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ーー実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するイベントシリーズ『MODE』 


東京恵比寿リキッドルームにて『MODE AT LIQUIDROOM』を9月21日に開催ーー




イギリス・ロンドンを拠点とする音楽レーベル兼イベントプロダクションの「33-33」と、日本を拠点に実験的なアートや音楽プロジェクトを展開するキュレトリアル・コレクティブ「BLISS」が手掛ける実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するイベントシリーズ『MODE』が2024年9月21日に、本年開業30周年を迎える東京・恵比寿のライブハウスLIQUIDROOM(リキッドルーム)にて『MODE AT LIQUIDROOM』を開催します。


プログラムには、大阪を拠点とする音楽家・YPYこと日野浩志郎を中心とした5人編成のリズムアンサンブル、goatが出演します。goatは楽器の音階を極力無視し、発音時に生じるノイズやミュート音から楽曲を制作します。


昨年、結成10周年を迎え、ヨーロッパ各国のフェスティバル、リスナーからも強い支持を得ているほか、2021年にはスイスのコンテンポラリーダンサー・振付師のCindy Van Ackerによる作品「Without References」への楽曲提供なども行い、国外でも幅広く活動しています。

 

本年2024年には、オランダのデン・ハーグにて開催されたRewire 2024や、フランスのナントで開催されたFestival Variationsに出演し、ドゥームメタル/ドローン・バンドのSUN O)))との共演も話題となりました。

 

さらに、初来日公演となるイギリス・グラスゴー出身のトリオStill House Plantsも本プログラムに出演します。Still House Plantsはボーカル、ギター、ドラムのシンプルな編成からなるバンドです。


ロックバンドと評されることも少なくない彼らですが、サンプリング、スロウコア、R&Bといった様々な音楽的要素を作品に取り入れ、実験的かつオリジナルなサウンドスケープを創り出すことで世界的に注目を集めています。2024年12月にリリースされた最新作「If I Don't Make It, I Love You」は、アメリカの音楽メディアPitchforkや、イギリスのThe Guardianといった主要メディアからも高い評価を得ています。


高度な演奏技法を駆使し、難解なリズムを重ね合わせ、緊張感のある音空間を創り出すgoat。捉えどころのないメロディとリズム、彷徨いながら赴くままにサウンドを展開するStill House Plants。開業30周年を迎えるLIQUIDROOMにて、アンサンブル/バンドといった合奏形態でありながら、全く異なる音楽を創り出す両組によるパフォーマンスをぜひお楽しみください。


*追加プログラムなどの情報はMODEインスタグラムアカウント、MODE公式ウェブサイトなどにて発表を予定しております。イベント詳細は下記よりご確認ください。



【プログラム詳細】

MODE AT LIQUIDROOM

公演日時:2024年9月21日(土)17:30開場/18:30開演

チケット料金:前売5,500円[スタンディング]※ZAIKOにて販売中

出演者:goat(ゴート/JP)、Still House Plants(スティル・ハウス・プランツ/UK)

会場:LIQUIDROOM 〒150-0011 東京都渋谷区東3-16-6

 


【出演アーティスト】

 

goat(ゴート/JP)




2013年に日野浩志郎を中心に結成したグループ。元はギター、サックス、ベース、ドラムの4人編成であるが、現在は楽曲によって楽器を持ち替えていく5人編成で活動している。

 

極力楽器の持つ音階を無視し、発音させる際に生じるノイズ、ミュート音などから楽曲を制作。執拗な反復から生まれるトランスと疲労、12音階を外したハーモニクス音からなるメロディのようなものは都会(クラブ)的であると同時に民族的。2023年には3rd albumとなる「Joy in Fear」をNAKIDから発表。




Still House Plants(スティル・ハウス・プランツ/UK)



Still House Plantsは、Jess Hickie-Kallenbach、Finlay Clark、David Kennedyからなるバンド。ボーカル、ギター、ドラムというシンプルな編成ながら、絶えずスタイルを変え、焦点を移し、反復を用いてオリジナルな音楽を作り上げている。

最新作「If I Don't Make It, I Love You」は彼らの3作目となるアルバムであり、これまでのサウンドの集大成となっている。2作目の「Fast Edit」が素早い展開とジャンプカットを特徴としていたのに対し、最新アルバムでは各曲に対するバンドの継続的な取り組みが反映され、音楽に一貫性が生まれ、温かみが増し、多くのリスナーに高く評価されている。


About 33-33:

33-33(サーティースリー・サーティースリー)はロンドン拠点の音楽レーベル兼コンサートプロダクション。世界中のユニークなスペースで実験的な音楽とアートのイベントを開催している。年間を通してのイベントプログラム制作や、33-33レーベルからのレコードリリース、また、アーティストと協業し特別なプロジェクトを立ち上げている。

 

33-33は、2014年からロンドン東部の教会で行われているコンサートの代表的なプログラムである「St John Sessions」というイベントシリーズから発展した組織であり、ガーナ、東京、ベイルート、カイロなどでイベントを開催してきた。



About BLISS:

BLISS(ブリス)は、2019年に日本を拠点として設立されたキュレーター・コレクティブです。アートと音楽の分野において、実験的な展覧会、イベントなど行っています。抽象性が高く、実験的な表現を社会に発表、共有し続けることが可能な環境をつくることを目的としています。


Works of BLISS:

Kelsey Lu at Enoura Observatory

INTERDIFFUSION A tribute to Yoshi Wada


【開催団体】

主催:

MODE


協力:

EDSTRÖM OFFICE

YAR


助成:

公益財団法人東京都歴史文化財団

アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】



フランスのミュージシャン、詩人として活動する、Merle Bardenoir(メル・バルドゥノワール)のプロジェクト、Glamourieがセカンドアルバム『Lady From The Outside』を4月27日にリリースした。


Glamourieの音楽はインストゥルメンタルで、プロジェクトを構成する幻想的なテーマの展開は、タイトルだけでなく、ビジュアルを通じても展開される。また、メル・バルドゥノワールは、画家/イラストレーターとしても活動しており、美しく幻想的なアートワークを幾つか製作している。


イマジナル・ステージの経験をさらに発展させたこの第2作は、アーサー王伝説にインスパイアされ、ケルト音楽、ミニマル・ミュージック、アンビエント・ミュージックの要素を融合させている。


アルバムの楽曲はBandcampにてご視聴/ご購入することが出来ます。 アートワークとともに下記より御覧下さい。






 

石若駿&畠山地平
 

日本を代表するアンビエント/ドローン·ミュージック・シーンを牽引する存在となったChihei Hatakeyamaこと畠山地平が、この度ジャズ・ドラマーの石若駿とのコラボレーションを発表した。 

 

ラジオ番組の収録で出会って以来、ライヴ活動などでステージを共にすることはあった2人だが、作品を発表するのは今回が初めて。

 

『Magnificent Little Dudes』と名付けられた今作は、2部作となっており、2024年5月に”ヴォリューム1”が、同夏に”ヴォリューム2”がリリース予定となっている。

 

 
その場、その日、季節、天気などからインスピレーションを得て演奏すること」をコンセプトに、あえて事前に準備することはせず、あくまでも即興演奏を収録。

 

ファースト・シングル「M4」には日本人ヴォーカリスト、Hatis Noitをゲストに迎えた。ギター・ドローンの演奏をしていると、その音色が女性ヴォーカルのように聞こえる瞬間があることから、いつか女性ヴォーカルとのコラボレーションをしたいと思っていた畠山。

 

今回の石若駿との録音でその時が来たように感じたので、即興レコーディングの演奏中、いつもは使っている音域やスペースを空けてギターを演奏しました。ちょうどこのレコーディングの3週間くらい前に彼女のライヴ観ていたので、Hatis Noitさんの声をイメージしてギターを演奏しました」と話す。

 

畠山地平、石若駿、Hatis Noit、世界を股にかけて活動する日本人アーティスト3組のコラボレーションが実現した『Magnificent Little Dudes Vol.1』は、日本国内外で話題となること間違い無い。

 

 

昨年、掲載された畠山地平のロングインタビューはこちらよりお読みいただけます。

 

 

 

Chihei Hatakeyama & Shun Ishiwaka(畠山地平&石若駿)
  『Magnificent Little Dudes Vol.1』(マグニィフィセント・リトル・デューズ・ヴォリューム 1)

 


※日本先行発売(予定)
レーベル: Gearbox Records



発売日: 2024年5月22日(水) 

品番 (CD/LP):GB1594CD / GB1594


価格 (CD/LP):2,500円(+税)/ 4,000円(+税)

 

 

Tracklist(収録曲):

 1. M0 

2. M1.1 

3. M1.2 

4. M4 (feat. Hatis Noit) 

5. M7




Biography:

 
<Chihei Hatakeyama> 

 

2006年に前衛音楽専門レーベルとして定評のあるアメリカの<Kranky>より、ファースト・アルバ ムをリリース。以後、オーストラリア<Room40>、ルクセンブルク<Own Records>、イギリス <Under The Spire>、<hibernate>、日本<Home Normal>など、国内外のレーベルから現在にいたるまで多数の作品を発表している。デジタルとアナログの機材を駆使したサウンドが構築する、 美しいアンビエント・ドローン作品を特徴としており、主に海外での人気が高く、Spotifyの2017 年「海外で最も再生された国内アーティスト」ではトップ10にランクインした。

 

2021年4月、イギ リス<Gearbox Records>からの第一弾リリースとなるアルバム『Late Spring』を発表。その後、 2023年5月にはドキュメンタリー映画 『ライフ・イズ・クライミング!』の劇中音楽集もリリー ス。

 

映画音楽では他にも、松村浩行監督作品『TOCHKA』の環境音を使用したCD作品『The Secret distance of TOCHKA』を発表。第86回アカデミー賞<長編ドキュメンタリー部門>にノミ ネートされた篠原有司男を描いたザカリー・ハインザーリング監督作品『キューティー&ボクサー』(2013年)でも楽曲が使用された。


また、NHKアニメワールド:プチプチ・アニメ『エんエんニコリ』の音楽を担当。2010年以来、世界中でツアーを精力的に行なっており、2022 年には全米15箇所に及ぶUS ツアーを、2023年は2回に渡りヨーロッパ・ツアーを敢行した。

 


<Shun Ishiwaka> 

 

 1992年北海道生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校打楽器専攻を経て、同大学を卒業。卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。2006年、日野皓正special quintetのメンバーと して札幌にてライヴを行なう。2012年、アニメ『坂道のアポロン』 の川渕千太郎役ドラム演奏、 モーションを担当。

 

2015年には初のリーダー作となるアルバム「Cleanup」を発表した。また同世 代の仲間である小西遼、小田朋美らとCRCK/LCKSも結成。さらに2016年からは「うた」をテー マにしたプロジェクト「Songbook」も始動させている。近年はゲスト・ミュージシャンとしても 評価が高く、くるり、KID FRESINOなど幅広いジャンルの作品やライヴに参加している。2019年 には新たなプロジェクトAnswer To Rememberをスタートさせた。2023年公開の劇場アニメ 『BLUE GIANT』では、登場人物の玉田俊二が作中で担当するドラムパートの実演奏を手がけた。

 


シカゴのエクスペリメンタル・フォーク・デュオ、Gastr Del Sol(デイヴィッド・グラブスとジム・オルーク)が、90年代以来のアルバム『We Have Dozens of Titles』を5月24日にドラッグ・シティからリリースすると発表した。

 

ガスター・デル・ソルはCAKE、Tortoise、また、Touch &Goに所属するバンドと並んで、シカゴ音響派として知られる。この一派は、ケンタッキーのルイヴィルのバンドとともにポスト・ロックの源流を形作った。その中には、Slint、レイチェル・グリムスのRachel'sなどがいる。これらはポスト・ロックを知るために避けて通ることが出来ないグループ。特に、ポスト・ロックを演奏するにあたって、『Upgrade & Afterlife』を聞かないのはモグリというしかない。


ドラッグ・シティのプレス・リリースによれば、アルバムは「これまで未収録だったスタジオ録音と美しく捉えられた未発表ライヴ・パフォーマンスの集合体」であり、「彼らの本領であった流動性への広々とした頌歌を形成している。


1997年のビクトリアヴィル国際音楽祭でのガストル・デル・ソルの最後のライヴで、CBCのアーカイブに保管されていた "The Seasons Reverse "のライヴ・ヴァージョンをチェックできる。『We Have Dozens of Titles』のトラックリストとアートワークを以下でチェックしよう。

 

近年、オルークはソロ・アルバムをリリースしてきた。その中には映像作品のサウンドトラック提供作品が含まれている。オルークは最近、パート・バカラックのカヴァーアルバム「All Kind of People」にも参加。カヴァーアルバムには他にも、細野晴臣、カヒミ・カリィ、やくしまるえつこ(相対性理論)、サーストン・ムーア(Sonic Youth)、作家の中原昌也などコアなメンバーが参加している。

 

ガスター・デル・ソルのリイシュー的な意味を持つニューアルバムのアートワークは、ペンシルバニアの伝説的なポストロックバンド、Helmetに由来を持ち、以後、WarpのBattlesに分岐する”Don Cabarello”が1998年に発表した『What Burns Never Returns』に対するオマージュだと思われる。 

 




Gstr Del Sol 『We Have Dozens of Titles』



Label: Drag City

Release: 2024/05/24

 

Tracklist:


1. The Seasons Reverse (live)

2. Quietly Approaching

3. Ursus Arctos Wonderfilis (live)

4. At Night and at Night

5. Dead Cats in a Foghorn

6. The Japanese Room at La Pagode

7. The Bells of St. Mary’s

8. Blues Subtitled No Sense of Wonder (live)

9. 20 Songs Less

10. Dictionary of Handwriting (live)

11. The Harp Factory on Lake Street

12. Onion Orange (live)


 


1980年、旧西ドイツ/クロイツベルク地区から発生した当然変異体、伝説的なインダストリアルバンド、Einstürzende Neubauten(アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテン)がニューアルバム『Ramps』(apm:alien pop music)を2024年4月5日にリリースする。インダストリアル界のレジェンドは、リードシングル「Ist Ist」を公開した。原始的なインダストリアルミュージックである。

  

1980年代はじめのクロイツベルク地区は、かつてトルコ系移民が移住し、政治的にも環境的にも混沌とした地区として知られていた。アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンはまさにこの旧西ドイツ時代のジャンク、インダストリアル、そしてノイズ性を象徴するようなグループ。

 

しかし、1980年代の象徴的なノイズサウンドを始めとする、かつてのアインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンの前衛性や既存の概念への長い挑戦は、ノイズやオルタネイトな要素こそあれ、長い時を経て、比較的聞きやすいポップ、親しみやすい音楽に変わったことがわかる。

 

「このアルバムで、私はいくつかの解決策を見つけ、従来にない方法で物事を定式化した。私は、音楽を通して知識を得ることができると信じている。ずっとそうだった。私は今もその信念に従っているんだ。今まで知らなかったことを音楽の中から見出す。そして知らなかったことを歌う。それが真実だとわかる何かを。あるいは、これを一段低くするため、少なくとも意味があるものをね」   

 

Einstürzende Neubauten

 

 

 「Ist Ist」





Einstürzende Neubauten 『Ramps (apm: alien pop music)』




Tracklist:


1. Wie lange noch?

2. Ist Ist

3. Pestalozzi

4.  Es könnte sein

5. Before I Go

6. Isso Isso

7. Besser Isses

8. Everything will be fine

9. The Pit of Language

10. Planet Umbra

11. Tar & Feathers

12. Aus den Zeiten

13. Ick wees nich (Noch nich)

14. Trilobites

15. Gesundbrunnen

 

 

Tour Annoucement:

 

Einstürzende Neubauten(アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテン)はアルバムの発売を記念するツアー”alien pop music 2024”の開催を発表した。5月9日のウイーンでの公演を筆頭に、ロンドンを始め、ヨーロッパ各国をめぐり、故郷のドイツ公演を経て、10月29日にベルギーのアントワープの公演でこのツアーを終える。ヨーロッパツアーの公式フライヤーは下記の通り。

 

 


Einstürzende Neubauten:



1980年代、西ベルリンの非常事態の中で生活していたクリエイティブな若者たちの多くは、その非常事態をある種の正常さとして受け止めていた。そう、それは何でも可能に思えた時代だった。



ブリクサ・バーゲルドは、1980年4月1日にムーン・クラブで演奏しないかと誘われたとき、EINSTÜRZENDE NEUBAUTENというバンドを思いつき、ギグを引き受け、数人の友人に電話をかけた。

 

バンドの初期メンバーは、その晩たまたま時間があったミュージシャンたちだった。アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンの正式な誕生は、一般的にこのコンサートと結びつけられている。確かに、このバンドがこれほどまでに高い生産性を維持し続け、40年近く経った今でも健在であるとは、当時は誰も予想できなかっただろう。



2017年1月、ハンブルクの壮大な会場「エルプフィルハーモニー」でのダブル・コンサートを皮切りに始まった「グレイテスト・ヒッツ」ツアーは、記録的な速さでソールドアウトとなり、アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンというバンドが、約37年という最も濃密な音楽的恍惚の時を経た今もなお健在であることを示している。この刺激的なバンドの波乱に満ちた歴史の概略を記すならば、この歩みを当然視すべきではないことがわかる。



1981年11月にリリースされたデビュー・アルバム『Kollaps』で、アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンは従来のリスニング習慣に宣戦布告した。このアルバムは実際には「聴こえない」レコードであり、メインストリームのサウンドによって鈍化してしまった期待や聴き方に対して真っ向から挑戦を挑んだ。


アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンは、ドイツでは希少なバンドであり、その独自のトレンド・ミックスを通じて、国際的に本物のインパルスを発信している。

 

ダンス・シアターからビジュアル・アートまで、他の多くのバンドや芸術ジャンルに影響を与え、シュリンゲンジーフからタランティーノまで、今日に至るまで映画にも影響を与えている。メディアは当初、このバンドを奇妙な「分断都市の珍品」と嘲笑したが、瞬く間に、現在とポップカルチャーの名だたる偉人の一人として世界中にその地位を確立した。全世代に影響を与え、今日でも実験的なサウンドアートやパフォーマンスの青写真をしばしばコピーしている。



アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンは、"音楽 "という言葉を独創的かつ先鋭的に再定義することを特徴としている。例えば、日本の映画監督・飯石聰亙のような、一風変わった先駆的なコラボレーションにもしばしば参加している。

 

また、ペーター・ザデック、ハイナー・ミュラー、レアンダー・ハウスマンら著名な演出家やドラマツルグとの演劇プロジェクトを通じて、バンドは広範囲な経験を共有しており、その様子はアート・プレスによって陶酔的に記録されている。また、ドクメンタ7、パリ・ビエンナーレ、バンクーバー万博など、国際的な文化イベントにも招待されている。

 


ギリシャ/アテネを拠点に活動するアメリカ人の作曲家/マルチ奏者、John Also Benette(JAB)が、新作アルバム『Music For Save Rooms 1 & 2』を発表した。本作は3月8日にリリースされる。


John Also Bennett (JAB)の『Music for Save Rooms 1 & 2』は、ビデオゲームのマップ内の一時的な安全空間である「セーブルーム」のため、無限にループしモーフィングするミニマル・ミュージックを2枚組のアルバムにまとめた。アルバムにはAlvo Partの楽曲や任天堂の名作RPG「ゼルダの伝説」のサントラの再構成も収録されている。


マルチメディア・アーティストであり、ベネットの頻繁なコラボレーターでもあるピーター・バー(これらのアルバムに収録されている曲のいくつかは、当初このアーティストのために作曲されたものである)に刺激され、サンフランシスコのすぐ北にあるマリン・ヘッドランズの元軍用納屋で過ごした1週間が、作曲の主なきっかけとなった。


ベネットは、人里離れた誰もいない納屋で何日も一人で延々とループを作曲し、フェイジングのテクニックを試しながら、周囲の雰囲気と融合させることで、楽々と静止した感覚を生み出し、決して正確に繰り返すことのない音楽というアイデアに没頭した。


JABは音楽的なパートナーでもあるクリスティーナ・ヴァンゾーとのユニットやライブ活動で知られている。昨年、イギリス/ロンドンのバービカンセンターでパフォーマンスを行った。以前はシンセ奏者のイメージが強かったが、最近、フルートの演奏を駆使した実験音楽に取り組んでいる。


昨年10月にJAB/CVは最新作『KLIMA』をリリースした。また、JABはニューヨークのインディペンデントレーベル、RVNGに所属するサトミ・マガエさんの親友でもある。Satomimageのインタビューはこちらより






John Also Benette 『Music For Save Rooms 1 & 2』



Music for Save Rooms 1


01. Still Inside the Deku Tree (5:37) 
02. Save Room 3 (11:21) 
03. Utopia and Oblivion (8:44) 
04. Save Room 6 (9:55) 
05. Utopia and Oblivion (Return) (9:24) 
06. Spiegel im Spiegel (8:08) 


Music for Save Rooms 2 

01. Sky Music (5:26) 
02. Power Plant (5:35) 
03. Desolation (5:18) 
04. Glass Castle (3:44) 
05. Out Back (2:40) 
06. Embarkation (3:20) 
07. Computer Terminal (2:15) 
08. Letter from Home (5:33) 
09. Ambling (2:58)  


Pre-order(INT):

 

Midori  Hirano

Erased Tapesがコンピレーションアルバムシリーズの新作「Music For  Siam」をリリースしました。Music for Brainwaves、Music for kōに続く作品。新作にはドイツの実験音楽家、ミドリ・ヒラノ、ハチスノイト、さらにはライバル・コンソールズの楽曲が収録される。


2019年12月、Erased Tapesのアーティストであるミドリ・ヒラノダグラス・デア、ハティス・ノワ、ダニエル・ブラント、Rival Consolesがタイを訪れ、バンコクの最も象徴的な空間の音を新たなオリジナル楽曲として再解釈し、Wonderfruit Festivalのステージでライブ演奏するよう依頼された。


このプロジェクトは、MSCTYのニック・ラスカムとジェームス・グリアとの共同作業で始められ、出来上がった作品は、このうだるような都会的なオルガンがいかに豊かなサウンドを探求できるかを浮き彫りにしている。過去4年間、これらの作品は、ヘッドフォンとプロジェクトの公式アプリを持ってこれらの場所を訪れた人だけが聴くことができた。


ようやくこれらの作品を世界と共有できるようになり、とてもエキサイティングです。サイトスペシフィックな作品を生み出すというレーベルの旅に出てからかなりの時間が経ち、世界は様々な意味で変化した。リスナーを決して忘れることのない場所への実にユニークな音の旅に連れて行ってくれるのだから。- ロバート・ラス、Erased Tapes


この『Bangkok Memory Phase』は、Erased Tapesの友人たちと探検した5つの場所で録音されたフィールド・レコーディングをフィーチャーしており、有機的なサウンドを通してバンコクの街を横から横断的に眺めている。バンコクでは、チャオプラヤ川がゆっくりと蛇行しながら流れているが、その周辺では、ワット・アルンでのお経、ター・ティアンの市場ジェネレーターのうなり声、交通、橋、モニュメント、公園、北へ向かう鈍行列車を提供する豪華な駅の喧騒、線路脇の散髪屋など、活気に満ちた声も決して遠くない。- ジェームズ・グリア、MSCTY





「Music For  Siam」Compilation



Tracklist:


Midori Hirano Hua Lamphong05:32 

Douglas Dare Song of Siam03:52 

Hatis Noit Wat Arun04:57 

Nick Luscombe & James Greer Bangkok Memory Phase04:13 

Daniel Brandt Tha Tian09:39 

Rival Consoles The Giant Swing08:17


海外ではその名をよく知られる”Yoshi Wada”の愛称で親しまれる和田義正は、音楽家としてだけでなく、楽器開発者として見ても本物の天才である。和田は、ラ・モンテ・ヤングと並んでドローンミュージックの重要なファクターに挙げられる。「Nue」を始めとする代表作があるが、ストリーミングではほとんど視聴出来ない。フィジカル盤のみ彼の作品に触れることが可能である。

 

和田はドローンミュージックの重要な構成要素である止まった音、すなわちオーケストラでいうところの持続音や保続音に徹底してこだわった。彼は、77年の生涯の中で、インド声楽やスコットランドのパグパイプの持続音に取り憑かれ、その人生を前衛音楽の追求に費やした。


和田義正は1943年に京都に生まれた。建築家を務めた彼の父は第二次世界大戦で亡くなっている。子供時代は、そのほとんどが上記の理由により、苦難に満ち溢れていたというのが通説となっている。彼が音楽に目覚めたのは10代の頃。サックスフォンを演奏しはじめ、ジャズに傾倒した。

 

オーネット・コールマン、ソニー・ロリンズ等、ジャズの巨匠の音楽に触れ、特にこの音楽に強く傾倒したという。1967年には、京都美術大学で彫刻を学習し、彼はニューヨークへと旅立った。その後、ジョージ・マチューナスが住むアパートへと転居する。フルクサス(1960年代から1970代にかけて発生した、芸術家、作曲家、デザイナー、詩人らによる前衛芸術運動。リトアニア出身のデザイナー、建築家 ジョージ・マチューナスが提唱したと言われている)のマチューナスは、和田義正をオノ・ヨーコ、久保田成子(クボタ・シゲコ)に紹介し、当時使用されていなかったニューヨークのソーホーのロフトをアーティストの空間にリノベートするために彼を雇った。


彼の中頃の人生の中心にはニューヨークのダウンタウンがあった。当時、活気のある実験音楽のシーンが発生した後、和田はミニマリストの作曲家、ラ・モンテ・ヤングと電子音楽を学び、さらに北インドの声楽家であるパンディット・プラン・ナートと歌唱法の勉強に取り組んだ。以後、ナンシー・クラッチャ―からバクパイプの演奏法を学び、即興音楽を制作しはじめた。彼は音響工学の中に、インド、スコットランド、マケドニア等、複数の地域にある独自の民謡や土着の音楽を取り入れた。


以降、彼は独自の管楽器の制作に着手し、「ハイプホーン」という楽器を開発している。別名「アースホーン」とも称されるこの楽器が、実制作として陽の目を見ることになったのが1974年である。さらに、彼はパグパイプとインド楽器に触発を受けた新式の楽器を開発する。これらは、空気を圧縮したパグパイプのような構造を持ち、1982年の作品「Lament for the Rise and Fall of the Elepantine Crocodile」に反映されることになった。


その後、「Off The Wall」を制作に取り掛かった。D.A.A.Dのフェローシップを得て、1983年から一年間、ベルリンに滞在し録音した。 教会の本式のパイプオルガンの構造と製作法を学び、『ラメント・フォー』で試した「改良共鳴バグパイプ」を発展させた小型パイプオルガンを新たに開発している。滞在先のスタジオ隣室から騒音苦情が出るほど研究に専念し、まるで実際的な大きさと質量を持つかのような構造物的な存在感のある音を構築した。こうした一年間の制作成果として1984年に録音されたのが『Off The Wall』(※「壁にはね返る」というニュアンス)だった。和田の作品としてはグループ編成の演奏であるため、比較的分かりやすい内容になっている。

 

和田のライブのほとんどは即興演奏であり、自作自演も行った。しかし、同時に一般的に演奏できる作品やインスタレーションも多数制作した。この類の作品のカタログは1991年から翌年にかけて見出すことが出来る。その時代から和田はニューヨークでグループショーを開催するようになったが、この作品について当時、アート・フォーラムの記者であるキース・スワードは以下のように評した。「ワダの仕事は、コーヒー・グラインダー、フロントガラスのワイパー、ドラムキット、スチールパンをハンマーで打つ等、楽器の可能性を切り開くアプローチを行うことで、機械的なオーケストラを形成し、指揮することを可能とした。そのアイディアに関しては本質的には面白いものはないように思える。感情的な価値を求めるとしたら、それは音の生成のメカニズムや、リスナー、それからコンテクストの融合や結合に依存すると思われる」

 

彼は機械工学を用いたロボット的な音楽も制作した。これがドローン音楽のオリジネーターと目されることに加えて、彼が電子音楽やアンビエントの領域で語りつがれる理由でもある。一例では、航海の緊急使用の信号として用いられるタイプの「聴覚フレア」の信号を中心に機械工学的な知識に基づいた楽器、あるいはシステム構造を構築している。特に、この楽器は、「ハンディ・ホーン」とも称されるようで、「信号の開発」とも説明されることがある。それ以後、実験音楽という領域ではありながら、和田は知名度を高めていき、90年代半ばには、ピッツバーグにあるカーネギーメロンでの講義を終えてから、6名の学生に作品を演奏させた。 彼の音楽性はあまりに前衛的すぎたため、まだ一般的に受けいられるための時間を擁する必要があった。

 

和田義正は全生涯にわたり、商業的成功を手に収めることはなく、そのほとんどが資金不足に陥っていた。数少ない商業での成功例といえる「Lament for the Rise and Fall of the Elepantine Crocodile」ですら、印税のロイヤリティは数ドルという範疇に収まっていた。(このアルバムはニューヨークの実験音楽のレーベルである”RVNG”から発売されている。)しかし、以後、彼は電子音楽家である息子と協力し、晩年にかけて創作意欲を発揮しつづけた。2008年にWireのジム・ヘインズに対して、和田義正は、以下のように自らの音楽について言及している。「基本的に私は自由奔放なんです。私は自分のために面白い音楽を制作しようとしている。実は私はチェスをするためにアートをやめたマルセル・ドゥシャンはあまり好きではないのです」

 

 

©Pat Martin


Lol Tolhurst & Budgie & Jacknife Lee(The Cureの創始者ドラマー、ロル・トルハースト、Siouxsie & The Bansheesのドラマー、バギー、プロデューサー、ジャックナイフ・リーによるプロジェクト)は、最新曲「Ghosted at Home」に参加した。

 

トリオは以前、LCD Soundsystemのジェームス・マーフィーをフィーチャーした次作アルバムのタイトル・トラック「Los Angeles」を発表している。今週、公開された「Ghosted at Home」は、ジュリアン・ガブリエル・ベンダニャ監督によるビデオ付き。


「もしセルジュ・ゲンスブールとCanが僕らと一緒に演奏していたら、ポランスキーの『反撥』をサウンドトラックにしようとしたろう。私たちはグルーヴを得て、その上で即興演奏し、この曲に行き着いた。私たちは閉所恐怖症のような感覚を目指していたのですが、ボビーは私たちがトラックを送ったときにそれを巧みに拾い上げてくれた。これは、私たちがこのアルバムでコラボレーターたちと、時には離れ離れになっていた。にもかかわらず、いかに同調していたかを示すもうひとつの例となるでしょう」


ロル・トルハーストは、以下のようにコメントしている。「”Ghosted at Home"で最初に聴こえる音は、ヨセミテの神聖な場所で一緒に作った最初のレコーディングでもあり、この音には、私たちが作っている音楽に対するすべての希望と期待が込められている。森で最初に演奏した楽器が、最も古くからあるドラムだったのは、レコードを作るのにふさわしいと思った」


「"人生において、誰かが自分の物語を語るのを聞いて、それを自分自身の物語であると認識することは稀なことだ。その物語が、複雑で危険で、心理的にダメージを与えるような人間関係に関連している場合は、さらに稀である。このような共感を呼び起こすのは、おそらく偉大な作詞家・作曲家の才能であり技術なのだろう。ボビー・ガレスピーはそのような作家の一人なんだ」


ニューアルバムはゴシック的な概念に縁取られたトリオのクラウト・ロックへのオマージュが捧げられている。ニューアルバム『Los Angeles』は11月3日、Play It Again Samよりリリースされる。

 

「Ghosted at Home」

 

©David Raccuglia

米国のアーティスト、美術教育者、ミュージシャンであるLonnie Holleyは「I Am A Part of the Wonder」を発表しました。このシングルは来る次作アルバム『Oh Me Oh My』に収録される。

 

このニューシングルで、ロニー・ホリーはMoor Mother(ムーア・マザー)とコラボレーションを行っている。Holley、Camae Ayewa、Jacknife Leeの3人が共同作曲したこのシングルには、R.E.M.のMichael Stipeが参加した既発のタイトル・トラックも収録されています。以下、チェックしてみてください。


『Oh Me Oh My』は3月10日にJagjaguwarからリリースされる予定です。Moor MotherとMichael Stipeに加え、Bon Iver、Sharon Van Etten、Jeff Parker、Rokia Konéが参加しています。


「I Am A Part of the Wonder」

 

©︎David Racchuglia

 

米国のアーティスト、美術教育者、ミュージシャン、Lonnie Holley(ロニー・ホリー)がニューアルバム『Oh Me Oh My』のリリースを発表しました。

 

3月10日にJagjaguwarからリリースされるこのアルバムは、Jacknife Leeがプロデュースし、R.E.M.のMichael Stipe、Moor Mother、Bon Iver、Sharon Van Etten、Jeff Parker、Rokia Honéがゲスト参加しています。


「私のアートと音楽は常に私の周りで起こっていることと密接に結びついていて、ここ数年は考えさせられることがたくさんありました」と、ホリーはプレスリリースでアルバムについて述べています。


「これらの曲を聴き返すと、私たちが生きていた時代を感じることができます。曲を形にするのを助けてくれて、自分の中を深く掘り下げるように仕向けてくれたコラボレーター、特にジャックナイフに深く感謝している」


 



Lonnie Holley 『Oh Me Oh My』

 


Label: jagujaguwar


Release Date: 2023年3月10日


Tracklist:


1. Testing

2. I Am A Part Of The Wonder [feat. Moor Mother]

3. Oh Me, Oh My [feat. Michael Stipe]

4. Earth Will Be There [with Moor Mother]

5. Mount Meigs

6. Better Get That Crop In Soon

7. Kindness Will Follow Your Tears [feat. Bon Iver]

8. None Of Us Have But A Little While [feat. Sharon Van Etten]

9. If We Get Lost They Will Find Us [feat. Rokia Koné]

10. I Can’t Hush

11. Future Children


Drew Wesely 「Blank Bldy」 

 

 

Label: Infrequent Seams

 

Release: 2022年11月18日


Genre: Experimental Music/Noise Avant-garde



Listen/Buy



Review 

 

レビューのご依頼を頂いたので、ニューヨークの実験音楽家、Drew Weselyの最新作「Blank Bldy」の批評を以下に掲載します。

 

ニューヨークには、パーカッション奏者、Eli Keszlerをはじめ、秀逸な実験音楽家が数多く活躍してします。そのアバンギャルド・ミュージックの聖地とも言える場所から登場したのが、Drew Weselyで、革新的な音楽家の一人に挙げられるでしょう。プリペイド・ピアノを発明したことで有名なジョン・ケージは、ピアノの弦に金属片を施し、ピアノの音の発生の意義を覆しましたが、つまりDrew Weselyは、そのプリペイドの手法をギターで試みようというのです。

 

プレスリリースによると、「Blank Body」 は、Drew Weselyによるインターメディア・オーディオビジュアル作品で、プリペイド・ギターを通じての即興演奏が行われています。つまり、音楽を1つの表現性から開放し、音楽の持つ可能性を拡張した作品であり、オーディオとビジュアルの融合という効果を意図したアルバムのようです。実際、アートブックには、半透明のページから構成され、映画の個別ビジュアルのような視覚効果を有しています。例えば、フランスで活動する池田亮司は、音楽とインスタレーションの融合というテーマを掲げていますが、Drew Wesleyも同じく、音楽をより広い表現へと解放するという手法をこの作品で探究しています。実際の音楽と合わせて、これらのアートブックを眺めると、驚くような効果があるかもしれません。

 

実際の音楽についても言及しておくと、「Blank Bldy」の収録楽曲は、アヴァンギャルド・ミュージックの領域にあり、また、偶然に生み出された音をピエール・シェフェールの考案したミュージック・コンクレートの技法を取り入れることにより、断続的な音楽として組み上げています。つまり、デビュー・アルバム「Blank Bldy」の重点は、チャンス・オペレーションとミュージック・コンクレートの融合にあるといえるでしょう。ついで、Drew Weselyは、ギターという楽器をパーカッションとして解釈しているように見受けられる。ギターの弦を調整し、パーカッションに近い特異な音の響きを生み出し、そして、その不可思議な音響に加え、チベット・ボウルのようなパーカッションを導入する場合もある。これらの近代の実験音楽のアプローチを駆使することにより、ノイズ・ミュージックに近い手法を生み出しています。これらの音響学としての興味の反映については、贔屓目に見ても聞きやすい形式とは言い難いですが、他方、ジョン・ケージの最初期のチャンス・オペレーションのように先鋭的な手法が取り入れられており、音響学としての面白さを見出すことも出来るはずです。

 

「Blank Bldy」の音楽には、チャンス・オペレーションを通じて解釈されるカール・シュトックハウゼンのセリー主義の影響も見受けられ、それは12音技法の音符の配置とはまた異なる形式、「1つもまったく同じ音が発生しない」という概念によって支えられているように思える。つまり、このデビュー・アルバムを聴くことは、同じプリペイド・ギターの音が空間中に発生したように見えたとしても、その中に、1つたりとも、同じ形質の音は存在しないという事を発見することでもある。他にも、収録楽曲の中には、チベット・ボウルのようなパーカッションが導入され、これが、チベット密教のマントラのような異質な雰囲気に彩られています。実際のマントラの言葉はないものの、何かしら、東洋的なアンビエンスを至るところに見出す事もできるかもしれません。

 

また、これらのアヴァンギャルド・ミュージックは、未知なる音響との邂逅とも言える。実際のオーディオ・ビジュアル(アートブック)と合わせて聴いてみると、さらにストーリー性が加味され、製作者の意図することがより理解出来るようになるかもしれません。総じて、Drew Weselyのデビュー・アルバム「Blank Bldy」は、正直なところ、まだ作品という面ではいささか物足りなさを感じますが、プリペイド・ギターというこれまで存在しえなかった前衛的な技法を生み出したことに関しては素晴らしい。これらの音楽的な手法が後にどのような音楽形式として発展していくのか心待ちにしたいところです。また、実験音楽家、Drew Weselyは、まだ詳細についてはわからないものの、2023年に日本で公演を予定しているとのことで楽しみです。
 
 
下記に英語の翻訳文を掲載しておきます。細かな文法の間違い、スペルの誤りについてはご容赦下さい。

 


75/100

 

 

 

 

Translation In English

 

 In response to your request for a review, we are pleased to offer the following review of New York experimental musician Drew Wesely's latest work, "Blank Bldy".

 
New York City is home to many outstanding experimental musicians, including percussionist Eli Keszler. From the mecca of avant-garde music comes Drew Wesely, one of the most innovative musicians of all time. John Cage, famous for inventing the prepaid piano, overturned the significance of sound generation on the piano by inserting metal strips into the piano strings, and Drew Wesely is attempting that same prepaid technique on the guitar.

 
According to the press release, "Blank Body" is an intermedia audiovisual work by Drew Wesely, improvising through a prepaid guitar. In other words, the album seems to be an album intended to have the effect of merging audio and visuals, a work that opens music from one expressive form to another and expands the possibilities of music. In fact, the art book consists of translucent pages and has a visual effect similar to that of individual visuals in a movie. For example, Ryoji Ikeda's theme is the fusion of music and installation, and Drew Wesley similarly explores the technique of releasing music into a broader expression in this work. Viewing these art books in conjunction with the actual music may have a surprising effect.

 
To mention the actual music, the compositions in "Blank Bldy" are in the realm of avant-garde music, and by incorporating the technique of "music concrète", devised by Pierre Scheffert, the accidentally created sounds are assembled into intermittent The music is assembled as intermittent music by incorporating the technique of music concrète, a technique developed by Pierre Henri Marie Schaeffer In other words, the emphasis of the debut album "Blank Bldy" is on the fusion of chance operations and music concrete. Secondly, Drew Wesely appears to interpret the guitar as a percussion instrument. By rubbing the strings of the guitar together, he creates a peculiar percussion-like sound, and then, in some cases, introduces percussion such as Tibetan bowls to add to the mysterious acoustics of the instrument. These modern experimental music approaches are used to create a technique that is similar to noise music. Regarding the reflection of these interests as acoustics, it is difficult to say that the format is easy to listen to in a patronizing way, but on the other hand, it incorporates radical techniques such as John Cage's earliest chance operations, and it should be possible to find some interest in it as acoustics.

 
The music of "Blank Bldy" also shows the influence of Carl Stockhausen's "Selialism", interpreted through chance operations, which seems to be supported by a different form from the arrangement of notes in the 12-tone technique, the concept that "no two notes are exactly alike. It seems to be supported by a form different from the arrangement of notes in the twelve-tone technique, the concept that "no two notes are exactly alike. In other words, to listen to this debut album is to discover that even though the same prepaid guitar sounds seem to occur throughout the space, no two of them are identical. Other percussion, such as Tibetan bowls, are introduced in the recorded music, and this is colored by the alien atmosphere of a Tibetan esoteric mantra. Although there are no actual words of the mantra, one may find some kind of oriental ambience throughout.


These avant-garde music pieces can also be described as encounters with unknown acoustics. Listening to them together with the actual audio visuals (art book) may add even more storytelling and help us better understand what the producers intended. All in all, Drew Wesely's debut album "Blank Bldy" is, to be honest, still somewhat underwhelming in terms of production, but it is great for its creation of prepaid guitar, an avant-garde technique that could not have existed before. I look forward to seeing how these musical techniques will develop into musical forms in the future. We are also looking forward to seeing experimental musician Drew Wesely, who is planning to perform in Japan in 2023, although details are not yet available.Thank you so much,Drew Wesely!!

 

Kali Malone


本日、デジタルストリーミングのみで公開された「Does Spring Hide Its Joy v2.3」は、同名の映像作品のために提供された。実験音楽作曲家、Kali Malone(カリ・マローン)による没入型オーディオ体験で、スティーブン・オマリーとルーシー・レイルトンがミュージシャンとして参加しています。

 

4日間にわたるマルチチャンネル・サウンド・インスタレーションで、バーケンヘッド・ドックにある水圧塔とエンジンハウスで、深いリスニング環境が提供される。

 

『Does Spring Hide Its Joy』は、2020年春のロックダウンの期間中に、ベルリン・ファンクハウス&モノムで制作・録音された。音楽は、7進数のジャスト・イントネーションとビートの干渉パターンに焦点を当てた、長尺の非線形デュレーション作曲の研究である。その長さは22分にも及び、これまでのこのアーティストと同様、ドローンの音響の可能性を追求している。 

 

この映像作品に登場する1868年にエンジニアのジェシー・ハートリーによって設計された中央水力塔とエンジンハウスは、イタリアのフィレンツェにあるルネッサンス期の洞窟、パラッツォ・ヴェッキオを基にしている。

 

 

 

第二次世界大戦中に爆撃され、19世紀の象徴的なグレードII指定建造物は、何十年も使用されないまま放置されてきました。この産業エネルギーの空っぽの部屋で、マローンのデュレイショナル・コンポジションは、多孔質のレンガの壁を通して呼吸し、蛇行し、ドックランドの水面に向かって反響しています。

 

映像監督のコメントは以下の通り。


  「私は、この作品に付随するフィルムを監督しました。バーケンヘッド・ドックの水圧塔とエンジンハウスの廃墟を撮影し、自然が静かにその権利を取り戻したこの工業地帯の震えるような肖像画を作りました。
私は、カメラの熱っぽい動きと彷徨によって、この荒涼とした空間に人間の存在を導入しようとした。建物を巨大な空の骨格として撮影するだけではなく、建物や崩壊した屋根、穴、床に散らばる苔や瓦礫、焼けた木片、そしてこの廃墟を彼らの王国としたすべての生き物たちと一緒に撮影しようとしたのである」


    この映像作品『Does Spring Hide Its Joy』は、Abandon Normal Devicesの依頼を受け、アーツカウンシル・イングランドの資金援助を得て、オイスター・フィルムズが配給している。助監督はスウェットマザーが担当。

 

映像作品の公開は未定となっている。


また、Kali Maloneは新作アルバム『Does Spring Hide Its Joy』のリリースを発表しました。この新作は来年の1月20日にリリースされる。

 

Ideologic Organは、Kali Maloneの新しいアルバムDoes Spring Hide Its Joyを、2時間のLP盤、3時間のCD盤、そして全てのデジタルフォーマットでお届けすることを嬉しく思います。


『Does Spring Hide Its Joy』は、作曲家Kali Maloneによる没入型の作品で、Stephen O'Malley(エレキギター)、Lucy Railton(チェロ)、そしてM Malone自身が調律したサイン波オシレーターを使用しています。この音楽は、ハーモニクスと非線形作曲の研究であり、イントネーションとビートの干渉パターンに焦点を当てたものです。パイプオルガンの調律、和声理論、長時間の作曲の経験が、この作品の出発点となっています。彼女のニュアンスに富んだミニマリズムは、驚くべき焦点の深さを展開し、リスナーの注意の中に瞑想的な空間を切り開くのです。

 
『Does Spring Hide Its Joy』は、マローンの絶賛されたレコード『The Sacrificial Code [Ideal Recordings, 2019] & Living Torch [Portraits GRM, 2022]』に続く作品である。彼女のコラボレーション・アプローチは前作から拡大し、ミュージシャンのスティーヴン・オマリー&ルーシー・レイルトンを作品の制作と発展に密接に巻き込んでいる。音楽はマローンのサウンドパレットでありながら、彼女はオマリー&レイルトンのユニークなスタイルとテクニックのために特別に作曲し、音楽全体に主観的解釈と非階層的な動きのためのフレームワークを提示します。


Does Spring Hide Its Joyは、チェロ、サイン波、エレクトリックギターの間でゆっくりと進化するハーモニーと音色を追った、長さを変えられる持続的な体験です。リスナーとしては、これらの分岐点の間の移行を特定することは困難である。


エレキギターの飽和した音色とチェロの豊かな周期性が混ざり合い、正確なサイン波に対して倍音のフィードバックが干渉パターンを描き、楽器編成や演奏者のアイデンティティは不明瞭でありながら統一されている。エレキギターの飽和するような音色とチェロの豊かな周期性が混ざり合い、正確なサイン波に対して倍音のフィードバックが干渉し合い、緩やかながらも常に起こり続けるハーモニーの変化は、聴き手の静と動の感覚を挑発する。音楽を把握した瞬間、わずかな視点の変化により、新たなハーモニーの体験へと注意が導かれる。


『Does Spring Hide Its Joy』は、2020年の3月から5月にかけて制作されました。パンデミックのこの不穏な時期に、マローンはベルリンで、新しい作曲方法を考えるための多くの時間と概念的空間を手に入れた。

 

現地に残っていた数名のインターン生とともに、MaloneはBerlin Funkhaus & MONOMに招かれ、誰もいないコンサートホール内で新しい音楽を開発し、レコーディングすることになりました。この機会に、彼女は親しい友人であり、コラボレーターでもあるルーシー・レイルトン、スティーブン・オマリーとともに小さなアンサンブルを結成し、それらの様々な音響空間の中で、これらの新しい構造的なアイデアを探求することにしました。そして、Does Spring Hide Its Joyの基礎が築かれたのです。



カリ自身の言葉を借りれば 「世界中のほとんどの人と同じように、私の時間に対する認識は、2020年の春の大流行の閉塞感の中で、大きな変容を遂げました。慣れ親しんだ人生の節目もなく、日や月が流れ、本能的に混ざり合い、終わりが見えなかった。時間が止まっているのは、環境の微妙な変化により、時間が経過したことが示唆されるときである。記憶は不連続に曖昧になり、現実の布は劣化し、予期せぬ親族関係が生まれては消え、その間、季節は移り変わり、失ったものはないまま進んでいく。この音楽を何時間もかけて演奏することは、数え切れないほどの人生の転機を消化し、一緒に時間を過ごすための深い方法だった」



『Does Spring Hide Its Joy』は、その後、ヨーロッパの多くの舞台で60分と90分のライブ演奏が行われた。チューリッヒのSchauspielhaus、ブリュッセルのBozar、ミュンヘンのHaus Der Kunst、オスロのMunch Museumなど、ヨーロッパの多くの舞台で60分と90分のライブ公演が行われました。

 

今後、クラクフのUnsound Festival、バルセロナのMira Festival、ヴェネツィア・ビエンナーレ、ロンドンのサウスバンク・センターのパーセルルームなどでのコンサートが予定されている。



ライブコンサートだけでなく、Funkhausで録音された『Does Spring Hide Its Joy』は、サイトスペシフィックなサウンドインスタレーションとして並行して展開されている。さらにマローンは、ビデオアーティストのニカ・ミラノを招き、楽譜を解釈し、第4の奏者として伴奏するアナログビデオ作品をカスタム制作し、作曲の音響原理からインスピレーションを得た視覚的雰囲気を作り上げました。ミラノの作品から8つの連続したビデオスチールがアルバムアートワークに採用されています。

 

 

Kali Malone 『Does Spring Hide Its Joy』

 

 

Label: Ideologic Organ

Release: 2023年1月20日

 

 

 Tracklist:

 

1.Does Spring Hide Its Joy v1.1

2.Does Spring Hide Its Joy v1.2

3.Does Spring Hide Its Joy v1.3

4.Does Spring Hide Its Joy v2.1

5.Does Spring Hide Its Joy v2.2

6.Does Spring Hide Its Joy v2.3

7.Does Spring Hide Its Joy v1

8.Does Spring Hide Its Joy v2

9.Does Spring Hide Its Joy v3

 

The Coutesy Of Artist


NYの声楽家/パフォーマー/演出家として世界的に活躍する、Meredit Monk(メレディス・モンク)が、本日、11月11日、ドイツのECMから13枚組のボックスセットをリリースした。このリイシューはこれまでのキャリアを総括する作品となり、アーティストの80歳の誕生日を記念して発売される。



作品紹介


モンクは、芸術の歴史において決して存在しなかった世界を描き出した。内臓と幽玄、生と歓喜が同居する彼女の作品は、都市生活の偽りの複雑さを追い払い、地下文明の一種を明らかにする。"時代を超えた力を歌い、踊り、瞑想する。

 

アレックス・ロス、『ニューヨーカー』誌


『ザ・レコーディングス』は、メレディス・モンクの80歳の誕生日に、これまでのECMニューシリーズの全ディスクをまとめたボックスセット・エディションである。ベルリンの壁崩壊以前のドイツで録音された1981年の『ドルメン・ミュージック』で、メレディスはECMの録音で初めて女性ボーカルのフロント・パーソンとなった。

 

本作に収録されているのは、「ドルメン・ミュージック」「タートル・ドリームス」「ドゥ・ユー・ビー」「ブック・オブ・デイズ」「フェイシング・ノース」「ATLAS」「ボルケーノ・ソングス」「慈悲、無常、ソングス・オブ・アセンション」「ピアノ・ソングス」「オン・ビハーフ・オブ・ネイチャー」といった名作アルバムである。どの作品も深い啓示に満ちています。

 

この美しいデザインのボックスセットには、オリジナルのライナーノーツに加え、新しいテキストやインタビューが300ページに及ぶブックレットとして収録されています。さらに、フランク・J・オテリによる紹介エッセイ「メレディス・モンクの世界」、メレディスの自伝的文章「魂の使者」、マンフレッド・アイヒャーによる序文が併録されています。


 



Meredith Monk 『The Recordings』




Label: ECM

Release: 2022年11月11日



 Official-order:


https://ecm.lnk.to/MeredithMonkTheRecordingsID




Meredith Monk  -Biography-



 作曲家であり歌手でもあるメレディス・モンクの作品は、常にカテゴライズされることを拒んできた。


 1964年に始まったプロとしてのキャリアを通じて、彼女は音楽やダンスだけでなく、映画、インスタレーション、サイトスペシフィック作品など、さまざまな分野で実験を行うだけでなく、頻繁に新しい道を切り開いてきた。特に、現在では学際的なパフォーマンスや拡張された声楽技法のパイオニアであり、「声の魔術師」と賞賛されている。

 

 メレディス・モンクは1942年にニューヨークで生まれ、サラ・ローレンス大学で学んだ。1960年代初頭、彼女は多面的な楽器としての声の探求を始め、ドローンを作り出し、モードを探求し、言葉を使わない発声をする能力を身につけた。その後、無伴奏の声や声とキーボードのためのソロ作品を数多く作曲し、演奏している。1968年、モンクは学際的なパフォーマンスを目的としたカンパニー、ザ・ハウスを設立し、その10年後、彼女の音楽のテクスチャーとフォームの幅をさらに広げるためにメレディス・モンク&ボーカル・アンサンブルを設立しました。

 

 『ドルメン・ミュージック』(1981年)以来、モンクはECMのニューシリーズで12枚以上の録音を行い、2008年のグラミー賞にノミネートされた『impermanence』や、モンクの初期の作品には珍しく声と楽器を組み合わせた高い評価を得た『Songs of Ascension』(2011年)などがあります。『ブック・オブ・デイズ』(1990)はECMのプロデューサー、マンフレッド・アイヒャーによって「耳のための映画」と評され、同名の映画に起源を持つ。『ピアノ・ソングス』(2014)は、ニューミュージックの最も優れた解釈者であるアメリカのピアニスト、ウルスラ・オペンスとブルース・ブルーベイカーの2人が演奏し、彼女の楽器による作品の、同時に直接的、特殊、想像的であまり知られていない側面に光を当てるものである。

 

 トム・サービスは、モンクの「並外れた叫び声や呪文のような言葉なきアクロバット」を賞賛し、彼女の偉大な功績はそれらを「完全に、自然で、中心的で、本質的な」ものにすることだと付け加えている。ワシントン・ポスト紙の言葉を借りれば 「独創性、範囲、深さにおいて、彼女に匹敵する者はほとんどいない。メレディス・モンクは、1995年のマッカーサー財団「ジーニアス」賞をはじめ、数多くの国際的な賞を受賞している。2015年にはホワイトハウスでオバマ大統領から米国の国家芸術勲章を授与された。


ECM 公式サイトより抜粋

 日本の電子音楽家/プロデューサー、蓮沼執太は、既に三作の 不定期シングルリリースプロジェクトの一貫として、11月4日にニューシングル「Irie」を発表している。

 

本楽曲は、蓮沼が制作したベーシックな電子音やギター演奏に、ジェフ・パーカーが自由に音をオーバーダブしていく過程で制作が行われた。タイトルの「Irie」は 日本語でいう「入り江」の意味する。陸地と海の境目を水がゆっくりと行き来するようなサウンド・スケープに仕上がったという。

 

 

蓮沼執太




 

 波打ち際を眺めながら、波音を聴いていて、「こんな音楽が作りたい」と思って、”Irie"の原型が出来たのですが、どうもしっくりきませんでした。そこで、僕が尊敬しているギタリスト、Jeff Parkerにギターで自由に音を入れて欲しいとお願いをしました。彼から届いた二種のレイヤーに分かれたギターの音色は、音楽の水面に波動を与えて、本当の「入り江」のようになって、楽曲に命を吹き込んでくれました。

 

 

Jeff Parker

 



 僕の友達から「Irie」でギターを弾いてくれないかと聞かれたときは、「一体、どんな音楽なんだろう? アンビエント、和声的、メロディアス、それともリズミカルな感じかな?」と興味が湧きました。「どんな音が聴き取れるんだろう?」なんてことも考えたり。Shutaの音楽がこれらすべての要素を含んでいることを知ったときにはとても驚きました。そして、今は彼の作り出す音楽的世界観の中で自分も演奏出来ることに感動しています。



蓮沼執太は、以前に、「Weather」「Pierrepont」「Hypha」と3つのシングルをリリースしている。新曲「Irie」はシングルリリースプロジェクトの4作目となる。

 

 

蓮沼執太(Hasunuma Syuta) 「Irie」   New Single


 

Label: Shuta Hasunuma

Release: 2022年11月4日


Tracklist:

1. Irie



 楽曲のご試聴/ダウンロード:

 

https://virginmusic.lnk.to/Irie


Kathryn Mohr 『Holy』 


 

 Label:  The Flenser

 Release: 2022年10月21日

 

Official-order


 

Review

 

 キャサリン・モーアは、この作品のレコーディングをニューメキシコの田舎で行い、アンビエントドローン、ローファイ、フィールドレコーディング、エクスペリメンタルミュージックと、多角的な音楽のアプローチを追求している。

 

アルバム制作の契機となったのは、サンフランシスコ海岸に打ち上げられた不可思議な浮遊物、その誰のものともつかない、どこから来たものとも解せないミステリアスなテーマを介して、この音の世界をひとつらなりの物語のように丹念に紡いでいきます。その中に、このアーティストなりの内的に収まりがつかないいくつかの抽象的な概念、人間という存在の儚さ、記憶の歪み、そしてトラウマがこの世界の体験をどのように変化するのかを追い求める音楽となっている。


 一曲目の「___(a)」という不可解な題名からして、グロッケンシュピールのような音色を交えたシンセサイザーのフレーズが展開され、それは際限のない抽象的な空間の中へとリスナーをいざなう。ミステリアスでもあり、なにか次のトラックの呼び水となり、さらにはEP全体のオープニングのようでもある。それを受けて展開されていくのは、意外にも暗鬱なスロウコアを彷彿とさせるローファイの世界。粗いギターの音色、そして同じようなコードを反復しながら、キャサリン・モーアはローファイ感のあるボーカルトラックを紡ぎ出している。それは、歌声を介して、これらの内的な不可思議な世界や、作品のテーマであるサンフランシスコの海岸に流れ着いたミステリアスな浮遊物の存在をおもむろに解き明かしていくかのようでもある。その雰囲気は、アンビエントとフォークの融合を試みている、ポートランドのGrouperのアプローチに比するものがありますが、キャサリン・モーアはコーラスの多重録音により、この楽曲に親しみやすさを与えている。

 

その後も、ミステリアスな世界はジャンルレスに続いていく。エレクトロニカ/フォークトロニカに近い「Red」では内向的な電子音楽の領域を探求する。ミニマルとグリッチとノイズの中間にあるこの三曲目でさらに、キャサリン・モーアは内側の世界へ、さらなる奥深い世界へと静かにその階段を降りていく。それはまるで、はてない内的な空間を切り開いていくかのようである。


そうかと思えば、次のタイトルトラックでは、Girl In Redのようなベッドルームポップ/ローファイの質感を持った親しみやすいボーカルトラックが提示されている。しかし、それらはやはりスロウコア/サッドコアのようにきわめて内省的なサウンドが繰り広げられ、淡々と同じコードが続き、また同じコーラスワークが続いていく。曲は単調ではあるのだが、不思議と飽きさせないような奥行きがあるように感じられる。

 

その後の一曲目と同系にある「___(b)」では、フィールドレコーディングで録音したと思われる大気の摩擦するような音だけが延々と再生される。これは、もしかすると、ニューメキシコの砂漠がちな大地で録音された音と考えられるが、わずか一分半の短いトラックは、この土地のワイルドな雰囲気を思わせるのみならず、際限のない空間がそれとは対極にあるコンパクトなサンプリングとして取り入れられている。これは、アンビエントともドローンともいえない、音楽の連想的な作用を生じされる特異なエクスペリメンタルミュージックである。


続く「Glare Valley」で、キャサリン・モーアは、モダンな雰囲気を持つ、ローファイ/インディーロックを展開させていく。ノイズを過度に施したエフェクト処理は、最近のハイパーポップへの傾倒も伺わせるが、おそらくキャサリ・モーアが追い求めるのは、この音楽に代表されるような脚色や華美さなのではなく、きわめて質朴で純粋な感覚である。キャサリン・モーアは、ただ、ひたすら、自分自身に静かに何度も何度も問いかけるように、内側の世界へとエレクトリックギターの弾き語りを通じ、抽象的な表現性の核心にこの音楽を通じて向かっていく。きわめて内省的で危うげな世界へ、このアーティストはおそれしらずに踏み入れ、内面を丹念に検めていくのだ。


EPのクローズとなる「Nin Jiom」では、再び、エレクトロニカの世界へと舞い戻る。これも「Red」のように、そつないミニマルミュージックではあるが、この中にもローファイなコーラスワークが取り入れられている。それは内面の感情をコーラスとして置換したかのように亡霊的な響きを持ち、聞き手をさらなるミステリアスな世界へ引き込んでいく。そして、それらの断続的な世界は、ふと、作品のクライマックスの語りのサンプリングにより途絶えてしまう。得難いことに、それまであった空間が、このサブリミナル効果のあるサンプリングにより一気に遮断されるのだ。きわめて部分的であり、瞬間的であり、感覚的であり、断片的でもある。そもそも、連続性という概念を、この作品全体の中で完膚なきまでに拒絶しているようにも見受けられるが、してみれば、それこそがこのアーティストが表現したかったなにかなのかもしれない。

 

総じて、この新作EP『Holly』は、ニューメキシコの砂漠地方の乾いた雄大な風景を思わせるとともに、内的な感覚を繊細かつ綿密に表現し、アーティストの心の中にわだかまる聖なるものと邪なるものの間で、たえず揺れ動くかのような作風となっている。しかしながら、作者は、常に、この形而下の狭間に落ち着かなく身を置きつつも、たしかに、聖なるもののほうへ魅力を感じており、そちらがわに引きずられようとしている。それが、本作のタイトルが『Holly』となった所以なのかもしれない。

 

これらの多次元的で分離的な作風が、より大がかりな形式のフルアルバムとなった時、どのような作品になるのだろうかと、「Holly」は大いに期待させてくれるものがある。今作は、耳の肥えた実験音楽のファンにとどまらず、ローファイのファンにとっても見逃せないリリースとなっている。



78/100




 


 フランスのミュージシャン、アーティスト、詩人として活動する、Merle Bardenoir(メル・バルドゥノワール)のプロジェクト、Glamourieがデビュー・アルバム『Imaginal Stage』をKalamine Recordsから9月24日にリリースしました。是非、下記よりチェックしてみて下さい。

 

Glamourieの音楽は、ほとんどがインストゥルメンタルで、プロジェクトを構成する幻想的なテーマの展開は、タイトルだけでなく、ビジュアルを通じても展開される。また、メル・バルドゥノワールは、画家/イラストレーターとしても活動しており、美しく幻想的なアートワークを幾つか製作しています。(アートワークの作品の詳細については、アーティストの公式ホームページを御覧下さい)

 

『Imaginal Stage』は、オーガニック・アンビエント、サイケデリック・フォーク、ポスト・ミニマリズムを融合した画期的な作風であり、どことなくエキゾチックな雰囲気を漂わせている。

 

この電子音響作品のタイトルは、昆虫の最終段階である”イマーゴ”に因んでいるという。この作品では、妖精のような雰囲気が、プログレッシブなレイヤーとヒプノティックなループを通して、音のさなぎから姿を現す。このアルバムには、ハンマーダルシマー、アルトフルート、幽玄な声、レゾナンスボックス、伝統的なパーカッションが含まれ、様々な電子効果が変換されている。

 

各トラックは、Merle Bardenoirによるオリジナルアートワークで描かれています。アルバムの楽曲はBandcampにてご視聴/ご購入することが出来ます。 アートワークとともに下記より御覧下さい。

 

 

 

 

 

『Imaginal Stage』 Artwork

 

 


 

グアテマラ出身、現在、メキシコシティで活動を行うチェロ奏者、Mabe Fratti(メイべ・フラッティ)は、10月14日に”Unheard of Hope”からリリースされるニューアルバム『Se Ve Desde Aquí』を発表しました。

 

そのファーストシングル「Cada músculo」が、Nika Milano監督によるビデオとともに本日リリースされました。以下でお楽しみください。


「Cada músculo」は、Mabe Frattiが世界がどのように形作られるかというメタファーを探求している。

 

あなたの人生、空間、私たちの周囲のあらゆる部分が自動的にあなたの一部となり、あなたが世界を経験し、感じ、それに伴い、あなたがどう変化するのかを表しています。ビデオでは、マイクロフォンをシンボルとして(空に見える)空間に声が与えられており、「すべての筋肉には声がある」という歌詞の中で言及しています。


フラッティは、このアルバムのサウンドを「あまり規則が守られていない」「生の美学、そして "汚さ "を通して知らされる」と表現している。

 

「レイヤリングはしたけれど、それはもっと特定の瞬間のもの。できるだけ生っぽくしたかったし、同じ楽器をオーバーダビングするのはできるかぎり避け、その過程で自分自身のルールを破るスペースを残したかった」

 


 

『Se Ve Desde Aquí』は、Frattiの2021年発表の2nd LP『Será que ahora podremos entendernos?』に続く作品となる。

 

 

 

Mabe Fratti      『Se Ve Desde Aquí』

 


 

Tracklist:

1. Con Esfuerzo
2. Desde el cielo
3. No se ve desde acá
4. Esta Vez
5. Cuestión de tiempo
6. Algo grandioso
7. Cada Músculo
8. Deja de empujar
9. Siempre tocas algo


 


日本のアンダーグラウンドミュージックの大御所ー灰野敬二、そして、カナダのヘヴィロックバンドーSUMACが、新たなコラボレーション・アルバム『Into This Juvenile Apocalypse Our Golden Blood to Pour Let Us Never』でタッグを組んでいる。


6つのエクスパンテッドバージョンとしてリリースされるこのアルバムは、2019年5月、バンクーバーのアストリア・ホテルで、前者の北米ツアー中に灰野敬二とSUMACが一度限りのパフォーマンスで集った際にレコーディングが行われた。この公演の前に "楽曲の方向性に関わる事前の話し合いや企画等は一切行われなかった "という。

 

『Into This Juvenile Apocalypse Our Golden Blood to Pour Let Us Never』は、2018年の『American Dollar Bill - Keep Facing Sideways, You're Too Hideous To Look At Face On』、そして、2019年の『Even For Just The Briefest Moment Keep Charging This "Expiation" / Plug In To Make It Slightly Better』に続く作品。灰野敬二とSUMACの共同フルアルバムとしては通算三作目となる。


アルバム『Into This Juvenile Apocalypse Our Golden Blood to Pour Let Us Never』、2022年10月7日にThrill Jockyからリリースされる。


Kali Maloneは、Portraits GRMから『Living Torch』と題された二曲収録の新しいアルバムを7月7日にリリースしました。

 

スウェーデン・ストックホルムを拠点に活動を行うカリ・マローンは、新世代のサウンド・アーティストであり、ポスト・ミニマル音楽の作曲家。 そして、西洋音楽を歴史を継承する現代音楽家で、2010年代のエクスペリメンタル・ミュージック・パフォーマーでもある。

 

2020年から2021年にかけて、フランス・パリのGRMスタジオで作曲された『Living Torch』は、トロンボーン、バスクラリネット、boîte à bourdon、Éliane RadigueのARP 2500シンセサイザーなどの電子音響アンサンブルが収録された作品で、2019年の『The Sacrificial Code』の続編となります。 

 

 





Kali Malone 「Living Tourch』




Tracklist:

1. Living Torch I
2. Living Torch II