Nettwerk Music Groupからのデビューとなるケニフの最新アルバムは、昨年リリースされたエモーショナルなタイトル『We All Have Places That We Miss』に続く作品です。夫のキース・ケニフ(ヘリオス、ゴールドムンドとしてもレコーディングを行っている)とエレクトロニック・ポップのユニット、ミント・ジュレップで活動して以来、15年以上にわたって着実に歩んできたキャリアの中で、またひとつ印象的な宝石になり得る。心揺さぶる美しさを持つこのアルバムは、この特別なアーティストがこれからさらに大きなピークを迎えることを予感させます。
音楽性に関しては、2021年のシングル集「Under The Lonquat Tree」の延長線に位置づけられます。アンビエントというのはどうしてもアウトプットされる音楽が画一的になりがちな側面があるものの、ホリー・ケニフのソングライティングは叙情的な感性と季節感のあるサウンドスケープが特徴的。また、雪解けの季節を思わせるような雰囲気、清涼感のある音楽性が主体となっています。今回の4thアルバムを語る上で不可欠なのは、従来培われたギターやシンセを中心とするアンビエントテクスチャー、曲全体に表情付けを施すピアノでしょう。これらがほどよく合致することにより、ホリー・ケニフの作風はひとまず過渡期を迎えています。
いずれにしましても、『For Forever』は純粋な音楽の良さや楽しみが凝縮されています。アルバムのオープニングを飾る「1-Lingers in Moments」は、アンビエントのシークエンスから始まり、ホリー・ケニフの音楽的な世界観を敷衍させる。さらにピアノ(シンセ)の演奏がそれに加わり、澄明で穏やかな音楽が無限に続いていくような気がします。パッドやボーカルをベースにしたシーケンスが組み合わされ、心地よい音の空間性が組み上げられていく。アンビエント制作の基本的な作曲性は一般的なリスナーにも共鳴するなにかがあるかもしれません。
「5-The Way Of The Wind」は意外な転遷を辿る曲で、異色のナンバーとなっています。ヒーリング効果を持つアンビエントからダンサンブルなトラックに移り変わる。シューゲイズのギターを微細に重ね合わせ、ベースラインでそれらの音像を縁取っている。また、前半部ではボーカルアートの要素が強調され、心地良いサウンドが展開されますが、イントロから続いているベースラインが強調され、バスドラムが追加されると、曲調が大きく変化し、ダウンテンポ風のトラックへと変貌を遂げる。最終的にはレイヴサウンドを通過したチルウェイブ風のサウンドへとダイナミックな展開を描く。「6-Amare」では再び、オーガニックなアンビエントに立ち返り、ボーカルの録音を元にした重厚感のあるサウンドが緻密に組み上げられていく。この曲にはキース・ケニフ(Helios)が参加していますが、『Eingya』(2006)に収録されている「Coast Off」を微かに彷彿とさせる広大なサウンドスケープが描かれています。
以降の収録曲では、ポストロックや音響派に属するサウンドアプローチを見出すことが出来ます。例えば、「9−Esperance」はExplosions In The Sky、Sigur Ros、Mogwaiを彷彿とさせる映画的な趣を持つギターロックをダウンテンポの領域から解釈している。複数のギターの録音を重ねあわせ、夢想的で叙情的なテクスチャーを組み上げている。ゆったりしたビートと心地よいギターの兼ね合いに注目です。この曲はまたギターの持つ静かな魅力が織り交ぜられています。ギターサウンドの音量的なクライマックスを迎えたのち、静謐なピアノが通り過ぎていく。
続く「10−Rest In Fight」は、そういった特徴がよく表れています。この曲ではEDMの音像を抽出し、扇動的な側面ではなく、治癒的な側面を強調している。それらの要素は、前曲のようなシューゲイズ、ポスト・ロックの音響派としての側面、そしてボーカルアートと結びつきを果たし、アンビエントの今一つの知られざる性質を提示します。闘争的な表現とは縁遠い雄大なサウンドは、この音楽の持つ慈愛的な性質を暗示している。このアルバムでは、例外的に崇高な感覚に縁取られはじめ、オーケストラ曲の持つ、壮大さへと変容していく。しかし、それらは細やかで控えめな性質を中心に構成されています。作曲的には、大きなものを避けていた制作者の表現性の清華とも称することが出来るでしょう。
Hollie Kenniff(ホリー・ケニフ)のニューアルバム『For Forever』は本日(11月6日)にNettwerk Music Groupから発売されました。ストリーミングはこちらから。
南アフリカが生んだニュースター、Moonchild Sanellyムーンチャイルド・サネリーがニューシングル「To Kill a Single Girl (Tequila)」を発表しました。この曲はEDMをモチーフにしたメロディアスなナンバーで、ハイパーポップのエッセンスが追加されている。(試聴はこちらから)
「To Kill a Single Girl (Tequila)」は、ムーンチャイルドのニュー・アルバムからの4枚目のシングルで、「アルコールで真実を語ることの危険性を歌った、メロディアスなパワーバラード」[THE TIMES]。「To Kill A Single Girl (Tequila)」はテキーラを使った別れの曲で、サネリーの言葉遊びとリリックの巧みさ、そして最もシリアスなテーマにもユーモアのセンスを発揮している。
すでにファースト・シングル「From Beneath」が公開となっているが、本日新たな新曲「A House, A City」が配信された。同楽曲は、エリオットにとっての最初のピアノで弾いた最後の即興演奏をiPhoneで録音したものから始まり、その後、彼の家と成長期の思い出にインスパイアされた個人的で繊細なソロ曲へと発展していく。
モクタール、アフムードゥ・マダサネ、スレイマン・イブラヒムの3人は家族のもとに帰ることができなかった。彼らはこの機会を捉え、『正義のための葬送』の続編として、自国の新しく深刻な状況を反映した作品を録音することを決めた。ツアーが終了した2日後、カルテットはエンジニアのセス・マンチェスターとともにブルックリンのバンカー・スタジオで『Tears of Injustice』のレコーディングを開始した。
『Funeral for Justice』では、ニジェールとトゥアレグ族の窮状に対する怒りが、音楽の音量と速度に端的に表現されている。他方、『Tears Of Justice』では、曲は増幅されることなく、その重みを保っている。貧困、植民地からの搾取、政治的動乱の絶え間ない渦に巻き込まれた国の悲しみを伝える。これはトゥアレグのプロテスト・ミュージックであり、生々しく本質的な形である。
そんなAi Kakihiraは来年1月に沖縄県にて開催される"Music Lane Festival Okinawa 2025"に出演することが決定している。同イベントは、主にアジア各都市から音楽関係者を招きアーティストとのマッチングを行なう目的で開催されている。沖縄とアジアの音楽ネットワーク構築、沖縄市(コザ)発の新たな音楽産業の創出などを目指す国際ショーケース・フェスティバルとなっている。今後、南日本(九州以南)地域のミュージックシーンを盛り上げる活動にも注目しましょう。
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◾️「Listen and Believe」 KEFの主催するポッドキャスト収録が11/7に開催
イギリスのオーディオメーカー、KEFの主催するトークイベント「Listen and Believe」が11/7(木)にKEF Music Gallery Tokyo(南青山)にて開催された。この日は15名ほどの観客を前に魅力的なポッドキャスト収録が行われた。(メーカーの特集記事はこちらからお読み下さい)
「祖母ミミの追悼式で”ヴァイオリンを弾いてほしい"と家族に頼まれた。この曲は、私たち家族の最愛の家長のために書いた。驚くべきことに、従兄弟のジョン・ドーランが追悼式でこの曲を聴いて、オルガンの伴奏を書く気になった。一方、同じ頃、もう一人の偉大なミミが亡くなった。Lowのエンジェル・ボイス、ミミ・パーカー。私は彼らの曲「Laser Beam」を学び、妹のヘザー・ウッズ・ブロデリックが親切にもハーモニーを歌ってくれた。この2曲で、私はこの世で失われた偉大なミミに敬意を表したいと思う"- Peter Broderick(ピーター・ブロデリック)
ピーター・ブロデリックは、モダンクラシカルからフォーク・ミュージックまで幅広い作風で知られている。最近はジャズ・シーンで活躍するベーシスト、Yosef Gutmanと共同制作を行い、ピアノ、バイオリン、コントラバスを融合させた『River Of Eden』をSoul Song Recordsからリリースした。このアルバムも素晴らしいので、ぜひチェックしてみていただきたい。
平野みどりは、卓越したサウンド・スカルプティングにより、映画やテレビの作曲家として著名なミュージシャンで、最近では『All or Nothing』、『Tokito』、プレミア・リーグのドキュメンタリーのサウンドトラックを手がけたほか、アンチ・ポップ・コンソーシアムのHprizm、パンソニックのIlpo Väisänenといったアーティストとコラボレーションも行っている。
Sharon Van Etten& The Attachment Theory(シャロン・ヴァン・エッテンと彼女のバンド、アタッチメント・セオリー)が、セルフタイトルアルバムからセカンドシングルを発表しました。「Southern Life (What It Must Be Like)」はリード・シングル「Afterlife」に続く作品です。イーサン・ドーズ監督が手掛けたミュージックビデオは以下よりご覧ください。
アルバムの冒頭曲「Black Is All Colors At Once」で聞けるギターの巧みな演奏は空間的な音楽性を押し広げ、そしてピアノの微細な装飾的な分散和音が加わると、明らかに他のセクステットではなしえない美麗で重厚感のある感覚的なハーモニーがぼんやりと立ち上ってくる。二曲目「Haiti」では、ドラムの演奏がフィーチャーされ、民族音楽のリズムが心地よいムードを作り出す。同じように構成的な演奏が順次加わり、金管楽器、ギター、ベースが強固なアンサンブルを構築していく。当初はリズムの単一的な要素だったものが、複数の秀逸な楽器の演奏が加わることにより、音楽全体の持つイメージはより華やかになり、豪奢にもなりえる。そういった音の構成的な組み上げを楽しむことが出来る。リズムの構成はエスニック(民族音楽)の響きが強調されているが、対してジェイコブ・ブロのギターはスタンダードなフュージョンジャズの領域に属する。これがそれほど奇をてらうことのない標準的で心地よいジャズの響きを生み出す。
「Peninsula」は同レーベルのエスニックジャズを洗練させた曲で、ピアノの演奏がミュート技法を用いたギター、ベースに対して見事なカウンターポイントを構成し、曲の後半ではまったりした落ち着いたハーモニーを形成する。クローズ「Mar Del Plata」は、アルバムではジェイコブ・ブロのギタープレイがフィーチャーされる。ラルフ・タウナーのギターほど難解ではなく、フュージョン・ジャズを下地にした心地よいギターの調べに耳を傾けることが出来るでしょう。
Casino Heartsがニューシングル「Ice In Mouth」を発表した。リノで結成され、LAを拠点に活動するこのプロジェクトは、歪んだデジタリズムとポップ・メロディーの分断されたテイストを融合させ、熱狂的にユニークなアプローチで世界を構築している。(ストリーミングはこちら)
デビューEP「Lose Your Halo」は今年の八月にリリースされ、その後リミックスもリリースされた。2024年を華々しく締めくくるカジノ・ハーツは、あざやかなニュー・シングルを公開した。
「Ice In Mouth」は、トリオが気温の急降下を受け入れているのがわかる。セイラムを彷彿とさせるこの曲には、ゴシックな雰囲気が漂い、傷ついたロマンチシズムが黒く染め上げられている。
このシングルについて、フォレストはこう語っている。 「Ice In Mouthは、去年の冬の吹雪の中で恋に落ちた後に書いた」
「Ice In Mouth」
ニューヨーク発テキサス経由のプロジェクト、Why Bonnieがニューシングル「Rainbow And Ridges」を発表した。
2ndアルバム『Wish on the Bone』は、Pitchfork、Stereogum、Consequence、FLOODなどから多くの賞賛を受け、後者ではWhy Bonnieの "明るいギターと重厚なビルドアップに加え、(彼らの)ソングライティングを照らす揺るぎない希望の光を模倣した特徴的な西部劇の影響 "を称賛している。
「Rainbows and Ridges」はブレイズ・フォーリーの名曲のカヴァーで、『ウィッシュ・オン・ザ・ボーン』のレコーディング・セッションのカッティング・ルーム・フロアから持ち出された。