New Album Review  without 「Be Corny」

 without 「Be Corny」

 

 



 Label: Raft Records 

 Release: 2022年6月15日 


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withoutは、横浜のエモ/メロディックパンクバンドで、大学の軽音楽部出身の四人で結成された。


withoutは、特に、東京、八王子の伝説的なエモーショナル・ハードコアバンド、Malegoatの系譜を受け継いでいるグループのように思われる。(Malegoatは、アメリカのインディーエモシーンと深い関係を持ってきたバンドで、2010年代にAlgernon Cadwallderとのアメリカツアーを行い、さらにempire! empire!とのスピリットCDもリリースしている)実際、アルバムの録音は、Malegoatのレコーディングを手掛けた林が担当し、アートワークについては、たざきかなりが手がけているという。

 

withoutの実際のサウンドについては、アメリカのインディー・エモに対する親しみが込められている。ペンシルバニアのsnowing、フランスのエモバンド、sport、ニューハンプシャーのperspective,a lovely Hand to Hold,カルフォルニアのOrigami Angel、マイルドなところでいえば、Oso Osoの音楽性を彷彿とさせる。これらのバンドのファンにはきっと願ってもない良盤になると思われる。

 

疾走感のあるスピードチューン、無骨さのあるサウンド、シンプルなコード進行、ギターの技巧的なアルペジオ、そして、激情系のエモーション、これらが相まって生み出されるwithoutのバンドサウンドは、上記のバンドに比べて遜色がないどころか、 インディーエモの醍醐味であるせつなさという側面で、上回っている部分もある。本作に記録されている、英語と日本語の混交によるライブサウンドは、スタジオ・セッションで生み出されてきたのではなくて、数々のライブハウスでの出演経験を積み重ねるごとに、必然的にそうなっていったものなのだ。

 

withoutの音楽は、生きているがゆえ、力強い。東京であれ、横浜であれ、その土地土地の独特な空気感を音に染み込ませているからだ。これらは、バンドとして活動していく上で、メンバー間の人間関係の深さ、長く人生を共に過ごした時間が、この四人だけにしか紡ぎ得ない感情の機微として現れ、さらに最終的には、特異なエモーショナルを必然的に生み出す。それは、スタジオセッション形態のバンドには作り得ない、味わい深いライブサウンドでもある。


「Be Corny」は、2022年現在の横浜や東京に点在する小さなライブハウスのスピーカーやモニターから流れている音楽を反映している。だからこそ、貴重であるし、聴き応えがある。「Be Corny」に記録された音は、そこに生きていて、流動的でもあるのだ。

 


Critical Rating:

78/100

 


 

 

 

 

Tower Records Online:   https://tower.jp/item/5452330/Be-Corny

 

diskunion:  https://diskunion.net/punk/ct/detail/1008491879