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サッカー・マミー(ナッシュビルを拠点に活動するアーティスト、ソフィ・アリソン)は最近、シェリル・クロウの「Soak Up The Sun」のヴァージョンを発表し、本日、彼女はこのカヴァーが『Karaoke Night』というタイトルのEPの一部であることを明らかにした。


9月22日にLoma Vistaからリリースされる『Karaoke Night』には、クロウ、テイラー・スウィフト、R.E.M.、ペイヴメント、スローダイヴのカヴァーが収録される。このニュースを記念して、アリソンはテイラー・スウィフトの "I'm Only Me When I'm With You "のテイクを披露している。


「この曲は、テイラーのファースト・アルバムからのお気に入りの1曲だから、どうしてもカバーしたかったの。子供の頃、そのレコードをすごく聴いていて、当時の私にたくさんの影響を与えたと思う」


この新プロジェクトは、サッカー・マミーの2022年のLP『Sometimes, Forever』(レビューはこちら)に続くもので、アリソンのこれまでで最も大胆かつ美学的に冒険的な作品である。この作品は、最も才能あるソングライターの一人としてのアリソンの地位を確固たるものにしている。


このアルバムでアリソンは、実験的なマインドを持ったプロダクション、ヴィンテージを基調とした拡張されたムードボード、そしてこれまでで最も洗練されたソングライティングによって、現在を超え未来へと自作の音世界を前進させている。


悲しみも幸せも永久に続くものではないというコンセプトにインスパイアされた『Sometimes, Forever』は、レトロなサウンド、個人的な騒動、親近感のある現代生活の乱れなど、あらゆるものをオリジナル・ミュージックに統合したアーティストの心の内を覗くような新鮮な作品であり、長く続くように作られているように感じられる。もしかしたら永遠かもしれない。

 

「Soak Up The Sun」

 



 Soccer Mommy 『Karaoke Night』





Tracklist:

 

01. Here (Pavement Cover)

02. Soak Up The Sun (Sheryl Crow Cover)

03. Dagger (Slowdive Cover)

04. I’m Only Me When I’m With You (Taylor Swift Cover)

05. Losing My Religion (R.E.M. Cover)

 

Soccer Mommy

 

カバーソングというのは簡単なようでいて難しい。原曲とかけ離れすぎても問題で、近づきすぎてもカバーの意義が薄れてしまう。その点、サッカー・マミーは今回のカバーで模範的な例を示してくれている。

 

ソフィー・アリソンは、インディーロックシンガーとして良質なソングライティングを続けてきたが、カバーの選曲や編曲においてもそのセンスの良さは光る。ソフィー・アリソンはかねてからシェリル・クロウを敬愛しており、その音楽性の一であるバブルガム・ポップを研究してきたというが、シェリル・クロウの2002年のヒット曲「Soak Up the Sun」をカバーしている。カラオケ・ビデオと題された映像が公開されているので、ぜひ下記よりチェックしてみてください。

 

「私の友人は社会主義者なの/彼はRV車の中で、いつも会議をやっている/私は彼の車のガソリン代が払えないから/ここに居座ってTVを観てる」という歌い出しは、シニカルで最高だが、その後、サビで「太陽の日を浴びてね」と続けるあたりも、ちょっと辛辣だけど、優しさもあり、かなりウィットに富んだ内容となっていることに気づく。しかし、このクロウのヒット曲は、2000年当時の時代性を顕著に感じさせるものの、その内容は全く古びていないのに驚愕する。

 

サッカー・マミーの最新アルバム『Sometimes, Forever』収録の「Bones」にどのような触発を及ぼしたのかを、「Soak Up the Sun」を聞きながら推測してみるのも一興だ。ワイアードなギターが甘美なメロディーラインを彩り、美麗なヴォーカルはソフィー・アリソンのヴォーカルと合致している。ソングライターは、重厚なギター・ファズと電子音で見事に曲を飾り立てている。


昨年、ソフィー・アリソンはニューヨーク・タイムズ紙の特集でシェリル・クロウのソングライティングを賞賛している。

 

「彼女には大ヒットした曲がたくさんあり、少なくとも私のような年齢の人間にとっては、大人になってこれらの曲を聴かないということはありえない。彼女には、難しいことを言いながらも、それを認める準備ができているように感じさせ、この難しいことを受け入れてクールになるコツがある」と。

 

「Soak Up the Sun」

 


Soccer MommyがNPRオフィスに立ち寄り、「タイニーデスク・コンサート」を開催しました。ソフィー・アリソンは、昨年リリースした最新アルバム『Sometimes, Forever』から「Shotgun」と「newdemo」の2曲、さらに、2020年の『color theory』から「circle the drain」、2018年のデビュー作『Clean』から「Still Clean」を演奏しています。視聴は以下からどうぞ。


サッカー・マミーは、以前、パンデミック時にNPRの「タイニーデスク(ホーム)・コンサート」シリーズに出演している。昨年11月には、『Sometimes, Forever』の収録曲「Feel It All the Time」のMVを公開している。


 

©︎Sophie Hur


Sophie Allisonが、サッカー・マミーのシングル「Darkness Forever」のハロウィーン記念バージョン「Darkness Forever (Sophie's Version)」を公開しました。下記よりお聴きください。


「Darkness Forever」は、Oneohtrix Point NeverのDaniel LopatinがプロデュースしたSoccer Mommyの最新アルバム『Sometimes, Forever』からのリリースです。

 

ソフィー・アリソンは「この『Darkness Forever』のバージョンは、私がアルバムの残りの部分を作り始めるきっかけになったようなものだから、私にとって本当にエキサイティングなものなのよ」と声明で説明している。

 

「デモを作るのはとても楽しかった。それが終わったとき、私はレコードのためのより多くのものに取り組む準備ができていると感じました」

 


サッカー・マミーは、昨夜、Jimmy Kimmel Live!に音楽ゲストとして出演しました。ゲストのLamorne Morrisに紹介されたSophie Allisonとバックバンドは、最新作『Sometimes, Forever』の収録曲「Shotgun」「Feel It All the Time」を演奏しました。その模様は以下でご覧いただけます。


サッカー・マミーの3枚目のスタジオ・アルバム『Sometimes, Forever』は6月に発売された。アリソンは最近、「Shotgun」のMagdalena Bayによるリミックスと、スロー再生、リバーブ、Simlishのバージョンを公開しています。

 

 

 

 

 

Soccer Mommy


ナッシュビルのシンガーソングライター、Soccer Mommy(Sophie Allison)が、6月24日にLoma Vostaより発表した最新アルバム『Sometimes, Forever』から「Shotgun」を取り上げ、Magdalena Bay Remix Versionを公開しました。

 

また、同曲のスローバージョンとリバーブバージョンも公開されています。原曲とは異なり、エレクトロ性を打ち出した独特なリミックスが提供されています。両バージョンを下記でお楽しみください。 

 

 

 

 

 Soccer Mommy  「Sometimes,Forever」

 

 


 

Review  



Soccer Mommyとして活動するソフィー・アリソンの最新作「Sometimes,Forever」は、アメリカ国内のメディアにも好意的に受け入れられている。きっとそれは、実際、USインディーロックの醍醐味がこの一作に詰め込まれているからなのだ。最初期のベッドルームポップのアプローチに始まり、その後も、インディーロック、エレクトロ、様々な音楽性に挑戦してきたソフィー・アルソンは、この最新作で以前のセンスの良さを引き継いだ上で、更に異なる方向性にアプローチしている。

 

アメリカ国内の著名なメディア、ローリング・ストーン、ステレオガムなどのインタビューを中心に、本作においてソフィー・アリソンは、意外にも、暗鬱なニュアンスを取り入れようとしていると話す。表向きには暗くはないものの、その深奥にはドロドロとした何かが漂う。特に、このアルバムを制作するに当たって、アリソンはブラック・サバスからの強い影響を公言し、さらに。Pj Harvey,The Smithの名も挙げている。コンセプトの中に掲げる、自分自身の持つ暗鬱さ、それと向き合い、それを昇華しようとしているという。それは別の意味で、明らかにこのアルバムにゴシックの色合いを加味していると言えるのかもしれない。

 

アルバムの先行シングルとして発表されたオープニングトラック「Bones」、そして「With U」は、これまでのサッカー・マミーのベッドルームポップ、そして、USインディー・ロックの延長線上を行く作風であるが、明らかに三曲目の「Unholy Affection」から雰囲気が一変する。ここには、ブラック・サバスから受け継いだメタル、そして、ゴシックの色合いが引き継がれている。 


同じく、先行トラックとしてリリース「Shotgun」も同じような路線にある一曲で、このアーティストらしからぬヘヴィーさが込められている。まるで、1990年代のオルタナティヴ・ロックやグランジの時代に立ち返ったかのようである。しかし、そこには、やはりというか、ソフィーアルソンにしか生み出し得ないメロディーセンスの高さ、ポピュラー性がほんのりと表れている。つまり、これらの曲には強い芯がある一方で、それが親しみやすい形で提示されているのだ。きっと、これまで一度も聴いたことのない聞き手も十分に楽しませる何かがあるとおもう。

 

他にも、最初期のデモ・トラック集の時代を彷彿とさせる「Fire In The Driveway」をはじめ、「Following Eyes」は、グランジに近い堂々たるロックソング、ソフィー・アリソンのソングライティングの能力が最大限に発揮されたベッドルームポップの傑作のひとつであり、爽やか雰囲気をただよわせるソングトラックだ。それは去年のシングル「Rom Com」で証明していたことだが、やはり、このアーティストのサビを書く才能は、ずば抜けて高いように感じられる。

 

内面にわだかまる容易に振り払いがたい暗鬱さと悪魔性に真摯に向き合おうしたと話しているように、ソフィー・アリソンは、本作で次なる領域へと歩みを進める。ブラックサバスのゴシック、そしてPJ Harvey のようなトリップポップからの影響がこれまでの主要な方向性であった理解しやすいポップソングにセンスよく加味されたことにより、力強いコントラストを生み出している。さらに、「Sometime,Forever」に込められた明るさと暗さの鮮明な対比は、この作品の印象の強さを異質なほど高め、さらに作品自体に強い聴き応えをもたらしている。「Sometimes,Forever」は、一度聴いただけではなかなか容易には理解しがたい強固な概念ーGeistに彩られている。アルバムを聴くごとに、きっとこの音楽の持つ魅惑的な世界観が広がりを増していくと思われる。

 


85/100

 

 

 



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Soccer Mommy


Soccer Mommyのソフィー・アルソンは、近日発売となるアルバム「Sometimes, Forever」から4枚目の最後のシングル「New Demo」を公開しました。このアルバムは、プロデューサーにOneohtrix Point NeverのDaniel Lopatinを迎えて制作され、Soccer Mommyの感情豊かでパワフルなメロディック・インディーロックに、新たにアトモスフェリックでエピックな感性を加えている。


 この曲は、私たちが生きている悪夢のような時代をアリソンが冷静に判断している、ゴージャスなガッツポーズを誘う曲です。水っぽいアコースティックギターと迫り来るシンセサイザーの上で、彼女はほとんど間を置かずに歌い、「お金と欲」に支配された世界の不義を調査し、現在の不正と将来の運命からうまく目をそらすことが最善のシナリオであることを示します。彼女は何か良いことを伝えたいと願っているが、厳しい現実を否定することはできません。


 でも、夢とは闇の中の光にすぎない/あなたが叶えたいと願う嘘は何? このような状況において、"newdemo "というタイトルは完璧な意味を持ちます。この曲は、現代の生活のように、ありのままの姿であり、アリソンはそれをより受け入れやすくするために美化することを拒否しています。



さらに、アリソンは、「マジックセンスのない超鬱なものを作りたくなかった」と声明で説明しています。

 

「この曲が広大に感じられるように空間を使って遊んだから、"newdemo "はスタジオで大きく変身したんだ。この曲は、このアルバムの中で一番気に入っている曲の一つ。

 

 

 

 


アルバム発売前の最後のシングル「newdemo」は、これまでの『Sometimes, Forever』のシングル "Shotgun"、"Unholy Affliction"、"Bones "に続く。このレコード自体は、アリソンが2020年にリリースして高い評価を得た『color theory』に続く作品となる。


サッカー・マミーは、今年の夏から秋にかけて行われる大規模な(そして、巧妙なタイトルの)ツアー、Touring, Foreverで『Sometimes, Forever』をサポートする予定である。バンドは最近、「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」に出演し、今週の日曜日には、ニューヨークのGoverners Ballフェスティバルでライブストリーミングセットを演奏する予定です。




Soccer Mommy 「Sometimes, Forever」



Label: Loma Vista 

Release: 6/24 2022



Tracklisting
 

1.Bones

2.With U

3.Unholy Affliction

4.Shotgun

5.newdemo

6.Darkness Forever

7.Don't Ask Me

8.Fire in the Driveway

9.Following Eyes

10.Feel Ot All The Time

11.Still



 


新アルバム『Sometimes, Forever』を発表したサッカー・マミーは先行シングル「Shotgun」「Unholy Affliction」に続く三作目の先行シングルを公開しました。

 

「Bones」は、もともと彼女がロマンス映画のために書いた曲ですが、あまりに気に入ったので、提出せずにアルバムに残しておいたものです。"Bones "は、恋愛において自分の嫌な部分と格闘している歌なんだ」と、アリソンは説明する。"誰かのためにもっと良くなりたいのに、自分が邪魔をしているような気がする "っていう話です。


"Bones "は、『Her Smell』『Golden Exits』の監督でもあり、以前『Soccer Mommy』でもコラボしたAlex Ross Perryが制作を手掛けています。是非、下記よりご覧下さい。


 

 

ナッシュビル出身のシンガーソングライター、サッカー・マミーは、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーをプロデューサーに招いた新作アルバム「Sometimes,Forever」を6月24日にリリースする予定です。既に先行シングルとして「Shotgun」「Unholy Affivction」が公開されています。

 

4月25日の夜、サッカー・マミーは、ジミー・ファロンの「The TonightShow」に出演し、先行シングルの「Shotgun」を演奏し、ゲストとして期待以上の仕事を果たしています。これまで、サッカー・マミーのライブを見たことがある方なら、今回の「The Late Show」でのショーがどれほど素晴らしかったのかきっとお分かりになるでしょう。今回のスタジオライブセッションにおいて、サッカー・マミーは、他のインディーズバンドよりもファンに圧倒的な印象を与えることに成功したようです。今回のショースタジオは、セットが、それほど豪華ではなかったにもかかわらず、その場の雰囲気をこのアーティストらしいものに彩ってみせています。

 

「Shotgun」は、サッカー・マミーの初期の作品「Clean」の時代のベッドルームポップに近いアプローチが図られており、瞑想的で、アンニュイな雰囲気が漂う良質な楽曲です。 直近のファロンステージで彼女は、このシングル曲を見事に演奏しています。以下で、是非御覧ください。

 

 


アメリカのシンガーソングライター、サッカーマミーは、本日、ニューシングル「Unholy Affliction」を発表しました。

 

このシングルは、次作のスタジオアルバム「Sometimes,Forever」に収録予定で、最初の先行曲「Shotgun」に続いて、二作目の先行シングル曲となります。2020年の「Color Theory」に続く新作アルバム「Sometimes,Forever」は、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのダニエル・ロパティンがプロデュースを手掛けており、Loma Vistaから6月24日にリリースされる予定です。


 

 

 

Soccer Mommy 「Sometimes, Forever」



Label:Loma Vista 

Release:6/24 2022



Tracklist:
 

1.Bones

2.With U

3.Unholy Affliction

4.Shotgun

5.newdemo

6.Darkness Forever

7.Don't Ask Me

8.Fire in the Driveway

9.Following Eyes

10.Feel Ot All The Time

11.Still

アメリカのインディー・ロックシンガー、サッカー・マミーは、シングル「Rom Com 2004」、さらに、同シングルのリミックス版で、日本人シンガーを要するケロ・ケロ・ボニトとのコラボレートを行い、実験的なエレクトロニカとローファイの領域へ踏み入れ、画期的なアプローチを試みました。

 

今回、サッカー・マミーは、新作アルバム「Sometimes,Forever」のリリースを3月23日に発表しました。



 

新作アルバムは、アンビエントシーンで活躍するダニエル・ロパティン(ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー)がプロデュースを手掛け、6月24日にロマ・ビスタ経由でリリースされます。この発表に伴い、サッカー・マミーは恋愛にまつわるニューシングル「Shotgun」をリリースしました。

 

 サッカー・マミーとして知られるソフィー・アリソンは、プレスリリースにおいて以下のように述べています。

 

「ショットガンは恋に落ちる喜びがすべて。私は、それが誰かと固執する関係の小さな瞬間を捉えたかったんです」

 

「Sometimes,Forever」は、サッカーマミーの通算三作目のスタジオアルバム、2020年の「color theory」 のフォローアップとなります。今回のシングル「Shotgun」は、エフェクトがほどこされたドラム、サーフミュージックの雰囲気たっぷりのギターのフレーズが組み合わされ、アンニュイな作風に立ち返った作品。MVは、ケヴィン・ロンバルドが監督を担当しています。

 

 


 Soccer Mommy


Soccer Mommy


サッカー・マミーは、ソフィー・アリソンのソロ・プロジェクト。ライブパフォーマンスにおいてはサポートメンバーを交えて四人組ロックバンドの形態を取る。ソフィー・アリソンはスイス生まれで、その後、米、テネシー州ナッシュビルにて育つ。六歳の頃からギターを始め、ソングライティングに親しんだ。ナッシュビルの芸術学校に学び、ジャズのスイングバンドに属した。


ソフィー・アリソンは、その後、ニューヨーク大学に進学、音楽ビジネスを中心に専攻するが、在学中、ベッドルームポップ、宅録プロジェクトを立ち上げて、サッカー・マミーとしてバンド活動開始する。2015年から、WEB上のインディーズ音楽視聴サイト、BandCamp上で楽曲の発表を行い、後に「Collection」として収録される楽曲をインターネット上で展開させていく。


大学在学中、サッカー・マミーとしての最初のギグをNYブルックリン区のブッシュウィックにて行う。その後、故郷ナッシュビルに戻り、サッカー・マミーとしての活動を本格的に開始する。2016年には、ベッドルームポップシーンを牽引するNYのインディーレーベル、”Orchid Tapes”から「For Young Heart」をリリース。


その後、デビュー・アルバム「Clean」2017をFat Possum Recordから発表する。これまで、カルフォルニア州インディオで二週間に渡って行われる野外音楽フェスティヴァル”Coachella”、そして、スペイン、バルセロナにて年一度開催される十万人規模の音楽フェスティヴァル”Primavera Sound”に出演し、サッカーマミーは着実にインディー・ロックアーティストとして知名度を高めていく。


これまでMitski,Jay Som,Slowdive,Frankie Cosmos,Phair Phebe Bridgersらと共演している。また、追記として、今年には、イギリスのテクノポップトリオ、Kero Kero Bonito(フロントマンは日本人)とコラボ作品「Rom Com 2021」をリリースしている。


その音楽性は、ローファイ、インディー・ポップ寄りのカテゴリに属する。親しみやすい楽曲が多い。Garaxie 500、Guide By Voices,Superchunk、Pavementといった80、90年代のアメリカの良きインディー・ロックバンドの趣向性を彷彿とさせ、またそこに、クレイロのような現代的なベッドルーム・ポップの音楽性も持ち合わせている。特に、「For Young Hearts」「Clean」はローファイの良作といえ、アメリカのインディーロックバンドの音楽性を思い起こさせる。


Fender社のムスタングを介してのギターの音色作りは職人的であり、穏やかで心地よい音色に重点を置く。スコットランドのバンド、The Pastelsの方向性に近い温和な雰囲気が感じられ、ネオアコ、ギターポップバンドとの共通点も見いだされるはずである。

 

 

1.「For Young Hearts」 2016

 


デジタル、カセット形式でリリースされた「For Young Heart」」はベッドルームポップとして聴くことも出来なくないものの、彼女の実質的なデビュー作にして最良のローファイ作品として挙げても良いはず。


ここではアメリカのインディー・ロック、カレッジ・ロックの系譜、それを見事に受け継いでおり、上記したように、Garaxie 500、Superchunkを彷彿とさせるような穏やかなギターロックを堪能できる。後の作品に比べると、こじんまりとしているようにも思えるが、特にメロディー面でのソングライティングの才覚は他のアーティストに比べて頭ひとつ抜きん出ている。テネシーの雄大な自然を思わせるような穏やかで和やかな良質なギターロックで、そこにまた内省的な詩情を漂わせる。つまり、今作はギターを介しての詩的表現ともいえる。


こういった音楽性は、実のところ、80、90年代のアメリカのインディー・シーンにはありふれていたはずなのに、2000年代から、ぱたりと途絶えていったような印象を受けなくもない。しかし、サッカー・マミーは、音楽フリークとして、その80、90年代のアメリカンインディーの旨味を巧みに抽出し、宅録、ベッドルームポップとして2010年の時代に見事にリバイバルさせている。


今作「For Young Heart」は、以後の作品と比べ、大げさな感じや派手さはない。しかし、音楽性においては純朴で良質なのである。この作品に収録されている多くの楽曲では、メロディーやフレーズの中には音楽フリークとしての深い矜持が滲んでいるように思え、サッカー・マミーという表向きのキャラクターの印象とはまた異なり、硬派な音楽家としての佇まいが感じられる。アルバム作品の最初を美しく彩る「Henry」をはじめ、どことなく切ない質感に彩られた叙情的な楽曲で埋め尽くされている。


これはエモという類型的な言葉で言い表し難いなにかで、詩的なテネシーの大自然への慕情が現れた新しい時代のフォーク音楽といえるかもしれない。本作「For Young Heart」は、アメリカらしいインディー・ロックの醍醐味の旨味が凝縮されていると言っておきたい。特に、この音源で見られるFender、ジャズマスター、ムスタングらしいプリミティヴな音の質感は本当にグレイト!!


 

2.「Collection」 2017



一作目「For Young Heart」の後に、WEB上の音楽配信サイトBandCampで最初に発表を行っていた最初期の音源をコレクションとして集めた作品。ファットボッサムレコードからリリースされている。


もちろん、これらの作品の多くはニューヨーク大学の在学中に録音された宅録作品ともえいるが、そういったデビュー前のレア・トラックスという先入観を持って聴くと、完全に実際の楽曲の良さに面食らうはずである。音楽の方向性は「For Young Heart」と通じるものがあり、インディーロック、あるいはネオアコにも近い音楽性である。どことなくひねくれたようなポップセンスが加わっている辺り、オルタナティヴロックとして聴くことも出来なくもない。


特に、朗らかな印象のある「For Young Heart」と比べると、より内省的な雰囲気を持ったセンチメンタルな楽曲が多く見受けられるように思え、独特な行き場の見つからない揺れ動くような心情がギターロックとして描かれた作品。最初の方向性としてはベッドルームポップを志していた雰囲気。


後に若干の音楽上にモデルチェンジを果たすサッカー・マミーであるが、この作品は、彼女のデビュー前のレア・トラックとしてのみならず、その音楽性のルーツが伺える快作。この「Collection」の中では「Allison」「3AM at a Party」の出来が際立っているように思える。ここに垣間見える女性的な内向性は切なげな爽やかさに彩られている。


3.「Clean」 2018


本作は、ミシシッピのファットボッサムレコードからリリースされたサッカー・マミーの正式なデビュー作。


ここでは上記の二作品と比べ、プロダクションとしての音楽性に重点が置かれている。つまり、聴き応えがある作品に仕上がったと言うべきか、エフェクトにしてもマスタリング処理にしても現代のアメリカのポップスの王道を行くようなスタイリッシュでクールな雰囲気を漂わせている。 


最初期の作品の中では、このデビュー作がポピュラー音楽性が強く、ローファイ色は他の作品に比してちょっとだけ薄められている。しかし、最初期のサッカー・マミーらしいローファイな音楽性が消えているわけではない。たとえば、リードトラックの「Still Clean」は、よりマーケティングを意識した楽曲でありながら、素朴なインディーロックシンガーとしての音楽性が伺える。

最初期のインディー・フォークとしての最初の集大成が「Blossom(Wasting All Time)」で既に表れ出ており、ニューヨークの都会性、テネシーの自然性、この二つの大きく隔たった土地の間を常に揺れ動くかのような楽曲で、雄大な自然を思わせる楽曲があったかと思えば、「Your Dog」に代表されるように、InterpolのようないかにもNY的な雰囲気を持つコアな楽曲も収録されている。


エレクトリック、そして、アコースティックギターの双方が楽曲中には主に取り入れられており、アメリカのインディーロックの王道を行く作風といえるかもしれない。マスタリングにおいて深くディレイエフェクトを掛けたりと、独特なサウンド処理も伺え、音楽上の実験性も少なからず込められている。特にシンガーとしてのサッカーマミーの魅力が最もつかみやすい作品といえ、特に、ヴィブラートの高音部において、他のシンガーと違う独特なギューンという伸び方をするのがこのサッカー・マミーのシンガーとしての声質の最大の魅力のように思える。


「Color Theory」2020


アメリカの主要な音楽メディアでも大きく取り上げられた「Color Theory」はこれまでの内向きなエネルギーを外側に転換してみせた作品。ソングライティングの面では、よりこのアーティストらしい独特な個性が滲み出ている。一曲の中で、ドラッギーというべきなのか、普通では考えられないようなエフェクトを施し、楽曲の中にキラーチューンとして多次元性をもたらしている。 

初めてこの作品を聴くと、驚く場合もあるかもしれない。しかし、最初期からのポップセンス、メロディーセンスは健在、いや、さらに磨きがかけられ、作曲面でも洗練された印象である。もちろん、その洗練性がこのアーティストの個性を帳消しにしたわけではなく、楽曲面での親しみやすさ、深みがましただけにすぎない。特に、歌手としての才覚は以前よりはるかに魅力的なものが感じられ、ビックアーティストへの道のりを歩みだしたという雰囲気も伺える。


このスタジオアルバムに表されている楽曲の性質は、ややもすると、以前、誰かしらが書いてきたものなのかもしれない。しかし、それは新しくこの秀逸なソングライターの手によりアップデートされている。今作は、2020年のインディー・ロックという音楽の歩みを一歩先に進めた革新性に溢れた楽曲ばかり。往年のポピュラー音楽と未来のポピュラー音楽を、サッカーマミーは今作を起点として、希望に満ち溢れた橋を架けるような役割をはたしているように思える。


「rom com 2004ーsingle」


そして、 もう一作ぜひとも紹介しておきたいのがシングル「rom com 2004-single」である。 これはJapanese Breakfastがゲーム・サントラを手掛けたのと関連があるのかまでは定かでないものの、特に、PVが8ビットの古いドットゲームのようなコンセプトで制作されたユニークなシングル作品。


少し、ゲーム音楽をモチーフにした電子音楽のひとつチップチューンに対する果敢なアプローチを感じるユニークなリリースといえるかもしれないが、凄くシンプルな楽曲ではあるものの、サッカー・マミーのポップセンスの敏腕性が感じられる超がつくほどの快作。


独特なドラッギーな感覚として描かれる多次元性というのもこのミュージシャンの大きな魅力、それは、少し妙な喩えかも知れないが、ケンドリック・ラマーのトラックメイクにも比する痛快なぶっ飛び具合なのである。


最後に、もちろん言うまでもなく、ポップソングを書く技術にかけて、サッカー・マミーは並み居るインディーロックアーティストの中で秀抜しており、これからどのような楽曲をリリースしてくれるのか、たのしみで仕方がないシンガーソングライターであることに変わりないように思える。もちろん、後にリミックスとしてリリースされた日本人女性シンガー擁するイギリスのポップ・トリオ、Kero Kero Bonitoとのコラボ作「rom com2021」も注目したい作品である。

 

 

References

 

Virgin MUSIC carolineinternational.jp

https://carolineinternational.jp/soccer-mommy/soccer-mommy/

last.fm  

https://www.last.fm/music/Soccer%20Mommy