フランスのメロディーズ・エコー・チェンバーは待望の4thアルバム『Unclouded』をドミノより本日リリースした。メロディ・プロシェは、ヨーロッパのインディーポップシーンをリードする存在といっても過言ではない。


新作アルバム『Unclouded』は、メロディーズ・エコー・チェンバーが生命を肯定する新たな章へと踏み出す作品である。本作のタイトルは、日本のアニメーション映画の巨匠・宮崎駿が均衡について語った言葉から引用されているという。「憎しみに曇らされた目で見ないでください。悪の中に善を見出し、善の中に悪を見出すこと。どちらの側にも誓いを立てないでほしい」 


このアルバムの全般には少なくとも個人としての成長が込められている。「大人になる過程に何かしら懐かしさを感じていた」とメロディはいう。「でも、今や無常という概念を理解したから、個人的に受け止めない」この明るいビジョンは、アルバムの心地よいグルーヴにも、そして、地に足のついたリリックにも反映されている——逃避の本能は、今この瞬間に自然と共にある感覚へと置き換わった。  


子供を生み、母親になる過程でも、プロシェはミュージシャンとしての歩みを止めたことがない。このアーティストの作りだす音楽は夢想的だが、それはそのまま現実の先にある。「私が創る音楽は、現実と寓話の狭間に存在している」とメロディはいう。「生きる経験を重ねるほど、人生への愛はおのずと深まり、逃避する必要は減っていく。私の心が今も青春の時間に属しているなら、それはまるで、あちこちに散らばっていた自分自身の破片を拾い集め、日本の金継ぎのように金でつなぎ合わせたような感覚だ」 (金継ぎとは、割れた陶器を金や銀の漆で修復する日本の技法を示す)  


もちろんアーティスト一人だけで完成を見た作品ではない。ジャンルを問わない製作陣の豪華さが、そのことを如実に物語っている。もし、メロディ・プロシェが協働した素晴らしいプロデュース陣を賞賛したとしても、それは不思議ではない。新作『Unclouded』の豪華な参加アーティストには、スウェーデンの巨匠スヴェン・ヴンダー(ダニー・ブラウン)が共同プロデュースと楽曲制作を担当し、豊かな質感のキャンバスに独自の音響的なパレットを加えている。


弦楽器のヨセフィン・ルンステーンは前衛的な知性を音の絵巻に吹き込み、ディナ・オーゲンのダニエル・オーゲンがギター、ラブ・オルサンがベースを担当。メロディは彼らを「ベルベット・グルーヴの達人」と評する。 マッドリブやDJシャドウとの共演歴を持つ英ドラマー、マルコム・カト(ザ・ヘリオセントリクスの要)。頻繁に共演するレイン・フィスケ(ドゥンゲン)は、ジョニー・マーを思わせる見事なギター・パートをアルバム全体に散りばめている。 


ウータン・クラン、ザ・カーターズ、ノラ・ジョーンズ、クレイロらと共演するレオン・ミシェルズが、アルバムのクロージング曲で、最近リリースされた「Daisy」でメロディと共演した。この曲はエーテルから摘み取られたようなきらめくポップソングだ。エル・ミシェルズ・アフェアのグラミー賞受賞ミキサー、イェンス・ユングクルトが招聘され、鮮明な命を吹き込んだ。  


『Unclouded』は、2022年にメロディ・エコー・チェンバーの称賛を浴びたカムバックツアーでプロシェを世界中へと駆り立てた、ポジティブなエネルギーに満ちている。パリから結婚した後に住まうアルプ=ド=プロヴァンスの高地に戻った彼女は、本格的に楽曲制作に取り掛かった。


本作の全般的なインスピレーションの源について、「生きる体験への深い愛情です」と彼女はいう 。「今も少し浮き沈みはありますが、より調和のとれた感情へ戻るのは以前より早くなりました。儚いものの美しさや、その無常がもたらす甘く切ない感覚を楽しむことができるのです」 



 Melody's Echoes Chamber 『Unclouded』-Domino


 

メロディーズ・エコー・チェンバーの最新作は2025年のミュージックシーンを占うと言っても過言ではあるまい。2025年は全般的にロックよりもポップグループの活躍が目立った印象だが、メロディ・プロシェはソロアーティストとして今年度のミュージックシーンを総括する。

 

今年は、何と言っても、ルーズな感覚のあるアルトポップやシンセポップが世界のミュージックシーンを席巻している。その中で、気炎を吐くロックバンドがわずかにいた。インディーポップと一括りに言っても内実は多様である。ダンスミュージックを絡めたもの、ニューウェイブ/テクノポップに触発されたもの、AOR、ヨットロックを意識したリバイバルもの、アルトロックとの中間に位置するものというように、グループによって音楽性がそれこそぞれ異なっていた。

 

フランスのメロディーズ・エコー・チェンバーは、サイケロックや甘口のインディーポップとの絶妙なラインに位置する。個性的な作風であり、他のアーティストやグループとの差異を作り出す。ダニー・ブラウンの作品を手掛けたスウェーデンのプロデューサー、スヴェン・ヴンダーは、従来のドリームポップの夢想的な空気感に先鋭的な音楽性をもたらしている。このアルバムの随所に見いだせるブレイクビーツ、そしてジャズのシャッフルの手法は本当に見事だ。

 

全般的なプロデュースの面では、デジタルレコーディングの音の艶感を活かしつつ、ローファイ/ギターロック風のマスタリングが施されている。これは全体的に聞きやすさをもたらしているのは事実ではないだろうか。アルバムの冒頭を飾る「The House That Doesn't Exist」は、今年の音楽を象徴するような内容。くつろいだラフな感じのジャグリーなギターロックとなっている。

 

従来では、アルバムのオープナーといえば、身構えさせるような曲も多かった。けれど最近ではビートルズのような感じで、ラフに入っていき、リスナーに親近感をもたらし、また、掴みの部分を作るのが常套手段になっている。それほどかしこまらず、気軽に聞けるロックソングが現代のトレンド。また、この曲は、そういった現代的なリスナーの需要に添う内容となっている。

 

しかし、依然として、メロディ・プロシェらしさが受け継がれている。「ネオサイケデリア」とも称されるサイケのテイストがジャグリーなロックと絡み合い、絶妙なテイストを放つ。そして、マルコム・カトの超絶的なドラムプレイーーしなやかでタイトなドラムーーは、ジャズのリズムやブレイクビーツの切れのあるグルーヴを与え、メロディーズ・エコー・チェンバーのほんわかして和やかなドリームポップに属するボーカルのテイクと見事な融合を果たしている。


また、ダニエル・オーゲンのジャングリーなシングルコイルのギターも素晴らしく、心地良いハーモニーを生み出す。全般的なバンドアンサンブルの見事さは、急造のものとは思えないほど。背景となるシンセサイザーのパッドのシークエンスは、現実と夢想の中間に位置するアルバムの独特な空気感を醸成する。かつて、Broadcast(Warp)が志向していたような音楽である。

 

メロディー・エコーズ・チェンバーは、2022年のアルバム『Emotional Eternal』の頃から、 中期ビートルズに象徴されるバロックポップ/チェンバーポップ(オーケストラとロックやポップソングのクロスオーバー)を完成させていた。

 

最新作ではこの音楽を先に進めている。ビートルズの中期以降のプロデューサー、フィル・スペクターの”エコー・チェンバー(壁に共鳴するサウンド)”を駆使し、オーケストラストリングとバンドセクション、ボーカルを組み合わせて、チェンバーポップの最終的な形を提示している。ただ、今作では、デジタルレコーディングを中心に擬似的なサウンドが生み出されている。


フィル・スペクターのチェンバーポップの録音風景(Los Angels: Gold Star Recording Studios) 演奏者の距離を極力近づけ、特異な反響を生み出し、アナログコンソールでミックスし出力する

ヨセフィン・ルンステーンの弦楽器のレガートは、優雅な音のウェイブを作り出し、音楽を華やかにする。オーケストラ・ポップとも称すべき、普遍的なサウンドが、最新のデジタルサウンドで蘇る。ボーカルも、渋谷系のようなクロスオーバーサウンドを彷彿とさせる。ボサ、ラウンジジャズ、フレンチポップといった音楽性を汲み取り、巧みなボーカルラインを作り出す。


この曲ではストリングに美しさに目が行きがちであるが、むしろベースラインが圧倒的だ。中音域から高音域の音響的な印象を形成する弦楽器とコントラバスの対旋律を作り、メインとなるボーカルラインを補佐している。その結果、非の打ち所がないポップソングが誕生したといえる。


また、他のドラムの演奏も同じくらい傑出している。優れたドラマーは、タイトなリズムのセクションを作り出した上で、スネア、タム、シンバルだけで、曲をドラスティックに変化させる。そして、この曲では、 ジャズドラムのように分数的な拍のリズムを使い、全般的な音響に迫力をもたらしている。ドラムの演奏効果としてオーケストレーションに近い手法を用いている。

 

軽〜い感じのインディーポップも、こういった強固なベース/ドラムの演奏が加わると、力強い衣装を持つポップソングに変貌するのが驚きだ。しかし、同時に、ソロシンガーとしての鮮烈な存在感も薄れていない。曲の背景となる強固なグルーブを味方につけ、従来と変わらず、ほんわかとしたドリームポップの手法をメロディーズ・エコー・チェンバーは推進させる。この曲では、60−70年代のサイケロック/サイケ・ポップのビンテージなバンドセクションと、文字通り夢想的なボーカルラインが混ざり合い、うっとりとしたサウンドを形成する。しかし、こういったサウンドもまた、二番煎じにはならず、鋭いオリジナリティに縁取られている。


ジャンルを規定せず、バンドセクションの中で、音楽性が徐々に変遷していき、後半の箇所では、アルトサックスのような金管楽器を用い、ジャズのテイストを引き出す。これらの複数の音楽的なジャンルが混在した”ネオサイケデリア”が今作を聴く時の重要なポイントとなりそうだ。

 

中盤が圧倒的なので、聞き逃さないようにしてもらいたい。これらの圧倒的な側面をもたらすのが強固なリズムの構成と個性的なプロデュースである。ブレイクビーツの流動的なリズムやジャズのシャッフル(分数のリズム)の手法を積極的に用い、トリッピーなサウンドを生み出し、ドリームポップのボーカルと融合する。ジャンルを決め打ちしていると出来ないことだろう。


「Eyes Closed」は、ヒップホップのブレイクビーツをイントロで用い、Kassa Overallのような、打数の多いジャズドラムを彷彿とさせる。これは明らかにロンドンのWu-Luのサウンドを、あろうことかアコースティックで再現している。


しかし、土台となるリズム/ビートが、オスティナートを続けると、徐々にサイケデリアに傾倒していく。摩訶不可思議なシンセ、Led Zeppelinのようなサイケロックを意識したギターが乗せられて、独特な雰囲気を作り出していく。さらに、民族音楽のエキゾチックな音楽性も加わる。


カシミール地方のシタールのような音が入ると、曲はロックとして次のレベルに差し掛かる。プロデュースの面でもかなりアクが強く、ボーカルにダブのエフェクトを用い、Cindy Leeのようなサイケポップの最新鋭のサウンドを作り出す。重層的な音の連続は、高い完成度を誇る。最終的には、反復するドラムが、ボーカルと重なり、ヒプノティックな音響効果を作り出す。 Cindy Leeの「ヒプノティック・ポップ」と呼ばれる先鋭的なジャンルに到達した瞬間といえる。

 

 「Eyes Closed」

 

 

 

「Childhood Dream」はイントロが劇的。ジャズのシャッフルのリズムとオーケストラ風の弦楽器が組み合わされ、全般的なリズムはシャンソンやフュージョンジャズの領域に位置する。アルバムの中では、ジャズの影響が色濃く、ヴィブラフォンがレガートやグリッサンドで演奏される。


ヴィブラフォンは、Gary Burton(ゲイリー・バートン)のごとき上品な響きを作り出し、都会的なムードを漂わせ、モダンジャズの即興的なインプロが繰り広げられる。ボーカルは自分らしさを失わず、ファンシーな雰囲気がある。背景を形成する弦楽器のトレモロが豪奢な空気感を作り出す。シナトラのようなジャズボーカルを現代的なポップソングに置き換えた手腕はお見事。ビブラフォンとストリングの融合は、新しい時代のイエイエが登場したことを印象付ける。


ジャン=リュック・ゴダール監督に象徴される20世紀のパリの映画文化「ヌーヴェル・ヴァーグ」を反映したシネマティックなポップ「Memory's Underground」は内省的な雰囲気を感じさせる。これぞまさしく映画的なポップソングの見本例。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコがデビュー作で使用したティンパニの打楽器の効果を踏まえ、WW2以後のフレンチポップのサウンドと融合させている。古典的なポップソングと言えるが、色褪せた印象はほとんどない。


内的な記憶を回想するかのようなエモーションとノスタルジアに満ち溢れたサウンド。それらは表側に出てくると、なぜか、きらびやかな印象へと変わる。このアプローチは、現代の女性SSWを中心に推進される、''ポップソングのリバイバル運動''に位置づけられる。曲の中盤から終盤にかけては、後期ビートルズのアートポップの性質が強まり、オーケストラポップの集大成が示されている。これらはブリット・ポップの誕生前夜のサウンドとして楽しめるに違いない。

 

対象的に現代的なドリームポップに根ざした曲が並置される。「Broken Roses」はアンニュイな感じに満ちていて、儚さを体現させたような曲である。曲の全般的な構成も本当に見事で、短調の物悲しいセクションから弦楽器のレガートに導かれるように、長調の間奏に入ることがある。


これはどちらかと言えば、ポップソングではなく、クラシック音楽に属する手法である。例えば、マーラーの交響曲第五番の二楽章「Adagietto」などに見出すことが出来る。(トーマス・マン原作の名画『ヴェニスに死す』のエンディング・テーマとして使用された)  1960年代から70年代頃までは、ロックやポップソングでごく普通に使われていた手法だ。特に、他の曲と同様に、ドラムテイクが傑出しているが、同時に、ストリングスの複数の対旋律が折り重なり、美麗なハーモニーを作り出している。アーティストの歴代の曲でもトップクラスの曲に挙げられる。

 

しかし、対象的に、歌詞の世界は、個人的な生活から汲み出される感性を重んじている。結果的に、儚さという側面は、その背後に力強さを持ち合わせているのである。最近は、奇妙なほど無味乾燥な曲が増えているが、この曲は間違いなく、人生の味を感じさせる。同時に、それは、幸福だけではなく、酸いも甘いもある。悲しさ、喜び、憂い、嬉しさ、様々な思いを、鏡のように映し出す。音楽的には、リアリズムとロマンチシズムを生じさせる要因となっている。

 


「Broken Roses」

 

 

終盤部は、どちらかと言えば、ジャズ風のセッションのように、適度に力の抜けたライブサウンドを楽しめる。しかし、音楽的な内容の濃さ、強固な印象は全く薄まることはない。じっくり腰を据えて、功を急がず、曲を作り込んでいる。この点は、『Unclouded』を単なる消費的な録音に留まらせず、長生きさせる要因となりそうだ。 しかし、音楽的な手法が変わろうとも、全般的な方向性に変化はない。これが全体的な作風に一貫性をもたらしているのは事実であろう。

 

「Burning Man」は、ジャズのリズムとインディーポップのボーカルに加え、オーケストレーションの融合を図るが、ジャズの側面が強い。中盤で入る、ローズピアノの演奏も華麗で、楽しげな感覚がある。音の流動的な流れが見事であり、ジャズ特有のスリリングな感覚も見いだせる。

 

「Into Shadows」にも度肝を抜かれる。ボブ・マーレーのTrojan時代のようなレゲエのスネアの跳ねるような連打で入り、サイケデリックポップ風のマイルドな音楽が続く。何より、本作が素晴らしいのは、全体的な音楽の流れが阻害されることなく、スムーズに流れていくことだろう。70年代のサイケデリックロックのような華麗なギターソロも、かなり良い味を出している。

 

『Unclouded』は、いよいよクライマックスに向かう。 「How To Leave Misery Behind」は弦楽器のレガートで入り、ブレイクビーツのドラム、そしてメロディ・プロシェの夢想的なボーカルが混在する。しかし、ここには、やはり、2022年の作品では見られなかったような、単なる音や録音を作るという感覚はなく、ミュージシャンは、人生の足跡のようなものを残している。


自らの歩いてきた点を振り返る時、アーティストはどこかでそれが線でつながることを実感する。と考えると、過去の自己が、現在の自己を作り出す縁となっているのだ。一見して、軽やかで甘口のインディーポップソングは、ある意味では日記のような役割を果たし、それはそのまま、その人が生きてきた軌跡ともなる。そのことをあらためて痛感させてくれるような一曲だ。

 

その後、宮崎駿氏からの影響を公言するように、日本文化へのオマージュらしき曲が登場する。波の音、そして、琴のようなアルペジオがシンセサイザーで演奏される。これは、フランスのアーティストによる宮城道雄の名曲「春の海」へのさりげないオマージュではないかと推測される。波のサンプリング、琴の美しいアルペジオなど、情緒豊かな海の穏やかさが表現されている。しかしながら、同時に、そういった古典性を受け継ぎながらも、ヨットロックのようなモダンなプロデュースのアレンジメントが施され、新鮮でフレッシュな楽曲が誕生している。

 

レオン・ミシェルズが参加した「Daisy」は、素晴らしいエンディング曲となっている。この曲は、本作の全体像を総括するような内容だ。アーティストは、持ち前の抜群のメロディセンスを駆使し、聞きやすく親しみやすいポップソングを制作している。この曲は、ビートルズの全盛期のサウンドをほのかに彷彿とさせるが、全体の作り込みも相当な力の入りようである。いわく言いがたい懐かしさを思わせるとともに、普遍的なポップソングの魅力を兼ね備えている。

 

今作は、おそらくドミノ・レコーディングスの隠し玉と言うべき作品だったのだ。豪華な制作陣は言わずもがな、普遍的な魅力を持つ珠玉のポップソング集が、そのことを雄弁に物語る。アルバムには長い時間が流れていて、制作者の人生観がストレートに反映されている。そして、それはメロディ・プロシェ自身が語るように、''自らの人生へのたゆまぬ愛情''にほかならない。

 

 

92/100 

 

 

「Daisy」 

 

 

Melody's Echo Chamberの新作アルバム『Unclouded』は本日、Dominoより発売されました。ストリーミングはこちら


▪️過去のレビューを読む 

本日、ニューカッスル・アポン・タインのジャズ界を牽引するKnatsが、新曲「Take a Seat on the Settee」を配信リリースした。


新曲はバンドにとって激動の1年を締めくくる作品。この1年で彼らは、批評家絶賛のセルフ・タイトル・デビュー・アルバムをリリースしたほか、ジョーディー・グリープ(ブラック・ミディ)のサポートを務め、R&Bのレジェンド、エディ・チャコンのUKツアーでバック・バンドとして演奏した。


さらに「ジャズ・リフレッシュド」のヘッドライナー公演、ジャズ・カフェでのStr4ta公演のサポートをいずれもソールドアウトさせたほか、「ロンドン・ジャズ・フェスティバル」にも出演した。また、今年6月にはキューバン・ブラザーズのマイク・キートとザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズのサイモン・バーソロミューとのコラボ楽曲「Beauty & The Beast (Peace)」を発表するなど、その勢いは止まらない。


Lots of Hands


今回の新曲「Take a Seat on the Settee」は、同郷出身のノイズ・ロック仲間ロッツ・オブ・ハンズとのコラボレーション楽曲で、ナッツの作曲の幅広さを改めて浮き彫りにした内容となっている。


メンバーのスタン・ウッドワード(ベース)が手掛けた同楽曲は、皮肉を込めた、ジャンルを超越した作品で、歪んだオーケストラ風アート・ロックの要素と、(エリック・)サティや(アルノルト・)シェーンベルクらに由来する和声的アイデアを融合させている。


歪んだボーカルが爆発的なホーンとサックスのブレイク、不気味な鍵盤、霞んだギターライン、一見単純ながら複雑なドラムを軽やかに舞う様は、シュールでありながら魅惑的な世界を生み出している。スタンは楽曲の背景について、「若い頃にやらかした悪戯の数々を母親に打ち明ける少年の物語」だと語っている。


新曲「Take a Seat on the Settee」配信中:



配信リンク: https://bfan.link/take-a-seat-on-the-settee


新鋭ながら、〈Beams Plus〉とロンドン発スケートブランド〈PALACE SKATEBOARDS〉との初コラボライン広告に楽曲「Tortuga (For Me Mam)」が起用された若手5人組、ナッツ。今春、待望のセルフ・タイトル・デビュー・アルバムをリリースしたばかりの彼らだが、2026年にはSXSWへの出演、そしてさらなるリリースも予定しているそうなので、まだまだ目が離せなそうだ。



【アルバム情報】



アーティスト名:Knats(ナッツ)

タイトル名:Knats(ナッツ)

品番:GB4003CD (CD) / GB4003 (LP)

発売日:発売中

レーベル:Gearbox Records


<トラックリスト>

(CD)

1. One For Josh

2. Miz (featuring Anatole Muster)

3. 500 Fils (featuring Parthenope)

4. Black Narcissus

5. Rumba(r)

6. Makina Thema

7. Tortuga (For Me Mam)

8. Se7en (featuring Tom Ford)

9. In The Pitt

10. Adaeze


(LP)

Side-A


1. One For Josh

2. Miz (featuring Anatole Muster)

3. 500 Fils (featuring Parthenope)

4. Black Narcissus

5. Rumba(r)

Side-B
6. Makina Thema

1. Tortuga (For Me Mam)

2. Se7en (featuring Tom Ford)

3. In The Pitt

4. Adaeze



デジタル・アルバム『Knats』配信中! 

https://bfan.link/knats


Credits:

Stan Woodward: bass guitar

King David Ike Elechi: drums

Ferg Kilsby: trumpet

Cam Rossi: tenor saxophone

Sandro Shar: keyboards

Parthenope: alto saxophone on “500 Fils”

Richie Sweet: congas on “Rumba(r)” and “Adaeze”

Tom Ford: electric guitar on “Se7en”

Anatole Muster: accordion on “Miz"

Miro Treharne: vocals on “In The Pitt”

Otto Kampa: alto saxophone on “In The Pitt”

Matt Seddon: trombone on “In The Pitt”

Enya Barber: violin on “Tortuga (For Me Mam)”

Sam Booth: cello on “Tortuga (For Me Mam)”


All tracks written and arranged by Stan Woodward and King David Ike Elechi 

apart from “Black Narcissus”, written by Joe Henderson.


Produced by Darrel Sheinman


Recorded at Studio 13, London by Giacomo Vianello, assisted by Ishaan Nimkar


All tracks mixed at The Friary Studios, Aspley Guise by Hugh Padgham apart from “Tortuga (For Me Mam)”, mixed by Chris Webb


Mastered by Caspar Sutton-Jones



バイオグラフィー


Knats(ナッツ):


ニューカッスル・アポン・タイン出身の2人の生涯の親友、スタン・ウッドワード(ベース)とキング・デイヴィッド・アイク・エレキ(ドラムス)が率いるクインテット。その他のメンバーは、ファーグ・キルズビー(トランペット)、キャム・ロッシ(テナー・サックス)、そしてサンドロ・シャー(キーボード)。


それぞれのルーツであるジャズ、ドラムンベース、ハウス、ゴスペルから派生したダンス・ミュージックを特徴とする。シーンに登場して間もない彼らは、すでにSoho Radio、BBC Newcastle、WDR3によって認知され、Spotifyの ‘All New Jazz’プレイリストに選曲された他、‘Jazz Fresh Finds’のカヴァーも飾っている。さらに、BBC Introducing North Eastからも絶大な支持をされている。 


全くの新人ながら、 2024年10月に発表された〈Beams Plus〉とロンドン発のスケートブランド〈PALACE SKATEBOARDS〉との初コラボレーション・ラインの広告に楽曲「Tortuga (For Me Ma)」が使用された。同年にはジョーディー・グリープ(ブラック・ミディ)のUKツアーでのサポートや、ソールドアウトした“ジャズ・リフレッシュド”のヘッドライナー、ジャズ・カフェでのStr4ta(ストラータ)のサポート、”ロンドン・ジャズ・フェスティバル”への出演、さらにはR&B界のレジェンド、エディ・チャコンのバック・バンドとして英国ツアーにも参加した。2025年2月、待望のセルフ・タイトル・デビュー・アルバムをリリース。



Lots of  Hands(ロッツ・オブ・ハンズ):


ビリー・ウッドハウスとエリオット・ドライデンで構成される、ニューカッスル出身のインディー・ロック・デュオ。2人は16歳の時に学校の音楽プログラムで出会い、パンデミック中にリモートで活動を始めた。電子音の質感、ローファイな内省、個人的な物語を融合させた独自のサウンドが特徴。悲嘆、喪失、成長といったテーマを探求する、情感豊かな音楽で知られている。彼らはジャンルの境界を探求することで知られ、アンビエントやエレクトロニックの要素を伝統的なインディーロックの構造と融合させている。彼らの音楽は豊かな楽器編成を特徴とし、時にサックスやフルートを取り入れ、「エノ風」で感情に響くものと評される。アレックス・Gやヴェルヴェット・アンダーグラウンドといったアーティストから影響を受けている。最新アルバム『into a pretty room』(2025年1月リリース)は、ビリーの寝室スタジオで両メンバーが物理的に同席して録音された、初の真の共同制作作品である。同作は批評家の称賛を集め、ファン層を拡大している。


 リバプールのデュオ、King Hannahが7インチ(ダブルシングル)をリリースした。両曲共に従来のオルトロックではなく、カントリーに傾倒したナンバー。 B面ではジリアン・ウェルチの渋いカントリーのカバーを収録している。ハンナ・メリックとクレイグ・ウイットルの声明は以下の通りです。


「This Hotel Time」ーー私たちが最も好きなのは、一緒に歌い、ハーモニーを奏でることです。そして、それを叶えてくれる自分たちの曲、時代を超えたノスタルジックな響きを持ち、私たちが深く愛するカントリー・フォークの歌手たちへのオマージュでありながら、キング・ハンナの楽曲として共鳴する曲を作りたかったのです。


 私たちは常に親密さを捉え、個人的で誠実かつ内省的な方法で曲を書くことを心がけています。『This Hotel Room』もまた例外ではありません。この曲は過去と未来について、その両方に温もりと愛を見出そうとしながらも、そこに内在する悲しみや喪失感を認識する物語なのです。


「Look At Miss Ohio」ーー私たちが最も愛するアーティストの一人が作った、史上最高の楽曲の一つ。ジリアン・ウェルチとデイヴィッド・ローリングスは、作家としてもミュージシャンとしても私たちに多大な影響を与えてくれました。彼らの長きにわたる活動と、静かに音楽的遺産を築き上げる姿勢——今なおこのようなアーティストが世に存在することは、本当に素晴らしいこと。 


前回のツアーで、アンコール曲として、この曲をセットリストに追加したのですが、ライブの中で本当に特別な瞬間となりました。この曲は、人々の心に深く響くもので、ライブで演奏する際に、その反応を強く感じ取ることができました。この曲には、私たちを常に惹きつける温かさと親密さがあるようです。レコーディングする機会を得られたことを心から嬉しく思っています。


King  Hannahは昨年、最新アルバム『Big Swimmer』をCity Slangから発売している。最近、ユニットはヨーロッパツアーを敢行している。2026年3月にドイツ/ボンでのコンサートを控えている。



オクラホマシティのロックバンド、Aranda(アランダ)が、これまでで最も感情的なシングルとミュージックビデオ「You Don't Wanna Know」で帰ってきた。メタリカを彷彿とさせるパワフルなハードロック。しかし、強さだけではない。この曲はバンドの特徴である強烈なサウンドを届けつつ、過去に囚われたまま誰かを愛することの生々しく居心地の悪い真実を探求している。


「You Don’t Wanna Know」は、繋がりを渇望する気持ちと、弱さをさらけ出す恐怖との内なる葛藤に迫る。新たな一歩を踏み出す時、失恋の傷を癒す過程、あるいはその狭間で揺れる時——誰もが共感する普遍的な苦悩を描いている。

 

デイモン・アランダはニューシングルについて次のように語っている。「これは、過ちを乗り越えて自分を愛してくれる人を信じられなくなるほど、心が砕けてしまった状態を歌った曲なんだ」 その結果生まれたのは、荒々しく頭を振りたくなるロックに包まれた、痛烈な告白である。激しいギターと圧倒的なボーカルが、激動と混乱......、そして飾らない正直さを渦巻かせる

 

 

▪Aranda 


アランダは2001年、オクラホマシティでゲイブとデイモン・アランダ兄弟によって結成され、以来ロックを奏で続けている。


アランダは感情の金脈を掘り当てることにおいて、新参者ではない。ケリー・クラークソンによるカバー曲、シャインダウン、ステインド、ストーン・テンプル・パイロッツらとの共演歴、そしてアクティブロックチャートで7曲のトップ40入りを果たすなど、兄弟は20年以上にわたり、生々しい感情と容赦ないロックの融合を磨き上げてきた。2025年には、A.D.A.M.ミュージック・プロジェクトとのコラボレーション曲「パンチ・アウト」がチャート33位を記録し、彼らの確固たる地位を改めて証明した。


アランダはオクラホマシティ出身のハードロック/ポストグランジバンドで、2001年にデイモン・アランダ(リードボーカル/ギター)とゲイブ・アランダ(リードボーカル/キーボード)の兄弟によって結成された。

 

グループは生々しい感情表現、高揚するメロディ、そして淀みのないツアー活動によって20年以上のキャリアを築いてきた。彼らのブレイクスルーは、アストニッシュ・エンターテインメントから2008年にリリースされた同名デビューアルバムで訪れ、アクティブロックチャートトップ40入りを果たし、「Still in the Dark」(31位)、「Whyyawannabringmedown」(26位)といったヒット・ソングを生み出した。後者は、ケリー・クラークソンがプラチナアルバム『All I Ever Wanted』でカバーし、WWEの『The Bash』のテーマ曲にも採用された。 


ウィンドアップ・レコードと契約したアランダは、商業的に最も成功したアルバム『Stop The World』(2012年)をリリース。アルバムからは「Undone」(24位)、「Satisfied」(14位)、「One More Lie」(15位)の3曲がトップ40入りし、ラジオコントラバンド誌の年間最優秀インディーアーティスト賞にノミネートされた。 


続く『Not the Same』(2015年)はビルボード・ヒートシーカーズチャートで12位デビューを果たし、「Don't Wake Me」(17位)と「We Are the Enemy」(18位)をチャートイン。 独立後、彼らは『Recollections of a Painted Year』(2022年)をリリースし、2025年にはA.D.A.M. Music Projectとのコラボレーション曲「Punch Out」で33位を記録した。 


結成当初から精力的なツアー活動を展開し、バックチェリー、セヴンダスト、セイヴィング・エイベル、セオリー・オブ・ア・デッドマン、ドートリー、スリー・ドアーズ・ダウン、ヘイルストーム、シャインダウン、ステインド、パパ・ローチ、ストーン・テンプル・パイロッツらと共演。 ロックラホマ(2010年)やロック・オン・ザ・レンジ(2016年)などのフェスティバルで熱演し、2025年にはオースティン・ウィンクラーと共に全米9都市を巡る「サマー・オブ・2025」ツアーを開始した。 


エピック・レコードとの契約からインディーとしての粘り強さまで、アランダの7曲のトップ40アクティブ・ロック・シングル、クラークソンのカバー、そしてロック界の重鎮たちとの共演は、兄弟がアメリカン・ロックにおいて、不可欠で不滅の存在であることを確固たるものとしている。 

 

 

「You Don't Wanna Know」


 

Aranda is a hard rock/post-grunge band from Oklahoma City, formed in 2001 by brothers Dameon Aranda (lead vocals/guitar) and Gabe Aranda (lead vocals/keyboards). The group has built a 20-plus-year career on raw emotion, soaring melodies, and relentless touring. 


Their breakthrough came with the 2008 self-titled debut on Astonish Entertainment, spawning two Top 40 Active Rock hits: “Still in the Dark” (#31) and “Whyyawannabringmedown” (#26). The latter was covered by Kelly Clarkson for her platinum album All I Ever Wanted and served as the theme for WWE’s The Bash. 


Signing with Wind-up Records, Aranda released Stop the World (2012), their commercial peak. It delivered three Top 40 singles —“Undone” (#24), “Satisfied” (#14), and “One More Lie” (#15)—and earned a RadioContraband Indie Artist of the Year nomination. 


Not the Same (2015) followed, debuting at #12 on Billboard’s Heatseekers chart with “Don’t Wake Me” (#17) and “We Are the Enemy” (#18). After going independent, they issued Recollections of a Painted Year (2022) and, in 2025, scored a #33 hit with “Punch Out,” a collaboration with A.D.A.M. Music Project. 


Road warriors from the start, Aranda has toured with Buckcherry, Sevendust, Saving Abel, Theory of a Deadman, Daughtry, 3 Doors Down, Halestorm, Shinedown, Staind, Papa Roach, Stone Temple Pilots, and more. They’ve rocked festivals like Rocklahoma (2010) and Rock on the Range (2016), and in 2025 launched the Summer of 2025 tour across nine U.S. cities with Austin Winkler. 


From a deal with Epic Records to indie resilience, Aranda’s seven Top 40 Active Rock singles, Clarkson covers, and stages shared with rock royalty cement the brothers’ legacy as a vital, enduring force in American rock. 

 



Tour Dates: 


Jan 15 - Dallas TX - RBC

Jan 16 - Wichita, KS - Wave

Jan 18 - OKC, OK - Beer City Music Hall


南カリフォルニア発のインディーポップとロックを融合させたシンガーソングライター、KiKi Holli & The Remedy(キキ・ホリ&ザ・レメディ)の新曲を聴いてみよう。グラミー賞ノミネートプロデューサー、イーサン・アレンがプロデュースを担当。 

 

タイトルは「WISH」。このシングルは、憧れ、変容、そして弱さの美しさを探求する、雰囲気たっぷりで魂を揺さぶるアンセムです。壮大なメロディーと、ホリの輝きに満ちた感情豊かなボーカルが牽引する楽曲です。親密でありながらアンセム的なこの楽曲は、ホリがアーティストとして成長し続ける姿と、ザ・レメディの強力な相乗効果を映し出している。

 

ロサンゼルスを拠点とするインディーポップのボーカリスト兼ソングライター、キキ・ホリが最新シングル「WISH」で帰還。これは拡張されたアーティスト名「キキ・ホリ&ザ・レメディ」名義での初リリースとなる。この進化は、ホリの新たな創造的章を刻む——彼女のライブパフォーマンスのダイナミックなエネルギーを捉えつつ、感情豊かなストーリーテリングと、彼女が知られる豊かなシネマティックなサウンドへの忠実さを保ったものである。 「& The Remedy」の追加は、ホリがライブパフォーマンスとコラボレーションに注力する姿勢を反映。ステージ上でバンドが生み出す鮮烈でソウルフルなエネルギーを捉えつつ、スタジオでは2度のグラミー賞ノミネート経験を持つプロデューサー、イーサン・アレンとの協業を実現している。 


「WISH」は、憧れ、変容、そして傷つきやすさの美しさを探求する、雰囲気のあるソウルフルなアンセムだ。 壮大なメロディとホリーの輝きに満ちた情感豊かなボーカルが牽引するこの楽曲は、切望と再生の感覚を呼び起こし、スティーヴィー・ニックス、ボウイ、プリンス、ザ・キュアといった不朽のアーティストたちの影響を現代的なインディーポップのレンズを通して表現している。親密でありながらアンセム的なこの楽曲は、アーティストとしてのホリーの継続的な成長と、ザ・レメディの強力な相乗効果を反映している。 


この新曲は、ホリーの衝撃的なニュー・ディスコ曲「WIN U OVER」の成功に続くものだ。同曲は中毒性のあるグルーヴと恐れを知らないエネルギーでビルボードから絶賛された。「WIN U OVER」でホリーは聴き手に喜び、繋がり、動きを受け入れるよう誘った——「WISH」の内省的なトーンとは鮮やかな対照をなすが、どちらも彼女の代名詞である本物の表現力に支えられている。 


それ以前には、自己表現・魅力・エンパワーメントを謳ったLGBTQ+コミュニティに支持されるダンスアンセム「PRETTY BOYS」を発表。力強いボーカルと感情豊かな歌詞で知られるホリの作品群は、至福の「NEW HIGH」から映画的な「Play to Lose」「Sun Playing Tricks」まで多岐にわたり、各楽曲が彼女の芸術性の新たな側面を明らかにしている。 

 

 

▪KiKi Holli & The Remedy

 

ホリが最初に人々の心を捉えたのは、ロキシー・ミュージックの「モア・ザン・ディス」を圧倒的な解釈で歌い上げた時だった。この楽曲は、悲しみと癒しの過程を歩む彼女の個人的な旅路を映し出していた。

 

その後、グラミー賞に2度ノミネートされたプロデューサー、イーサン・アレン(ベン・ハーパー、ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ、トリッキー)とコラボレーションし、インディー・ポップ、ソウル、オルタナティヴ・ロックの質感と、驚くべき感情の深みを融合させたサウンドを形作ってきた。 


自身の経験から深くインスピレーションを得るアーティストとして、ホリーの作品は回復力、変容、そして喜びの追求を映し出している。キキ・ホリー&ザ・レメディでは、彼女の音楽的宇宙を拡大している——それは再発明ではなく、すでに存在する彼女の存在を輝かしく増幅させるものだ。「WISH」は、来秋にリリース予定の待望のアルバムへと続く、今後の展開の基調を定める。 


ペンシルベニア州ピッツバーグ出身のホリは幼少期から芸術に惹かれ、声楽と演劇で美術学士号を取得。 訓練を受けたボーカリスト兼マルチ楽器奏者として、『鼠と人間』『三姉妹』『十二夜』に加え、カルト的な人気を博したインディーズ映画『Isle of Lesbos』にも出演。同作はSwampflix誌より「政治的に怒りに満ち、意図的に挑発的で、ジョン・ウォーターズ以降の、クィアな映画ミュージカル」と評された。 


特に注目すべきは、ホリが共同執筆・主演を務めた『フォーエバー・ダスティ:ダスティ・スプリングフィールド・ミュージカル』である。この作品はオフ・ブロードウェイのニュー・ワールド・ステージで初演され、『ヴィレッジ・ヴォイス』『ロイター』『ニューヨーク・タイムズ』『アウト・マガジン』から絶賛を受けた。その後、ロサンゼルス、ロンドンをはじめ、米国と英国の複数の都市で上演された。 


「WISH」でキキ・ホリ&ザ・レメディが贈るロックで魅惑的な楽曲は、ホリの芸術性——感情的で変容をもたらし、時代を超越した本質を凝縮している。これはキキ・ホリの特徴的な歌声の魂を失うことなく、コラボレーション、深み、進化の力を称えるエキサイティングな新章の始まりを告げる。

 

「WISH」

 

 

・"KiKi Holli… delivers here a performance of great beauty." – Rolling Stone


 Los Angeles indie-pop vocalist and songwriter KiKi Holli returns with her latest single “WISH,” the first release under her expanded artist title KiKi  Holli & The Remedy. This evolution marks a new creative chapter for Holli— one that captures the dynamic energy of her live performances while staying  true to the emotive storytelling and lush, cinematic sound she’s known  for. The addition of “& The Remedy” reflects Holli’s growing focus on live  performance and collaboration, capturing the vibrant, soulful energy of her  band on stage and working with her 2x Grammy nominated Producer, Ethan  Allen in the studio. 


“WISH” is an atmospheric, soulful anthem that explores longing,  transformation, and the beauty of vulnerability. Driven by sweeping  melodies and Holli’s radiant, emotionally charged vocals, the track evokes a  sense of yearning and renewal, channeling the timeless influences of artists like Stevie Nicks, Bowie, Prince & The Cure through a modern indie-pop lens.  It’s both intimate and anthemic—a reflection of Holli’s continued growth as  an artist and the powerful synergy of The Remedy. 


The new single follows the success of Holli’s electrifying Nu Disco track “WIN  U OVER,” which earned critical praise from Billboard for its infectious groove  and fearless energy. With “WIN U OVER,” Holli invited listeners to embrace  joy, connection, and movement—a vibrant contrast to the introspective tone  of “WISH,” yet both driven by her signature authenticity. 


Before that, Holli released the dance anthem “PRETTY BOYS,” an LGBTQ+ favorite celebrating self-expression, allure, and empowerment. Known for  her powerful vocals and emotionally charged writing, Holli’s catalog spans  from the blissful “NEW HIGH” to the cinematic “Play to Lose” and “Sun  Playing Tricks,” each track revealing new facets of her artistry. 


Holli first captured hearts with her stunning rendition of Roxy Music’s “More  Than This,” a song that mirrored her personal journey through grief and  healing. Since then, she’s collaborated with twice Grammy-nominated  producer Ethan Allen (Ben Harper, Black Rebel Motorcycle Club, Tricky)  shaping a sound that blends indie pop, soul, and alt-rock textures with  striking emotional depth. 


As an artist who draws deeply from her own experiences, Holli’s work  reflects resilience, transformation, and the pursuit of joy. With KiKi Holli &  The Remedy, she expands her musical universe—not as a reinvention, but as a radiant amplification of who she already is. “WISH” sets the tone for  what’s to come, leading up to her highly anticipated album release next fall. 


Originally from Pittsburgh, PA, Holli was drawn to the arts from an early age,  earning her BFA in voice and theater. A trained vocalist and multi instrumentalist, she has performed in Of Mice and Men, Three Sisters,  and Twelfth Night, as well as the cult indie film Isle of Lesbos, praised  by Swampflix as “a politically angry, deliberately offensive, post-John  Waters, queer-as-f*ck movie musical.” 


Most notably, Holli co-wrote and starred in Forever Dusty: The Dusty Springfield Musical, which opened off-Broadway at New World Stages to  acclaim from The Village Voice, Reuters, The New York Times, and Out  Magazine. The show later ran in Los Angeles, London, and several other  cities across the U.S. and U.K. 


With “WISH,” KiKi Holli & The Remedy offer a rocking, spellbinding track that  encapsulates the essence of Holli’s artistry—emotional, transformative, and  timeless. It marks the beginning of an exciting new phase, one that  celebrates collaboration, depth, and the power of evolution without losing  the soul of KiKi Holli’s unmistakable voice.





ペンシルベニアのインディーロック/パンクバンド、Tigers Jaw(タイガーズ・ジョー)は新作を発表。本日、次作『Lost On You』を来年3月にリリースすると発表した。クランチなギターとパンキッシュなボーカルが中毒性のある先行シングル「Head Is Like A Sinking Stone」は現在配信中。


「子供の頃、スクラントンのネイ・オーグ公園プールで高飛び込み台から飛び込む奇妙な夢を繰り返し見ていた。飛び込んだ後、時間が凍りつき、水中に閉じ込められたままになるんだ」とフロントマンのベン・ウォルシュは楽曲について語った。


「その前提はかなり恐ろしいものだったが、水面下の視点から見る、水面の波紋に反射する陽光という光景は、いつもどこか忘れられないほど美しいものだった。コーラスの歌詞はその夢の記憶から生まれ、残りはそれに続いた。これは、予期せぬ状況の中に美しさを見出せるという、自分への一種の戒めとなっている」

 

 

「Head Like a Sinking Stone」

 

Tigers Jaw 『Lost On You』

Label: Hopeless

Release: 2026年3月26日 

 

Tracklist: 

1.It's ok
2.Primary Colors
3.Head is Like a Sinking Stone 03:01
4.Anxious Blade
5.Baptized on a Redwood Drive
6.BREEZER
7.Ghost
8.Staring at Empty Faces
9.Light Leaks Through  
10.Roses + Thorns
11.Lost on You 

 


ダーレン・アロノフスキー監督の新作映画『Caught Stealing』が先週金曜日にNetflixで配信開始されたことを記念し、IDLESが同作サウンドトラック収録曲のオリジナル楽曲をリミックスした3曲を公開した。ストリーミングはこちらから。


リップ・クリティックがオープニング曲「Doom」を手掛け、インターポールとYeah Yeah Yeahsのニック・ジナーがハイテンションな追跡シーンを彩る「Rabbit Run」に独自の解釈を加えた。


自身のリミックスについて、Interpolのサム・フォガリーノはこう語る。「オリジナル・ミックスのダイナミックな爆音に圧倒され、恥ずかしいほど長い間、ただ繰り返し聴き続けてしまった。手に汗握るジェットコースターのようなリスニング体験だった」

 



ロサンゼルスのテラグラム・ボールルームで行われた3公演を収録したライブ・コンサート体験映画『Boiled Alive』をDIIVがリリースする。 明日(12月5日)公開される新作映画『Boiled Alive』には、完全版ライブアルバムが付属。デジタル配信に加え、CDとカセットテープで物理リリースされる。


本作は、クリス・コーディがプロデュースした同時発売のライブアルバムと共に初公開される。アルバムには2024年リリース作『Frog In Boiling Water』の全曲が収録されている。バンドはライブパフォーマンスの質へのこだわりを強調し、より多くの観客に届けるとともに、ポストパンク/シューゲイザーサウンドの世界観をさらに構築することを目指している。


今年初頭、同グループはロサンゼルスのテラグラム・ボールルームで3夜連続公演を行い、ジャクソン・ウィッティントン監督が実験的なコンサート映画の編集を任された。


「バンドとして、私たちは常にライブ環境で最高のパフォーマンスを発揮してきました」とバンドは語る。「アルバム制作と同じくらい、ライブのクオリティにもこだわっています。フロッグでのセットを撮影することは、私たちのライブをもっと多くの人に届ける方法であり、アルバムの世界観をさらに広げる機会だと感じました。この作品を楽しんでいただければ幸いです」 

 

監督ジャクソン・ウィッティントンは付け加える。「DIIVのスタジオで一度会っただけで、彼らがこのプロジェクトを説明してくれた方法に非常に刺激を受け、彼らと仕事をするのが楽しみだと確信しました。バンドはすでにアルバムを取り巻く美しく複雑な世界を構築しており、それが非常に興味深く、発展させるのが容易でした。他のメンバーや他の時期では、この作品は生まれなかったと思います」

 

DIIVの魅力を再訪ためのまたとない機会である。ライブフィルムの詳細はこちらから確認出来る。


「Reflected」 

ピッツバーグ出身のSSW、 Merce Lemon、そしてダーラムのバンド、Fustが共同制作を行い、テキサスの伝説的なカントリー歌手、ジョージ・ジョーンズの楽曲をカバー。ジョージ・ジョーンズは、ローリングストーン誌が選ぶ最も偉大な100人の歌手の43位にランクインしている。


この2つのシングルは、7インチとして今週発売された。両曲ともにフィドルの演奏がアメリカーナに郷愁を誘う。A面ではレモンがバックバンドを背に「Cup Of Loneliness」を憂いを込めて歌い、B面ではファストのアーロン・ダウディが力強いドローで「Choices」を歌い上げている。いずれも雄大な自然を感じさせる素晴らしいカントリーソングのカバーとなっている。



 【Album Of The Year 2025】  Best Album 50   2025年のベストアルバムセレクション   Vol.4 


 

31.Alex G   『Headlights』- RCA/Sony Music(Album of The Year 2025)



アメリカの名うての名門レーベル、RCAに移籍して最初のアルバム『Headlights』をリリースしたAlex G。すでに来日公演を行っており、馴染みのあるリスナーも多いのではないかと思う。

 

Alex Gの全般的なソングライターとしての価値は、従来はバンド単位で行っていたインディーロックやアメリカーナを個人のアーティストとして(ときにはバンドアンサンブルを交えて)パッケージすることにある。ニューアルバムも素晴らしい出来で、ハイライト曲もしっかり収録されていた。アレックスGの代表的なアルバムが登場したと言っても差し支えないだろう。ソングライターとしての手腕も年々高い水準に達しつつあり、今後の活躍も楽しみでしようがない。

 

さて、『Headlights』は、近年の男性ミュージシャンの中でも傑出した作品といえるだろう。前作ではアメリカーナやフォークミュージックをベースに温和なロックワールドを展開させたが、それらの個性的な音楽性を引き継いだ上で、ソングライティングはより円熟味を増している。現代的なポップ/ロックミュージックの流れを踏まえた上で、彼は普遍的な音楽を探求する。


前作アルバムはくっきりとした音像が重視され、ドラムテイクが強めに出力されていたという点で、ソロアーティストのバンド性を重視している。その中で幻想的なカントリー/フォークの要素をもとにした、ポピュラーなロックソングが多かった。最新作では前作の延長線上を行きながら、さらに深い領域に達した。円熟味のあるソングライティングが堪能できるグッドアルバム。

 

「Afterlife」

 

 

32. Benefits 『Constant Noise』 - Invada 


 

ミドルスブラのデュオ、Benefitsは2023年のデビューアルバム『Nails』で衝撃的なデビューを果たし、グラストンベリーへの出演、国内メディアへの露出など着実にステップアップを図ってきた。メンバーチェンジを経て、デビュー当時はバンド編成だったが、現在はデュオとして活動している。


当初インダストリアルな響きを持つポストハードコアバンド/ノイズコアバンドとして登場したが、その中には、ヒップホップやエレクトロニックのニュアンスも含まれていた。ベネフィッツは新しい時代のポストパンクバンドであり、いわば、Joy Divisionがイアン・カーティスの死後、New Orderに変身して、エレクトロの性質を強めていったのと同じようなものだろう。もしくはそのあとのヨーロッパのクラブを吸収したChemical Brotersのテクノのようでもある。


全体としては、メンバーチェンジを経たせいもあり、音楽性が定まらなかった印象であるが、やはり依然としてベネフィッツらしさは健在である。スティーヴ・アルビニへの追悼「Lord of The Tyrants」、Libertinesのピーター・ドハーティをフィーチャーした「Relentless」、このユニットの重要なコアであるヒップホップナンバー「Divide」も強烈な印象を放ってやまない。

 

「Relentless」 

 

 

33.Water From Your Eyes 『It's A Beautiful Place』 - Matador



ニューヨークのWater From Your Eyesは、2023年のアルバム『Everyone's Crushed』に続いて、Matadorから二作目のアルバム『It's A Beautiful Place』をリリースした。前作は、アートポップやエクスペリメンタルポップが中心の先鋭的なアルバムだったが、本作ではよりロック/メタル的なアプローチが優勢となっている。もちろん、それだけではない。このアルバムの魅力は音楽文化の混在化にある。

 

ネイト・アトモスとレイチェル・ブラウンの両者は、この2年ほど、ソロプロジェクトやサイドプロジェクトでしばらくリリースをちょこちょこと重ねていたが、デュオとして戻ってくると、収まるべきところに収まったという感じがする。このアルバムを聴くかぎりでは、ジャンルにとらわれないで、自由度の高い音楽性を発揮している。

 

表向きの音楽性が大幅に変更されたことは旧来のファンであればお気づきになられるだろう。Y2Kの組み直した作品と聞いて、実際の音源に触れると、びっくり仰天するかもしれない。しかし、ウォーター・フロム・ユア・アイズらしさがないかといえば、そうではあるまい。アルバムのオープニング「One Small Step」では、タイムリープするかのようなシンセの効果音で始まり、レトロゲームのオープニングのような遊び心で、聞き手を別の世界に導くかのようである。

 

その後、何が始まるのかと言えば、グランジ風のロックソング「Life Signs」が続く。今回のアルバムでは、デュオというよりもバンド形式で制作を行ったという話で、その効果が一瞬で出ている。イントロはマスロックのようだが、J Mascisのような恐竜みたいな轟音のディストーションギターが煙の向こうから出現、炸裂し、身構える聞き手を一瞬でノックアウトし、アートポップバンドなどという馬鹿げた呼称を一瞬で吹き飛ばす。その様子はあまりにも痛快だ。ロック、ポップ、ヒップホップを始め、様々なカルチャーが混在するニューヨークらしい作品。

 

「Life Signs」 

 

 

 

34.Marissa Nadler 『New Radiations』 - Bella Union/ Sacred Bones  



最近は、国内外を問わず、マイナー・スケール(単調)の音楽というのが倦厭されつつある傾向にあるように思える。暗い印象を与える音楽は、いわば音楽に明るいイメージを求める聞き手にとっては面食らうものがあるのかもしれない。

 

ナッシュビルを拠点に活動を行うマリッサ・ナドラーは古き良きフォークシンガーの系譜に属する。彼女は、レナード・コーエン、ジョニ・ミッチェルのような普遍的な音楽を発表してきたミュージシャンに影響を受けてきた。暗い感情をそのまま吐露するかのように、淡々と歌を紡ぐ。歌手は、物悲しいバラッドを最も得意としていて、それらの曲を涼しげにさらりと歌う。全般的には、このミュージシャンの表向きにイメージであるモノトーンのゴシック調の雰囲気に彩られている。


ただ、そのフォークバラッドに内在するのは、暗さだけではない。その暗さの向こうから静かに、そしてゆっくりと癒やされるようなカタルシスが生じることがある。ナドラーのキャリアハイの象徴的なアルバム『New Radiations』は光と影のコントラストから生じている。学生時代から絵画を専門に専攻し、絵をサイドワークに据えてきた人物らしい抜群のコントラストーー色彩感覚がこのアルバムのハイライトになっているのである。

 

「Light Years」 

 

 

 

35.TOPS『Bury The Key』Ghostly International  



 

トップスは”最も優れたインディーポップバンド"としての称号をほしいままにしてきた存在である。しかし、このアルバム全体を聴くとわかる通り、フラットな作品を作ろうというような生半可な姿勢を反映するものではない。この点において、2012年頃から彼らはコアな音楽ファンからの支持を獲得してきたが、音楽性を半ば曲解されてきた部分もあったのではないだろうか。

 

ニューアルバム『Bury the Key』はソフィスティポップ(AOR/ソフトロック)を中心に構成され、そしてヨットロックの音楽性も盛り込まれている。 しかし、実際の音楽は表向きの印象とは対照的に軽いわけではない。ギター、ベース、ドラム、フルート、シンセの器楽的なアンサンブルは、無駄な音がなく、研ぎ澄まされている。メロディーの良さが取り上げられることが多いが、TOPSのアンサンブルは、EW&F(アースウィンド&ファイア)に匹敵するものがあり、グルーヴやリズムでも、複数の楽器やボーカルが連鎖的な役割を担い、演奏において高い連携が取れている。


TOPSのサウンドは、Tears For Fears、Freetwood Macといった、70、80年代のサウンドを如実に反映させているが、実際的なサウンドはどこまでもモダンな雰囲気が漂い、スウェーデンのLittle Dragonに近い。表向きに現れるのは、ライトな印象を持つポップソングであるが、ディスコ、アフロソウル、R&B、ファンク等、様々な要素が紛れ込み、それらの広範さがTOPSの音楽に奥行きをもたらしている。これが、音楽に説得力をもたせている要因である。しかし、それらのミュージシャンとしての試行錯誤や労苦をほとんど感じさせないのが、このアルバムの凄さといえる。

 

TOPSの曲が魅力的に聴こえる理由はなぜなのかといえば、それは音楽そのものが平坦にならず、セクションごとの楽器の演奏の意図が明確だからである。さらにヴァースやコーラスの構成のつなぎ目のような細部でも一切手を抜かないでやり抜くということに尽きる。 

 

「Wheels At Night」 

 

 

36. Jaywood 『Leo Negro』- Captured Tracks



ジェイウッドはカナダ/ウィニペグから登場したソングライターで、ヒップホップやインディーソウルを融合させ、これらのジャンルを次世代に導く。『Slingshot』では自己のアイデンティティを探求し、繊細な側面をとどめていたが、今作にその面影はない。現在の音楽の最前線であるモントリオールに活動拠点を移し、先鋭的なネオソウル/ヒップホップアルバムを制作した。ここで"ヒップホップはアートだ"ということを強烈に意識させてくれたことに感謝したい。

 

全般的な楽曲からは強いエナジーとエフィカシーがみなぎり、このアルバムにふれるリスナーを圧倒する。ジェイウッドは、電話のメッセージなど音楽的なストーリーテリングの要素を用い、起伏に富んだソウル/ヒップホップソングアルバムを提供している。また、その中には、デ・ラ・ソウル、Dr.Dreなどが好んで用いた古典的なチョップやサンプリングの技法も登場したりする。


直近のヒップホップ・アルバムの中では、圧倒的にリズムトラックがかっこいい。彼は、このアルバムで、トロイ・モアの系譜にあるメロディアスなチルウェイブとキング・ダビーが乗り移ったかのような激烈なダブのテクニックを披露し、ドラムンベースらベースラインを含めるダブステップの音楽性と連鎖させる。彼は次世代の音楽を『Leo Negro』で部分的に予見している。

 

アルバムには古典から最新の形式に至るまで、ソウルミュージックへの普遍的な愛着が感じられ、それらはビンテージのアナログレコードのようなミックスやマスターに明瞭に表れ出ている。ギターのリサンプリング、そしてサンプル、ボーカルが混在し、サイケでカオスな音響空間を形成する。しかし、その抽象的な音の運びの中には、メロウなファンクソウルが偏在している。

 
全体的には2000年代前後のヒップホップをベースにし、ピアノのサンプリングを織り交ぜ、ジャズの響きを作り出す。モントリオールの音楽が新しく加わり、ジェイウッドの音楽は驚くほどゴージャスになっている。実際的にジャズ和声を組み合わせ、それをリズムと連動させ、強固なグルーブを作り出す、ニューヨークの前衛的なヒップホップの影響を織り交ぜられ、激烈な印象を持つギターが入ることもある。これらの古典性と先進性が混在したヒップホップソングは、スクラッチの技法を挟みながら、時空の流れを軽々と飛び越えていく。これは本当にすごい。

 

「Sun Baby」

 

 

37.Nation Of Language  『In Another Life』- SUB POP



ネイション・オブ・ランゲージの新作アルバムは現代社会のテーマを鋭く反映していて、興味を惹かれる。テクノロジーという無限世界に放たれ、道標を見失う現代人の心を、明確に、そして的確に捉えているのが感歎すべき点である。


イアン・デヴァニー(ボーカル/ギター)を中心とする三人組は、テクノロジーを逆手にとったような音楽を探求している。そこから浮かび上がるのは、デジタル社会における人間性とは何かという点である。


また、いいかえれば、目覚ましく発展するIT社会で、人間的な感性はいかなる価値を持ちうるのか、という問いなのである。デヴァーニー、ノエル(ドラム)、マッケイ(シンセ)の三者は、それらを「テクノ・ポップ」という近代と未来の双方を象徴付ける音楽で表現しようとする。

 

 最新作『Dance Called Memory』はデジタルとアナログが混合した不可思議な音楽世界を醸成する。彼らがハードウェアのシンセサイザーを使用するのは周知の通りで、本作の冒頭から終盤にかけて、エレクトロニクスの楽器がミステリアスな世界観を確立している。本作を機に、バンドはPIASからSub Popへと移籍したが、相変わらず素晴らしい楽曲を書くグループだ。

 

「I'm Not Ready For The Change」 

 

 

 

38.Automatics 『Is It Now』- Stone Throw 



オートマティックの自称する「Deviant Pop」とは、''逸脱したポップ''のことを指すが、ロスの三人組の三作目のアルバムを聴けば、どのような音楽か理解出来るだろうと思われる。ニューウェイブのポスト世代に属する音楽であり、その中には、ディスコやクラウトロック、エレクトロニック、ダブ、デトロイトの古典的なハウス、ヨットロックなどが盛り込まれているが、明らかにオートマティックは、最新アルバム『Is It Now?』で未来志向の音楽を発現させている。



彼女たちは、ギターレスの特殊なバンド編成を長所と捉えることで、複合的なリズムとグルーヴをつくりだす。オートマティックは、ジナ・バーチ擁するニューウェイブバンド、The Slitsの再来であり、彼女たちが生み出すのは内輪向けのパーティソングともいえる。しかし、その内輪向けのポップソングは、同時に今後のミュージックシーンの流行のサウンドを象徴づけている。



今年のアルバムの中では鮮烈な印象を放つ。『Is It Now?』はニューウェイブの次の世代となるネオウェイブの台頭が予感される。三者のボーカルが入り乱れる音楽は、どこから何が出てくるかまったくわからない。現代社会への提言を織り込んだ痛撃なアルバムが登場したと言える。

 

 

 

 

 

39.Leisure 『Welcome To The Mood』(Album of The Year 2025)



NZ/オークランドの6人組グループ、Leisure。TOPSのようなヨットロックから、80年代初頭のStylistics、Commodoresのような、マーヴィン・ゲイやスティーリー・ダン、クインシー・ジョーンズらが登場する前夜のソウルミュージックを織り交ぜ、トロピカルな雰囲気に満ちたポップソングを制作している。

 

新作『Welcome To The Mood』は相当練り上げられたかなり完成度の高い作品である。もちろん、ミックスやマスターで磨き上げられ、現代的なデジタルレコーディングの精華である”艶のあるクリアな音質”が特徴で、聴きやすい作品。

 

ドラムの演奏が際立ち、レジャーの楽曲全体を司令塔のようにコントロールしている。ドラムが冗長なくらい反復的なリズムを刻むなか、6人組という、コレクティブに近い分厚いバンド構成による多角的なアンサンブルが繰り広げられ、音楽そのもののバリエーションが増していく。

 

レジャーの音楽は、表面的には、ポップネスの要素が強い反面、その内実はファンクソウル/ディスコソウルを濾過したポップソングである。ジェイムス・ブラウンの系統にあるファンクのビートが礎になり、軽快で清涼感のあるポップソングが形作られる。

 

レジャーの音楽は、ポップをベースにしているが、ロックの性質を帯びる場合がある。ただ、レジャーはどちらかと言えば、The Doobie Brothers、Earth Wind & Fireのような白人と黒人の融合したロックソングの性質を受け継いでいる。彼らのソウルのイディオムは必ずしも、ブルー・アイド・ソウルに根ざしているとはかぎらず、サザンソウルやサザンロックなど、米国南部のロックやR&Bの要素をうまく取り込んで、それらを日本とシティポップや米国西海岸のソフィスティポップと撚り合わせて、安定感に満ちた聴き応えのある音楽を提供しています。

 

「The Colour Of The Sound」 

 

 

 

40. Geese  『Getting Killed』 - Partisan/ PIAS



 

ニューヨークのバンド、Geeseが待望の3rdスタジオアルバム『Getting Killed』で帰還。音楽フェスでケネス・ブルームに声をかけられた彼らは、ロサンゼルスの彼のスタジオで10日間という短期間で本作を録音。


オーバーダビングの時間がほとんどない中、完成した作品は混沌としたコメディのような仕上がりとなった。ガレージ風リフにウクライナ合唱団のサンプルを重ね、ヒス音のするドラムマシンがキーンと鳴るギターの背後で柔らかく脈打つ。奇妙な子守唄のような楽曲と反復実験が交互に現れる。『Getting Killed』でGeeseは、新たな柔らかさと増幅した怒りのバランスを取り、クラシックロックへの愛を音楽そのものへの嫌悪と交換したかのようである。

 

今作は、セカンド・アルバム『3D Country』の延長線上にあるが、より冒険心と遊び心を感じさせる。全般的なロックソングとしては、ローリング・ストーンズの系譜にあるブギーロックを受け継いでいるが、Geeseのデビュー当時のサウンドと同様に、それは混沌とし、錯綜していて、現代社会を暗示するかのようだ。それらはしばしば、「Au Pay Du ocaine」などに象徴されるようにサイケロックやサイケソウルのようなテイストも併せ持つ。そんな中でも、カントリーとロック、ブルース、ソウルなどを組み合わせた楽曲が本作のコアとなっている。「Getting Killed」、「Islands of Man」、「100 Horses」はその象徴ともいうべきトラックだ。また、 ローリングストーンズの名曲「Symphony for The Devil」を彷彿とさせる、アヴァンギャルドなロックソング「Long Island City Here I Come」にも注目したいところです。

 


「100 Horses」 

 

 

・Vol.5に続く