Jaywood EP『Grow On』をCaptured Tracksより発売

 



カナダ出身のソングライター兼プロデューサー、Jeywoodこと、ジェレミー・ヘイウッド=スミス(Jeremy Heywood Smith)は、2022年のアルバム『Slingshot』(レビューはこちらから)のから1年後、新作EP『Grow On』を発表した。


『Grow On』は、ヘイウッド=スミスが2018年から2020年にかけて培ってきた音の遊び場を引き継いだもので、前作から「芸術的に何も置き去りにしない」ことを目指すと同時に、これからの創作の道筋に光を当てている。


EPのタイトルは、Slingshotのシングル「Thank You」の歌詞にもなっているが、ヘイウッド=スミスの亡き母親と、その母親が彼に言った「大人になって成長しなさい」というアドバイスにインスパイアされたものだ。

 

この助言は長年にわたり、特に2018年から2020年にかけては、母親の早すぎる死を含め、多くの人生の変化をもたらした時期であった。前に進むために振り返るという意味を込めたSlingshotが最終的にアルバム名に選ばれたものの、このフレーズが彼の頭から離れることはなかった。


オープニング・トラックの「Heavy Eyes」は明晰さについて歌った曲で、人生の道筋、心の明晰さ、精神の明晰さについて歌っている。

 

ヘイウッド=スミスは冒頭で、"I'm grown halfway there "と繰り返し唱えている。この曲についてヘイウッド=スミスは、この曲を書いたとき、すべてを把握し、自分の人生の方向性が明確になったと感じたと説明している。

 

それから数年後、彼はこの曲の歌詞を「実際に明晰さを手に入れたというよりも、明晰さを顕在化させたようなもの」だと考えている。それは、成長することの一部とは、自分がすでにいた場所を認識し感謝しながらも、まだ先があることを知る知恵を持つことだという認識だ。


サウンド的には、『Heavy Eyes』は5つの異なる曲が1つになったような、ある種のコントロールされたカオスのように感じられる場合がある。このコントロールされたカオスは、ジェレミーのプロデューサーとしての成長によって可能になった。このプロセスを通し、彼は音空間の創造に集中するようになり、リスナーを圧倒することなく「Heavy Eyes」のような大きなアイデアを軌道に乗せ、作曲家としてもプロデューサーとしても自分の耳をより心から信頼することを学んだ。


「Dirk Gently (Know Yourself)」は、ジェイ・ウッドの特徴的なサウンドに大きく傾倒したトラックだ。ヘイウッド=スミスは2020年に "Dirk Gently "の制作を開始し、最近、新鮮な耳でこの曲に戻り、新たに見つけた空間と構造の感覚を吹き込んだ。


『Heavy Eyes』と同様、『Dirk Gently』も確固たる確信のもとに書かれた。今、この曲がリリースされ、ウィニペグからモントリオールに移り住み、新たな旅に出る彼は、自分が何者なのか、そして未来に何が待ち受けているのか、ちょうど見定めているところだと感じている。

 

 「Dirk Gently (Know Yourself)」

 

「Thank You (OG Version)」は、ヘイウッド=スミスの亡き母を称えるために書かれたSlingshotのオリジナル・バージョンである。より静かで感情的なアプローチで作曲されている。この曲の作曲は、ジェレミーにとって画期的な瞬間で、感情的で傷つきやすい経験と正面から向き合うために初めてソングライティングを活用した。OGバージョンは、その意図を直接音に反映させている。

 

OGバージョンは、彼の母親の音楽的嗜好へのオマージュであると同時に、その意図を直接音に反映させている。アル・グリーン(Al Green)への言及とともに、この曲にモータウンの感覚を吹き込むことが目的だった。この曲は、ジェイウッドが育った音楽を思い出させる黒人教会ゴスペルの文化に触れている。

 

「Thank You」は、後にSlingshotとなる楽曲をコンパイルし始めたジェレミーが、初めて他の人に聞かせた曲でもある。ヘイウッド=スミスは、このオリジナル・ヴァージョンを共有することで、「一周したような、文字通りスリングショットのような瞬間だ」と語っている。


EPの最後を飾るのは、ヘイウッド=スミスが長年影響を受けてきたタイラー・ザ・クリエイターの「SWEET」のカバーだ。

 

ある意味、彼は、タイラーのキャリアと自身のアーティスティックな旅の間に並行するものを見ている。2021年に『CALL ME IF YOU GET LOST』が発売されたとき、ジェレミーはレコードを最初から最後まで聴いた。音楽を仕事にすることが単なる夢だった高校時代に、オッド・フューチャーの最初のテープを聴いたことを思い出したのだ。早いもので、ジェイウッドはEPを2枚、アルバムを2枚リリースし、次のフルレングス・リリースに向けて精力的に活動している。