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Jordana 『Lively Promotion』

 

Label: Grand Dury

Release: 2024年10月18日

 

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Review


Jay Som、Clairo、Faye Websterを始めとするベッドルームポップシーンの注目アーティストとして登場したジョーダナの最新作『Lively Promotion』は、プレスリリースで示されている通り、ドナルド・フェイゲン、キャロル・キング、ママス&ザ・パパス等、70、80年代のポピュラーソングを思い起こさせる。"ベッドルームポップ"と称される一連の歌手の多くの場合と同じように、このジャンルの可能性を敷衍する。もちろん、「カメレオン」と自らの音楽性について述べるジョーダナのソングライターとしてステップアップしたことをを示唆しているのではないか。要は、普遍的なポピュラー性が今作において追求されていて、この点が音楽そのものに聞きやすさをもたらし、幅広い年代に支持されるような作品に仕上がった理由なのだろうか。

 

また、80年代のディスコサウンドからの影響も含まれていて、アースウインド&ファイアの系譜にあるR&B性も反映されている。もちろん、フォーク・ミュージックをモダンな印象で縁取ったバイオリンの演奏もその一環と言える。これらの音楽的な広がりは、曲の中で断片的に示唆されるというより、ソングライティングの全般的に滲出しており、作曲全般の形式そのものが変容したことを表す。ケイト・ボリンジャーのデビュー作と同様、若い年代のシンガーの音楽観には、世代を越えた音楽を追求していこうという姿勢やポピュラー音楽の醍醐味を抽出しようという考えが垣間見えるような気がした。もちろん、ジョーダナの場合はどことなく穏やかで開けたポピュラーサウンドを通して。このことは、ベッドルームポップというZ世代の象徴的なサウンドが2020年代中盤に入り、形質を変化させつつある傾向を見出すことが出来る。そしてこのアルバムでは、演奏や作曲を問わず、音楽自体の楽しさを追求しているらしい。


オープニングを飾る「We Get By」には、心を絆すようなギターサウンドが登場する。ディスコファンクを反映させたベース、そして遊び心のあるヴァイオリンのパッセージが音楽全体の楽しさを引き立てる。その中で開放的な感覚のあるコーラスやサクソフォンの音色が音楽全般にバリエーションを付与している。おそらく、単一の音楽にこだわらないスタンスが開放的な感覚のあるポピュラーソングを生み出す契機になったのだろう。さらに、アルバムのハイライト曲「Like A Dog」は、チェンバーポップの規則的なリズムを反映させて、口当たりの良いポップソングを提供している。しかし、曲全般の構成や旋律進行は結構凝っていて、ファンクやR&Bのバンドスタイルを受け継いでいるため、多角的なサウンドが敷き詰められている。これが曲そのものに説得力を与えるし、表面的なサウンドに渋さを付与している。また、音感が素晴らしくて、サビの前のブリッジの移調を含め、ソングライティングの質はきわめて高い。シンガーソングライターのカラフルな印象を持つポップソングを心ゆくまで楽しむことができるはずだ。

 

以降、本作はカントリー/フォークやバラードに依拠したサウンドに舵を取る。「Heart You Gold」は三拍子のワルツのリズムを取り入れて、ビートルズの系譜にあるナンバーを書いている。しかし、曲の途中ではその印象が大きく覆り、ビリー・ジョエル風の落ち着いたピアノバラードへと変化する。このあたりには音楽的な知識の蓄積が感じ取られるが、全般的には、インディーポップという現代的なソングライティングのスタイルに縁取られていることが分かる。

 

続く「This Is How I Know」は、キャロル・キングを彷彿とさせる穏やかな一曲。そして前の曲と同じように、カントリーを反映させた作曲と巧みなバンドアンサンブルの魅力が光る。これらのポピュラーソングには、ダンスミュージック、ファンク、R&Bなどの要素を散りばめ、Wham!の代表的なヒットソングのような掴みがある。決めを意識したアコースティックギター、コーラスワークが、80年代のMTVの全盛期のポピュラー時代の温和な音楽性を呼び起こす。

 

その後も、音楽性を選ばず、多彩なジャンルが展開される。「Multitude of Mystery」では、スポークンワードの対話をサンプリングしている。そして、ヒップホップというよりも、ジャネット、ベンソン、ワンダーの時代のファンクサウンドを参考にし、80年代のAORに近い音楽性を選んでいる。しかし、これらが単にリバイバルなのかといえば、そうとも言いがたい。表面的には、テンプルマンやパラディーノに近いモダンなポピュラーサウンドが際立つが、アーバン・コンテンポラリーのリバイバルを越えた未知の可能性が示唆されている用に思える。

 

イギリスではディスコリバイバルやその未来形のサウンドが盛んだが、ジョーダナはこれらのミラーボールディスコの要素を巧みに自らのフィールドにたぐり寄せる。「Raver Girl」では、70年代から80年代のファンクソウルを反映させ、それをフェイ・ウェブスターと同様にベッドルームポップと組み合わせている。

 

ただ、レコーディングでは、すでにスタジオのバンドサウンドが完成されているので、これをベッドルームポップと呼ぶのは適切ではないかもしれない。寝室のポップは、過去の音楽になりつつあるのだ。そして、同時に、ファンクとポップをクロスオーバした形は、アナクロニズムに堕することなく、新鮮な印象を持って聴覚を捉えることがある。続く「Wrong Love」でも、基本的にはベッドルームポップが下地になっていると思われるが、アースウインド&ファイアの系譜にあるディスコファンクが織り込まれていることが音楽そのものに快活味をもたらす。

 

このアルバムは、カントリー/フォーク、ディスコファンク、ポピュラーという三つの入り口を通して広がりを増してゆく。そしてアルバムのクライマックスでは、幾つもの要素を融合させたような音楽性が展開される。「Anything For You」ではセンチメンタルな印象を持つオルタナティヴフォーク、続いて、「The One I Know」では南部のカントリーの性質が強まる。上記の二曲にはイメージの換気力があり、ミュージックビデオに見出せるような草原の風景を呼び覚ます。そして、この作品の全般的な印象に、癒やしのような穏やかな情感をもたらすことがある。

 

アルバムの曲は一つずつ丹念に組み上げられてゆくような感覚がある。そして複数のジャンルや年代を越えたポピュラーが重なり合うようにして、本作『Lively Promotion』の音楽は成立している。このアルバムは表向きに聴こえるよりも奥深い音楽性が含まれ、それはアーティストの文化観が力強く反映されているともいえる。アルバムのクローズ「Your Story’s End」 は、キャロル・キングを彷彿とさせる美しくもはかないバラードソングである。音楽というものは、数十年では著しく変化しない。形こそ違えど、その本質はいつも同じなのもしれない。また、もしかすると、「カメレオン」というのは”ジョーダナ”としての音楽性の幅広さを言うだけにとどまらず、自分の憧れの姿になりきれるということを暗に示しているのではないだろうか。

 

 

 

84/100

 

 

 

「Like A Dog」

 

©Ax


Sorryがニューシングル「Waxwing」をドミノ・レコーディングから発表した。多彩なルースターを誇るドミノのオルタナティヴポップ・バンド。

 

ロンドンを拠点とするこのグループにとって、2022年10月にアルバム『Anywhere But Here』をリリースして以来の新曲。FLASHAが監督とプロデュースを手がけたこの新曲は、以下のビデオでチェックできる。


「Waxwing」は、ティーン・ポップ・センセーション、トニ・バジルの「Hey Mickey」を補間している。バンドのアーシャ・ロレンツはこう語っている。

 

「ミッキーは欲望?ミッキーは爆弾?ミッキーは私をお金にする? ミッキーが私の歌を作る?ミッキーが詩を作ってくれる?ミッキーは麻薬? ミッキーが嘘つき? ミッキーは愛?  ミッキーは欲望?」

 

 

 「Waxwing」

Letting Up Despite Great Faults  『Reveries』 

 

Label: P-VINE

Release: 2024年10月11日

 

Review

 

テキサス/オースティンを拠点に活動するLetting Up Despite Great Faultsは、5回の来日公演を実現させているドリーム・ポップ/シューゲイズバンド。タヌキチャンがバンドを組んだら、と思わせるようなグループである。すでに音楽ファンが指摘している通り、エレクトロニックとドリーム・ポップの融合を図るバンドである。彼らは、近年、さらにK-POPの音楽性を組み合わせて、ポップとロックの中間にあるアンビバレントな作風に取り組んでいるところだ。

 

『Reveries』は、ドリームポップ・ファンとしてはぜひともチェックしておきたい佳作である。ミックスにベッドルームポップの象徴的な存在で、カナダのLiving Hourの最新作にも参加しているJay Som、マスタリングには、Slowdiveのドラマー、Simon Scottを迎えて制作された。コラボレーターにも注目で、3曲目の収録曲「Color Filter」では、LAで注目を集めるシューゲイズ・バンド、”Soft Blue Shimmer”からMeredith Ramondをゲストヴォーカルに迎えた。インディーポップやシューゲイズ・リスナーにはたまらないメンバーが参加した作品。

 

夢想的で甘口のメロディーを武器に、チルウェイブ、ヨットロックのような気安さが漂うのはテキサスのバンドならではといえる。フェーダー、ディレイを掛けたスタンダードなシューゲイズサウンドを聴くことが出来るが、基本的には苛烈な轟音になることはない。ギターサウンドはライトなポップの範疇にあり、それがバンドの音楽に近づきやすい印象をもたらす。アルバムの冒頭「Powder」では、テクノとドリーム・ポップの融合に取り組んでいる。特に、ゲーム音楽から発展したチップチューン、ポップのクロスオーバーは、フレッシュな感覚をもたらす。

 

Letting Up Despite Great Faultsは『Reveries』において、メロディーやハーモニーの側面でバンドとして素晴らしい連携を示し、各々のセンスを上手く発揮している。「Dress」は、抽象的なギター、ベースがボーカルの夢想的な感覚と重なりながら、DIIV、Slowdiveの系譜にある艷やかなハーモニーを形成する。この曲はアルバムの序盤のハイライトとして楽しめるはず。アルバムの序盤から中盤に掛けて、このアルバムはより深い幽玄なドリームポップの領域に入り込む。「Emboidered」ではニューロマンティックの系譜にあるサウンドへと近づいていく。

 

また、バンドの音楽は2010年代のキャプチャードトラック周辺のサウンドの影響を感じさせ、それはサーフロックやヨットロックのような旧来のサウンドとパンクの系譜にあるドライブ感のあるロックとの融合という音楽性に結び付けられる。「Past Romantic」では、90年代のエレクトロをベースにドライブ感に充ちたシューゲイズサウンドに舵を取る。シンセサイザーをフィードバックギターに見立て、ボーカルを対比させ、心地よいアンビエンスを作り出す。構成的にはギターロックだけれど、表面的にはアンセミックなポップとして聞き入ることが出来る。彼らのサウンドのアグレッシヴな一面が体現され、ライブで映えそうなナンバーだ。

 

基本的には、このアルバムではSlowdiveの系譜にあるサウンドが強調されている。ただ、よりアートポップバンドのような一面が立ち現れる場合もある。「Collapsing」ではコクトー・ツインズのようなゴシックやニューロマンティックの系譜にあるアートポップの要素を読み取れる。ボーカルはエリザベス・フレイザーのように艷やかであり、甘美な感覚に縁取られている。この要素がより洗練されていくと、何かオリジナル性のあるサウンドが出てきそうな予感もある。また、バンドの音楽には4ADのThrowing Musesのようなオルト性を読み取ることが出来、それが部分的に牧歌的、あるいは温和な音楽性という側面を併せ持つことの証左でもある。

 

バンドの音楽はチップチューンのようなゲーム音楽に近いテクノサウンド、そしてダンサンブルなエレクトロ、オルトフォーク、ニューロマンティックを中心に形成されている。序盤では都会的というか、アーバンなイメージに縁取られているが、終盤になると、古典的な音楽性が強調され、それが淡いノスタルジアを漂わせる。現代的なリスナーにとって、過去の音楽の一端に触れることは郷愁的な感覚をもたらすが、テキサスのバンドが最もこのアルバムの制作で最も意識したのはノスタルジアーー過去の時代への沈潜ーーだったかもしれない。それは実際的に抽象的な感覚に縁取られると、聞き手に心地よさという美点を提供する。 また、ノスタルジアに対するイメージがぼんやりとしたものであればあるほど、実際にアウトプットされる音楽には陶酔感が漂う。それはつまり、言語では表しえない非言語性を内包しているからなのだ。


アルバムの終盤は、Slowdive、Cocteu Twinsのアルバムに最初に触れた時のような感覚に溢れ、あっという間に過ぎ去っていく。ぼんやりした午後、背後に過ぎ去る季節、そして次にやってくる夢。彼らは複数の観点から、センチメンタルで、心をくすぐるような切ないラブソングに近いポップソングを書く。そのシューゲイズ的な音楽に耳を澄ませてみると、ぼんやりした意識の向こうから美麗なハーモニーが夜のライトのようにちらつく。抽象的な時間、さほど意味がないように思える穏やかなひとときが、『Reveries』の最大の魅力とも言える。「Swirl」、「Self-Destruct」のような曲のスタイルが、たとえすでに使い古されていたとしても、このアルバムの音楽には確かに人をうっとりさせるものがある。お世辞にも傑作とは言えないかもしれないが、インディーポップファンとしては一聴の価値がある良作となっている。


 

 

76/100

 

 

 

Best Track- 「Dress」

 

 

 

Letting Up Despite Great Faultsの新作アルバム『Reveries』はP-VINEより発売中です。アルバムのストリーミングはこちら

 

 

■Letting Up Despite Great Faults

 

LAで結成され、現在は音楽の街、テキサス・オースティンで活動中のLetting Up Despite Great Faultsが5枚目のオリジナルアルバム『Reveries』を10月11日にリリースする。

 

Letting Up Despite Great Faultsはデビューアルバムで完成させたエレクトロなシンセサウンドをシューゲイズやドリームポップというジャンルに落とし込むという発明で、日本でも5回の来日公演を成功させるなど人気を集めるバンドだ。

 

『Reveries』はミックスにJay Som、マスタリングにSlowdiveのドラマーであるSimon Scottを迎えて制作された作品で、3曲目に収録されている「Color Filter」ではLAで注目を集めるシューゲイズ・バンド、Soft Blue ShimmerからMeredith Ramondをゲストヴォーカルに迎えるなど、インディーポップやシューゲイズ・リスナーにはたまらないメンバーが参加した作品。

 

本作でもLetting Up Despite Great Faultsの特徴であるエレクトロ+シューゲイズ/ドリームポップにキャッチーなメロディーラインを加えるという彼らのオリジナリティーを武器にした作品に仕上がっているが、その上で冒頭を飾る「Powder」や6曲目「Past Romantic」のように実験的なリズムを取り入れた楽曲も収録。

 

K-POPからHyper Popまで様々なポップスを聞くようになったというフロントマンのMike Lee(マイク・リー)がLetting Up Despite Great Faultsのインディーポップな良さに様々なジャンルをポップセンスを加えた楽曲たちもアルバムの中で存在感を放っている。

 

2曲目「Dress」はインディーポップのルーツが存分に感じ取れる心地良い楽曲であり、7曲目に収録されている「Collapsing」のコード感やメロディーセンスも90sのインディーポップやギターポップが好きな人たちにはたまらないであろう。シングル曲として公開された「Swirl」は2010年代の〈Captured Tracks〉が好きな人にはオススメな楽曲であり、国内盤CDに収録されている2曲も間違いない。Letting Up Despite Great Faultsが感じ取れる楽曲が収録!!


ニュージーランド/クライストチャーチのソングライター、Fazerdazeがニューシングル「A Thousand Years」をリリースした。この曲は11月15日にリリースされる『Soft Power』に収録予定。この曲に関して、アメリア・マレーは次のように回想している。


この曲は、私が10代後半から20代にかけて経験した20歳年上の人とのパワー・ダイナミクスの表面的な部分を描いている。クリップは、クライストチャーチの真冬の自宅で撮影、監督、編集した。このビデオと曲は、不安定で、ギリギリで、孤立していて、離れているような感じにしたかった。


このミュージックビデオは、私の高機能うつ病の経験を自画像として描いたものだ。私のキャラクターは、決して変わらない箱の中に存在している。箱はきつくなったり、広がったりするが、決して彼女の意志ではない。孤立感と無力感を表現したかった。私のキャラクターは、化粧をし、スーツを着て、落ち着いているように見えるが、心理的にはそうではない。


このビデオを撮影し、編集しているとき、シンディ・シャーマンと彼女のセルフポートレートを撮るプロセスについていろいろ考えた。彼女は自分でメイクをし、カメラをセットし、役になりきって写真を撮った。


それを知っていると、凍えるほど寒いクライストチャーチの夜を何度もスーツを着て過ごし、ハンディカムやプロジェクター、シンプルなテクスチャーを使って実験しているとき、心が安らいだ。一人で音楽制作に費やした年月とシンディの作品が、このビデオ制作の指針になった(もちろんYouTubeのチュートリアルも)。


『ソフト・パワー』では、真のパワーは支配や支配から生まれるのではなく、もっと静かで深いものから生まれるのだということを、このレコードが人々に伝えることを願っている。真のパワーは頭ではなく心から放たれ、恐れではなく愛から導かれる。

 

 「Soft Power」



 

 Clairoがマーゴ・ガリヤンの「Love Songs」をキュートにアレンジしたカバー曲を公開した。


11月8日に Sub Popから発売されるマーゴ・ガリヤンのトリビュート・アルバム『Like Someone I Know:A Celebration of Margo Guryan」に収録される。

 

マーゴ・プライス、TOPS、ラヒル、ジューン・マクドゥーム、ムンヤ&カイナル、フランキー・コスモス&グッド・モーニング、ケイト・ボリンジャー、パール&ザ・オイスターズ、ベドウィン&シルヴィ、バリ、エンプレス・オブなど、魅力的な顔ぶれがコンピレーションに参加している。

 

クレイロはジョナ・ヤノのアルバム『Jonah Yano & Heavy Loop』の収録曲「Snowpath」にボーカルを提供している。



「Love Songs」

©Tyler T Williams

 

アイダホを拠点に活動するプロデューサー兼作曲家、トレヴァー・パワーズのユース・ラグーンがニューシングルをリリースした。My Beautiful Girl」と名付けられたこのシングルは、5月にリリースされた「Lucy Takes a Picture」に続く。7インチとしても発売されている。(ストリーミング等はこちら


「ソングライティングは、ポータルからメッセージを受け取り、それを書き写すような感覚なんだ」とパワーズはプレスリリースで語っている。

 

「夜中の3時に目が覚めると、言葉がバットで頭蓋骨を殴られているように感じる。たいていの場合、その言葉の意味さえわからない。そんなはずはないと思う。私の仕事はただ、耳を傾け、不変であること、そしてそれを書き留めることだ。もし私がその仕事を忠実に果たさなければ、その言葉は他の誰かを見つけるだろう」


「アイダホ州西部にアイダホ・シティという幽霊に近い町がある。川で泳いだり、祈ったり、田舎で一人になるためによく行くんだ。この前行ったとき、墓地(ブーツを履いたまま死んだ炭鉱労働者が多かったことから『ブースチル』と呼ばれている)をハイキングしたんだけど、暗闇と枯れ草の中に『マイ・ビューティフル・ガール』とだけ書かれた墓石を見たんだ。名前もない。日付もない。ただ愛。この美しい少女は誰だったのだろう? ポータルが開き、私はそのメッセージを書き留めた」

 

「My Beautiful Girl」

 

 

©Pooneh Ghana


Faye Websterが新曲「After the Kiss」をリリースし、ミュージックビデオを公開した。この曲は最新アルバムの収録曲の続編である。Brain Dead StudiosのKyle Ngが監督したクリップは以下から。


ウェブスターの最新アルバム『Underdressed at the Symphony』は今月初めにリリースされた。今年、ウェブスターはコーチェラ・フェスティバルにも出演している。

 

 

 「After The Kiss」




 

Clair eRousey

アンビエントポップの体現者、Claire Rousey(クレア・ルセイ)は、11月8日にVIERNULVIER Recordsからリリースされるニューアルバム『The Bloody Lady』を発表した。

 

このアルバムには、1980年にヴィクトル・クバルが監督した同名のアニメーション映画のためにルセイが書き下ろしたスコアが収録されている。さらに、映画のスチール写真やラスティスラフ・ステランカとウーター・ヴァンヘーレメッシュによるライナーノーツなど、充実したブックレットが付いている。


エリザベート・バートリーの民話を基にした『The Blood Lady』は、若さを保つために何百人もの若い女性を殺害するスロバキアの貴婦人の物語を描いている。「心臓にまつわるアクションは映画の中で極めて重要であり、心臓の鼓動とともに、スコアの最初のパルスを形成しています」とルセイは語った。


実験音楽とアンビエント・ミュージックの既成概念に挑戦する特異なアーティストとして知られるルーセイは、2023年にロサンゼルスに移住してすぐに自宅スタジオでこのスコアを制作した。



初回のパフォーマンスは、映画の上映とrousayのライブ演奏によるもので、ベルギーのゲントで開催されたVideodroom / Film Fest Gent 2023で行われた。その後、このプロジェクトは11曲入りのアルバムへと発展し、映画の雰囲気を想起させるテーマが交互に演奏されながら、独自のサウンド作品として成立している。


Claire Rousayは2024年初め、デビューアルバム『sentiment』をThrill Jockeyからリリースした。




Claire Rousey 『The Blood Lady』



Label: VIERNULVIER 

2024年11月8日
   

Tracklist:

1. ⅰ

2. ⅱ

3. ⅲ

4.ⅳ

5.ⅴ

6.ⅵ

7.ⅶ

8.ⅷ

9.ⅸ

10.ⅹ

 

Pre-order

 

 

【Claire Rousey】 

 

クレア・ルセイは、実験音楽とアンビエント・ミュージックの形式における慣習に挑戦することで知られる特異なアーティストである。ルセイは、テクスチャーのあるファウンド・サウンド、豪華なドローン、率直なフィールド・レコーディングを、人生の平凡さの中にある美しさを称える音楽に見事に取り入れている。

 

彼女の音楽は、キュレーター的で細部まで粒が細かく、感情に影響を与える作品に巧みに形作られている。『sentiment』は、孤独、ノスタルジア、感傷、罪悪感、セックスといった痛烈な感情の地形についての瞑想である。アルバムの物語の弧は、繊細な音楽的ジェスチャーと芸術的な弱さによって導かれ、異質で思いがけない影響を大胆に統合している。ルセイは、様々な家、寝室、ホテル、その他のプライベートな場所で曲を作り上げ、一人で過ごした時間とエネルギーの感覚を各節から放っている。このアルバムは、繊細さと卓越したヴィジョンで普遍的な感情を探求した、心に響く鋭いポップ・ソングのコレクションである。



ルセイのヴォーカルとギターは、センチメントの中心的役割を担っている。彼女の親密で日記的な歌詞は、機械的なボーカル・エフェクトとは対照的で、つながりを求める力強い願望、深い憧れ、そして別離の余韻を強調している。余裕のあるギター演奏と饒舌なテンポは、楽曲を牽引すると同時に、諦観を漂わせる。彼女の繊細なニュアンスの達人ぶりは、彼女の探求的な音楽の過去に由来するもので、真摯な姿勢と賞賛の念を込めて、冒険的なテクスチャーと独特の構成にシームレスに織り込んでいる。

 Kate Bollinger 『Songs of A Thousand Frames of Mind』


 

Label: Ghostly International

Release: 2024年9月27日

 

 

Review

 

ヴァージニアのシンガー、ケイト・ボリンジャーのソングライティングは、基本的に前作のEPの頃からそれほど大きな変更はなく、最初のフルレングスに受け継がれている。フレンチポップやイエイエのおしゃれさ、そして、夢見るような感覚を織り交ぜた軽快なポップスで、そのソングライティングの文脈の中には、懐かしのチェンバーポップやバロックポップが含まれている。口当たりが良いポップスで聴きやすく、実力派のシンガーであることは疑いがない。

 

ケイト・ボリンジャーは、作曲を行う際に音楽がもたらすイメージを大切にしているという。つまり、音楽が映画のようにイメージとして流れれば理想的というわけである。個人的には、ボリンジャーの音楽が呼び覚ますのは、映像のイメージというよりも、映画のサウンドトラックに近いものがあり、音楽に付随してストーリーのようなものが組み上がっていくという感じである。


おそらく歌手が理想とするのは、「Nouvelle Vague」のようなフランス・パリの最盛期の映画作品のサウンドトラックである。つまり、映像のストーリーの本筋を補強するような役割を持つのがボリンジャーの曲ともいえ、その点で、このデビューアルバムはある程度成功したと言えるのではないか。また、デビュー・アーティストとしては、平均以上のものを体現させている。そして新奇なポップスとは正反対に、懐古的なポップスという側面では、Clairoのような歌手に代表される現代の米国のポピュラーのトレンドの波に上手く乗っていると言えるだろう。つまり、流れに逆らわないで、身を任せているのが、このアーティストの音楽を魅力的にしているのだ。


同じ系譜に属するSSWとして、Dominoに所属するMelody's  Echo Chamber(メロディーズ・エコー・チャンバー)がいる。いずれの歌手もフレンチポップやチェンバーポップの影響下にあるポピュラーを披露するという点で共通しているが、ケイト・ボリンジャーの場合は、先鋭的な側面は控え目で、アーティスト自身が影響を受けたというニューヨークのマルゴ・ガリヤンのジャズ/オーケストラとポピュラー音楽の融合という命題を次世代に受け継ぐ歌手である。


ケイト・ボリンジャーの作曲は、60、70年代の古典的なポップスの文脈に則っているが、シンガーの魅力はそれだけにとどまらない。オルタナティブ・ロックやアメリカーナといった現代的な米国のポップスの潮流を捉え、親しみやすいポップソングに昇華している。例えば、ラナ・デル・レイが、2024年のグラミー賞の頃に「カントリーのような音楽が今後の主流になる」と発言していたが、それは一側面では的を射ている。ただ、もうひとつの主流がクレイロの最新アルバムを見ても分かる通り、「チェンバー・ポップ/バロック・ポップ」ではないだろうか。これは、10年くらい、マニアックなパワーポップバンドが、冗談交じりにこれらのジャンルをなぞらえることがあったが、どうやら主流のポピュラー音楽の一部となりそうな予感がする。



◾️バロックポップ/チェンバーポップの系譜  ビートルズからメロディーズ・エコーズ・チェンバーまで  



オープニングを飾る「What's About A La La La」は、ピアノのイントロからノスタルジアたっぷりのチェンバーポップ/バロックポップが展開される。この曲はビートルズのリバイバル、もしくはフレンチ・ポップのリバイバルともいえ、ボリンジャーがイエイエのフォロワーであることを伺わせる。アコースティック/エレクトリックを組み合わせた軽快なインディーロックのバックバンドの演奏の助力を得て、ときには懐かしいハープシコードの音色を交え、普遍的なポピュラー音楽の形を示している。アウトロの古いラジオから聞こえてくるようなMCもなんだか茶目っ気たっぷり。


そうかと思えば、続く「To Your Own Devices」は一転して、南国のリゾート地の波の上を漂うような心地よく癒やしに充ちたアメリカーナ/ヨットロックに変遷する。声はウィスパーボイスに近く、包み込むような温かさがある。ヴェルベット・アンダーグラウンドの「Sunday Morning」のような懐古的なフレーズを織り交ぜて、懐かしい米国のポップスを巧みに体現させる。


続く2曲は軽快なフォークソングやネオアコースティックとして楽しめる。映像的な側面では、のどかな草原の光景を脳裏に呼び覚ます。


「Amy Day Now」はアコースティックギターで始まり、フレンチポップの影響を織り交ぜながら、フォーク・ミュージックの理想的な形を探求している。さらに「God Interlude」ではニール・ヤングの系譜にある古典的なフォークソングを継承している。こういった若手シンガーが父親以上の年代??の音楽家を手本にしているのに驚く。しかし、この点にも、現代的な米国のポップスの潮流が力強く反映されている。さらに正統派のポップスに属する曲もある。


「Lonely」は、ジョエルやオサリバンのピアノバラードを受け継いだ落ち着いた一曲で、どことなく切なげなピアノのイントロから見事な歌唱をボリンジャーは披露する。ハイトーンの声は出てこないが、ミドルトーンをベースに無理のない音域でしんみりした感覚を素朴に歌い上げる。こういった細やかな音楽を志すスタンスは、一定の共感やカタルシスを呼び起こすに違いない。

 

最近の女性シンガーソングライターは、明るい曲調にとどまらず、陰のある曲を制作するケースが多い。それはまた、日常的な思いを包み隠さずストレートに表そうというのである。「Running」は、アルバムの序盤の朝昼の光景から夕暮れの時刻に移り変わる印象があり、往年の名シンガーほどではないけれど、切ない感覚を巧みに表現している。アコースティックギターの簡素なアルペジオに合わさる憂いのあるボーカルは、スロウコアのような雰囲気を帯びる。


この点には、Ethel Cain(エセル・ケイン)の作曲性と共通点が見つかるかもしれない。そういった明るい側面だけではなく、陰のある音楽性が、アルバム全体に美麗なコントラストを形作り、絶妙な陰影を作り出す。ポピュラーの表現性はもちろん、ポジティヴな側面だけで終始するわけではなく、とは対象的に憂いや悲しみのような感覚を鋭く表する場合もある。そういった曲の起伏を設けた後、やはり夢想的な雰囲気を持つアメリカーナをベースにした曲が続く。


「In A Smile」は、ヨットロックの夢想的な感覚を交え、さながらビーチパラソルの下がった夕暮れの浜辺に寝転がり、海の上にゆらめく帆船をぼんやり眺めるようなロマンチックな雰囲気がある。シンセがボーカルとユニゾンを描いたり、ギターが背景の雰囲気付けをしたり、ピアノが和声を強調したりというように、作曲の側面でも新人のシンガーらしからぬ円熟味が感じられる。


前曲の雰囲気を受け継いだ「Postcard From a Cloud」は、インディーポップというよりインディーロックに傾倒している。背後のバンドの演奏は、CCR、The Byrdsのような渋さがあるが、ボリンジャーのボーカルはSylvie Vartan(シルヴィ・バルタン)のように華麗。跳ねるようなリズムはブレイクビーツの役割を持ち、親しみやすいボーカルのメロディーにグルーヴをもたらしている。

 

 

デビューアルバムとは思えぬほどの完成度を持つことは明白である。三作目の作品のような経験値を持っている。しかし、これは、既存のEPを聴いていたリスナーにとっては想定の範囲と思われるが、ボリンジャーはプラスアルファをもたらしている。「I See It Now」は、心地良いポップスから泣かせるポップスへと作曲性を変化させている。シンプルなバラードタイプの曲であるが、普遍的なものから独自の音楽性を汲み出そうという苦心の形跡が見出される。


実際的に、同曲は、アルバムの中のハイライトになるかもしれない。この曲で、ボリンジャーは優しさや温かさといったポップスを制作する上で最も不可欠な要素を見事に体現させている。同音進行や四拍子といったバロックポップの核心を受け継いだ上で、多角的な構成要素を設けている。ここには、表向きからは見えづらい歌手の(意外な??)インテリジェンスを見て取れるはず。全体的には、数学的な要素を持った拍の配分で構成されていることに注目したい。


本作にはラナ・デル・レイのようなポピュラーの要素も含まれ、それは小悪魔的なコケティッシュなボーカルという形をとって現れる。そしてボリンジャーの場合も、それらのキュートなイメージが計算づくなのか、それとも天然であるのか分からない点に魅力があり、それらがセンチメンタルな感覚やエバーグリーンな感覚を持つポップスに昇華される。「Sweet Devil」では、メロトロンの音色が押し出され、レトロな感覚が鮮やかに浮かび上がる。そういった古いものに対する親しみは、アートワークと合致し、音楽を上手い具合にかたどっている。


このアルバムは、ボリンジャーのソロ作であると同時に、バックバンドの作品でもあるのかも知れない。本作が聴き応えのあるものに仕上がったのは、バンドメンバーの多大な貢献があったからではないだろうか。

 

 

 

84/100




Best Track-「I See It Now」

 

 

◆ Kate Bollingerのデビューアルバム『Songs of A Thousand Frames of Mind』はGhostly Internationalから発売中。ストリーミングはこちらから。

 

リバプールのソロアーティスト、def.foが、待望のコンセプト・アルバム『Music for Dinosaurs』からの初リリースとなる画期的なニューシングル「Out of This World」をリリースし、再び聴衆を魅了する。
 
 
先行シングル「Out of This World」は、私たちリスナーを宇宙の鼓動に包まれた天空の旅へと誘い、孤独への挑戦と宇宙と時間の探求の驚きを探求する。これはdef.foの旅だが、参加への誘いは誰にでも開かれている。
 
 
トリップホップのリズム、サイケデリックなビジョン、そして通り過ぎようとしても頑なに邪魔をしないしつこいベースラインが融合したこのトラックは、息をのむような脅威を感じさせながら、まばらな暗闇からゆっくりとシフトしていく。進むしかないのだ。
 
 
「Out Of This World」は、SFと身近な人間のテーマを絡めながら、def.foの特異なスタイルの本質を捉えている。ムーディーなビートに包まれ、宇宙の揺らめくサウンドスケープに浸りながら、調和のとれたエーテルのような声のコーラスの甘いフックによって、私たちは再び高揚する。

 

この曲のアトモスフェリックなプロダクションは、def.foの正直な希望の歌詞に空間と時間を与え、この「Out Of This World」は、来たるアルバム『Music for Dinosaurs』を定義するユニークなストーリーテリングを垣間見る役割を果たす。このシングルは、シーンを設定し、アルバムの包括的な物語を照らす。

 

「Out of This World」は2024年9月27日にリリースされ、def.foのアルバム「Music for Dinosaurs」からのファースト・シングルとなる。https://def.fo から予約可能。



「Out of This World」



Emerging artist def.fo is set to captivate audiences once more with the release of his groundbreaking new single, ‘Out of This World’, marking his first release from the highly anticipated concept album, ‘Music for Dinosaurs’.
 
 
‘Out of This World‘, takes us, the willing listeners, on a celestial journey up through the beating heart of the cosmos, exploring the challenges of isolation and the wide-eyed wonder of space and time exploration. This is def.fo’s journey but the invitation to join is open to one and all.
 
 
The track shifts slowly out of a sparse darkness, with an implied sense of threat under its breath and a mesmerising, addictive blend of trip-hop rhythm, psychedelic vision and the kind of insistent bassline that stubbornly refuses to move out of the way when you’re trying to get past. You have no choice but to move along.
 
 
‘Out of This World‘ captures the essence of def.fo’s singular style while intertwining science fiction with familiar human themes. Steeped in moody beats and immersed in the shimmering soundscape of the cosmos, we’re uplifted once more by the sweet hook in a chorus of harmonic ethereal voices. The song’s atmospheric production gives open space and time to def.fo’s honest lyrics of hope and in this, ‘Out Of This World’ serves as a glimpse into the unique storytelling that defines the forthcoming Music for Dinosaurs album.
 
 
This single sets the scene and lights the lights on the album’s overarching narrative: a gripping tale set in the whenever future or past, it is the story of humanity’s desperate escape from a dystopian Mars clinging to life itself and to the hope of seeking salvation upon a utopian Planet Earth.
 
 
‘Out of This World’ is released on 27th September 2024 and serves as the first single from the album ‘Music for Dinosaurs’ by def.fo, which can be pre-ordered from https://def.fo




def.fo 『Out of This World』- New Album

 
 


 
def.foは、来る2ndアルバム『Music for Dinosaurs』でリスナーを爽快な旅へと誘う。この野心的なコンセプト・アルバムは、聴衆を火星を舞台としたディストピアの悪夢へとテレポートさせる。残された時間は僅かで、生き残りをかけて息も絶え絶えの中、住民は大胆な星間探索に乗り出さなければならない。

 
『Music for Dinosaurs』は、def.foのサウンドとビジョンにおける豊かな折衷主義、ジャンルの超自然的な融合に対する生来の情熱、そして彼が確実に知られるようになってきたポジティブな歌詞のエネルギーを際立たせている。Psychedelicfolkhop(サイケデリック・フォルホップ)」と呼べば、近いかもしれない。もっといいのは、彼に加わってその一部になることだ。『ミュージック・フォー・ダイナソー』に浸れば、それを目の当たりにし、肌で感じることができるかも。


Def.fo is poised to take listeners on an exhilarating journey with his upcoming sophomore album, Music for Dinosaurs. This ambitious concept album teleports audiences up, up and away into a howling, dystopian nightmare set on Mars, where a troubled civilisation teeters on the sharpened edge of extinction. Time runs short, and in a desperate, breathless bid for survival, the inhabitants must embark on a daring interstellar quest, ultimately discovering a hope they can cling to on their bright new Eden, planet Earth.
 
Music for Dinosaurs highlights the rich eclecticism in def.fo’s sound and vision, his innate passion for the preternatural melding of genres, and the positive lyrical energy for which he’s surely becoming known. def.fo has created his own space and that’s where he exists. Call it ‘Psychedelicfolkhop’ and you’d be close. Better still, join him and be a part of it. Immerse yourself in Music for Dinosaurs so you can see it and feel it first hand.

 

©Ashley Armitage

シカゴのロックバンド、Beach Bunny(ビーチ・バニー)がニューシングル「Clueless」をリリースした。この曲には、バーティ・ギルバートが監督したビデオが付いている。以下からチェックしてほしい。


トリフォリオはこのニューシングルについて次のように説明している。「この曲は2月に、過ぎゆく新年を振り返って書いた。悲しくなるような曲ではなく、何かを感じてもらえたらと思う。時間と変化というのは複雑なテーマで、この曲は結論を出そうと思って書いたわけではないの」


今年初め、ビーチ・バニーは「Vertigo」という曲で復帰し、「Beloved」ではハンク・ヘヴンに参加した。最後のアルバムは2022年の『Emotional Creature』である。

 

 「Clueless」

Perfume Genius

Perfume Geniusが、アルバム『Too Bright』の10周年記念エディションをリリースした。透明なレコード盤のリイシューに加え、LPの拡張デジタル・バージョンもストリーミング・サービスに登場し、「Story of Love」、「My Place」、「When U Need Someone Here」の3曲の未発表曲が収録されている。以下よりご視聴ください。


これらの曲は、2013年に『Too Bright』となった曲と並行して書かれたものだ」とマイク・ハドレアスは声明で説明している。


「このアニバーサリーを振り返りながら、当時のデモを整理しているうちに思い出したんだ。彼らの居場所ができて本当に嬉しい。私たちは先月、彼らをスタジオに連れて行き、私たちの非常識なバンドとポータルを開いた。あの時期がいかに形成的でワイルドであったか、そのエネルギーをいまだにどれほど呼び起こしているか、そして一緒に働く仲間や聴いてくれる人たちにどれほど感謝しているかを思い出させてくれた」


 


ニューヨークのアートポップデュオ、Fievel Is Glauque(フィーヴィル・イズ・グラスク)が、ニューシングル「Love Weapon」を公開した。リード・シングル「As Above So Below」に続く作品で、2ndフルアルバム『Rong Weicknes』に収録される。以下からチェックしてみてください。


デュオのザック・フィリップスは声明で述べている。「歌は "表現 "以上のことができる。2011年の初めに、サラ・スミスと僕らのバンド”Blanche Blanche Blanche”のために'Love Weapon'を書いた。アルバムの中で一番好きなレコーディングで、ライブ・イン・トリプリケート・レコーディングのアプローチによるコラージュ編集が最も声高に歌っている曲なんだ」

 

「『ブランチ・ブランチ・ブランチ』は、私たちが望んでいなかったこともあり、私たちの正当な評価を受けることはなかった。フィーベルはそれを望んでいるのだろうか? 決断は下されず、私たちはただその質問を括弧でくくり、不確かさを素材に組み込んで、作業を続けているかのようだ。今、どれだけの愛があれば十分なのだろう?」


マ・クレマンはこう付け加えている。「私たちの身体が知っていて、知性ではなく身体的に理解できるオリジナルの言語が存在するならば、『Love Weapon』の歌詞はその言語で書かれているのかもしれない。この曲は、5年前に別のフィーベルのバンドで演奏した。それは2023年の夏に再び現れた。最近、私が読んでいる本のページの間に古い写真を偶然見つけたのと同じように」


Fievel Is Glasqueのニューアルバム『Rong Weicknes』は、Fat Possumから10月25日にリリースされます。

 


「Love Weapon」

 


マンチェスターのPale Waves(ペール・ウェーヴス)は、近日発売予定のニューアルバム『Smitten』からの最新シングルとして「Thinking About You」を発表した。

 

この曲には、フロントウーマンのヘザー・バロン・グレイシーが過去の恋愛を嘆き、その跡に残ったものを考えるという、風光明媚なワンショット・ミュージック・ビデオが添えられている。


この曲について、ヘザー・バロン・グレイシーはこう語っている。「"Thinking About You "は、誰かが去って、まだ完全に前に進むことができない状況について歌っている。そうすべきだし、長い目で見ればその方が自分にとって良いことだとわかっているはずなのに、それは見かけ以上に難しく辛いことなのです」

 


「Thinking About You」

 



©Eliza Jouin


ニューヨークのインディーポップバンド、Pom Pom Squad(ポム・ポム・スクワッド)が、近日発売予定のアルバム『Mirror Starts Moving Without Me』から新曲「Street Fighter」を発表した。


この曲について、ミア・ベリングは声明でこう語っている。「コーディと私がこの曲をいじくりまわしていたとき、ストリートファイターから飛び出してきたようなシンセ・パッチに出くわしたの! ”ストリート・ファイターII”は、子供の頃に大好きだったゲームのひとつだったから、この曲を楽しい方向に持っていけると感じた。歌詞とヴォーカルは、同じ日の夜中の4時くらいに完成させた。一般的に、私の作詞は少しムーディーでシリアスな傾向がある。これは確かに私の違う一面を表しています」


2021年の『Death of a Cheerleader』に続く『Mirror Starts Moving Without Me』は、City Slang から10月25日にリリースされる。 

 


「Street Fighter」



 



モントリオールとともに魅力的なアーティストやバンドを輩出するケベック。この土地はカナダの先住民が暮らしていた場所で、現在はフランス語圏でもあり、多彩な生活様式が入り交じる都市である。こういった様々な考えやルーツを持つ土地から魅力的な音楽が登場するのは、必然といえる。自分と同じ考えをかき集めるのではなく、それとは対極にある今まで思いもよらなかったような考えに触れたり、それらを自分の中で吸収した時、新しい概念が生み出される。

 

同地のオルタナティヴポップバンドのMen I Trust(メン・アイ・トラスト)もまた、ケベックの象徴的なポップ・グループ。

 

昨日(9月10日)、彼らは2024年最初の単独シングル「Husk」をリリースした。2014年に結成されたバンドは、ベーシストのJessy Caron、マルチインストゥルメンタリストでプロデューサーのDragos Chiriac、ボーカリストでギタリストのEmmanuelle Proulxで構成されている。


メン・アイ・トラストは、現在ツアー中で、2021年に最新アルバム『Untourable Album』をリリースしている。以来、彼らは「Hard to Let Go」、「Billie Toppy」、「Girl」、そして昨年の「Ring of Past」など、数々のシングルを発表してきた。

 

ニューシングルのリリックは、このバンドにしては珍しくメッセージ性が含まれ、啓示的な示唆に富んでいる。リスナーに向けて直接的に歌われたようなポップソングだ。冒頭では「騒動、すべてのチャイム/諦めて、大丈夫さ/冷静さ、ラインの上に/もっと強くなって、解き放て」とボーカリストのエマニュエルはおなじみの軽快なオルトポップソングに乗せて歌っている。

 

 

「Husk」

 

©︎Kacey Makal

Jordana(ジョルダナ)が、10月18日にグランド・ジュリーからリリースされるアルバム『Lively Premonition』のプレビューを公開した。今回のミュージックビデオではアーティストが宇宙飛行士に扮し、カルフォルニアかどこかを歩き回るというユニークな内容となっている。

 

この曲は「Anything for You」というタイトルで、以前に公開された「We Get By」と「Like a Dog」のフォローアップとなる。ジャスティン・テイラー・スミス監督によるミュージックビデオは以下よりご覧ください。


「”Anything For You”は別れについての曲よ」とジョーダナは声明で説明している。「誰かがあなたの魂にあったエネルギーを枯渇させた後、もう一度自分自身を見つけようとする歌なの。新しい自分を探したり、かつてそこにあったものを取り戻そうとしている」



「Anything For You」



 


ニュージーランドのシンガーソングライター、Fazerdaze(アメリア・マレー名義)は、ニュー・アルバム『Soft Power』を発表した。


このアルバムは11月15日にsection1/Partisan Recordsとオーストラリア/ニュージーランドではButtrfly Recordsからリリースされる。リード・シングル「Cherry Pie」は、フランシス・カーターとの共同監督によるビデオとともに本日公開された。


「『Cherry Pie』は、10年近く前に初めてLAに海外旅行した時に、携帯電話の歌詞から始まった。31歳になった今、この曲は様々な自分を旅してきた。フランシスと私は、一人旅をするキャラクターを中心にビデオを制作し、もう役に立たないものを手放して、ついにハンドルを握り、次の時代へと舵を切った」


Fazerdazeの2017年のデビュー作『Morningside』と2022年の『Break EP』に続く新作を紹介し、彼女はこう語った。


 「ソフト・パワーへようこそ。これは、私の人生で最も暗く、孤独で、波乱に満ちた数年間に私が作り出したものです-女性として、世界、音楽業界、そして愛だと思っていたものをナビゲートしてきました。私の最も恐ろしい瞬間において、このアルバムは希望、目的、そして光を与えてくれる錨だった。『ソフト・パワー』をようやく皆さんと分かち合うことができて、とても安心し、満足しています」


「Cherry Pie」


Fazerdaze 『Soft Power』


Label: Parstisan
Release: 2024年11月15日

Tracklist:


1. Soft Power

2. So Easy

3. Bigger

4. Dancing Years

5. In Blue

6. A Thousand Years

7. Purple

8. Distorted Dreams

9. Cherry Pie

10. Sleeper

11. City Glitter


【Interview】 Peel Dream Magazine   ~ジョセフ・スティーヴンスが新作アルバムを解説  「ミディアム・ファイ+ 」からの卒業~

Peel Dream Magazine

 

 

LAを拠点に活動するPeel Dream Magazineは、米国のポップミュージックに新たな意義をもたらす。グループは、Topshelf Recordsと契約を結び、ニューアルバムの制作に着手した。現在、PDMは西海岸を拠点に活動をしているが、シンガーソングライターでグループの支柱的な存在であるジョセフ・スティーヴンスさんは、ニューヨークのセントラルパークにほど近い地域で育ったという。

 

ニューアルバム『Rose Main Reading Room』では、前作とは対象的に「ニューヨーク的な作風になった」とスティーヴンスは説明する。本作にはNYの都市の洗練性や歴史的な文化性が反映されているほか、ウォーホールのポップアートのように「音楽自体をどのように見せるべきか?」というイデアが従来のスタイルとは違うニュアンスをもたらしたことは疑いがない。

 

『Rose Main Reading Room』は発売後、世界の熱心な音楽ファンの間で少なからず注目を集めている。事実、米国のオルタナティヴ・ポップの潮流を変えてもおかしくない画期的なアルバムだ。

 

今回のQ&Aのインタビューでは、ジョセフ・スティーヴンスさんに最新アルバムを解明してもらうことが出来ました。その中では、”「ミディアム・ファイ+ 」からの卒業”というテーマが浮かび上がってきた。また、話の中では従来の「ポスト世代の音楽からの脱却」という考えも垣間見えるような気がする。日本語、英語の両方のエピソードを下記よりお読みいただくことが出来ます。

 

 

ーー9月4日に4枚目のフルアルバム『Rose Main Reading Room』が発売されました。前作から2年ぶりのアルバムですが、先行シングルを聴いたかぎりでは、見違えるように良くなっている感じがします。曲作りや制作過程で何か大きな変化はありましたか?



Peel Dream Magazine(ジョセフ・スティーヴンス):それについてはイエスでもありノーでもあるかな。レコードを出すたびに、曲作りのアプローチを少しずつ見直しているような気がするけど、今回の曲では、これまでの曲と劇的に違うアプローチは取らなかった。

 

私はたいてい自宅で1人で作曲して、実際のレコーディングの出発点となるデモを作り上げることが多いんだ。『Pad』では主にオルガンで作曲し、今回のアルバムでは主にギターで作曲した。新譜のハーモニー感覚は、ミッドセンチュリーのバロック・ポップ/ボサノヴァ的な感触が強かった『Pad』よりもずっとストレートなんだ。

 

今までのアルバムでは、すべて自宅で作業をやっていたんだけど、今作ではLA近郊のスタジオをいくつか回って特定の楽器を録音したり、ドラムや雑多なものをバレー(LAの一部)にあるドラマーのイアンの実家のガレージで生録音したりした。また、レコーディング中にオリヴィアとリアルタイムでボーカル・パートをたくさん作ったので、そうでなければ生まれなかったような自然発生的な展開もあった。


このアルバムは間違いなく、これまでで最も共同作業が多かった。それと同時に、ピール・ドリーム・マガジンのアルバムの中で最もライブ・レコーディングの音が多くなっている。テーマの多くは、これまでよりも個人的で直接的なものだった。すべてを難解なものにしたくなかった。シンプルな思い出や、ニューヨークを取り巻く温かい感情について表現したいと思ってたんだ。




American Museum of Natural History

ーーこのアルバムの主なテーマはニューヨークの歴史文化、より厳密に言えば、''アメリカ自然史博物館''のようです。 「Central Park West」のミュージックビデオもジョン・レノンが登場したり、古いセントラルパークの映像がとても印象的ですよね。この歴史的な興味やインスピレーションはどこからやって来たのでしょう? 音楽やビデオで表現したかったことは何ですか?


Peel Dream Magazine(ジョセフ・スティーヴンス):  実は、セントラル・パークには赤ん坊の頃から通っていたから、私にとって本当に特別な意味が込められているんだ。あの場所はニューヨークの不思議な渦に包まれているけど、同時に、私自身の人生全般にもそれは当てはまると思う。私は、かねてからニューヨークという都市が人類史上の他の大都市と肩を並べるような「古代性」を携えているのがずっと好きだったんだ。

 

現在、この施設は無料で一般に公開されていて、人々の生活を豊かにし、歴史や芸術の断片を伝えるのに役立っている。これらの施設をぼんやり眺めていると、そこには驚きがあって、民主的であり、そして、時には楽観的な気持ちになることがある。現代社会においては、芸術や文化はとても安っぽく、危ういものに思えることがあるんだけど、世界の偉大な文化の中心地を訪れることができれば、時代を超えて信頼できる形で芸術や文化に触れることができるはずさ。

 

私はいつも、驚きと洗練された楽しさに満ち溢れた人生を送りたいと思っているんだけど、ニューヨークはそのための「素晴らしい手段」でもある。ニューヨークやアメリカ自然史博物館を題材にした曲がいくつかあるんだけど、リスナーをニューヨークの小さなツアーに連れて行きたかった。『セントラル・パーク・ウェスト』は、私がニューヨークの素晴らしい文化施設のいくつかを散策している様子を一人称で描いたものです。ミュージック・ビデオでは、NYのストリートを縦横無尽に行き交う、さまざまな種類の人々という人間の大海原を伝えたいと思った。それから、ドライで楽しい方法で、この街の風変わりさと試金石を紹介したかったんだ。


 

「Central Park West」 MV



ーー今回のレコーディングでは、オリヴィアのヴォーカルが加わったことで、楽曲がより華やかな雰囲気になったように思いました。ニューアルバムに関して、彼女の最大の貢献を挙げるとしたら何でしょう??



Peel Dream Magazine(ジョセフ・スティーヴンス) :  男性ヴォーカルと女性ヴォーカルの二重性は、シューゲイザーとイングリッシュ・トゥイーに根ざしたサウンドの中心的な要素だと思う。オリヴィアが参加してくれたおかげで、『Oblast』のような瑞々しいヴォーカル・バッキング・パートを作ることができたし、私のヴォーカル・レンジがメロディに合わない曲でも、彼女がリード・ヴォーカルを取るか、デュエットのような形で歌うことができた。彼女の最大の貢献は、その音楽性と多才さにあるだろうね。


 
ーー Peel Dream Magazineがデビューした当初、あなたはYo La Tengo(ヨ・ラ・テンゴ)のようなローファイ・スタイルのロックをやっていましたよね。2018年頃からバンドのスタイルが少しずつ変わっていきましたが、これは当時のあなたの音楽的な好みを反映したものだと考えてよろしいですか?



Peel Dream Magazine (ジョセフ・スティーヴンス):うん。そうかもしれないね。私にはまったく違う種類の音楽を作りたくなる時期があるし、自分の感覚に従って好きなものを作ることがとても重要なんだ。たとえば、最初のレコードを作ったときは、ヴェルヴェッツ(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)、ニック・ドレイク、ステレオラボ、ベル・アンド・セバスチャン、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインに強い影響を受けた。

 

私が過去に作った音楽は意図的にローファイにしたわけではなく、私がホームレコーディストであるという理由によるもので、言ってみれば「ミディアムファイ」の感じの仕上がりになっていると思う。昔は自分が何をやっているのか無自覚だったんだけど、それ以来、制作についてかなり多くのことを学んだから、もはや「ミディアム・ファイ+α 」を卒業したと言えるだろうね。


 

ーー他の文化やメディアからの影響についてはどうですか? ニューエイジ思想やネイティブアメリカンの伝統主義に興味があるそうですね?



Peel Dream Magazine(ジョセフ・スティーヴンス): ニューエイジやネイティブ・アメリカンについてのPDMの曲もあるから、そう思われるのはわかる。それでも、時々、私は「ヒッピーの時代精神」に少し乗っかってみたくなる時がある。そして、私に直接インスピレーションを与えてくれる文化や媒体について思いを馳せることがあるんだ。

 

例えば、あらゆる種類の芸術形態が同じようなものかもしれない。なぜなら、(アートは)私たちの音楽と同じように、実験的なテーマを無防備な人々に見せることができるポップなメディアなのだから......。そうやってアートを通して楽しい会話ができるというメリットもあると思うし。それから、私はよく歴史と政治にインスパイアされることがある(奇妙なことに......)。現在に新しい文脈を授けてくれたり、私の脳裏にあったある種の定説に挑戦してくれたりする過去の物語に刺激を受けているよ。 

 


ーーこのアルバムの制作過程で最も重要だった点は? また、3rdアルバムとの決定的な違いは何だと思いますか?



Peel Dream Magazine(ジョセフ・スティーヴンス): 制作プロセスで最も重要だったのは、できるだけアコースティックの演奏に頼り、MIDIやバーチャルなものが必要ないときは、それを使用しないようにしたことだったと思う。


だから、ドラム、ピアノ、マレット楽器、木管楽器はほとんど生演奏で、もちろんギターも生演奏なんだ。クラシック・ギターも、ボッサ的なパートではなく、フォーキーなインディー・ロック的なものを選んだ。


アルバムはLAにある2つのスタジオとガレージで録音したんだ。そのすべてが、僕をベッドルームから連れ出し、ヴァーチャル・インストゥルメントの習慣から遠ざけ、自分の頭脳からも遠ざけてくれた。これは、自宅で大量のバーチャル・インストゥルメントを使って録音した『Pad』とは決定的に違う点でもある。オリヴィアのボーカルもまた、『Pad』から大きく制作をシフトチェンジさせてくれたよ。



ーーさて、バンドメンバーは現在、LAにいますか? ピール・ドリーム・マガジンの音楽にロサンゼルス的なものを探すとしたら、それは何でしょう?



Peel Dream Magazine(ジョセフ・スティーヴンス): そうだね、バンドは今、間違いなくLAを拠点にしているよ。正直なところ、僕の音楽にあからさまにロサンゼルスっぽいものがあるかどうかはわからない。たぶんね!!

 

私は音楽を作るときにそういうことはあまり考えないし、世界中のさまざまな場所、さまざまな時代のさまざまな音楽シーンに愛着を感じている。

 

『Pad』は、文字通りフリンストーンズのようなミッド・センチュリーのヤシの木のようなエネルギーに満ちているから、おそらく最もLAにインスパイアされたレコードだったと思う。それでも、あのレコードを作った時、ロンドンで全部の音楽を作っていたショーン・オヘイゲンにインスパイアされたから不思議だった。『Rose Main Reading Room』は、自分にとってはロサンゼルスっぽくないかなあ。どちらかというと、かなりニューヨークっぽいかもしれない!! 

 

 

■ Peel Dream Magazine 『Rose Main Reading Room』  Launched on September 4 via Topshelf


Tracklist:

Dawn

Central Park West

Oblast

Wish You Well

Wood Paneling, Pt. 3

R.I.P. (Running In Place)

I Wasn't Made For War

Gems and Minerals

Machine Repeating

Recital

Migratory Patterns

Four Leaf Clover

Lie In The Gutter

Ocean Life

Counting Sheep





■Episode In English

 

LA-based Peel Dream Magazine brings a new concept to the idea of pop music in the United States. The group is newly signed to Topshelf Records and has begun work on a new album. PDM is currently based on the West Coast, but Joseph Stevens, songwriter and a pillar of the group, grew up in the area near Central Park in New York City.


The songwriter recalls that the previous album, “Pad,” had a Los Angeles feel, but the new album, “Rose Main Reading Room,” has a New York style. Like Andy Warhol's pop art, the theme of “how to present the music itself” has definitely brought a different nuance to this album. ''Rose Main Reading Room” has attracted the attention of avid music fans around the world, and is, in fact, a landmark album that will change the tide of alternative pop in the United States.


The songwriter recalls that their last album, “Pad,” had a Los Angeles feel to it, but with their new album, “Rose Main Reading Room,” they have tackled a New York style album. There is no doubt that the theme of “how the music itself is presented,” like Andy Warhol's pop art, brings a different nuance to this work. Rose Main Reading Room has garnered attention from avid music fans around the world, and in fact, it is a groundbreaking album that will change the tide of alternative pop in the United States.
 

In this Q&A interview, we were able to ask Joseph Stevens to elucidate his latest album. In the process, the idea of “graduating from medium-fi + alpha” emerged. Furthermore, I felt that I could catch a glimpse of the theme of “breaking away from the music of the post generation” in the conversation. You can read the episode in both Japanese and English below.



--”Rose Main Reading Room”, fourth full-length album, was released on September 4. It has been two years since your last album, but from what I have heard of the preceding singles, I feel that the album has improved as if it were different. Were there any major changes in the songwriting or production process?



Peel Dream Magazine(Joseph Stevens): Yes and no. I feel like I am always re-working my songwriting approach a bit with every record, but I didn’t take a dramatically different approach with these songs than anything I’ve done in the past. I write alone, usually at home, and build out demos that serve as starting points for the actual recordings. 


On ''Pad'' I wrote primarily on organ, and on this record I primarily wrote on guitar. The harmonic sensibility of the new record is much more straight-forward than it was on Pad, which had more of a mid-century baroque pop / bossa nova feel. On most of my previous records, I did every single thing at home, but on this one I went into a few studios around LA to record specific instruments, and we also recorded drums and miscellaneous things live at our drummer Ian’s parents’ garage in the Valley (a part of LA). 


I also worked on a lot of vocal parts in real time with Olivia when we were recording, which led to some spontaneous developments that wouldn’t have occurred otherwise. This record is definitely the most collaborative record to date, and has the most live-recorded sounds of any Peel Dream Magazine record yet. A lot of the subject matter is more personal and direct than it has been in the past. I didn’t want everything to be esoteric, I wanted to talk about some simple memories, and some warm feelings I have surrounding New York City.


--The main theme of the album seems to be the history and culture of New York City, especially the ''American Museum of Natural History.'' The music video for ''Central Park West'' also features John Lennon and impressive images of old Central Park. Where did this historical interest and inspiration come from? What did you want to express in your music and video?



Peel Dream Magazine:I’ve been going to Central Park since I was a baby, so it has a really special significance to me. It’s wrapped up in the wondrous whirlwind of New York City but it’s also wrapped up in my own life.


 I have always liked the way New York City carries an “ancient-ness” that puts it on par with other great cities throughout human history. There’s a wonderment there, and a democratizing, optimistic feeling when you see all of these institutions that are available to the public for free, helping to enrich peoples’ lives and pass along pieces of history and art. I think art and culture sometimes seem so cheap and perilous in the modern age, but when you’re able to visit these great cultural capitals of the world, you’re able to interact with art and culture in a way that feels timeless and trustworthy.


I want to lead a life that is full of wonder and sophisticated fun, and New York is a great vehicle for that sort of thing. There’s a few songs that reference New York or the American Museum of Natural History, and I wanted to take listeners through little tours of the city with them. 


Central Park West is just a first person account of me wandering through a few of the city’s great cultural institutions. With the music video, I wanted to convey this endless ocean of humanity that traverses the streets of NY - all different kinds of people - and to showcase the quirks and touchstones of the city in a dry, fun way. 



ーーThe addition of Olivia's vocals this time around seems to have given the songs a more glamorous feel. If you had to name her greatest contribution regarding the new album, what would it be?



Peel Dream Magazine: Well, I think that Peel Dream Magazine is actually best when there are more voices than just mine - and I think the male-female vocal duality is really central to the overarching sound, which is rooted in shoegaze and english twee, where male-female vocals are always a cornerstone. 


Having Olivia on the record allowed us to create these lush vocal backing parts such as on ''Oblast'', and it allowed us to include songs where my vocal range wasn’t really suited to the melody, because she could either take the lead vocal or do a duet kind of thing. Her greatest contribution is that musicality and versatility.


--When Peel Dream Magazine first debuted, you were doing lo-fi style rock like ”Yo La Tengo”. the band's style has changed a bit since around 2018, is it safe to assume that this is a reflection of your musical taste at that time?


Peel Dream Magazine:  Yea definitely. I have phases where I’m compelled to make completely different kinds of music, and it’s important to me that I just follow my nose and make what I want. When I made the first record, I was very influenced by the Velvets, Nick Drake, Stereolab, Belle and Sebastian, My Bloody Valentine, and to a lesser extent yea, Yo La Tengo. 


I would say the music I’ve made in the past hasn’t really been lo-fi by design - it’s more just that I’m a home recordist so they usually turn out kind of “medium-fi”. In the past I really had no idea what I was doing, but I’ve learned a lot about production since then, and I would say I’ve graduated to “medium- fi plus”



--What about influences from other cultures and mediums? I understand you are interested in New Age thought and Native American traditionalism?


Peel Dream Magazine:   I can see why you might think that here and there about New Age and Native American stuff from some PDM songs - but other than some historical interest and curiosity, I wouldn’t really say that’s true. Sometimes I like to play off the “hippy zeitgeist” a bit, which kind of involves those things. 


I’m trying to think of cultures and mediums that do directly inspire me, though. All kinds of art, for sure. Really good film is always inspiring because, like my music, it’s a pop medium that can be used to play out experimental themes to unsuspecting people. 


And you can have a fun conversation through art in that way. I’m really inspired by history and politics (weirdly), and I’m always inspired by stories from the past that provide new context to the present, or challenge some kind of set idea that was in my brain. 



--What was the most important aspect of the production process for this album? And what would you say are the crucial differences from your third album?


Peel Dream Magazine:  I would say the biggest aspect of the production process was trying to rely on live performances as much as possible and step away from MIDI/virtual stuff when I didn't need it. So mostly live drums, piano, mallet instruments, woodwinds, and of course live guitars. Also the choice of classical guitar - not for bossa-ish parts but more for folky indie rock kind of stuff. 


And going to a few outside places to record - two studios in LA and this garage we recorded in. All of that took me out of my bedroom, and out of my virtual instrument habits, and out of my own head. That’s all crucially different from ''Pad'', which was done completely at home and with tons of virtual instruments. Olivia’s voice also presented a big production shift away from ''Pad''.



--Are the band members in LA right now?  If you were to look for something Los Angeles-like in the music of Peel Dream Magazine, what would that be?



Peel Dream Magazine: Yea the band is definitely LA-based right now. I’m not sure if there is anything that is overtly Los Angeles-like about my music, to be honest. Maybe!!


I don’t think about that sort of thing when I make music, and I feel attached to different music scenes in different places all over the world, and from different time periods. 


''Pad'' is probably the most LA-inspired record because it literally has Flinstones-y mid-century palm tree energy - but it’s funny because I was very inspired by Sean O’Hagen when I made that record, who was making all of his music in London. ''Rose Main Reading Room'' isn’t super LA-ish to me. If anything, it's pretty New York-like!!

 

 

(INTERVIEWED:  MUSIC TRIBUNE  PRESS   2024. September 6th)

 

©Bảo Ngô


米国のベッドルームポップ界の象徴的なアーティスト、mxmtoonは、11月1日にAWALからリリースされるニューアルバム「liminal space」を発表した。アルバムはこのアーティストとしては珍しくシリアスなテーマが織り交ぜられている。日々転変する世界でどのようにあるべきか、mxmtoonは音楽制作を通じて真摯に探ろうとしている。アルバムのタイトルは外側の世界を指し示し、そして対外的な世界が自分という存在とどのような関係にあるのかを詳らかにする。その中には社会的な概念が要請する女性というイメージを覆すという意図も含まれている。

 

新作アルバムの発表と同時に、このシンガーソングライターはイギリスのポップ・グループ、ケロケロ・ボニートとのコラボレーション「the situation」を公開した。(ストリーミングはこちら)「2枚目のレコードをリリースしてからのこの2年間の混乱の中で、私はしばしば果てしなく感じられる一過性の風景の中で宙吊りになっているように感じていた」とmxmtoonことマイアは説明している。

 

「自分がほとんど理解していないことに囚われたと感じるのは簡単なことで、人生は私に質問の嵐を投げかけてきた。だから、未知の世界に宙ぶらりんのまま、私はこれらの曲を書いた。自分の人生で与えられた役割をどのように果たすことを選択してきたか、そしてある時はどのようにそれについていけなかったかを解き明かそうとしたんだ」


「”liminal space”は、苦いものを浴びながら、終わりのない廊下を彷徨う自分自身を見失うような、主体性を理解するのに苦労している人たちのためのアルバムです」と彼女は付け加えた。


アルバムの最初のリードカット「the situation」について、mxmtoonはこう語っている。


「私たちは年を取り、そしてやがて死ぬ! このアルバムに収録されている曲の多くは、少女時代と人生のサイクルというコンセプトを直接的に扱っている。「the situation」を書いたとき私は23歳で、20代前半が人生で一番ホットで楽しい時期だという考えで育ったような気がする。社会全体が、女性はピークに達した後、残りの人生を転落していくという物語を押し付けていると思う。感情的になりがちな曲を書いているときは、いつも皮肉を織り交ぜるのが好きなんだけど、『the situation』は、それがいかに馬鹿げたことかを揶揄する絶好の機会だった」

 

「特に、この曲でケロ・ケロ・ボニートと仕事ができたことは、夢のような出来事だった。KKBは2013年から聴いていて、サラのヴォーカルは『Intro Bonito』以来、私の頭にこびりついている。この曲への彼女の貢献はとても完璧で、楽しくて、全体が死ぬことについて歌っているのに、外面的に陽気であることが本当にこの曲を艶やかにしている! 彼女は本当に素晴らしい」


「the situation」




リミナル・スペース

 

「リミナル・スペース」は、スラングやサブカルチャーの概念を指し示し、2020年代始めにインターネットから唐突に出てきた言葉である。

 

私達がいつも目にする何の変哲のない光景がある瞬間を期に、それとは全く別の意味を帯びることを意味する。これは本来の設計の意図とは別の意味を持つ「副次的な建築性」、「意図せぬ建築性」というきわめて斬新な建築学的な興味をもたらすとともに、社会学としても注目すべき概念であり、社会構造に生み出された「空虚な空間」や「穴」のようなものを象徴付ける。それは都市設計に発生した経済的な失敗であり、損失でもある。しかし、それらの負の遺産や瑕疵が現代社会の中で重要な意味を持つということを、リミナル・スペースは示唆している。

 

日本の作家で、無類のジャズ愛好家でもあった中上健次は、これに近い思想を持っていた。彼の場合は「ウツホ」という概念の中にリミナル・スペースを見出していた。生前の中上は、路地裏や裏通りといった日本独自の風景の底に、空虚さと得難い魅力が混在することを主張していた。これらの概念は、西岸良平の漫画そして後に映画化された「三丁目の夕日」などにも出てくる。

 



mxmtoon   「liminal Space」

Label: AWAL

Release: 2024年11月1日 


収録曲は未公開