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Interview (インタビュー)  - paniyolo  ー福島出身のギタリストの実像 ギターを始めた頃から現在までー

 

Paniyolo
渡辺明応とのコラボレーション


Paniyoloの名を冠して活動する高坂宗輝さんは、福島出身のギタリスト。小瀬村晶さん(Deccaに所属)が主宰するレーベル”Schole”に所属しており、これまで15年にわたってギタリストとして活動を続けてきました。

 

アコースティックやエレクトリックアコースティックギターを使用し、音楽の中にある安らぎというテーマを探ってきました。Paniyoloのギターには、Scholeのレーベルコンセプトが凝縮されている気がします。つまり、彼のギターの演奏は、忙しない日々の中に余白や落ち着きをもたらす。まさに現代の都会人が忘れてしまった何かを彼のギターの演奏は持ち合わせているのです。

 

Scholeのレーベルに所属するミュージシャンの多くは、私自身に音楽の楽しさをあらためて思い出させてくれました。今回、そのレーベルの象徴的なギタリストと交流できたことを嬉しく思います。今回のインタビューでは、ギターを始めたきっかけから、スコーレとの出会い、そして、ギタリストとしての近況に至るまで、いくつかの質問に答えていただくことが出来ました。

 

 
ーーpaniyoloさんが音楽に興味を持ち始めたのは何歳の頃だったでしょうか? 当時の記憶 について教えてください。

 


paniyolo: 自分で音楽を流すようになったのは小学校高学年の頃でした (90年代前半)。 親が買ってきたオーディオコンポと数枚のCDがきっかけですね。 (サザン・オールスターズ、チャゲアンドアスカ、 竹内まりやなど) その頃は楽器にはまだ全然興味がなかったです。



ーーギターを演奏するようになった契機についてご質問したいと思います。 今でも最初に演奏を始めた頃というのは思い出に残っていますか?


paniyolo: ギターを始めたきっかけは中学1年の頃でした。テレビで観たバンドの演奏でした。 ボーカルがストロークするアコギが聴き取れなかった。その音の正体を確かめたくて、 押入れにあった親のアコースティックギターを引っ張り出して、 C→Amをひたすら ストロークするところから始まりました。

 

 

ーーpaniyoloさんは福島のご出身ですが、どのような少年時代をすごしていたのか教えていただけますか。
 

 

paniyolo: 楽しかった思い出の方が多い気がするので、かなり恵まれていた環境だったと思いますね……。

 

ーープロミュージシャンとしてやっていこうと意識したのはいつ頃だったのでしょうか。 ま た、 そう思い立った具体的な出来事などありますか。

 

paniyolo: 音楽を通した人との繋がりが一番楽しくて続けているため、いつもそういった意識を持っているわけではないんです。誰かに楽しんでもらいたいという気持ちと、 自分自身が楽しみたい気持ち半々でやってます。

 

ーー最初のレコード「Im Home」は、scholeからのリリースとなったわけですが、 これは小瀬村さんからお声がかかったという感じですか。当時のことについて詳しく教えていただけると幸いです。


paniyolo:  scholeは発足当初、 CD付きのフリーマガジンを制作していました。 僕もその雑誌に音楽で参加したことがあるんです。

 

以降、scholeのメンバーとは、2000年代後半に流行っていたmixiやmyspaceなどで交流もありました。 2009年リリースの「I'm Home」は、 会話の流れで自然に決まっていったように思います。

 

最初は誰かとのスプリットアルバムの制作を提案してもらったんだと思います。 当時、scholeは、 「akira kosemura+haruka nakamura / Afterglow」 、「sawako+daisuke miyatani / hi bi no ne」など、スプリット・アルバムを発表していました。スプリット作品のシリーズ化をしたかったのだろうと思います。「自分はソロで出したい!」なんてワガママばっかり言っていました。(笑)

 


ーーその後、 paniyoloさんはギタリストとして、 およそ15年ほど活動していらっしゃいますね。 最初期と現在では、 曲の制作やギターの演奏に関して、どのように移り変わってきたとお考えでしょうか?

 

paniyolo:  実は……、表現したいことはずっと変わっていないんです。 誰かの日常に溶けて馴染むような音楽ができればと考えています。

 


ーー続いて、 アルバムや楽曲の制作に取り組む時の制作のプロセスについて教えていただきたいと思います。ソングライティングやレコーディングのときに、 あらかじめコンセプト やテーマのようなものを決めていますか?

 


paniyolo:  先ほどの発言とは矛盾するかもしれないんですが、 いざ作曲しようとギターを手に取った時は何も考えていないんです。弾いていて気持ちの良いフレーズ、メロディーを探してスケッチしている感じですね。

 

曲のタイトルは、完成した曲を改めて聴いて感じること、または浮かんだ情景などから、後でつけることが多いです。 何も考えずにギターを弾いたとしても、自分がやりたいコンセプトやテーマから逸れることはないですね。いや、もしかすると、それしかできないのかもしれないな... 。


太田美帆とのコラボレーション ©Yuri Kawabe
 

ーー近年では、 声楽家の太田美帆さんや、 スティール・パン奏者の渡辺明応さん、というよう に、多岐にわたってコラボレーションを行っていらっしゃいますね。 共同制作で心がけていることは何でしょうか。 また、コラボレーションで何か学びとなることがあれば教えてください。

 

paniyolo: コラボレーションは、まず、お互いの「らしさ」が感じられるものであると良いのかなと思っています。 それから、コラボするきっかけやタイミングは様々なんですが、とにかく楽しみたいという気持ちが強いですね。楽しんで作れた音楽ほど、遠くに届けられる気がしますし……。



ーー現在、 カフェのようなスペースでライブを行うことが多いようですが、 paniyoloさんにとってライブで一番楽しみにしていることは??

 

paniyolo:  窓から見える景色、 空間の響き、 美味しい珈琲、 お茶、 食事であったり......、楽しみは沢山です。そこで自分の好きなことを共有させてもらっているのですから、 かなり贅沢なことですね。
 


ーー最近よく使用しているギターや周辺機材について教えていただきたいと思います。 また、どんな点を気に入っていますか??

 

paniyolo:  つい最近まで、高校生の時に購入したギターを20年以上使用していました。 1st Albumから2023年リリースの「家並み」まで、ほとんどの曲をこのギターで録音したんですが、少しだけ、家でお休みしてもらうことにしました。 (リペアも必要になってきたので...) そして、 昨年新しいギターを手に入れました。今はそのギターと向き合っているという感じでしょうね。


ーーギタリストとして理想のプレイヤーを挙げるとするなら? また、 今後どのような演奏家を目指していきたいですか?



ずばり、アメリカのギタリスト、 アンドリュー・ヨーク(Andrew York)でしょう。 彼の清流のようなスムーズなプレイがとても好きです。「Woven World」という曲をぜひ聴いてみてほしい。


ーーさて、6月末にはニューシングル 「Utsukusisa-(うつくしさ)」 がリリースされました。夏の暑さを和らげてくれるような曲であると私自身は感じました。 この曲にはどんな想いが込められていますか??

 

Paniyolo: 「Utsukushisa」は、 今年4月に出演したイベントがきっかけで出来た作品です。 素晴らしかった一日がこの曲の制作につながりました。



paniyoloの新作情報


「Utsukushisa- 美しさ」- New Single (6/21)

 


 

楽曲の配信リンク: https://distrokid.com/hyperfollow/paniyolo/utsukushisa

 

 

「Natsunohi- 夏の日」- New Single (7/26)


 

楽曲の配信リンク: https://distrokid.com/hyperfollow/paniyolo/natsunohi


 

  Whitelands ©︎ Courtesy of The Artist


「I tend to find things that relate to my own emotions and have them as an influence」- 私は曲を制作するとき、自分自身の感情に関連するものを見つけて影響を受ける傾向がある。(Whitelands-Etienne)


ロンドンの四人組シューゲイザーバンド、Whitelandsはギターロックファンとしては注目しておきたいバンドである。エティエンヌ、ミカエル、ジャグン、そしてヴァネッサというラインナップで構成されている。バンドはボーカルのエティエンヌを中心に、英国のローハンプトン大学に在学中にキャリアを歩み始めた。当初、友達の誕生日にアコースティックセットを披露していたという。

 

今年始め、バンドは新作アルバム『Night- Bound Eyes Are Blind To The Day』をSonic Catherdalからリリースした。このアルバムは日本のシューゲイザーファンからも支持を獲得した。

 

今回、バンドのボーカリスト、またフロントマンでもあるエティエンヌに、最新アルバムについて、どのような音楽やカルチャーに影響を受けているのか、今後の展望について簡単に答えてもらうことが出来た。また、エティエンヌは、「日本にもシューゲイザーファンがいると聞いて嬉しい。日本語を勉強中」と教えてくれた。

 

2024年に入り、Whitelandsの快進撃はとどまることを知らない。Rough Tradeのイベントに出演したほか、8月上旬にはソニック・カテドラルが主催するイベントで、Slowdiveと共演を果たす。



--バンドはイギリスの大学で結成されたと聞きましたが、結成秘話みたいなものはありますか?

 

Whitelands- Etienne(エティエンヌ):  バンド名のWhitelandsは、私が在籍していたローハンプトン大学(ホワイトランズ・キャンパス)から取ったんだけど、実は大学にはあんまり行ってなかったんだ! よく友達の誕生日にアコースティック・セットをやっていて、それがバンドの始まりだろうね。


 ーーニューアルバムのタイトル 「Night-Bound Eyes Are Blind To The Day 」の由来を教えてください。


Etienne(エティエンヌ):  このアルバムのタイトルは、『預言者』という本の中に出てくる「夜に縛られた目が昼に見えないフクロウは、光の神秘を解き明かすことができない」という言葉から来ているんだ。アルバムのテーマと共鳴する、とてもかわいらしい言葉だと思っているよ。

 

ーー最新アルバムのレコーディングで印象に残ったことはありますか?



Etienne(エティエンヌ): 具体的には思い出せないんだけど、アルバムが完成したときの達成感かなあ。超集中していました!!



ーー日頃、どんな音楽を聴いている?



Etienne(エティエンヌ):  他の人たちのことはよくわからないけど、マイケルはジャングル、ドラムンベース、エイフェックス・ツイン、シューゲイザーのようなエレクトロニックなものをよく聴いているよ。ヴァネッサはメタルとパンクが好きなんだ。

 

ジャグンは、パラモア、ポップス、ヒップホップ、ラップをよく聴く。僕(エティエンヌ)もネオソウル、シューゲイザー系をよく聴くし、AKGは僕のプレイリストにちょっと増えてきているよ。



--音楽以外で影響を受けた文化やメディアを挙げるとしたら?


Etienne(エティエンヌ):  そうだね。面白いことに、アニメ、映画、本が多いかな。アニメは大きな存在だと思うよ。

 

なぜなら、実は、僕自身はアニメのオープニングがきっかけでロックに目覚めたから。思い返すと、Akgの「ハルカカナタ」と「アフターダーク」が最初に聴いた曲だったと思う。ジャグンとマイケルもアニメはよく見てると思う。僕とマイケルは「serial experiments lain」とか「welcome to nhk」みたいなニッチなものが好きなんだ。


僕は今までたくさんのアニメを見てきたから、特に2010年代のガレージ・サウンドに大きな影響を受けたのは間違いないよ。アルバムのレコーディングの頃、「エヴァンゲリオン」を見ていて、シンジにとても共感したんだ。映画も確かに大きな存在だよ。


「tell me about it」では、ウォン・カーウァイ(香港の映画監督)の「fallen angels」がパラレルになっている。私は、曲を制作するとき、自分自身の感情に関連するものを見つけて影響を受ける傾向がある。実はそれは、碇シンジのことでもあり、私のことでもあります。




ーーエヴァンゲリオンの碇シンジに共感しているということですが、どのような点で親近感を感じますか?


 

Etienne(エティエンヌ):  私は人とのつながりに苦労している部分があるので、そういう意味では似ていると思うよ!



ーー音楽制作やライブパフォーマンスを通して、ファンに何を伝えたいですか?



Etienne(エティエンヌ):  シューゲイザーは誰にでも演奏できるし、表現しがたい感情を持つこともできる! みなさんもぜひバンドを作ってください!!

 


ーー将来どんなバンドになりたい?



Etienne(エティエンヌ):  武道館をソールドアウトさせるようなバンドかな。でも、きっと多くのバンドがそう言うんだろうね...。

 


「Tell Me About It」- 『Night- Bound Eyes Are Blind To The Day』


London four-piece shoegaze band Whitelands are a band to watch out for as guitar rock fans. The line-up consists of Etienne, Michael, Jagun and Vanessa. The band, led by vocalist Etienne, began their career while studying at Roehampton University in the UK. Initially, they performed acoustic sets at friends' birthdays.


Earlier this year, the band released their new album ”Night- Bound Eyes Are Blind To The Day” on Sonic Catherdal. The album gained support from shoegaze fans in Japan.
 
We were able to ask Etienne, the band's vocalist and frontman, to briefly answer some questions about their new album, what kind of music and culture influences them and their future plans. Etienne also says: ‘I'm happy to hear that there are shoegaze fans in Japan. I'm studying Japanese’.
 
Entering 2024, Whitelands' rapid rise continues: in addition to appearing at Rough Trade events, they will perform with Slowdive at an event organised by Sonic Cathedral in early August.

 

--...I heard that the band was formed at a university in the UK, do you have any sort of secret story behind the formation of the band?

Whitelands(Etienne):  The band name came from Roehampton university where I had a performance, but I wasn’t actually going to the university! I was doing an acoustic set for my friend’s birthday, and it just happened to be there!

 

--Please tell us Origin of the title of the new album “Night-Bound Eyes Are Blind To The Day" .


Whitelands:  The title of the album came from a quote in the book The Prophet “The owl whose night-bound eyes are blind unto the day cannot unveil the mystery of light”. It is a very pretty quote that resonated with the themes in the album.


--Were there any memorable moments during the recording of the latest album?



Whitelands:  I cannot remember anything specifically, I think that feeling of having it finished hit us afterwards. We were super focused!



--What kind of music do you guys listen to on a daily basis?


Whitelands:  I’m not too sure about the others but Michael listens to a lot of jungle, drum and bass, Aphex Twin, very electronic stuff with some shoegaze. Vanessa loves metal and punk.

Jagun listens to a lot of paramore, poppy-stuff, hip-hop and rap. I (Etienne) listen to a lot of neo-soul, shoegaze stuff too, AKG has been coming up a bit more in my playlists and some number girl.



--If you had to name a culture or medium that has influenced you besides music, what would it be? 



Whitelands:  Funnily enough, lots of Anime, Films and Books. I think anime is a big one because it was my first introduction to Rock music because of the openings, when I think back I think 「Haruka Kanata」and 「After Dark」 by Akg were the first songs I heard.

I think Jagun and Micheal watch a lot of anime too, Jagun more than Michael, but me and Michael like the niche stuff like 「serial experiments lain」 or 「welcome to nhk」.

I have watched a lot of anime in my lifetime so it definitely did have a big influence especially that garage sound of the 2010s. I was also watching evangelion around the time of the album recording and related a lot to Shinji and he was the parallel for the song “chosen light”.

Films are definitely a big one, with “tell me about it” having “fallen angels” by wong kar wai as the parallel. I tend to find things that relate to my own emotions and have them as an influence when writing songs, so it can both be about shinji ikari and also about me.

 

--You say you identify with Shinji Ikari of  Evangelion, in what ways do you find a affinity with him?

 

Whitelands: I think I struggle a lot with human connection, so I think in that way, i am a lot like him, although his situation is probably a lot tougher than mine!

 

--What do you want to communicate to your fans through your music production and live performances?


Whitelands:  Anyone can play shoegaze, anyone can have emotions that are hard to describe, nothing can stop you! Make a band!


--What kind of band do you want to be in the future?


Whitelands:  The type of band that sells out the Budokan, but I bet a lot of bands say that….

Interview - Itasca

Itasca

 She said a fight between two people felt like an  ''imitation of war" ... (彼女は、二人の喧嘩は「戦争の真似事」のようだと言ったんです)     - Itasca


 This article is available in Japanese and English. Please read both episodes below.(このインタビュー記事は日本語と英語で掲載しております。双方のエピソードは下記よりお読み下さい。)
 
 
 
Itasca(イタスカ)は、ロサンゼルスを拠点に活動するギタリスト/シンガー/ソングライターのKayla Cohen(ケイラ・コーエン)の音楽的なアイデンティティであるという。人間がたえず同じ存在でないのと同様に、音楽も時間とともに変化ざるをえない。それでも、その中に普遍的な何かが存在する。
 
 
19世紀の擬似オジブエ語地名であり、ラテン語の「真実」(veritas)と「頭」(caput)の合成語である”イタスカ”という名前自体が曖昧なように、コーエンの音楽プロジェクトも変幻自在で多義的である。


ニューヨーク州ハドソン川近くで育ったコーエンは、2011年にブルックリンからLAに移住した。13歳でギターの演奏を始めた。ケイラ・コーエンのソングライティングのイディオムは、長年続けてきたノイズとドローンの練習から徐々に育まれてきた。
 
 
『Paradise of Bachelors- パラダイス・オブ・バチェラーズ』からの3枚を含む、数枚のリリースのプロセスで洗練されたイタスカとしての詩的で時空を超えたレコーディングは、本義から離れた土地性に加え、バロック的なアシッド・フォークを取り入れたソングクラフト、そして、脱構築的でテクスチュアルなソニックに対するヤヌスのような鋭いまなざしの双方を捉えている。
 
 
当初、ケイラ・コーエンは、アコースティックギターを中心とするフォーク・ミュージックを制作していたが、 2024年始めにリリースされた最新アルバム『Imitaion Of War』では、全体的な音楽性に若干の変化を捉えられる。エレクトリック・ギターの演奏を取り入れ、巧みなバンドアンサンブルを基底にし、フォーク・ロック寄りのアプローチへと音楽性も変化している。その中で、Itascaの新しいハイライト曲「Imitaion of War」も生み出されることになった。

 
今回、東京 7th Floor、京都 UrBANGUILDでの二日間に及ぶ来日公演を目前に控え、Itascaことケイラ・コーエンさんに、最新アルバムや音楽性について説明していただきました。その過程で、表向きのプレスリリースとは異なる「Relationship(信頼関係)」という考えが浮かび上がって来ました。
 
 
 
 
ーーまず始めに、今年2月に発売された『Imitation Of War(イミテーション・オブ・ウォー)」というアルバム・タイトルの由来について教えてください。


Itasca(Kalya Cohen):   友人と人間関係について話していたとき、友人関係も恋愛関係もそうなのだけど、私たちの関わり方、私たちが繰り返すパターン、私たちが変わろうとする方法……、それでも、その変化がいかに遅いかについて話していたことがありました。彼女は、”二人の喧嘩は「戦争の真似事」のようだ”と言ったんです。
 
 
このフレーズが私にとってかなり深い意味を持つのは、”人間の相互作用に対する距離を置いた視点”だからであり、このフレーズについて考えることは、私自身の厄介なパターンを見るのに役立つだけでなく、私たち全員がお互いに行っているダンスとそのユニークさにも感謝することに繋がりました。
 
 
 
ーー制作全般とそのプロセスについて、心がけたことや工夫したことを教えていただけますか。


Itasca:  ギターがとても生き生きとしていて、部屋の中に存在し、柔らかく、織り成しているように感じさせたかった。
 
ロビー・コーディには、レコーディング中のマイクテクニックや部屋の音についてのアイデアを通して、それを実現する手助けをしてもらいました。ヴォーカルも、リスナーが部屋にいるような臨場感を出したかった。全体的に、暖かく包み込むようなハートウォーミングなサウンドにしたいと思ってました。 
 
 

ーーアルバム制作中の印象的な出来事があれば教えて下さい。

 
Itasca:  2020年の秋、セコイア国立森林公園の一軒家で、数人の友人と隔離されながら、作曲とレコーディングをしました。そこで「Tears on Sky Mountain」、「Dancing Woman」、「Under Gates of Cobalt Blue」を始めとするアルバムの曲を何曲か書き上げました。
 
 
国立森林公園に滞在していた間、15マイルほど離れたところで山火事が起きていて、私たちは常に火災の周辺地図を見ながら、はるかむこうに煙が上がっているのを見ていました。煙と炎に包まれた空間で生活するのは非現実的な体験で、空は昼でも不吉な霞がかった濃い灰色だった。


その感覚はアルバムにもはっきりと表れていると思います。暗闇の感覚と同時に、夜が魔法や記憶を呼び起こすこともある。
 
 
 
ーーレコーディングにおけるバックバンドの貢献について教えてください。
 

バンドはとても多くのことに貢献してくれています。全員がそれぞれのパートを書き、それぞれの曲の誕生に貢献してくれています。
 
 
例えば、「Imitaion of War」でのエヴァン・バッカーの中世的なトーンのベースラインはもちろん、同曲でのエヴァン・バローズの複雑なドラム・フィル、あるいは、「Tears on Sky Mountain」でのダニエル・スワイアーのまばらで繊細なドラム・パートなど、それぞれのパートに力強い個性が感じられます。このアルバムが成功したのは、彼らの力添えがあったからなのです。
 


ーーギタリストとして、あなたが音作りで大切にしていることは何ですか?
 

Itasca: ギターというのは感情を表す楽器で、繊細な可能性を秘めています。私のギタリストとしての主な仕事は、地下から水のような音を湧き上がらせることができるように、情緒的で深みのある場所に素早く落とし込み、演奏中はその場に留まり、意識的な世界とエネルギー、感情、記憶といった微妙な世界をつなぐ”ダウジング・ロッド”のような役割を果たすことです。
 
 
実は、これは演奏するときの私の永遠の目標です。技術的な練習は、このプロセスをより簡単で流動的にするための方法でもある。



ーーフォーク・ミュージックを演奏する際に最も重要なことは何でしょうか?
 

Itasca:  例えば、アルバムというのは、私の人生の一部分を切り取った"スナップショット"なのです。演奏するとき、私は、過ぎ去った期間、レコードを書き、レコーディングした期間、そしてその期間に起こったすべての感情や出来事にたゆまぬ敬意を表そうとしています。
 
さらに演奏を重ねることで、過去の記憶を今この瞬間に蘇らせ、物質化することが私の目標となっています。そうすることで、私は過去の自分とのパイプ役のような気分でパフォーマンスをしている。


ーー来月の公演のセットリストはもう決まっていますか?

 
Itasca:  ええ。ニューアルバムからの曲、新しい未発表曲、古い曲、そしてサプライズでカバー曲をミックスして演奏する予定です。
 
『イミテーション・オブ・ウォー』のフィーリングを深く追求し、あの山火事の中でレコーディングした時のフィーリングや、夜のトーンに到達しようとするセットが中心になると思いますね。


ーーずばり、来日時に楽しみにしていることは?


Itasca:いろいろあります! 私はアマチュアの陶芸家であり、木工家であり、日本の陶器、建築などを勉強してきました。見るもの、吸収するものがたくさんあると思います。日本を訪れるのは初めてなので……。
 
 
また、私は温泉と日本の入浴文化のファンです。たくさんの新しい人たちに会うのを楽しみにしています!!
 
 
 
 
「Imitation of War」- Music Video



 
Itascaの新作アルバム『Imitation Of War』に関する詳細はこちらから。



Episode in English:
 

 Itasca is the musical identity of Los Angeles-based guitarist/singer/songwriter Kayla Cohen. Just as people are not always the same, music must change over time. Still, it is surprising that something universal exists within it.
 
 
 Just as the name "Itasca," a 19th-century pseudo-Ojibwe place name and a compound of the Latin words "truth" (veritas) and "head" (caput), is itself ambiguous, so is Cohen's musical project.


 Cohen, who grew up near the Hudson River in New York State and moved to LA from Brooklyn in 2011, began playing guitar at age 13. Her songwriting idiom gradually emerged from years of noise and drone practice.
 
 
 Her poetic and timeless recordings as Itasca, refined over the course of several releases, including three from Paradise of Bachelors, are a reflection of this misaligned geography, baroque, acid-folk-infused songcraft, and de-escapism. Janus-like gaze on both the constructed and textural sonic is captured.
 
 
 Initially, Kayla Cohen produced acoustic guitar-driven folk music, but her latest album, Imitation Of War, released in early 2024, captures a slight shift in her overall musical style. The music has shifted to a more folk-rock approach, incorporating electric guitar playing and a clever band ensemble as its foundation. Itasca's new highlight, "Imitation of War," was also created in the process.

 
 In anticipation of their upcoming two-day tour of Japan, which will take place at the 7th Floor in Tokyo and UrBANGUILD in Kyoto, I had the pleasure of speaking with Kayla Cohen, aka Itasca, to learn more about their latest album and their musicality. In the process, the idea of "Relationship" emerged, which is different from the ostensible press release.

 
 
--Can you tell us about the origin of the album title "Imitation of War”?

 
Itasca: I was talking to a friend about relationships - both friendships and romantic relationships - and we were talking about the ways we interact, the patterns we repeat, the ways we try to change, but how slow the change can be. 
 
She said a fight between two people felt like an "imitation of war" ... and the phrase stuck with me and became more nuanced. 
 
It's deep to me because it's a distanced perspective on human interaction, and musing on the phrase can help me see my own troublesome patterns, but also appreciate the dance that we all do with each other and its uniqueness.
 
 
 
--Please tell us about what you tried to keep in mind and what you tried to do about the production in general and the process in particular.
 

Itasca: I wanted the guitars to feel very alive, present in the room, soft, weaving. Robbie Cody helped me achieve this through his mic-ing techniques and ideas about the room sound while we were recording. 
I also wanted the vocals to feel very present, like the listener is in the room. Overall I wanted the sound to be warm and enveloping.  


--Please tell us about any memorable events during the making of the album.

 
Itasca: In the fall of 2020 I spent some time in a house in the Sequoia National Forest writing and recording music, quarantining with a few friends.
 
 I wrote some songs from the album there: "Tears on Sky Mountain," "Dancing Woman," and "Under Gates of Cobalt Blue". 
 
There was a wildfire burning about 15 miles away while we were there, and we were constantly looking at the fire perimeter map and seeing smoke outside. It was a surreal experience living in this space of smoke and fire, the sky was an ominous hazy dark grey even at noon. 
 
I think the feeling comes through in the album, a sense of darkness, but also the way night can evoke magic and memory. 



--Can you tell us about the contributions of your backing band to the recording?


The band contributes so much, they all wrote their individual parts and helped bring each song into being. 
 
I hear a lot of personality in each part, Evan Backer's medieval toned bassline on "Imitation of War", Evan Burrows' complex drum fills on the same song, Daniel Swire's sparse and sensitive drum part on "Tears on Sky Mountain". The album is successful to me because of their additions.



--As a guitarist, what are some of your specialties in sound creation?


The guitar is such a feeling-toned instrument and it has so much subtle potential. 
 
My job as a guitar player is to quickly drop into the place of emotionality, of depth, where I can bring watery sounds up from underground, and to stay in that place for the duration of the performance, acting as a dowsing rod that connects the conscious world and the subtle world of energy, feeling, and memory. 
 
This is my eternal goal when playing, and technical practicing serves as a way to make this process easier and more fluid.



--What is most important to you when performing folk music?


An album is a "snapshot" of a span of time, a section of my life. When performing, I'm trying to honor this time period that has passed, the period of writing and recording the record; and all of the emotions and events that happened during that span.
 
In performing, my goal is to bring this memory into the present moment, to resurrect it and bring it into materiality. In that way I feel like a conduit for my past self when I perform, and I must ignore my own judgments about my past self in order to honor the album as a piece of art in itself.



--Have you already decided on the setlist for the Tokyo/Kyoto show next month?


Itasca: Yes, we will be playing a mix of songs from the new album, a few newer unreleased songs, a few older ones, and a cover as a surprise. 
 
The set will mostly be focused on going deep into the feeling of Imitation of War, trying to reach the feeling of recording in that wildfire, and the tone of nighttime. 



--What are you looking forward to when you come to Japan?


Itasca: So many things! I am an amateur potter and woodworker, and I have studied Japanese pottery, building, and architecture. 
 
I know there will be so much for me to see and take in. This will be my first time visiting Japan. I'm a fan of the onsen and of japanese bathing culture. Also I'm looking forward to meeting many new people!



* For more information about the new album "Imitation Of War", click here.




 

 Itasca, the project of American female folk singer Kayla Cohen, who just released her ninth and latest album "Imitation of War" this year, will make its long-awaited first visit to Japan. Itasca will perform two shows in Tokyo and Kyoto with singer-songwriter ''Uki'' as tour support. Details are as follows.

 

 今年、9枚目となる最新アルバム『Imitation of War』を発表したばかりの米国のフォークシンガー、Kayla Cohenによるプロジェクト、Itascaが待望の初来日公演を行います。ツアーサポートにシンガーソングライターの''浮''を迎え、東京・京都で2公演を行います。詳細は下記の通りです。

 



INDIE ASIA presents   ''Itasca Japan Tour 2024''



7/9日(火)

 開場19:00/開演19:30

東京・渋谷7th FLOOR

 

7/10(水) 

開場19:00/開演19:30

京都・京都UrBANGUILD


全席自由 ¥4,800(税込)+1ドリンク代別途

 

 


July 9 (Tuesday)

 Doors open 19:00 / Concert begins 19:30

Shibuya 7th FLOOR, Tokyo
 

July 10(Wed)

Doors open 19:00 / Concert begins 19:30

Kyoto, Kyoto UrBANGUILD


All seats unreserved 4,800 Yen (tax included) + 1 drink not included

Loscil's comments on the new EP “Umbel      

Loscil : courtesy of the artist

 

 

新作EP「Umbel」に関するLoscilのコメント

 

ロスシル(スコット・モルガン)はカナダ/バンクーバーの電子音楽家で、2000年代からエレクトロニック/アンビエントを筆頭に多数の作品を制作してきました。

 

彼の作品は、ニューヨークのWilliam Basinsky、オーストリアのFenneszといった伝説的な音楽家に匹敵するものです。ロスシルは、これまでシカゴの実験音楽を専門とするレーベル"Kranky”からリリースを行い、アメリカやイギリス等、国際的な評価を獲得しているミュージシャンである。

 

一昨年には、イギリスの公演で、日本の電子音楽家、畠山地平(Interview)との共演も行っています。今回、新作EP「Umbel」をリリースしたばかりのスコット・モルガンさんにご意見を伺うことが出来ました。

 

 

--タイトルの由来を教えてください。


ロスシル:   アンベルとは、カエデの花によく見られる花の構造です。 楽曲に添えられている写真は、カエデの花の下で撮影されたものなので、作品にふさわしいタイトルだと思いました。



--制作にあたって工夫したこと、心がけたことは?


ロスシル   このプロジェクトは、音と同じくらいイメージに関わるものです。 この2つを面白い方法で組み合わせようとしました。 

 

写真の長時間露光は、しばしば鏡のように曇った絵画的なイメージを生み出しますが、それはアンビエント・ミュージックの制作過程にとても似ていると思います。 

 

シンセやサンプラーを使って音の層や雲を作り、リバーブやグラニュレーション、ディレイを使って音を汚したりぼかしたりした。 これらの音響効果は、私が音とイメージの両方で惹かれる奥行きとスケールの感覚を作り出します。




--アルバム制作で最もエキサイティングだった瞬間を挙げるとしたら?



ロスシル:   ブラック・コーポレーションという日本の会社が作った"Deckard's Dream MK2"というシンセサイザーを使うことに多くの時間を費やしました。 

 

私のこれまでの作品のほとんどは、楽器のサンプルやフィールド・レコーディングを重ねたり加工したりして作られています。 正直なところ、シンセサイザーはあまり好きではなかったのですが、”Deckard's Dream”は私にとって非常に刺激的で、音の密度と質量を作り出すために、このシンセサイザーで音をシェイプしたり、リサンプリングしたりすることに多くの時間を費やしました。



--アンビエント制作の醍醐味は何ですか?



私にとって、新しい作品がバランスをとる瞬間をいつも探しています。 それまでは、音が退屈だったり、苛立たしかったりするのですが、音のバランスを見つけると、ある種の瞑想的な感じで長時間聴くことができるようになります。 新しい作品では常にこの瞬間を探し求めていて、それを見つけたときに完成したことを実感します。


--Umbelを聴くファンに一言お願いします。



少し忍耐が必要な作品なので、管理された環境で深く聴いて楽しむのが一番です。 時間をかけて聴いていただき、ありがとうございます。



--今後の作品の展望を教えてください。



アメリカのレコード・レーベル、krankyの次のフル・アルバムの完成に近づいています。 すぐに完成させて、来年中にはリリースしたいと思っています。 この作品は"Umbel"とはかなり違いますので、共有できることを楽しみにしています。

 


--お忙しいところ、お答えいただき、ありがとうございました。今後のご活躍を期待しております。

 

 

Loscil (Scott Morgan) is a Canadian/Vancouver electronic musician who has produced numerous electronic/ambient works since the 2000’s, most notably electronic/ambient. 


His work rivals that of such musical legends as New York's William Basinski and Austria's Fennesz. Loscil is a musician who has released music on Chicago's Label "Kranky", which specializes in experimental music, and has won international acclaim in the US, UK, and elsewhere.

In the year before last, he performed in the UK with Japanese electronic musician, Chihei Hatakeyama. We were able to ask Loscil who has just released his new EP “Umbel,” for his opinion.

 

 

 Episode In English: 


--Please tell us about the origin of the title.


Loscil:   An Umbel is the structure of a flower commonly found on a maple blossom.  The photographs that accompany the music were taken under a blossoming maple tree so I thought this would be a suitable title for the work. 



--What you tried to devise and keep in mind in the creation.


Loscil:   This project is as much about image as it is sound.  I was trying to combine the two in interesting ways.  Long exposures in photography often produce mirky, cloudy, painterly images which I find very similar to the process of making ambient music. 

 I used synths and samplers to build layers and clouds of sound and used reverb, granulation and delay to smear and blur the sound.  These effects, both with the images and the sound, create a sense of depth and scale which I am attracted to in both sounds and images.


--If you had to name the most exciting moment in the making of the album.



Loscil:   I spent a lot of time using a synthesizer called the "Deckard’s Dream MK2" made by a Japanese company called Black Corporation.  

Most of my previous work is built using samples of instruments and field recordings layered and processed.  I’ve never been very fond of synthesizers, to be honest, but the Deckard’s Dream was quite evocative to me and I spent much time shaping sounds with it and resampling it to create density and mass in the sound which I found very exciting.



--What do you find most enjoyable about ambient production?



Loscil:   For me, I am always searching for the moment a new piece comes into balance.  Before this time, the sounds can be quite boring or irritating, but when you find the balance in the sound, it becomes possible to listen for long periods of time in a kind of meditative way. 

 I am always seeking out this moment with a new work and when I find it, I know it is finished.


--What would you like to say to the fans who listen to “Umbel”?



Loscil:   It is a work that requires a little patience and is best enjoyed with deep listening in a controlled environment.  Thank you for taking the time to listen.  



--What is your outlook for future productions?



Loscil:   I am very close to finishing my next full length album for the American record label, kranky.  I hope to finish this soon and release it within the next year.  This work is quite different from Umbel and I look forward to sharing it.

 

 

Thank you for taking time out of your busy schedule to answer our questions.

 

Lightning Bug


* *This article is available in both Japanese and English. Please scroll down to read the episode in both languages. 


(この記事は日本語と英語の双方で掲載しています。両言語のエピソードは下にスクロールしてお読み下さい)

 
Lightning Bugは、Audrey Kangを中心にニューヨークで結成されました。現在は四人編成で活動を行っています。


 
2015年に自主制作盤『Floaters』をリリースした後、ミシシッピのレーベル、Fat Possumと契約を結び、2作のフルアルバム『October Song』、『Color Of The Sky』を発表しました。バンドの音楽性の特徴は、浮遊感のあるドリーム・ポップと爽快感のあるインディーフォークの融合です。ライトニングバグのサウンドはバンドアンサンブルの巧みな演奏力と、ボーカリストのオードリー・カンのボーカルの魅力によって作り上げられます。2024年に入り、バンドはレーベルとの契約を終了し、再び自主制作盤をリリースすることを発表しました。


 
ライトニング・バグのバンドとしての新たな旅の始まりを象徴付けるのが、5月3日にリリースされるフルアルバム『No Paradise』となる。公式のプレスリリースとは異なり、感覚的な体験として音楽を楽しんでもらいたいというアーティストの思いを感じ取ることが出来るはず。そのエピソードの全容は以下の通りです。

 


--まず、バンドのニューアルバム『No Paradise』について質問させてください。このアルバムを通してリスナーに伝えたかったことは何ですか? また、この音楽から何を感じ取ってほしいと思いますか?






Lightning Bug(Audrey Kang): リスナーが、生きているということの身体性や官能性とつながる助けになればと思います。現代生活の多くには、頭の中にあるバーチャルな交流が含まれている。この音楽が、人々が自分の身体にもっと入り込む手助けになればと思います。



 


--2021年の”A Color of the Sky”と比べて、バンドの音楽的アプローチにおいて何が変わったと思いますか? 自主レーベルからのリリースということで、作曲やレコーディングのプロセスに大きな変化はありましたか?
 
 
Audrey Kang:  自主レーベルからリリースすることで、自分たちのルールに従うことができるようになりました。
 
幸いなことに、マーケティングのスケジュールや業界のタイムラインに従わなければならないというプレッシャーもありませんでした。私たちの音楽的アプローチは、より極端で絶対的な方法で自分たちの世界を作り上げることができたということを除けば、特に変わりはありませんでした。


  


--アルバム制作の前に、メキシコからニューヨークまでバイクで旅をしたと聞きました。まるで映画のようで、驚きました。なぜ、そんなことをしたのですか? 旅の途中で印象的な出来事はありましたか?
 


 
Audrey Kang: この旅に出たのは現実的な理由からで、メキシコにバイクを置いていく代わりに、自分のバイクを残しておきたかったからです。


 
また、私は良くも悪くも、ひとたび気まぐれが頭をよぎると、とても夢中になるタイプなんです。そして、その気まぐれを実現するためにかける気概もある。だから、一時の夢はすぐに現実のものとなるんです。


 
突然、私は、この牛の群れの一員として動き出したんです。すぐ前を若い子牛が走っていましたが、私がついてきているかどうかを確認するかのように、私を振り返り続けたんです。ひづめが舗装道路を踏む音、バイクのエンジンの柔らかい音、そして遠くから聞こえる鳥のさえずり...。日差しが牛の体を照らし、まるで牛が金色に彫られているように見えました。あまりの美しさに、私は息を止めていました。そして、牛たちは野原に分け入り、私たちは別れたのです。

 
--続いて、バンドの音楽性についても質問していいですか? これまでドリーム・ポップ、インディー・フォーク、ロックなど幅広いジャンルがライトニング・バグの主な音楽スタイルを形成してきました。 


 
新作に先立つシングルを聴く限り、音楽という枠にとらわれない開放感があるように思えます。音楽を映画や文学、映像のように解釈しているのではないかと思ったのですが、それについてはどうお考えですか?


 

Audrey Kang:  音楽を作るときは、(ジャンルやバンドにインスパイアされるよりも)映画や文学に直接インスパイアされることが多いですね。通常、映画や本は、私の中に深い感情を呼び起こしたり、新しい方法で何かについて考えさせたりします。このようなインスピレーションの感覚に動かされ、自分の感情を歌に変換することがよくあります。また、音楽は映画や本と同じように、ストーリーを伝えたり、聴く人を感動させたりするもうひとつの方法だと考えるのも好きですね。




 


--バンドの音楽を聴く限りでは、他の媒体の芸術を音楽という形に置き換えるという考えについては納得出来るような気がします。ミュージックビデオでもそれらのことは表現されているようです。また、より具体的に、ニューアルバムのプレスリリースを読むと、アルバムは「悲しみ」から出発しているみたいですが、その出口は、曲作りのプロダクションやバンドとのライブ・セッションを通して、どこに導かれたのでしょうか? 何か新しい発見があったのでしょうか?
 
 
Audrey Kang: 最初のテーマとしての「悲しみ」から少し離れることで、より強く、より主張の強い感情を音楽で追求することができたと思います。音楽により大きなエッジを与え、後押ししてくれました。また、情熱、ロマンス、冒険、希望などを音楽で表現することは、単純にとても楽しいことでしたね。





--この質問はシンガーソングライターについてというより、バンドの音楽についてです。ライトニング・バグの音楽にはニューヨークのテイストが含まれていると思いますか? シンセポップが盛んな印象がありますが?
 


Audrey Kang: 実は・・・、私たちの音楽がニューヨーク的だとは思っていないんです。私たちはニューヨークの音楽シーンから少し離れていて、あんまり馴染めないんです。ニューヨークのミュージシャンの多くは、現代の生活や人間関係を探求することに重きを置いていると思います。それに比べると、わたしたちの音楽はもっと古典的なテーマを扱っていることが多いと思いますね。
 
 
--バンドの曲作りはどこから始まるのでしょう? メンバーの誰かがデモを持ってくるのでしょうか? それともスタジオでのセッションから始まるのでしょうか? また、どのようにして完成させますか?





Audrey Kang:  私が曲を書いて、バンドに持ち込みます。多くの曲は、ケヴィンと私が一緒にデモを作って、フィーリングや大まかな方向性をつかんでいく感じです。それからバンドで、しっくりくるまで演奏をしていきます。



--次に、オードリーさんについて質問させてください。あなたの声にはカレン・カーペンターのような落ち着きと柔らかさがありますね。シンガーとして影響を受けたアーティストはいますか? また、できればあなたがどんな音楽を聴いて育ったのかも知りたいです。


 
Audrey Kang: 私の歌に最も大きな影響を与えたのは、比類なきカレン・カーペンター、ドロレス・オリオーダン、サンディ・デニー、ニーナ・シモン、ベス・ギボンズだと思う。

 


不思議なことに、私は音楽を聴かずに育ちました。私はどちらかというと芸術のない家庭に住んでいたのです。両親はあまり文化に触れさせなかったし、音楽を楽しむために聴くこともありませんでした。


正直なところ、私に大きな影響を与えた最初の音楽アーティストは、アヴリル・ラヴィーンだった。今でも『Let Go』は完璧なアルバムだと思っています。それから、高校時代のボーイフレンドは、私に "インディ・ミュージック "の世界を教えてくれた人だった。彼は、ザ・マウンテン・ゴーツ(敬愛するジョン・ダーニエルにエールを送ります)のようなバンドを聴いていた。巨大な音楽の世界を知ったことは、私の人生の軌道を大きく変えたのです。
 
 
--アヴリルは私も好きだけど、少し意外だった。また、今後ライトニング・バグとして音楽シーンにどのような影響を与えていきたいですか?


 

Audrey Kang: うわぁ、こんなこと考えたこともなかったよ...。バンドとして、未来のミュージシャンたちに "自分たちのやり方でやってみよう "というインスピレーションを与えることができたらいいと思うな。






--最後の質問です。オードリーさんが次に旅行したい場所を挙げるとしたら? また、そこで何をしてみたい?


 
Audrey Kang:  東ヨーロッパをバイクで旅したいですね。グルジア(という国)を見て、学びたいと思っています。






--お答えいただき、ありがとうございます。バンドの他の皆さんにもあらためて感謝いたします。新作アルバムのリリースをお祝いしたいと思います。今後の活躍にも期待しています。



 
 
ライトニング・バグの新作アルバム"No Paradise"は5月3日より自主レーベルより発売中です。


 
 
 
・Episode In English:


--First, let me ask you a question about the band's new album "No Paradise". What is the message you wanted to convey to listeners through this album? Also, what do you hope listeners will take away from this music?


 


Lightning Bug(Audrey Kang): I hope this helps listeners connect with the physicality and sensuality of being alive. A lot of modern life involves virtual interactions that are in the mind. I hope this music can help people get more into their bodies. 



--What do you think has changed in terms of the band's musical approach compared to "A Color of the Sky" in 2021? Since you are releasing the album on your own label, have there been any major changes in the writing and recording process?
 

Audrey Kang:  By self-releasing, we were really able to follow our own rules, which I guess means no rules. No pressure to adhere to any marketing schedule, or industry timeline. Our musical approach didn’t really change, except I suppose we were able to create our own world in a more extreme and absolute way. 



--I heard that you traveled from Mexico to New York by motorcycle before making the album. It was like a movie, and I was amazed. Why did you do that? Were there any memorable events during your trip?
 
 
Audrey Kang: I embarked on this trip for practical reasons, because I wanted to keep my motorcycle instead of leaving it behind in Mexico. Also, for better or for worse, I’m the kind of person who gets very obsessed once a whim enters my mind. And I have a lot of gumption to put into realizing these whims. So a passing dream can very quickly become a committed reality.


There were countless things from the trip that are forever embedded into my memory. But I’ll share this: one dawnlit morning, I was riding through the rising fog on a curving country road, and a herd of cows ran onto the road before me. Suddenly, I was moving as part of this herd. 


There was a young calf running right in front, who kept looking back at me as if it wanted to make sure I was following. The only sounds were the hooves on the pavement, the soft purr of the bike engine, and the faraway singing of birds.
The sunlight was lighting up the bodies of the cows so it looked like they were each carved in gold. I was holding my breath, it was so beautiful. Then, the cows broke into a field, and we parted ways, never to meet again. 

 

--Perhaps the best part of life is some kind of direct experience, and perhaps we overlook such miraculous events in our daily lives. 


Can I also ask a question about the band's musicality? In the past, a wide range of genres such as dream pop, indie folk, or rock have formed Lightning Bug's primary musical style. 



From listening to the singles that precede the new album, there seems to be a sense of openness that is not confined to the framework of music. I found myself wondering if you are interpreting music as if it were film, literature, or visuals; what are your thoughts on this?
 

 
Audrey Kang: I would say I’m more directly inspired by film and literature (versus being inspired by genres or bands) when making music. Usually, film or books will spark a deep feeling in me, or make me think about something in a new way. This sense of inspiration often moves me to translate my feelings into song. I also love to think of music as another way of telling a story, or transporting a listener, just like a film or a book.






 

--As far as the band's music is concerned, I feel very comfortable with the idea of replacing the art of other mediums with the form of music. It seems that the music video also expresses these things. 


Also, more specifically, reading the press release for the new album, it seems that the album departs from "sadness," but where did that exit lead you through the songwriting production and live sessions with the band? Did you discover anything new?





Audrey Kang: I think moving away from “sadness” as a theme allowed us to explore stronger, more assertive feelings in the music. It gave the music a greater edge, a push. It was also simply more fun to instead explore passion, romance, adventure, and hope in our music.







--This question is more about the band's music than about the singer/songwriter. Do you think Lightning Bug's music has a New York flavor to it? Do you get the impression that synth-pop is thriving?




Audrey Kang: I actually don’t really think we sound very New York. We’re a bit removed from the NYC music scene, we don’t quite fit in. I’d say a lot of NYC musicians are more concerned with exploring modern life and relationships. I believe our music carries older themes, in comparison.







--Where does the band's songwriting process begin? Does one of the members bring a demo to the band? Or does it start with sessions in the studio? And how is it completed?






Audrey Kang: I write the songs, and bring them to the band. For a lot of the songs, Kevin and I made demos together, just to capture the feeling and general direction. Then together as a band, we play till it feels right. 


--Next, let me ask a question about you. Your voice contains a calmness and softness. Are there any specific artists who have influenced you as a singer?  Also, if possible, I would like to know about the kind of music you grew up listening to.



Audrey Kang: I think the biggest influences on my singing are the peerless Karen Carpenter, Dolores O'Riordan, Sandy Denny, Nina Simone, and Beth Gibbons.

Strange to say, I didn’t listen to music growing up. I lived in a rather artless household. 

My parents didn’t expose me to much culture, and they didn’t listen to music for enjoyment. Honestly, the first musical artist who had a big influence on me was Avril Lavigne. To this day I believe that “Let Go” is a perfect album.
 
Then, my high school boyfriend was really the person who showed me the world of “indie music.” He listened to bands like The Mountain Goats (shout out to the beloved John Darnielle). That revelation about a massive world of music really changed the entire trajectory of my life.





 

-- I like Avril too, but that was a little surprising. Also, what kind of effect do you hope to have on the music scene as Lightning Bug in the future?




Audrey Kang: Oh wow, I’ve never really thought about this. I hope that we as a band can inspire future musicians to “do it their own way.” 


--So, last question. If Audrey could name the next place she would like to travel, where would it be? And what would you like to do there?




Audrey Kang: I’d love to go on a motorcycle trip through eastern Europe. I’ve been really wanting to see and learn about Georgia (the country).
 

--Thank you so much for taking the time to answer our questions!! And thanks again to the other members of the band!
 
 
* Lightning Bug's new album "No Paradise" is available on May 3 on their own label. 

Interview - Celestial Trails Up-and-coming ambient producer from San Francisco


 

This process opens the gateway to surrealism, the unknown, and beyond what we can see.

- Celestial Trails


Notice:  This article is published in English&Japanese. Read the both language article below.


お知らせ: 本記事は英語と日本語で掲載されています。両言語の記事は下記よりお読みいただけます。



Episode in English


Celestial Trails, the San Francisco, California-based solo ambient music project of Fluttery Records founder Taner Torun, makes its debut on ''Lunar Beachcomber''.


Celestial Trails paints sonic tapestries layer by layer, seamlessly blending the warmth of organic textures from piano, analog synths, electric and bass guitars with the precision of virtual electronic instruments. Organic recordings are enriched using electroacoustic techniques such as reverb, delay, harmonizing, tape manipulation, and sonic deconstruction. Additionally, tape-manipulated field recordings captured during nature hikes and city walks are seamlessly integrated as another layer.


From seed to final form, Lunar Beachcomber’s recording process unfolded between June 2023 and January 2024. The first recording was in Pittsburgh, PA on a sleepless hot summer night, while the last one took place in San Francisco, CA. All recordings for the album were captured exclusively in these two cities.

 

For this issue, Music Tribune was able to discuss with an up-and-coming ambient producer from San Francisco.

 


Music Tribune:

 

First of all, can you tell us about your biography as an artist? When did you start
making ambient music? How did you connect it to your current form of music?

 

Celestial Trails(Taner Torun):


My musical journey began in punk and post-punk bands, where we cut our teeth with demos during my late teenage years. In my early twenties, I found myself drawn to the dreamy vibes of post-rock and modern classical music.

As a music enthusiast, I'd always dabbled in ambient music, but it wasn't until 2006 that I truly fell in love with the genre. That year, The Belong's album "October Language" struck a chord within me and I fell in love with ambient music. From there, I went on a quest to uncover more ambient gems, discovering the likes of William Basinski, Tim Hecker, and Rafael Anton Irisarri.

Eager to dive deeper, I set out to get my hands on the gear and software needed to bring my own ambient visions to life. Those early experiments were just the beginning of a thrilling ride into music production, both for myself and alongside fellow artists. 



Music Tribune:

 

Were you involved in any form of music production before you started your ambient
project?

 

 

Celestial Trails:

Back in the summer of 2006, a group of us kindred spirits started messing around with some experimental music. We recorded five tracks together, then finished the album by digitally passing files back and forth. When it felt complete, we uploaded it on Last.fm this was back when it was a massive hub for music discovery. It caught the attention of a significant audience. Our music found its way onto various experimental channels, earning us our first taste of international recognition. Under the moniker "A Journey Down the Well," I've collaborated with like-minded musicians on three albums.

In 2008, I started Fluttery Records, which became a home for post-rock, ambient, and modern classical talents. Beyond my own releases, I wear multiple hats at the label, mastering recordings and crafting album artwork for both our roster and a select few artists outside the label.

 



Music Tribune:

 

We then want to talk to you about your new album. We hear that a few years ago you went hiking in Mount Rainier and other nature-rich places. In what ways did this real-life experience influence your actual music-making?

 

 

Celestial Trails:



I have an undying love for nature in all its forms—birds, trees, plants, animals, you name it. Once upon a time, I used to be plagued by incessant overthinking and a cacophony of noisy thoughts rattling around in my head. But now, I've found solace in the tranquility of a quieter mind, and it's brought a newfound sense of joy and creativity into my life.

For me, hiking amidst the wonders of nature is akin to a meditative journey. It's a chance to fully immerse myself in the present moment, to listen intently to the whispers of my creative inner voice. Sure, like everyone else on this planet, I still grapple with thoughts that no longer serve me. But each time they surface, I've learned to acknowledge them and gently usher them away. In this phase of my life, I've made a conscious decision to embrace productivity, creativity, and joy with open arms.

Ambient music, much like nature itself, is all about the ebb and flow. You can find echoes of nature's rhythms in every note—a flowing river, the wind weaving through rocky landscapes, the gentle sway of tree branches adorned with leaves, the rhythmic crash of ocean waves against the shore, the soothing patter of rain, and the harmonious symphony of a meadow teeming with life. It's a mesmerizing tapestry of sound that mirrors the beauty and serenity of the natural world.



Music Tribune:

 

When I listened to the soundtrack of Lunar Beachcomber, the music as Celestial
Trails seemed to be more in the nature of an electric producer. It's quite elaborately
crafted, including glitchy noises. Are there any musicians that you yourself feel a
kinship with?

 

 

Celestial Trails:

 
Thank you so much for your kind words.

It's truly heartening to witness the growing presence of labels in the ambient music scene, providing a platform for numerous passionate producers to shine. There's an extensive list of labels and artists that I hold dear, and while it's hard to pick just a few, here are some noteworthy mentions. Azure Vista Records, for instance, boasts an impressive roster including the likes of Billow Observatory. Then there's 12K, hailing from New York state, founded by the seasoned ambient music veteran Taylor Deupree. And let's not forget Lontano Series from Italy, which consistently delivers stellar ambient tunes from talented underground artists.

On a somber note, I'd like to express my deepest condolences to the fans of Ryuichi Sakamoto. His untimely departure was a profound loss to the music world. However, he has left behind a priceless legacy, not only through his own musical creations but also through his collaborations with fellow artists—a treasure that will continue to inspire generations to come.

 



Music Tribune:

 

On this album, you will not only hear pleasant ambient, but also industrial style noise. Why do you incorporate this type of noise?

 

 

Celestial Trails:

 
Actually, I wouldn't call it industrial noise - I prefer to refer to them as "waves of flow." Most of these sounds are sourced from field recordings I made while hiking in nature.

I enjoy using nature's own sounds as an instrument, and I process them with techniques like tape manipulations and other electro-acoustic methods. I also apply these processing techniques to recordings of traditional instruments like guitar or organ, as well as virtual electronic instruments.

This process opens the gateway to surrealism, the unknown, and beyond what we can see. My goal is to create music where each track and album has its own unique universe. I'm drawn to the edginess of noise in genres like Noise and Industrial Music, but my music is not quite similar to that. I think most listeners will find these "waves" to be a captivating musical experience that they can swim in, whether they're exploring their adventurous side or traveling to other galaxies.

 



Music Tribune:

 

We would like to know your opinion on ambient production in general. There are many different elements to this genre, such as depicting soundscapes and healing. What would you say are the essential aspects of ambient production for you?



Celestial Trails:


When it comes to ambient music, I can only speak from my own experience. I believe each artist should find their own path and what works best for them. However, it's crucial not to confine oneself to common perceptions.

There's a tendency to pigeonhole ambient music into certain environments like airports, spas, or elevators, which can be amusingly restrictive. But in the early 2000s, artists like William Basinski challenged these notions, showcasing how ambient music can beautifully reflect an artist's unique individuality. While ambient music often evokes feelings of peace and calm, it's not limited to those emotions alone.

In my album "Lunar Beachcomber," I explore a variety of moods, emotions, and sonic landscapes. Take, for instance, the track "Spell Machine and Manufacturing," which I consider to be a rebellious ambient composition. In any genre of music, my priority is seeking out uniqueness. Although some may not immediately appreciate something different, novel, and original, I believe it's vital in music production to unearth your own creative spark and infuse it into your art.




Music Tribune:

 

You currently run Fluttery Records. What kind of music does the label deal with? Are there any artists you would recommend belonging to the label?

 


Celestial Trails:


Fluttery Records is a label that releases captivating music in the genres of post-rock, ambient, and modern classical. I encourage your readers to visit our website and explore the incredible artists we have the pleasure of working with.

Over the past 15 years, Fluttery Records has had the honor of releasing remarkable post-rock, modern classical, and ambient music from talented artists hailing from all corners of the world.

As I'm speaking with the Japanese press today, I'd like to highlight one of our exceptional artists from Japan. The band is called Gargle, and one of the members is my dear friend, Jun Minowa. Gargle has collaborated with the Spanish artist Bosques De Mi Mente on an album called Absence, which features mesmerizing and beautifully crafted modern classical compositions. This collaborative effort is a true testament to the label's dedication to showcasing the most compelling and boundary-pushing music from around the globe.

From the expansive and emotive post-rock soundscapes to the serene and introspective ambient pieces, and the deeply moving modern classical compositions, there is something for every music lover to discover on Fluttery Records.



Music Tribune:

 

What are your future plans for the label?

 


Celestial Trails:

 
We would like to keep doing what we are doing right now. We'll continue to champion our existing roster of artists while also welcoming new talents into the fold, providing them with a platform for international recognition and growth of their fan base. Our commitment remains unwavering: to keep our doors open to talented instrumentalists from every corner of the globe who are dedicated to creating exceptional music. Together, we'll continue to nurture a vibrant community of musicians and enthusiasts, united by their passion for instrumental music.

 

 

Music Tribune:

 

Thank you so much, Taner. I look forward to your future career as an artist and management of the label.



''Lunar Beachcomber" is released today on Fluttery Records.For more information, click here.

 




Episode In Japanese:


このプロセスは、超現実主義や未知のもの、目に見えるものを超越した何かへの扉を開く-Celestial Trails



カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするFluttery Recordsの創設者Tanel Torunのソロ・アンビエント・プロジェクト、Celestial Trailsがデビューアルバム『Lunar Beachcomber』をリリースする。


セレスティアル・トレイルズは、ピアノ、アナログ・シンセ、エレクトリック・ギター、ベース・ギターの有機的なテクスチャーの暖かさと、ヴァーチャルな電子楽器の精密さをシームレスに融合させながら、音のタペストリーを幾重にも描いていく。

 

オーガニックなレコーディングは、リバーブ、ディレイ、ハーモナイジング、テープ・マニピュレーション、サウンド・デコンストラクションといったエレクトロ・アコースティックなテクニックを駆使し、より豊かなものとなっている。さらに、自然散策や街歩きの際に録音されたテープ操作のフィールド・レコーディングが、もうひとつのレイヤーとしてシームレスに統合されている。


始まりから最終形まで、『ルナ・ビーチコマー』のレコーディング・プロセスは2023年6月から2024年1月にかけて展開された。最初のレコーディングは、ペンシルベニア州ピッツバーグで眠れない暑い夏の夜に行われ、最後のレコーディングはカリフォルニア州サンフランシスコで行われた。アルバムのレコーディングはすべて、この2都市のみで行われた。

 

今回、Music Tribuneは、サンフランシスコ出身の新進気鋭のアンビエント・プロデューサーに話を聞くことができた。

 


Music Tribune:

まず、あなたのアーティストとしての経歴を教えてください。アンビエント・ミュージックを作り始めたのはいつですか?また、それが現在の音楽活動にどのように結びついたのでしょうか?

 

Celestial Trails(Taner Torun):



私の音楽の旅はパンクやポストパンクのバンドから始まりました。20代前半になると、ポストロックやモダン・クラシックのドリーミーな雰囲気に惹かれるようになりました。



音楽愛好家として、私はいつもアンビエント・ミュージックに手を出していたんですが、このジャンルを本当に好きになったのは、2006年のことでした。その年、The Belongのアルバム『October Language』が私の琴線に触れ、アンビエント・ミュージックが好きになった。そこから私は、より多くのアンビエント・ミュージックの逸品を探し求めるようになり、ウィリアム・バシンスキー、ティム・ヘッカー、ラファエル・アントン・イリサリなどを発見しました。



もっと深く潜りたいと思った私は、自分のアンビエント・ビジョンを実現するために必要な機材やソフトウェアを手に入れようとしました。この初期の実験は、私自身にとっても、また仲間のアーティストたちにとっても、音楽制作へのスリリングな道のりの始まりに過ぎませんでした。




Music Tribune:

アンビエント・プロジェクトを始める前に、何か音楽制作に携わっていましたか?




Celestial Trails:


2006年の夏に、気の合う仲間で実験的な音楽を作り始めました。一緒に5曲レコーディングをして、デジタルでファイルをやり取りしながらアルバムを完成させました。アルバムが完成すると、Last.fmに楽曲をアップロードするようになりました。



Music Tribune:

 

続いて、新しいアルバムについてお話を伺いたいと思います。


数年前、マウント・レーニアをはじめとする自然豊かな場所にハイキングに行かれたそうですね。この実体験は、実際の音楽制作にどのような影響を与えたのでしょうか?


 
Celestial Trails:


私は、鳥、木、植物、動物など、あらゆる形の自然を愛してやみません。むかしは、ひっきりなしに考えこみすぎたり、頭の中で雑音のような思考に悩まされたりしていました。それでも、今は、より静かな心の静けさに安らぎを見出し、それが私の人生に新たな喜びと創造性をもたらしています。



私にとって、自然の驚異の中でのハイキングは瞑想の旅によく似ています。今この瞬間に完全に没頭し、創造的な内なる声のささやきに耳を澄ますチャンスでもある。確かに、この地球上の誰もがそうであるように、私はまだ、もはや自分のためにならない考えと闘っています。しかし、それらが浮上するたびに、私はそれを認め、そっと遠ざけることを学びました。私の人生のこの段階では、生産性、創造性、そして喜びを諸手を広げて受け入れることを意識的に決めたんです。



アンビエント・ミュージックについては、自然そのものと同じように、満ち引きを大切にしています。川の流れ、岩だらけの風景を縫う風、葉で飾られた木の枝の穏やかな揺らぎ、岸辺に打ち付ける海の波のリズミカルな音、心地よい雨音、そして、草原にあふれる調和のとれたシンフォニー……。

 


Music Tribune:


『ルナ・ビーチコマー』のサウンドトラックを聴いたとき、『セレスティアル・トレイルズ』の名義としての音楽はエレクトリック・プロデューサーの性質が強いように感じました。グリッチノイズなど、かなり精巧に作られていますね。あなた自身が親しみを感じているミュージシャンはいますか?

 

 

Celestial Trails:

 
ありがたいお言葉をありがとうございます。



アンビエント・ミュージック・シーンにおいてレーベルの存在感が増しているのを目の当たりにし、多くの情熱的なプロデューサーたちが輝ける場を提供していることを、本当に心強く思っています。

 

私が大切にしているレーベルやアーティストのリストは数多くあり、その中からいくつかを選ぶのは難しいのですが、特筆すべきものをいくつかご紹介しましょう。

 

例えば、アズール・ヴィスタ・レコーズは、ビロウ・オブザーバトリーを含む印象的なロスターを誇っています。そして、経験豊富なアンビエント・ミュージックのベテラン、テイラー・デュプリーが設立したニューヨーク州出身の12Kも素晴らしいです。

 

そして、才能あるアンダーグラウンド・アーティストによる素晴らしいアンビエント・チューンをコンスタントに提供しているイタリアのロンターノ・シリーズも忘れてはならないでしょう。



次いで、坂本龍一のファンにも哀悼の意を表しておきたいです。彼の早すぎる旅立ちは、音楽界にとって大きな損失でした。しかしながら、彼自身の音楽的創造のみならず、仲間たちとのコラボレーションを通して、彼はかけがえのない遺産を残しました。

 


Music Tribune:

 

このアルバムでは、心地よいアンビエントだけでなく、インダストリアル・スタイルのようなノイズも聴くことができます。なぜ、このようなノイズを取り入れたのでしょう?


 

Celestial Trails:


実は、産業ノイズとは呼んでいません。私は、"流れの波 "と呼んでいます。これらの音のほとんどは、自然の中をハイキングしているときに録音したフィールドレコーディングから得ています。



自然の音を楽器として使うのが好きで、テープ・マニピュレーションなどの電気音響的な手法で加工しています。また、これらの加工技術をギターやオルガンなどの伝統的な楽器やバーチャルな電子楽器の録音にも応用しています。



このプロセスは、超現実主義や未知のもの、目に見えるものを超えたものへの入り口を開く。私の目標は、それぞれのトラックやアルバムが独自の世界を持つような音楽を作ることです。私はノイズやインダストリアル・ミュージックといったジャンルのノイズのエッジネスに惹かれるが、私の音楽は、それとは似ても似つかないでしょう。ほとんどのリスナーは、冒険的な一面を探検しているときでも、他の銀河系を旅しているときでも、この「波」を泳いでいるような魅惑的な音楽体験だと感じると思う。



 

Music Tribune: 

 

アンビエント制作全般についてのご意見をお聞かせください。このジャンルには、サウンドスケープの描写や癒しなど、さまざまな要素があります。あなたにとってアンビエント制作の本質的な部分は何だと思いますか?



Celestial Trails:


アンビエント・ミュージックに関しては、私は自分の経験からしか語ることができませんね。それぞれのアーティストが自分の道を見つけ、自分にとって何が一番効果的かを見つけるべきだと思います。しかし、一般的な認識にとらわれないことが重要です。



アンビエント・ミュージックは、空港、スパ、エレベーターなど、特定の環境に限定される傾向があり、それは面白いほど制限的なのです。しかし、2000年代初頭、ウィリアム・バシンスキーのようなアーティストがこうした概念に挑戦し、アンビエント・ミュージックがアーティストのユニークな個性を見事に反映できることを示しました。アンビエント・ミュージックはしばしば平和で穏やかな感情を呼び起こすのですが、そのような感情だけに限定されるものではないでしょう。



私のアルバム『Lunar Beachcomber』では、様々なムード、感情、音の風景を探求しています。例えば、"Spell Machine and Manufacturing "という曲は、反抗的なアンビエント曲だと思っています。どんなジャンルの音楽でも、私が優先するのは独自性を追求すること。人とは違うもの、斬新なもの、独創的なものを、すぐに評価しない人もいるかもしれませんが、自分自身の創造的な輝きを発掘し、それを作品に吹き込むことが音楽制作には不可欠だと信じています。




Music Tribune:

 

あなたは現在、Fluttery Recordsを運営なさっています。このレーベルはどのような音楽を扱っていますか? また、このレーベルに所属のお勧めのアーティストはいますか?

 



Celestial Trails:


Fluttery Recordsは、ポストロック、アンビエント、モダン・クラシックのジャンルで魅力的な音楽をリリースするレーベルです。読者の皆さんには、ぜひ私たちのウェブサイトを訪れて、私たちが一緒に仕事をする喜びを感じている素晴らしいアーティストたちを探求していただきたいと思います。



過去15年にわたり、Fluttery Recordsは世界中の才能あるアーティストからポストロック、モダン・クラシック、アンビエント音楽をリリースしてきました。



今日、日本のプレスとお話をさせていただくにあたり、日本からの優れたアーティストの一人にスポットを当てたいと思います。

 

Gargleというバンドで、メンバーの一人は私の親愛なる友人である箕輪純です。Gargleはスペインのアーティスト、Bosques De Mi Menteとコラボレートしたアルバム『Absence』を発表しました。このコラボレーションは、世界中から最も魅力的で境界を押し広げる音楽を紹介するというレーベルの献身性を証明するものです。



広がりのあるエモーショナルなポストロックのサウンドスケープから、静謐で内省的なアンビエント作品、そして、深く心を揺さぶるモダン・クラシックの楽曲に至るまで、Fluttery Recordsにはすべての音楽愛好家が発見できる何かがあるはずです。



Music Tribune:

 

レーベルの今後の事業計画はありますか?

 


Celestial Trails:

 
今やっていることを続けていきたいと思っています。既存のアーティストを支持し続ける一方で、新たな才能を迎え入れ、彼らに国際的な認知とファン層の拡大のためのプラットフォームを提供します。

 

私たちのコミットメントは揺るぎません。卓越した音楽を創造することに専心する世界中の才能あるインストゥルメンタリストに門戸を開き続けることです。私たちは、インストゥルメンタル・ミュージックへの情熱で結ばれたミュージシャンと愛好家の活気あるコミュニティを、共に育てていきます。

 
 

Music Tribune:


Tanerさん、本当にありがとうございました。今後のアーティストとしての活躍、レーベルの運営にも期待しています。


 Interview- Mei Semones  

 

  -Brooklyn's Singer-songwriter's Voice-   ブルックリンの新進気鋭のシンガーソングライター 音楽的なバックグランドを語る

 

Mei Semones ©Sophie Minello

 

Mei Semones is a singer-songwriter/guitarist based in Brooklyn. The artist became acquainted with music at an early age through playing the piano her grandmother bought her; she began playing guitar at the age of 11 and eventually discovered jazz by the time she was in high school. Thereafter, Semones specialized in jazz harmony and improvisation while attending Berklee College of Music.

 
A new EP by the artist, "Kabutomushi" was released today on Bayonet Records. In this interview, we had the opportunity to talk with the artist about musical background, her EP, what she learned at Berklee College of Music, as well as valuable insights about her Japanese lyrics and the charms of the city of Brooklyn.  Read the full episode below.


 

Music Tribune:


To begin with, let me ask you a few questions about your musical background. Your biography by your label indicates that you have been playing piano and guitar since you were young. Tell us about how you started playing an instrument.



Mei Semones:


My grandma bought my family a piano when me and my sister were 4 years old. I started taking piano lessons then, and around the age of 11 I switched to guitar. I started with rock music, and in high school I was introduced to jazz, and I went on to study jazz guitar at Berklee College of Music.

 

 

Music Tribune:

 

What kind of family did you grow up in? What kind of person do you think you were as a child?

 



Mei Semones:

 

My parents have always been very supportive of everything I want to do. I have a twin sister (fraternal) named Saki. My mom is from Yokosuka, Japan, and my dad is from Ohio. I grew up in the suburbs of Ann Arbor, Michigan, and I would say it was a pretty peaceful place to grow up. As a child I think I was somewhat shy, quiet, and self conscious, but happy for the most part.

 


Music Tribune:


You started playing jazz guitar in high school and later studied music at Berklee College of Music. Were you ever in a band during your high school years? Also, I have the impression that Berklee has a strong focus on jazz education, with Pat Metheny as an instructor. What did you learn in school?

 

 

Mei Semones:

 

I played in the jazz combos at my high school, which were mostly quartets and quintets, with a heavy emphasis on improvisation. I also played guitar in a band called Rosewood in high school, which was kind of a neo-soul/pop type band. 

I think I became a much better guitar player during my time at Berklee. Most of the classes I took were jazz performance focused, so I learned a lot about jazz harmony and improvisation. The content of my classes were things like analyzing jazz harmony, learning about different improvisational techniques and guitar voicings / comping techniques, learning the repertoire, transcriptions, rhythmic exercises, etc.




Music Tribune: 

 

Your previous songs include lyrics in Japanese. Why did you decide to sing both in English and Japanese? 



Mei Semones:

 

I am half Japanese, and growing up in the US as a Japanese American person it has been a big part of my identity. Japanese was the first language I spoke, and it’s the only way I communicate with my mother. The first song that I ever released, Hfoas, is the first song I wrote that had Japanese lyrics. That song was a turning point for me — it was the first song that felt like it truly represented me as a person and as an artist. I hope that my music encourages people that listen to it to be proud of their own identities and cultural backgrounds.

 



Music Tribune:

 

We would like to ask you about your new EP "kabutomushi". Please tell us about the production process of this EP. What did you focus on in the recording process?

 

 

Mei Semones:


The songs on the Kabutomushi EP were mostly written in the fall/winter of 2022, and recorded in the spring of 2023. The process started with me writing the songs (chords, melody, lyrics) and then I brought them to my band: Noah Leong (viola), Claudius Agrippa (violin), Jaden Raso (bass), and Ransom McCafferty (drums). They are all such incredible musicians, and their playing and arranging makes the songs so special. In the recording process, we focused on getting a clean, tight sound, with a locked arrangement where all the parts are working together.



Music Tribune:

 
Can I ask you a few personal questions? On Instagram, you posted a photo of yourself wearing a kimono in Japan. It was very nice, but was that for sightseeing? Or were you visiting an acquaintance?

 

Mei Semones:


I think there’s a couple photos of me in a kimono on my instagram — one of them is from our 成人式(Seijin-shiki)’s photos, because my mom wanted to do that for me and my sister. The other one is from my most recent trip to Japan. It was my boyfriend’s first time in Japan, so I thought it would be fun to go on a date to Kamakura and wear kimonos, so that’s where that most recent photo is from.



Music Tribune:


Your music seems to contain influences of bossa nova, jazz, and post-rock. In particular, I have the impression that your guitar playing style is similar to that of Chicago's Jeff Parker. Are there any players in particular that have influenced you as a guitarist?



Mei Semones:

 

I think the guitarists that have influenced me the most are Grant Green, Wes Montgomery, and Jim Hall. I’ve transcribed/listened to them the most, and have also studied some Kurt Rosenwinkel, Barney Kessel, Kenny Burrell, and Joe Pass. I think I’ve also taken influence from some of my professors I studied with at Berklee, such as Larry Baione and Tim Miller.



Music Tribune:



The artwork of your past music works and artist's goods attract our attention with their cute illustrations. Do you have any concept behind your use of these designs?


Mei Semones:


All of the illustrations and design for the Kabutomushi EP are by my mom, Seiko Semones. She’s a really talented artist and graphic designer and it means a lot to me that she is willing to work with me on my artist project. She is one of the people in this world who knows me best, so I think that these illustrations reflect my personality and the intention behind the songs really well. Otherwise the artwork for my previous releases doesn’t have too much of a concept — it’s mostly just personal taste / art that I like the look of.




Music Tribune:

A new EP is coming out on Bayonet. If you had to name your favorite song on the EP, which would it be? Also, do you have any requests as to how you would like the music to be heard in this way?



Mei Semones:

 

I love all of the songs on the EP, so it’s hard for me to pick one, but if I had to I would say it’s the title track, Kabutomushi. It’s a special song to me because it is dedicated to my late grandmother. The lyrics are centered around memories of visiting her in Yokosuka when I was little. I was also able to make a really amazing music video for it during my last visit to Tokyo, with director Takuto Shimpo.

Regardless of where it’s being heard, I would like for my music to be a source of comfort for those who hear it. I would like for it to help people feel less alone, and feel like there is a place where they belong.



Music Tribune:



Do you currently live in Brooklyn? What do you find attractive about this city? Are there any spots you would recommend?


Mei Semones:


I live in an area of Brooklyn called Bushwick. I love the city and I love the neighborhood I live in. What I love about it is how alive it is — it’s a little chaotic, but I love the people, the buildings, the trains, even the rats, the trash, the smell, the noise. Some of my favorite spots in the city are the parks, like Maria Hernandez and Tompkins Square. I really like Greenpoint, Williamsburg, Chinatown, LES, Ktown, and St Marks Place. I also like going to the West Village whenever I’m over there.



Music Tribune:

 

Thank you for your answer. I look forward to your future career. Arigato!!

 

 

 

 

Mei Semones ©Sophie Minello

 

 

・Episode In Japanese

 

メイ・シモネスは、ブルックリンを拠点に活動するシンガーソングライター/ギタリスト。アーティストは、幼い頃に祖母から買ってもらったピアノの演奏を通じて音楽に親しむようになった。11歳の頃にギターの演奏を始め、やがて、高校生の頃にはジャズに目覚める。以後、シモネスはバークリー音楽院の在学中に、ジャズのハーモニーやインプロヴィゼーションを専門に学んだ。

 

本日、アーティストによる新作EP『Kabutomushi』がBayonet Recordsからリリースされた。今回のインタビューでは、音楽的なバックグラウンドから新作EP、バークリー音楽院でどのような学習を重ねたのか、さらに、日本語の歌詞についてや、ブルックリンの街の魅力について貴重なお話を伺うことが出来ました。以下にそのエピソードの全容をご紹介します。

 

 

Music Tribune :

 

まず始めに、音楽的なバックグラウンドについて質問させてください。レーベルによるバイオグラフィーを見ると、あなたは若い頃からピアノやギターを演奏しています。最初に楽器を演奏するようになった経緯について教えていただきたいと思います。

 

Mei Semones:

 

私と妹が4歳のとき、祖母が家族にピアノを買ってくれたんです。その頃からピアノを習い始めて、11歳頃にギターに転向しました。ロックから始めて、高校でジャズに出会い、バークリー音楽大学でジャズ・ギターを学びました。



Music Tribune:

 

メイさんはミシガン州の出身だということですが、どのような家庭で育ちましたか。また現在のメイさんから見て、子供の時のあなたの姿はどのような人物として映りますか?

 

Mei Semones:

 

私の両親は、私がやりたいことすべてにいつも協力的でした。私には、”サキ”という双子の妹(二卵性)がいるんです。母は日本の横須賀の出身で、父はオハイオ州出身です。私はミシガン州アナーバーの郊外で育ちましたが、とても平和なところでした。子供の頃は、内気でおとなしく、自意識過剰なところがあったと思いますが、大抵は幸せでした。



Music Tribune:

 

メイさんは高校の頃からジャズギターを始め、その後バークリー音楽院で音楽を勉強されたようですね。ハイスクールの時期にバンドで活動していたことはありますか? またバークレーはパット・メセニーが講師をしていたり、ジャズの教育に力を入れている印象があります。学校ではどのようなことを学びましたか?



Mei Semones:

 

高校のジャズ・コンボでは、主にカルテットやクインテットで、即興演奏に重点を置いて演奏していた。高校時代には、ローズウッドというネオ・ソウル/ポップ・タイプのバンドでもギターを弾いていました。

 

バークリー在学中に、私はより優れたギタリストになったと思う。ほとんどの授業がジャズ演奏中心だったので、ジャズのハーモニーやインプロヴィゼーションについてたくさん学びました。授業の内容は、ジャズ・ハーモニーの分析、様々な即興テクニック、ギター・ヴォイシング/コンピング・テクニックの学習、レパートリーの学習、トランスクリプション、リズム練習などでした。

 


Music Tribune:

 

これまでの曲には日本語の歌詞も含まれてますよね。英語と日本語の両方で歌おうと思ったのはなぜでしょうか? 

 

 

Mei Semones:

 

私は日本人のハーフなので、日系アメリカ人としてアメリカで育ったことは、私のアイデンティティの大きな部分を占めています。日本語は、私が最初に話した言語であり、母との唯一のコミュニケーション手段でもあるんです。初めてリリースした曲『Hfoas』は、私が初めて書いた日本語の歌詞の曲です。あの曲は私にとって転機となった曲で、人間として、そしてアーティストとして、私を本当に表していると感じた最初の曲でした。私の音楽を聴いてくれた人たちが、自分自身のアイデンティティや文化的背景に誇りを持てるようになればいいなと思ってます。


Music Tribune:

 

新作EP「kabutomushi」に関してご質問します。このEPの制作過程について教えていただけますか? レコーディングではどんなことに重点を置きましたか?



Mei Semones:


Kabutomushi EPの収録曲のほとんどは、2022年の秋から冬にかけて書かれ、2023年の春にレコーディングされたものです。そのプロセスは、まず私が曲(コード、メロディ、歌詞)を書き、それを私のバンドに持ち込むことから始まりました。

 

ノア・レオン(ヴィオラ)、クラウディウス・アグリッパ(ヴァイオリン)、ジェイデン・ラソ(ベース)、ランサム・マカファティ(ドラムス)。彼らはみんな素晴らしいミュージシャンで、彼らの演奏とアレンジが曲を特別なものにしています。レコーディングの過程では、クリーンでタイトなサウンドを得ることに集中し、すべてのパートが一体となったロックなアレンジに仕上げました。




Music Tribune;

少しプライベートな質問をしてもいいですか? Instagramでは日本で着物を着た写真を投稿されていましたね? とても素敵だったのですが、あれは観光だったのでしょうか? それとも知人のところに遊びにいらしたのですか?



Mei Semones:

 

私のインスタグラムには、着物姿の写真が何枚かアップされていると思うんだけど、そのうちの1枚は成人式の写真で、母が私と妹のためにそうしたかったからなの。もう一枚は、最近日本に行ったときのものです。ボーイフレンドが初めての日本だったので、鎌倉にデートに行って、着物を着たら、楽しいだろうなと思って、それが一番最近の写真ですね。

 

Music Tribune:

 

メイさんの音楽には、ボサノヴァ、ジャズ、ポストロックの影響が含まれているように感じられます。特にシカゴのジェフ・パーカーのギターの演奏スタイルに近いという印象を受けました。(例えが下手で申し訳ありません)特にギタリストとして影響を受けたプレイヤーはいますか??




Mei Semones:

 

最も影響を受けたギタリストは、グラント・グリーン、ウェス・モンゴメリー、ジム・ホールだと思う。

 

彼らを一番よく聴いたし、カート・ローゼンウィンケル、バーニー・ケッセル、ケニー・バレル、ジョー・パスも勉強しました。バークリーで一緒に学んだラリー・バイオーンやティム・ミラーといった教授たちからも影響を受けていると思います。

 


Music Tribune:


これまでの音楽作品のアートワークやアーティストのグッズには、可愛らしいイラストが目を惹きます。こういったデザインを使用することについて、何かコンセプトをお持ちですか??



Mei Semones:

 

『Kabutomushi(カブトムシ)』のEPのイラストとデザインはすべて、私の母、世以子・シモネスによるものです。

 

彼女は本当に才能のあるアーティストであり、グラフィックデザイナーでもあるんです。彼女が私のアーティスト・プロジェクトに協力してくれることは、私にとって大きな意味があります。

 

彼女は、この世界で私のことを一番よく知っている人のひとりなので、このイラストは私の個性と曲に込められた意図を上手く反映していると思う。それ以外の過去のリリースのアートワークにはあまりコンセプトがなくて、ほとんどが個人的な好み/見た目が好きなアートなんです。



Music Tribune:

 

新作EPが4月にBayonet Recordsから発売されます。このEPのお気に入りの曲を挙げるとしたら、どれでしょうか? また、音楽をこういうふうに聴いてもらいたいというような要望はありますか?

 


Mei Semones:


EPに収録されている曲はどれも大好きなので、1曲を選ぶのは難しいですね。強いて言うならタイトル曲の「カブトムシ」かな。

 

亡き祖母に捧げた曲なので、私にとって特別な意味が込められています。歌詞は、小さい頃に横須賀にいた祖母を訪ねた思い出が中心になっています。この曲のミュージック・ビデオも、最後に東京を訪れたときに、新保拓人監督と一緒にとても素晴らしいものを作ることができた。


また、どんな場所で聴かれるかに関係なく、私の音楽が聴く人の心を癒すものになってほしいと思ってます。人々が孤独を感じなくなり、自分の居場所があるように感じられるようになれば。



Music Tribune:

 

現在はブルックリンにお住まいですか? この街の魅力的なところを教えてください。またおすすめのスポットはありますか??

 

Mei Semones:

 

今、ブルックリンのブッシュウィックという地域に住んでいます。私は、この街が大好きだし、住んでいる地域も大好き。少し混沌としているけれど、人、建物、電車、ネズミ、ゴミ、匂い、騒音までもが好きなんです。街で好きなスポットは、マリア・ヘルナンデスやトンプキンス・スクエアのような公園。グリーンポイント、ウィリアムズバーグ、チャイナタウン、LES、Kタウン、セント・マークス・プレイスも好き。ウェスト・ビレッジに行くのも好きだよ!! 



Mei Semones ©Sophie Minello


 

Music Tribune:
 

お忙しい中、お答えいただき、本当に感謝いたします。今後のご活躍を期待しています。ありがとう!!


Interview -Kazuma Okabayashi

 

アンビエント制作の核心にあるもの  アーティストの生活の一部をなす音楽の意義とは何か??

 


現在の日本のアンビエントシーンで注目すべきアーティスト、Kazuma Okabayashi。2009年頃からMy Spaceで楽曲を発表するようになった後、2019年頃に自主レーベルを設立し、多数のアンビエント・ミュージックをリリースしてきた。アーティストのリリースの主要な特徴は、毎週のようにアルバムやシングルの発表を行う、ということである。アーティストのアンビエントはギターとシンセを中心に構築され、エモーショナルなニュアンスがわずかに漂う。

 

最近、Kazumaの音楽は、海外のリスナーの注目が集めるようになっている。Spotifyのアンビエントのプレイリストで特集が組まれ、スコットランドの老舗ファッション・ブランド、Johnstons of Elgin(ジョンストンズ・オブ・エルガン)の製品のルック動画の音楽を手掛け、米国のギタリスト、Hollie Kenniffとのコラボも行った。今後、海外での知名度も徐々に高まっていく可能性もある。

 

今回、注目のアンビエント・プロデューサーの制作にまつわる秘話、機材について、レーベルの運営、そして複数のコラボレーション、また、ストリーミングを活動の主軸に置くアーティストの心境について、貴重な話を伺うことが出来ました。以下、そのエピソードの全容をご紹介します。

 



Music Tribune:   


2019年頃から自主レーベルからアンビエント作品をリリースしているようですが、”place.”を立ち上げたきっかけについて教えていただけますか? また、レーベル名の由来等はありますか?



Kazuma Okabayashi: 


 "Place."という名前は元々、自身の音楽作品を発表するためのブランド名として使用していたものでした。当時はパワースポット巡りにハマっていて、パワーの集まる場所を自ら作りたいと考え、Place.と名付け、そのまま現在でも使用しています。

音楽レーベルとしてのPlace.を立ち上げたのは、“音楽家”とざっくりとした未来像を想像した時、「レーベルの運営者として活動していたい」という想いから、しっかりと運営できるシステムを作れるまでは、自分の作品だけリリースするためのレーベルを始めた、という経緯でした。



Music Tribune:   


正直、アンビエントはメジャーなジャンルではないと思うんですが、このジャンルに興味を持った理由や、そして実際に音源制作をはじめるに至った経緯について教えていただけますか?



Kazuma Okabayashi:  


 自身の経験の中で最も古いアンビエントに近い音楽に触れるきっかけは、2004年にRed Hot Chili Peppersのギタリスト、John Frusciante(ジョン・フルシアンテ)のソロアルバム『The Will To Death』の「Helical」という一曲との出会いでした。スプリングリバーブの心地よい響きと即興演奏によるエレクトリック・ギターの1発録りは、今でも自分が憧れるギターアンビエント像そのものでした。繰り返し何度も聴いた覚えがあります。


宅録作品もリリースしていたJohn Fruscianteの影響もあって、音楽制作自体は高校生の時に買ったZoomのMTR 'MRS-1044'を用いて、様々なジャンルの音楽を制作していました。そして、2009年頃から”Myspace”にアップロードしていた音楽をネットで発表するようになりました。その後、2016年頃から、アンビエント感のある曲を作ってはいたものの、アンビエントに明確に興味を持ったのは2019年というように、かなり遅いです。正直なところ、それまでは、特に好んで聴いていた音楽ではありませんでした。

 

しかし、Michiru Aoyama(青山ミチル)氏の曲との出会いがアンビエントに興味を持つ大きなきっかけとなりました。

 

Aoyamaさんの作る曲は、今すぐにでも外に飛び出して走り出したくなるような、そんな胸騒ぎがしました。アンビエントの多くは、リラックスやチルアウトを目的として作られた“静”の印象が一瞬で崩れ、“動”のアンビエントがあるんだと、大きな衝撃を受けたのを覚えています。もちろんアンビエントにそんな定義などないのですが......(笑)。 そこから、Aoyamaさんに“追いつきたい”と、2019年に初期衝動をそのままにアンビエントの楽曲制作を開始しました。



Music Tribune: 


岡林さんは、ソロプロジェクトに加えて、genfukeiという名義でも音楽をリリースなさっています。もうひとつの自分というべきか、若干、音楽性の指針に違いがあるような気がします。双方のプロジェクトの音楽性やコンセプトの違いを挙げるとするなら、どんな点があるでしょうか?

 


Kazuma Okabayashi:   


実はあまりコンセプトを決めて別名義への取り組みをスタートしたわけではありませんでした。


Michiru Aoyamaの衝撃の後、Helios、Goldmund(注: 坂本龍一ともコラボレーション経験がある)などのアンビエントに触れて、後にそれがKeith Kenniff(キース・ケニフ)によるプロジェクトである事を知り、とても驚いたのを覚えてます。そして、まったくの無名な自分がリスナーに印象付ける一つの手段として考えたことが別名義のプロジェクトに取り組むきっかけとなりました。


実は、Genfukeiの他、Flat Lake、Shaded Navy、Yurikagoといった名義でも音源をリリースしています。今はそれぞれ決まったコンセプトは考えないで、自由に活動していますが、別名義での活動を続ける中で、自然とコンセプトが作られていくように感じます。音楽性で言うと、”Genfukei”では、Post-rockやGloomcore、Bedroompop などアンビエントの枠を飛び越えたジャンルに挑戦したいと考えてます。アンビエント以外のアーティストとのコラボレーションも模索している最中です。



Music Tribune:   


これまで、ギターサウンドを基調にしたアンビエントから抽象的なシンセによるドローンまで、多岐にわたる音楽性を追求されているように見受けられます。2019年からご自身の作風はどんなふうに変化してきたとお考えでしょうか? 



Kazuma Okabayashi:   


2019年からの最初の作品はエレクトリックギターとループエフェクターを使用して制作したシンプルなインストゥルメントでした。その頃の音を聞くと、John Fruscianteの影響とMichiru Aoyama氏の影響を自分なりにアンビエントとして生み出していたように思います。


そこから、2021年の頃まで初期衝動のままにずっとギターアンビエントを制作していました。”Michiru Aoyamaさんの音に近づくにはどうすれば良いか?"と考え、ギターアンプやマイク、エフェクターやプラグインなどいろいろ試していた時期でもありました。

 

その一環で、購入したMoog Matriarch(モーグのセミモジュラーシンセ)のの導入により、音楽性の幅が広がる契機となりました。モジュラーシンセを使用したアンビエントの不規則で偶発的な音作りと、その逆とも言えるDAW上でMIDIを打ち込むタイプの曲作りにも興味を持つようになりました。それらに取り組むに際して、Moog Matriarchは双方の可能性を擁する理想的な機材でした。


それまで一貫して使用していたエレクトリックギターを使わない曲も作り始めることで、音作りにも変化が起こり始めたと思います。それまでは、ほぼ即興的な偶発性のある曲作りが大半でしたが、2023年あたりからはコード進行や曲展開にも注力し、より曲としての完成度を高めていくことにも取り組むようになりました。


初期衝動から始まり、これからも長く音楽活動を続けていくには、作曲家としての進化をしていきたい、と考えるようになりました。自身のマインドが変わることで実際の作風も徐々に変化していったように思います。



Music Tribune:   


近年、米国のギタリスト、Hollie Kenniff(注: ホリー・ケニフはキースの妻で、音楽的なコラボレーターでもある)とのコラボレーションを行っています。実際、私はこのリリースで岡林さんの音楽に注目するようになりました。このコラボがどのように実現したのか教えてほしいです。また、具体的な制作過程についても、こっそり教えていただけますか? 



Kazuma Okabayashi: 


 コラボレーション以前のHollie Kenniffさんとのやり取りのきっかけは、Instagramのダイレクトメールで、Hollieさんから私の音源に対して好意的なコメントを送ってくれたことが始まりでした。


前述の通り、Keith Kenniffに対して、とてもリスペクトの念を抱いていましたし、もちろんアーティストとしてのHollie Kenniffの存在も知っていました。なので、DMが届いた時は本当に驚きました。


そこから思い切って、私からHollieさんにコラボレーション依頼を打診したところ、彼女自身も「コラボに挑戦していきたい」と考えていて、タイミングが重なったことで共同制作がスタートしました。

 

前向きな言葉を貰ってからすぐ、曲の制作を開始し、現在リリースされている2曲の元となる素材、及びデモトラックを完成させました。その録音データをHollieさんに送ることで、本格的に曲制作がスタートしました。

 

私自身から提供した音は、”Moog Matriarch”のアルペジオ、エレクトリックギターのコードやメロディの素材でした。それを元にし、ボーカルやピアノ、シンセなどの音をHollieさんに追加してもらい、最終的に、編曲や各トラックのMIXまで施していただきました。シンセの音作りや編曲など、すべてが自分とは違った新しいアプローチだったので、かなり新鮮でした。特に、私から提供した素材もMIXを経て、音楽そのものも、よりいっそう煌びやかに変化したことにも驚きました。



Music Tribune:   


最近、スコットランドのファッション・ブランド、”Johnstons of Elgin(ジョンストンズ・オブ・エルガン)”のルック動画の作曲も手掛けたということで、本当に驚きました。これは、ブランド側から依頼があったんでしょうか? 実際に映像にまつわる音楽を制作してみて、印象はいかがだったでしょう?

 


Kazuma Okabayashi:   


ルック動画への曲提供は、Johnstons of Elginのビジュアルメディア全般を請け負っているイギリスのデザイン事務所から依頼が来ました。


最初は、先方が”Genfukei”のアルバムをチェックしてくれていて、「アルバムの中から曲を使用させてくれないか?」というお話をいただきました。しかし、配信手続きの済んでしまった楽曲を広告やソーシャルメディアで使用したりすると、思わぬトラブルが発生する可能性があるため、結果的に映像に合わせた曲を制作することになりました。


映像音楽の制作は初めての経験だったので刺激を受けました。印象としては、普段の音楽制作との違いを明確に感じました。音の主張が強すぎても弱すぎても難しく、双方が納得できるまで音楽を磨き上げるのに苦労しました。


仕上がった曲に対して、クライアントからフィードバックをいただいた後、何度か曲を修正をかけていく、といったことも新たに経験しました。レコーディングにより組み立てられた音を修正するのは、それほど容易なことではありませんが、MIDIデータの打ち込みであれば、より細かな修正が可能であったりと、普段の音楽制作では気づかないような未知の発見もありました。







Music Tribune: 


現在の制作環境や使用機材、レコーディング方法について、大まかで構いませんので、教えてもらえますか? 制作のこだわり、力を入れている点について教えてください。

 


Kazuma Okabayashi:   


現在は自宅を録音スタジオとして利用し、PCの音楽編集ソフトCubaseを用いて録音した素材のMIXや編集をしています。

 

録音に主に使用しているのは、エレクトリック・ギターと複数のエフェクト・ペダル。セミ・モジュラーシンセの”Moog Matriarch”。最近は少量のモジュラーシンセを導入し、実験的な音作りにも取り組んでます。


また、レコーディング方法については様々です。一番最初に取り掛かる音がその曲の雰囲気を左右することが多いので、エレクトリックギターからフレーズを作ったり、Cubase(注: スタンドアローンの作曲ソフトウェア)でソフトシンセを用いて、コード進行から作ったり、複数のエフェクトペダルを用い、インプロヴィゼーション的で偶発性のあるループ素材から作ったりと、様々な手法を用いる事を意識しています。


音源制作におけるこだわりや特に力を入れていることは、やはり、エレクトリックギターでの音作りです。楽器は人間の手によって実際に演奏して録音するので、手元のわずかなニュアンスの強弱や完璧でないリズムなどが、そのまま録音に反映されます。それにより、その曲の中でギターのサウンドが様々な意味合いを持ち、また、比喩的な事象が起きる瞬間(燃えるような音、風のような音、波のような音、呼吸するような音になる)にとても惹かれてしまいます。



Music Tribune: 


岡林さんは、これまで多数の作品をリリースしています。正直なところ、数が多く、聞ききれない印象もあるんですが、毎週のようにリリースを重ねるのはなぜでしょう? また、アンビエント制作というのは、サウンドデザインのようだったり、アートのようだったり、日記のようだったり、商業的なものだったりと、制作者によって捉え方は多種多様であるように感じます。岡林さんにとって、この音楽はどのような意味を持つのでしょうか? 



Kazuma Okabayashi: 


最初は、すごく単純に、制作する曲のスキルアップへの課題や経験値の積み上げを目的とし、多数の曲をレコーディングしていました。何年も続ける事で、いつしか、それが自分にとって大事な生活の一部となっていることに気づきました。仕事が忙しくなり、音楽制作ができなくなると呼吸が浅くなり、身体が固くなる感覚に襲われた事がありました。

 

自分にとっての音楽制作は、例えるなら、”深呼吸やストレッチ”のようなものに近いのかもしれません。


そして、生活の一部として出来上がった複数の曲を放置しておくことも、自分にとってはストレスのように感じてしまうため、現在のように音源を毎週リリースをするという形になりました。


聞ききれない曲数であったり、リリースそのもののペースが早すぎることは、リスナーに寄り添っていないかのようなネガティブな印象もありますが、仕事と両立して音楽活動を行っている現段階では、スキルアップや経験値として積み上げていくことを最優先に取り組んでいます。




Music Tribune:  


アルバムやシングルのアートワークも、絵画的で印象的なものが多いと思います。眺めているだけで癒やされてしまいます。これらのデザインは、どなたが手掛けているのでしょう。また、音楽と関連して、ジャケットのコンセプトや指針のようなものはありますか?



Kazuma Okabayashi:  


アートワークに関しては、2019年の頃は自ら撮影した写真を使用していました。

 

2021年の後半からは、曲の印象に合った素材を探して使用していました。2023年からは、AI生成によるアートワークに移行しました。


AI生成は、作曲をする時の楽器と同様に、頭の中のイメージを具現化してくれるツールとして、また、人間には思いつかないような、偶発的で斬新な発想を、AIを駆使して得る事により、自分の音楽的表現の一つとして発表することが出来るかも、と考えています。この選択をすることで、毎週リリースを重ねる生活の中で、写真を撮影するよりも時間的なコストが軽減され、音楽制作に多くの時間を費せるようになる。それが現段階の自分の音楽スタイルと合致しました。

 

実際のフォトグラフィーでは、表現する事が難しかった抽象度の高いアートワークを制作することによって、リスナーの曲への理解や受け取り方が、より自由になるかもしれないと感じています。



Music Tribune:  


アンビエント制作の最も魅力的な点を挙げるとするなら、それはどのような瞬間に求められるでしょう。

 

また、作曲に関してですが、岡林さんは制作者として、構想として既に出来上がっているものを提示するタイプでしょうか、それとも、制作過程で今までになかった何かを探していくタイプでしょうか? 

 


Kazuma Okabayashi:   


アンビエントはまだこれから発展していく音楽だと考えていますので、アンビエントの定義や枠から外に踏み出すような制作ができた時、可能性や魅力をひときわ強く感じることができます。

 

作曲に関しては、取り掛かる前にざっくりとした音の構想をイメージし、楽器やシンセサイザーで、それを曲として形にしていくことが多いです。

 


Music Tribune:  


 岡林さんは、2020年代のストリーミング世代に登場し、時代の波に上手く乗っているアーティストなのかなと思っています。最近ではSpotifyの特集プレイリストにもピックアップされたと聞きます。


近年、ストリーミングサービスに関して、マージン(収益配分)の側面で商業的に難しい問題があるという指摘もなされています。あらためてお聞きしますが、ストリーミングをメインとして音楽をリリースすることの最大の利点を挙げるとするなら、それはどんなところにありますか?



Kazuma Okabayashi:   


やはり誰でも簡単に音楽を世界に配信することができるのが最大の利点であるかと思います。

 

また、それにより、海外のアーティストと繋がってコラボレーションなどに発展していくことができます。

 

アマチュアのアーティストにとっては収益配分の問題よりも、そういった側面での利点が大きいように感じています。



Music Tribune:  


お答えいただき、ほんとうにありがとうございました。今後のリリースにも期待しております。