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ロサンゼルスのオルタナティヴロックバンド、Goonが昨年のフルアルバム『Dream 3』に続いて、ニューシングル「Atrium」を早くもリリースした。

 

本作には、GOONの絶賛された『Dream 3』からB面2曲が収録される。7インチ・ヴァイナルで初リリースとなる。アコースティックギターをメインにしたメロディアスなロックソングだが、ヘヴィーな質感が滲む。そこにはポスト・ハードコア的なニュアンスがわだかまっている。


『アトリウム』という曲は『ドリーム3』のレコーディング中に生まれた。スタジオにクレアと僕だけが残った日のことだった」

 

「録音を始めるまで全くリハーサルはしていなかった。 私が持っていたのは、ロブ・クロウ(Pinbackに在籍)の『ヘヴィ・ベジタブル』や『シングイ』のスタイルに触発された、ドロップDチューニングのメインギターリフだけだった」

 

「歌詞はすぐに浮かび、ほとんど編集されなかった。そこには、恨み、失恋の感情、そして他人を心から愛する前に、まず自分自身に対する確固たる愛が必要だという考えが込められていた」

 

Goonは今後、イギリスのを中心にツアーを開催予定。ブライトン、ノーウィッチ、マンチェスターでのステージをこなす予定だ。




ロサンゼルスを拠点に活動するミュージシャンでビジュアルアーティストのケニー・ベッカーが率いるオルタナティブ・インディー・ロック・ミュージカル・プロジェクト、Goon(グーン)は、フルレングス・リリースに向けてギアをアップするタイミングで、音楽の旅路において素晴らしい一歩を踏み出した。 


現在のラインナップは、Goonの本領を発揮するのに相応しい。 実際、2017年のSXSWで何人かの影響力のある人々の目に留まり、その年の''The FADER Fort''での演奏につながったのは、このラインナップ、太陽の光を浴びたサウンド、そして彼らの遊び心溢れる悪ふざけだった。


しかし、Rolling Stone、Spin、Indie Shuffle、DIY Magからのお墨付きや、NPRの "Artists To Watch "に選ばれたことだけが、彼らにとってやりがいのあることなのではない。 本当に新鮮なのは、彼らの絆がどこかで友情に達していることだ。


「あのとき、私たちは友情の次のレベルに達したんだ」と、ベッカーは認める。 「以前のツアーで、それを感じたときがあった。僕たちはベロツイスターゲームをしていて、かなり長い間、笑いながら、ただ楽しんでいた。 そのドライブ中、いつでも誰かがやめようと決めたかもしれない。 しかし、私たちは皆、純粋にそれに没頭していた。 まるでフレンドシップ2.0のようだった。 彼らはそれを理解しているんだ」


実際、ケニー・ベッカーが周期的に嗅覚と聴覚が鈍くなる病状を改善するために受けた手術の際も、彼のそばにはこのミュージシャンたちと友人たちがついていてくれた。 ベッカーは、そのような症状がない間、自分の人生を最大限に生かす手段として作曲を始めたが、彼はそのプロセスが十分に充実したものであることに気づき、それを世界中の人々が体験しようとしている。


グーンのEP「ハッピー・オーメン」は、2017年秋にリリースされた6曲入りの傑作で、Noisey、Stereogum、BBC Radio 6、さらにはグリズリー・ベアのエド・ドロステからも賞賛を受け、彼はバンドのシングル「She」をSpotifyの2017年のお気に入りプレイリストのトップに置いた。 グーン・ファンに屈託のない日々を信じさせ、人生の平凡さの中でトンネルの先の光を持ち続けさせるのは、この音楽、つまりこの瑞々しく、荒削りで、重層的で、輝くような美しさ。 くすぶるギター、メロディックなフック、打ち込みのリズムが彼らの音楽のコアであり、聴くたびに魅力が増していく。 彼らのサウンドは、苦難と自己発見を通して組み立てられた、最も純粋な形の楽しさがにじみ出ており、人を惹きつけ、時には羨ましくなるような形で現れている。


その後、ベッカーは、さらなるリリースのための十分な素材を準備していた。 そして、さほど驚くべきことではないが、その事実こそ我々全員を誘惑するのだ。グーンのサウンドは本当に変化を経験しており、バンドは、より実験的な音楽を作る一方で、「より翻訳しやすい音楽を作ることに惹かれている」と認めている。 この2つの思考プロセスをうまく使い分けるのは難しいことだが、この印象的な若者たちはそれを見事にやってのけ、完全に魅力的なものにしている。


元々、グーンは2015年にケニー・ベッカーのソロ・プロジェクトとして始まった。 友人の勧めもあって、ベッカーは自身の楽曲のベストをまとめ、2016年のEP『Dusk of Punk』としてリリースした。 彼は大学時代の仲間からバンドメンバーを募り、2枚目のEPをリリースし、同時にバンド初のフルレングスである2019年の『Heaven is Humming』(Partisan Records)に取り組み、その後、パンデミック中期の自宅録音を集めた自主制作盤『Paint By Numbers 1』をリリースした。 


グーンの進化は前作『アワー・オブ・グリーン・イブニング』でひとまず結実した。 今作は、ベッカーの青春時代の夜の郊外の世界を思い起こさせ、コンクリート打ちっぱなしの住宅とカリフォルニアの緑豊かな美しい風景が混在している。 グーンはサウンド・タレント・グループとブッキング契約を結び、バンドは最近、フィリーを拠点とするレコード・レーベル、ボーン・ロサーズと契約し、LAのホライズンスタジオで2025年リリース予定の新作LPの制作に取り掛かった。


リーダーのケニー・ベッカーは、アルバム1枚分の楽曲をスタジオに持ち込んだ。 「このアルバムの制作は興奮して始めた。 曲作りは、決められた台本がなくて、手綱を緩め、一番面白そうなアイデアに従った。 最初は本当に楽しいレコーディングだった。 その後、人生で最も打ちのめされた時期がやってきた」 その後、彼の結婚生活はあっけなく終了したというが、その失意をクリエイティヴに生かして、パワフルなインディーロックアルバム『Dream 3』が誕生した。こうした複雑な背景から生み出された本作はオルタナティヴの本質を随所に持ち合わせている。



Goon 『Dream 3』-  Bone Losers


 

 

USオルタナティヴロックの魅力がどこにあるのかと言えば、それは文化的な背景の混淆性や雑多性にある。単一民族国家の人間から見ると、よりその魅力が鮮明に浮かび上がる。様々な地域の移民がもたらした音楽の雑多性が、他の地域のどのグループにも属さない独自性を発生させる。それはときには、西海岸らしい用語で言えば、サイケデリックーー混沌性ーーをもたらす。

 

Goonは、2015年から活動を継続し、2017年頃からまとまった作品を発表してきた。当初は、大学の友人を中心に結成され、バンド募集という一般的な形でラインナップが整ったという話もある。以前はサイケポップとも称されることもあったGoonの混沌性は、本日発売された『Dream 3』において、シューゲイズ、デスメタル、アメリカーナ/メキシカーナ、グランジ、ゴシック/ニューロマンティックの系譜にあるドリーム・ポップというように、あらゆる可能性を探り、多彩な形を通じて万華鏡のような色彩的で奥行きのある不可思議な世界を構築していく。

 

「1-Being Here」はイントロでアナログ風の逆再生を用い、ビートルズのバロックポップの手法を踏襲している。その後に続くのは、Cocteau Twins、80年代のMy Bloody Valentineのゴシック/ニューロマンティック/ネオ・アコースティックの中間に属する80年代のポップミュージックである。それらが浮遊感のあるアブストラクトなボーカル、そして、サイケデリックな雰囲気を持つ雑多な音楽性が重層的なタペストリーを作り、Goonのサウンドは、夏の入道雲が舞い上がるかのように幻想的な音楽を構築していく。「Being Here」のイントロで作り上げられた逆再生の手法は、不思議なことに、90年代のダンスミュージックのようなグルーヴを生み出す。曲の後半では、強い逆再生をかけたり、ボーカルの輪唱形式で用いられるシンセの旋律が幻想的である。サイケなテイストなのだが、曲全体の構成は理路整然としており、ボーカルは瞑想的である。

 

MBVのサウンドは、UKハードロックの構造から解釈した「トーンクラスター」の手法が用いられ、それらがアナログのリバーブ/ディレイ等で生成されるエフェクト、アンプリフターからの強烈なフィードバックノイズを活用し、音程にフェイザーのようなゆらぎをもたらすという点がきわめて革新的だった。これらはハウス・ミュージックとハードロックの融合を意味していた。また、ギターをシンセサイザーの音響構造に見立て、エフェクトの回路でアナログシンセのような電気信号を発生させたのだった。また、それらのフィードバックノイズが永遠と続き、減退をしない''ドローンの手法''は、Mogwaiのような音響系のバンドに受け継がれていった。

 

「2-Closer to」では、これらの音響的なサウンドを踏まえ、Yo La Tengoが最初期にやっていたローファイのロックの手法を用い、サイケデリックの混沌の渦を作り出す。ボーカルは背景のギターサウンドとユニゾンを描き、人力によってフェイザーの効果を得ている。こういったサウンドを聞くかぎり、何でも工夫次第なのだなあ、と実感する。そして、Hotline TNTのようなグランジ風のディストーション/ファズが背景で暴れまわり、巨人的な音像を構築していくのである。

 

ただ、このアルバムがシューゲイズの復刻であると見るのは早計だ。特に、従来にはなかったグランジやストーナーロックの要素が強まり、アルバムの冒頭のドリームポップやシューゲイズの甘いテイストを持つボーカルと強烈なコントラストを描く。

 

「Patsy's Twin」では、Mevinsの最初期のストーナーのヘヴィロックの手法を用い、アクの強いサウンドを得ている。しかも、ケニー・ベッカーのボーカルはデスメタルに変わることもある。そして現代の女性ボーカルの中では随一のデスヴォイスで、アーチ・エネミーに匹敵する。ブラックメタルに傾倒したかのようなサウンドは奇妙なほど圧倒的である。後半ではラウド性は控えめになり、グランジとドリームポップの中間にあるサウンドが心地よく鳴りわたる。


 


ロサンゼルスのアートロック・バンド”Goon”は、本日、ニューアルバム「Hour of Green Evening」をリリースします。


バンドは、前作「Angelnumber 1210」、「Ochre」に続く先行シングル「Emily Says」を今週半ばに発表しています。是非、以下、試聴してみてください。



 

フロントマンのケニー・ベッカーは、エンジェル・オルセンのライブバンドでチェロを担当し、オリビア・ロドリゴ、ホルシー、トロイ・シヴァンらと共演している妻エミリー・エルキンについて新曲を書き下ろしました。

 

「この曲は、彼女と私が出会ったことが、私たち二人にとって最も喜ばしいことであったと同時に、私たちの不安や鬱がどちらにも癒されなかったことを歌っています」と、ベッカーはプレスリリースを通じて語っている。「その2つのことの間にある、心を揺さぶるような葛藤に焦点を当てたかったんだ」

 

 

 

©︎Titouan Massé

 

イギリスのポストパンクバンド、OSEESは、In the Redから8月18日にリリースされる予定の新作『Intercepted Message』を発表しました。バンドの『Live At Levitation』(2012年)のリリースに合わせた本日の発表には、アルバムのタイトル・トラックが収録されています。以下、そのビデオをチェックしてみてください。


John Dwyerはニューアルバムについてウィリアム・バロウズ風の声明を発表している。



疲れた時代のためのポップ・レコード……

君のストラップにもっとヒビを入れんがため、飛散防止ガラスの欠片で砂糖漬けにしてある。ついに、ヴァース/コーラス……

風化したシソーラスの数々……

これはOseesのブックエンド・サウンド……

初期グレードのガレージ・ポップとプロト・シンセ・パンクの自殺を防ぐような出会い……

 


芝生を叩くか?  それとも尻餅をつきながら聴くか?

安物のブロードバンドをガムシャラにする、電子的な渦巻き状の加速剤の数々……

ソーシャル・メディアの便所掃除をする人たちよ、団結しよう……

この笑顔の屠殺場のドアマンを見、24時間のニュースサイクルの目を細めることを許可しよう……

ついに自分の居場所を見つけることができるはずさ…… 



すべての人を歓迎しよう……

冒頭からフィナーレにいたるまで......

 80年代シンセサイザーのラストダンスが君の失われた恋のため、遠くでパチパチと音を立てて伝わるだろう……

政治的な記憶喪失に苦しんでいるって? AIが生成したポップな曲には飽きたって?

なら、この曲はあなたのためにある、我々の友人たち……



不毛地帯の放浪者、ここにいてくれ……

愛している……

帝王学的シンセパンクとThee Oh Sees(彼らは誰だ?)



「Intercepted Message」





Osses 『Intercepted Message』


Label: In The Red
Release: 2023/8/18


Tracklist:

1. Stunner
2. Blank Chems
3. Intercepted Message
4. Die Laughing
5. Unusual & Cruel
6. The Fish Needs a Bike
7. Goon
8. Chaos Heart
9. Submerged Building
10. Sleazoid Psycho
11. Always at Night
12. Ladwp Hold

PHOTO: SAVANNAH HUGHES


アトランタのベッドルームポップ・デュオ、Lowertown(Olivia OsbyとAvsha Weinberg)は、The 1975、Rina Sawayama、beabadoobeeを輩出したイギリスのインディペンデントレーベルDirty Hitと契約を締結した。

 

今年10月、Lowertownはデビューアルバム「I Love To Lie」をリリースする。このアルバムには、本日のニューシングル "Bucktooth "が収録されている。

 

この曲は、OsbyとWeinbergの荒っぽいギターコードと熱烈なツイーボーカルを中心に構成されており、深刻なことを打ち明けながら反復的なサウンドを響かせています。


先行シングル「Bucktooth」の発表に際して、Olivia Osbyは次のように語っています。「ロンドンでレコーディングしていたとき、私はアメリカにホームシックになっていたから、古いカントリーミュージック、フォークミュージックを数多く聴いていた。ジョニー・キャッシュのアルバム『At Folsom Prison』に夢中で、『Cocaine Blues』のような生意気で物語性のある曲を書きたかった。

 

何故か、出っ歯のカウボーイとトラブルメーカーの盗賊団の一味がずっと頭の中に浮かんでいた。この曲はくだらない話として始まったが、結局、アヴシャと私がこのプロジェクトをレコーディングしていた時期にアメリカで起こっていた、極右過激派とテーマ的に結びつけるものとなった。

 

 

 

 Lowertown 『I Love To Lie』


 Tracklist:

 

1.My Friends
2.Antibiotics
3.Bucktooth
4.I’m Not
5.It’s It’s It’s
6.No Way
7.Scum
8.At the End
9.Goon
10.Waltz in Ab Minor
11.It’s Easy for Me

 【Album Of The Year 2025】  Best Album 50   2025年のベストアルバムセレクション   Vol.3 


 

 

21.Richard Dawson 『End of the Middle』- Domino 



 

Richard Dawson(リチャード・ドーソン)はニューカッスルのミュージシャンで、まさしくいぶし銀とも言えるミュージシャン。アヴァンギャルドなフォーク・ミュージックを制作しつつも、決して難解な音楽ではなく、どことなく親しみやすさがある。

 

リチャード・ドーソンのアコースティックギターは、ジム・オルークや彼のプロジェクトの出発であるGastr Del Solに近い。しかし、単なるアヴァンフォークなのかといえばそうとも言いがたい。彼の音楽にはセリエリズムは登場せず、明確な構成と和音の進行をもとに作られる。しかし、彼の演奏に前衛的な響きを感じる。ドーソンの音楽はカウンターに属し、ニューヨークパンクの源流に近く、The Fugsのようなアート志向のフォーク音楽の原点に近い。それは、以降のパティ・スミスのような詩的な感覚と現実感に満ちている。 彼の作品にひとたび触れれば、音楽という媒体が単なる絵空事とは言えないことが何となく理解してもらえるでしょう。

 

リチャード・ドーソンのフォークミュージックは、フランク・ザッパ、キャプテン・ビーフハート/マジックバンドに象徴される''鬼才''ともいうべき特性によってつむがれ、ちょっと近寄りがたい印象もある。それは聞き手側がアーティストの個性的な雰囲気に物怖じしたり、たじろいだり、腰が引けるからです。でももし、純粋な感覚があれば、心に響く何かがあるはずです。賛美歌、ビートルズの『ラバーソウル』以降のアートロックの要素、パブロックのような渋さ、リバプール発祥のマージービート、それから60年代のフォークミュージック、そして、おそらくニューキャッスルの街角で聞かれるであろうストリートの演奏が混在し、ワイアードな形態が構築される。アルバムには、ほとんどエレクトリックの要素は稀にしか登場せず、音楽自体はアコースティックの素朴な印象に縁取られている。それにもかかわらず電撃的。


 「Gondola」

 

 

22.GoGo Penguin 『Necessary Fictions』 XXIM Records/ Sony Music



 

現在のマンチェスターの音楽シーンを見ると、ジャズ/エレクトロニックというのがキーポイントとなりそう。Gondowanaのオーナーであるマシュー・ハルソールを始め、秀逸なジャズミュージシャンが多数活動しています。

 

これは少しマニアックですが、Jazztoronicaという呼び方もあったほどで、かつては、ノルウェーなどのジャズの名産地で盛んな音楽でした。今年、初登場となったゴーゴー・ペンギンは、ロンドンやヨーロッパのジャズやエレクトロニック、ネオソウルに触発されつつも、次世代の音楽に取り組んでいます。このアルバムを聴いていると、近未来的ななにかを感じました。

 

 トリオの演奏力はきわめて高く、どのような音楽を演奏で実現するのか明確に見定め、各々が他者の意図を見事に汲み取り、上記のポリフォニックな音の構成により、イマジネーション豊かな音楽が構築される。鍵盤奏者、ウッドベース(コントラバス)、ドラムという必要最低限のアンサンブルであるが、室内楽アンサンブルのような洗練された質の高い演奏力を誇る。しかも、クリス、ロブ、ニックの三者の演奏者は、器楽的な特性を十分に把握した上で、それぞれの個性的な音を強調させたり、それとは対象的に弱めたりしながら、聞き応えのあるアンサンブルを構築していく。



『Necessary Fictions』は、彼らのライブレコーディングを垣間見るかのようにリアルに聞こえ、そして、現代的なレコーディングの主流であるツギハギだらけのパッチワーク作品とは異なる。録音のシークエンスは断続的で、48分という分厚い構成であるが、一気呵成に聞かせてくれる。このアルバムは、テクノ、ジャズ、ロック、どのようなジャンルのファンですら唸らせるものがある。そして、シンセ(ピアノ)、ベース、ドラムが全編で心地良い響きをもたらしている。ゴーゴー・ペンギンは、客観的あるいは批評的な視点を持っていて、それが余計な音を徹底的に削ぎ落とすというミニマリズムの本質へと繋がっている。ミニマリズムの本質とは、音の飽和にあるのではなく、音の簡素化や省略化にもとめられるというワケなのだ。



このアルバムのもう一つのトレードマークになっているのが、マンチェスターの実在の構造物をあしらったアートワークである。無機質であるが、機能的、デザインとしてもきわめて洗練されたアルバムジャケットは、ゴーゴー・ペンギンのジャズ、あるいは、テクノのイディオムと共鳴するような働きをなしている。また、そこにはドイツ/ドゥッセルドルフのような電子音楽の重要拠点と同じように、工業都市であるマンチェスターの現在と未来を暗示している。

 

  

「 Forgive The Damages(Feat. Daudi Matsiko)」

 

 

23, Frankie Cosmos 『Different Talking』 - SUB POP

 

 

NYのインディーロックバンド、フランキー・コスモスの現在のメンバーは、グレタ・クライン、アレックス・ベイリー、ケイティ・ヴォン・シュライヒャー、ヒューゴ・スタンレー。

 

クラインは唯一不変の存在で、スタンリー、ベイリー、フォン・シュライヒャーは重要なコラボレーターである。「グレタ・クライン」と「フランキー・コスモス」という名前を使い分けるのは正しくないだろう。クラインが主要なソングライターであることに変わりはなく、『Different Talking』の楽曲はバンド全体がアレンジしているが、このアルバムは外部のスタジオ・プロデューサーを起用せず、ユニットがセルフ・トラッキングした初のアルバムである。

 

このアルバムがロックなのか、それともポップなのかというのは意見が分かれそうだ。というのも、ギターやドラムの演奏は念入りに行われているが、音量的には最低限であり、グレタ・グラインのボーカルや音楽的な着想や構想を引き立てるような働きをなしている。これはフロントパーソンの音楽的な感性が確立されていて、それにある程度の自負がないと、周りを惹きつけたり先導することが非常に難しくなる。フロントシンガーとしては、エポックメイキングな効果や壮大な印象を与えることは少ないけれど、その音楽的な感性の強度はパティ・スミス、トム・ヴァーレインといったNYの象徴的な詩人に引けを取らない。加えて、2010年代から培われてきた多作な音楽家の性質が本作に強固なアクセントを与えている。

 
一貫して博愛主義や平和主義が貫かれるフランキー・コスモスの音楽的な精神は、このアルバムを本質を理解する上で重要になってくるかもしれない。そして、闘争、栄誉、利己主義、そういったものが蔓延する現代社会に対するシニカルな提言とも言える。それはまた表向きには出てこないし、明瞭には見えもしない。いわば音楽の背後にある本質や行間(サブテクスト)を捉えられるかが重要となってくる。音楽的にはその限りではないものの、マーリーやレノン、もしくは最初期のニューヨークの詩人たちのような理想主義に接近している。これらは全般的に、フランキー・コスモスの音楽性を、ビートルズの全盛期の印象に近づける場合がある。 

 

 

「Bitch Heart」 

 

 

 

24.Mamalarkey 『Hex Key』  - Epitaph



 
ロサンゼルスのMamalarkyは米国のパンクの名門レーベル、Epitaphと契約を結んで『Hex Key』を発表した。カルテットはおよそ8年間、LA、オースティン、アトランタに散らばって活動してきた。いつも一緒にいるわけではないということ、それこそがママラーキーのプロジェクトを特別なものにしたのか。ママラーキーのドラマーを務めるディラン・ヒルは次のように述べています。「私達は互いに大きな信頼を持っている。しかし、プロフェッショナルな空気感はありません。文字通り、四人の友人がブラブラして、なにかの底にたどり着くという感じです」

 

結局、ママラーキーの音楽の魅力は、雑多性、氾濫性、そして、クロスオーバーにあると言えるでしょう。ネオソウル/フィーチャーソウル、そしてパンクのエッセンスを込めたインディーロック、サイケ、ローファイ、チルウェイブなどなど、ベイエリアらしい空気感に縁取られている。


かしこまりすぎず、開けたような感覚、それがMamalarkyの一番の魅力である。これは、1960~70年代のヒッピームーブメントやフラワームーブメントのリバイバルのようでもある。ロックソングとしては抽象的。ソウルとしては軽やか。そして、チェルウェイブやローファイとしては本格的だ……。ある意味では、ママラーキーは、これまでにありそうでなかった音楽に、アルバム全体を介して挑戦している。新しいカルチャーを生み出そうという、ママラーキーの独自の精神を読み取ることが出来る。これらは、異なる地域から集まった秀逸なミュージシャンたちのインスタントな音楽の結晶とも言える。バンドサウンドと合わせて、ソロシンガーとしての個性を押し出したネオソウルのバラードソング「Nothing Last Forever」もある。



 「#1 Best of All The Time」 

 

 

25. Billy Nomates 『Metal Horse』- Invada



ビリー・ノメイツ(Billy Nomates)はイギリス/レスター出身のシンガーソングライター。元はバンドで活動していたが、なかなか芽が出なかった。しかし、スリーフォード・モッズのライブギグを見た後、ボーンマスに転居し、再びシンガーソングライターとしての道を歩むようになった。そして再起までの数年間が彼女の音楽に不屈の精神をもたらすことになった。2023年には『CACTI』をリリースし、話題を呼んだ。

 

『MetalHorse』はビリー・ノメイツの代表的なカタログが登場したと言って良いかもしれない。『CACTI』よりも遥かにパワフルで、そしてセンチメンタルなアルバム。ソロアルバムとしては初めてフル・バンドでスタジオ制作された。ベース奏者のマンディ・クラーク(KTタンストール、ザ・ゴー!チーム)とドラマーのリアム・チャップマン(ロジ・プレイン、BMXバンディッツ)が参加、さらにストラングラーズのフロントマン、ヒュー・コーンウェルが「Dark Horse Friend」で特別参加している。共同制作者も豪華なメンバーで占められている。

 

ビリー・ノメイツのサウンドはニューウェイブとポストパンク、そして全般的なポピュラーの中間に位置付けられる。そして、力強い華やかな歌声を前作アルバムでは聴くことが出来た。もちろん、シンガーとしての従来から培われた性質は維持した上で、『Metal Horse』では、彼女の良質なメロディーメイカーとしての才覚が遺憾なく発揮されている。前作『CACTI』では、商業的な音楽が中心だったが、今作はビリー・ノメイツが本当に好きな音楽を追求したという気がする。それがゆえ、なにかしら心を揺さぶられるものがある。本作は、ポーティスヘッドのジェフ・バーロウが手掛けるインディペンデントレーベル、Invadaからのリリースとなる。

 

「Dark Horse Friend」 

 

 

26.Kae Tempest 『Self Titled』 - Island


 

ロンドンのヒップホップ・ミュージシャン、ケイ・テンペストによる5thアルバム『Self Titled』は象徴的なカタログとなりえる。テンペストは、これまでアート志向のヒップホップミュージックを追求してきたが、前作よりもはるかに洗練された作品を提示している。すでにブリット、マーキュリー賞にノミネート済みのシンガーは、この作品で双方の賞を完全にターゲットに入れている。このアルバムは、UKドリルを中心とするグリッチを用いたサウンドで、その中には、ディープハウス、テクノ、ユーロビートのEDMのリズムも織り交ぜられている。近年では、ヒップホップのクロスオーバー化に拍車がかかっているが、それを象徴付けるアルバムだ。

 

また、ドリルの音楽に加えて、シネマティックなSEの効果が追加され、それらが持ち前の巧みなスポークンワードと融合している。ミュージシャンとしての覚悟を示唆したような「I Stand In The Line」は強烈な印象を放つ。ジェンダーのテーマを織り交ぜながら強固な自己意識をもとにしたリリックをテンペストは同じように強烈に繰り出す。テンペストのラップは、アルバムの冒頭を聞くと分かる通り、余興やお遊びではない。自己の存在と周りの世界との激しい軋轢を歌う。

 

この曲では、ハリウッドのアクション映画等で用いられるSEの効果がダイナミックなパーカッションのような働きをなす。シネマティックでハードボイルドなイメージを持つヒップホップという側面では、ケンドリック・ラマーの『GNX』と地続きにあるようなサウンドと言えるかもしれない。ドリルの系譜にある「Statue In The Square」でも同じような作風が維持され、エレクトリック・ピアノでリズムを縁取り、独特な緊張感を持つサウンドを構築する。同じようにテンペストの繰り出すスポークンワードもそれに呼応するかのような緊迫感を持つニュアンスを持つ。追記としては、未来を感じさせるヒップホップが収録されており、現在の他のアーティストとは一線を画している。このあたりは、やはりロンドンのハイセンスな音楽性といえるだろう。

 

「Breath」

 

 

 

27.Wet Leg  『Moisturizer』- Domino 



ワイト島のリアン・ティースデールとヘスター・チェンバーズが結成したウェット・レッグのは、この数年、大型のフェスを始めとするライブツアーを行う中、エリス・デュラン、ヘンリー・ホームズ、ジョシュア・モバラギの五人編成にバンドに成長した。


デビューアルバム『Wet Leg』では、ライトな風味を持つポスト・パンク、そしてシンガロングを誘発する独特なコーラスを特徴とし、世界的に人気を博してきた。その音楽性の最たる特徴は、パーティロックのような外向きのエナジー、そして内向きのエナジーを持つエモーションの混在にある。痛撃なデビューアルバム『Wet Leg』は、その唯一無二の個性が多くのリスナーを魅了し、また、ウェット・レッグをヘッドライナー級のアクトとして成長させた要因ともなった。デビュー当時は、ギターを抱えてパフォーマンスをするのが一般的であったが、最近ではリアン・ティースデールはフロントパーソンとしてボーカルに集中するようになった。

 
2作目『Moisturizer』にはデビューアルバムの頃の内省的な音楽性の面影は薄れている。むしろそれとは対極に位置するヘヴィネスを強調したオープニングナンバー「CPR」は、そのシンボルでもあろう。オーバードライブをかけたベースやシンプルなビートを刻むドラムから繰り出されるポスト・グランジのサウンドからアンニュイなボーカルが、スポークンワードのように続き、サビでは、フランツ・フェルディナンド風のダンスロックやガレージロックの簡素で荒削りなギターリフが折り重なり、パンチの効いたサビへと移行していく。スペーシーなシンセ、そして、ポスト・パンク風のヴォーカルとフレーズ、そのすべてがライブで観衆を踊らせるために生み出された''新時代を象徴付けるパンクアンセム''である。その一方、二曲目では大衆的なロックのテクニックを巧みに身につけ、アコースティックギターからストロークス風のミニマルなロックソングへと変遷していく。上記二曲はライブシーンで映えるタイプの曲だろう。

 

もう少しだけ、ニューウェイブに傾倒したロックになるかと思ったけれど、意外とそうでもなかった。いずれにせよ、今年の象徴的なロックアルバムであることは確かだ。アンセム曲 「Catch These Fists」の他にも、「Mangetout」、「Pokemon」など隠れた良曲が収録されている。

 

 

「Catch These Fists」

 

 

28.Indigo De Souza 『Precipice』 - Loma Vista



インディゴ・デ・スーザは、本来オルタナティヴロックやギターロックを中心とするソングライティングが主たる特徴であるが、今回はかなりポップソングにシフトチェンジし、音楽性の転換を図っている。もっとも、旧来からフィニアスの音楽番組の音楽を担当したり、Yves Tumorのプロデュースやコラボレーションも手掛けてきたことからも分かる通り、ジャンルレスのアーティストでもある。ミュージシャンは、ハリケーンの被害により自宅が大きな被害を受けた。

 

今回の大胆な音楽性の転換は、アーティストの評価を大きく左右する可能性もあるかもしれない。フィニアスへの楽曲提供を見ても分かる通り、この人は元来ヒットソングを書く才能に恵まれている。絵画的な印象は相変わらずである。アートワークのドクロ。それらは、ある種のトラウマ的な感覚から出発しているが、このアルバムではそれらが変容しつつある。印象主義だが、錯綜とした印象を持つニューサイケともいうべき派手なアートワークの印象。これまでとは対象的にポリネシア的な明るさ。それから海のような爽快なテーマが見え隠れする。これはポリネシア的なイメージに縁取られたミレーの「落ち穂拾い」のモチーフの継承でもあろうか。



音楽的にも、それらのトロピカルなイメージ、海と太陽、そして、Human League、a-haの系譜にあるテクノ・ポップ/エレクトロ・ポップが組み合わされ、最終的にはバイラルヒットを見込んだポップソングと結びつく。アンセミックなフレーズを唄うことを恐れず、これ以上、ニッチなアーティストとしてとどまることを忌避するかのようだ。さらに、このアルバムの原動力となったのは、内側から沸き立つ怒りの感情であった。それらはいくつかのハイライト曲の歌詞でも暗示されている。しかし、怒りを建設的なパワーに変換させ、世界への批評的な精神にシフトチェンジしている。このアルバムには、悲しみや怒りを通り越した本当の”強さ”が存在する。


 

「Dinner」

 

 

 

29.Goon  『Dream 3』- Bone Losers



USオルタナティヴロックの魅力がどこにあるのかと言えば、それは文化的な背景の混淆性や雑多性にある。音楽の雑多性が、他の地域のどのグループにも属さない独自性を発生させる。それはときには、西海岸らしい用語で言えば、サイケデリックーー混沌性ーーをもたらす。

 

Goonは、2015年から活動を継続し、2017年頃からまとまった作品を発表してきた。当初は、大学の友人を中心に結成され、バンド募集という一般的な形でラインナップが整ったという話もある。以前はサイケポップとも称されることもあったGoonの混沌性は、本日発売された『Dream 3』において、シューゲイズ、デスメタル、アメリカーナ/ケイジャン、グランジ、ゴシック/ニューロマンティックの系譜にあるドリーム・ポップというように、あらゆる可能性を探り、多彩な形を通じて万華鏡のような色彩的で奥行きのある不可思議な世界を構築していく。


グーンの進化は前作『Hour of Green Evening』でひとまず結実した。 今作は、ベッカーの青春時代の夜の郊外の世界を思い起こさせ、コンクリート打ちっぱなしの住宅とカリフォルニアの緑豊かな美しい風景が混在している。グーンはサウンド・タレント・グループとブッキング契約を結び、バンドは最近、フィリーを拠点とするレコード・レーベル、ボーン・ロサーズと契約し、LAのホライズンスタジオで2025年リリース予定の新作アルバムの制作に取り掛かった。


リーダーのケニー・ベッカーは、アルバム1枚分の楽曲をスタジオに持ち込んだ。「このアルバムの制作は興奮して始めた。曲作りは、決められた台本がなくて、手綱を緩め、一番面白そうなアイデアに従った。 最初は本当に楽しいレコーディングだった。 その後、人生で最も打ちのめされた時期がやってきた」 その後、彼の結婚生活はあっけなく終了したというが、その失意をクリエイティヴに生かして、パワフルなインディーロックアルバム『Dream 3』が誕生した。こうした複雑な背景から生み出された本作はオルタナティヴの本質を随所に持ち合わせている。

 

 

「Pasty's Twin」

  

 

 

30.Tommy Wa 『Somewhere Only We Go』 EP  - Dirty Hit (Album of The Year 2025)


トミー・ワーはアフリカの負の部分に脚光を当てようというのではない。アフリカの原初的な魅力、今なお続く他の土地から見えない魅力を自然味に溢れた歌声で伝えるためにやってきた。Tommy WÁの素晴らしい歌声は、オーティス・レディング、サム・クック、ジェイムス・ブラウンのような偉大なソウルシンガーのように、音楽の本当の凄さを伝えるにとどまらず、それ以上の啓示的なメッセージを伝えようとしている。高度に経済化された先進国、そして、頂点に近づこうとする無数の国家の人々が散逸した原初的なスピリットと美しさを持ち合わせている。 

 

Tommy WÁの人生観は、様々な価値観が錯綜する現代社会とは対象的に、シンプルに人の生き様に焦点が当てられている。個人が成長し、友人や家族を作り、そして、老いて死んでいく。そして、それらを本質的に縁取るものは一体なんなのだろう。この本質的な事実から目を背けさせるため、あまりに多くの物事が実相を曇らせている。そして、もちろん、自己という観点からしばし離れてみて、トミーが言うように、大きな家族という視点から物事を見れば、その実相はもっとよくはっきりと見えてくるかもしれない。家族という考えを持てば、戦争はおろか侵略など起きようはずもない。なぜなら、それらはすべて同じ源から発生しているからである。


このミニアルバムは、音楽的な天才性に恵まれた詩人がガーナから登場したことを印象づける。「God Loves When You're Dancing」は、大きな地球的な視点から人間社会を見つめている。どのような階級の人も喜ばしく踊ることこそ、大いなる存在が望むことだろう。それはもちろん、どのような小さな存在も軽視されるべきではなく、すべての存在が平らなのである。そのことを象徴するかのように、圧巻のエンディングを成している。音楽的には、ボブ・ディラン、トム・ウェイツ、ジプシー・キングスの作風を想起させ、ミュージカルのように楽しく動きのある音楽に支えられている。ボーカルは全体的に淡々としているが、愛に包まれている。すごく好きな曲だ。もちろん、彼の音楽が時代を超えた普遍性を持つことは言うまでもない。こういった素晴らしいシンガーソングライターが発掘されたことに大きな感動を覚えた。

 

 「God Loves When You're Dancing」 

 

 ・Vol.4に続く 

Osees  『Intercepted Message』

 

 

 

Label: In The Red Recording

Release: 2023/8/18


Review


ジャケットを見れば、人好きのしない音楽であることは一目瞭然だ。面白いと思うのは、イギリスからは、こういった突然変異体が登場するケースが稀にあること。現実に対するシュールな視点を交えたロック、もっと言えば、ポスト・パンクの原義である皮肉な視点を交えたサウンドがOseesの志すところなのではないか。最先端を行くのか、時代から背を向けているのか、それすら定かではないが、それはサンフランシスコのThe Residentsのようでもあり、またオハイオのDEVOのようでもある。前作『A Foul Form」ではノイズにまみれたパンクサウンドを提示し、一部の愛好家から称賛を受けた。一部というのが重要であり、決して万人受けを狙ったサウンドではない。


 

それは続く『Intercepted Message』でも同様で、やはりどこからどう見ても人好きのする音楽性ではない。しかし、このサウンドにある種の信頼感や安心感すら感じてしまうのは、なぜだろう。それは、ある見方をすれば、現実のシリアスすぎる一面にOSSESは風穴を開けてくれるのだ。一貫した現実主義者であることは、徹底した理想主義であるのと同じくらいにきわめて重要なことだが、少なくとも、一方のどちら側に傾きすぎても破綻を来す。そこで、Oseesのように、現実主義と非現実主義のバランスを取ることは非常に大切なことでもある。

 

実際のサウンドはどうか。前作はノイズとパンクを融合させたシュールなサウンドに挑んだが、今作では音楽性を変更し、BraniacのようなSFとパンクの融合に挑戦している。 そしてそこにブライトンのKEGのようなユニーク性を交えたという点では、イングリッシュ・ジョークが少なからず含まれている。


ただ、これらの反商業主義的な音楽は、ロンドンというより、かつてのサンフランシスコのサイケデリックバンドや、 The Residentsのようなあほらしさがある。アホらしさというのは語弊があるかもしれないが、少なくとも現実に真っ向から挑んだら、ひとたまりもない。時に愚かである(愚かなふりをする)ことは、現実と折り合いをつけるために必要でもある。もし、シリアスな世の中を生きていく上で、愚かさという側面をなくせば、どこかで破綻をきたす。そういった考え方をすると、全く上を目指さず、下も目指さず、ましてや、どこも目指すことがなく、一般的な価値観とは全く別次元の考えを示してくれているのが、Oseesの素晴らしさなのだろう。


  

Oseesがスチーム・パンクから何かしらのヒントを得てたとしても驚きはない。1970年代のニューウェイブのパンクバンドはX Ray Specsを筆頭に、カートゥーン・パンクだとか、スチーム・パンクといったサブカルチャーの側面に脚光を当てていたのだったが、Oseesのサウンドも同様ではないか。それは、例えば、ニューヨークのNo WaveやProto Punkを形成するコアなパンクサウンドと密接に結びついている。それでも、例えば、D.N.Aほどにはアヴァンギャルドではないだろう。どちらかというなら、聴きやすさのあるチープなシンセ・パンク・サウンドが最新作の核心を形成している。

 

個々のトラックについて言及するのは控えたい。#2「Black Chems」では、SF風の世界観を構築し、ユニークなニューウェイブ・サウンドに昇華している。アルバムのタイトル曲「Intercepted Massage」では、DEVOをよりサイケにし、カオスにしたようなナンセンスなパンク・サウンドが轟き渡る。センスの悪さという面では、メーターが振り切れている。ところが、これらのサウンドの中には奇妙な共感を誘う場合がある。本作の音のチープな側面には、良い悪いという音楽の二元論という、狭小な思考を開放させる力を持っているのは自明だろう。


 

ただし、ノイズという観点から見ると、Talking Headsを参考にした#4「Die Laughing」において、センス抜群のノイズ/ニューウェイブサウンドを確立させている。そこにブラントンのKEGのようなポスト・サウンドが掛け合わされると来たら、このバンドを応援せずにはいられなくなる。電波系を軽々と飛び越えて、宇宙と直接交信するかのようなワイアードなサウンドに魅了されるニッチな音楽ファンは、きっと私やあなただけではない(はずだ)。

 

他にも、反商業主義的なポスト・パンクの快楽の真骨頂は、「The Fish Needs a Bike」にも見られ、ここではダンサンブルなコーラスを通じてカオティックな展開力を見せる。The Piratesのようなパブ・ロックに比する渋さ、そして、実際のパブでの馬鹿騒ぎを余さずロックサウンドの中に織り交ぜて、フットボール・チームのアンセムのような一体感を部分的に生み出している。


 

終盤になると、サイコビリー/ロカビリーの影響を交えた#7「Goon」でヤワなリスナーをノックアウトさせる。#10「Sleazoid Psycho」では、80年代のLAのパンクバンドのようにロカビリーを下地にした大胆不敵なポスト・パンク・サウンドを確立している。本作の冷笑的で皮肉に満ちた音楽性は、一見、チープに聴こえるかもしれないが、実際はそうとばかりも言い難い。ポストパンク・サウンドとして見ると、手強い曲がいくつか収録されている。しかし、先にも述べた通り、アルバム全編に漂うキワモノ感を楽しむためのもので、万人に勧められる作品ではあるまい。とすれば、この作品に対して愉楽を覚えることは選ばれし者だけに許された特権でもある。



48/100