New Album Review Catapults 「Acoustic Adventures」

 Catapults

 

カタパルツは、ドイツ・オルデンブルグにて、2017年11月に結成されたポップパンク/エモコアバンドです。

 

オルデンブルグ出身の四人組は、結成後まもなく、二作のEPをレコーディングし、六ヶ月で20ものライブアクトをこなした。

 

彼らのライブアクトは感情的なエネルギーに満ち溢れ、観客に対してダンサンブルな渦を巻き起こす。DIYのベースメントショーから、野外音楽フェスティバルまで網羅的に出演経験がある。

 

カタパルツの疾走感満載のパンチの聴いた楽曲性に加えて、往年のカルフォルニア・オレンジカウンティのパンクバンドのように、キャッチーなメロディーとフレーズを擁し、Jimmy Eat Worldを彷彿とさせるような、からりとした質感を持つ爽快さのあるボーカルを特徴としている。これまでドイツ国内で、パンクにとどまらず、様々なジャンルのファンを数多く獲得している。2019年に、EP「Greyscale」、2021年には傑作アルバム「I'll Be Honest」を残している。エモコア/ポップパンク好きにとってはストライクのバンドとなるはず。



「Acoustic Adventures」Uncle M Music

 


 

Tracklisting


1.If You Don’t  Matter,Nothing DoesーAcoustic

2.Everything(I Wish I Cloud  Claim To Be)ーAcoustic

3.DrawersーAcoustic

4.Newfound HomeーAcoustic

5.Beach Front PropertyーAcoustic

 

 

正直、いまいち、アメリカ国内の現在のエモコアパンクシーンがどうなっているのか、Oso Oso以外は見極めきれていないが、カタパルツのドイツのパンクシーンを見るかぎりは、今後、ヨーロッパに魅力的なエモ、ポップパンクシーンが形成されていくような気配もなくはない。

 

特に、カタパルツが昨年にリリースしたデビュー・アルバム「I'll Be Honest」は、ポップパンク/エモコアの2020年代の傑作にあげておきたい。まさに、ニュー・ファンド・グローリー、ダッシュボード・コンフェッショナル、ジミー・イート・ワールドの全盛期のキャッチーで爽やかなパンクアンセムを、このオルデンブルグの四人組は2021年に見事に蘇らせている。

 

さらに、カタパルツは、3月にリリースされたEP「Acoustic Adventures」において、文字通りアコースティックの冒険を試みようとしている。


前作の「I'll Be Honest」のアンセムソングをアコースティック・バージョンを再録し、それに加えて、ドイツ国内のインディー・ロックバンドのカバーを一曲収録しているのに注目だ。「Acoustic Adventures」は、サイドリリースの一貫として制作が行われているので、オリジナル作品に比べると、「何かちょっと物足りない?」と思う可能性もなくはない。けれど安心していただきたい、オルデンブルグの四人組は自分たちのパンクロックスピリットを放棄したわけではない。このEPで「Acoustic Adventure」は、ニュー・ファウンド・グローリー、ダッシュボード・コンフェッショナルのデビュー作のアンセムソングを彷彿とさせる溌剌さ清涼感のあるアレンジがなされている。

 

新たにリテイクが行われたこれらの五曲のアコースティック・バージョンは、カタパルツのメロディーセンスの良さがオリジナル作より引き出され、ジャック・ジャクソンのようなサーフ音楽に近い開放感のある雰囲気に彩られている。もちろん、アコースティックバージョンだからといって、彼らの最大の武器であるパンチ力が失われたわけではない。持ち前のメロディーや構成力が盤石であることがより一層明らかとなったとも言える。


これらのアコースティックバージョンの楽曲は、表向きには、穏やかな雰囲気を醸し出しつつも、バンドの音楽性の骨格がしっかり組み込まれており、それが、聞きやすく、親しみやすい形で提示されている。ドイツのポップパンク/エモコアバンドとして、今後、国内にとどまらず、ワールドワイドな活躍が期待されるバンド。前作のスタジオアルバム「I'll Be Honest」と一緒に、パンクファンは要チェックの作品です!!


68/100


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