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Cigarette After Sexは、2010年代のオルタナティヴロックが盛んな時代に、最も個性的な音楽性と美学を掲げて登場し、アンダーグランドでありながら知る人ぞ知る存在となった。これまでリリースした作品のジャケットはモノトーンに縁取られ、ゴシック的な雰囲気とドリーム・ポップに属する夢想的なロック/ポップソングの果てしない音像が多くのファンを魅了してきた。実際のところ、私もまた、このアーティストにかつて強く惹きつけられた一人であった。
今週、シガレッツ・アフター・セックスが、2024年に絶賛されたアルバム『X's』以来の初リリースとなる、彼らの未来と過去を同時に示す2曲をリリースして復帰を果たした。B面シングルとして公開された、ロシアの文豪、レフ・トルストイの名作に因んだ「Anna Karelina」は、官能的で、ゆっくりと燃え上がる、感情が過剰に膨らんだ、まさにシガレッツらしい楽曲である。
告白的な歌詞は、時に度を越すほどである。グレッグ・ゴンザレスの世界に新たな次元を加えたのは、スポークンワードの詩句の採用だ。これによりバンドの親密な表現の幅が広がった。コーラス(「『アンナ・カレーニナ』の結末で泣いた、彼女が列車に身を投げたあの場面で」)は、おそらくこれまでで最もシガレッツ・アフター・セックスらしい歌詞と言えるだろう。
A面は長年噂されていたファン待望の楽曲がついにリリースされる。LAロックの立役者、ジム・モリソン率いるドアーズの「The Crystal Ship」をバンド特有の霞がかったサウンドで美しく忠実にカバーした作品だ。ジム・モリソンのロマンティックな宿命論がこれほどまでに馴染んだことはかつてない。
「Anna Karelina」
「The Crystal Ship」- The Doors Cover





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