©︎ Rachel Winslow


シカゴのピアニスト/作曲家、Gia Margaret(ジア・マーガレット)が2018年の『There's Always Glimmer』以来となる初ボーカルアルバム『Singing』を発表した。アコースティックピアノを中心に制作された前作『Romantic Piano』に続く待望の新作となる。アーティストは近年来日公演も行っている。


『Singing』の音楽は、沈黙の中で培った宝石細工師のような細部への繊細な感性を示している。「音を聴いて何かを感じる。だからこそ私たちは音楽に惹かれる。スタジオのあらゆる機材に深い感情的な愛着がある。各楽器には、私に特定の感情を抱かせる何かが宿っている」とマーガレットは語る。


『Singing』制作の過程は、そうした感覚一つひとつを信頼する方法を学ぶ旅だった。アルバムの一部はロンドンでFrou Frouのガイ・シグスワースと共に録音され、彼がマーガレットの奔放なアイデアを統合する手助けをした。  


次作には声楽の魅力が凝縮されている。ILĀによるグレゴリオ聖歌やターンテーブルのスクラッチなど、数多くの要素が込められいる。 またデイヴィッド・バザンとエイミー・ミラン、カート・ヴァイルとショーン・キャリーも参加。マーガレットの長年の共同制作者ダグ・サルツマンは本作の大半で演奏と共同プロデュースを担当。ザ・ウィーピーズ出身のデブ・タランは、アルバムの締めくくりであり決定的な声明とも言える「E-Motion」に歌声とピアノ、ギターを提供した。 


「こうしたコラボレーター(今は友人)との出会いの多くは、まったくの偶然の産物でした」とマーガレットは語る。 「まるで彼らが私の中に何かを感じ取ったかのよう。それは確かに、そもそも彼らに影響されたものだったと思う」しかし彼女が言うように、他のアーティストに音楽を開放しようとした試みは「結局、自分自身へと戻ってきた。なぜなら、私は本当にプロデュースが好きだと気づいたから。自分でそれらを探求しないことで、何かを見逃している気がした」


ジア・マーガレットは過去に声帯を痛め、シンガーとしては厳しい状態に立たされたものの、前作で自信を取り戻し、ボーカルアルバム『Singing』で復活を遂げる。先行シングル「Everyone Around Me Dancing」はピアノとエレクトロニックのビート、ボーカルを掛け合わせた優美な一曲。同楽曲はキャサリン・ロメディコ監督によるミュージックビデオが同時公開された。


「Everyone Around Me Dancing」


Gia Margaret 『Singing』


Label: jagujaguwar
Release: 2026年4月26日


Tracklist:

1.Everyone Around Me Dancing

2.Cellular Reverse

3.Alive Inside

4.Moon Not Mine

5.Rotten

6.Rotten Outro

7.Good Friend

8.Phenomenon

9.Ambient for Ichiko

10.Phone Screen

11.Guitar Duo

12.E-Motion


ニューヨークの作曲家/シンガー、Mitskiが2月27日、Dead Oceansよりニューアルバム『Nothing’s About to Happen to Me』をリリースする。本日、同作のセカンドシングル「I’ll Change For You」を公開した。ミツキの新アルバム『Nothing’s About to Happen to Me』が2月27日、Dead Oceansよりリリースされる。また、世界規模のツアー日程も発表された。


Nothing’s About to Happen to Me』では、ミツキが荒れ果てた家に閉じこもる女性を主人公とした豊かな物語に没入している。 家の外では彼女は異端児、家の中では自由。レキシー・アレイ監督、レナ・ジョンソン編集による「I’ll Change for You」のミュージックビデオは、この世界を拡張し、アレイが撮影したアルバム写真で提示されたタンジー・ハウスの混沌とした散らかった宇宙へと深く踏み込む。


ミツキは『Nothing’s About to Happen to Me』の全楽曲を作詞作曲し、全ボーカルを担当。パトリック・ハイランドがプロデュースとエンジニアリングを、ボブ・ウェストンがマスタリングを手掛けた本作は、『The Land Is Inhospitable and So Are We』(2023年)で確立された音楽的路線を継承し、『The Land』のツアーバンドによる生演奏とアンサンブルアレンジをフィーチャーしている。 オーケストラはサンセット・サウンドとTTGスタジオで録音され、ドリュー・エリクソンが編曲・指揮を担当、マイケル・ハリスがエンジニアリングを担当した。


ミツキは『Nothing’s About to Happen to Me』を世界各国の主要都市で披露し、主要会場でのレジデンシー公演を実施する予定。


ミツキの常連コラボレーターであるパトリック・ハイランドがプロデュースとエンジニアリングを担当した「Nothing's About to Happen to Me」は、ボブ・ウェストンによってマスタリングされた。ミツキはアルバムの全楽曲を作詞作曲し、全ボーカルを自ら担当。ツアーバンドがバックを務めた。また、ドリュー・エリクソンが編曲・指揮、マイケル・ハリスがエンジニアリングを担当したオーケストラとのレコーディングをサンセット・サウンドとTTGスタジオで行っている。


「I'll Change For You」

九段ハウス/東京・千代田区 ©︎Martin Margiela


登録有形文化財・九段ハウスにて、アーティストとして活動するMartin Margiela(マルタン・マルジェラ)の日本初となる大規模個展「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE」を開催いたします。

 

1927年竣工の歴史的な邸宅という空間に、現代美術作品を展示するというコントラストに、Margielaは強い関心を寄せています。本展では、邸宅全体を舞台に、数多くの作品が儚くも一時的なインスタレーションとして展開されます。


 

・ABOUT THE EXHIBITION


Martin Margielaは、再利用、分解、変容といったテーマへの探究を継続しており、その創作において人間の身体は今なお重要なインスピレーションの源であり続けています。


Margielaの作品は、日常の中にありながら見過ごされがちな物や状況への鋭い観察から生まれ、平凡なものが非凡なものへと転化していきます。


本展では、コラージュ、絵画、ドローイング、彫刻、アッサンブラージュ、映像作品など、多様な技法による作品を紹介します。


生活の痕跡が残る古い邸宅に作品を設えるという選択は、Margielaにとって大切な「私的な空気感」を反映するものです。


来場者は、邸宅全体に広がるさまざまな部屋を巡りながら、極めて親密な距離感の中で作品と向き合う体験へと招かれます。


なお、展示構成およびキュレーションは、すべてアーティスト自身によって手がけられています。

 

・FROM THE ARTIST


「匿名性は、私の創造の自由にとって不可欠なプライバシーを守るために必要なものです。

ファッションの時代と同じ興味や強迫観念を、私は今も持ち続けていますが、人間の身体はもはや唯一の表現媒体ではありません。」


「私は常に観察者であり、日常的な物や状況から強いインスピレーションを受けています。

今日ではさまざまな技術的サポートを用いることが当たり前になっていますが、私は可能な限り、手仕事のプロセスを見せることにこだわっています。それが、不完全さやパティナ、未完成の美に対する私の深い愛情につながっています。」


「私は答えを示すよりも、問いを投げかけたいのです。」


・ABOUT THE EXHIBITION VENUE


本展の会場となる九段ハウスは、1927年に竣工したスペイン様式の洋館を改修した、会員制ビジネス・イノベーション拠点です。旧山口萬吉邸として知られ、現在は登録有形文化財に指定されています。


本年4月、Martin Margielaはこの場所において、かつての家族邸宅が持つ私的で親密な空気感を蘇らせることを選びました。


九段ハウスを訪れたMargiela自身もその佇まいや空気感に強い共鳴を覚えています。


2000年、彼は東京・恵比寿の歴史ある邸宅に、世界初となる「Maison Martin Margiela(メゾン マルタン マルジェラ)」の店舗をオープンし、浴室やキッチンを含む邸宅全体にコレクションを展示しました。


そして四半世紀を経た2026年、再び東京へと戻り、同じく歴史的な邸宅である九段ハウスで作品を発表することを選びました。


「再び東京に戻り、1927年に建てられたこの家で作品を見せられることを嬉しく思います。2000年のときと同じように、来場者が各部屋の親密な空間の中で作品と出会い、驚きを感じてもらえることを願っています。」 -Martin Margiela 

・SELECTED WORKS



・ABOUT THE ARTIST : Martin Margiela

1957年 ベルギー・ルーヴェン生まれ

1980年 アントワープ王立芸術学院卒業

1984–1987年 Jean-Paul Gaultier(ジャン=ポール・ゴルチエ)(パリ)のアトリエでデザインアシスタントをスタート

1988年 Jenny Meiren(ジェニー・メレンズ)とともにパリで「Maison Martin Margiela(メゾン マルタン マルジェラ)」を設立、初のショーを発表

1997–2003年 「Hermès(エルメス)」(パリ)ウィメンズ クリエイティブ・ディレクター

2008年 20周年ショーを機にファッション界を離れ、ビジュアルアートに専念

2019年 Bielefeld Kunsthalle(ビーレフェルト美術館)にて初のグループ展

2021年 パリのLafayette Anticipations(ラファイエット・アンティシパシオン)にて初の個展

2022年 同展が北京・MWoods(エムウッズ)に巡回

2023年 同展がソウル・Lotte Museum of Art(ロッテ美術館)に巡回

2023年 アムステルダム・Eenwerk Galleryにて個展

2024年 ブリュッセルおよびアテネのBernier / Eliades Galleryにて個展

・EXHIBITION DETAILS

会期:2026年4月11日(土)- 2026年4月29日(水)

開館時間:10:00〜19:00(最終入場18:00)

※2026年4月29日(水・祝)のみ最終入場16:00、閉館時間17:00

会場:九段ハウス

〒1020073 東京都千代田区九段北1-15-9

観覧料:一般 2,500円(税込)

チケット購入オンラインサイト:

https://artsticker.app/events/103820

【クレジット】

主催:原田 崇人(rin art association)

共催:kudan house

協力:Bernier / Eliades Gallery

 Gallery NAO MASAKI

Taka Ishii Gallery

協賛:株式会社ジンズホールディングス

制作:黒瀧 紀代士

Kornieieva Varvara

黒瀧 保士

   

制作協力:

株式会社 アートコア

株式会社 原人社

ハイロックデザインオフィス

糟谷 健三

 

ウェブデザイン・制作:

Thought. / SA . 

イングリッシュ・バロックの世界 シェイクスピアと演劇 ヘンリー・パーセルのセミオペラの登場

 

・フランスとの交流 イギリス国教会との音楽の歩み

シェイクスピア

 

イタリアやフランスで沸き起こったルネサンス運動は、イギリスでも16世紀から17世紀にかけて隆盛をきわめた。元々、イギリス文化に関しては、単一民族で成立したものではない。10世紀にノルマン人が北フランスのコタンタン半島にノルマンディー公国を打ち立てた。6世紀ごろからノルマンディはイングランドに侵攻し、専有地を設けた。その後、1066年になると、ノルマンディー公国のウィリアムがイングランドを征服、やがてノルマン朝を樹立した。


このあと、およそ300年にもわたってイギリスは、北フランスとの文化的な交流を続けた。おのずと、宮廷文化の形式、教会文化を両国は共有することになった。また、それ以降、イギリスにはフランスの音楽が伝来し、12世紀から13世紀にかけてイギリスの音楽のほとんどはパリの影響下にあった。イギリス音楽はノートルダム楽派の影響を受け、発展し、やがてそれはフランスのブルゴーニュ楽派の成立を後押しした。

 

こうした中、イギリス音楽は第二期とも呼ぶべき発展の時代を迎えた。それが宗教音楽の時代である。イギリス国教会ではカトリック的な典礼の中で、音楽文化を育んできたが、ヘンリ8世の時代から従来のカトリック式の典礼を改革した。従来のラテン語での歌唱を取りやめ、音楽的にもカルヴァン派の手法を取り入れることになった。その中で、アンセムが登場し、合唱隊が活躍。エリザベス一世の時代には、バード、タリスといった宗教音楽の優れた作曲家が登場した。

 

いかにイギリス音楽の発展が公国や王族、そして宗教音楽によって支えられてきた側面があるとはいえども、16世紀から17世紀以降に差し掛かると、イタリアのオペラが登場し、イギリスンの音楽も変容せざるを得なくなった。そして、このイタリアやフランスでのオペラやバレエの発展を期に、イギリスのバロック音楽も歴史上において重要な分岐点を迎えたのだった。

 

 

・シェイクスピアと演劇、そしてオペラ 


その音楽発展を支えたのが、戯曲や演劇で有名なウィリアム・シェイクスピアである。現在ではシェイクスピアのオペラは総数300以上にものぼり、もはや定番化している。通称ロミジュリこと「ロミオとジュリエット」、 「マクベス」、「夏の夜の夢」など、グノー、ヴェルディ、ブリテンなど国内外の優れた作曲家らが、シェイクスピアの劇伴音楽に取り組んできた。


シェイクスピアの戯曲は、文章だけで読んでも味気なく、舞台上の人物たちの動き、口頭劇、そして時には音楽的な内容が伴わないと、物足りなさを覚える。言ってみれば、シェイクスピアが目指したのは、オペラそのものだったのではないかとさえ思える。

 

ウィリアム・シェイクスピアはゲーテ、セルバンデスと並ぶ世界的な文豪という一般的な評価を与えられている。実際的に、彼の戯曲を読んで見ればわかるが、その圧倒されるような文章量は、他の追随を許さない。しかし、他方、シェイクスピアは必ずしも文学者だけにとどまる人物ではなかった。演劇の世界に革命を起こし、そしてその中で、音楽的な要素をもたらし、従来のイギリスの演劇の世界に音楽をもたらしたマルチクリエイターでもあったのである。

 

そもそもシェイクスピアは劇の中で音楽を巧みに使用し、その技術が非常に長けていたと言われている。彼は音楽によって、物語そのものを際立たせたり、あるいは、ストーリーの変化を効果音(SE)で表現することによって、ワーグナーの歌劇のような音楽的な音響効果を付け加えた。


残念ながら、シェイクスピアの時代の演劇に使用された音楽の資料は残されていない。しかし、それらのほとんどはポピュラー音楽に近く、短い効果音のような音響にとどめられていた。一方で、その劇伴音楽の使用法はきわめて多彩な内容であった。例えば、宴会、夜会、行進、決闘など、演劇の象徴的なシーンで、演劇のイメージを強調するような効果音が使用されていた。しかも、それは台本のト書きにも記され、「オーボエ、トランペットなど静かな音楽」と音楽監督のような指示が明確に記載されていたのである。これはシェイクスピアが完全なオペラには至らないにせよ、フランスのバレエやイタリアのオペラを演劇に導入しようとしていた形跡でもある。


また、意外と重要視されないが、シェイクスピアの演劇には音楽が不可欠だった。彼の演劇では出演者の俳優が単独で歌唱を披露したり、 リュートがその歌の伴奏として演奏されることもあった。ポピュラー音楽としての歌曲が導入されることもあり、また、詩学としての効果を強調し、短い韻を踏んだ歌曲まで披露されることもあった。イギリスのスポークンワードのような形式は元をただせば、すでに16−17世紀のシェイクスピアの時代に始まっていたのである。 

 

 

・イギリスのオペラの貢献者、ヘンリー・パーセル 


どうも音楽史を概観すると、他国の文化をライバル視することがあり、それらを巧みに輸入した上で、自国の文化として組み替える動向がある。しかし、翻って、音楽文化の源流をなすイタリアですら、ブルゴーニュやフランドル地方の音楽とは無縁ではなく、何らかの関連性を持っている。このことを勘案すると、文化という概念が一国の生産の集積だけによって形成されるとは考えがたい。これらの文明のやりとりから生じる混交性ーーそれこそが民族が移動し、流動的な文化の側面を持つ、''ヨーロッパの歴史の実態''を形作ってきたとも言えるのである。その一方で、上記の二国に続くようにして、島国であるイギリスにもいよいよ国教会の音楽やカルヴァン派の宗教音楽に続く、イングリッシュオペラが17世紀に登場することになった。

 

それまでにも、イギリスは「シアター(劇場)」の文化が国内に定着していたというが、1642年、ピューリタン革命によって劇場が封鎖された。しばらく劇場の文化は遠ざかっていたが、それが王政復古の時代に入り、復活を遂げる。これがおのずと、優れた作曲家を輩出する機会を形作った。ヘンリー・パーセルは、宮廷の侍従の父親を持ち、幼い時代を英国王室の礼拝堂合唱団で過ごした''王室お抱えの人物''である。そして、フランスがルイ国王を称賛するためのバレエを推進してみせように、イギリスもまた、王政の基盤を支えるための芸術や、その制作を推進したのである。専らパーセルが取り組んだのが、「セミオペラ」と呼ばれる形式で、音楽的には、ブルゴーニュやフランドル学派のマドリガーレや、イタリアンバロックに近い、どことなく優雅な雰囲気を持つ内容である。専門家によれば「演劇とオペラのハイブリッド」だという。

 

ヘンリー・パーセルは、ロイヤル礼拝堂、ウェストミンスター大聖堂や、その他宗教音楽の作曲家として知られている。その一方で、オペラの発展に寄与し、1688年には、ギリシア悲劇的な色合いを持つオペラ「ディドとエネアス」を作曲した。これは最も古いオペラの一つと言われている。また、その他にも、「ディオクレシアン」、「アーサー王」、「ディモン・オブ・アテネ」、そして有名な「妖精の女王」など、音楽的な側面で、歌劇に大きな発展性をもたらした。

 

「セミ・オペラ」はイングリッシュ・オペラの異名を取り、 歌、踊り、器楽を交え、演劇的なエピソードや口語劇を組み合わせた。特に、セミ・オペラは、エンターテインメントの性質が強調され、演劇の中でのストーリーの変化、機械装置、飛行など、ダイナミックな演出効果が用いられ、1673年から1719年にかけて発展していった。一般的に、セミオペラの音響効果は、シーンの切り替わりや超自然的な変化の際に使用されることが多かった。しかし、パーセルは、「マスク」としての側面で完結し、 いわば独立した音楽としての性質を強めたのである。そのため、プロットや演劇の動作と直接的にリンクすることはきわめて少なかった。

 

 

 ・シェイクスピア原作 ヘンリー・パーセル「妖精の女王」


こうした中、ヘンリー・パーセルはシェイクスピア原作を見事なセミオペラとして再編した。その音楽には、イタリアとフランスの古楽を受け継ぎ、演劇化するという意図が込められていた。


『Fairy Queen(妖精の女王』は当時一般的だったように、復古期の観客の好みに合わせるため、劇が改変された。ここでは、無名の改編者がシェイクスピア戯曲を編集し、独自の台詞や舞台指示を追加し、シェイクスピアの台詞の多くを削除し、一部を現代化、変更し、通常は各幕の終盤に向け音楽劇を挿入する機会を創出した。しかし、劇中に、多数の音楽を盛り込むため、物語の一部は簡略化され、複数の出来事の順序も変更された。1692年に初演された際、原作のシェイクスピア劇はまだ''認識''できたが、翌年の二度目の上演ではさらに音楽が追加され、劇のカットや再構成が進んだため、原作を知らない観客には物語を追うのが難しい部分も出ていた。  


1692年のこの作品の初演は費用がかさんだ。パーセルの同時代人が記すところによれば、『妖精の女王』は「シェイクスピア氏の喜劇を基にオペラとして制作された」という。 装飾の豪華さにおいては比類なく、特に歌手と舞踊家の衣装、舞台装置、機械仕掛け、装飾品は豪華に整えられ、舞台が演じられた。宮廷の人々も町の大衆もこれに大いに満足したというが、制作費が膨大だったため、劇団の利益はごくわずかであった。 初期費用の一部を帳消しため、翌年には「改訂・追加と数曲の新曲を追加して再演されたのは間違いない」と記されている。ここにもイタリアのオペラに匹敵する長大な作品を上映しようとする並々ならぬ熱意が感じられる。


タイトルは、1世紀前に書かれたスペンサーの『妖精の女王』から来ている。これはシェイクスピアの戯曲とほぼ同時期の作品。スペンサーの寓意叙事詩はエリザベス1世を称えるプロパガンダの重要な要素であり、彼女の血筋を伝説のアーサー王に結びつけ、処女王の美徳を神話化した。


『妖精の女王』の劇は五幕構成で、各幕の冒頭に器楽曲が置かれている。観客が着席する間、おのおの二曲ずつの第一楽章と第二楽章が演奏された。その後、トランペットのファンファーレで始まる序曲が劇の幕開けを告げる。幕間には場面転換中に演奏される器楽の幕間曲が配置されている。以下に紹介するのは現代的な演劇と歌劇を組み合わせたセミオペラらしいパフォーマンス。




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イギリスのインディーポップバンド、Telemanのドラマーとして活動していたHiro Amaは近年、エレクトロニック・プロデューサーとして活躍している。

 

ドラマーとしての蓄積をもとにミニマルテクノの新しい領域を開拓し、分けても、和楽と呼ばれるシンセサイザーを使用、日本の古楽の音楽のテイストと実験的なパーカッションを追求している。特に、前作『Music for Peace And Harmony』では、IDMとサティのような近代音楽の要素、ボーカル、そして日本的な旋律を散りばめて、独自のエレクトロニックの手法を確立した。

 

新作EPは、落ち着いたIDMの領域を追求していたミュージシャンが、レフトフィールドテクノに舵をとった作品だ。「平和と調和のための音楽を作り、スローでミディアムテンポのサウンドを探求した後は、まったく正反対のものを創りたかった。MFPAHの180度転換。この4曲は、私の音楽のよりエネルギッシュで身体的な側面を探求している」とHiro Amaが明かすように、これらはダンスミュージックのエネルギッシュな魅力を追い求めた作品と称せるかもしれない。

 

新作EPの発表と合わせてリリースとなったリードトラック「Lava」は、レイヴに着想を得たリズム感あふれる楽曲。脈打つベースとサイレンを思わせるシンセを基調に、グルーヴを前面に押し出しつつ緊張感、エネルギー、躍動感を生み出す。


「この曲ではビートとリズムに集中した」とヒロ・アマは説明する。「強烈でレイヴ的なものを創りたかったので、サイレン音を使ってサウンドを作り、脈打つベースを加えた。意図的に和声要素を最小限に抑え、リズムにトラックを運ばせた。メロディックな動きの代わりに、チューニングをずらしたベースで、グルーヴから外れることなく緊張感とエネルギーを生み出した」


新作EP「Booster Pack」はレフトフィールドテクノの領域での新しい挑戦となる。本作はPRAH Recordingsより4月10日にリリースされる。

 

「Lava」 

 

Hiro Ama 『Booster Pack』 EP

 

Label: PRAH Recordings

Release: 2026年4月10日

 

Tracklist: 

1.Booster
2.Cloud 9    
3.Lava
4.Projection 

 

▪Pre-order:  https://hiroama.bandcamp.com/album/booster-pack-ep

 Softcult   『When A Flower Doesn't Grow』

 

Label: Easy Life Records

Release: 2025年1月30日

 

 

Review

 

カナダのライオットゲイズ、 Softcultは、パンキッシュなイメージとシューゲイズを融合させるグループで、特にライブツアーなどで定評を獲得している。前作『Heaven』では、やや不発に終わった印象もあったのですが、最新作『When A Flower Doesn't Grow』では、さすがの実力を見せています。前作より曲がバラエティ豊富になり、音楽性の引き出しが驚くほど増えている。

 

前作では、二人の構成ということで、ギターの音圧に頼るケースが多かったものの、今回はよりバンド形式に近い録音を楽しむことができる。そしてパンクやハードロック的を以前までは強調していましたが、センス抜群のインディーポップのエッセンスを取り込むことで、聞きやすいアルバムに仕上がっています。実際的には、ソフトカルトはこれまでシングルやEPのリリースにこだわってきましたが、フルレングスを制作したことで、音楽的な広がりが出てきています。

 

アルバムは意表をつく静かなエレクトロニック/テクノ/アンビエント「intro」で始まり、それ以降、二曲目「Pill To Swallow」でソフトカルトらしいロックソングを聴くことができるはずです。この曲では持ち前のポップセンスを散りばめて、聞きやすいポップソングを下地にしつつ、おなじみの超大な音像を持つシューゲイズが加わる。特に今回のアルバムでは、ボーカルトラックに力を入れており、即効性があって感染力があるフレーズを惜しみなく歌い上げている。


また、ドラムやパーカッションの面でも、タンバリンのような音色を入れて、リズムの分厚さを出している。シューゲイズといえば、甘いメロディーに苛烈なファジーなギターが特徴ですが、基本的な形をストレートに打ち出している。しかし、このようなわりと激しい印象を持つ曲ですら、全体的な緩急を意識している。例えば、2分半前後のハードロックに依拠した間奏などはその代表例です。つまり全体的に聞き入らせるようなソングライティングや曲作りがなされていて、なおかつ聴いていて飽きさせない工夫が凝らされている。これは称賛すべき点でしょう。

 

しかし、そういったシューゲイズの基本的な曲よりも「Naive」のほうが際立っている印象がある。轟音のディストーションギター、そして超大な音像は維持しつつ、ボーカルについてはポップソングを意識している。リズム的な工夫も随所に凝らされていますが、その複雑さを経経てアンセミックなサビに来る部分で爽快感がある。いわば音楽的なフリークとそうではないファンの両方に響きそうなフレーズを大切にしています。 いつもジェンダーや政治的なメッセージを欠かさない双子のミュージシャンの音楽は、アヴリル・ラヴィーンの影響を感じさせることもあるため、実は結構ポップでミーハーと言えるでしょう。しかし、それこそが唯一無二の長所となり、ライブシーンで映えそうなアンセミックなフレーズを生み出している。また、双子らしいボーカルの息の取れたハーモニーの美しさは他のバンドでは容易には出しえない。二人は、ある意味では、Mewのような北欧的なロックバンドの清涼感のある空気感を導き出す。

 

ソフトカルトのもう一つのサウンドの特徴はメタル的なヘヴィネスを併せ持つこと。「16/25」はメタリックなドラムの連打に対して清涼感のあるヴォーカルのフレーズが特徴です。ボーカルの間に入るバッキングギターはハードロック的なニュアンスに富んでいてかっこよい。また、同じフレーズとリズムを続ける中で、1分15分以降に音楽が開けてきて、奥行きが出てくることがある。いわばボーカルとドラムがヒプノティックな効果を発揮し、トランスやレイヴのようなダンスミュージックの性質を帯びる。これは2000年以降のニューメタルのニュアンスを引き継いでいると言えるでしょう。そして、その挑戦はたぶん上手くいったのではないでしょうか。 


楽曲の構成は目まぐるしく変化し、アンセミックなボーカルを織り交ぜながら、ジェットコースターのように楽しい展開力を形作る。また、曲の後半では、90年代のグランジやストーナーへと傾倒していき、アリス・イン・チェインズやサウンドガーデンのようなグランジサウンドも登場したりしてものすごく楽しい。一曲の中で、ジャンルが移り変わっていくような柔軟性がある。それらが最終的には、80年代のハードロックやヘヴィメタル、強いて言えばメロディックメタル調の叙情性のあるボーカルのフレーズも登場する。ここまで強固なサウンドを見せつけられると、それにうなずくよりほかなくなる。つまり、新旧という概念を超えているのです。

 

また、このアルバムはソフトカルトのメンバーの音楽的な好みが凝縮されている。グランジロックとしてより濃厚になる「She Said,She Said」はオーバードライヴをかけたベースから始まるが、全体的な音楽性やボーカルにパンクのエッセンスを散りばめつつ、双子らしいヘヴィネスと毒々しさを追求している。しかし、重く、また、毒があるとは言え、音楽そのものはそれほど聞きづらくないはずです。これらの軽い姿勢とかノリの良さが楽曲全体に良い均衡をもたらしている。そして歌詞としても、なぜか口ずさんでしまうような魔力を持っているのに驚き。


「Hurt Me」は更に激しいヘヴィネスを追求していて、狂気の一歩手前まで行く。このサウンドは現代的なヘヴィメタルというより、90年代のミクスチャーロックの印象に近い。時々、横揺れのリズムを織り交ぜながら、ほどよいかっこよさを追求している。しかし、轟音を中心としたドロドロした曲はその後、急に静けさへと帰っていく。そして、その後、この曲は驚くべき変貌を遂げ、エモーショナルでアンセミックなロックへと飛躍していく。最後は、ソフトカルトの美学とも言えるアーティスティックなギターで締めくくられる。このあたりの両極端な二面性が面白い部分で、全体的にこのアルバムを楽しむ上で、抑えておきたいポイントとなるでしょう。

 

アルバムの音楽は激烈になったり、それとは対象的に精妙になったりというように、感情的な振れ幅は90年代のスロウコアに匹敵する。しかし、ソフトカルトをその存在たらしめているのは、抜群のポップセンスです。

 

「Queen of Nothing」はドリームポップの側面が色濃く出ており、聞きやすく、エモーショナルなロックソングに仕上がっている。「Queen of Nothing」はおそらく、アルバムのハイライトであり重要な楽曲でもある。怒りや轟音の向こう側にある感覚を二人は探し求めており、それが結果的に示唆されている。また、音楽的にも陰影のある切ないフレーズを呼び覚ましている。さらに、ハードコアパンクやストレートエッジに挑んだ「Tired」もかっこいい曲で、ハードロック風のエッセンスが付け加えられている。これらの反骨精神が聞きどころとなりそうです。


最新作『When A Flower Doesn't Grow』は音楽的にはなんでもありの、ごった煮のアルバムなのですが、ソフトカルトの好きな感覚がいたるところに垣間見えることがあり、なにか微笑ましい感覚に満ちています。また、終盤に収録されている「Not Sorry」はアルトロックソングとして申し分なし。Mommaの系譜にある聞きやすく、そして掴みやすいロックナンバーとなっています。

 

最後には意外な一曲が収録されています。インディーフォークに傾倒した、アコースティックギターの弾き語り曲です。前作『Heaven』では音楽性が画一的になりがちでしたが、最新作では驚くべき興味の広さを見せました。ソフトカルトはシューゲイズ、パンク、グランジ、メタルなどを織り交ぜ、クールな音楽を探求しています。 このアルバムは、カナダのデュオがまだ見ぬ領域を開拓した作品。と同時に、聴き応え十分の楽曲群によってその潜在的な能力を発揮しています。

 

 

82/100 

 

 

 


ボストンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Staci Gruber(ステイシー・グルーバー)のニューシングル「This Time Around」が公開された。ハーバードで医学の専門的な研究を行う傍ら、グルーバーは音楽活動を行っている。今回の新曲はトム・ペティを彷彿とさせるカントリー/アメリカーナを吸収した渋いロックソングである。

 

このカントリー・ミーツ・アメリカーナ・チューンはナッシュビルでレコーディングされ、タイ・ハーンドン、ジェイミー・オニールのエリック・ハルビッグがプロデュースした。 


ステイシーとマイケル・オーランド(アメリカン・アイドル)が書いたこの曲は、親しみやすく感染力のあるホンキートンク・アンセムだ。 ステイシーは、「『This Time Around』は、強引すぎる愛、遅すぎた真実、そして最も重要なときにようやく耳を傾けた心の物語なの」と語っている。 


ステイシー・グルーバーはボストンを拠点とする革新的なアーティストであり、卓越した音楽的才能、物語性豊かな作詞作曲、そして情感の深さが聴く者の心に深く響く。彼女の作品は個人的な体験と他者の感情的な物語をシームレスに織り交ぜ、孤立や孤独、そして希望といったテーマを探求する深い音楽的つながりを生み出している。

 

幼い頃から音楽はステイシーの人生に欠かせない存在だった。クローゼットの中でこっそり歌うという内向的で内省的な情熱として始まったものが、小学校で初めてソロ曲「12 Days of Christmas」を披露した際に、力強い歌声へと急速に開花した。その時、ステイシーは真の歌声を見出し、それ以来、決して振り返ることはなかった。 

 

幼少期から夏はフレンチ・ウッズ芸術祭で過ごし、音楽への深い愛をさらに確固たるものにした。タフツ大学とニューイングランド音楽院の先駆的な5年制ダブルディグリープログラムにおいて、クラシック声楽科からジャズ研究科へ移行した初の学生となったことで、彼女の歩みはユニークかつ野心的な転機を迎えた。 

 

この独特な教育背景が、彼女の多面的な芸術性を形作り、パフォーマーとしてもソングライターとしてもその多才さを磨いた。彼女の多様な音楽的影響は、アン・マレーからバーブラ・ストライサンド、カレン・カーペンター、KDラング、ビリー・アイリッシュ、ピンク・ナンシー・ウィルソン、ジョン・コルトレーンなど多岐にわたり、さまざまなジャンルが彼女独自の音楽的るつぼに浸透している。これにより、彼女は、折衷的な音楽スタイルと趣味を演奏する人気のあるGBバンドのリードボーカルとなった。 

 

ボーカリストとして音楽キャリアを積む一方で、ステイシーはまったく別の分野でも、ハーバード大学医学部の著名な教授、そしてマクリーン病院の先駆的な神経科学者として高い評価を得ています。大麻に関する彼女の画期的な研究では、さまざまな症状に対するカンナビノイドの長期的な影響の解明に焦点を当てています。 ステイシーの研究はゲームチェンジャーとなり、臨床試験に影響を与え、様々な疾患に対する大麻の潜在的な効能に関する重要な知見を提供する実世界のデータを生み出している。

 

ステイシー・グルーバーの新曲「This Time Around」は、ナッシュビルで録音され、エリック・ハルビッグ(タイ・ハーンドン、ジェイミー・オニール)がプロデュースを担当。ステイシーとマイケル・オーランド(アメリカン・アイドル)が共同で作詞作曲したこの曲は、共感できる中毒性のあるホンキートンク・アンセムだ。 ステイシーはこう語る。「『This Time Around』は、強すぎる愛、遅すぎた真実、そして最も重要な瞬間にようやく耳を傾けた心についての物語です」。 


ステイシーはダン・エイクロイド&ブルース・ブラザーズとの共演、ビリー・ジーン・キングのアンセム制作、共同制作者マイケル・オーランドとの数々の大型イベント出演で成功を収めてきた。 音楽と研究を通じて、ステイシー・グルーバーは「つながりの力」を体現している——音楽の変革力であれ、医療ソリューションの科学的探求であれ——そして「どこにいようと、人は決して一人きりではない」と私たちに気づかせてくれる。彼女はこう語る。「音楽は、人が感じるべき感情を本当に引き出せるのかもしれない…音楽が他者の視点を理解する手助けとなることを、私は常に願っている——それは最も純粋な意味での共感だ」 

 

 

「This Time Around」



▪️EN

Staci Gruber is a transformative Boston-based artist whose exceptional musical talents, storied songwriting, and emotional depth resonate deeply with her listeners. Her work seamlessly intertwines personal experiences with the emotional stories of others, creating a profound musical connection that explores themes of isolation, loneliness, and hope.

 

Music has been an intrinsic part of Staci’s life from an early age. What began as a shy, introspective passion—singing privately in her closet—quickly blossomed into a powerful voice when she performed her first solo, "12 Days of Christmas," in elementary school. It was then that Staci discovered her true voice and has never looked back. 

 

Throughout her childhood, Staci spent summers at the French Woods Festival of the Performing Arts, which further solidified her deep love for music. Staci’s journey took a unique and ambitious turn when she became the first person to transition from the classical voice program to the jazz studies department in a pioneering five-year dual-degree program at Tufts University and the New England Conservatory of Music. This distinctive educational background has shaped her multifaceted artistry and honed her versatility as both a performer and a songwriter. Her diverse musical influences range from Anne Murray to Barbra Streisand, Karen Carpenter, KD Lang, Billie Eilish, Pink Nancy Wilson, John Coltrane and more, seeping various genres into her own unique musical melting pot. This led to her becoming a lead vocalist in a popular GB band that performed an eclectic range of musical styles and tastes. 

 

While her musical career flourished as a vocalist, Staci also achieved distinction in a completely separate field as a renowned Harvard Medical School professor and pioneering neuroscientist at McLean Hospital. In her groundbreaking work on cannabis, she focuses on understanding the long term impact of cannabinoids across a wide range of conditions. Staci’s research has been a game-changer, generating real-world data that has influenced clinical trials and provided critical insights into the potential benefits of cannabis for various medical conditions.

 

Staci Gruber’s new country meets Americana rock single "This Time Around" was recorded in Nashville and produced by Erik Halbig (Ty Herndon, Jamie O'Neal). Written by Staci and Michael Orland (American Idol), the track is a relatable and infectious honky tonk anthem. Staci shares, "This Time Around is really a story of love that pulled too hard, truth that came too late, and a heart that finally listened when it mattered most". 


Staci has found success performing with Dan Aykroyd and the Blues Brothers, writing an anthem for Billie Jean King, and performing at several large events with collaborator Michael Orland. Through her music and her research, Staci Gruber exemplifies the power of connection – whether through the transformative power of music or the scientific exploration of medical solutions—and reminds us all that no matter where we are, we are never truly alone. She shares, “Maybe music really can help people feel things they need to feel… I always hope that music allows people to understand someone else’s perspective – empathy in its truest sense.” 

 

 



ウィメンズ・メンズウェアブランド、daisuke tanabe(ダイスケ タナベ)は、最新となる2026年秋冬コレクション season 04 "atom" を発表しました。コレクションのルックは以下よりご覧いただけます。


ーー前シーズンのコレクション「x」では、James Blakeの楽曲『Like the End』に端を発する危機感から、不要な関心の増幅がもたらす社会全体の「無関心」をテーマに据えました。真偽の曖昧な情報が速度優先で拡散される時代において、“x”を未定数や不確かさの象徴とし、揺らぐ真実の輪郭をグレーの階調で、未然の予兆をブルーで表現しました。


今シーズンの「atom」は、その霧を晴らすための答えを出すのではなく、霧の中にいながら希望を見失わないために個人という最小単位へ、視点を落としていく試みです。 


転換のきっかけは、昨年の夏、図らずも耳にした山下達郎氏の「アトムの子」でした。


自ずから抱いていたぼんやりとした危機感や不安を追い越し、先に体温だけを立ち上げてしまうプリミティブな力。それは「自己肯定」という別の選択が可能であることを理屈ではなく身体が先に知ってしまう、心地よいバグのような経験でした。ここで言うatomは、これ以上分割できない「不可分なもの」、外部がどれほど個を解体しようとしても奪えない核の比喩です。希望とは、世界が明るくなることを保証する言葉ではなく、今ここにある自分自身を肯定するための、静かな選択であると定義しました。


本コレクションの思想的背景には、映画『ブレードランナー 2049』が提示した実存主義があります。主人公Kが、自らが「特別な本質」を持つ複製体ではないと知った絶望の淵で、自らの意志による選択によって自らの実存(魂)を確立したように、私たちもまた、自らの手で自らを定義します。たとえ世界が無機質なグレーの階調に沈もうとも、今この瞬間を肯定すること。その静かな決意こそが、本コレクションにおける「希望」の定義です。


衣装デザイナーのRenée Aprilは、この作品を「ファッショナブルな映画ではない」と捉え、世界の湿度や汚染、厳しさに従って服を作り、物語に不要な“尖り”をあえて削いだと語っています。 さらにKは映画を通してほぼ同じ装いで生き延びる。撮影のために同型のコートが何着も用意されたという事実も含めて、衣装は装飾ではなく、環境に耐えるための「ユニフォーム」として設計されている。 私はその姿勢を、今季のコレクションに適用しようと思いました。


この視点を拡張するために、私は身体を守るために洗練されてきた機能主義の系譜に着目しました。1892年創業のD. Lewis(現Lewis Leathers)が、航空用装備「Aviakit」を手掛け、第二次大戦期のRAF(英国空軍)パイロットたちが生存のためにその装備を私費で求めた歴史は、衣服が「装い」から「防護(シェルター)」へと役割を拡張してきた過程でもあります。これらリサーチを元に、各製品の外骨格としてのデザイン画を描きました。


しかし、私が目指したのは単なる生存のための「機械」としての服ではありません。Le Corbusierが「住宅は住むための機械である」と合理性を追求したのに対し、建築家Eileen Grayはその冷徹な機械主義を批判し、デザインは身体だけでなく「精神の避難所」でなければならないと説きました。彼女にとって建築やテキスタイルは、機能を満たすだけの器ではなく、住まい手の心理的な充足までを包み込み、拡張するための装置でもあります。ーー


Photo: Taro Mizutani




今シーズンのパレットの起点は、Eileen Grayが描いたラグのデザインにあります。彼女が引く幾何学的なラインを理性、その底に流れる温かみのある配色を感情の象徴として捉え直しました。『Centimetre』などに見られる秩序ある線は、混沌を整理しようとする知性を表し、一方で豊かな色彩や手織りの質感は、人が生きるための根源的な情動を示しているように思えます。抑制されたトーンの中に置かれたブルーとゴールドは、暗さを破るための派手さではなく、静けさの中で確かに残る体温の印です。


中でもブルーは、孤独な空白の中で自らの位置を特定するための座標として配置しました。この色を、冷徹な世界の中で絶えることなく燃え続ける「青い炎」として扱っています。シルクとカシミヤのダブルフェイスは、カシミヤのマットな質感の奥から、内なる輝きとしてベージュゴールドのシルクが覗くよう設計しました。随所に走るベージュゴールドのファスナーテープも同様に、内側の熱が消えていないことを知らせる小さなサインです。また、カルガンラムのファーが幾何学的なシルエットの輪郭をわずかに曖昧にし、ベビーカーフやカシミヤと響き合うことで、コレクションに生命の揺らぎを与えています。


常に今の自分の最大出力を表現すること。次があるという考えを捨て、ひたすら「今」に勢力を注ぎ込むことこそ、黄金の朝日に繋がると信じています。



Nothing Gold Can Stay


Nature’s first green is gold, Her hardest hue to hold. Her early leaf’s a flower; But only so an hour. Then leaf subsides to leaf. So Eden sank to grief, So dawn goes down to day. Nothing gold can stay.


— Robert Frost



▪daisuke tanabe season 04 Tokyo showroom 

 

会期:2026年2月9日(月)〜 2月15日(日)

会場:3E STUDIO 

住所:〒107-0062 東京都港区南青山3-14-15 Kawamata Bldg. 2F



about daisuke tanabe:

daisuke tanabeは2024年に設立されたウィメンズ・メンズウェアブランド。映画や小説、写真を元に創作したフィクションをベースに、世界各地の伝統的な職人技術と、前衛的なテクノロジーをミックスしたコレクションを展開する。実験的なクリエイションはファッションという概念の軽やかさと、ものづくりの厳かさの両面性を表現し、ハイエンドな素材と独創的なパターンを織り交ぜて体現する。


about designer:

2021年に京都大学経済学部を卒業後、株式会社細尾に入社。2023年に独立し、ファッションブランド「daisuke tanabe」を立ち上げる。2024年2月にファーストコレクションを発表し、国内外での展開を始める。

 


トロントのシンガーソングライター、シャーロット・デイ・ウィルソンが、2月6日にStone Woman Music / XL RecordingsよりリリースするEP「Patchwork」を発表した。ウィルソンは昨年のグラミー賞にノミネートされ、また、すでに朝霧ジャムに出演したほか、単独の来日公演を行なっている。


この発表と合わせて、ニューシングル「If Only」もリリース。従来はネオソウルに属する音楽がメインだったが、今回のシングルではホーンが強調され、ジャズ風のアレンジが施されている。また、歌詞の中で「If Only」は、脆さや、手の届かない瞬間への憧れといったテーマを探求し、繊細なコーラスがミニマルなアレンジに感情的な重みを加えている。


ウィルソンは、不完全さ、本能、そして感情的な誠実さを形作るプロジェクト「Patchwork」で、新たな創作の章へと足を踏み入れる。元々は自信喪失の時期にデモとして構想されたこれらの曲は、荒削りながらも完成されたものであり、洗練よりも脆さを精神とサウンドの両面で受け入れている。昨年のシングル「Selfish」と「High Road」でカムバックを果たしたウィルソンは、サヤ・グレイをフィーチャリングした「Lean」で2026年をスタートしており、親密さと感情的な精密さで彼女の音の世界を広げた。シングル「High Road」と「Selfish」は、どちらもサヤ・グレイ、エース・G、そしてブラデン・サウダーが共作・共同プロデュースを手掛けています。


「私にとってプロデューサーとは、他に何もするなと指示を出せる人でもあり、このプロジェクトでは彼女がそういうことをたくさんやってくれました。デモを見せるたびに『あなたの作品は最高よ。そのままでいいの。他の人に持ち込まないで』って言ってくれました。それがエグゼクティブ・プロダクションなのか、それともただの親友なのかは分かりませんが」


ウィルソンの楽曲はドレイク、ジョン・メイヤー、ジェイムス・ブレイクなど多くのアーティストにサンプリングされ、ケイトラナダ、BADBADNOTGOOD、シド、オーリなどとコラボレーションし、最近ではギヴオンとのアリーナツアーも行いました。『Patchwork』では、ウィルソンは自身の軌跡を、意図、誠実さ、そして抑制をもって紡ぎ合わせた、非線形の瞬間の集合体として再構築しています。


「If Only」

 ▪️サマーソニックが25周年を迎える 2026年第一弾ラインナップが発表

昨日(2月2日)、国内最大級の音楽フェス、サマーソニック2026の第一弾ラインナップが発表されました。実はストロークスに関しては、ソーシャルメディアで事前に出演がほのめかされていました。


2026年のラインナップはThe  Strokes、L'Arc-en-Cielなど懐かしのバンドを筆頭に、 David Byrne、FKA Twigs、Kasabian、Cardinals、Jamiropuai、Suede、Le Sserafim、Cornelius、サカナクション、 Suchmos、羊文学。豪華アーティストが出演予定です。サマーソニックは8月14日から三日間にわたって開催されます。ぜひサマソニで夏の思い出を作ってみてはいかがでしょうか。


近年、アジア開催などで国際志向のビジョンも見える中、今年はより国内志向が強まりました。ロック、パンク、メタル、エレクトロニックなどサマーソニックは2000年代からジャンルを問わず国外のバンドを日本国内に紹介してきました。そんな中、ウィーザー、グリーンデイ、レディオヘッドのような存在を定着させてきた。サマーソニックも遂に25周年を迎えます。どのような事業やイベントも継続することほど難しいことはありません。クリエイティブマン代表の清水直樹氏は公式ホームページを通じて、次のようなメッセージをファンに向けて送っています。


1990年にクリエイティブマンを立ち上げて、10年後の2000年に満を持してスタートしたサマーソニック。海外に移動しなくても世界レベルの音楽フェスを気軽に楽しんでもらいたいというメッセージ(Travelling Without Moving)と共に、日本初となる東阪同日開催の大型フェスに挑みました。


初年度からGreen Dayを筆頭に多くの国内外のアーティストが出演し、2003年にはRadioheadが伝説のライブでトリを飾り名実共に世界に知られるフェスになったのです。それからは、サマーソニック出演後にBIGになっていくアーティストも次々と生まれていき、10年、20年の記念イヤーでの3日間の開催を経て、来たる2026年には25周年には過去最大の3日間で33万人の動員記録にチャレンジとなります。


過去24年でサマーソニック/ソニックマニアに参加してくれた約470万人のオーディエンスには、心からの感謝と共にもう一度忘れられない夏の日々を合作してもらいたいと願います。


来年も心躍る魅力的なACTSが、一生に一度/Once in a Lifetimeと思える気合いで、最高のライブを繰り広げる事でしょう。懐かしい再会や新しい発見がまた始まります。


▪️第一弾ラインナップがアナウンス



記念すべき25周年のサマソニ、第一弾ラインナップの発表です! まずは衝撃のデビュー以来21世紀のロックを定義付けたTHE STROKES、そして結成35周年という節目を迎える日本が誇るロックバンドL'Arc-en-Cielが、満を持してヘッドライナーとして初出演決定!


さらに、数多くのヒット曲と唯一無二のグルーヴで知られる カリスマJAMIROQUAI、BLACKPINKのメンバーとしても世界的人気を誇るJENNIE、『ストップ・メイキング・センス』、『アメリカン・ユートピア』で音楽のアートフォームを革新した音楽界の巨匠DAVID BYRNEが遂にサマソニに出演!


TikTokからスターダムにのし上がった注目のシンガーソングライターALEX WARREN、世界を魅了し続ける、マルチ・クリエイターFKA TWIGS、熱狂的ロックアンセムを放ち続けるUKロックの雄KASABIAN、プロデューサー、マルチ奏者という多彩な肩書きを持つベトナム系アメリカ人 KESHI、ダイナミックなライブパフォーマンスで世界を魅了するLE SSERAFIM、世界的アカペラグループ PENTATONIXも登場。バンドというフォーマットを革新し続ける唯一無二の存在サカナクション、ネオソウル界を代表する若き天才STEVE LACY、新たなフェーズへと突入し、再始動後ますます存在感を増すSuchmos(東京のみ)、ブリットポップを象徴する重鎮SUEDEがステージを彩ります。


『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』で一躍注目を集めブレイクしたAUDREY NUNA、オーストラリア発のR&BシンガーBOY SODA、シューゲイザー、パンク、アイリッシュ・トラッドを融合したサウンドで注目を集めるアイルランドのCARDINALS、マレーシア生まれロンドン発の次世代ポップアーティストCHLOE QISHA、国内外で高い評価を得るクリエイティブアーティストCornelius、フロリダ出身のR&BアーティストDESTIN CONRAD、アイルランド出身の気鋭のロックバンドFLORENCE ROAD、新世代インディポップデュオGOOD NEIGHBOURS。


海外ツアーも成功させ活動の幅を広げるオルタナティブロックバンド羊文学、独特の詞世界と歌声が話題のキタニタツヤ、解散を発表し日本最後のライブとなるKODALINE、圧倒的なサウンドとエネルギーでUKロック/クラブシーンに君臨するPENDULUM、メルボルン出身のインディロックバンドPRETTY BLEAK、R&Bシーン期待の新星SEKOU(シークゥ)、海外アーティストとしてサマソニ最多出演を更新!ZEBRAHEADが確実に会場を盛り上げます。



▪️サマーソニック公式ホームページ: https://www.summersonic.com/