Cootie Catcherは、トロントのインディーポップシーンに触発されたサウンドを特徴としながらも、エレクトロニックのサウンド処理、ドライブ感のあるドラムや意外性のある展開など、同地のニューウェイブを象徴する楽曲を制作している。


収穫したてのレモンのような新鮮味と酸味にあふれるクーティ・キャッチャーの音楽は、次年代のインディーズ音楽の登場をなんとなく予感させる。Alvvays,The Bethのポスト世代のバンドとして、ぜひチェックしておきたいところだ。なお、米国のメディア、Stereogumがベスト新人アーティストに特集している。新人発掘に余念がないCarpark Recordsの象徴的なグループが登場したといえるかもしれない。

 

Cootie Catcher(クーティ・キャッチャー)は、ニューアルバム『Something We All Got』を発表した。先日、バンドは新曲「Gingham Dress」を発表し、Carparkと契約を結んだばかり。新作は同レーベルより来年2月に発売される。リードシングル「Straight Drop」が配信中だ。


音楽シーンは一回りした後、次なるステップに差し掛かろうとしている。クーティ・キャッチャーの音楽を聴くと、インディーロックはまだまだ進化していると実感する。トロントを拠点とするこの4人組は、脆弱さと奔放な興奮の両方を放ち、ツイーポップの心を開いた優しさを、渦巻くシンセと浮き立つようなエレクトロニクスでハイパーチャージしたサウンドを生み出している。『Something We All Got』は、甘さ、緊張感、期待感に満ちた曲が無防備に輝きを放つ、クティキャッチャーのビジョンをこれまでで最も明確かつ鮮やかに表現した作品だ。

 

 「Straight Drop」についてボーカル兼ベーシストのアニタ・ファウルは説明する。「この曲は、『間違った』場所で弱さを見せてしまうことへの苛立ちから生まれました」また、ファウルは続けている。「バスに乗っている時なら見知らぬ人の前で思い切り泣くことができるのに親しい人の前では口を閉ざしてしまうんです。それは、ライブパフォーマンスでの私の経験とよく似ています。直接会うととても不安になるのに、ステージに立つとたくさん表現できるのです」

 

 

「Straight Drop」


最新シングル「Puzzle Pop」も同様に彼らの象徴的なシングルでジャングリーで程よく心地よいアルトロックソングとなっている。R.E.Mのようなカントリーロックのスタイルにヨラテンゴ的な温もりを感じさせるトラックとなっている。先行シングルの中では最もローファイなテイストを放つ。


クティ・キャッチャーのボーカル兼ギタリスト、ノーラン・ジャクポフスキーによれば、「パズル・ポップ」はもどかしい感情についてうたわれ、もっと人に求めるべきなのにそうしない自分とコミュニケーション不足から誤った推測をしてしまうことについての一曲。コリン・ジェームズ制作のアニメーションミュージックビデオが公開されている。下記よりご覧ください。 



「Puzzle Pop」

  

Cootie Catcher 『Something We All Got』


Label: Carpark
Release: 2026年2月27日 
 
Tracklist: 
 

1. Loiter for the love of it

2. Lyfestyle

3. Straight drop

4. From here to Halifax

5. No biggie

6. Rhymes with rest

7. Quarter note rock

8. Take me for granted

9. Wrong choice

10. Gingham dress

11. Puzzle pop

12. Stick figure

13. Going places

14. Pirouette

 


フランスのサイケポップアーティスト、Melody's Echo Chamber(メロディーズ・エコー・チェンバー)の名義で活動するメロディ・プロシェの最新作『Unclouded』が、Dominoから今週末に発売されますが、本日、最終のリードシングル「The House That Doesn't Exist」が公開された。


「The House That Doesn't Exist」は、ジャグリーなギター、そしてグルーヴィーなドラムを生かしたロック寄りのドリームポップソング。強固なビートとメロディアスなボーカルが見事なコントラストを作り出している。曲の中では、ストリングスがアンサンブルに入り、文字通りファンシーな雰囲気を生み出している。映像はサイケデリックポップの印象をかたどっています。

 

メロディ・プロシェは、この曲が「今日の世界における喜びに満ちた人間生活の不可能と思われる視点を現実のものとし、新たな信仰心を引き起こそうと試みた」とプレスリリースを通じて語っている。ダイアン・サニエ監督によるミュージックビデオを以下でチェックしてみよう。


「The House That Doesn't Exist」

Windswept Adan Concert Photo  写真:小林光大

 

世界中の音楽ファンを魅了する音楽家・青葉市子。アルバム『アダンの風』発売5周年を記念して、<"Windswept Adan" Concert>の配信が決定しました。この映像はオンデマンドで明日(12月2日)から12月16日まで配信予定です。ぜひ詳細を下記よりご覧ください。



2020年12月2日にリリースした7枚目のアルバム『アダンの風』発売5周年を記念して、リリースの翌年6月21日に東京・Bunkamuraオーチャードホールで開催された<”Windswept Adan” Concert>のライブ映像のアンコール配信が決定しました。

 

「“Windswept Adan” Concert」は、アルバム『アダンの風』のレコーディング・メンバーが集結し、収録曲順そのままに再現した特別な公演。コロナ禍で開催が危ぶまれる中、実施された本公演では、総勢10名のミュージシャンによる精緻で緊張感あふれるアンサンブルが、唯一無二の音楽世界を描き出しました。その息遣いまで伝わる臨場感を、再びお楽しみください。



現在、青葉市子さんはブラジル〜アルゼンチン〜チリを巡る南米ツアーを開催中です。年明けには自身の価値観に深い影響を与えた八重山諸島・石垣島でのストリングス編成による特別公演も予定しています。(公演詳細はこちらをご覧下さい)

 

さらに、来春もツアーは続き、アジア、ヨーロッパ、北米を巡る<Across the Oceans Tour>21公演の開催が決定。英国・Royal Albert Hall、米国・Walt Disney Concert Hallといった歴史ある名ホールでの公演も発表され、その活動は一層大きな広がりを見せています。今後の活動にもご注目ください。

 

現在、今年発売された『Luminescent Creatures』がデジタル/CD/LPで発売中です。本作は、ビルボード・チャードのワールドミュージック部門でチャートにランクイン。海外でも好評となっています。また、本作の収録曲「SONAR」「Luciférine」のライブ映像もYoutubeで公開されています。こちらも下記よりご覧下さい。



■ICHIKO AOBA "Windswept Adan" Concert(オンデマンド配信)

Windswept Adan Concert Photo  写真:小林光大

 


出演:青葉市子
梅林太郎, 水谷浩章(Contrabass), 梶谷裕子(Violin), 銘苅麻野(Violin), 須原杏(Viola), 平山織絵(Cello),多久潤一朗(Flute), 朝川朋之(Harp), 角銅真実(Percussion)

配信URL(国内):https://eplus.jp/ichikoaoba-wa-stp/


配信期間:12/2(火)18:30〜12/16(火)23:59

視聴チケット:¥1,000(税込)


視聴チケット販売期間:12/1(月)18:30〜12/16(火)21:00




■Luminescent Creatures World Tour in ISHIGAKI

日程:2026年1月17日(土)
会場:沖縄・石垣市民会館 大ホール
開場16:30 / 開演17:30

出演:青葉市子
梅林太郎(Piano), 町田匡(Violin), 荒井優利奈(Violin), 古屋聡見(Viola), 小畠幸法(Cello), 丸地郁海(Contrabass)

□チケット
全席自由 一般¥6,800 / U22割¥4,800 / 小・中学生¥500
【八重山諸島住民割】一般¥5,800 / U22割¥3,800

お問い合わせ:ピーエムエージェンシー  TEL:098-898-1331(平日11:00-15:00) 

   
https://www.pmnet.co.jp/live/2026/ichikoaoba/


■海外公演 2025
 

South America:

 
25-Nov Teatro Liberdade, São Paulo, BR 
27-Nov El Nacional, Buenos Aires, AR
29-Nov Metropolitan, Santiago, CL
30-Nov Metropolitan, Santiago, CL
2-Dec Teatro Bradesco, São Paulo BR

Across the Oceans Tour
 2026: 

 
5-Jan Shanhai Culture Square, Shanghai, China
7-Jan Shaanxi Opera House, Xi’an, China
22-Feb Esplanade Theatre, Singapore, Singapore
17-Mar Finlandia Hall, Helsinki, Finland
19-Mar Palladium, Warsaw, Poland
21-Mar Müpa, Budapest, Hungary
23-Mar Globe Wien, Vienna, Austria
25-Mar Théâtre de Beaulieu, Lausanne, Switzerland
27-Mar Salle Pleyel, Paris, France
31-Mar Royal Albert Hall, London UK (with 12 Ensemble & Taro Umebayashi)
7-Apr Het Concertgebouw, Amsterdam, Netherlands
10-Apr DR Koncerthuset, Copenhagen, Denmark
12-Apr Göta Lejon, Stockholm, Sweden
15-Apr Harpa Norðurljós, Reykjavik, Iceland
24-Apr Walt Disney Concert Hall, Los Angeles, CA (with 12 Ensemble & Taro Umebayashi)
25-Apr Balboa Theatre, San Diego, CA (with 12 Ensemble & Taro Umebayashi)
27-Apr Massey Hall, Toronto, ON
28-Apr Théâtre Maisonneuve, Montreal, QC
1-May Carolina Theatre, Durham, NC
3-May The Caverns, Grundy County, TN
4-May Atlanta Symphony Hall, Atlanta, GA

 

Details:


https://ichikoaoba.com/live-dates/


■リリース情報

 
青葉市子 8thアルバム『Luminescent Creatures』
2025/2/28(金)全世界同時発売(配信/CD/Vinyl)


https://linktr.ee/luminescentcreatures

収録曲
01. COLORATURA
02. 24° 3' 27.0" N, 123° 47' 7.5” E
03. mazamun
04. tower
05. aurora
06. FLAG
07. Cochlea
08. Luciférine
09. pirsomnia
10. SONAR
11. 惑星の泪

■MV

 
青葉市子「SONAR」
https://ichiko.lnk.to/SONAR_YT

 

■ライブ映像

 
青葉市子「Luciférine」(“Luminescent Creatures” World Premiere より)

 

Yotubeでのご視聴: https://youtu.be/fgKJ63rcbgE


 


■ライブ映像

 
青葉市子「SONAR」(“Luminescent Creatures” World Premiere より)

 

Yotubeでのご視聴:https://youtu.be/y6-9IhH1Owo




 

■青葉市子/ICHIKO AOBA

 
音楽家。自主レーベル〈hermine〉代表。


2010年のデビュー以来、8枚のオリジナル・アルバムをリリース。クラシックギターを中心とした繊細なサウンドと、夢幻的な歌声、詩的な世界観で国内外から高い評価を受けている。2021年から本格的に海外公演を開始し、数々の国際音楽フェスティバルにも出演。音楽活動を通じて森林・海洋保全を支援するプロジェクトにも参加している。

 

2025年1月にはデビュー15周年を迎え、2月に新作『Luminescent Creatures』をリリース。 2月下旬からはキャリア最大規模となるワールドツアー〈Luminescent Creatures World Tour〉を開催し、アジア、ヨーロッパ、北米、南米、オセアニアで計50公演以上を開催。


FM京都 “FLAG RADIO” で奇数月水曜日のDJを務めるほか、文芸誌「群像」での連載執筆、TVナレーション、CM・映画音楽制作、芸術祭でのパフォーマンスなど、多方面で活動している。

 

オフィシャルサイト:https://ichikoaoba.com


東京のミュージシャン/詩人、柴田聡子によるライブイベントの開催が決定。現在、ドラマ「シナントロープ」の主題歌が話題を呼ぶ中、''「ありがとう」vol.3''と銘打たれた企画が東京リキッドルームにて2026年3月28日(土)に行われます。アーティストのファンのみならず広く奮ってご応募下さい。


なお、チケットはオフィシャル先行にて抽選形式で販売されますのでご留意下さい。受付期間は、11月30日~12月14日となっております。チケットのご応募はぜひお早めにお願い致します。


柴田聡子がゲスト・アーティストをお迎えしてお送りするスペシャルイベント「ありがとう」、第3回の開催が決定しました。テレビ東京系列で放映中のドラマ「シナントロープ」主題歌、柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」でご一緒させていただいたElle Teresaさん、Le Makeupさんをお迎えいたします。柴田聡子はバンドセットでライブに臨みます。先行予約の受付も開始いたしました。是非ご利用ください!!


柴田聡子によるニューシングル「ときめき探偵 feat. Le Makeup」はストリーミングで現在配信中です。Elle Teresaをフィーチャーした楽曲で、 Le Makeupがプロデュースした話題作。同楽曲が主題歌として使用されているドラマプレミア 23「シナントロープ」もテレビ東京/大阪など、各地のテレビ局で放映中でございます。こちらの番組の詳細につきましてもご覧下さい。



▪️柴田聡子 presents「ありがとう」vol.3

 

柴田聡子(BAND SET) × Elle Teresa × Le Makeup

2026.03.28 [Sat] Open 16:00 / Start 17:00

LIQUIDROOM, Tokyo

6,000 Yen [+1D]


Ticket オフィシャル先行【抽選受付】[ https://l-tike.com/shibatasatoko ] ※枚数制限4枚

受付期間 2025.11.30 [Sat] 20:00~2025.12.14 [Sun] 23:59

当落確認・入金期間 2025.12.18 [Thu] 15:00~2025.12.22 [Mon] 23:59 

当選日2025.12.17 [Wed]・確定日2025.12.23 [Mon]



▪️柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」



Digital | DDJB-91265_DIGITAL | 2025.10.08 Release | Released by AWDR/LR2

[ https://ssm.lnk.to/tokimekitantei ]

[ https://youtu.be/DM9BwB9Gvi4 ]

[ https://www.youtube.com/watch?v=R9x4j59TP00 ]

[ https://www.youtube.com/shorts/h22_I4Q_ySQ ]



▪️ドラマプレミア23「シナントロープ」


放送日時 | 2025年10月06日スタート 毎週月曜夜11時06分〜11時55分放送

放送局  | テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送

配 信  | 各話放送終了後から動画配信サービス「Prime Video」にて見放題独占配信 Prime Video [ https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront ]

       *作品の視聴には会員登録が必要です。(Amazonプライムについて詳しくはamazon.co.jp/primeへ)

       *Amazon、Prime Video及びこれらに関連するすべての商標は、Amazon.com, Inc. 又はその関連会社の商標です。

       全国どこからでも 「TVer」でリアルタイム配信

       広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(テレ東 HP、TVer、Lemino)にて見逃し配信

       ★TVerでは便利な「お気に入り登録」をお願いします!★

       テレ東HP [ https://video.tv-tokyo.co.jp/synanthrope ]

       TVer [ https://tver.jp/series/srxvrzcpmm ]

       Lemino [ https://lemino.docomo.ne.jp/catchup/2-1-113-7 ]

出 演 |  水上恒司(主演)、山田杏奈

       坂東龍汰、影山優佳、望月歩、鳴海唯、萩原護、高橋侃

       遠藤雄弥、アフロ、森田想 / 染谷将太

原作・脚本| 此元和津也

監 督  | 山岸聖太

音 楽  | 江﨑文武

OPテーマ| 柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」

EDテーマ| S.A.R.「MOON」

チーフプロデューサー| 祖父江里奈(テレビ東京)、平賀大介(P.I.C.S.)

プロデューサー|    前田知樹(テレビ東京)、原田宗平(P.I.C.S.)、神戸麻紀(P.I.C.S.)、竹迫雄也(アスミック・エース)

制作協力   |    アスミック・エース

制 作    |    テレビ東京、P.I.C.S.

製作著作   |    ©此元和津也/「シナントロープ」製作委員会


HP [ https://www.tv-tokyo.co.jp/synanthrope ]


柴田聡子:



シンガー・ソングライター/詩人。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。2010年、大学時代の恩師の一言をきっかけに活動を始めた。


2012年、ファーストアルバム『しばたさとこ島』でデビューを果たした。それ以来、歌うことを中心に活動の幅を広げ、現在までに7枚のオリジナル・アルバムを発表した。また、ミュージシャンとしての活動と並んで、文筆活動も旺盛活発である。2016年、第一詩集『さばーく』を上梓した。同年、第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞している。2023年、エッセイ集『きれぎれのダイアリー』、2024年、第二詩集『ダイブ・イン・シアター』を上梓。寄稿も多数で、「しずおか連詩の会」への参加など、近年は詩人・文筆家としても注目を集めている。

 

2024年リリースのアルバム『Your Favorite Things』で、CDショップ大賞2025<赤>大賞を受賞。2025年、シングル『Passing』をリリース。文を手がけた初の絵本『きょうはやまに』(絵・ハダタカヒト)の単行本を上梓。弾き語りとバンド編成により、縦横無尽のライブ活動を展開している。RISING SUN ROCK FESTIVAL 2025 in EZOなど、大型フェスへの出演も果たしている。客演や曲提供も多数に上り、その創作・表現領域はとどまるところを知らない。



Elle Teresa:


個性的なフローと遊び心のあるリリック、独自のファッションセンスで同性から圧倒的な人気を誇るラッパー、Elle Teresa。

 

1997年、静岡県沼津市生まれ。2015年からラッパーとして本格的な活動を始め、2016年1stミックステープ『Ignorant Tape』を発表。2018年には2023年まで続く3部作となるアルバム『KAWAII BUBBLY LOVELY』をリリースし、着実にアーティストとして不動の地位を獲得。その後も大型の作品を立て続けに発表し、客演にはTohjiやChoppa Caponeなど国内で人気のラッパーだけでなく、Lil Keedなど海外アーティストとの共同制作も積極的に手がけている。

 

等身大のキャラクターから生まれる大胆かつ繊細なリリックは、同年代やティーンの同性ファンの共感を呼び、日本各地で行われるライブは同性ファンを中心に大きな盛り上がりをみせている。2023年からはPOPYOURSなど大型フェスへの出演に加えて、YoutubeやTikTokなどでの活動も積極的に行う。他の女性アーティストとは一線を画した独自の地位を確立している。



Le Makeup:


大阪のシンガー/プロデューサー。関西学院大学在学中に作曲へと本格的に取り組みはじめ、以降国内外の様々なレーベルから作品を発表する。2020年にアルバム「微熱」をリリース。海外での活動に力を入れ、中国・韓国・オランダ・デンマーク・ドイツでもパフォーマンスを行ってきた。

 

2023年2月にDove、gummyboy、JUMADIBA、Tohji、環Royが参加したアルバム「Odorata」をリリース。Pitchforkで取り上げられ話題に。2024年5月にアルバム「予感」をリリース。同月にWWW(東京)、6月09日にCONPASS(大阪)にて初のワンマン「予感」を開催した。


連続テレビ小説『ばけばけ』主題歌、ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」のMVがYouTubeにて公開!


本日、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の主題歌として書き下ろされたハンバート ハンバートの最新曲「笑ったり転んだり」のMVが本日YouTubeで公開されました。映像と合わせて楽曲をご視聴下さい。


今回公開されたミュージックビデオは、佐藤良成が原案を担当、ハンバート ハンバートとは「ふたつの星」のMV以来、2度目のタッグとなる注目のクリエイター・福地明乃さんがアニメーションを手掛けています。今も昔も変わらぬ日々の暮らしの世知辛さと温もりを描いた作品になりました。


ハンバート ハンバートは次いで、この曲を含む全19曲を収録した初の公式ベストアルバム「ハンバート入門」を11月26日にリリース、12月31日には「第76回NHK紅白歌合戦」に初出場することが決定しています。また、来年1月18日の島根公演を皮切りに、全国11公演をまわるツアー2026「歌ったり喋ったり」を控えています。今後のツアー日程もぜひ下記よりご覧下さいませ。



◆ハンバート ハンバート "笑ったり転んだり" (Official Music Video)

ミュージックビデオのサムネイル

「笑ったり転んだり」


Youtubeでのご視聴:

[ https://youtu.be/1_P2MT39VJ0 ]


・Music Video Staff

Original Concept : 佐藤良成

Creative Director : 岩崎亜矢(SunAd)

Art Director : 白井陽平(SunAd)

Animation Director , Animator :福地明乃

Animator :フジシマケイ, 小野ハナ(UchuPeople)

Digital Paint:当真一茂(UchuPeople) 鵜飼ゆめ

Title Design:西山愛香デザイン事務所

Producer : 木村玄(SunAd) 筒井大地(SunAd)

Production : SunAd



・ハンバート ハンバートが初の公式ベスト盤「ハンバート入門」


連続テレビ小説『ばけばけ』の主題歌として書き下ろされた新曲「笑ったり転んだり」を含め、彼らの代表曲・人気曲を網羅した、初の公式ベストアルバム。朝ドラ主題歌をきっかけに彼らを知った方も、これまでのハンバートファンもお楽しみいただけます。


初回限定盤にはツアー2025「寝ても覚めても」より2月28日に開催された大阪・オリックス劇場のライブの模様を約100分収録したBlu-ray Discがついた2枚組となっています。


・ハンバート ハンバート「ハンバート入門[初回限定盤]」

DDCB-94037 | CD+Blu-ray | 2025.11.26 Release | 5,000 Yen+Tax

Released by SPACE SHOWER MUSIC


・ハンバート ハンバート「ハンバート入門[通常盤]」

DDCB-14083 | CD | 2025.11.26 Release | 3,000 Yen+Tax

Released by SPACE SHOWER MUSIC


[ https://humberthumbert.lnk.to/Humbert_Introduction ]


1 笑ったり転んだり ※新曲

2 夜明け 「for hundreds of children」(2001)

3 メッセージ 「for hundreds of children」(2001)

4 アメリカの恋人 「アメリカの友人」(2002)

5 おなじ話 「11のみじかい話」(2005)

6 長いこと待っていたんだ 「道はつづく」(2006)

7 バビロン 「まっくらやみのにらめっこ」(2008)

8 国語 「まっくらやみのにらめっこ」(2008)

9 大宴会 「FOLK 2」(2018)

10 虎 「FOLK 2」(2018)

11 ぼくのお日さま 「むかしぼくはみじめだった」(2014)

12 横顔しか知らない 「FOLK」(2016)

13 ちいさな冒険者 「FOLK」(2016)

14 がんばれ兄ちゃん 「家族行進曲」(2017)

15 それでもともに歩いていく 「愛のひみつ」(2020)

16 黄金のふたり 「丈夫な私たち」(2022)

17 恋の顛末 「丈夫な私たち」(2022)

18 ふたつの星 「丈夫な私たち」(2022)

19 トンネル 「カーニバルの夢」(2024)



<ツアー情報>


・ハンバート ハンバート ツアー2026「歌ったり喋ったり」- バンド篇 -

詳細URL [ https://humberthumbert.net/2025/09/06/3489 ]


2026年1月18日(日)島根 島根県民会館 大ホール

開場:16:30/開演:17:30


2026年1月30日(金)北海道 札幌市教育文化会館 大ホール

開場:18:00/開演:19:00


2026年2月01日(日)宮城 トークネットホール仙台(仙台市民会館)大ホール

開場:16:30/開演:17:30


2026年2月08日(日)福岡 福岡市民ホール 大ホール

開場:16:30/開演:17:30


2026年2月14日(土)大阪 オリックス劇場

開場:17:00/開演:18:00


2026年3月08日(日)広島 広島JMSアステールプラザ 大ホール

開場:16:30/開演:17:30


2026年3月14日(土)愛知 岡谷鋼機名古屋公会堂

開場:17:00/開演:18:00


2026年3月21日(土)東京 東京国際フォーラム ホールA

開場:17:00/開演:18:00


◎価格:全席指定:¥6,800(税込) ※大阪・東京のみ S席:¥7,500(税込)A席:¥6,800(税込)


・ハンバート ハンバート ツアー2026「歌ったり喋ったり」- ふたり篇 -

詳細URL [ https://humberthumbert.net/2025/10/12/3568 ]


2026年4月04日(土)石川県 金沢市文化ホール

開場:17:00/開演:18:00


2026年4月18日(土)香川県 レクザムホール・小ホール

開場:17:00/開演:18:00


2026年5月23日(土)新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

開場:17:00/開演:18:00


◎価格:前売チケット 全席指定:¥6,800(税込)



<アーティスト情報>

ハンバート ハンバート・プロフィール


1998年結成、佐野遊穂と佐藤良成によるデュオ。2人ともがメインボーカルを担当し、フォーク、カントリーなどをルーツにした楽曲と、別れやコンプレックスをテーマにした独自の詞の世界観を持つ。これまでに12枚のオリジナルアルバムを発表し、テレビ・映画・CMなどへの楽曲提供も多数。2014年発表の楽曲「ぼくのお日さま」が主題歌/タイトルとなった映画『ぼくのお日さま』(2024年/監督:奥山大史)では、佐藤が劇伴も担当。また、2024年リリースのアルバム『カーニバルの夢』収録曲「トンネル」はドキュメンタリー映画『大きな家』(監督:竹林亮/企画・プロデュース:齊藤工)の主題歌として起用された。9月29日放送開始のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の主題歌を担当、ドラマのために「笑ったり転んだり」を書き下ろした。

Weekly Music Feature: Samuel Aguilar



今週ご紹介するサミュエル・アギラールは1975年5月、ランサローテ島生まれの作曲家/鍵盤奏者/教育者。故郷の島で音楽の勉強を始め、その後1年間アメリカで学ぶ。その後、ランサローテ島評議会から奨学金を得て、ピアニストのマリア・ガルソンに師事するためロンドンへ留学。


テネリフェ島サンタクルス高等音楽院にて、音楽理論・転調・伴奏の高等教授資格、ならびにピアノ教授資格、和声・対位法・作曲・配器法の高等教授資格を取得した。同校ではミレーナ・ペリシッチ、カルロス・プイグ、ミゲル・アンヘル・リナレスらに師事。 サミュエル・アドラー、ギジェルモ・ゴンサレス、ジョエル・レスター、ヘルマン・サッベ、カールハインツ・シュトックハウゼンらによる音楽専門コースにも多数参加。ラ・ラグーナ大学英文学科卒業。


幼い頃から、父親である芸術家イルデフォンソ・アギラールが創設・主宰するランサローテ視覚音楽祭の運営に深く関わってきた。 


20歳の時に『Música para los Jameos del Agua』を録音し、1996年にGEOエディシオンズより発表。以来、定期的に数多くの録音作品を発表している。 近年の主な作品には『Wordless Conversations』(2019年)、イルデフォンソ・アギラルとの共作『Lanzarote, el sonido oculto』(2020年)、2021年に開始した『Diarios Sonoros』シリーズ、そして『Tierra de Hielo』(2024年)が挙げられる。


また、様々な録音プロジェクトにも参加しており、特に英国のラッセル・ミルズによる『Undark. Pearl + Umbra』(1999年 Bella Union Ltd. 刊)や、ティマンファヤ国立公園(ランサローテ島)の火山ルートを題材にした音楽環境を収録した書籍兼CD『Sonidos para un Paisaje』が挙げられる。 


彼の音楽活動は音源のリリースにとどまらず、リベラルアーツ全般に及んでいる。公共・私有空間向けの環境音楽や、ドキュメンタリー・広告・短編映画・長編映画・映像インスタレーション・オペラ/演劇/ダンス公演のオリジナル音楽など用途を問わず様々な作品に取り組んできた。 尽きることのない好奇心から、ブライアン・イーノ、ステファン・ミクス(ECM)、スソ・サイス、クリスチャン・ヴァルムロートなど錚々たるアーティストとのコラボレーションを実現している。また、Supreme Sax&Brass Ensemble、Landscape Project、Lanave、Circular Ensemble、Major Tom Projectなど、様々な音楽プロジェクトの推進者/メンバーとして活動している。 また、カナリア諸島国際音楽祭やランサローテ視覚音楽祭などから作品の委嘱を受けたほか、ケロクセン・フェスティバルやAPギャラリーなどでアーティスト・イン・レジデンスも経験している。


テネリフェ島サンタクルス音楽専門学校で教鞭を執り、サンタクルス高等音楽学校およびカナリア諸島高等音楽学校でも教授を務めた。カナリア諸島各地で音楽の様々な側面に関する講演やワークショップを実施している。 彼の作品は、ドイツ、アルゼンチン、オーストラリア、ベラルーシ、ブラジル、カーボベルデ、カナダ、チリ、コロンビア、キューバ、デンマーク、エクアドル、エジプト、スペイン、アメリカ合衆国、フランス、フィリピン、インドネシア、イングランド、レユニオン島、イタリア、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、ポーランド、ドミニカ共和国、セネガル、シンガポール、南アフリカ、スウェーデン、スイス、チュニジア、ベトナムをはじめ世界各地で初演されている。


最近のプロジェクトでは、EA&AEによりハバナ大劇場(キューバ)で初演された数々の賞を受賞したダンス作品『エントモ』の音楽、テネリフェ芸術空間TEA(サンタ・クルス・デ・テネリフェ)で初演された演劇『犯罪』の音楽、 CAAM(ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア)で発表された音響インスタレーション『秘密のコーナー』、ジョゼ・サラマーゴ生誕100周年を記念して委嘱され、テアトロ・エル・サリネロ(ランサローテ)で初演されたオペラ『焼け焦げた畝に沿って』、パブロ・ファハルド監督によるドキュメンタリー映画『逃亡者』のサウンドトラックなどがある。



 Samuel Aguilar 『Onírica』GEO ediciones 



・未知の体験を作り出すアンビエント

 

スペインの作曲家/鍵盤奏者/教授、サミュエル・アギラールは、これまで形態を問わず、2011年頃から作品の発表を続けてきた。本日、GEO edicionesから発売された『Onírica』は、”音楽を聴く”という根本的な意義を問う作品と形容しても過言ではない。


このサイトでは、アンビエントの名盤やアーティストの紹介を通して、このジャンルの隠れた支援者でありつづけてきたが、張本人としては、難しい言い方になるが、徐々にアンビエントという言葉が拡大解釈されすぎた印象を受ける。このジャンルは、ロック、クラシック、ジャズ、他の微細なジャンルを通過した極北の音楽であり、その次があるのかどうかは定かではない。 

 

良い機会なので、もう一度、アンビエントや環境音楽の関係について言及しておきたい。アンビエントは当初、家具の音楽として出発し、主体性を持たない音楽という意義が含まれていた。例えば、空港や駅に向かうと、何らかの環境音楽が流れている。また、MacやWindowsでの工業的な音楽、もしくは、ゲームのBGMなども該当する場合がある。


例えば、絵画やイラストはそのもの自体では、主体性を持つ芸術と言えるが、それがウイスキーや日本酒などのコースターとして使用されたらどうなるだろう? 例えば、トリス・ウイスキーのコースターのアートデザインを無償で提供したり、メキシコのホテルに「明日の神話」を提供した岡本太郎は、これほど光栄なことはないと述べたことがある。これは単なる推察に過ぎないが、彼は主体的な自分のデザインに客体性を付与することに、ある種の愉悦すら覚えていたことは、さほど想像に難くないのである。芸術やアートは、機能的な枠組みに組み込まれた時、従来とは別の意味を持つようになる。本来の主体的な機能が客体的に変化するのだ。

 

話の筋をアンビエントや環境音楽に戻したい。 アンビエントそのものは、ブライアン・イーノ氏が空港で音楽を使用した瞬間から、客体的な音楽として出発したのが一般的な解釈といえるだろう。しかし、音楽が近代から現代に向かうにつれ、この音楽は、他のダンスミュージックやクラブのフロアのクールダウンのために流れるチルアウトやチルウェイブ、さらには、70年代からフュージョンジャズやアフロジャズの内在的なジャンルとして認知されていたスピリチュアリズムの要素、他にも、魂を癒やす音楽や、科学的な見地から注目を浴びるヒーリングミュージックと連動するようにして、徐々にその裾野が広がっていくようになった。つまり、アンビエントという定義が、拡大解釈されるようになったのである。今日では、このジャンルは、部分的にロック/ポップソングの中のインタリュード(間奏)の要素として利用される場合もある。その捉え方は2020年代に入り、さらに拍車がかかっていき、拡大視されるようになった。

 

しかし、原理主義者の観点から言うと、あまりに拡大解釈されすぎて、アンビエントと呼ぶべきではないものまで、そのように呼ばれることも多くなってきた。これは、このジャンルの密かな支援者として複雑な感情を覚える。例えば、このジャンルの祖であるとも言われる、エリック・サティは演奏会で、自分の音楽が聴衆にじっくり聴かれているのを察知すると、烈火のごとく怒り狂ったという。まさしく、ラモンテ・ヤングやフランク・ザッパなどと並び、音楽界きってのアウトサイダー(異端者)らしい逸話なのであるが、これもまた首肯すべき部分がある。

 

つまり、エリック・サティは、自分の音楽が、他の一般的なクラシック音楽のように聞かれたり、自分の作品そのものが主体性を持つことに強烈な拒否反応を示したのである。これと同じように、個人的な意見としては、その音楽が、強烈にパッケージ化(商品化)されて、商業化されすぎてしまえば、それはすでにアンビエントの本当の意味から遠ざかってしまう。つまり、その音楽を、まわりの環境とは何ら関係を持たない「独立した音楽」として聴くのであれば、それはやはり、アンビエントではなく、ヒーリングミュージックやチルアウトというべきだ。



例えば、主体的な音楽の事例が、ポピュラーソングやロックミュージックだとする。それでは、他方、客体的な音楽とは何なのだろう? 例えば、プラネタリウムや美術館の中で、静かに流れる音楽が挙げられる。この場合、当然であるが、主体は、天体の映像とか美術品の展示であり、客体は音楽である。ようするに、来館者は、星や天体の運行や絵画や展示品の詳細を観察していることになる。しかし、感覚のどこかで、背景に流れる音楽をそれとなく''認識''している。

 

この場合、来館者は、自分がいる空間やスペースの中で、音楽を「体験している」だけで、「聞いている」わけではない。しかし、同時に、音楽が「聴く」という行為に限定されずに、ある種の体験に変わった瞬間、その意義は、「商品」の枠組みから超越し、本来の芸術的な性質を持ち、古代ギリシアの演劇のような「MUSICA」の原義を取り戻すのである。これは、客体と主体のバランスを揺らがせ、その境界をあえて消滅させるわけなのだ。この瞬間、音楽という行為は、消費のためのものから、体験のためのものへと接近していく。そして、消費のための音楽を制作する人はこの世に氾濫しているが、体験のための音楽を制作する人は、じつは意外に少ない。殊、アンビエントに関しては、体験のないものは、何かしら物足りなさを覚える。

 

スペインの作曲家がもたらした『Onírica』は深く考えこませる。また、音楽を制作することの意味を考えさせてくれる。この作品は、客体の音楽と主体の音楽のどちらが優れているのかを決定するわけではなく、その定義を把握した上で、2つの領域で聞き手を揺さぶりつつ、その境界を曖昧にする。いわば、ある種の問いかけも含まれていると感じられる。これは、マルセル・デュシャンによる『泉』は芸術になりうるのか?という問いを投げかけたのによく似ている。



『Onírica』の場合は、センセーショナルな手法を選ばず、古典的な電子音楽の形式を参考にし、ギリシア神話の神々「Hypnos(ヒュプノス)」を登場させ、幻想主義の音楽を展開させる。形式こそ異なれ、アンビエントの劇伴音楽とも称するべき異質なアルバムが登場。作曲家のブライアン・イーノが行った、アクロポリスでのライブのように、演劇的な要素を兼ね備えていると解釈することも不可能ではない。分けても重要なのは、本作は、単なる''聴く''という行為にとどまらず、''未知を体験する''という性質が備わっていることである。この点に一番の魅力がある。

 

一時間近い5つの収録曲は、エジプトやギリシアの遺構のようにそびえ、聞き手を圧倒する。雲や霧のような音楽で、静かな場所で聞かなければその全容を捉えることは困難だ。多くは、デジタルシンセを中心に構成されており、パッチワーク的なプロダクションやリサンプリングの手法はほぼ見当たらない。これがライブ性を保持し、雲のように流れていく音楽を阻害することがない。雲というのはドビュッシーの同名のオーケストラ曲にちなんで言及させていただくことにする。

 

冒頭曲「Nyx」からかなりの難解な音楽が並んでいる。音楽を聴くという行為それ以上の概念を提唱するかのように、未知なる音の体験が続いている。曲調は、明るいとか暗いとか、一般的な感覚で言い表すことが難しい。ここには、聞き手の解釈や心のあり方によって、複数の側面が提示され、聞き手の心を巻き込むかのように、体験のための音楽が途切れることなく続いている。


イントロでは、霧のようなシークエンスがシンセサイザーで描かれ、その後、いくつかのテクスチャーが重なり合いながら、雲のような時間的な経過を持つ空間の流れの構成が形成される。ごくまれに、その中に、チベット・ボウルを模したマレット・シンセのような打楽器的なパーカッションの効果が点描画のように出現する。曲の初めは、不気味なダークウェイブのような雰囲気に包まれているが、まるで空の景色が徐々に移ろい変わるように、印象は少しずつ変化していき、その後は、景色が一変し、天上の光景を思わせるシークエンスが登場する。横方向の持続低音が重なり合いながら、倍音の特性を活かし、絶妙なハーモニーを形成していく。

 

アギラールの作曲の特色は''音の持つ印象や効果を最大限に活用すること''である。これは、近代和声法の色彩的な和声を示したいのではなく、音の組み合わせにより生じる音のイメージを独自の手法で展開させていくのだ。例えば、彼が音符を繰り出し、減退しない持続音を組み合わせる。音が永続するだけで、それ以上の意味があるわけではない。けれども、そのドローン的な音を体感していると、何らかの情景が思い浮かんで来て、聞き手がその存在の中に居るような感覚を覚える。彼は、AIやバーチャルの領域ではなく、人間的な想像の作用を活用するのである。

 

ギリシア神話の”眠りの神”を表す「Hypnos」は、音調の変容を積極的に活用した上で、同じように、霧のような音楽を制作している。従来のアンビエントのように明確な主張性を持つわけではないが、同じように複数のシークエンスを何度も丹念に重ねながら、情景的な音楽を作り上げていく。断続的なドローンのシークエンスは、その後、途絶え、マレットのような打楽器的な効果を用い、象徴的な神の坐像を出現させるかのように、何らかの神秘的なシーンを出現させる。さらに続いて、再び、ドローンのシークエンスが続き、終わりなき迷宮に聴き手を導いていく。曲の後半では、ドローンの要素が更に強い割合を占めるが、最後の最後ではクワイアが登場する。ここには、霧や雲の向こうに現れた神話の神々の様子を異教的に伝えようとする。

 

「Iquelo」は、祝祭的な音楽の印象が強まる。パイプオルガンのような演奏法を用い、その中で、一曲目や二曲目とは対象的に、原始的なアンビエントのシークエンスが敷き詰められ、その音楽の裾野を広げ、音像を拡大させていく。これはたぶん、アンビエントの基本的な構成に近似している。

 

ところが、一般的な制作者と異なる点は、ドローン音楽の中で、映像や演劇的な要素が登場し、あろうことか、アギラールはそれを音楽だけで体現させようと試みる。この曲では、アジアの民族音楽の要素を積極的に用い、チベット音楽のチベット・ボウルの打楽器的な音響効果を活用しつつ、神秘的な音楽の側面を強調させる。上記のステファン・ミカスは言うに及ばず、同じく、ECMのスティーヴ・ティベッツの傑作『A Man About A Horse』(2002)、もしくは、チベット僧侶との共同制作『Cho』(1997)のように、異教的な性質を強めていく。

 

全般的には、心地よい持続音を意識して使用しているが、同時に、ボウド・ギターのようなシンセの音色が配置され、ミステリアスでダークな雰囲気を演出することもある。ここでは、舞台音楽や映像音楽を制作してきた作曲家の長所の部分が現れた形となる。10分以上に及ぶ大作であり、曲のセクションごとに異なる情景が配置される。つまり、この音楽に触れていると、徐々に思い浮かぶ景色が様変わりし、次はどうなるのか、という好奇心を呼び覚ましてくれる。


旋律的な側面の中で、打楽器的な音響効果が登場し、大地の鼓動のような迫力のあるスペクタルに満ちたリズムも現れ、神秘的な音楽の印象を強める。音楽そのものが体験に接近するほど、事物や現象が描かれるにとどまらず、魂の変遷のように神秘的な側面が体現されていく。曲の最後では、途中に登場したチベットボウルを模した音色を用い、民族的で瞑想的な音楽に近づく。この瞬間、聞き手側は、音を眺める傍観者ではなく、主体的に捉える体験者に変わるのだ。

 

個人的に圧倒的に素晴らしいと思ったのが、最後に収録されている「Fantaso」と「Morfeo」であった。表面的に聴くと、一般的なアンビエントとさほど変わりがないように思える。けれども、既に述べたように、音楽を単なるパッケージや商品として見ず、未知との遭遇や体験と捉えたとき、この2つの曲の意義は、かなり変化してくるように思えてならない。この2つの曲は、主体/客体、能動/受動、制作者/聴取者という、従来の音楽の関係性の構図を取り払ってしまう。

 

とりわけ、前者では、宇宙的で長大な印象を帯びた神秘的な音楽が作り出されている。全般的にはドローンミュージックの形式で、他の曲と同じく、デジタルのシンセを中心に構成される。しかし、感覚的に言えば、ブライアン・イーノの名曲「An Ending(Asends)」に近似する。というか、この曲に最も近づいた瞬間を捉えられる。 個人的な感覚や印象だけで定義づけるのは非常に難しいけれども、つまり、宇宙的な本質を読み取ったような神秘的な一曲なのだ。もちろん、ここには、歌も無ければ、オペラのように感涙にむせぶような美しい旋律も登場しない。


しかし、その中には、エネルギーや波長という観点において、良い性質が感じられる。それが音の分子や粒子のレベルで、澄んだ音調を作り上げている。一般的には、アンビエントと呼ばれている音楽でも、ざわざわした粗雑で荒いエネルギーがよく見出されることもある。そういったものに触れると、アンビエントや環境音楽から遠ざかってしまったかなと残念に思う。けれども、同曲はクラシック音楽でも稀に聞こえるような調和的なハーモニーが実現されている。


遠くからぼんやり聴いていても、なぜか良い気分を覚える。これが理想的な音楽といえるだろう。それは、詳しくいえば、感情に訴えかける音楽ではなく、理性に訴えかける音楽なのである。

 

音楽の概念を最初に確立したピタゴラスは、オクターヴの法則と音程を発見し、ドミナントとサブドミナントの関連性を数学者として解明するに至った。また、ピタゴラスは、「協和音程の数秘こそが宇宙の秩序を形作る」とした。これは、ハーモニーの原義である「Harmonia」の理論の基礎ともなった。また、ピタゴラスは、「理想的な音楽は魂の浄化をもたらす」とも伝えた。このことを考えれば、音楽という媒体は、神秘的な一面をもたずにはいられないのである。

 

「Morfeo」にはハルモニアの美しさが感じられる。アルバムの冒頭のように霧のような精細な音の空気感を維持しつつ、スティーヴ・ティヴェッツのアンビエントの側面を引き継ぐかのように、エキゾチックな雰囲気を持つ民族音楽の要素を上手く両立させている。途中で水のフィールド録音のサンプリングを用い、印象音楽の性質を決定づけている。最後には、声楽とシンセサイザーを組み合わせたフレーズも登場し、電子音楽と声楽(クワイア)の混在の側面を強く決定づける。音楽そのものは、徐々に静かになり、無音(サイレンス)に近づいていき、最終的には音楽的な世界から遠ざかっていく。これは坂本龍一さんの遺作アルバムの遠近法のような手法に近い。


『Onírica』は、スペイン語で''夢幻”を意味している。制作者が生み出した電子による幻想的な交響音楽ーーファンタジアーーが一連の目に浮かぶ鮮明な形となり、それが未知の体験となっている点が魅力的である。 

 


 

86/100 

 





 


英国のエレクトロニックポップバンド、 Ladytronは過去25年間で最も影響力のある象徴的なグループの一つだ。2005年発表のアルバム『Wintching Hour』の20周年を記念した後、レディトロンは沈黙を破り、8作目のスタジオ・アルバム『Paradises』を3月20日にネットワークよりリリースすると発表した。


トリオは新たな爆裂曲「Kingdom Undersea」をリリースした。新しさを感じさせつつも、紛れもないレディトロンらしさを保っている。 


推進力あるマシン・ファンクが轟音のベースラインの上で踊る容赦ないバレアリック・ピアノリフと共に雷鳴のように駆け抜ける。ボーカリストのヘレン・マーニーとダニエル・ハントは稀なデュエットを披露。航海を思わせる哀歌であり、象徴と憧憬の謎、「大理石の壁、鋼鉄の肢体」を歌い上げる。二人の声は恋に病んだフェアライトの幽玄なコーラスに影を落とされる。


このシングルには、アシッドハウスアートの破壊者たち、 The KLFのために設計、製作されたアナログビデオインスタレーションの中で撮影された、不気味なプライベートパフォーマンスの映像が付属している。このクリップには、マーニー、ハント、ミラ・アロヨ、パーカッショニストのピーター・ケリー、そしてライブラインナップに新たに加わったマルチプレイヤー、アンドルー・ハント(ダイアレクト、アウトフィット)が出演している。


2005年発表のアルバム『Witching Hour』の20周年記念イベントを経て、バンドは新たな活力を得ているようだ。プロデューサーのダニエル・ハントと共にスタジオ入りしたレディトロンは、初期の録音作品に宿るエネルギーを、異なる視点から追い求める生まれ変わったバンドとなっている。


豪華な16曲入りアルバムは、長年の協力者であるジム・アビスがミックスを担当。彼はこう語る。「『Paradises』のデモを聴いた時、本当に圧倒された。楽曲制作とアレンジの多様性は『Witching Hour』を思い出させたが、独自の雰囲気、サウンド、姿勢を備えていた」 


ボーカリスト兼共同創設者のヘレン・マーニーはこう付け加える。「まるで帰郷のような感覚でした。私たちは自然に調和したのです。彼の熱意は伝染力があり、そのエネルギーがスタジオに満ちると、ある種の魔法が生まれるのです」


新曲「Kingdom Undersea」は世界観構築の繊細な作品で、豊かな海底シンセはドレクシアを想起させるが、ポップな文脈で表現されている。ボーカリストのヘレン・マーニーとダニエル・ハントが楽曲全体でデュエットを繰り広げる。

 

「Kingdom Undersea」 



Ladyrtron 『Paradises』

 

Label: Nettwerk

Release: 202年3月20日 


Tracklist:

1.I Believe In You 

2.In Blood

3.Kingdom Undersea 04:46

4.I See Red 

5.A Death in London

6.Secret Dreams of Thieves

7.Sing

8.Free, Free

9.Metaphysica

10.Caught in the Blink of an Eye

11.Evergreen

12.Ordinary Love

13.We Wrote Our Names in the Dust

14.Heatwaves

15.Solid Light

16.For a Life in London

【Album Of The Year 2025】  Best Album 50   2025年のベストアルバムセレクション   Vol.5 



41.  Big Thief 『Double Infinity』- 4AD



2024年、ニューヨーク市のパワー・ステーションで録音された『Double Infinity』は、ビックシーフの代表的なアルバム『Dragon New Warm Mountain〜』の続編となっている。 

 

彼らは、ブルックリンとマンハッタンを自転車で移動しながら、毎日のように9時間に及ぶ録音を行った。ドム・モンクスがプロデューサーを務め、アンビエント/ニューエイジの音楽家Laraajiが参加している。録音は同時にトラックを録音しながら、即興でアレンジを組み立て、最小限のオーバーダビングが施されている。

 

基本的なアルトフォークの方向性に大きな変更はないが、先行シングルのコメントを見るとわかる通り、ニューエイジ思想のようなものが込められている。従来のエレクトロニックの要素は維持されている一方で、普遍的なフォーク・ミュージックやボーカルメロディーの良さが強調されている。ビッグ・シーフの中では最も渋いアルバムと言える。


アルバムは最小限のオーバーダビングでライヴ録音された。  プロデュース、エンジニアリング、ミックスは、長年ビッグ・シーフとコラボレートしてきたドム・モンクスが担当した。"生きている美しさとは真実以外の何ものでもないのだろうか?" アルバムでは、アドリアン・レンカーがグラミー賞にノミネートされたことに対する名声への戸惑いがストレートに歌い上げられる。

 

今回のアルバムで、ビックシーフはモダンなフォーク・ソングを主体に制作している。その中には新しく電子音楽とフォークの融合という試みも見いだせる。しかし、新体制で臨んだ本作は、従来のビックシーフのメロディセンスやフォークソングの妙味を受け継ぐものである。次作のアルバム制作の噂もあるなか、続く作品がどのようになるのか、楽しみに待ちたいと思う。

 

「Incomprehensible」 

 

 

42.Shame 『Cutthroat』 - Dead Oceans


 

ロンドンのShameのニューアルバムは、メタリックな雰囲気を持つ硬派のポストパンクのスタイルを選んでいる。とはいえ、2025年の世界のミュージックシーンの中でも、彼らは最もロックなバンドにあげられる。もっといえば、ボーカリストのチャーリー・スティーンの歌詞には、国際的な政治問題に関する思想が込められているが、十代の若者のような純粋な眼差しが注がれている。若い頃の''なぜ''という疑問は、いつしか世の中の体制的な概念に絡め取られてしまう。年齢を重ねるにつれ、それが当たり前のことになり、ある意味では感覚が鈍化してしまう。どうにもならないのだから仕方がない。だが、Shameの面々にはそのような言葉は当てはまらない。

 

Shameの音楽が期待感を抱かせる理由は、彼らは基本的には主流派に対して、カウンターの役割を担っているからである。



前作アルバムと同様に、ブリット・ポップやポストブリット・ポップのサウンドを織り交ぜながら、2025年のロックソングとはかくあるべきという理想形を突きつける。チャーリー・スティーンのユーモア満載のボーカルも最高なのだが、コイル・スミスが中心となる電子音楽のトリッピーなサウンドも目の覚めるような輝きを放つ。重厚なギターやベースが織りなす骨太のサウンドは聴いていて惚れ惚れするほど。現代ロックの最高のエンジニア、コングルトンの手腕が表れ出た瞬間。

 

ダンサンブルなロックは、全盛期のBlurのような響きを持ち、ボーカルの扇動的なアジテーションと混在している。これはおそらく、かれらがライブを意識したレコーディングを心がけているから、こういったドライブ感のあるサウンドが出てくるのだろう。他のバンドが、若干の路線変更を試みる中、シェイムだけは従来と同様にパンクであり、また、ヤンチャでもある。

 

 

 「Cowards Around」

 

 

43. Jay Som 『Belong』 - Lucky Number/Polyvinyl

 



今年のシューゲイズのベストアルバムで、予想以上の出来だったのが、Jay Somの新作アルバム『Belong』だった。ソングライターとして、そしてプロデュース的な側面でも優れた力量を示してみせた。

 

ロサンゼルスのメリナ・ドゥテルテによるニューアルバム『Belong』は、Jimmy Eat Worldのジム・アトキンス、そして、Paramoreのヘイリー・ウィリアムズが参加した話題作である。



ロックやパンクに傾倒するかと思いきや、意外とそうでもなかった。ポップ、ロック、パンクの中間に位置する作品である。Lucky Numberによると、ドゥテルテは十代の頃には、サンフランシスコのロックラジオをよく聴いていたそうで、2000年代のポップ・パンクや、エモのヒット曲を好んでいたという。その中には、Bloc Party、Death Cab For Cutieなど誰もが聴いた覚えのあるインディーズロックバンドのアンセムが潜んでいたのだった。今作において、ジェイソムはまるでラックからお気に入りのレコードを取り出すかのように、それらのサウンドを織り込んだ良質なポップロックを提供している。人間関係の変化や人生の主題など、特に変化することなどを盛り込み、その中で普遍的なポップ・ロックの輝きを導き出そうとする。

 
ただ、それは、思い出にすがるというわけでもない。アルバムのオープナー「Cards On The Table」は間違いなくモダンなポップソングだ。K-POPやY2Kの影響を取り込み、電子音楽を中心としたポップソングを提供している。甘口のポップソングの類稀なるセンスはアジアにルーツを持つこのシンガーの重要な特性であり、また、ベッドルームポップに根ざしたZ世代以降の音楽のイディオムを的確に体現させるものだ。簡単に作れそうで作れない、このアルバムのオープナーはジェイソムのソングライティングの傑出した手腕が遺憾なく発揮された瞬間である。


しかし、そうかと思えば、「Float」はジム・アトキンスへの賛歌であり、Jimmy Eat Worldの代表曲「The Middle」の音楽的なテイストを踏襲し、見事なリスペクトを示す。 しかし、ロック的ではなく、ポップソングの位置からエモを再考しているのが面白い。これこそ、Jay SomがBeabadoobee、boygeniusといった象徴的なミュージシャンと関わってきた理由なのだろう。

 

「D.H.」

 

 

44.Bar Italia 『Bar Italia』 



Matadorの今年の最後のリリースは、Bar Italiaのレーベル移籍後第三作だった。バー・イタリアは、劇的な傑作も出さないけれども、同時に、凡作も基本的に出さない。そういったニュートラルな魅力に満ちたロックバンドである。しかし、もちろん、それは非凡であるという意味ではない。それどころか、今作は、近年の”バー・イタ”の中で最も個性的な作品といえる。

 

ニーナ・クリスタンテ、ジェズミ・タリク・フェミ、サム・フェントンによるロンドンの三人組のロックバンドは、2023年から一年間、160本もの過酷なツアーをこなし、プロのロックバンドとしての修行を積んできた。不安定な日程から生み出されたこの作品だが、彼らはデビュー時から多作なバンドであるため、今後も曲を作ることを遠慮するつもりはないだろう。多作であることは、バー・イタリアの強みであり、それは今後も変わらないものと思われる。

 

『Some Like It Hot』は、ジャンル的にもバランスの良い収録曲が並んでいる。マタドール移籍後三作目のアルバムでは、ライブで瞬間的に受ける即効性にポイントを置きつつも、全体的にソングライティングに力を入れ、じっくり聴かせる曲をロンドンの三人組は探求している。しかし、それは基本的には、聴いて楽しむためのロックソングという面では、従来と同様である。 



Bar Italiaといえば、最初期はドリーム・ポップやシューゲイズ風のサウンド、そして何と言ってもローファイなサウンドを特徴としていた。前二作のアルバムでは、依然としてローファイで荒削りなロックサウンドを引き継いでいたが、今回のアルバムに関してはローファイとは言えないだろう。彼らがより本格的で輝かしいロックバンドとしての道を歩み始めた瞬間である。

 

 「Omni Shambles」

 


45. Yazmin Lacey 『Teal Dreams』-AMF 



 ロンドンに活動拠点を移したヤスミン・レイシーは、前作『Voice Notes』では、レゲエのリバイバルを試みていたが、最新作『Teal Dremas』はダンサンブルなビートを生かしたネオソウルアルバムを制作した。ダンストラックとして楽しめる曲がある一方、ディープなソウルミュージック、それからクラシカルなレゲエソングもある。

 

ネオソウルとしては、実際の制作者の実像はさておき、作品としてはファッションスターのような、きらびやかな印象があることが重要です。その点において、「Teal Dreams」には、スターへの羨望的な雰囲気、バブリーな空気感が漂っている。

 

また、それは80年代のソウルミュージックと呼応するようなスタイリッシュな音楽が示されている。次いで注目すべきは、前作の全体的なレゲエの要素に加え、アンダーグランドのダンスミュージックを絡め、センスの良いブラックミュージックを制作していることだろう。

 

ビンテージなレゲエの要素も登場するが、モダンなネオソウルやダンスミュージックをレイシーは追求している。それ加えて、夢見るような音楽を、ヤスミンは制作しようとしたように感じられる。しかし、夢見るような音楽とは言っても、それは千差万別です。今回のアルバムの場合、それは、クラバー向けのDJサウンドを、全般的なディープソウルの要素と結びつけたと言える。

 

「Two Steps」 

 


46.Noso 『When Are You Leaving』- Partisan



Nosoの音楽は、米国のミュージックシーンにおいて、日に日に存在感を増しつつあるソフィスティポップの系譜にある。もともと、中性的な歌声を持っていて、それが清涼感のあるソングライティングと結びついていた。


ボーカリストとしてだけではなく、ギタリストとしての性質が強いNoSoであるが、バランスの取れた音楽性が主な特徴である。西海岸の音楽の影響下にあることは事実だと思うが、その中には独特なオリジナリティが込められている。フォンのソングライティングは、聴きやすさを維持した上で、暗い感情から晴れやかな感情をくまなく表現し、起伏のある音楽性をもたらす。


『When Are You Leaving?』ではプラトニックな失恋、人間関係や職場における力関係といったテーマが、鮮烈で具体的なイメージで描き出され、ジャンルや年齢、性的を超えた普遍的な共感を聴き手に呼び起こす。 その中には、やはり、性別の葛藤という主題が織り交ぜられている。女性とベッドを共にするが、自分自身として認識されない。他の曲では自分自身として認識されるが、愛されていると感じられない。これらが投影された不安なのか、相手の真の感情なのかは決して明かされない。しかし、それがアルバムの歌詞に潜むずれに拍車をかける。


洗練されたサウンドメイクと棘のある歌詞は互いに補完し合い、ペク・ホンという人物のより豊かな肖像を描き出す。しかし、それもまた、ホン自身の言葉通り「自分のエネルギーは依然として女性的だと気づいた。でも、ある時期、自分の見せ方ゆえに男らしさのステレオタイプを体現しようとしていた」と語るように、決して完全にはフィットせず、齟齬のようなものがある。そう考えると、Nosoは、こういった認識下にある違和感を音楽により体現させてきたのだ。

 

本作の核心にあるのは「よりよく理解されたい」という誰でも持ちうる切望だ。矛盾するように見える要素は撞着などではなく、一人の人間を構成する異なる側面である。この趣旨を捉える手腕こそが、『When Are You Leaving?』を人生の複雑さの細部を詳細に描き出す唯一無二の作品にしている。そして、このアルバムは内的な葛藤を描きながらも、ときに軽快さを併せ持つ。


「Don't Hurt Me, I'm Trying」

 

 

47.Alice Phoebe Lou 『Oblivision』



 

アリス・イザベルの6作目となるアルバム『Oblivion』は、世界と内面の両方を探求する彼女の旅路を深く掘り下げた、極めてパーソナルな作品集となっている。過去5枚のアルバムで、アリスは表現力豊かな歌声と魅惑的な楽曲制作の新たな側面を次々と披露し、音楽界の重鎮としての地位を確立してきた。『Oblivion』でイザベルが求めたのは、地に足がついた作品で、芸術性によって導かれた成果であった。全11曲からなる本作は、初期のサウンドへのオマージュを捧げつつ、これまでになく深い領域に踏み込んでみせる。アリスはさらにこう語る。 


「音楽業界では『より大きく』『自分を凌駕するように』なんて強調されるけど、私は路上演奏という原点に戻りたかった。これらの曲は、私の深層意識、夢、眠りの忘却、つまり、受け取られ方を気にせず、最も深い思考や欲望、記憶、真の感情にアクセスできる場所から出てきた」


2023年発表の『Shelter』以来となる新作アルバム『Oblivion』は、全曲自身による初のセルフプロデュース作品で、その洗練された質感は、初期キャリアの路上演奏の純粋さを思い起こさせる。楽曲には新たな輝きを放つ女性の成熟と率直さがにじむ。アリスはこのアルバムの制作の全般について次のように語っている。「バンドセクションでの5枚のアルバムの制作を経て、10年かけて積み上げてきた個人的な物語を紡いだ楽曲の宝箱を開けた。他の作品に収まらなかった曲、日の目を見るとは思っていなかった曲もある。愛と遊び心を持って、シンプルに、そして自分らしく、こういった曲をあるがままに録音するという、勇気と興奮に満ちた旅に出てみた。自分の不完全さを受け入れて、私に大きな影響を受けた人々ーー時代を超えたフォーク・アコースティック・アルバムを生み出した人々ーーからインスピレーションを得た」

 

アリス・フィービー・ルーの最新作「Oblivion」は、黄昏の雰囲気を擁するフォーク・ソング集である。このアルバムの全般的な楽曲は、昼下がりの心地よい白昼夢のような感覚から、日が暮れ始めて、夜に移ろい変わる時間に感じるほのかな切なさまでを網羅した時の流れの反映である。この作品は、明るくも暗くもなく、その中間層の感情領域を探ったおしゃれさと渋さを併せ持つ音楽が中心となっている。だからこそ、音楽そのものに淡い印象が付随し、奥深い魅力を持ったレコードとなっているわけである。昨日に一度聴いたところ、これは一度だけではよくわからない作品だと、私自身は感じた。何度も聴くうち、別の側面が次々に表れてくる不思議なアルバムである。また、それはソングライターの別の人物像を垣間見させると共に、聞き手自身の未知の自己との遭遇を意味するといっても、過言ではない。

 

「You and I」 

 

 

 

48.The Belair Lip Bombs 『Again』- Third Man 



The Belair Lip Bombs(ザ・ベレア・リップ・ボムズ)は、ギタリスト/ボーカリストのメイジー・エヴァレット(パンクトリオ「CLAMM」ではベースも担当)、ギタリストのマイク・ブラドヴィカ、ベーシストのジミー・ドラウトン、ドラマーのリアム・デ・ブルイン(自身の名義でメルボルンのレーベル「Heard& Felt」からエレクトロニックミュージックもリリース)で構成されている。

 

今年、ジャック・ホワイト氏がレーベルオーナーを務めるレーベル、Third Manより発売されたメルボルンで活動するバンドの待望の二作目のアルバム『Again』は、「パンチのある、フック満載のロック・レコード…。サウンドはストレートだが、その構築はほとんど完璧である」とガーディアンに評されたデビューアルバムに続く作品である。『Again』は、オーストラリアの隠れた名物的なバンドにとって新たな章の始まりとなる。結成8年目を迎えた彼らは、真摯な姿勢と強烈に耳に残るパワーポップの楽曲構成で、地元に確固たるファン層を築いてきた。


結成10年の記念すべき節目を迎えるにあたって、ザ・ベレア・リップ・ボムズは情熱的でキレのあるシングル曲を通じて、ボーカル兼ギタリストのメイジーが「恋慕ロック」と表現する独自の美学を磨き上げている。

 

『Again』の制作全般を通じて、バンドはこれまで以上に個々の影響を融合させ、スキップなしのストレートなインディーロック・アンセム集を創り上げた。10曲の躍動感あふれる新曲群は、バンドのDIYインディーロックスタイルを力強く洗練させている。聞きやすいインディーロックをお探しの方は注目しておきたいアルバムである。個人的にもイチオシのバンドです。

 

「Hey You」 

 

 

 

49.Rocket 『R Is for Rocket」Transgressive/ Canvasback (Breakthrough Album) 



ロサンゼルスのRocketは、Tuttle(ヴォーカル、ベース)、Baron Rinzler(ギター)、Cooper Ladomade(ドラムス)、Desi Scaglione(ギター)からなる。2021年頃から公式のリリースを続けているが、高校時代の同級生や幼馴染を中心に2015年頃からインディペンデントな活動を続けている。2025年に入り、バンドはTransgressiveと契約を結び、スマッシング・パンプキンズのツアーサポートを務め、一躍西海岸の注目のロックバンドとみなされるようになった。

 

四人組の音楽には、グランジ、エモ、またLAの80年代のハードロックなどが含まれ、それらが渾然一体となって、強固な世界観を形成している。ラウドロックとしての重力を持ち合わせながらも、適度なポップネスがあり、驚くほどその楽曲の印象は軽やかである。これらは結局、Nirvana亡き後に発足したデイブ・グロール率いる、Foo Fightersの登場を彷彿とさせる。

 

フー・ファイターズの最初期のアルバム『Foo Fighters』、『The Colour And The Shape』のように、『R Is For Rocket』は90年代のオルタナティヴロックやミクスチャーの全般的な音楽用語であるラウド・ロックに根ざしている。しかし、ロケットの音楽は新鮮に聞こえる。現代的な感性を織り込んだ秀逸なセンス、それらは、アリシア・タトルのボーカルのメロディアスな叙情性、そして不協和音やクロマティックスケールを強調したバロン・リンズラー、デシ・スカリオーネの轟音ギター、それから何と言っても、現代の音楽シーンで傑出した演奏力を誇るドラムのクーパー・ラドメイドの素晴らしいリズムセクションのすべてに現れ出ている。

 

曲のバランスの良さも際立っている。90年代-00年代のオルタナティヴロックに根ざしたものから、Fountains of Wayneの名曲「Stacy’s Mom」のようなパワーポップ/ジャングルポップの系譜にある甘酸っぱいメロディー、American Footballのような若い年代の象徴的なジレンマなど、幅広さがある。それらにロックソングのヘヴィーさを付加しているのが、Pearl Jamのような重厚なサウンドである。ロック史としては、94年にグランジが死んだと一般的には言われている。だが、他方では、アメリカの音楽シーンでグランジそのものがどこかで生き続けていたことを伺わせる。つまり、ポスト・グランジに該当する音楽は、一般的には脚光を浴びることはなかったものの、ひっそりとアメリカのロックシーンの一端を担ってきた。

 

これらを総合的に網羅し、新たなロックの段階へと導くのが、ロケットのデビューアルバムである。幼馴染で結成されたこのバンドのサウンドは数々の著名なロックバンドのツアーサポートの経験を経て、この上なく洗練され、高い密度を持つロックソングに昇華されることになった。デビューアルバムでありながら、十年間磨き上げられたロックソング集は一聴の価値あり。

 

 「Act Like Your Title」 

 

 

50.Melody's Echo Chamber  『Unclouded』- Domino (Album of The Year 2025)



 

2025年は、何と言っても、ルーズな感覚のあるアルトポップやシンセポップがミュージックシーンを席巻したという印象を持つ。その中で、気炎を吐くロックバンドがわずかにいた。インディーポップと一括りに言っても内実は多様である。ダンスミュージックを絡めたもの、ニューウェイブ/テクノポップに触発されたもの、AOR、ヨットロックを意識したリバイバルもの、アルトロックとの中間に位置するものというように、グループによって音楽性がそれこそぞれ異なっていた。

 

フランスのメロディーズ・エコー・チェンバーは、サイケロックや甘口のインディーポップとの絶妙なラインに位置する。個性的な作風であり、他のアーティストやグループとの差異を作り出す。ダニー・ブラウンの作品を手掛けたスウェーデンのプロデューサー、スヴェン・ヴンダーは、従来のドリームポップの夢想的な空気感に先鋭的な音楽性をもたらしている。このアルバムの随所に見いだせるブレイクビーツ、そしてジャズのシャッフルの手法は本当に見事だ。

 

全般的なプロデュースの面では、デジタルレコーディングの音の艶感を活かしつつ、ローファイ/ギターロック風のマスタリングが施されている。これは全体的に聞きやすさをもたらしているのは事実ではないだろうか。アルバムの冒頭を飾る「The House That Doesn't Exist」は、今年の音楽を象徴するような内容。くつろいだラフな感じのジャグリーなギターロックとなっている。

 

従来では、アルバムのオープナーといえば、身構えさせるような曲も多かった。けれど最近ではビートルズのような感じで、ラフに入っていき、リスナーに親近感をもたらし、また、掴みの部分を作るのが常套手段になっている。それほどかしこまらず、気軽に聞けるロックソングが現代のトレンド。また、この曲は、そういった現代的なリスナーの需要に添う内容となっている。

 

しかし、依然として、メロディ・プロシェらしさが受け継がれている。「ネオサイケデリア」とも称されるサイケのテイストがジャグリーなロックと絡み合い、絶妙なテイストを放つ。そして、マルコム・カトの超絶的なドラムプレイーーしなやかでタイトなドラムーーは、ジャズのリズムやブレイクビーツの切れのあるグルーヴを与え、メロディーズ・エコー・チェンバーのほんわかして和やかなドリームポップに属するボーカルのテイクと見事な融合を果たしている。

 

レオン・ミシェルズを始め、豪華な制作陣は言わずもがな、普遍的な魅力を持つ珠玉のポップソング集が、そのことを雄弁に物語る。アルバムには長い時間が流れ、制作者の人生観がストレートに反映されている。そしてそれは制作者自身が語るように、''自らの人生へのたゆまぬ愛情''にほかならない。

 

「Daisy」



日本出身で、現在ドイツ ・ベルリンを拠点とするプロデューサー/鍵盤奏者、Midori Hinano(平野みどり)が2026年2月20日リリース予定のフルアルバム『OTONOMA』を発表した。本作はThrill Jockyからリリース予定。日本盤の詳細も後日発表されるという。

 

先行シングル「Oto- Kioku(音、記憶)」は、霧のようなシンセの潮流である、点描的なエレクトロニクス、かすかに響くピアノのフレーズが、プリズムの蜃気楼のように広がっていく。 この作品は初対面の震えを呼び起こし、生きた印象が時を経てより謎めいた輪郭へと変容する軌跡を描く。記憶の移ろいゆく地形を解剖しようとする本作の、予兆を帯びた序章として佇む。その楽曲は、ニルス・フラームの音楽性に近い。


彼女は新曲について次のように説明している。


「『音』はアルバムタイトルと同じ意味です。日本語で『きおく』。このトラックには、シンセサイザーをいじっている時に偶然生まれた、温かく弾むようなシンセサウンドが使われています。その音があまりにも鮮烈な印象を残し、忘れられなくなったことがタイトルの由来です」

 

平野みどりの芸術性は、音響と視覚の世界の共鳴の中に存在する。ベルリンを拠点とする京都生まれの作曲家、ピアニスト、シンセサイザー奏者である彼女は、輝かしいキャリアの中で、クラシック音楽と抽象性・創造性との調和の領域をまたぐ独自の表現を築き上げてきた。

 

本名での作品に加え、ミミコフ名義でのダイナミックな実験作を発表。映画・テレビ・美術展・万国博覧会のための作曲も手掛ける。印象派的な手法で五感を刺激する情感豊かな作品、すなわち「音による絵画」の創造で高く評価されている。

 
『OTONOMA』はこれらの要素を統合した集大成で、熟練かつ直感的なアーティストとしての彼女の洞察力を際立たせる。本作はピアノによるより古典的な和声感覚と、シンセサイザーの無限のテクスチャー可能性を融合させる。星雲が銀河へと凝縮するように、『OTONOMA』の各楽曲は、グラデーションに折り込まれた微妙な色彩の層が凝縮した、圧倒的で輝かしい色合いを放っている。

 

「Oto.Kioku」 

 


▪最新のインタビュー記事:


Midori Hirano ベルリンを拠点とするミュージシャン 平野みどり  ブルーダー・ゼルケとのアルバムの制作について述べる



Midori Hirano 『OTONOMA』



 

 

Label: Thrill Jocky

Release: 2026年2月20日

 

Tracklist:

 

1.Illuminance

2.Ame, Hikari

3.In Colours

4.Warped In Red

5.Rainwalk

6.Blue Horizon

7.Aurora

8.Before The Silence

9.Oto, Kioku

10.Was It A Dream



マンチェスターのタズミン・スティーヴンスのソロプロジェクト、TTSSFUがEP『Blown』に続いて、セルフプロデュースによるニューシングル『Upstairs』をリリースした。当初は、シューゲイズの新星とも言われていたが、ダークウェイブ/ドリームポップ色が強いアーティストである。

 

この曲は、微かに魅惑的で、暗く酸っぱいドリームポップの珠玉。同時に間違いなく壮大でもある。まるで失われたC86の名曲が、テープが溶け始めるまで繰り返し再生されたかのようだ。TTSSFUのボーカルも幽霊のように響き、重い影のようにミックスの中で現れては消える。


TTSSFUは『Upstairs』について次のように語る。「この曲は一度だけ出会った男について。彼に完全に夢中になり、写真にズームインして、欠点を探さずにはいられなくなったほどだった」 同時に公開されたミュージックビデオはライブ映像仕立て。ローカルなライブハウスでのライブシーンが組み合わされている。また、ライブのオフショットの映像も使用されているようだ。

 

「Upstairs」

 


Daniel Avery(ダニエル・エイヴリー)がHappy Mondaysの名曲「Halleluiah」をリミックスした。同バンドのレガシーと現代のエレクトロニック・ミュージックの革新者たちを繋ぐリミックスドロップ・シリーズの第二弾。

 

ハッピー・マンデーズはマッドチェスターと呼ばれるマンチェスターのファクトリーレコーズ発の熱狂的な音楽シーンの先駆けとなり、のちの当地のダンス・ミュージックやポップ・ミュージックに強い影響を及ぼした。


ダニエル・エイブリーのリミックスは、オーケンフォールドによる新曲「Step On」のリミックスに続くもので、2026年にはアンナ・プライアー、メラ・ディー、ザ・リフレックス、シャドウ・チャイルドによるさらなるリミックス・ドロップが予定されている。

 

これらのリミックス・ドロップは、マンチェスターの象徴的バンド結成40周年を記念した特別リリースシリーズの一部であり、新コンピレーション『ザ・ファクトリー・シングルズ』も含まれる。


『The Factory Singles』は、伝説的マンチェスター・レーベル「ファクトリー・レコード」からリリースされたハッピー・マンデイズの全シングルを網羅している。マッドチェスターの全容を知る良い機会となるはずだ。

 

シングル集の主要な収録曲には「Step On」「Kinky Afro」「Hallelujah」「24-Hour Party People」などがある。今回の決定版コレクションは、1985年から1992年にかけてのバンドの画期的な作品を収め、英国音楽文化形成における彼らの重要な役割を称えるために制作された。

 


「Hallelujah」


今週、レゲエのもう一人のレジェンド、ジミー・クリフが81歳で惜しまれつつこの世をさった。ジミークリフとはどんな人物だったのだろう。その一端となるエピソードを少し紹介していきたいと思う。歴史上の多くの伝説がそうであるように、ジミー・クリフの物語は壊滅的な嵐の最中に始まった。


舞台はジャマイカにあるセントジェームズ教区のソマートン地区。村全体をたった一人の助産師が支える中、ある母親が子供を産み、シーツに包んで隣人の家に避難させる。ハリケーンが彼女の家を吹き飛ばした。


しかし、それを見た誰もが口を揃えて言った。「この子には何か特別なものがあるよ」と。クリフは幸運にもすでに若い頃からスターになる資質を持ち合わせていた。14歳で偶然にも「ハリケーン・ハティ」と題されたヒット曲で有名になる。その後、レゲエ音楽を世界中に広め、世界を変えた。 


グラミー賞受賞者であり、ロックの殿堂入りを果たしたミュージシャン、俳優、歌手、ソングライター、プロデューサー、そして人道支援活動家は、ヒットの理由を「魔法」と表現する。それは彼の迷信深さとも言えるが、彼の音楽に対する実直な姿勢を意味する。音楽が鳴り響くこと、それは彼の故郷ではある種の魔法のようなものだった。マジックという表現は古くから語り継がれてきた物語にふさわしいものでありながら、現代ではあまりにも軽視されている。


「何事にも魔法のような何かがある気がするんだ」とジミー・クリフは言った。「母が妊娠した時、お腹がすごく大きくて、みんな三つ子を妊娠していると思ったんだ!だから人々は最初から僕が''特別な存在だ''と言った。学校ではもう手品をやっていた。どうやって覚えたのか分からない。手相も読めた。それも誰も教えてくれなかった。僕の人生にはそういう話がたくさんある。あの嵐の中から生まれてきたという事実が、僕にとって意味深いものだったんだ」


今日でも彼のミュージシャンとしての影響力は計り知れなかった。誰もが「I Can See Clearly Now」「Wonderful World, Beautiful People」「You Can Get It If You Really Want」「The Harder They Come」など、彼の不朽の名曲の数々に口ずさんだことがあるだろう。 自国最高位の勲章、メリット勲章を受章したほか、ボブ・マーリーと並ぶジャマイカ人としてロックの殿堂®入りを果たした2人のうちの1人という栄誉も持つ。 


その人気の理由は何だったのか。ローリング・ストーンズやエルヴィス・コステロからアニー・レノックス、ポール・サイモンに至るまで、数多くのアーティストが彼とのコラボレーションを求め、ブルース・スプリングスティーン、ウィリー・ネルソン、シェール、ニュー・オーダー、フィオナ・アップルらが名高いカバー曲を録音した。


ブルース・スプリングスティーンの「トラップド」は『ウィ・アー・ザ・ワールド』のトラックリストにも名を連ねたことがある。さらに、ボブ・ディランは「ベトナム」を「史上最高の抗議歌」と称賛したことで有名だ。 比類なきスクリーン・プレゼンスも持ち、1972年の名作『ザ・ハーダー・ゼイ・カム』では主演を務め、サウンドトラックでも重要な役割を担い、レゲエに国際的な注目を集めた。その他の映画出演作には『クラブ・パラダイス』『マッスル・ショールズ』『マークド・フォー・デス』などがある。


'' The Harder They Come''


クリフはレゲエの伝道師として有名だが、彼の功績はそれだけにとどまらない。異なるジャンルとのコラボレーションを欠かさなかった。偉大なミュージシャンは未だかつてジャンルにこだわったことはない。2012 年、アルバム『Reverse』はクリフにとって新たな転機となった。パンク界の大御所、Rancidとオペレーション・アイビーのティム・アームストロングがプロデュースしたこのアルバムは、グラミー賞の「ベスト・レゲエ・アルバム」を受賞し、ローリング・ストーン誌の「2012 年ベスト・アルバム 50 選」にも選ばれた。


また、彼はライブステージでも大きな影響力を持った。コーチェラ、ボナルーなどのフェスティバルで、観客を魅了するパフォーマンスを披露しました。 その勢いは衰えることなく、待望の『The Harder They Come』の続編『Many Rivers To Cross』、そしてリンキー・マースデンが共同プロデュースした 2018 年の 2 枚の EP『Free For All』と『Love For All』という、彼の創造性の新たな章へとつながった。


音楽にしても映像にしても彼の全般的な活動の意味は、結局のところ、自分たちの住む地球をより良い場所にすると言うことだった。「今、この地球で果たすべき使命をまだ完遂していないと感じている」と彼は認めたことがある。「私は音楽と映画を通じて、伝えねばならないことを語り、成すべきことを成さねばならない。毎朝目覚めるたびに、それが私の原動力なんだ」




彼は異なる地域の人々との交流を欠かさなかった。違う土地の気風を寛容的に取られる力がクリフには備わっていた。EP制作ではガーナ生まれロンドン在住の共同プロデューサー、クワメ・イェボアとタッグを組み、クリフはレゲエの最も純粋な形を再訪し、再充電し、再活性化させた。家族を大切にする男として、彼は今も妻(モロッコ/フランス/ジャマイカ系)、娘リルティ・クリフ、息子アケン・クリフという高き源泉からインスピレーションを得続けている。そのエネルギーが音楽に脈打っている。


アップビートで紛れもないスウィング感を持つファーストシングル「ムービング・オン」は、繊細な楽器編成から力強い宣言「俺は前に進む」へと発展する。彼の比類なき歌声が天へと届き、再び戻ってくる。「これは私のお気に入りのひとつだ」と彼は言う。「非常に個人的な体験だ。誰もがその考えに共感できる。人生のどこかで、誰もが前に進まなければならないのだから」


「Refugee」の社会政治的含意はクリフにとって深い意義を持ち、考えさせられるアンセムの長い伝統を継承している。「これは今も続いている問題なんだ」と彼は語っていた。「歌詞は自明であり、世界中で目にする難民問題に触発されたものなんだ」



クリフはまた、新しいデジタル社会へ適応し、来るべき革新の時代を心から楽しみにしていた。「インターネット」は、オールドスクール・レゲエの視点から現代社会を考察する。クリフは言った。「『インターネット』の着想は、インターネットが音楽シーン全体を変えた事実から生まれたんだ。もはや誰も音楽にお金を払わなくていい。『フリー・フォー・オール』。それが胸に刺さった。誰も逃れられない革命なんだ。私はそれについて言及せざるを得なかった」


『Many Rivers To Cross』はクリフにとって分岐点となり、一連の物語の完結を意味した。最初の映画から温めていた構想で、主人公イヴァンが40年の歳月を経て刑務所を出所し、贖罪の道を歩み始める姿を描く。


「40年は長い時間だよ」と彼は説明する。「毎年が小川であり大河だ。アイヴァンはそれらを渡ってきた。どうやって生き延びたのか? 今は何をしているのか? 彼が撃たれた時点から、なぜ、どうやって刑務所を出たのかまでを描く。『ザ・ハーダー・ザ・カム』以来考えていたこと。ファンは続編を求めてきたし、物語をあのまま終わらせたくなかった。語るべきことはまだある」


結局、ジミー・クリフの魔法は年を重ねるごとに華やかになるばかりだった。生前クリフは次のように言った。「最高の曲はまだ書いていない。実はそれを追い求めている。僕の音楽が誰かを奮い立たせ、より良い人生を歩みたいと思わせ、諦めさせないなら、それは僕にとって大きな成功だ!!」 


▪️こちらの記事もおすすめです

BOB MARLEY(ボブ・マーリー)      レゲエの神様の生涯  -音楽は祈りであるという思い