ニューヨークの伝説的なレコードショップを追ったドキュメンタリー「Other Music」が9月10日から日本全国でロードショー

 




 

このレコードショップ「Other Music」をよく知る The NationalのMatt Berninger(マシュー・バーニンガー)は、アメリカ、メキシコ、カナダ、南アフリカ、日本でも公開されるこのドキュメンタリー映画「Other Music」の中で、「私はレコードショップのキュレーターが好きだ」と語っている。

 

"全てを調べ上げ、小さな"カード"に100の言葉を書き、それが陳列棚に貼り付けられたままであることを入念に確認する情熱的な人たち"と彼はこのレコードショップの店員を手放しで賞賛している。1995年から2016年まで営業していたニューヨークの名物レコードショップ、『アザー・ミュージック』におけるそれらの小さなカードにまつわる記憶は、多くのことを意味していた。ザ・ナショナルのマシュー・バーニンガーは、"マーキュリー・ラウンジでの最初のライヴや、レコードショップ、アザー・ミュージックで初めてカードをもらったとき、「俺のバンドは本物だ」という感じだった "と、感慨深く回想しているのだ。


2016年春、レコードショップ、Other Musicが長い歴史を経て、6月25日に閉店することを正式に発表したとき、それはニューヨークのひとつの時代の終わりを告げるものだった。映像作家のPuloma BasuとRobert Hatch-Millerは、この店の最後の週を映像ドキュメンタリーとして克明に記録していた。

 

ニューヨークきっての名物レコード店の閉店。それから、約4年が経過し、遂にドキュメンタリーフィルム「Other Music」が世界のスクリーンで上映されることになった。

 

このドキュメンタリーは、レコードショップの文化、NYCの過ぎ去った時代、特に、W.4thストリートの小店舗へのささやかなラブレターになっている。デペッシュ・モードのマーティン・ゴアは、「1平方メートルあたり、私が行ったことのある世界中のどのレコード店よりも興味深い価値があっただろう」と感慨深く語っている。


『Other Music』には、ニューヨークにゆかりのあるバンド、ミュージシャンが数多く参加している。

 

Le TigreのJD Samson、James Chance、InterpolのDaniel Kessler、Yeah Yeah YeahsのBrian Chase、Vampire WeekendのEzra Koenig、Magnetic FieldsのStephin Merritt、TV on the RadioのTunde Adebimpe、MogwaiのStuart Braithwaite、Dean Wareham(Galaxie500/Luna)、そして、俳優Jason SchwartzmanとBenicio Del Toroをはじめ、このドキュメンタリーフィルムの中で、多数のアーティストがインタビューを受けている。

 

しかし、映像の多くは、オーナーのクリス・ヴァンダールーやジョシュ・マデル、そして、何年も店に残った多くの店員たち、スタッフに賛辞がわりとして捧げられている。およそ21年の歴史の中で、アザーミュージックで過ごした人なら、一度は「そうそう、あの人だ!」と言うかも知れない。


そのスタッフの中には、アニマル・コレクティヴのノア・レノックス(パンダ・ベア)とデヴィッド・ポートナー(エイヴィー・テア)のように、自分たちのグループが有名になる以前の駆け出しだった頃この店で働き、例えば、アンチポップ・コンソーティアムのビーンズは、自分の好きな音楽を客に押し付けることをためらわなかったという。

 

「お客さんが何に夢中になっていると言っても、"新しいアンティポップ・コンソーティアムをチェックしたかい?"と言うんだ」とジョッシュ・マデルは、回想している。インターポールやヴァンパイア・ウィークエンドは、契約する前にこの店で初期のEPを販売していた。その中でも最も注目すべきは、ウィリアム・バシンスキーが挙げられるだろう。彼は、9.11に触発された『The Disintegration Loops』が、その成功の多くをOther Musicに負っていることを語っている。


この映画は、ヴァンダールー、マデル、ジェフ・ギブソンの3人がブリーカーのキムズ・アンダーグラウンドで働いていたとき、自分たちの店を開くことを決意し、ニューヨーク最大のレコード店の1つであるタワーレコードの向かいに、アザーミュージックをオープンする(これは結果的に彼らの素晴らしい行動だった)、9月11日とその直後に起こったニューヨークのロックルネッサンス、そして、この店が短期間で参入したMP3とストリーミング・サービス時代、さらに、それが結局閉店への大きな一歩となるまで、店の歴史全体を追っていくという内容である。映画のクライマックスは、レコード店の営業最終日と、オノ・ヨーコ、ヨ・ラ・テンゴ、ビル・キャラハンなどが出演する「Other Music Forever」コンサートのためにバワリー・ボールルームへ向かう祝賀「セカンドライン」パレード(マタナ・ロバーツ、ジェイミー・ブランチ、アダム・シャッツなど)を取り上げている。


「アザー・ミュージック」のドキュメンタリーは、本来ならば、2020年のレコード・ストア・デイ(4/18)のタイミングに合わせて公開される予定だったが、コロナウィルスの影響でRSDが6月20日に延期され、映画館が軒並み閉店してしまったため、4月17日から20日まで短期間のデジタルリリースとなり、レンタル料の売り上げはコロナウィルスの流行で財政難にある世界中の地元の独立系レコード店に寄付されたという。


「アザー・ミュージック」のドキュメンタリー・フィルムの予告編は下記よりお楽しみください。


日本では、9月10日からイメージフォーラムほかで放映され、その後、全国で順次公開されます。日本人としては、現地のレーベルにゆかりを持つ小山田圭吾、坂本慎太郎らが出演しています。詳細はこちらからどうぞ。


   

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