【New Release】 The Jesus Lizard、 1998年の「Blue」以来となるニューアルバム『Rack』を発表  3rd Single「Moto(R)」がリリース

The Jesus Lizardが1998年以来となるニューアルバム『Rack』を発表

Joshua Black Wilkins

 

Preview

 

1970年代にオハイオやサンフランシスコが、Devo、The Residentsのような突然変異的なグループを送り出したように、90年代のテキサスは異端的なカルトバンドを輩出した。西海岸でもなく東海岸でもない、南部に位置するテキサスから、Butthole Surfers、Jesus Lizardといった最も個性的なバンドが出てきたことは、おそらく偶然ではなかったのである。テキサスのバンドは、いつも西海岸と東海岸の文化にもみくちゃにされながら、得難い文化的特性を生み出してきた。これらのバンドはどこからこのような音楽が出てきたのかと不思議に思わせる。

 

オースティン出身のヘヴィロックバンド、The Jesus Lizard(ザ・ジーザス・リザード)は、''Touch and Go''から初期のキャリアを出発させ、以降、グランジ/オルタナティヴのもう一つの流れを形作った。ある意味では、ワシントン州アバディーンのMelvinsとともに最重要視すべき存在である。

 

ジーザス・リザードの代表作は1990年代に集中しており、「Shot」、「Down」、「Liar」等がある。狂気的なボーカル、Drive Like Jehuを彷彿とさせるサイケデリック性とドライブ感のあるハードコアパンクを劇的に融合させた。どうしようもない駄曲もあるが、一方でハードコアやグランジの名曲もあるという点では、掴みどころがないバンドというのがJesus Lizardの正体であると言えそうである。同レーベルでは、スティーヴ・アルビニのバンド、Big Black、Shellacが有名だが、音楽そのものの過激さという面では、The Jesus Lizardがはるか上である。

 

ロックバンドは、常に社会的な役割の中で生きざるを得ない。そしてバンドはいつも社会的な生き物である。作り上げた音楽によって、社会や多くの人々にどんな影響を及ぼすのか。メジャーバンドからカルトバンドまで役割はさまざまである。The Jesus Lizardは、人間の中にある狂気や内面的な悲鳴を、カルト映画にようにリアルに描き出してきた。普通ではないもの、一般的ではないもの、異端的なもの、嫌悪を誘うもの、おぞましいもの、目をそむけたくなるようなグロテスクさ、彼らのロックミュージックは、そういった狂気がいかなる人々の中にも内在し、それをときにひた隠しにしていることを示唆する。かつてはピンク・フロイドがそのことをやったが、Jesus Lizardに関しては、それをアンダーグラウンドのレベルで行ってきた。

 

『Blue』以来の『Rack』は、バンドにとって何と約26年ぶりの新作となる。90年代終わりで、すべてをやりきったかに思えた、オースティンのバンド、そして、ヨウはまだなにかやりのこしたことがあるのだろうか?? 少なくとも、アルバム・ジャケットを見ると分かる通り、彼らはダブーへの挑戦、そして、デヴィッド・リンチの映画のような社会派の告発としての役割を残している。もし、次作に後期資本主義へのアンチテーゼやブラックユーモアが含まれているとするなら、それはJesus Lizardのロック音楽がまだリアリズムを失っていないことを意味する。

 


1st Single 「Hide & Seek」


プレスリリースの中で、ヴォーカルのデヴィッド・ヨウはリードシングル「Hide & Seek」について次のように評している「お行儀の悪い魔女の小唄であり、マイク・タイソンの試合と同じくらいフックがある」さらに、ギタリストのデュアン・デニソンは、「過去への言及は確かにあるが、それは出発点としての意味合いが強い。そこに留まることはない」と語る。


ジーザス・リザードは2009年、少数のライヴのために再結成された。「文字通り、レコードを作ったら楽しいと思ったから作っただけ」とベーシストのデイヴィッド・WMはコメントし、ドラマーのマック・マクナイリーも「僕たちは作る音楽によって、互いへの尊敬によって結ばれている」と語った。

 

 

 「Hide & Seek」




2nd Single 「Alexis Feels Sick」

©Joshua Black Wilkins

ザ・ジーザス・リザードが、26年ぶりのアルバム『ラック』からセカンドシングルを発表した。「Alexis Feels Sick」は、ボーイズ/ソウルサイドのドラマー、アレクシス・フライシグにインスパイアされた曲だ。

 

ヴォーカルのデイヴィッド・ヨウは、「アメリカの後期資本主義を嫌らしくコミカルに印象派的に描いた...、犬も出てくる」と表現したビデオを制作した。

 

ギタリストのデュアン・デニソンは、この曲を "貪欲、大食、そして...犬の研究 "と呼んでいる。以下からチェックしてほしい。

 

 

「Alexis Feels Sick」


 

 

3rd Single  「Moto(R)」



ジーザス・リザードがニュー・シングル「Moto(R)」を公開した。この曲は、前作「Hide & Seek」と「Alexis Feels Sick」に続き、バンドの近日発売アルバム『Rack』からのものだ。「Motörheadでもないし、Radioheadでもない」とギタリストのデュアン・デニソンは語っている。

 

以下のジョン・タッカー監督によるミュージックビデオでチェックしてみよう。ミュージックビデオは、バンドのライブの映像が使用され、サブリミナル効果として奇妙な目が登場している。

 

 

 「Moto(R)」

 

 

* The Jesus Lizardの26年ぶりとなる『Rack』は、9月13日にIpecacよりリリースされる。

 

 

The Jesus Lizard 『Rack』


 

Label: Ipecac

Reelase: 2024/09/13

 

Tracklist:


1. Hide & Seek

2. Armistice Day

3. Grind

4. .What If?

5. Lord Godiva

6. Alexis Feels Sick

7. Falling Down

8. Dunning Kruger

9. Moto(R)

10. Is That Your Hand?

11. Swan the Dog