ブレイクの瞬間であった「Divide And Exit」をリリースしてから10年が経った。スリーフォード・モッズは、スカ・パンクの伝説であるザ・スペシャルズとの共演を期に、プロミュージシャンとしての道を歩み始めた。それ以来、スリーフォード・モッズは上昇の一途をたどり、近年では、『Spare Ribs』、『UK Grim』といった象徴的なカタログをラフ・トレードにもたらした。ライブ活動も順調であり、最近ではグラストンベリーで素晴らしいセットを披露している。
10周年を記念して、「Divide And Exit」の拡張版がRough Tradeから7月26日に CD/LPでリリースされる。この拡張版には、二作の未発表曲「Git Some Balls」と「Air Con」(アルバムカット「Air Conditioning」のリワーク)が収録されている。これらの2曲を彼らは気に入ってはいるものの、アルバムの収録曲としては相応しくないと考えていたようだ。
「"Git Some Balls "は、スタジオのフロアの切り抜きのひとつで、当時はあまりピンと来なかったけれど、今では素晴らしいサウンドになっている」とヴォーカルのジェイソン・ウィリアムソンは言う。
「私たちはアルバムに何を求めているかわかっていたし、これが『Divide and Exit』にふさわしいとは感じていなかった」
バンドは、今週金曜日にSUB POPからリリースされるニューアルバム『Up On Gravity Hill』に先駆けて、最終のプレビューシングル「Superior Mirage」を配信した。この作品は、前作「99」、「Entwined (Street Light Buzz)」、「Light Your Way Home」に続く。ジョン・アンドリュースが監督したミュージック・ビデオも公開された。以下よりチェックしてみよう。
カナダのポストパンクバンド、METZはブラック・マウンテンのアンバー・ウェバーがヴォーカルを務めた新曲「Light Your Way Home」を発表しました。
「"Light Your Way Home "は間違いなく、Up On Gravity Hillからのお気に入りのひとつ。この曲を書くときは、(冬によく聴くように)JesuとLowをたくさん聴いていた。リリックでは、現実を見失うほど愛する人を恋しく思うことを歌っている」とフロントマンのアレックス・エドキンスは言う。
このシングルは、最近の2枚組シングル「Here Hair / Hard Hair」に続く作品で、Yard Actのサポートとロンドンでのヘッドライナーを兼ねたイギリスでのライブに合わせてリリースされた。
次のアルバム「Package Pt.2」は4月5日にロイヤル・マウンテン・レコードからリリースされる。エリン・トンコンがプロデュースし、Studio G BrooklynとCircular Ruinでレコーディングされた「Package Pt.2」は、2021年のアルバム「Audio Drag for Ego Slobs」に続く。
以降の3曲目「Down By The Stream」ではデビューアルバム時のベースラインが強調された硬派なポストパンクサウンドに回帰している。 旧来よりパーカションの効果を押し出し、最初のアルバムのサウンドに前衛的な効果を及ぼそうとしているが、ちぐはぐな印象を覚えてしまうのは気のせいだろうか。リズムトラックとボーカルがまったくまとまっておらず、ビートやグルーブが断裂している。もし、ビリー・ウッズのようなアブストラクトヒップホップにおける先鋭的な要素を意図している場合は、この指摘は的外れとなるだろうが、歌いやすさと乗りやすさがバンドの魅力であったと考えると、やや難解なサウンドに傾倒しすぎたとも言える。
続く「When The Laugher Stops」では、女性ボーカリスト、J Pearsonをフィーチャーし、シンセ・ポップを主体とするニューウェイブ風のサウンドだ。表向きの陽気さや楽しさとは別に何かバンドやフロントマンの苦悩のようなものが浮かび上がる。厳密には明言できないが、それは何らかの選択に迷っているという気がし、これがフィーチャーの部分では煌めきがあるのに、メインのボーカルではくすぶっているような印象を覚える。曲そのものは親しみやすく痛快だが、もう少しだけ単純明快でクリアなサウンドを追求してもよかったかもしれない。
「”City Is Taken”は、2010年にニューヨークに引っ越した経験を歌ったものです。私は、自分自身と自分の芸術的ロールモデルを、アーティストがどこへ行こうともついて回る、目に見えない儲けの網にかかった高級化の力学として見るに至った。私の視覚的存在は、知らず知らずのうちに破壊の象徴となり、私が創造しようとしたものすべてに対するアンチテーゼとなったんです」
「City Is Taken」には、ルカ・バルサーが監督したミュージック・ビデオも公開された。この映像は、ベンとニッキーがこの曲を演奏する様子を収録している。夜のニューヨークの街中で、商業銀行やチェーン・レストランなど、この街の歴史的な音楽の過去の廃墟前で撮影された。映像は、個人的な地理学と考古学の研究として機能し、バンドによるNYの物語を掘り起こす。
『Our Brand Could Be Yr Life』は、ホジーとベルフィリオの古巣バンド、ボデガ・ベイの2015年にリリースされた自主制作33曲入りLPのフル・リメイクであり、2022年にリリースされたボデガのセカンド・スタジオ・アルバム『Broken Equipment』に続く作品となります。
「Our Brand Could Be Yr Life』は4月12日にクリサリス・レコードからリリースされます。
彼らのアルバム『Crawler』はグラミー賞にもノミネートされ、マーキュリー賞にもノミネートされた。その後、彼らが過酷なツアースケジュールをこなしたのは、この年に他のブレイクを果たしたバンドと同様である。特に、ライブステージでのアジテーションを交えたジョー・タルボットのマイクパフォーマンスは多くの聴衆を惹きつけるものだった。記憶に新しいのは、2022年の英国の最大級の音楽祭”グラストンベリー”のステージで、ちょうどその数時間前に起こった人工中絶の権利を自動的に保証するものではないとの判決、米国最高裁判所が「Roe v. Wade (ロー対ウェイド裁判)」の判例を覆したことについて言及し、こんなことを言っていた。
特に、バンドとしての著しい進化を象徴付けるトラックとして「POP POP POP」が挙げられる。彼らは新たにロンドンのベースメントのクラブミュージックを吸収し、UKグライム、ガラージ、ブレイクビーツ、UKラップまでを取り入れ、新しいダンスロックの形を提示している。ロンドン近郊のダンスフロアで鳴り響いているようなリアルなクラブ・ミュージックを反映させ、それらを近年にないほど洗練させている。
特に、意外だったのは続く「Grace」。この曲では、The Whoの「Baba O' Riley」のソングライティングを継承し、それらをビート感の強固なポストパンクという形で展開させる。しかし、一見すると、外向きのように思えるサウンドはやはり、奇妙な内省的な感覚に彩られている。そして、The Smith、Stone Roses、Oasis、Blur、Coldplayといった80年代から90年代のブリット・ポップバンドの核心にある音の感覚を鋭い感性によって掴み、マシンビートを背景に、驚くほどセンチメンタルなボーカルを披露する。基礎となる大まかなコード進行は「Baba O' Riley」と同じであるが、ボーカルのスタイルを見ると分かる通り、ジョー・タルボットは神妙な感覚を表現しようとしている。これは無数のライブ・ツアーをこなしてきた中で、彼とバンドが自分たちの奥底にある最も重要なスピリットを誰にも明け渡さなかったことをはっきりと証明づけている。
これまで、アイドルズの5人は、ギターロックの代表格とも言えるMy Bloody Valentine(マイブラ)、Yo La Tengoとは一風異なるギターロックの轟音性の可能性を追求し、未来の可能性に賭けてきた。最後のクローズ曲「Monolith」では、プログレッシヴ/ポストロックバンドの未来系を示している。今作のクライマックスで明示されるもの、それはやはり、現代のロックバンドと同じく、電子音楽を反映させた現代的なロックミュージックなのである。
さて、シドニーのデュオ、ロイエル・オーティスは3枚のEPを発表した後、『Sofa Kings』をリリースし、着々とファンベースを拡大させてきた。とりわけ、全般的な彼らの音楽の評価を高め、そして、ダン・キャリーをプロデューサーに起用するに至った経緯として「Murder on the Dance Floor」がある。このライブセッションは、ロイエル・オーティスがウェット・レッグに近い存在と見なされる要因となった。この曲のおかげでロイエル・オーティスがどれほどクールなバンドなのか、その評判が広まったのだ。
ロイエル・オーティスのサウンドは、その後も変幻自在に基底とする音楽性を少しずつ変化させていき、「Heading For The Door」では、ネオソウルの影響を絡めたインディーポップで聞き手にエンターテイメント性をもたらし、続いて「Velvet」では、70年代のウェストコーストロックをプレミアリーグのチャントのように変化させる。
いうなれば、パイントのギネスをしばらくテーブルの上に置いておいた時のような渋い味わいに変わる。「IHYSM」は勢いのあるポストパンクで鮮烈さを感じさせ、「Molly」でもBar Italia(バー・イタリア)の三人が好むようなダウナーなスロウバーナーとして楽しめる。「Daisy Chain」ではウェット・レッグのようなアンセミックなインディーポップとニューウェイブの合間を探り、Indigo De Souzaのデビュー当時の鮮烈さを思わせる。
それらのダサさとかっこよさの絶妙なバランス感覚を持ち、アルバムのその後の収録曲をリードし続けている。ただ本来、ロックやパンクはそういったアンビバレントな感覚を探るものでもあるからそれほど悪いことではない。そのあと、ギリギリの綱渡りのようなスリリングな感覚で曲が進んでいき、「Sofa King」ではダンサンブルなビートに彩られたサイケデリック・ロック、「Glory to Glory」では、The ClashのようなUKのオリジナルパンクをインディーポップから再解釈している。曲のサビの部分にはフックがあり、これらのアンセミックな展開はライブでその真価を発揮しそう。
「リリックは、シェイクスピアの『to be or not to be』からインスピレーションを得ている。人生の喪失と喪失を伴う人生をナビゲートしている。『To be, I see, what is, to be』は、自分自身との一方通行の解体された会話なんだ。このビデオは、弟のジョージ・ブラウンの協力を得て、僕らが自宅で制作した」