『Talk Talk EP』の始まりは、『So Many Other Realities Exist Simultaneously』に収録された同名の曲のセッションだった。リフター・プラー出身のバット・フラワーとのコラボレーション曲「Talk Talk」は、エレクトロ・クラシックと並んで、不気味の峡谷に存在し、そこはかとなく異質でありながら深く人間的な、ナイトクラブへと直結している。
Def.fo is releasing the fresh trip-pop banger "Godly" today. (Click here to pre-order the CD/Vinyle, etc.) Check out the simultaneously released music video below.
The new single is an ethereal journey of self-awareness and cosmic connection, a solid trip-hop, stomping groove, G-funk analogs, and hazy vocals.
”Godly" reminds us to cherish the journey of life and embrace who we are. Awe-inspiring in its reverence for our surroundings, it invites the listener to find a sense of oneness within the universe and a deeper sense of the divine.
Production is helmed by the father-son team of Tom Powell and Steve Powell (The Strands, John Power, The Stairs).
The mix is by Roy Merchant (Cold Cut, M.I.A., and Kano). Mastering was done by the legendary Howie Weinberg (De La Soul, Beastie Boys, The Stairs), who has worked on many hip-hop classics.
The recording features vocals and guitar/bass by Tom Powell, with heavy drum beats by Jake Woodward (Nova Twins, Peter Perret).
さて、ダニー・ブラウンが何年も前から予告していたこの新作には、ブルーザー・ウルフ、カッサ・オーバーオール、MIKEがゲスト参加し、クエル・クリス、ポール・ホワイト、SKYWLKRらがプロデュース。この作品は、2019年の『Uknowhatimsayin¿』と3月にリリースされたJPEGMAFIAとのコラボレーション・アルバム『Scaring the Hoes』に続く作品となる。
最新作『喜哀』については、前作よりも内面的にふつふつと煮えたぎるフラストレーションをリリックに落とし込んでいる。それは、みずからの言葉に対して遠慮がなくなった、また、言葉が鮮明になったとも考えられる。OMSBのラップのスタイルは、ニューヨークのドリルとも、シカゴの2010年代のドリルとも、Mick Jenckins、McKinly Dicksonに象徴される現行のオルタナティヴ・ヒップホップとも、ロンドンのドリルとも違う。当然のことながら、Little Simzとも、KIller Mikeとも異なり、JPEGMAFIA/Billy Woodsのアブストラクト・ヒップホップの前衛的な手法とも異なる。どちらかと言えば、OMSBのリリック・スタイルは、北海道/札幌のThe Blue Herbの系譜に属しており、90年代からめんめんと続くJ-RAPの核心を突くアプローチなのである。そう、それほどリズムの複雑性を押し出さず、シンプルなビート/トラックを背後に日本語のリリックを駆使し、ナチュラルなフロウをかましていくのが、OMSBのスタイルなのである。
ただ、その中に、海外のヒップホップと共通点を見出すことが難しいかと思えば、そういうわけでもない。例えば、『喜哀』のオープニングを飾る「More Round」では、疾走感のあるビートを背後に、いわば「肩で風を切るようなフロウ」を展開している。これらのドライブ感のあるラップのビートに、Mckinly Dicksonの「Run Run Run」と同じ様なニュアンスを見出したとしても、それは多分錯覚ではあるまい。表向きにはドリルの形はほとんど見えないように感じるが、ドリルのフロウで展開される節回しを駆使し、トラックメイクの強固なグルーヴを味方につけて、サンプリング/チョップの要素を織り交ぜ、目くるめく様にアグレッシヴなラップを展開する。そして、リリックの中にも「風神 雷神」といったジャポニズムの影響を込めた日本語のリリックを織り交ぜ、町中をバイクで飛ばすように、軽快に風を切っていく。前作では、日本人というアイデンティティを探し求めるかのような表現も節々に見受けられたが、今回のオープニング・トラックでは、「日本人であるということが何なのか」を自ら示そうとしており、受動的な表現から主体的な表現へと切り替わったことに大きな驚きを覚える。彼のリリックは、日本人という感覚が希薄になった日本のアーティスト達をギョッとさせるのではないか?
同じようにまったく海外の現行のラップとはかけ離れたようでいて、「Hero Is Here」 ではギャンスタラップの影響を交えたラップが続く。例えば、Icecubeのような過激かつ激烈な表現性はそっくりそのままクライムへと直結するため、現代の米国のラッパーは、たとえそれが冗談にすぎないとしても、挑発的な表現や過激なリリックを極力控えるようになって来ている。シカゴのギャングスタの出身者でさえ、表向きにはハート・ウォーミングな内容の歌を歌うようになっているが、OMSBは、ギャングスタ・ラップに見受けられるエクストリームな表現を、ブラック・ミュージックの純粋な様式美と捉えているらしい。しかし、苛立ちやフラストレーションを込めたOMSBのリリックスタイルは、外側に対する攻撃性とはならず、「だめなやつほど、俺をありがたがる」という自虐的とも取れるシニカルな表現となっている。これが「ガキ使」等のリリックとともに、ちょっとしたコメディーのような乾いた笑いを誘う場合があるのだ。
アルバムの最後にも注目曲が収録されている。以後の2曲は、DJセットの後のクールダウンの時間を設けたかったというような意図を感じ取れる。「Sai」は、ロレイン・ジェイムスやトロ・イ・モアのようなエレクトロニック/チルウェイブを繊細な感覚と結びつけて、序盤の印象とは異なる切ない情感を表現している。シンプルなループ・サウンドではありながら、その中には緩急があり、夕暮れ時に感じるような詩情や切ない感情をLofi-Hopのスタイルに昇華している。「Blood」では、ソウルとヒップホップの融合というDe La Soulの古典的なスタイルを継承している。アルバムのクロージング・トラック「Mement Mori Again」は、果たして映画に触発された内容なのか。フィルム・ノワールの影響を込め、サックスのソフトウェア音源を取り入れたシネマティックなラップを示し、タイトル曲「喜哀」と同音異義語である「気合」を表現している。最後のトラックでは、OMSBのパーソナリティな決意表明とも取れる、信頼感溢れるリリックが展開される。しかし、その言葉は上滑りになることはない。ヒップホップ・ファンとしては、OMSBというJ-Rapの象徴的な存在に対して、一方ならぬ期待感を覚えてしまう。
レコーディングには、アール・スウェットシャツ、ラリー・ジューン、Liv.e、Niontay、エル・クストー、ブルックリンのサイケロックバンド、クラムのライラ・ラマーニ、UKのシンガーソングライター、マーク・ウィリアム・ルイスが招かれている。MIKEはさらにアレックス・ハギンズが監督した「What U Say U Are」のビデオも公開している。下記よりご覧下さい。
JPEGMAFIAがプロデュースしたこの曲は、ピンク・シーフ(Pink Siifu)をフィーチャーし、DJ ハラムがプロデュースしたアーマンド・ハマーの前シングル「Trauma Mic」に続く作品である。両曲とも、デュオの待望のアルバム『We Buy Diabetic Test Strips』からのリリースである。
JPEGMAFIAとのコラボレーションの過程、そして、「Woke Up and Asked Siri How I'm Gonna Die」がアルバム制作の原動力となったことについて、ビリー・ウッドは次のように書いている。というのも、いくつかのトラックは、ドープなヴァースと本当に良いビートと素晴らしいフックを備えていて、曲は本当にドープでクールなんだ。それは確かに勝利だけど、他の曲もあるんだ」
彼は続ける。「全てのパーツがユニークな軌道を描いて渦を巻き、お互いを高め合い、突然全体が浮遊するような曲だ。錬金術。卑金属が金に変わるなど。新しい創造の旅に出るとき、私はいつもその瞬間を待ってるんだ。その紛れもない道しるべを・・・。『We Buy Diabetic Test Strips』では、そのような瞬間が少なからずあった。その回のテイクで、ああ、これだ、と思ったんだ」
音楽のテーマから言うと、デビューアルバム『The Water(S)』の時代から、黒人として生きることの葛藤、警察の横暴を鋭く描いた。二作目のアルバム「Piece Of A Man』では、ジル・スコットの1971年のデビュー作のオマージュを行い、三作目のアルバム『Elphant Is The Room』では、R&Bやジャズに依拠し、みずからの家族との関係等に焦点を当てるなど、作品ごとにそのテーマを様変わりさせてきた。
インディアナのラッパー、Freddie Gibbsが参加した#2「Show & Tell」では、トリップ・ホップとシカゴ・ドリルの融合を図っている。昨年のケンドリック・ラマーの最新アルバム『Mr. Morales & The Big Steppers』でのBeth Gibbonsの参加を見ても分かる通り、地域を問わず、今や米国のラッパーは、ブリストルのトリップ・ホップの影響をUSラップの中に取り入れようとしている。 蠱惑的なブリストル・サウンドを下地にしたトラックに乗せられる、ジェンキンスのフロウは、中盤にかけて、神がかったドープな領域へと突入している。ギャングスタ・ラップのように過激な雰囲気もあるにせよ、曲自体はしっとりとしたソウルに近い概観に彩られている。
#3「Sitting Ducks」では、エレクトロニックとラップのクロスオーバーに取り組んでいる。例えば、エレクトロニック寄りのラップは、2018年の『Piece Of a Man』に収録されていた「Gwedolynn's Apprehension」でも示されており、改めてこの形式を踏襲している。バック・トラックに関しては、Warp Recordsのアーティストの制作するようなIDM(Intelligence Dance Music)ではありながら、リズム・トラックに接して対比的に歌われるジェンキンスのラップは、シカゴのラッパー、Defceeのスタイルに近い。
これらのラップ・バトルに触発されたリリックとIDMの融合は、きわめて新鮮な印象をもたらす場合がある。ジェンキンスは、このトラックにおいて、自らフロウの特徴ある低音から中音域を漂うリリックを披露しているが、コラボレーターとして参加したBenny The Butcherはそれより少し低いフロウを披露し、曲全体に安定感と落ち着きを与えている。リリックには、過激なスラングが含まれるが、他方、聴かせる要素もある。言葉こそエクストリームなニュアンスも込められてはいるにせよ、感情のバランスが抑制され、奇妙なバランス感と音感に支えられている。
#7「ROY G. BIV」では、このプロデューサーらしいサイケデリックな性格と、ミニマルな要素が絡み合い、スタイリッシュなヒップホップが生み出された。短いシンセのスニペットを反復させ、それをなだらかなバックトラックとしてアウトプットし、そのビートの上をジェンキンスのフロウが軽やかに舞う。ダンス・ミュージックとラップの中間域を意識した楽曲であり、アルバムの中では最も聴きやすく、軽やかな感じの一曲として楽しむことができるはずだ。
#2「Hold Me Down」 にて、ようやく本格的なスポークンワードが展開される。オープナーに続いてダブ・ステップに近い複雑なリズムを擁するトラップが繰り広げられるが、少しアイロニックかつシニカルなニュアンスをおり混ぜ、内省的なラップが繰り広げられている。イントロこそ単調な印象もあるリリックは、その後、コーラスが加わるや否や、ビートの上をまろやかなフロウが転がり始める。その上に、ゴスペルやアフロ・ジャズを想起させるメロウなフレーズが、甘い雰囲気を生み出し、アウトロのフェードアウトまで持続している。また、ドラムンベースやベースラインを基調にした変則的なリズムに加え、ソフト・ロック調の軽やかな雰囲気を織り交ぜながら、序盤の”トロピカル・ヒップホップ”としての基礎をしっかりと築き上げている。
#3「Balloons」は、ジェイ・エレクトロニカが参加したことで問題となったトラックですが、アルバムの中でも聴き逃がせない。Nilfer Yanyaに近いベースラインをバックにして、Nonameのスポークンワードは序盤よりも感覚的な鋭さと緊張感を増していく。独特なのは、絡みつくようなリリックの運びを介し、小節の後半に言葉の強拍を配置することにより、コアなグルーブ感を生み出している。そこに、チャールズ・ミンガスのウッド・ベースの演奏(モード奏法)を多分に意識したジャズのベースが加わると、Nu Jazzにも近い雰囲気を帯びる。サビの「Crack The Moon」というフレーズを介して、Nonameはフィーリングに直に訴えかけるようなフレーズを生み出している。これにイタロ・ディスコ風の甘い感じのコーラスが合わさり、リゾートな気分を盛り立てている。
#5「potentially the Interlude」 もクールなトラックだ。ビンテージ・ファンクを下地にし、モダンなソウルとしてアウトプットしている。特に、ジャズではお馴染みの6/8のビートが反復されることで、うねるようなグルーブ感が生み出され、それらのビートの合間を縫うようにし、Nonameのスポークンワードがジャブさながらに打ち出され、最終的にはよりフロウに近づいていく。
「Thank You (OG Version)」は、ヘイウッド=スミスの亡き母を称えるために書かれたSlingshotのオリジナル・バージョンである。より静かで感情的なアプローチで作曲されている。この曲の作曲は、ジェレミーにとって画期的な瞬間で、感情的で傷つきやすい経験と正面から向き合うために初めてソングライティングを活用した。OGバージョンは、その意図を直接音に反映させている。
ある意味、彼は、タイラーのキャリアと自身のアーティスティックな旅の間に並行するものを見ている。2021年に『CALL ME IF YOU GET LOST』が発売されたとき、ジェレミーはレコードを最初から最後まで聴いた。音楽を仕事にすることが単なる夢だった高校時代に、オッド・フューチャーの最初のテープを聴いたことを思い出したのだ。早いもので、ジェイウッドはEPを2枚、アルバムを2枚リリースし、次のフルレングス・リリースに向けて精力的に活動している。
A1: Landlines A2: Woke Up And Asked Siri How I'm Gonna Die A3: The Flexible Unreliability of Time and Memory A4: When It Doesn't Start With A Kiss B1: I Keep A Mirror In My Pocket B2: Trauma Mic B3: Niggardly (Blocked Call) B4: The God's Must Be Crazy B5: Y'all Can't Stand Right Here C1: Total Recall C2: Empire Blvd C3: Don't Lose Your Job D1: Supermooned D2: Switchboard D3: The Key Is Under The Mat
JPEGMAFIAとDanny Brownがコラボレーション・アルバム『SCARING THE HOES』を拡張し、「DLC PACK」と名付けた4曲入りの特別版のEPをリリースした。この作品はビデオゲームからヒントを得て制作された。現在、アップル・ミュージックまたはスポティファイ、バンドキャンプでストリーミング出来る。各種ストリーミング/EPのご購入はこちらからどうぞ。
オリジナル・アルバム同様、『SCARING THE HOES: DLC PackはJPEGMAFIAによって制作された。
オープニング・トラックの 「Guess What Bitch, We Back Hoe!」はアップテンポでクラブ・テイストのプロダクションだ。「Hermanos 」はデュオのシャープなフロウとは対照的なゴージャスなヴォーカル・サンプル。「Tell Me Where to Go」はソウル・フリップを取り入れた驚くほどレイドバックした曲。エンディング曲「No! ー」では、壮大なクワイア・サンプルが、"Bitch, I ain't Baby Keem, My cousin ain't gave me shit "のようなJPEGMAFIAの小粋なパンチラインと見事に合致している。曲を締めくくるため、ブラウンは率直な話し言葉のアウトで、"囚われの身のような気分で、逃げ出したい/晴れの日は憂鬱だから、雨の日を祈る "と自らの繊細さを告白している。
シカゴのラッパー、Mick Jenkins(ミック・ジェンキンス)がニューアルバム「The Patience」を8月18日にリリースすると発表しました。後日、掲載した特集記事、Weekly Music Featureもあわせてご覧ください。
ミック・ジェンキンスはシカゴのオープンマイクシーンとも関わりを持つ。2021年に発表したアルバム「Elephant In The Room」は当サイトの2021年のベスト・アルバムに選出されている。ラップには一家言を持つイギリスの音楽メディア、CLASH誌は、ミック・ジェンキンスを高く評価し、レビュアーであるニール・スミスさんは次のように絶賛している。「ミック・ジェンキンスは、ニュアンスと重層的なサブテキストの達人だ。アルバムは、ヴィンテージ・ソウル・レコードの基礎と、リリックに長けたアルト・ヒップホップ・アルバムにしか見られない、悲痛で残酷な正直さを融合させている」前作はジェンキンスが家族との記憶に焦点を当て、彼の命題であるビンテージ・ソウルとモダン・ラップの融合に音楽的な根幹が置かれていた。