Paramore、6年の沈黙を破り、ニューアルバム『This Is Why』を発売

 

Paramore


およそ6年間の沈黙を破り、Paramoreはニューアルバム『This Is Why』を発売した。今作は多くのレビュアーから好意的に迎え入れられ、さらにNMEをはじめ各紙のカバーを飾っている。間違いなく今週の話題作の一つ。


6枚目のアルバム『This Is Why』はトリオの復活作となる。アルバムをリリースし、熱狂的なツアーを行う。そして、今後、パラモアはキャリア最大のライブを予定している。春のツアーでは、マディソン・スクエア・ガーデンでの連続公演、ボナルー、ボストン・コーリング、ニュージャージー州アトランティック・シティで開催されるアジャスト・フェスティバルでトップ・ライナーの座を獲得し、来月フェニックスで行われる米国の大人気シンガー、テイラー・スウィフトの大規模なツアーのオープニングを飾る予定であることは言うまでもありません。


ボーカルのウィリアムズ、ギタリストのテイラー・ヨーク、ドラマーのザック・ファロは、彼らのキャリアの中で最も注目を集めるツアーに乗り出す準備をしていますが、バンドは2月10日にリリースされた、主題が明らかに私生活にまつわるものであろうとも、熱烈なロック精神を盛り上げる推進力のある新曲を提供してくれている。週末に盛り上がりたい、そんな欲求を抱えるリスナーにとっては願ってもないリリースとなる。バンドの6thアルバムからの最初の4曲はすべて、34歳のウィリアムズが改心したホームドクターとして、パンデミックの眠りから覚めて、彼女が去ったときよりもいくらか悪化した世界に現れるという興味深い内容になっています。


『This Is Why』は現代社会についてセンセーショナルに書かれた曲が多い。タイトル曲の「This is why」では、インターネット/ソーシャルメディア文化の息苦しさや、浴びせられる中傷について嘆きながら、苛立ちの声を上げている。「意見があるならそれを押し通すべき」と歌う。ウィリアムズの怒りと苛立ちを表現したリードシングルは、Paramoreの先行アルバム『After Laughter』のダンスファンクにエッジを加えることに成功しており、多くの人の共感を呼ぶ内容となっている。


これらのキャッチーなロックソングの中にあって、「The News」は異彩を放っている。ポストパンクの個性を維持し、24時間続くニュース・サイクルを非難している。ウィリアムズはこれを「搾取的、演出的、そしてそのほとんど分かっていない」と一刀両断し、さらに鋭く言及し、「コンピューターの背後では役に立たない気がする」ことを歌っている。また、この曲は、Paramoreの次のツアーのオープニングを飾るBloc Partyのデビュー当時の音楽性に影響を受けていて、リスナーの心をドギマギさせるのである。「この曲は、 "Because I Got High "の続編とでも言うべきもので、時間を遵守することを嫌う人たちのためのアンセムだ」という。


序盤の最後を飾る「C'est Comme Ça」(フランス語で「あるがまま」の意)では、ウィリアムズは何らかのエスプリを込めており、辛辣で自虐的なニュアンスを目眩く様に展開させる。「1年で100歳も老けた/私の社会生活、カイロプラクティックの予約」と私生活について赤裸々に告白している。この曲は、老獪な歌詞とハイテンポなコーラスの対照性が痛快で、また、マイ・ケミカル・ロマンスの "Na Na Na (Na Na Na Na)" を思わせる "Na Na Na "のボーカルの掛け合いも効果抜群である。


これらの曲は核心を捉えたかと思うと、あっという間に過ぎ去っていくが、Paramoreの新作アルバムの中盤以降は、現代人としての日常的な告白に加えて、より思弁的な内容が強められる。ウィリアムズは、日常性を超えて、バンドのレコードの一貫したテーマである権力に対するしたたかな反抗を促す。「Big Man, Little Dignity」は繊細で、バスクラリネットとフルートがTame Impalaのような華やかさを醸し出している。しかし、「You First」と 「Figure 8」の轟音ディストーション、高鳴るフック、そして「カルマはすべて我々に巡ってくる/私は彼女があなたを迎えに来ることを望んでいる」と嘆くウィリアムスの強い精神性が表れ出ている。


「Liar」は、パラモアお約束のバラードソングで映画のような壮大さと悲しみを巧みに表現しようとしている。長年のファンにとっては、2008年のヒット曲「Decode」に似たリフに親しみを覚えるはずである。ウィリアムズの "壊れかけの磁石......壊れかけの人に惹かれる"という静かな瞑想から始まるこの曲は、アリーナのステージでのパフォーマンスに沿った内容となっている。


このプロジェクトは怒りやいらだちを中心に展開されているが、どことなく人間味にあふれていて、それが共感を誘う。またパラモアの音楽は享楽性に根ざしているが、そこには楽しみに溢れたパーティーの後に訪れる何らかの虚脱や悲哀もある。とっつきやすさを用意するとともに奥行きを持ち合わせたアルバムであることは疑いがない。近年、Paramoreがこれほどまでプロダクションに奥行きを与え、さらに、ウィリアムズがクールに音を奏でたことはなかったように思われる。また、快適なポップ性とそれと対比的な尖ったロック性をこれほどバランス良く操るバンドは他を探してもなかなか見当たらない。『This Is Why』はパラモアらしさが十分に引き出された快作といえるでしょうか。今週最も注目すべき新作の一つとしてご紹介しておきます。

 

パラモアの待望のニューアルバム『This Is Why』は2月10日に発売。

 

Big Man, Little Dignity」

0 comments:

コメントを投稿