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アイルランド・ダブリン出身のシンガーソングライター、Lucy Blue(ルーシー・ブルー)は昨年末デビューアルバム『Unsent Letters- (送られなかった手紙)』をリリースし、同地のミュージック・シーンにその名を知らしめることになった。ミュージシャンの音楽はその時時の感情をシンプルにポップスに込めるというもの。純粋な感覚であるため、琴線に触れるものがある。

 

今年始めに発表されたシングル「The End Of The World」に続く「home」は3年以上前に書き下ろされた曲であるという。心のこもった優しい曲で、クリエイティブな結実を果たしている。ノスタルジックなインディーフォークトラックについて、ルーシー・ブルーはこう語っている。

 

「この曲を書いてから、家についていろいろなバージョンを見つけました。いつも住んでいた家ではなくて、出会った人々だったこともある。このところ、私は3年間家を離れて暮らしていたんだけれど、これほどまでに家とのつながりを感じたことはありませんでした。この家は私のことをよく分かってくれているし、この家を”私の家”と呼べることを幸運に思っています」

 

ルーシー・ブルーはニューシングル「Home」の発売を記念するリリースパーティーをロンドンの"Jazz After Dark"で5月21日に開催します。

 


「home」



TikTokのカバー動画が瞬く間に話題となり、弱冠18歳にして今や世界中に100万人以上のフォロワーを誇る日系アメリカ人シンガーソングライター、Hana Effron(ハナ・エフロン)は”アデルの再来”とも称されている。本日、アーティストは先月公開された「Let's Talk」のオリジナルバージョンに続いて、日本語のテイクを配信した。正統派シンガーの伸びやかなビブラートは感動的で、言葉の節々には温かな感情と普遍的な愛情が示唆されている。先月のオリジナル・バージョンのレコーディング映像と合わせて、日本語バージョンのテースターもチェックしてみよう。


アメリカで育ち英語ネイティブな生活を送りつつも自宅では母と日本語で話したり、祖父母に会うために毎年日本を訪れるなど、日本は彼女にとって第二の母国。自身のアイデンティティや思いを込めて歌う日本語ver.は、芯があり力強くその中に豊かさを感じられるハナの歌声の魅力を存分に引き出している。ジャケットにはアーティスト名が日本語で記載されたスペシャル仕様となっている。


本作は「決して恋愛に限った話ではなくて、自分の人生の中に当たり前に存在していた人と疎遠になってしまうことへの寂しさだったり、親しかった頃を思い出してもう一度話したいと思うような、そんな言葉にならない感情を歌にした。」とハナが語るように、現代人がオンラインとオフラインの乖離から抱える寂しさとも重なり、多くのリスナーが共感できる内容を歌っている。


ルーツにある日本と、生まれ育った南カリフォルニアのカルチャーが融合され、唯一無二の感性を持ったシンガーソングライター ハナ・エフロン。日を追うごとに要注目人物として世界中から注目を集めるハナの飛躍する姿をお見逃しなく!

 

 

「Let's Talk」- Original Version

 

 

「Let's Talk」- Japanese Version (Best New Tracks)

 

 


Hana Effron(ハナ・エフロン)  -  「Let's Talk」  NEW SINGLE




レーベル(国内):ASTERI ENTERTAINMENT (アステリ・エンタテインメント) 

形態:ストリーミング&ダウンロード 

 

Pre-save/Pre-add(配信リンク):https://asteri.lnk.to/HE_letstalk_JP



Hana Effron Biography:


日本にもルーツを持ち、南カルフォルニアで生まれ育った弱冠18歳のシンガーソングライター、ハナ・エフロン。

5歳のころにピアノを習い始めステージで演奏するようになったことがきっかけで、音楽活動に興味を持つ。

最初は趣味で投稿していたTikTokのカバー動画だったが、2020年にアップした動画が瞬く間に注目を集め、現在では約100万人のフォロワーと2000万以上の “いいね” を獲得。

高校卒業後はアーティストとしての自身の音楽とアイデンティティを追求する道に進むことを決める。

自身が好きなアーティストとして名を挙げるアデルやビリー・ジョエルといったアーティストから音楽的なインスピレーションを得て、それに《耳から入る音を元に作曲する能力》を組み合わせることで、ハナは唯一無二のスタイルを確立した。

フルートやギター、ピアノなどを演奏するマルチ・インストゥルメンタリストとしての一面も。

現在、BTS, Jung Kook, Jonas Brothersらのプロデュースで知られる超一流プロデューサー、デヴィッド・スチュワートとデビュー・アルバムの制作に取り組んでいる。


2023年、英国のアートパンクグループ、Benefits(ベネフィッツ)は、Portishead(ポーティスヘッド)の中心人物、Jeff Barlow(ジェフ・バーロウ)の主宰するレーベル、Invada Records(インヴァダ・レコーズ)から鮮烈なデビューを果たした。


ベネフィッツは、ミドルスブラで結成され、ボーカル/フロントマンのキングズレー・ホールは大学卒業後、美術館に勤務したのち、ベネフィッツを立ち上げる。当初、彼等は、ジェフ・バーロウに才能を見出してもらいたく、Invadaの本拠であるブリストルから車で数時間をかけてギグを見に来てもらったというエピソードもある。キングスレーは当時のことについて、自分たちのアピールは多少、誇張的であったかもしれないと回想している。しかし、少なくとも、彼等はシングルのリリースを一つずつ積み重ねながら、着実にステップアップを図ってきたイメージがある。Invada Recordsとの契約は彼らが積み重ねきたものの先に訪れた当然の帰結でもあった。


今、考えると、ベネフィッツはどこにでもいるありきたりのパンクバンドではなかった。彼等は、デビュー当時から荒削りなポストパンクを発表してきた。英国の古典的な印象を込めたシングルのアートワークも、バンドの存在感を示すのに一役買った。彼等は徐々にポストパンクの中にノイズを追加するようになり、ミドルスブラの都市生活に見出されるインダストリアルノイズに触発され、ライフスタイルやカルチャーという観点から独自の音楽体系を構築するに至った。


デビューアルバムのリリースが発表された時、キングズレーさんはベネフィッツの音楽が”パンクではない”とファンに言われたことに対して不満を露わにしていた。しかし、おそらく彼等の考えるパンクとは、判で押したような形式にあるわけではない。時には、エレクトリックの中にも、スポークンワードの中にも、アンビエントの中にもパンクスピリットは偏在している。要するにパンクという性質は、ファッションに求められるのではなく、スタンスやアティテュードの中に内在する。彼はそれをみずからの経験を活かし、ニューヨークの現代美術家であるジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングさながらに、スポークンワードを画材とし、音楽という無形のキャンバスに打ち付ける。彼のリリックの中に整合性を求めるのは野暮である。それはポロックの絵画に''どのような意味があるか''という無益な問いを投げかけるようなもの。キングスレーは、その時々、ふさわしい言葉を駆使し、効果的なフロウを構築してゆく。喩えるなら、それは古典的な英国の詩人が時代を経て、相異なる表現者として生まれ変わったかのようだ。


『Nails』は、当サイトの週末のアルバムとしてご紹介しましたが、コアな音楽ファンの間で話題沸騰となり、ベネフィッツはClashが主催する教会でのギグへの出演したほか、結果的には、英国最大級の音楽フェス、グラストンベリーにも出演を果たし、バンドとしての影響力を強める要因となった。ちょうど一年前、『Nails』を最初に聴いたときの衝撃を未だに忘れることが出来ない。そして、実際、今聞いても、あのときの最初の鮮烈かつ衝撃的なイメージがよみがえるかのようだ。


デビューアルバム『Nails』は以前に発表された単独のシングルをあらためてフルレングスのアルバムとして録音しなおし、複数の新曲を追加録音。この録音は、ベネフィッツの出発となった「Warhouse」、「Shit Britain」、「Empire」、「Traitors」を中心に、全収録曲がシングル曲のようなクオリティーを誇り、スタジオの鬼気迫る雰囲気をレコーディングという形で収録している。


一触即発の雰囲気があり、次に何が起こるかわからない、驚きに充ちた実験音楽が最初から最高まで続く。取り分け、圧巻なのはクローズ「Counsil Rust」であり、ベネフィッツはノイズアンビエントとスポークンワードを鋭く融合させ、未曾有のアヴァンギャルド音楽を生み落とした。キングスレーの怒りに充ちたボーカルは、ドラムフィルを集めたクラスターの録音、スポークンワードスタイルのラップ、エフェクターとモジュラーシンセの複合からもたらされる無尽蔵のインダストリアルノイズの応酬、さらには、New Order、Portisheadの次世代のバンドとしてのエレクトロニック等と掛け合わされて、孤高と言うべき唯一無二のサウンドを作り上げる。

 

春先にデビューアルバムをリリースしたあとも、ベネフィッツは順調に活躍しており、国内やヨーロッパでのギグを行いながら、忙しない日々を送っている。昨年10月には、元Pulled Apart By Horsesのギタリストでエレクトロニック・ミュージシャンに転身したJames Adrian Brown(ジェームス・エイドリアン・ブラウン)との共同名義でのリミックス「Council Rust」 を発表した。


2024年最初のリリースは、音楽界の巨匠であり、アーティスト、エンジニアでもあるスティーヴ・アルビニへの追悼曲である。先日のシカゴの名物エンジニアが死去したという訃報を受けてから数時間のうちに、ベネフィッツのキングスレーは、James Adrian Brownとのコラボレーションを行うことを決めた。両者が計画したのは、アルビニの楽曲を自分たちのテイクで再録音するものであり、キングズレーとジェイムズによるShellacの名曲「The End of Radio」の新しい解釈は、ホールの挑発的で感動的なヴォーカルとブラウンのサウンドスケープを劇的に融合させたものである。ここには『Nails』を”fuckin cool"と絶賛したアルビニに対するリスペクトが凝縮されている。


このニュースとコラボレーションを振り返り、ジェームス・エイドリアン・ブラウンは次のように語っている。


「アルビニは10代の僕に道を切り開いてくれました。これほどサウンド的に心地よく、興味をそそるものを聴いたことがなかった。初めてShellacを聴いたときのことは忘れられません。キングズレーとカヴァーをするというアイデアは、基本的にセラピーのようなもの。彼の作品に万歳!! RIP、アルビニ」


一方、ベネフィッツのキングスレー・ホールはアルビニの死去について次のように回想している。


「彼の芸術性、エンジニアリング、音楽業界内外のナビゲートという点で、計り知れないインスピレーションを与えてくれた。彼がツイッターのいくつかの騒々しいビデオを通じて、ベネフィットを支え、励ます存在になったことは、予想外であったと同時に驚きだった。真の天才でした」


このカバーシングルのダウンロード・セールスの全収益は、スティーヴ・アルビニの妻の慈善団体である'Letters to Santa'に寄付されます。ぜひ、Bandcampでその詳細を確認してみて下さい。

 

 


James Adrian Brown featuring Benefits 「The End of The Radio」

 

 

 



Cassandra Jenkins

Dead Oceansとの契約を発表したばかりのCassandra Jenkins(カサンドラ・ジェンキンス)はこのレーベルの新たな看板アーティストに目され、エレクトロニックとポップスを融合させ、新しいフェーズへと進めるシンガーである。カサンドラ・ジェンキンスの楽曲は、エクスペリメンタルポップやアヴァン・ポップ、あるいはアートポップに該当すると思われるが、実際のトラックを聴くとわかるように、ジャンルという概念を超越した音楽的な表現性が含まれている。

 

カサンドラ・ジェンキンスの「Delphinium Blue」は、ダイナミックなスケールを持つアートポップソングである。シンセサイザーのシネマティックな背景を駆使し、ジェンキンスはそれを舞台の書き割りのように見立て、フローレンス・ウェルチのような壮大なスケールを持つポップネスを体現させる。その合間にスポークンワードも織り交ぜられている点を見るかぎり、ジェンキンスは現代のポップソングの最前線に歩み出ようとしている。シンガーは言語と花という二つの得難い概念を基に、最終的にそれを音楽というもう一つの語法として昇華させる。驚くべきことに、それは、フラワーショップの店員という個性的な仕事から得られた産物であった。


ソングライターが2021年に発表したブレイク・アルバム「An Overview On Phenomenal Nature」に続き、以後2年間にわたる大規模なツアーが開催された。スタジオに戻ったジェンキンスは、事実上、彼女を蝕んだアルバムの後を追う仕事を任された。この期間、ジェンキンスは精神的な疲弊を感じていた。しかし、傑出したアーティストにとって活力を取り戻す方法は、因果なことに、以前よりも良い曲を書き、みずからを納得させるということだった。


「デルフィニウム・ブルー」はカサンドラ・ジェンキンスを世界の構築者として包み込んでいる。この曲の制作についてのメモの中で、彼女はこう語っている。


「どこに向かえばいいのかわからなくなったとき、確実に美しいものを探すことがある。地元のフラワーショップの仕事に応募したとき、生存本能が働いたような気がした。その仕事は、私の人生で最も青かった時期を乗り切らせてくれた。花に囲まれていると、その重みに耐えるのが楽になるだけでなく、花と自分自身を十全に理解できた。花は私の潜在意識の言語となった。花々は、私が耳を傾けようと思えば鍵を握っているような、私の悲しみを運ぶポーターであり、気づきへの繊細なポータルであるような、すべてを知り尽くしているような質を帯びていた。

 

カサンドラ・ジェンキンスのアルバム「My Light, My Destroyer」は7月12日にリリースが予定されている。プロデューサー、エンジニア、ミキサーのアンドリュー・ラッピン(L'Rain, Slauson Malone 1)を含む、親密なコラボレーターと共に制作された。スラウソン・マローンはWarpに所属するエレクトロニック・プロデューサーで、最も先鋭的な作風で知られている。



「Delphinium Blue」

Wishy

 

ニューヨークシティのWinspearは、Fire Talkと並んで注目すべきインディペンデント・レーベル。ベッドルームポップシンガーからポピュラーシンガー、オルタナティヴロックアーティストまで豊富なルースターを誇る。複数のニューヨークの注目のミュージシャンが在籍しており、Lutalo,Daneshevskaya、先日アルバムを発売したAmy Oなど少数精鋭のラインアップを擁する。ウィンスピアは、The Lemon Twigs、Slow Pulpなどの有名バンドを過去に輩出した実績があり、若いミュージシャンやバンドの潜在的なポテンシャルを見出すことに定評がある。

 

レーベルが送り出すインディアナポリスのオルタナティヴロックバンド、Wishyに注目しておきたい。ロンドンのWhitelandsと並んで、要チェックの五人組グループ。彼らはシューゲイズギターとネオ・アコースティックの要素を織り交ぜて、ハートフルなギターロックワールドを提供する。

 

今年8月16日に発売予定のデビューアルバム『Triple Seven』はインディーロックファンにとって楽しみなリリースになりそうだ。リッチ・スミスが監督したミュージックビデオと共に公開された最初のシングル「Love On The Outside」は昨年のEPのギターポップやシューゲイズの色合いの残しながらも、Saves The Dayの「Anywhere With You」を思わせる軽快なナンバーとなっている。このニューシングルの由来について、ケヴィン・クラウターは以下のように説明している。

 

「この曲は、物事の行く末が不確かな恋愛の、エキサイティングでもどかしい初期段階について歌っています 。天秤はどちらの方向にも傾く可能性があり、しばしば忍耐は薄れ始めることがある。時には誰かの肩を掴んで、"なあ、どうしたんだ、マジで!!"って言いたくなることもある。そういうメロドラマ的な軽い感じのエネルギーを曲に持ち込むのはとても楽しかったよ」

 


「Love On The Outside」
 



Wishyは、昨年末、EP『Paradise』をリリースし、徐々にコアなインディーロックファンの間で支持を獲得しつつある。インディアナポリスのハイスクールで出会ったケヴィン・クラウターとニーナ・ピッチカイツの書くロックソングは、アイルランドのMy Bloody Valentineのギタリスト、ケヴィン・シールズの繊細かつ大胆なギターロックの系譜に位置する。


トレモロアームを駆使したディストーションギターのトーンのゆらめきが、リスナーを夢見心地の世界へと導く。曲のアウトプットには、ネオ・アコースティック/ギター・ポップの影響があるらしく、Cocteau Twins、Pale Saintsに象徴されるドリーム・ポップのニュアンスも含まれているのに注目。また、The Go Betweensを彷彿とさせるキャッチーなポップネスも彼らの魅力の一つ。

 

 

Winspear 『Triple Seve』

Label: Winspear

Release: 2024/08/16


Tracklist:


1. Sick Sweet

2. Triple Seven

3. Persuasion

4. Game

5. Love On The Outside

6. Little While

7. Busted

8. Just Like Sunday

9. Honey

10. Spit

Yonaka


YONAKAに起きた異変……。2014年にブライトンで結成されたYONAKAは当初、ロックバンドという触れ込みで活動していたが、四人組からトリオ編成になるにつれ、ドラスティックな音楽性の転換を図ろうとしている。YONAKAはライブを活動のベースに置き、いつも観客にどのような影響を与えられるかを考えてきた。もちろん、ライブ・パフォーマンスを通してである。

 

テレサ・ジャーヴィス(ヴォーカル)、アレックス・クロスビー(ベース)、ジョージ・ウェルブルック・エドワーズ(ギター)の3人組は、ポップ、パンク、ヒップホップを融合させ、ヒプノティックなオルタナティヴ・ロックのハイブリッドに仕上げた。このグループは、明確な意図と広大なビジョンを持ち、メンタルヘルス、エンパワーメント、そして「今、ここ」のテーマを深く掘り下げようとしている。1億5,000万回以上のストリーミングを記録し、幅広い賞賛を得たYONAKAは、LAVA/Republic Recordsからリリース予定のEPで次の章をスタートさせることになった。

 

テレサ・ジャービスは不安や抑うつ状態など、自身のメンタルヘルスの問題から、 それらをモチーフにしたロックソングを書いてきた。YONAKAは他のロックバンドと同じように、問題を抱える人の心を鼓舞し、最も暗い場所から立ち上がる手がかりを与える。そしてジャービスは自分と同じような問題を抱えるリスナーに”孤独ではないこと”を伝えようとしてきた。それらのメッセージがひとつの集大成となったのが昨年に発表された『Welcome To My House』だった。


2024年に入って、YONAKAは劇的な変化を遂げた。テレサ・ジャービスのソングライティングは昨年まではまだクリーンな曲が中心だったが、年明けすぐに発表された「Predator」ではホラーパンクともSFチックなニューメタルともつかない最もヘヴィーなロックバンドへと変身を果たした。昨年まではスクリームやシャウトをすることに関してためらいを持っていたテレサ・ジャーヴィスのボーカルには、なんの迷いもなくなり、SlipknotやArch Enemyに匹敵するエクストリームなボーカルを披露するようになっている。バンドサウンドに重要なエフェクトを及ぼすのが、ニューメタルに触発された考えられるかぎりにおいて最もヘヴィーなギターである。昨年まではロックバンドとしての印象を大切にしていたため、ギター・ソロを披露することに遠慮があった。しかし、今年に入ってから何が起きたのか、ジョージ・エドワーズのダイナミックなギターが曲の中を縦横無尽に駆け回り、およそミクスチャー以降のニューメタルの系譜にある迫力のあるギターソロが稲妻のように駆けめぐり、そしてエナジーを極限まで引き上げる。それはスリーピースのバンドとは思えぬほどのヘヴィネスであり、そして激しさなのである。


今週末、LAVAからリリースされた「Fight For Right「権利のために闘う」)では、ボーカリストのテレサ・ジャーヴィスはシンプルに自分たちの権利を守るために歌を歌っている。ここには主張性を削ぎ落とした結果、ニュートラルになったバンドとは全く異なる何かが含まれている。彼らは口をつぐむことをやめ、叫ぶことを是としたのだ。

 

トリオは昨年までのロックバンドとしての姿を留めていたが、年明けのシングル「Predator」と合わせて聴くと、全然異なるバンドへと変貌を遂げたことがわかる。ライブイベントやファンとの交流の中で、”ファンの声を聞き、それを自分たちの音楽に取り入れることが出来た”と話すテレサ・ジャービスが導き出した答えは、YONAKAがニューメタルバンドとしての道を歩みだすことだったのだろうか。「Fight For Right」は彼らが書いてきた中で、最もグルーヴィな一曲。彼らはトレンドから完全に背を向けているが、その一方、最もサプライズなナンバーだった。誰にでも幸福になる権利があり、そしてそれは時に戦うことにより獲得せねばならない。

 

 

 「Fight For Right」