【J-POP Trends】 11月の邦楽の注目作をピックアップ

 【J-POP Trends】 10月、11月の邦楽の注目作をピックアップ



11月に発売された邦楽の新譜を下記にご紹介していきます。注目は、ハンバート・ハンバート、ホームカミングスの新作アルバムが発売されました。ほかにもサイケロック・バンド、tenbin Oの登場に注目しましょう。




Humbert Humbert 「カーニバルの夢」  HCC


 

1998年に結成されたHumbert Humbertは、良質なメロディーを持つソングライティング、フォークとロックの融合を介して魅力的なポップソングを制作してきました。記念すべき12作目のアルバムは、全12曲収録。デュオの集大成をなすような素敵なJ-POPソング集となっています。

 

ギター、ピアノといった基本的な楽器編成に加えて、佐藤遊穂を中心とする親しみやすいボーカルが際立っています。時々、デュエット形式を採ることも。曲の細かな作り込みは見事で、ハイライト曲「寝ても覚めても」を中心として、バラードからロックソングまでバランスの良い楽曲が勢ぞろい。ときおり、遊び心あふれる曲も見いだせます。「君を見つけた日」は、アップテンポのフォークナンバーで、最初期のバンプ・オブ・チキンのソングライティングを彷彿とさせる。他にも、「恋はこりごり」では、歌謡やオールディーズ風のナンバーに挑戦しています。

 

ハンバート・ハンバートはアルバムのリリースを記念するツアーを開催予定で、来年1月26日(日)にNHKホールで公演を行います。


 

「ある日の来客」


 

 

配信リンク: https://humberthumbert.lnk.to/DoC

 

 

Homecomings 『See You, Fragile Angel, Sea Adore You』  Pony Canyon

 

 

 

 Homecomingsも2012年頃から活動を続けており、洋楽と邦楽を絶妙にマッチさせたソングライティングのスタイルで知られています。今作はメジャー三作目となり、ポニーキャニオンから発売。全般的にはドリームポップに属する浮遊感のあるサウンドワークに、キャッチーなボーカルを特色としています。最新作は、作曲や演奏の双方において磨きが掛けられ、代名詞的なアルバムが完成しました。「luminous」ほか、ポップスとして聴かせる曲もあるが、異色のシューゲイズ風の楽曲「blue poetry」も聴き逃がせません。アルバムの終盤には、Supercar風のトラックも登場し、清涼感のあるオルトロックソングを全編にわたって楽しむことが出来るでしょう。

 

今作は、前作『New Neighbors』から約1年半ぶり、3人体制となって初のリリースとなります。USEN J-POPチャート1位を獲得した映画『三日月とネコ』主題歌「Moon Shaped」ほかを収録。メンバー自身のコアな部分にフォーカスし、優しく温かな存在感はそのまま、ライブツアーや多数のフェス出演等で積み重ねてきた力強さと細やかで機微に富んだ感性がなめらかに共存しています。さらに、オルタナティブ、シューゲイザー、エモトロニカ、グリッジノイズが融合した浮遊感漂うサウンドから、バンドの新たな魅力と表現の幅を感じる1作となっています。

 

CD+Blu-ray盤には本日開催されたストリングスカルテットも参加したライブ『Homecomings Chamber Set at Billboard Live TOKYO 2024』の模様を収録予定。

 

 

 

アルバムのご購入: https://lnk.to/Homecomings_6thal

配信リンク: https://lnk.to/seeyou_fasay

 

 


Dawgss 「Alright」Feat.荒谷翔太   Space Shower

 


ベース/ヴォーカルの森光奏太のソロ・プロジェクト、Dawgss。ソウルを軸にしたグルーヴ感とメロウネス、ベースとドラムを中心とした抜群バンド・アンサンブルも高い評価を受け、同年6月に開催した初のワンマン・ライブはソールドアウトを記録し、VIVA LA ROCK、Fuji Rock Festival、Local Green Festivalといった大型フェスへも出演を果たしました。

 

2023年4月にはそれら先行配信された楽曲に加えて、ライブでのサポートメンバーでもある和久井沙良やイシイトモキが参加した「MOON WALK」「夢中」など全10曲を収録したファースト・アルバム『INORI』をリリース。以降、Aile The Shotaをフィーチャリングした「ランデヴー」、「KICK OUT」といった楽曲をリリースし、今年4月には待望の新作EP『Tenderness』をリリースしました。

 

本楽曲は、心の琴線にそっと触れるような切ないメロディと、背中をそっと押してくれるようなリリック、ソウル〜R&Bをベースにした浮遊感のあるメロウでチルなサウンドが深い余韻を残す一曲です。-Space Shower


 

 

 

tenbin O 『Illigal Positive』 Ideal Music LLC.

 

tenibin Oは2022年に結成され、翌年にインディ/サッドコアをベースにしたデビュー・アルバム『Lack of Heroism』をリリースし、音楽シーンに名乗りを挙げました。Fire Talk のような新進気鋭のレーベルから続々登場してくるオルタナを指向するバンドたちとの親和性も高い。11月13日、ダウンビートでエキゾ味を増したグルーヴの 2nd Album「illegal positive」をリリースしました。

 

このアルバムではテキサスのKhruangbinからロンドンのディスコファンクをくまなく吸収し、エキゾチックなファンクソウルを提供しています。アルバムのハイライトの一つ「Waste of Time」はトリオの持ち味であるシュプレヒサングが登場し、カッティングギターを強調したファンクサウンドと融合を果たしています。これからが非常に楽しみな三人組としてご紹介します。

 

「Waste Of Time」

 


配信リンク:https://ssm.lnk.to/illegalpositive

 

 

NEI 「Aqua SurfaceFeat. Campanella)

 


日本のヒップホップも日々アップデートを続けています。NEIは、名古屋でビートメイカーとして活動しているRyo Kobayakawa(D.R.C.)との出会いをきっかけに音楽活動を開始しました。2018年、NEI & Ryo Kobayakawa名義の共作EP『Words For Stars』をリリースし、同年YouTubeで公開された「FAST CAR」ではKID FRESINOとの共演しています。2020年、ソロ名義として初のAL『NEYOND』をリリースしました。


カンパネッラをゲストに招いた「Aqua SurfaceFeat. Campanella)」ではNEIを中心に切れ味の鋭いフロウさばきが際立っています。舌鋒は鋭いですが、背景となるトラックはメロウで落ち着いた感覚に縁取られ、ラップ自体がグルーヴのようなウネリを作り、最終的にはヒプノティックでアシッド的な感覚を生み出す。都会的な感性とNEI持ち前の叙情的な感性が見事に結びついたトラックとなっています。タイプ的には、Sainteに近いアーバンなヒップホップとも言えるでしょうか。

 


「Aqua SurfaceFeat. Campanella)




 
 
 
 
Luby Sparks 「Summer Days」 ADWR/LR2

 
東京のオルタナティヴロックバンド、Luby Sparksは今月22日にニューシングル過ぎ去った季節を懐かしむ「Summer Days」をリリースしました。なんとなく聴いていてホッとするインディーロックソング。ボーカルのメロディーからはなぜかノスタルジックなイメージが立ち上って来ます。
 
 
最新EP「Songs for The Daydreamers」に収録された「Somebody Else」の流れを汲む、初期Luby Sparksを想わせるインディポップ/ギターポップ・サウンドと紹介されています。90年代後半〜00年代前半の空気感に、終わってしまった夏を回想する歌詞が絶妙にシンクロする清涼感のある楽曲となっています。この曲を聴きながら、今年の夏の思い出に浸ってみてはいかがでしょう??
 
 
 
「Summer Days」
 
 


配信リンク:  https://lubysparks.lnk.to/SummerDays



aus 『Fluctor』 FLAU

 

東京のエレクトロニックプロデューサー/作曲家、ausが新作アルバムを先週(11/27) に発表しました。ピアノやヴァイオリンをベースにした清涼感のある作品となっています。複数のコラボレーターの参加により、スポークンワードなど多彩な表現性が付け加えられています。イメージの換気力に溢れた一作。

 

『 Fluctor』は元々、映像作品のために作っていたというデモを、自身のピアノと高原久実によるヴァイオリンを中心とした室内楽へと再構成。ポストクラシカルの持つ優美さ・精緻さと2000年代初期のエレクトロニクスの微細なテクスチャーを融合させ、深く鮮やかなメロディーラインが展開されます。

 

前作「Everis」にあったフィールドレコーディングによるサウンドコラージュから、より明確なコンポジションへと変化した本作は、静かな水面に映る風景のように、柔らかく、しかしながら、確かな印象を残し、かつて国内で作られていたイメージアルバムの本質を呼び起こすかのようです。

 

アルバムのゲストも豪華で、FLAU Recordsにゆかりのある音楽家も複数参加しています。Espersのメンバーとしても知られるMeg Baird、著名なアンビエントプロデューサーでausと親交深い、Julianna Barwick、元Cicada(台湾の室内楽グループ)のEunice Chungをボーカルとしてフィーチャーしています。また、ドイツのピアニスト、Henning Schmiedt、マンチェスターのチェロ奏者、Danny Norbury、Glim、横手ありさが前作から引き続き参加しています。

 

 

Another(Snippet)

 

 

ご購入/ストリーミング: https://aus.lnk.to/Fluctor