelevisionの『Marquee Moon』に近い感覚の音楽性を擁している。また、彼等のサウンドは現行のイギリスのポスト・パンク勢にも近いひねりが効いていることも特筆すべきだろう。Squid、Foals、Sport Team,KEGをはじめとするニューウェイブ・リバイバルに近い雰囲気を持っている。これらのサウンドは、そしてロンドンを中心とするポストパンクバンド勢のように、ダンサンブルな要素を絡めたインディーロックサウンドとして昇華される。バンドらしいパンチの効いたサウンドを「Build A Bridge」、「Glare」、先行シングルとして公開された「Sub」に見出すことが出来る。

 

さらに、他にも、Deeperは、このアルバムを介して、実験的な要素にも取り組んでいることに着目したい。「Heat Lumb」は、NEU!のサウンドに近いアヴァン性をジャーマン・テクノと結びつけ、Pussy Galoreのようなジャンク・ロックを掛け合わせ、アヴァンギャルドな要素をもたらしている。「Pilen 4th」では、モジュラー・シンセを駆使し、アンビエント風のトラックに挑戦している。さらに「Devi-loc」では、ニューヨークのアラン・ヴェガ擁するSuicideのシンセ・ロックのアヴァン性を復刻しようと試みる。そういった実験的な収録曲の合間を突くようにして、「Fame」のニューウェイブ風のユニークさや、「Everynight」でのTelevisionのようなプロト・パンクの要素が混在し、プロトともポストとも付かない個性味溢れるサウンドが確立された。


全般的に見るかぎり、ニュー・ウェイブとプロト・パンクの中間にある作風で、イギリスの現行のポストパンク・バンドに慣れ親しんでいるリスナーにとっては新奇性を感じさせないかもしれない。他方、Deeperは、「Airplane Air」、「Pressure」といったトラックで外向きのベクトルを持つパンク性と合わせて、独特な内省的な脆弱性(繊細性)をサウンドに生じさせている。言い換えれば、ギターのアルペジオやボーカルに、メロディアスな要素が掛け合わさることで生じる突然変異的なエモーション。それらの内省的なサウンドは、アルバムを取り巻く外的なエナジーを擁するポスト・パンクサウンドの渦中にあって、鮮やかなコントラストを形成している。

 

こういった長所もあることを認めた上で、本作の1番の難点を挙げるとすれば、前作のアルバム『Auto-Pain』では良かった面が薄れてしまい、クールな雰囲気が曇りがちになっていることかもしれない。


「Airplane Air」では、Deeperの本来の魅力とバンドが何を示そうとしているのか伝わってくる。ただ、他の部分では、イギリスのポストパンク・バンドのようなユニークさ、表面的なサウンドに見えづらい形で潜んでいる強い芯のような核、それからライブ・セッションで偶発的に生じる緊張感や精彩味を示すには至らなかった。セッションにおいてバチバチと互いに火花をちらすような独特な緊迫感、それは例えば、Squidの最新作『O Monolith』の「Swing」で捉えやすい形で示されている。しかし、この欠乏感は、Deeperが実際のライブで新しい曲の感触を確かめられなかったところに原因があり、彼らにとって不運だったと思う。この点は、ライブを重ねるにつれて解消されるはず。今後、よりアグレッシヴな音楽が生み出されることを期待したい。

 


68/100