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テネシー/ナッシュビルのシンガーソングライター、マリッサ・ナドラー(Marissa Nadler)はモノトーンのアルバムを発表しつつづけ、ゴシック的な世界観とフォークミュージックのセンスを融合させてきた。
ニューシングル「Hachet Man」は、Sacrd Bones/Bella Unionから発売予定の新作アルバム『New Radiations』の2ndシングルで、アコースティックギターに物憂げで切ない歌声を乗せている。このアルバムのテーマである幻想的な音楽性を垣間見ることが出来る。
このアルバムはリードシングルに見いだせるようなフォークを基調としたポップソングを中心に構成されているが、その荒唐無稽とも呼ぶべきイマジネーションがアルバムの核心には存在する。空飛ぶセスナ機、宇宙船、逃走用の車、そして異次元の世界.......。 甘くキャッチーなメロディーとダークで直感的な歌詞のコントラスト。 一人称の物語から歌おうが、他の人々とチャネリングしようが、このアルバムは愛と喪失の普遍性を重厚さと共感をもって表現している。
『New Radiations』はナドラー自身がプロデュースし、ランダル・ダン(Earth、Sunn O)))がミックスした。長年のコラボレーターであるミルキー・バージェスによる繊細なアレンジが特徴で、ウージーなスライド・ギター、催眠術のようなシンセサイザー、硬質なリフが印象的だ。
ジャンルにとらわれない彼女らしいこのアルバムは、世界のノイズを一瞬の美しさと荘厳さで凍りつかせる。 マリッサ・ナドラーの唯一無二のビジョンと芸術性の証であり、キャリアのハイライトである。
「Hachet Man」