ニューヨークのシューゲイザーアーティスト、Winterは8月にリリースされる『Adult Romantix』から、Horse Jumper of Loveのディミトリ・ジャンノプロスをフィーチャーした「Misery」を発表した。

 

「この曲は友人のアレックス・クレイグと一緒に書いた。 最初は、手に入らない恋をしているという架空のストーリーを想像し、ある種の悲しみに耽るというロマンチックなものに傾倒していた」

 

「しかし、レコーディングの過程で、エリオット・スミスの愛と悲劇的な死の物語が浮かび上がり、それが曲名とディミトリが書いた残りの歌詞にインスピレーションを与えました」とサミラ・ウィンターは語る。「この曲はもともと速いテンポで書かれていたのですが、テープ・マシンでスローにすると、私の声に興味深いアンドロジナス効果が生まれることを発見しました」


ホース・ジャンパー・オブ・ラブのドミトリ・ジャンノプロスはこう語る。「エリオット・スミスへのオマージュだという曲の裏話を教えてくれたんだ。 エリオット・スミスが私に与えてくれたインスピレーションを、ソングライターとして、私のヴォーカルに反映させたいと思った。 サミラがこの曲に必要な明確なビジョンを持っていたから、彼女と一緒にヴァースを書くのは簡単だった」


『Adult Romantix』は、2022年の画期的な作品『What Kind of Blue Are You?』に続く作品で、LAで過ごした日々への別れのラブレターでもある。サミラ・ウィンターは、Adult Romantixを「夏と思い出のトンネル」と表現している。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』のようなロマンチックな時代のテキストや90年代のロマンス映画にインスパイアされている。


「Misery」

 

 

 

 ▪Winterがニューアルバム『Adult Romantix』を発表 8月22日にリリース



ロンドンの三人組ロックバンド、Bar Italiaが、夏に欠かせないバンガー「Cowbella」を引っさげて、ヨーロッパと北米のツアー日程を発表した。

 

ロンドン、ミラノ、バルセロナ、パリ、ロサンゼルス、ニューヨーク、トロントを含む10月と11月の公演は、6月19日(木)に93フィート・イーストで行われた新曲のプレビュー公演に続くもので、ロンドンはソールドアウト。


2023年の『Tracy Denim』、2024年の『The Twits EP』以来となるバンドの新曲 「Cowbella 」は、メンバーのニーナ・クリスタンテ、ジェズミ・タリック・フェフミ、サム・フェントンによる超越的なヴォーカル・ブラント・ローテーションが、変幻自在のロッカーの上で展開され、爆発的でゾクゾクするような空へ向かうコーダで最高潮に達する。バー・イタリアならではの多面的なアンセムだ。


この2年間、ロンドンの3人組は、マタドールから2枚のアルバムをリリースし、高い評価を得た。彼らは、イスタンブールから東京までのヘッドライン・パフォーマンス、ニューヨークとロサンゼルスでのソールドアウトとなった数日間の公演、コロナ・キャピタル、グラストンベリー、コーチェラなどのフェスティバルで世界中を駆け巡った。

 

2023年から2024年にかけて世界各地で160回以上の公演を行い、バー・イタリアは、フェスティバルのモッシュピットでの煽動も、ピンと張り詰めた親密さの瞬間も、同じように心地よくこなすエキシビストで逞しい5人組となった。


「Cowbella」のビデオは、エイダン・ポンタリーニ、ベン・シューマッハー、ルーク・シューマッハーが監督した。 以下よりご覧ください。

 

 

 「Cowbella」

 

 

Bar Italia Tour Date 2025:


Thursday June 19, 93 Feet East, London, UK
August 13 – 17, Vodaphone Paredes de Coura 2025, Paredes de Coura, PT
Saturday October 18, The Dome, London, UK
Wednesday October 22, Santeria, Milan, Italy
Thursday October 23, La 2 de Apolo, Barcelona, Spain
Friday October 24, Sala Mon, Madrid, Spain
Tuesday October 28, La Maroquinerie, Paris, France
Wednesday October 29, Reflektor, Liège, Belgium
Thursday October 30, Toekomstmuziek, Amsterdam, Netherlands
Thursday November 6, The Bellwether, Los Angeles, CA
Saturday November 8, The Regency Ballroom, San Francisco, CA
Monday November 10, Aladdin Theater, Portland, OR
Tuesday November 11, Neumos, Seattle, WA
Wednesday November 12, Hollywood Theatre, Vancouver, BC
Friday November 14, Thalia Hall, Chicago, IL
Saturday November 15, Beachland Ballroom, Cleveland, OH
Sunday November 16, Ace of Cups, Columbus, OH
Tuesday November 18, Spirit Hall, Pittsburgh, PA
Wednesday November 19, Black Cat, Washington, DC
Friday November 21, Warehouse on Watts, Philadelphia, PA
Saturday November 22, Brooklyn Paramount, Brooklyn, NY
Monday November 24, Paradise Rock Club, Boston, MA
Tuesday November 25, Club Soda, Montreal, QC
Thursday November 27, The Concert Hall, Toronto, ON
Friday November 28, Nietzsche’s, Buffalo, NY
Saturday November 29, Bearsville Theater, Woodstock, NY


ジャック・ホワイトが昨年の『No Name』から「Archbishop Harold Holmes」のミュージックビデオを公開した。 

 

このビデオには、俳優であり友人でもあるジョン・C・ライリーが出演しており、2007年の映画『Walk Hard: The Dewey Cox Story』では、エルヴィス・プレスリー役でジャックが出演していたのを覚えているだろう。


ライリーは、古い時代のラジオで作られた説教壇から信徒に説教する主人公の大司教役で出演しており、彼の説教が熱を帯びるにつれ、ジャック・ホワイト・ブルーの電気が彼の手から飛び始める。 礼拝が予想外の展開を見せるので、ぜひ最後まで見てほしい。


ビデオのコンセプトはライリーが考え、監督は俳優ダニー・トレホの息子、ギルバート・トレホが務めた。 以下より。


ジャック・ホワイトはこの夏から秋にかけて、ポートランド(ミネソタ州)のバック・コーヴ、ルイビルのバーボン&ビヨンド、シカゴのライオット・フェスト、ニューヨークのCBGBフェスティヴァルなど、フェスティヴァルに出演している。


「Archbishop Harold Holmes」

 


スウェーデンのガレージロックの王様、ザ・ハイヴスがアルバム『ザ・ハイヴス・フォーエヴァー・フォーエヴァー・ザ・ハイヴス』からの次のシングル「ペイント・ア・ピクチャー」をリリースした。 リキテンシュタインにインスパイアされたミュージック・ビデオは以下より。


"Paint a Picture"は今月初めにLater... with Jools Hollandで初披露され、前シングル "Enough Is Enough "に続く作品である。 

 

この曲はザ・ハイヴスにとって標準的なもので、ファジーなギター・リフと罵詈雑言が飛び交う歌詞、そしてハーフタイム・コーラスのブレイクダウンで構成されている。 ミュージック・ビデオ(監督はフィリップ・ニルソンとヘンリー・ムーア・セルダー)は、リキテンシュタインの絵から飛び出してきたようなコミック・ブックの中でバンドが演奏している。


ザ・ハイヴス・フォーエヴァー・フォーエヴァー・ザ・ハイヴスは、バンドの7枚目のフルアルバムで、8月29日にプレイ・イット・アゲイン・サムからリリースされる。 ペレ・ガンナーフェルトとビースティ・ボーイズのマイクDが共同プロデュース。 クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョシュ・オムもこのプロジェクトに参加しているが、正確なクレジットについてはまだ明らかにされていない。


The Hivesは2023年に『THE DEATH OF RANDY FITZSIMOONS』をリリースした。

 

 

「Paint A Picture」 

autechre   japan  twentytwentysix


1990年以降、ノンリズム/ノンビートで一世を風靡したオウテカの来日公演が決定しました。ワープ・レコードのダンス・ミュージックを定義付けてきたオウテカ。レディオヘッドを初め、ミュージシャンでも彼らの信奉者は多い。ニュー・オーダーと並んでイギリスのダンスミュージックを牽引してきたデュオのライブは見逃せません。来日公演の詳細は下記の通りです。



・tokyo 2026/2/4 (wed) ZEPP Divercity

・osaka 2026/2/5 (thu) Yogibo META VALLEY


open 18:00 / start 19:00

前売:8,800円(税込 / 別途ドリンク代)※未就学児童入場不可

info:[ WWW.BEATINK.COM] / E-mail: info@beatink.com


オウテカのピッチブラックLIVEが再び日本にやって来る。それは真っ暗闇の中、神経を研ぎ澄まし、ただただ音に没入する体験。 

 

エイフェックス・ツイン、スクエアプッシャーと並び、英国を代表するレーベル〈WARP RECORDS〉の代表的アーティストとして90年代から不屈のアティテュードと革新性で常に電子音楽のシーンの先頭を爆走して来たオウテカ。近年では自身のウェブサイト限定リリースという形で意欲的に作品の発表を続ける。ライブ活動においても、彼らのトレードマークとなったピッチブラック(暗闇)ライブで、未だにその会場の規模を拡大し続けており、今秋に予定されている欧州、米国ツアーはオウテカ史上最大規模で行われるが、既に全てソールドアウトを記録。


そんな彼らの容赦知らずの妥協なき活動、そしてそれに呼応するファンからの絶対的信頼と熱狂的支持、その強固な結びつきは国境も世代も越え未だ拡大を続ける。


今回の来日は2023年のSONICMANIA以来、2年振りとなるが、2008年Club Karmaでの公演以来、実に17年振りに大阪にも降臨する。是非体験すべし!


本公演のさらなる詳細についてはbeatinkの公式サイトをご覧ください。

 

ニューヨークのシンセポップトリオ、Nation Of Language(ネイション・オブ・ランゲージ)がニューアルバム『Dance Called Memory』を発表した。

 

Sub Pop移籍後のデビュー作である。アルバムには、バンドが5月にサブ・ポップとの契約を発表した際に披露した新曲「Inept Apollo」が収録されている。

 

アルバムのリリースと合わせて収録曲「I'm Not Ready For the Change」のミュージックビデオが公開されている。


ブルックリンを拠点とするこのバンドは、イアン・リチャード・デヴァニー(リード・ヴォーカル、ギター)、エイダン・ノエル(シンセサイザー)、アレックス・マッケイ(ベース・ギター)を擁している。ネイション・オブ・ランゲージの前作『ストレンジ・ディサイプル』は、2023年に[PIAS]からリリースされた。(レビューを読む)


ストレンジ・ディサイプル』をプロデュースしたニック・ミルハイザー(LCDサウンドシステム、ホーリーゴースト!)は、『ダンス・コール・メモリー』で再びバンドと仕事をした。


ノエルはプレスリリースで、「ニックの素晴らしいところは、私たちに期待されるようなことをする必要がないと感じさせる能力です」と語っている。


この新しいアルバムについて、デヴァニーは次のように語っている。

 

 

「クラフトワーク流の思想とブライアン・イーノ流の思想の間には二項対立があり、私はそれぞれに惹かれてきた。クラフトワークが自分たちの音楽から人間性をすべて取り除きたかったという話を読んだことがあるが、イーノは人間性をはっきりと感じられるシンセサイザー音楽を作りたいとよく話していた。

 

クラフトワークがサウンド的に基礎となる影響を受けたのと同様に、このレコードでは、私はイーノ流の考え方に大きく傾いた。AIが人間のクリエイターに取って代わるというこの時代において、私は人間の状態にもっと焦点を当てていて、それを支える根本的な音楽が必要なんだ......。絶望感の代わりに、私たちが本当にお互いを見ているという感覚をリスナーに残したい」

 

Nation Of Languadeのニューアルバム『Dance Called Memory』は9月19日にSub Popからリリースされる。

 

 

「I'm Not Ready For the Change」

 

 

 

Nation of Language 『Dance Called Memory』

Label: Sub Pop

Release:  2025年9月19日

 

Tracklist: 

1.Can't Face Another One
2.In Another Life
3,Silhouette
4.Now That You're Gone
5.I'm Not Ready for the Change
6.Can You Reach Me
7.Inept Apollo
8.Under the Water
9.In Your Head
10.Nights of Weight


Pre-save: https://music.subpop.com/nationoflanguage_dancecalledmemory


U.S.ガールズのニューアルバム『Scratch It』が今週金曜日、6月20日にリリースされる。発売日を目前にラストプレビュー「No Fruit」をチェックしてみて下さい。ワウのエレクトリックギターが炸裂するサザン・ロック風のトラック。

 

スリンキーなファンク・ディス・トラックで、共作者兼ギタリストのディロン・ワトソンのワウワウが、レミーの辛辣で詩的な予言を際立たせている。"月を意識して植えなければ/きっと浅い根に悩まされることになる/収穫のときが来れば、収穫人は/実がなっていないことに気づくだろう"。


ニュー・アルバム『スクラッチ・イット』は、カントリー、ゴスペル、ガレージ・ロック、ソウル、ディスコ、フォーク・バラードなどを織り交ぜ、レミーの卓越したソングライティングが随所に散りばめられている。 前作のようなコンピューター・ベースのプロダクションをやめ、2インチ・テープを使うという彼女の選択は、レコード制作を始めて20年近くになるアーティストに期待される音の変幻自在の要素を取り入れ、楽曲に良い影響を与えている。 もし本能が楽器だとしたら、レミーは名人だろう。 

 

 

「No Fruit」 



▪️US GIRLSが新作アルバム『SCRATCH IT』を発表   リードシングル「BOOKENDS」は壮大なスケールを持つ12分に及ぶ



・アルゼンチンタンゴはどのように始まったのか?



タンゴは19世紀のアルゼンチンの下流階級から誕生したいわば庶民のための音楽。そのなかには煽情的な意味合いも込められているが、品性のない音楽とは言えない。その中にも慕情や失恋のようなテーマも織り交ぜられていた。この音楽は当初労働者階級や移民を中心に人気が広がった。

イタリアからアルゼンチンに最初の移民が到着した時、多くの人々はラプラタに幻想的な思いをいだいた。この川はアルゼンチンのモデルニスモの文学者らに理想郷と捉えられ、幻想の象徴とみなされていた。

1880年代にアルゼンチンとウルグアイの国境を隔てる川、リオ・デ・ラ・プラタ河畔で誕生したタンゴが、やがて世界を席巻したのは当然の成り行きだった。 

アフリカとヨーロッパ両方の文化からインスピレーションを得たタンゴは、キューバのハバネラ、アルゼンチンのミロンガ、アルゼンチンのアフリカ系住民の伝統的なカンドンベの踊りに影響を受けて成立した。 

ブエノスアイレスやモンテビデオの下層階級で生まれたタンゴ音楽は、同名のダンスと同様、さまざまな音楽的背景を取り入れ、それらを融合させ、今日では一般的な独特のスタイルを生み出した。  

スペインのタンゴとフラメンコダンスは似ているようでいて全く別物である。アルゼンチンのタンゴは、共通の遺産から進化した独自のダンスである。

この単語がどこから来たのかについては諸説があるようです。1つの説は、「タンゴ」という言葉がアフリカの文化で「閉鎖された場所」、「予約された土地」の意味があり、1853年に奴隷制が廃止されるという時代背景とリンクしていました。


もうひとつは、自由人が特定の場所で集まり、保持された意味のように踊るため、アフリカの移民によってアルゼンチンに持ち込まれた説もあります。

また、タンゴという言葉はラテン語の動詞''tanguere''、「触れる」という語に由来している。奴隷船でアフリカ人によってもたらされた可能性もあります。それはヨーロッパとアフリカの両方の要素の組み合わせである可能性が高い。これは音楽とダンスのステップからもわかるのではないでしょうか。





・タンゴのヨーロッパへの普及



以降、アルゼンチンタンゴは19世紀にブエノスアイレスとモンテビドの労働者階級のコミュニティの出会いの場とダンスの儀式として一般的に親しまれるようになりました。

想像のとおり、官能的なダンスは当時としては大胆な動きが取り入れられ、下層階級によって流行し、都市の裕福な人々から敬遠され、主に移民やアーティストがバーやクラブで上演していた。

政治闘争が広い世界を揺るがした後、禁酒法や独裁のためにダンスを地下に押しこめ、その後1980年代に若者のグループによってタンゴは再び復活しました。そこからその人気は急上昇し、アルゼンチンはそのダンスを記憶し、ヨーロッパや世界中に普及させていくようになった。



タンゴは、ブエノスアイレス郊外の集まりで踊られる数多くのダンスのひとつとして始まった。

そのスタイルがヨーロッパの社会の隅々にまで広まるのにそう時間はかからなかった。ダンスは郊外から広まり始め、当時ヨーロッパから到着したばかりの移民が住んでいた労働者階級のスラム街で人気を博した。タンゴは貧しい人々のためのダンスミュージックとして普及していく。

やがて、ブエノスアイレスの国境を越え、タンゴの熱狂が世界的に広まるのにはそれほど長い時間を要さなかった。 タンゴが最初にヨーロッパ大陸に進出したのはスペインと思われるかもしれませんが、最初にタンゴの虜になったのはパリだった。その後すぐにロンドン、ベルリン各地でブームになりました。踊りや楽しみは産業革命以降のヨーロッパ全体に拡大した。これ以降、ヨーロッパ全体でアルゼンチン・タンゴは一般的になったと言っても差し支えないでしょう。

1913年、タンゴはアメリカに進出し、ニューヨークで最初のアメリカ人ファンを見つけた。 しかし、"タンゴ "という言葉は1911年にはすでにアメリカで使われていた。 

当初、アメリカ人はタンゴのテンポを速め、かなり速いリズムで踊っていたが、スピードが落ち、アルゼンチンのスタイルに近づいていった。こうしてタンゴは世界的に知られるようになった。


・アルゼンチン・タンゴをクラシック音楽から解釈した二人の作曲家  ピアソラとアルベニス

 

 

・アストル・ピアソラ(Ástor Pantaleón Piazzolla)- Argentina



アルゼンチン・タンゴに注目したクラシック音楽家が二人いる。そのひとりはアストル・ピアソラ。彼は若い時代をニューヨークで過ごし、ジャズなどに興味を持った後、アルゼンチンに帰国。父の経営するレストランで、バンドネオン奏者として活躍した。

1938年にラジオで先鋭タンゴ「エルビーノ・バルダーノ楽団の演奏に感動し、翌年にはバンドネオン奏者として、トロイロ楽団に参加。クラシック作曲家として頭角を現したのは、1940年頃からである。

この年から数年間、アルベルト・ヒナステラに師事し、音楽理論を学習した。この時期、ピアノ・ソナタを書いている。それ以降、ピアソラは古典的なタンゴに限界を感じるようになった。
 
1954年には、より本格的にクラシックを勉強するため、渡仏し、ナディア・プーランジェに師事した。ピアソラはタンゴのルーツをしばらく隠していたが、プーランジェからタンゴこそ重要なルーツであることを指摘され、以後のジャズとタンゴの融合体、「ジャズ・タンゴ」を誕生させた。

この音楽は俗に言われる''タンゴ革命''であり、旧態依然とした伝統的な音楽に前衛的な響きをもたらすことを可能にした。

1955年には率先してエレクトリック・ギターをオーケストラと融合させた。その前衛的な作風から「タンゴの破壊者」と揶揄されることもあったほど。「リベルタンゴ」のような曲を聴けば、ジャズ・タンゴと呼ばれる音楽がよく理解出来るはずである。



 「Libertango」

 
 
 
・イサーク・アルベニス(Isaac Manuel Francisco Albéniz)-Spain
 
 

実はピアソラよりも前にタンゴの可能性に着目していた作曲家がいた。それがカタルーニャの作曲家/ピアニストのイサーク・アルベニスである。 

アルベニスはライプツィヒで音楽を学んだ後、1876年以降、ブリュッセル王立音楽院に在学し、1879年までピアノを学んだ。
 
数少ないスペイン学派とも呼ばれる作風で知られ、スペインに対する郷土的な愛に満ちた作風「エスパーニャ」、「イベリア」「スペイン組曲」により一般的に知られている。特にスカルラッティを積極的に演奏した。1890年代以降は、ロンドンとパリに住み、作曲活動に専念した。

組曲「エスパーニャ 0p.165」の第二楽章「タンゴ」では、アルゼンチン・タンゴのリズムと旋法を取り入れて、いち早くこのジャンルをクラシックの作曲に導入している。アルペニスの楽曲は、同じくスペインの作曲家フェデリコ・モンポウと同じく、ギターで演奏されることも多い。 


「Tango」




▪️ワールドミュージックをよりよく知る:



ニューイングランドを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Grace Morrison(グレース・モリソン)がアルバム『Saltwater Country(ソルトウォーター・カントリー)』をリリースした。全15曲からなるこのアルバムは、彼女の故郷ケープ・コッドとクランベリーを育てる家族への頌歌である。 


フォーク、カントリー、ロック、アメリカーナをカリスマ的にブレンドした音楽で、プロデュースはジョン・エヴァンス(トリ・エイモス、サラ・マクラクラン)。 


ナーディチュードに正式な名前があるとすれば、それはグレース・モリソンしかいない。ピアニスト、アコーディオン奏者、ルネッサンス・フェアー出演者、クランベリー栽培家、歴史ノンフィクションの読書家、コーヒー愛好家(彼女は自身のブレンド・コーヒーを販売している)、そしてニューイングランドのあらゆることに関する無類の専門家でもある。そしてどういうわけか、これらすべての奇癖が彼女の音楽の布地にシームレスに織り込まれ、彼女を最もユニークで愛すべきソングライターにしている。


ケープ・コッドの海岸で生まれ育ったグレース・モリソンは、彼女がソルトウォーター・カントリーと呼ぶサウンドをトレードマークにしている。 


「私はいつも、フォークにはポップすぎ、カントリーにはフォークすぎたような気がする。やがて私は、自分の音楽を本当に自分のものにしているものを見つけるため、自分の音楽のレイヤーを剥がし始めた。そして、 その核心は、ケープ・コッドの海岸線との否定できない深いつながりだった。 私の音楽は、カントリーのストーリーテリング、トワング、そしてスワンプ・ヤンキーの生々しく揺るぎないスピリットを持っている。 それがソルトウォーター・カントリーの正体だ」


型にはまらないことを誇りとする彼女は、いわゆる "まともな仕事 "に就いたことがないらしい。 「それは何にも代えがたい」のだそう。


彼女のキャリアは、高校時代にコーヒーショップで演奏していたときに始まり、そこでチップをもらうために歌っていた。 「彼が残してくれた20ドルはまだ持っているわ」と彼女は笑う。


それから間もなく、彼女はRock 4 Xmasのツアーに参加し、エディ・マネー、ジョーイ・モーランド(バッドフィンガー)、カーマイン・アピス(ヴァニラ・ファッジ、『Da Ya Think I'm Sexy』の作者)、グレッグ・ダグラス(スティーヴ・ミラー・バンド、『Jungle Love』の共同作者)といった伝説的なミュージシャンたちとステージを共にした。


「私は17歳で、ロック・アイコンとツアーバスに乗っていた。 あれ以上のロックンロールの勉強はなかったと思う。 私はあなたにいくつかの話をすることができるわ」彼女はおなじみの笑みを浮かべて言う。 


「文字通り、スパイナル・タップが現実になったのよ。 でも、私にとって一番大きかったのは、この人生、つまりツアーやパフォーマンスが可能なのだと気づいたこと。 それ以来、私が望んだのは、あのバスに戻ることだった」


初期の頃、彼女は自分のサウンドを定義するのに苦労した。 「父は私がブルース・シンガーになるべきだと確信していた。 時間はかかったけど、やっとアーティストとしての自分がわかった。 それがソルトウォーター・カントリーなの」


ヒット・ソング・ライターのロリ・マッケンナとコラボレートしたときが、彼女の旅路を決定づけた瞬間のひとつだった。 


「妊娠8ヶ月のとき、マッケンナが一緒に曲を書かないかと誘ってくれたの。" Just Loving You "を書いたんだけど、今まで書いた中で一番個人的な曲だった。 この曲が観客とつながったのは、それまで経験したことのないことだった。 私は、自分の歌がより個人的で具体的であればあるほど、より心に響くことを学んだ。 自分の知っていることを書く。アルバム『ソルトウォーター・カントリー』はその証とも言えるでしょう」


『Saltwater Country』は、"3つのコードと真実 "や "退屈させないで、コーラスを "といった古くからの格言を、90年代のポップスで包み込み、リスナーに新しさと親しみやすさを同時に感じさせるサウンドを残している。


ジョン・エヴァンス(トーリ・エイモス、サラ・マクラクラン)のプロデュースによるこのアルバムは、何も持たずに育ったことを生々しく反映した、硬質で湿った「Poor Man's Daughter」から、不完全さを受け入れ、自問自答を肩の荷から降ろすことを歌った、楽しげでトゥワングに満ちた「Beer in a Teacup」まできわめて幅広い。 リードシングルは、ビクトリア朝のソーサー付きティーカップでビールを飲み、人にどう思われようと気にしなかった彼女の祖母への頌歌だ。 


この曲は、自信を見つけ、自分の癖を受け入れた上で、人生が面倒になったら、ただティーカップにビールを注いで前に進めばいいと示唆する。


「Poor Man's Daughter」



Grace Morrison 『Saltwater Country』- New Album Out Now!!



If nerditude had a formal name, it would be Grace Morrison.She’s a little bit of everything—pianist, accordion player, Renaissance Faire performer, cranberry grower, reader of historical nonfiction, coffee devotee (she sells her own coffee blend), and an unapologetic expert on all things New England. And somehow, all these quirks weave seamlessly into the fabric of her music, making her one of the most unique and endearing songwriters around.


Born and raised on the shores of Cape Cod, Grace Morrison has trademarked a sound she calls Saltwater Country. “I was always too pop for folk and too folk for country. Eventually, I started peeling back the layers of my music to find out what truly made it mine. 


At the heart of it all was my deep, undeniable connection to the Cape Cod coastline—it’s in my blood, in my voice, in every lyric I write. My music carries the storytelling of country, the twang, but also the raw, unshakable spirit of a Swamp Yankee. That’s Saltwater Country.”



Proudly unconventional, she’s never held what some would call a "real job", She says “it’s always been music and how lucky am I that music has given me this wild, unpredictable journey through the human experience. I wouldn’t trade that for anything.”



Her career started when she was in high school playing at coffee shops, where she sang for tips—one of which came from none other than actor James Spader. “I still have the $20 he left me,” she laughs.



Not long after, she hit the road with Rock 4 Xmas, sharing the stage with legends like Eddie Money, Joey Molland (Badfinger), Carmine Appice (Vanilla Fudge, writer of Da Ya Think I’m Sexy), and Greg Douglass (Steve Miller Band, co-writer of Jungle Love).



“I was 17, on a tour bus with rock icons. You can’t ask for a better crash course in rock ‘n’ roll than that. I could tell you some stories,” she says with a knowing grin. “It was Spinal Tap in real life—literally, someone from that movie was on the tour. But for me, the biggest thing was realizing that this life—touring, performing—was possible. All I’ve wanted since then was to get back on that bus.”



In those early years, she struggled to define her own sound. “My dad was convinced I should be a blues singer—like he hadn’t even heard my voice,” she jokes. “It took time, but I finally figured out who I am as an artist. And that’s Saltwater Country.”


One of the defining moments in her journey came when she collaborated with hit songwriter Lori McKenna. “I was eight months pregnant when Lori invited me to write with her. We wrote "Just Loving You", and it was the most personal thing I had ever written. 


The way it connected with audiences—it was something I had never experienced before. I learned that the more personal and specific my songs are, the more they seem to resonate. You’ve got to write what you know.” Saltwater Country, the album, is a testament to that.


Saltwater Country takes the old adages of “3 chords and the truth” and “don’t bore us, get to the chorus”, wraps them up with a 90’s pop bow, and leaves the listener with a sound that is at once new and familiar.


Produced by Jon Evans (Tori Amos, Sarah McLachlan), the album ranges from the gritty, swampy "Poor Man’s Daughter"—a raw reflection on growing up with nothing—to the fun, twang filled "Beer in a Teacup", an anthem about embracing imperfections and letting self doubt roll off your shoulders. The leading single is an ode to her grandma who sipped beer out of a Victorian teacup with a saucer and didn't give a damn about what people thought about her. 


It’s the sound of an artist who’s found her confidence, embraced her quirks, and learned that sometimes, when life gets messy, you just pour your beer in a teacup and move on.



ロサンゼルスを拠点に活動するクリエイター、Evalynが夏の到来を予感させるポップバンガー「The Feeling」をミュージックビデオと同時にリリースした。

この曲は、2010年代の多幸感溢れるサウンドにインスパイアされた、アドレナリン全開のサウンドだ。 このトラックは、脈打つビートと熱を帯びたベースラインの上に、高鳴る印象的なフックで満たされており、究極のダンスフロア・アンセムを作り出している。 

このトラックは、彼女の最も野心的な作品であるアルバム『A Quiet Life』の初リリースとなる。 Evalynは、Spotifyだけで1億3,000万回以上のストリーミングを記録し、Billboard、PAPER、NYLONなどの出版物で賞賛されている。 また、コーチェラやグリーク・シアターでもパフォーマンスを行っている。


エヴァリンは10年以上にわたり、個人的な動揺をポップなカタルシスに変えてきた。 ロサンゼルスを拠点に活動し、Spotifyで1億3,000万回以上のストリーミングを記録している彼女が、最も野心的なプロジェクト「A Quiet Life」を携えて帰ってきた。

生々しい感情の激しさを魅力的なメロディーで包み込むことで知られるエヴァリンは、ルイ・ザ・チャイルドのブレイク・トラック「Fire」の歌声として聴衆を魅了した後、引っ張りだこのコラボレーターとして、また手強いソロ・アーティストとしての地位を確立した。 

2018年に発表したサイケデリック・ポップ・アルバム『Salvation』は、彼女の芸術的名刺代わりとなる自己救済のテーマを探求し、熱狂的なファンを育てた。 2024年にリリースされた新曲入りの再発盤は、ダンスフロアの下にある深みを求めるファンの間で、彼女の永続的な共感を証明した。
 
『A Quiet Life』は、エイフェックス・ツイン、ARCA、グライムスの不協和音の周波数から制作上のインスピレーションを得て、コンセプチュアルな領域にさらに踏み込んでいる。 
 
ほぼ全曲が彼女の最初の妊娠中に書かれ、レコーディングされたこの13曲入りの作品集は、不安による吐き気、終わりのないスクロールのノイズ、新しい生命を生み出しながら自分自身を見失う眩暈など、変容の物理的・心理的な混沌を映し出す。 ロサンゼルスで最も革新的なプロデューサーと共同制作したこの作品は、意識、緊張、降伏をテーマにした音の物語を紡ぎ出している。



ライブ・パフォーマーとして、エヴァリンは親密な会場からフェスティバルのメイン・ステージまで、あらゆるステージを支配する。 ジャイ・ウルフとともにコーチェラのサハラ・テントを飾り、グリーク・シアターでパフォーマンスを行い、SXSWやCRSSDでは観衆を魅了した。 

彼女のコラボレーションは、エレクトロニック・ミュージックの最前線で活躍する人物の名前を並べたようなものだ。 Dillon Francis、San Holo、Tritonal、It's Murph、RACなどが、デジタル領域に人間性を注入する彼女の特異な能力を利用している。

HBOからSpotifyの人気プレイリスト(New Music Friday、Young & Free、Metropolis)まで、あらゆる場所で音楽が紹介され、Billboard、Paper、Nylonといった大手出版社からも支持を得ているエヴァリンは、ポップなアクセシビリティと芸術的野心の境界線を曖昧にし続けている。


『A Quiet Life』では、彼女の最も大胆不敵な姿が見られ、リスナーは残骸から自分なりの意味を見つけ出すことになる。 形式通り、彼女は安易な答えを提示せず、ただ大声ですべてを感じることを許可している。

新曲「The Feeling」は、2010年代の多幸感溢れるサウンドにインスパイアされた、アドレナリン全開のサウンドだ。  このトラックは、一種のメインとなる魅惑的なミュージック・ビデオとともに公開された。 

「この曲は、感情や生の本能に支配されることを歌っていて、私たちはそれを動きで表現したかったの。 私は妊娠6ヶ月で、ヒールとピンクのタイツで床を這っていたの。それが混沌を表現するのに役立ったと思う」 

「ザ・フィーリング」は、脈打つビートと熱を帯びたベースラインの上に印象的なフックが舞い上がり、究極のダンスフロア・アンセムを作り出している。 
 
 
 
 
 「The Feeling」
 
 
 


Evalyn 「The Feelings」-  New Single
 


 
Evalyn has spent over a decade transforming personal turbulence into pop catharsis. The Los Angeles-based artist, whose work has amassed over 130 million streams on Spotify, returns with her most ambitious project yet—A Quiet Life, an album that captures the existential unraveling of modern consciousness through the lens of impending motherhood.

Known for wrapping raw emotional intensity in irresistible melodies, Evalyn first captivated audiences as the voice behind Louis the Child's breakout track "Fire," before establishing herself as both a sought-after collaborator and formidable solo artist. Her 2018 psychedelic pop opus Salvation cultivated a devoted following, exploring themes of self-rescue that would become her artistic calling card. The album's 2024 vinyl re-release, featuring new material, proved her enduring resonance with fans seeking depth beneath the dance floor.

A Quiet Life pushes further into conceptual territory, drawing production inspiration from the dissonant frequencies of Aphex Twin, ARCA, and Grimes. Written and recorded almost entirely during her first pregnancy, the 13-track collection mirrors the physical and psychological chaos of transformation—the nausea of anxiety, the noise of endless scrolling, the vertigo of losing oneself while creating new life. It's her most visceral work yet, co-created with some of Los Angeles' most innovative producers to weave a sonic narrative of consciousness, tension, and surrender.

As a live performer, Evalyn commands stages from intimate venues to festival main stages. She's graced Coachella's Sahara tent with Jai Wolf, performed at The Greek Theater, and captivated crowds at SXSW and CRSSD. Her collaborations read like a who's who of electronic music's vanguard: Dillon Francis, San Holo, Tritonal, It's Murph and RAC have all tapped into her singular ability to inject humanity into the digital realm.

With music featured everywhere from HBO to Spotify's most coveted playlists (New Music Friday, Young & Free, Metropolis), and support from major publications such as Billboard, Paper and Nylon, Evalyn continues to blur the lines between pop accessibility and artistic ambition. A Quiet Life sees her at her most fearless, inviting listeners to piece together their own meaning from the wreckage. True to form, she offers no easy answers—only the permission to feel everything, loudly.

Her new single "The Feeling" is a sonic adrenaline rush inspired by the euphoric sounds of the 2010’s.  The track is shared alongside an enthralling music video that represents a kind of maina.  Evalyn confides, "This song is really about being taken over by a feeling or a raw instinct and we wanted to create that through movement. I was 6 months pregnant and crawling on the floor in heels and pink tights - I think that helped capture the chaos." "The Feeling" is filled with soaring memorable hooks over pulsating beats and feverish basslines creating the ultimate dance-floor anthem. 


 




Tristan Tritt(トリスタン・トリット)がニューシングル「Wannabe」をリリース。サザン・ロック、カントリー、ブルース、オルタナティヴなど、さまざまなスタイルを独自に探求し、融合させている。 


Tristan Tritt(トリスタン・トリット)は、アメリカの経験を語る語り部であり、シンプルであることの力を信じる者であり、前進を止めないアーティストである。


 ミュージシャンでありシンガー・ソングライターである彼は、自分を形成した影響とともに、本当の自分を受け入れている。 


誇り高き南部出身者であるジョージア出身の彼は、サザン・ロック、カントリー、ブルース、オルタナティヴなど、さまざまなスタイルを独自に探求し、融合させている。 このジャンルの境界線の曖昧さは、彼の音楽的ヒーローであるブラック・クロウズ、コー・ウェッツェル、コルター・ウォール、トム・ペティの精神を思い起こさせるが、新鮮でモダンなエッジが加わっている。 



グラミー賞受賞のカントリー・アーティスト、トラヴィス・トリットを父に持ち、音楽の血を受け継いで生まれた若きトリスタンは、11歳で初めてフェンダー・ストラトキャスターを手にして以来、それを手放すことはなかった。 


オアシスの "Wonderwall"、ホワイト・ストライプスの "Seven Nation Army"、フー・ファイターズの "Monkey Wrench "など、グランジやオルタナロックの定番曲をマスターし、やがてその情熱をオリジナル曲の作曲に傾けるようになった。 彼はアリゾナの学校でレコーディング・エンジニアリングを学び、カリフォルニアで他のクリエーターたちに囲まれた。 余暇をレコーディング・スタジオとライブに捧げ、数え切れないほどのライブをこなし、熱心なファンを増やしていった。



2022年、初のシングル "Oblivion "と "Right On Time "をリリースし、彼のハードなロック・サウンドを大衆に紹介した。 ''No Filter "ではソーシャルメディアの強迫観念について考察し、American Songwriter誌などから賞賛を受けた。2024年のシングル "Sick of It "は20万回近く再生された。  



今、トリスタン・トリットは新たな章に突入している。 「何年もの間、オルタナティヴ・ロック(特に90年代)にどっぷり浸かってきたけど、自分にはいつも何かが足りなかった。 私は誇り高き南部人であり、リナード・スキナードやブラックベリー・スモーク、そして今では信じられないような新しい才能を持つトリート、オーク、リバイバル、デクスター、ムーンロックスといったバンドを聴いて育った。 彼らのロックと南部/テキサス・スタイルの融合が大好きで、新旧の反逆者たちに敬意を表して2025年の旅を始めたいと思ったんだ」



コラボレーターのクリス・エアーとジェリー・フエンテスと組んだトリスタンは、今やロック・ミュージックに独自のスタンプを残している。 タイトな音楽性、ウイスキーに浸ったような硬質でソウルフルな歌声、深く切り込むストーリーテリングなど、彼の最新作はこれまでで最も本格的なものとなっている。



2025年のシングル "Stop the Ride "は、自伝的なトラックで、夢を追い求めることのつらさ、繰り返されるハードワーク、疑念と決意の間の絶え間ない綱引き、高揚と低迷の感情のジェットコースターを描いている。 メランコリックなサウンドスケープとカントリー・ウエスタン調のアンダートーンが、アリーナ級の爆発的なコーラスに結実している。



ニューシングル "Wannabe "は、彼のルーツへのラブレターのようでもあり、より広いサウンド領域への大胆な一歩のようでもある。 


「この曲は、コーエン・ブラザーズのクラシック『オー・ブラザー、ホエア・アー・ユー』とホメロスの『オデッセイ』との類似性について聞いたときに思いついたアイデアから生まれた。 自分が何者で、どこから来たのかについて自分自身と正直に話し合いながら、その背後にギリシャ神話を少し散りばめたかった。 私の心の中には、父と子の関係に関してとても特別な場所があるので、イカロスが頭に浮かんだ」


 高鳴るギター・リフ、催眠術のようなリズム、高揚したメロディーは、時代を超えた憧れと自由の感覚を捉えている。



「Wannabe」






Tristan Tritt is a storyteller of the American experience, a believer in the power of simplicity, and an artist who never stops moving forward. 


The musician and singer-songwriter is embracing who he truly is, along with the influences that shaped him. A proud Southerner, the Georgia native is unleashing his own exploration and blend of different styles including Southern rock, country, blues and alternative. This blurring the lines of genre recalls the spirit of his musical heroes, The Black Crows, Koe Wetzel, Colter Wall, and Tom Petty but with a fresh and modern edge. “I really hate the thought of being locked into a category,” he confides. 
 
Born with music in his blood, his father is Grammy-winning country artist Travis Tritt, a young Tristan picked up his first Fender Stratocaster at age 11 and never put it down. He mastered grunge and alt rock staples like Oasis’ “Wonderwall,” The White Stripes’ “Seven Nation Army,” and Foo Fighters’ “Monkey Wrench”, soon turning that passion into writing original songs. Farthing his craft, he learned recording engineering in a school in Arizona and surrounded himself with other creatives in California. He devoted every spare moment to the recording studio and performing live, through countless shows, growing a dedicated fanbase.
 
In 2022, he released his first batch of singles “Oblivion” and “Right On Time”, introducing his hard-hitting rock sound to the masses. His contemplation on the obsessiveness of social media with “No Filter”, led to praise from American Songwriter among others, while his 2024 single “Sick of It” has racked up nearly two hundred thousand plays.  
 
Now, Tristan Tritt is entering a new chapter—a musical rebirth. “For years I had fully immersed myself in Alternative rock (Specifically from the 90’s), but there had always been something missing for me. I am a proud southerner and grew up listening to bands like Lynyrd Skynyrd, Blackberry Smoke, and now incredible, new talents, such as treaty, Oak, revival, Dexter and the Moon Rocks. I love their blend of rock and southern / Texas style, and wanted to start my 2025 journey by paying homage to the rebels of old and new.” 
 
Teaming up with collaborators Chris Ayer and Jerry Fuentes, Tristan is now leaving his own unique stamp on rock music. With tight musicianship, a whiskey-soaked voice that’s both gritty and soulful, and storytelling that cuts deep, his newest material is his most authentic yet.
 
His 2025 single “Stop the Ride” is an autobiographical track chronicling the grind of chasing a dream- the repetitive hard work, the constant tug-of-war between doubt and determination, and the emotional rollercoaster of highs and lows. Melancholic soundscapes and country-western undertones culminate into an explosive, arena-worthy chorus.
 
The new single “Wannabe” plays like both a love letter to his roots and a bold step into wider sonic territory. He shares, “the song came from an idea I had, while hearing about the parallels between the Cohen Bros. Classic O Brother, Where Art Thou? and Homer’s Odyssey. I wanted to blend an honest discussion with myself about who I am and where I come from, while also sprinkling a bit of Greek mythology behind it. There is a very special place in my heart, in regards to the relationship between the Father and his Son, so Icarus came to mind.” Soaring guitar riffs, hypnotic rhythms and heightened melodies captures a timeless sense of longing and freedom.
 
 
 


 

ニューカッスルのルース・リヨンは、社会規範に挑戦し、自己受容とエンパワーメントへの旅に火をつけながら、弱さの中の強さと不完全さの魅力を讃える。フィオナ・アップル、オルダス・ハーディング、レジーナ・スペクターなどの影響を受けた彼女のソウルフルなボーカルと、ウィットに富みながらも生々しいリリックが奏でるオフビートなアンチフォークが、すべてを解きほぐす。


リヨンはノース・ヨークシャーで育ち、ファッション・デザインを学ぶためにニューカッスル/アポン・タインに移り住んだ。その間、カルト的人気を誇るフォーク・ロック・バンド、ホーリー・モリ&ザ・クラッカーズの前座を務め、イギリスとヨーロッパを精力的にツアーした。


2020年、グラスハウスのアーティスト・イン・レジデンスに招かれ、ソロ活動を開始。その後すぐにロックダウンが訪れ、彼女は遮蔽物に囲まれながら、ベッドルームでゆっくりと新しい音楽的アイデンティティを築いていった。前作『Direct Debit To Vogue』(2022年)では、PJハーヴェイ、オルダス・ハーディング、ディス・イズ・ザ・キットを手掛けたブリストルのプロデューサー、ジョン・パリッシュとコラボレートした。


もうひとつの重要なインスピレーションは、リヨンが2022年3月のSXSW TXでアメリカデビューを果たしたときにもたらされた。彼女は、オーストラリアとアメリカの障害者アーティスト、イライザ・ハルとラチとともにパネルに登壇し、ショーケースでパフォーマンスを披露した。ここで彼女は、コミュニティとアクセシビリティに関するまったく新しい視点を聞き、仲間のアーティストたちが自らの経験を語るパフォーマンスを目の当たりにして、深く感動した。「私にとっては、ほとんどスピリチュアルなことのようでした。帰ってきて、このキャリアは自分自身よりもずっと大きなものだと気づいた。自分には、このキャリアをできる限り押し進め、できる限り正直になる義務があると思う」


帰国後、彼女はこのことを一気に書き上げ、自分の本物の声への新たなコミットメントとともに『Direct Debit To Vogue』を完成させた。彼女は言う。「腹にパンチを入れるような音楽の感覚を呼び起こしたかった」


リリース以来、リヨンはPRS Women Make Musicなどから賞賛を受け、BBC Radio 1と6 Musicからオンエアされ、グレート・エスケープ、ラティテュード・フェスティバル、シークレット・ガーデン・パーティー、グリーンベルト、グラストンベリーにも招待されている。2025年リリースのデビュー・アルバムを再びジョン・パリッシュとレコーディングし、アビー・ロードでBBCの独占ライブ・セッションを収録した。


長年にわたり、リヨンはニューカッスルの音楽シーンの重要かつ活発なメンバーとしての地位を確立してきた。「ニューカッスルにはあまり産業がないため、成功するにはロンドンに移らなければならないように感じることもある。しかし、私は、私たちが北部で成功し、良い芸術を作ることができるように、それを作ろうとしているミュージシャンを本当に誇りに思っています」


デビュー・アルバム『ポエム&ノンフィクション』は、繊細さと力強さのバランスを保った芸術性で、深く喚起させる物語と力強い瞑想を織り成すパワフルなライターの道標。 障害を持つ女性としての体験と、生涯にわたる他者意識によって鍛えられた彼女は、存在の美しい混乱を探求し、社会規範に挑戦し、自己受容、エンパワーメント、そしておそらく最も重要な希望への旅に火をつける。「これらの歌に込められた生々しい正直さに自分でも驚いている、これらの物語が癒しと成長を促してくれることを願っています」


高名なプロデューサー、ジョン・パリッシュ(pjハーヴェイ、オルダス・ハーディング)と仕事をし、エイドリアン・レンカー、フィオナ・アップル、ムーンドッグといったアーティストの影響を受けたこの曲は、詩的なニュアンスに富み、若い人生を力強く生きた型破りな洞察力に満ちている。抽象的、原型的、そして赤裸々な真実の間を揺れ動きながら、表面下の意味を掬い出す。


ニューヨーク・シティ・ホールでのダニー・アワード受賞、ブライトンのグレート・エスケープ・インターナショナル・ショーケース、グラストンベリー・フェスティバルなど、世界各地でコンサートを行い、pplモメンタメンタントグラグラントを受賞、パワーにも選出された。



『Poems & Non-Fiction』のリードシングルは、寓話的なオマージュであり、単に『Books』と呼ばれている。 "ベッドのそばに本の山があるの "と歌う彼女は、"フォントや色に感心するけど、私は読まないわ "と告白する。


複雑な構造レベルではあるが、音楽自体が見事に実現されている一方、その巧みなメタファーには現地の評論家も息を巻くほど。 「私と本との関係は難しい。 読書は本当に疲れるものだけど、本は大好き。でも、詩はもっと直感的な体験で、書かれた言葉にもっと親しみやすい方法として好きなんだ。 私は詩をたくさん書くけれど、旅行もたくさんするし、海で泳ぐのも好きだし、ガーデニングも好きだし、鳥や自然も好き。これらの断片を集めて、リズムやメロディーを考え出し、それにどんな詩が合うかを考える。 かなりカオスなプロセスになってしまう」


アルバムのプロデュースはジョン・パリッシュ(PJハーヴェイ、オルダス・ハーディング)。 「ジョンは世界一忍耐強い男で、決してノーとは言わない! アルバムには奇妙な音がたくさん入っているけど、それはジョンが私にいろいろと試させてくれた。 彼は私の音楽的解釈者のようなもの。 作曲は、話すことではなかなかできない自己表現の方法として使っている。 しゃべるのは好きなのだけど、しゃべりすぎると大きなノイズのようになってしまうことがあるので」


「このアルバムは2023年にレコーディングしたんだけど、1年かけて自分のことをどれだけ詰め込めるか考えたの。 抽象的だけど、正直で本物。 抽象的な表現を使っているのは、聴き手の解釈の余地を残しておきたかったから。 私のこと、私の人生、私の人生経験を知る必要はないし、もちろん、私の友人である必要もない。 ただ、私が望むのは、私のことを少しでも知ってもらうことです。人々が自分の物語や感情を織り込んで、自分に語りかける部分とつながることができるように、十分な余白を残しておきたかった。聴く人に何かを語りかけてくれることを願っています。 私は、個人的で抽象的で、何かを感じさせてくれる音楽の方が好きなんです」




Ruth Lyon 『Poems & Non Fiction』 -Pink Lane



ルース・リヨンによる記念すべきデビュー・アルバム『Poem & Non Fiction』は、大人のためのポップスといえる。このアルバムで、ニューキャッスルのSSWは、表側には出せないため息のような感覚を、アンニュイなポピュラーソングにより発露している。BBC Radioからプッシュを受けるルース・リヨン。世界的にはシンガーソングライターとしての全容は明らかになっていない。しかし、幸運にもグラストンベリーフェスティバルで彼女の姿を目撃した方もいるはずだ。


デビューアルバムは、PJハーヴェイ、フィオナ・アップル、オルダス・ハーディングの系統に属する女性シンガーらしい、本音を巧妙に隠したアルバムである。リヨンは上記の著名なシンガーと同様、メインストリームではなく、そしてアンダーグラウンドでもない、その中間層の音楽を探求している。

 

正直言えば、少し地味なポピュラーアルバムかもしれないと思った。ただ、どちらかといえば、聴けば聴くほどに、その本質がにじみ出てくる。リヨンは人間的な感覚を渋いポップソングで体現させる。アルバムは、全般的にマイナー調の曲が多く、そのボーカルはほのかなペーソスを感じさせる。そして、時々、ヨーロッパのテイストを漂わせるフォークロックを聞かせてくれるという点では、ラフ・トレードに所属するフランスのシンガー、This Is The Kit(それは時々、実験的な音楽性に近づく場合もある)を思い出す方もいらっしゃるかもしれない。ルース・リヨンはリリックに関して、ストレートな言葉を避け、出来る限り抽象的な言葉を選んでいる。それが言葉に奥行きをもたせることは言うまでもない。

 

アルバムの冒頭曲「Artist」はピアノの演奏で始まり、ソフトな歌声が続いている。ビリー・ジョエルの系譜にある標準的なピアノバラード。曲の背景に薄いビートを反復させ、ドラム、ギターや アコーディオンのような音色を絡めながら、ルース・リヨンの歌声が浮かび上がってくる。しかし、その中には理想的な自己像と対象的に、現実的な自己像の間に揺れ動きながら、その理想的な姿に恋い焦がれるようなアーティストの姿を見いだせる。それらは儚く、切ないような感覚を表現する。ただ意図してそうしているわけではないと思う。二つのボーカルを登場させ、それらの自己のアイデンティティの暗喩的な存在として音楽の中をゆらゆら揺れ動いていく。まるで外的な環境に左右される自己像をバラードソングとして体現させたかのようである。

 

承前という言葉がふさわしく、『Poem& Non Fiction」は前の曲の作風を受け継いだ「Wickerman」が続く。同じようなタイプの曲で籠もった音色を生かしたピアノ、そしてアンサンブルの性質が強いドラムを中心に構成される。しかし、この曲の方がブルージーな味わいを感じさせる。人生の渋みといっては少し語弊があるかもしれない。ところが、この曲全般に漂う、孤独感や疎外感といった感覚は、イギリスの若い人々に共鳴するエモーションがあるのではないかと思う。ルース・リヨンのソングライティングは、まるでモラトリアムのような感覚を持って空間をさまよい、しばらくすると、その長いため息のようなものがいつの間にか消えている。彼女の歌声はブルース風のギターによって、そのムードがよりリアリティ溢れるものになる。そして、この曲でも、メインとコーラスという二つの声が二つの内的な声の反映となっている。

 

 

「Books」は、私は詳しくないが、ケイト・ブッシュの往年の楽曲に近いという評判。シンガーのやるせない思い、そして嫉妬の感情が淡くゆらめく。 ルース・リヨンは、この曲において、日常的な生活を日記のように描き、その中で内側の悶々とした思いを、憂いのあるフォークロックに乗せて歌いあげる。曲の途中に薄くアレンジで導入されるストリングス、それはシンガーの内側に隠された涙、そして、憂いのムードを引き上げるような働きをなす。そして一般的な人々に対するジェラシーのような感覚が自然な形であふれでてくるのである。


一方、続く「Perfect」は、そういった憂いの領域から抜け出し、軽快な心境に至る道筋をつなげる。簡潔な3分のポップソングは、ゆったりとしたアルバムの冒頭の二曲とはきわめて対象的に、シンセポップのような軽快な軽やかさを持ち、聴覚をとらえる。

 

 

 「Perfect」

 

 

 

ルース・リヨンは、バロックポップの曲を書くこともある。「Hill」は、歌詞が秀逸であり、聖なる亡霊が登場する。実際的な現実性を描いたものなのか、それとも、純粋な幻想性を盛り込んだものなのか。この曲は、ベス・ギボンズのソングライティングのように情景的な音楽を孕んでいる。エレクトリック・ピアノも用いて、バロックポップのゆったりとしたリズムを作り出した上で、その構成の中でフォーク・ロックともブルースとも付かないアンニュイなUKポップソングを歌い上げる。古典的なイギリスの詩からの影響は、幻想性と現実性の合間を揺れ動き、文学的な枠組みを作り出す。丘の幽霊というモチーフはまさしく英国文学の重要な主題の一と言えるだろう。

 

ニューヨークの伝説的なミュージシャン、Moondogの系統にある曲もある。20世紀初頭のアウトサイダージャズ、そしてジプシー音楽のようなストリートミュージックの発祥を、現代的なポップソングとして再訪している。「Confetti」は明確なイントロを設け、一度休符を挟んでから曲が始まる。その後、サックスフォンのソロを挟み、リヨンは音程をぼかし、スポークンワードに近い淡々とした歌を歌う。しかし、卒のない感じがスムース・ジャズのような音楽性を作り出し、肩で風を切って歩くようなかっこいい感覚を生み出す。金管楽器のハーモニーがジャズの雰囲気を作り出すという点では、ビッグバンドふうのジャズバラードとして聴くことが出来るはずである。


続く「Caesar」は「Hill」と同じようにバロックポップタイプだが、この曲はよりイエイエに近いボーカルスタイルが選ばれ、どちらかといえばセルジュ・ゲンスブールの往年のソングライティングを彷彿とさせる。

 

このアルバムは、まるで日めくりカレンダーのように、収録曲がある日の出来事の反映となっているような気がする。そして結局、曲を書いたのは、だいぶ後になってからだと思われる。いわば''後日談''のような音楽になっている。 アルバムの冒頭では、やや淡白なソングライティングになってしまっているが、中盤から後半に至ると、音楽的なムードがかなり深い領域に達する。


「November」ではインドのシタール、あるいは、ドイツのZitherのようなフォルテピアノの制作のヒントになったヨーロッパの古典的な音色を活かす。その時、持ち前のマイナー調を中心とする憂いのあるソングライティングが変質し、単なる暗鬱とは異なる硬質な感情性が音楽に転移していく。いわば映画のサントラのムードを持つ雰囲気たっぷりの音楽へと変化するのである。この曲は、他の曲に比べて力強さがあり、本作のハイライトとも呼ぶべきだ。ビートルズの最初期のマイナー調の曲、あるいはフロイドの「Echoes」の楽曲に近づく。

 

現時点のソングライティングの問題は、音楽全体の曲風がステレオタイプに陥る場合があるということである。しかし、それすらも見方を変えれば、現在のアーティストのスペシャリティとも言えるかもしれない。その音楽的な性質の連続は、アシッドハウスのごとき全般的な循環性を生み出す。もちろん、それはEDMではなく、ポピュラーソングとしての話であるが......。


「Cover」は、フィオナ・アップル、ハーヴェイのようなシンガーの音楽性を彷彿とさせ、やはりムーンドッグタイプの金管楽器の室内楽のような趣を持つアレンジメントがリズミカルな効果を及ぼしている。他の曲と同じタイプであるが、アウトロの部分で聞かせるものがあり、瞑想的な感覚に至る。ジョン・レノンのソロアルバムのバラードソングと同じような典型的な終止形を用いて、深い感覚を呼び覚ますのである。

 

アルバムの中で最も悲しく、しかし、最も心を揺さぶられるのが「Weather」である。まるでこの曲は、絶望の淵にいるアーティスト(仮託された他者のことを歌う場合もあるかもしれない)と天候がリンクするように、まるで終わりのない深い霧や靄の中を歩くような茫漠とした感覚が歌われる。


哀感のあるエレクトリック・ピアノの演奏、その悲しみを引き立てるようなストリングス(Violinのレガートを中心にCelloのピチカートも入る)、しかし、そういった悲しみに飲まれまいとするシンガーの歌声が、都会の雑踏で知られざる生活を送るシンガーソングライターの写し身になっている。それがシンガー自身が述べているように、リアリティがあるがゆえ、心を揺さぶるものがある。しかし、その悲しみと涙を飲み干すように、アルバムのクローズでは再び活力を取り直す。「Seasons」ではまたひとつ季節が一巡りし、再びゆっくりと前に進んでいく人間のたくましさが歌われる。

 

 

 

82/100

 

 

「Books」

 

 

  

▪Ruth Lyonのニューアルバム『Poem & Non Fiction』はPink Laneから本日発売。ストリーミングはこちらから。